IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝デバイス&ストレージ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130809
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230913BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230913BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20230913BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
H01L29/78 652J
H01L29/78 653A
H01L29/78 652D
H01L29/78 658A
H01L29/78 658E
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 652Q
H01L29/78 657D
H01L29/86 301F
H01L29/86 301P
H01L29/86 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035311
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】田中 克久
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋志
(57)【要約】
【課題】装置の破壊を抑制可能な、半導体装置及び半導体パッケージを提供する。
【解決手段】実施形態に係る半導体装置は、第1電極、第1導電形の第1半導体領域、第2導電形の第2半導体領域、ゲート電極、第2導電形の第3半導体領域、導電部、第2導電形の第4半導体領域、第1導電形の第5半導体領域、第1導電形の第6半導体領域、及び第2電極を含む。第1半導体領域は、第1領域及び第2領域を含む。第2半導体領域及び第3半導体領域は、第1領域の上に設けられる。ゲート電極は、第2半導体領域の上に設けられる。第3半導体領域は、第2半導体領域から離れている。導電部は、第3半導体領域の上に設けられる。第4半導体領域は、第2領域の上に設けられ、第3半導体領域と接する。第5半導体領域は、第4半導体領域の一部の上に設けられる。第6半導体領域は、第1半導体領域よりも高い第1導電形の不純物濃度を有し、第3半導体領域に接する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続され、第1領域と前記第1領域の上に設けられた第2領域とを含む第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上にゲート絶縁層を介して設けられたゲート電極と、
前記第1領域の上に設けられ、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において、前記第2領域を介して前記第2半導体領域から離れた第2導電形の第3半導体領域と、
前記第3半導体領域の上に絶縁層を介して設けられた導電部と、
前記第2領域の上に設けられ、前記第3半導体領域と接する第2導電形の第4半導体領域と、
前記第4半導体領域の一部の上に設けられた第1導電形の第5半導体領域と、
前記第1半導体領域よりも高い第1導電形の不純物濃度を有し、前記第3半導体領域に接する第1導電形の第6半導体領域と、
前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域の上に設けられ、前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域と電気的に接続された第2電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第2領域における第1導電形の不純物濃度は、前記第1領域における第1導電形の不純物濃度よりも高い、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第6半導体領域は、前記第3半導体領域の下端の少なくとも一部と接する、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3半導体領域は、第1部分と、前記第1部分の上に設けられた第2部分と、を含み、
前記第2部分の一部は、前記第1方向において、前記第1部分と前記導電部との間に位置し、
前記第1部分における第2導電形の不純物濃度は、前記第2部分における第2導電形の不純物濃度よりも高い、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2半導体領域と前記第3半導体領域との間に設けられた第2導電形の第7半導体領域をさらに備え、
前記第7半導体領域は、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において前記第2領域と並ぶ、請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3半導体領域は、
第2部分と、
前記第2部分の一部の上に設けられた第3部分と、
前記第2部分の別の一部の上に設けられ、前記第2方向において前記導電部と前記第3部分との間に位置する第4部分と、
を含み、
前記第4部分の第2導電形の不純物濃度は、前記第3部分の第2導電形の不純物濃度よりも低い、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第3部分及び前記第4部分のそれぞれは、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において複数設けられた、請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の半導体装置と、
前記第1電極と電気的に接続された第1端子と、
前記第2電極と電気的に接続された第2端子と、
前記第2電極と前記第2端子とを電気的に接続する配線と、
前記ゲート電極と電気的に接続された第3端子と、
を備え、
前記半導体装置は、単位面積あたりの前記導電部の数が単位面積あたりの前記ゲート電極の数よりも多い第1構造部を含み、
前記配線は、前記第1構造部の直上に位置する、半導体パッケージ。
【請求項9】
前記配線は、複数設けられ、
前記半導体装置は、単位面積あたりの前記ゲート電極の数が単位面積あたりの前記導電部の数よりも多い第2構造部をさらに含み、
前記第1構造部の直上に位置する前記配線の数は、前記第2構造部の直上に位置する前記配線の数よりも多い、請求項8記載の半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及び半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)などの半導体装置は、例えば電力変換に用いられる。半導体装置について、装置の破壊を抑制可能な技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-82848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、装置の破壊を抑制可能な、半導体装置及び半導体パッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、ゲート電極と、第2導電形の第3半導体領域と、導電部と、第2導電形の第4半導体領域と、第1導電形の第5半導体領域と、第1導電形の第6半導体領域と、第2電極と、を備える。前記第1半導体領域は、前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続されている。前記第1半導体領域は、第1領域と、前記第1領域の上に設けられた第2領域と、を含む。前記第2半導体領域は、前記第1領域の上に設けられている。前記ゲート電極は、前記第2半導体領域の上にゲート絶縁層を介して設けられている。前記第3半導体領域は、前記第1領域の上に設けられている。前記第3半導体領域は、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において、前記第2領域を介して前記第2半導体領域から離れている。前記導電部は、前記第3半導体領域の上に絶縁層を介して設けられている。前記第4半導体領域は、前記第2領域の上に設けられ、前記第3半導体領域と接する。前記第5半導体領域は、前記第4半導体領域の一部の上に設けられている。前記第6半導体領域は、前記第1半導体領域よりも高い第1導電形の不純物濃度を有し、前記第3半導体領域に接する。前記第2電極は、前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域の上に設けられ、前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域と電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図3】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図5】参考例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図6】第1実施形態に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図7】第1実施形態に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図8】第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置の一部を示す模式図である。
図9】第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置の一部を示す模式図である。
図10】第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置の一部を示す模式図である。
図11】第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置の一部を示す模式図である。
図12】第1実施形態の第5変形例に係る半導体装置の一部を示す模式図である。
図13】第1実施形態の第6変形例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図14図13のA1-A2断面図である。
図15】第1実施形態の第7変形例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図16】第1実施形態の第7変形例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図17図15及び図16のA1-A2断面図である。
図18】第1実施形態の第7変形例に係る半導体装置の動作を示す模式図である。
図19】第1実施形態の第8変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図20】第1実施形態の第8変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図21】第2実施形態に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図22】第2実施形態に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図23】第2実施形態に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図24】第3実施形態に係る半導体パッケージの一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明及び図面において、n、n及びp、pの表記は、各不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、「+」が付されている表記は、「+」及び「-」のいずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に高く、「-」が付されている表記は、いずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に低いことを示す。これらの表記は、それぞれの領域にp形不純物とn形不純物の両方が含まれている場合には、それらの不純物が補償しあった後の正味の不純物濃度の相対的な高低を表す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
第1実施形態に係る半導体装置は、MOSFETである。図1に示すように、第1実施形態に係る半導体装置100は、n形(第1導電形)ドリフト領域1(第1半導体領域)、p形(第2導電形)半導体領域2(第2半導体領域)、p形半導体領域3(第3半導体領域)、p形ベース領域4(第4半導体領域)、n形ソース領域5(第5半導体領域)、n形半導体領域6(第6半導体領域)、n形ドレイン領域8、p形コンタクト領域9、ゲート電極10、導電部20、ドレイン電極31(第1電極)、及びソース電極32(第2電極)を含む。
【0009】
実施形態の説明には、XYZ直交座標系を用いる。ドレイン電極31からn形ドリフト領域1に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。Z方向と直交する一方向をX方向(第2方向)とする。X方向及びZ方向と直交する方向をY方向(第3方向)とする。また、ここでは、ドレイン電極31からn形ドリフト領域1に向かう方向を「上」と呼び、これと反対の方向を「下」と呼ぶ。これらの方向は、ドレイン電極31とn形ドリフト領域1との相対的な位置関係に基づく方向であり、重力の方向とは無関係である。
【0010】
ドレイン電極31は、半導体装置100の下面に設けられている。n形ドレイン領域8は、ドレイン電極31の上に設けられ、ドレイン電極31と電気的に接続されている。n形ドリフト領域1は、n形ドレイン領域8の上に設けられている。n形ドリフト領域1のn形不純物濃度は、n形ドレイン領域8のn形不純物濃度よりも低い。n形ドリフト領域1は、n形ドレイン領域8を介してドレイン電極31と電気的に接続されている。
【0011】
形ドリフト領域1は、第1領域1a及び第2領域1bを含む。第2領域1bは、第1領域1aの上に部分的に設けられている。p形半導体領域2及びp形半導体領域3は、第1領域1aの上に設けられている。p形半導体領域2とp形半導体領域3は、X方向において、第2領域1bを介して互いに離れている。すなわち、X方向において、p形半導体領域2、第2領域1b(n形ドリフト領域1の一部)、p形半導体領域3の順に、並んで設けられている。
【0012】
ゲート電極10は、ゲート絶縁層11を介してp形半導体領域2の上に設けられている。導電部20は、絶縁層21を介してp形半導体領域3の上に設けられている。p形半導体領域3の一部は、X-Y面に沿って導電部20の下部の周りに設けられている。
【0013】
p形ベース領域4は、n形ドリフト領域1の上に設けられている。p形ベース領域4は、p形半導体領域2から離れ、p形半導体領域3と接する。このため、p形半導体領域3の電位は、p形ベース領域4の電位と実質的に同じである。例えば、p形半導体領域2及びp形半導体領域3のそれぞれのp形不純物濃度は、p形ベース領域4のp形不純物濃度よりも高い。n形ソース領域5は、p形ベース領域4の一部の上に設けられている。p形コンタクト領域9は、p形ベース領域4の別の一部の上に設けられている。p形コンタクト領域9のp形不純物濃度は、p形ベース領域4のp形不純物濃度よりも高い。
【0014】
ゲート電極10は、X方向において、ゲート絶縁層11を介してp形ベース領域4と対面している。図示した例では、ゲート電極10は、X方向において、ゲート絶縁層11を介して第2領域1b及びn形ソース領域5とも対面している。導電部20は、X方向において、絶縁層21を介して、p形半導体領域3、p形ベース領域4、及びp形コンタクト領域9と対面している。
【0015】
形半導体領域6は、p形半導体領域2から離れ、p形半導体領域3と接している。図示した例では、n形半導体領域6は、p形半導体領域3のX方向における両端の直下にそれぞれ設けられている。
【0016】
ソース電極32は、n形ソース領域5及びp形コンタクト領域9の上に設けられ、n形ソース領域5及びp形コンタクト領域9と電気的に接続されている。p形ベース領域4は、p形コンタクト領域9を介してソース電極32と電気的に接続されている。ゲート電極10及び導電部20は、それぞれゲート絶縁層11及び絶縁層21により、ソース電極32と電気的に分離される。
【0017】
導電部20は、ゲート電極10と電気的に接続されている。導電部20の電位は、フローティングであっても良い。これにより、ゲート・ドレイン間容量Cgdを低減し、半導体装置100の帰還容量を低減できる。又は、導電部20は、ソース電極32と電気的に接続されても良い。
【0018】
第2領域1b、p形半導体領域2、p形半導体領域3、p形ベース領域4、n形ソース領域5、p形コンタクト領域9、ゲート電極10、及び導電部20のそれぞれは、Y方向に延び、X方向において複数設けられている。例えば、ゲート電極10と導電部20は、X方向において交互に設けられている。導電部20がソース電極32と電気的に接続される場合、導電部20のY方向における端部は、上方に引き上げられ、ソース電極32と電気的に接続されている。
【0019】
半導体装置100の動作を説明する。
ソース電極32に対してドレイン電極31に正の電圧が印加された状態で、ゲート電極10に閾値以上の電圧が印加される。これにより、p形ベース領域4にチャネル(反転層)が形成され、半導体装置100がオン状態となる。電子は、チャネルを通ってソース電極32からドレイン電極31へ流れる。ゲート電極10に印加される電圧が閾値よりも低くなると、p形ベース領域4のチャネルが消滅し、半導体装置100がオフ状態になる。
【0020】
半導体装置100の各構成要素の材料の一例を説明する。
形ドリフト領域1、p形半導体領域2、p形半導体領域3、p形ベース領域4、n形ソース領域5、n形半導体領域6、n形ドレイン領域8、及びp形コンタクト領域9は、半導体材料を含む。半導体材料として、炭化シリコンを用いることができる。半導体材料として、シリコン、窒化ガリウム、又はガリウムヒ素が用いられても良い。n形不純物として、ヒ素、リン、またはアンチモンを用いることができる。p形不純物として、ボロンを用いることができる。
【0021】
ゲート絶縁層11及び絶縁層21は、絶縁材料を含む。例えば、ゲート絶縁層11及び絶縁層21は、酸化シリコン、窒化シリコン、又は酸窒化シリコンを含む。ゲート電極10及び導電部20は、ポリシリコンなどの導電材料を含む。ゲート電極10及び導電部20には、n形又はp形の不純物が添加されても良い。ドレイン電極31及びソース電極32は、チタン、タングステン、又はアルミニウムなどの金属を含む。
【0022】
図2図4は、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図2図4を参照して、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法の一例を説明する。まず、n形半導体層8xを含む半導体基板を用意する。n形半導体層8xの上に、エピタキシャル成長により、n形半導体層1xを形成する。n形半導体層1xの上に、エピタキシャル成長により、n形半導体層1yを形成する。n形半導体層1yは、n形半導体層1xよりも高いn形不純物濃度を有する。図2(a)に示すように、n形半導体層1yにn形不純物をイオン注入し、n形半導体領域6xを形成する。
【0023】
n形半導体層1yにp形不純物をイオン注入し、p形半導体領域2x及びp形半導体領域3xを形成する。図2(b)に示すように、n形半導体層1yの上面に、p形不純物及びn形不純物を順次イオン注入し、p形半導体領域4x、n形半導体領域5x、及びp形半導体領域9xを形成する。
【0024】
反応性イオンエッチング(RIE)により、p形半導体領域4x及びn形半導体領域5xを貫通するトレンチT1と、p形半導体領域4x及びp形半導体領域9xを貫通するトレンチT2と、を形成する。熱酸化により、図3(a)に示すように、トレンチT1及びT2の内面に沿って絶縁層11xを形成する。
【0025】
絶縁層11xの上に、化学気相堆積(CVD)により、トレンチT1及びT2を埋め込む導電層を形成する。Chemical Dry Etching(CDE)により、導電層の上面を後退させる。これにより、図3(b)に示すように、トレンチT1の内部に導電層10xが形成され、トレンチT2の内部に導電層20xが形成される。
【0026】
導電層10x及び20xを覆う絶縁層11yを形成する。RIEにより、絶縁層11xの一部及び絶縁層11yの一部を除去し、n形半導体領域5x及びp形半導体領域9xを露出させる。図4(a)に示すように、絶縁層11x及び絶縁層11xの上に金属層32xを形成する。
【0027】
形半導体層8xが所定の厚さになるまで、n形半導体層8xの下面を研削する。図4(b)に示すように、n形半導体層8xの下に金属層31xを形成する。以上の工程により、図1に示す半導体装置100が製造される。
【0028】
図4(b)に示すn形半導体層1xは、図1に示すn形ドリフト領域1の第1領域1aに対応する。n形半導体層1yは、第2領域1bに対応する。p形半導体領域2x及びp形半導体領域3xは、それぞれ、p形半導体領域2及びp形半導体領域3に対応する。p形半導体領域4xは、p形ベース領域4に対応する。n形半導体領域5xは、n形ソース領域5に対応する。n形半導体領域6xは、n形半導体領域6に対応する。n形半導体層8xは、n形ドレイン領域8に対応する。p形半導体領域9xは、p形コンタクト領域9に対応する。導電層10xは、ゲート電極10に対応する。導電層20xは、導電部20に対応する。金属層31xは、ドレイン電極31に対応する。金属層32xは、ソース電極32に対応する。
【0029】
第1実施形態に係る半導体装置100は、図示した例以外の製造方法によっても製造可能である。例えば、n形半導体層1yは、複数回のエピタキシャル成長によって形成されても良い。エピタキシャル成長された層ごとに、p形半導体領域2x及びp形半導体領域3xに対応する領域に、p形不純物がイオン注入される。p形半導体領域3xの下部が、p形半導体領域2xと同様のイオン注入で形成され、p形半導体領域3xの上部が、トレンチT2を通したイオン注入によって形成されても良い。イオン注入の具体的な方法についても、半導体基板表面の法線方向に対して傾斜した方向からイオン注入を行う方法や、高加速度のイオン注入などを適宜選択可能である。
【0030】
第1実施形態の利点を説明する。
図5は、参考例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図5に示す半導体装置100rでは、半導体装置100と比べて、p形半導体領域3、導電部20、n形半導体領域6などが設けられていない。半導体装置100rでは、ゲート電極10の下にp形半導体領域2が設けられている。これにより、n形ドリフト領域1とp形半導体領域2との間でアバランシェ降伏が発生し易くなり、ゲート電極10底部でのアバランシェ降伏の発生を抑制できる。この結果、ゲート絶縁層11の絶縁破壊が生じ難くなる。
【0031】
半導体装置100rでは、n形ドリフト領域1といずれかのp形半導体領域2との間で、アバランシェ降伏が集中的に発生しうる。これにより、多量の正孔及び電子が生成される。生成された正孔がゲート絶縁層11にアタックし、ゲート電極10とドレイン電極31とソース電極32との間でショートが発生する。これにより、半導体装置100rが破壊される。
【0032】
半導体装置100では、p形半導体領域3に接するn形半導体領域6が設けられている。n形半導体領域6のn形不純物濃度は、n形ドリフト領域1のn形不純物濃度よりも高い。このため、半導体装置100の耐圧時、p形半導体領域3とn形半導体領域6とのpn接合近傍の電界強度は、n形ドリフト領域1とp形半導体領域2との間のpn接合近傍の電界強度よりも高い。p形半導体領域3とn形半導体領域6との間でアバランシェ降伏を発生させ、n形ドリフト領域1とp形半導体領域2との間でのアバランシェ降伏の発生を抑制できる。
【0033】
アバランシェ降伏が発生した際、多量の正孔及び電子が生成される。正孔は、p形ベース領域4を通してソース電極32へ排出される。電子は、n形ドリフト領域1及びn形ドレイン領域8を通してドレイン電極31へ排出される。半導体装置100では、p形半導体領域3がp形ベース領域4と接する。p形半導体領域3とp形ベース領域4との間の正孔に対する電気抵抗は、p形半導体領域2とp形ベース領域4との間の正孔に対する電気抵抗よりも低い。このため、p形半導体領域3とn形半導体領域6との間でアバランシェ降伏が発生した際、正孔がp形ベース領域4に流れ易い。これにより、アバランシェ降伏によるゲート絶縁層11の破壊が抑制される。半導体装置100の破壊が抑制され、半導体装置100の信頼性を向上できる。
【0034】
第2領域1bのn形不純物濃度は、第1領域1aのn形不純物濃度よりも高いことが好ましい。第2領域1bは、ゲート電極10とX方向において並んでおり、第1領域1aに比べて空乏化し易い。第2領域1bが第1領域1aに比べて高いn形不純物濃度を有することで、半導体装置100の耐圧の低下を抑制しつつ、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
【0035】
形半導体領域6のn形不純物濃度が高いほど、p形半導体領域3とn形半導体領域6との間でアバランシェ降伏が発生し易くなる。一方で、n形半導体領域6のn形不純物濃度を高めすぎると、n形半導体領域6から他の半導体領域へn形不純物が拡散し、半導体装置100の耐圧が低下しうる。このため、n形半導体領域6のn形不純物濃度は、1.0×1017atom/cmよりも高く、1.0×1018atom/cmよりも低いことが好ましい。p形半導体領域3のp形不純物濃度は、p形不純物の拡散を抑制しつつ、導電部20下方での電界強度を十分に緩和するために、1,0×1017atom/cmよりも高く、1.0×1019atom/cmよりも低いことが好ましい。
【0036】
その他の各半導体領域の好ましい不純物濃度の一例は、以下の通りである。n形ドリフト領域1のn形不純物濃度は、1.0×1015atom/cmよりも高く、5.0×1016atom/cmよりも低い。p形半導体領域2のp形不純物濃度は、1,0×1018atom/cmよりも高く、1.0×1019atom/cmよりも低い。p形ベース領域4のp形不純物濃度は、1.0×1016atom/cmよりも高く、5.0×1018atom/cmよりも低い。n形ソース領域5のn形不純物濃度は、5.0×1018atom/cmよりも高く、5.0×1020atom/cmよりも低い。n形ドレイン領域8のn形不純物濃度は、1.0×1018atom/cmよりも高く、1.0×1020atom/cmよりも低い。p形コンタクト領域9のp形不純物濃度は、1.0×1018atom/cmよりも高く、1.0×1020atom/cmよりも低い。
【0037】
図6(a)、図6(b)、図7(a)、及び図7(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図6(a)及び図6(b)は、図1のA1-A2断面に相当する。図6(a)に示すように、n形半導体領域6は、p形半導体領域3に沿ってY方向に延びていても良い。図6(b)に示すように、複数のn形半導体領域6が、互いに離れてY方向に配列されても良い。
【0038】
図6(a)に示す構造によれば、図6(b)に示す構造に比べて、Y方向においてアバランシェ降伏をより均等に発生させることができる。この結果、n形ドリフト領域1とp形半導体領域2との間でのアバランシェ降伏の発生が、さらに抑制される。
【0039】
図7(a)及び図7(b)は、図1のB1-B2断面に相当する。X-Y面において、単位面積あたりのゲート電極10の数は、単位面積あたりの導電部20の数と同じでも良いし、異なっていても良い。
【0040】
半導体装置100は、例えば図7(a)に示す第1構造部101を含む。第1構造部101では、2つ以上の導電部20と、1つのゲート電極10と、がX方向において交互に設けられている。単位面積あたりの導電部20の数が、単位面積あたりのゲート電極10の数よりも多い。第1構造部101を設けることで、p形半導体領域3とn形半導体領域6との間でアバランシェ降伏を発生し易くできる。
【0041】
半導体装置100は、図7(b)に示す第2構造部102を含んでも良い。第2構造部102では、2つ以上のゲート電極10と、1つの導電部20と、がX方向において交互に設けられている。単位面積あたりのゲート電極10の数が、単位面積あたりの導電部20の数よりも多い。第2構造部102を設けることで、オン状態でのチャネル密度を高め、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
【0042】
図7(a)に示すC1-C2線での断面構造、及び図7(b)に示すD1-D2線での断面構造は、図1に示す断面の構造と同様である。半導体装置100は、第1構造部101又は第2構造部102のいずれかのみを含んでも良いし、第1構造部101及び第2構造部102の両方を含んでも良い。
【0043】
図8は、第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置の一部を示す模式図である。
第1変形例に係る半導体装置110では、図8に示すように、n形半導体領域6の下端のZ方向における位置が、p形半導体領域3の下端のZ方向における位置と同じである。n形半導体領域6は、p形半導体領域3のX方向における両側部に位置している。半導体装置110のn形半導体領域6は、半導体装置100のn形半導体領域6に比べて、よりZ方向に長い。
【0044】
図9は、第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置の一部を示す模式図である。
第2変形例に係る半導体装置120では、図9に示すように、n形半導体領域6の下端がp形半導体領域3の下端よりも上方に位置する。n形半導体領域6は、p形半導体領域3のX方向における両側部に位置する。導電部20の下部は、X方向において、n形半導体領域6同士の間に位置する。
【0045】
図10は、第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置の一部を示す模式図である。図11は、第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置の一部を示す模式図である。
第3及び第4変形例に係る半導体装置130及び140では、図10及び図11に示すように、n形半導体領域6が、Z方向において第1領域1aとp形半導体領域3との間に設けられている。図10に示す半導体装置130では、n形半導体領域6のX方向における長さが、p形半導体領域3のX方向における長さよりも長い。図11に示す半導体装置140では、n形半導体領域6のX方向における長さが、p形半導体領域3のX方向における長さよりも短い。
【0046】
図8図11に示すいずれの半導体装置においても、p形半導体領域3に接するn形半導体領域6が設けられ、p形半導体領域3がp形ベース領域4と接する。このため、アバランシェ降伏による半導体装置の破壊を抑制できる。
【0047】
より好ましくは、n形半導体領域6は、図8図10、及び図11に示すように、p形半導体領域3の下端の少なくとも一部と接する。p形半導体領域3の下端近傍では、p形半導体領域3の上部に比べて、電界強度が高い。n形半導体領域6がp形半導体領域3の下端の少なくとも一部と接することで、p形半導体領域3とn形半導体領域6との間で、アバランシェ降伏がより発生し易くなる。n形ドリフト領域1とp形半導体領域2との間でのアバランシェ降伏の発生が、より抑制される。
【0048】
特に、図8及び図10に示すように、n形半導体領域6は、p形半導体領域3のX方向における端部の下端と接することが好ましい。電界強度は、当該下端で最も高くなる。n形半導体領域6がp形半導体領域3のX方向における端部の下端と接することで、p形半導体領域3とn形半導体領域6との間で、アバランシェ降伏がさらに発生し易くなる。n形ドリフト領域1とp形半導体領域2との間でのアバランシェ降伏の発生が、さらに抑制される。
【0049】
図12は、第1実施形態の第5変形例に係る半導体装置の一部を示す模式図である。
第5変形例に係る半導体装置150では、図12に示すように、p形半導体領域3が、第1部分3a及び第2部分3bを含む。第2部分3bは、第1部分3aの上に設けられている。第2部分3bは、第1部分3aと導電部20との間に位置する。第1部分3aのp形不純物濃度は、第2部分3bのp形不純物濃度よりも高い。
【0050】
同様に、p形半導体領域2は、部分2a及び部分2bを含む。部分2bは、部分2aの上に設けられている。部分2bは、部分2aとゲート電極10との間に位置する。部分2aのp形不純物濃度は、部分2bのp形不純物濃度よりも高い。
【0051】
導電部20から離れた位置にp形半導体領域3の第1部分3aが設けられていることで、絶縁層21近傍の電界強度を低減できる。これにより、絶縁層21の絶縁破壊の発生を抑制できる。同様に、ゲート電極10から離れた位置にp形半導体領域2の部分2aが設けられていることで、ゲート絶縁層11近傍の電界強度を低減できる。これにより、ゲート絶縁層11の絶縁破壊の発生を抑制できる。
【0052】
形半導体領域6は、第1部分3aと接することが好ましい。図示した例では、第1部分3aのX方向における端部の下端に、それぞれn形半導体領域6が接する。n形半導体領域6が第1部分3aと接することで、p形半導体領域3とn形半導体領域6とのpn接合近傍の電界強度をより高めることができる。この結果、p形半導体領域3とn形半導体領域6との間で、アバランシェ降伏がより発生し易くなる。
【0053】
電界強度を高めつつ、p形不純物の拡散を抑制するために、第1部分3aのp形不純物濃度は、1.0×1019atom/cmよりも高く、1.0×1020atom/cmよりも低いことが好ましい。第2部分3bのp形不純物濃度は、1.0×1017atom/cmよりも高く、1.0×1018atom/cmよりも低いことが好ましい。
【0054】
又は、第1部分3aのp形不純物濃度が1.0×1017atom/cmよりも高く且つ1.0×1018atom/cmよりも低く、第2部分3bのp形不純物濃度が1.0×1018atom/cmよりも高く且つ1.0×1019atom/cmよりも低くても良い。第1部分3aのp形不純物濃度が第2部分3bのp形不純物濃度よりも低い場合、n形ドリフト領域1と第1部分3aとのpn接合近傍での電界強度を低減できる。これにより、半導体装置150の耐圧を向上できる。
【0055】
図13は、第1実施形態の第6変形例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。図14は、図13のA1-A2断面図である。図13は、図14のB1-B2断面図に相当する。
第6変形例に係る半導体装置160は、p形接続領域7(第7半導体領域)をさらに含む。p形接続領域7は、X方向においてp形半導体領域2とp形半導体領域3との間に位置し、p形半導体領域2及びp形半導体領域3と接する。p形接続領域7によって、p形半導体領域2は、p形半導体領域3と電気的に接続されている。このため、p形半導体領域2の電位は、p形半導体領域3の電位及びp形ベース領域4の電位と実質的に同じとなる。p形接続領域7のp形不純物濃度は、p形半導体領域2及びp形半導体領域3のそれぞれのp形不純物濃度と等しい。又は、p形接続領域7のp形不純物濃度は、p形半導体領域2及びp形半導体領域3のそれぞれのp形不純物濃度と異なっていても良い。
【0056】
図14に示すように、p形半導体領域2及びp形半導体領域3は、Y方向に延びる。p形半導体領域2とp形半導体領域3との間において、p形接続領域7は、Y方向において第2領域1bと並んでいる。第2領域1bとp形接続領域7が、Y方向に交互に設けられている。複数のn形半導体領域6が、X方向において複数の第2領域1bとそれぞれ並んでいる。
【0057】
形接続領域7のY方向における長さL1は、第2領域1bのY方向における長さL2よりも短い。これにより、半導体装置160のオン抵抗の増加を抑制しつつ、p形半導体領域2の電位を安定させることができる。
【0058】
図14に示すC1-C2線での断面構造は、図1に示す断面構造と同様である。このため、p形半導体領域3とn形半導体領域6との間でアバランシェ降伏が発生し易く、半導体装置160の破壊が生じることを抑制できる。また、n形ドリフト領域1とp形半導体領域2との間でアバランシェ降伏が生じた場合でも、p形接続領域7及びp形半導体領域3を介して正孔を効率的に排出できる。このため、半導体装置100に比べて、アバランシェ降伏による半導体装置160の破壊をより抑制できる。
【0059】
図15及び図16は、第1実施形態の第7変形例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。図17は、図15及び図16のA1-A2断面図である。図15及び図16は、それぞれ、図17のB1-B2断面図及びC1-C2断面図に相当する。
第7変形例に係る半導体装置170では、図15に示すように、p形半導体領域3が、第2部分3b~第4部分3dを含む。第3部分3cは、第2部分3bの一部の上に設けられている。第4部分3dは、X方向において第3部分3cと導電部20との間に設けられている。第3部分3c及び第4部分3dは、p形ベース領域4に接する。図示した例では、一対の第3部分3cの間に、導電部20及び一対の第4部分3dが位置している。一対の第4部分3dの間に、導電部20が位置している。
【0060】
第4部分3dのp形不純物濃度は、第2部分3b及び第3部分3cのそれぞれのp形不純物濃度よりも低い。第4部分3dのp形不純物濃度とp形ベース領域4のp形不純物濃度との差は、第3部分3cのp形不純物濃度とp形ベース領域4のp形不純物濃度との差よりも小さい。
【0061】
図16に示すように、半導体装置170の一部のX-Z断面では、第3部分3c及び第4部分3dは設けられない。この断面では、第2部分3bとp形ベース領域4との間において、導電部20は、絶縁層21を介してn形ドリフト領域1と対面している。
【0062】
図17に示すように、複数の第3部分3cが、互いに離れてY方向に沿って配列される。複数の第4部分3dは、それぞれ、複数の第3部分3cと導電部20との間に位置する。
【0063】
図18は、第1実施形態の第7変形例に係る半導体装置の動作を示す模式図である。
半導体装置170では、導電部20は、ゲート電極10と電気的に接続されている。半導体装置170がオン状態のとき、図18に示すように、p形ベース領域4に加え、第4部分3dにもチャネルchが形成される。一部の電子は、矢印Aで示すように、p形ベース領域4のチャネルから第4部分3dのチャネルchを通り、n形ドリフト領域1へ流れる。
【0064】
第7変形例によれば、半導体装置170がオン状態のときに、ゲート電極10の周囲だけでなく、導電部20の周囲にも電流を流すことができる。特に、p形半導体領域3の第4部分3dにチャネルを形成して電流を流すことができる。これにより、半導体装置100に比べて、半導体装置170のオン抵抗を低減できる。また、第2部分3bは、第4部分3dよりも高いp形不純物濃度を有する第3部分3cによってp形ベース領域4と電気的に接続されている。このため、第4部分3dを設けることによる、p形半導体領域3とp形ベース領域4との間の正孔に対する電気抵抗の増加を抑制できる。
【0065】
図19及び図20は、第1実施形態の第8変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
第8変形例に係る半導体装置180a及び180bでは、図19及び図20に示すように、ゲート電極10の幅W1と導電部20の幅W2と、が互いに異なる。幅は、X方向における長さである。
【0066】
図19に示す半導体装置180aでは、幅W2が幅W1よりも狭い。幅W1が狭い分、幅W1と幅W2が同じ場合に比べて、単位面積あたりのゲート電極10の数を増やすことができる。これにより、半導体装置100に比べて、半導体装置180aのオン抵抗をさらに低減できる。
【0067】
図20に示す半導体装置180bでは、幅W2が幅W1よりも広い。幅W2の増加に伴い、p形半導体領域3の幅も広くなる。半導体装置180bの耐圧時、p形半導体領域3のX方向における両側部の下端では、電界集中が生じる。p形半導体領域3の幅が狭いと、一方の下端周辺の電界分布が、他方の下端周辺の電界分布に影響を与える。両方の下端同士で電界強度が高まり合い、電界強度が過度に増大する。p形半導体領域3の幅を広げることで、両方の下端での電界強度の高まりを抑えることができる。この結果、半導体装置180bの耐圧を向上できる。
【0068】
(第2実施形態)
図21は、第2実施形態に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
第2実施形態に係る半導体装置200は、図21に示すように、第1実施形態に係る半導体装置100と比べて、ショットキーバリアダイオード(SBD)40をさらに含む。半導体装置200では、ソース電極32が、下方に向けて延びる突出部32aを含む。突出部32aは、X方向においてp形ベース領域4及びp形コンタクト領域9と並び、これらの半導体領域と接する。また、突出部32aの下部は、n形ドリフト領域1の第2領域1bと接する。第2領域1bと突出部32aにより、SBD40が形成される。
【0069】
ソース電極32は、SBD40の形成のために、チタン、白金、又はバナジウムなどを含む。ソース電極32は、チタンとアルミニウムとの積層膜を含んでも良い。
【0070】
半導体装置200は、SBD40以外に、n形ドリフト領域1とp形ベース領域4からなるPNダイオードを有する。ドレイン電極31に対してソース電極32に正の電圧が印加された際、このPNダイオードに電流が流れると、半導体装置200の特性が変化する。例えば、半導体領域の結晶欠陥が増大し、半導体装置200のオン抵抗が変動する。
【0071】
SBD40は、PNダイオードに比べて、より低いオン電圧を有する。このため、半導体装置200では、ドレイン電極31に対してソース電極32に正の電圧が印加された際、SBD40に電流が流れ、PNダイオードに流れる電流を低減できる。結晶欠陥の増大を抑制し、半導体装置200のオン抵抗の変動を抑制できる。この結果、半導体装置200の信頼性を向上できる。
【0072】
図22及び図23は、第2実施形態に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
例えば図22に示すように、X方向において、導電部20が、ゲート電極10とSBD40との間に設けられている。SBD40は、導電部20同士の間に位置する。この配置によれば、後述する図23に示す構造に比べて、SBD40と、X方向においてそのSBD40と隣り合うゲート電極10と、の間のX方向における距離D1(第1距離)を長くできる。半導体装置200がオン状態のとき、ゲート電極10近傍に電流が流れ、熱が発生する。距離D1を長くすることで、この発熱でSBD40の温度が上昇することを抑制できる。この結果、ショットキー電極(突出部32a)の劣化を抑制できる。
【0073】
図23に示すように、X方向において、ゲート電極10が、導電部20とSBD40との間に設けられても良い。SBD40は、ゲート電極10同士の間に位置する。この配置によれば、前述した図22に示す構造に比べて、SBD40と、X方向においてそのSBD40と隣り合う導電部20と、の間のX方向における距離D2(第2距離)を長くできる。半導体装置200でアバランシェ降伏が生じた際、導電部20近傍に電流が流れ、熱が発生する。距離D2を長くすることで、この発熱でSBD40の温度が上昇することを抑制できる。この結果、ショットキー電極(突出部32a)の劣化を抑制できる。
【0074】
(第3実施形態)
図24は、第3実施形態に係る半導体パッケージの一部を示す平面図である。
第3実施形態に係る半導体パッケージ300は、図24に示すように、半導体装置100、ドレイン端子51(第1端子)、ソース端子52(第2端子)、及びゲート端子53(第3端子)を含む。半導体装置100は、複数のソース電極32と、ゲートパッド33と、を含む。
【0075】
半導体装置100の上面において、複数のソース電極32は、互いに離れて設けられている。ゲートパッド33は、複数のソース電極32から離れている。ゲートパッド33は、複数のソース電極32とは電気的に分離され、ゲート電極10と電気的に接続されている。ゲートパッド33は、さらに、導電部20と電気的に接続されても良い。
【0076】
ドレイン端子51は、搭載部51aを含む。搭載部51aは、X-Y面に沿って広がる板状である。半導体装置100のドレイン電極31は、搭載部51aの上に実装され、ドレイン端子51と電気的に接続されている。ソース端子52は、配線52aにより、ソース電極32と電気的に接続されている。ゲート端子53は、配線53aにより、ゲートパッド33と電気的に接続されている。
【0077】
ドレイン端子51、ソース端子52、及びゲート端子53は、銅、鉄、又はニッケルなどの金属を含む。配線52a及び53aは、銅ワイヤー、アルミリボン、Al-Cuワイヤー、Al-Cuリボンなどであり、ワイヤボンディングにより形成される。配線52a及び53aは、それぞれリードフレームの一部であっても良い。
【0078】
半導体装置100は、第1構造部101及び第2構造部102を含む。第1構造部101では、図8(a)に示したように、単位面積あたりの導電部20の数が、単位面積あたりのゲート電極10の数よりも多い。第2構造部102では、図8(b)に示したように、単位面積あたりのゲート電極10の数が、単位面積あたりの導電部20の数よりも多い。
【0079】
配線52aは、第1構造部101の直上に位置する。換言すると、配線52aの一端は、第1構造部101の直上において、ソース電極32と接する。第1構造部101の直上に位置する配線52aの数は、第2構造部102の直上に位置する配線52aの数よりも多い。配線52aが第1構造部101の直上に位置する場合、配線52aが第2構造部102の直上に位置する場合に比べて、配線52aと第1構造部101との間の電気抵抗を低減できる。
【0080】
第1構造部101では、第2構造部102に比べて、アバランシェ降伏が発生し易い。アバランシェ降伏の発生時に、第1構造部101では多量の電子及び正孔が生成される。第1構造部101の直上に配線52aが位置することで、正孔が配線52aへ流れ易くなる。この結果、アバランシェ降伏による半導体装置100の破壊を抑制でき、半導体パッケージ300の信頼性を高めることができる。また、半導体装置100が第2構造部102を含むことで、第1構造部101を設けることによるオン抵抗の増大を抑制できる。
【0081】
以上で説明した各実施形態及び各実施例に係る構造は、適宜組み合わせ可能である。例えば、図7(a)及び図7(b)に示す第1構造部101及び第2構造部102における断面構造は、半導体装置110~170のいずれかと同様の構造を有していても良い。半導体装置110~140のいずれかにおいて、半導体装置150と同様に、p形半導体領域3が第1部分3a及び第2部分3bを含んでも良い。半導体装置110~150のいずれかにおいて、半導体装置160と同様に、p形接続領域7が設けられても良い。半導体装置110~160のいずれかにおいて、半導体装置170と同様に、p形半導体領域3が第2部分3b~第4部分3dを含んでも良い。半導体装置110~170、180a、又は180bにおいて、半導体装置200と同様にSBD40が設けられても良い。半導体パッケージ300において、半導体装置100に代えて、半導体装置110~170、180a、180b、又は200が設けられても良い。その場合、半導体装置110~170、180a、180b、又は200は、単位面積あたりの導電部20の数が単位面積あたりのゲート電極10の数よりも多い第1構造部101を含む。
【0082】
以上で説明した実施形態について、各半導体領域の間の不純物濃度の相対的な高低については、例えば、走査型静電容量顕微鏡(SCM)を用いて確認することが可能である。なお、各半導体領域におけるキャリア濃度は、各半導体領域において活性化している不純物濃度と等しいとみなすことができる。従って、各半導体領域の間のキャリア濃度の相対的な高低についても、SCMを用いて確認することができる。各半導体領域における不純物濃度については、二次イオン質量分析法(SIMS)により測定することが可能である。
【0083】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0084】
1:n形ドリフト領域、 1a:第1領域、 1b:第2領域、 2:p形半導体領域、 2a,2b:部分、 3:p形半導体領域、 3a:第1部分、 3b:第2部分、 3c:第3部分、 3d:第4部分、 4:p形ベース領域、 5:n形ソース領域、 6:n形半導体領域、 7:p形接続領域、 8:n形ドレイン領域、 9:p形コンタクト領域、 10:ゲート電極、 11:ゲート絶縁層、 20:導電部、 31:ドレイン電極、 32:ソース電極、 32a:突出部、 33:ゲートパッド、 40:ショットキーバリアダイオード、 51:ドレイン端子、 51a:搭載部、 52:ソース端子、 52a:配線、 53:ゲート端子、 53a:配線、 100,100r:半導体装置、 101:第1構造部、 102:第2構造部、 110~170,180a、180b,200:半導体装置、 300:半導体パッケージ、 A:矢印、 T1,T2:トレンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24