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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130819
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】X線検査装置及び物品処理システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20230913BHJP
   G01G 9/00 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/04 340
G01G9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035330
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】杉本 一幸
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 桃子
(72)【発明者】
【氏名】坂上 能章
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001HA07
2G001HA13
2G001JA09
2G001KA01
2G001PA11
(57)【要約】
【課題】搬送路において搬送される原材料の量が適切であるか否かの情報を作業者に提供することができる。
【解決手段】X線検査装置1は、物品Gを搬送する搬送部5と、搬送部5によって搬送される物品GにX線を照射するX線照射部6と、物品Gを透過したX線を検出するX線検出部7と、X線検出部7による検出結果に基づいてX線透過画像を生成する画像生成部10Aと、X線透過画像に基づいて、搬送部5によって所定時間あたりに搬送される物品Gの総量を算出する算出部10Cと、を備える。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記物品にX線を照射するX線照射部と、
前記物品を透過した前記X線を検出するX線検出部と、
前記X線検出部による検出結果に基づいてX線透過画像を生成する画像生成部と、
前記X線透過画像に基づいて、前記搬送部によって所定時間あたりに搬送される物品の総量を算出する算出部と、を備える、X線検査装置。
【請求項2】
前記総量を表示する表示部を更に備え、
前記算出部は、予め記憶された第一上限値及び第一下限値を範囲とする第一所定範囲から前記総量が外れたときに、前記表示部に警告表示をさせる、請求項1記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記算出部は、予め記憶された前記第一上限値よりも値が大きな第二上限値及び前記第一下限値よりも値が小さな第二下限値を範囲とする第二所定範囲から前記総量が外れたときに、前記X線検査装置の上流及び/又は下流に設けられ、前記物品に処理を施す物品処理装置にエラー処理を実行させる、請求項2記載のX線検査装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載のX線検査装置と、
前記X線検査装置に前記物品を供給する物品処理装置の一つとしての物品供給装置と、を備え、
前記算出部は、前記第一所定範囲から前記総量が外れたときに、前記物品供給装置に予め設定されている物品供給量を変更するように制御する、物品処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、X線検査装置及び物品処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数の物品処理装置からなる商品の製造ラインが記載されている。このような商品を製造する製造ラインにおいては、袋詰めされる前の段階、又は加工される前の段階である原材料等を搬送する搬送路が設けられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-38170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような製造ラインでは、想定量よりも多くの量の原材料を搬送すると、原材料の重なりが多くなって下流工程における検査装置での検査精度が低下したり、原材料が処理能力を超えて適正な加工ができなかったりするといった問題が発生する。一方、想定量よりも少ない量の原材料を搬送すると、製造能力が低下するという問題が発生する。このため、製造ラインを管理する作業者は、搬送路に流れる原材料の量を適切に調整したいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明の一側面の目的は、搬送路において搬送される原材料の量が適切であるか否かの情報を作業者に提供することができる、X線検査装置及び物品処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るX線検査装置は、物品を搬送する搬送部と、記搬送部によって搬送される物品にX線を照射するX線照射部と、物品を透過したX線を検出するX線検出部と、X線検出部による検出結果に基づいてX線透過画像を生成する画像生成部と、X線透過画像に基づいて、搬送部によって所定時間あたりに搬送される物品の総量を算出する算出部と、を備える。
【0007】
この構成では、搬送部によって所定時間あたりに搬送される物品の総量がX線透過画像に基づいて算出される。すなわち、X線検査装置は、X線検査装置から下流工程に搬送される原材料の量(言い換えれば、上流工程からX線検査装置に供給される原材料の量)が適切であるか否かの情報を作業者に提供することができる。この結果、算出された総量を取得した作業者は、例えば、搬送量が適切となるように上流工程の物品処理装置を調整することが可能となる。
【0008】
本発明の一側面にX線検査装置は、総量を表示する表示部を更に備え、算出部は、予め記憶された第一上限値及び第一下限値を範囲とする第一所定範囲から上記総量が外れたときに、表示部に警告表示をさせてもよい。この構成では、搬送される原材料の量が適切でないことを作業者に対して明示的に示すことができる。
【0009】
本発明の一側面に係るX線検査装置では、算出部は、予め記憶された第一上限値よりも値が大きな第二上限値及び第一下限値よりも値が小さな第二下限値を範囲とする第二所定範囲から総量が外れたときに、X線検査装置の上流及び/又は下流に設けられ、物品に処理を施す物品処理装置にエラー処理を実行させてもよい。この構成では、作業者が算出部によって算出される総量を取得して、物品処理装置に対して何らかの対処を実行しなくても、自動的に必要な処理が実行される。これにより、作業者の負担を軽減することができる。
【0010】
本発明の一側面に係る物品処理システムでは、上記のX線検査装置と、X線検査装置に物品を供給する物品処理装置の一つとしての物品供給装置と、を備え、算出部は、第一所定範囲から総量が外れたときに、物品供給装置に予め設定されている物品供給量を変更するように制御してもよい。この構成では、作業者が算出部によって算出される総量を取得して、物品処理装置に対して何らかの対処を実行しなくても、物品処理システムを構成する物品処理装置において自動的に必要な処理が実行される。これにより、作業者の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面によれば、搬送路において搬送される原材料の量が適切であるか否かの情報を作業者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係るX線検査装置の構成図である。
図2図2は、図1に示されるシールドボックスの内部の構成図である。
図3図3は、X線検査装置の機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、表示操作部に表示される検査結果画面の一例である。
図5図5は、単位時間あたりに搬送される物品の総量を算出する方法を説明する図である。
図6図6は、変形例1に係る物品処理システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1に示されるように、X線検査装置1は、装置本体2と、支持脚3と、シールドボックス4と、搬送部5と、X線照射部6と、X線検出部7と、表示操作部8と、制御部10と、を備える。X線検査装置1は、物品Gを搬送しつつ物品GのX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に基づいて物品Gの検査(例えば、収納数検査、異物検査、欠品検査、割れ欠け検査等)を行う。
【0015】
検査前の物品Gは、搬入コンベア51によってX線検査装置1に搬入される。搬入コンベア51の搬送速度は、上流側に接続される物品処理装置の搬送速度と略一致する。検査後の物品Gは、搬出コンベア52によってX線検査装置1から搬出される。搬出コンベア52の搬送速度は、下流側に接続される物品処理装置の搬送速度と略一致する。X線検査装置1によって不良品と判定された物品Gは、搬出コンベア52の下流に配置された振分装置20によって生産ライン外に振り分けられる。X線検査装置1によって良品と判定された物品Gは、当該振分装置20をそのまま通過する。
【0016】
振分装置20は、X線検査装置1による検査で不良品と判定された物品Gを搬送路上から排除する装置である。振分装置の例には、アームを用いたアーム式振分装置、ドロップアップベルト式振分装置、プッシャ装置を用いたプッシャ式振分装置、ドロップフラップ式振分装置、エアジェット式振分装置、及びフィン式振分装置等が含まれる。
【0017】
物品Gは、一定の大きさ、形状、厚みを有しておらず(言い換えれば一定の重量を有していない)、いわゆるばら製品である。ばら製品の例には、ナッツ、ドライフルーツ、乾燥具材、米菓等のドライ品、及び、ミンチ肉、肉、水産物、冷凍食品、農産物等のウェット品が含まれる。このようなばら製品が搬送部5によって搬送される場合には、物品G同士が互いに重複する部分があったり、隣り合う物品G同士に隙間が形成される部分があったりする。
【0018】
装置本体2は、制御部10等を収容している。支持脚3は、装置本体2を支持している。シールドボックス4は、装置本体2に設けられている。シールドボックス4は、外部へのX線(電磁波)の漏洩を防止する。シールドボックス4の内部には、X線による物品Gの検査が実施される検査領域Rが設けられている。シールドボックス4には、搬入口4a及び搬出口4bが形成されている。検査前の物品Gは、搬入コンベア51から搬入口4aを介して検査領域Rに搬入される。検査後の物品Gは、検査領域Rから搬出口4bを介して搬出コンベア52に搬出される。搬入口4a及び搬出口4bのそれぞれには、X線の漏洩を防止するX線遮蔽カーテン(図示省略)が設けられている。
【0019】
搬送部5は、物品Gを搬送する部材であり、シールドボックス4の中央を貫通するように配置されている。搬送部5は、搬入口4aから検査領域Rを介して搬出口4bまで、搬送方向Aに沿って物品Gを搬送する。搬送部5は、例えば、搬入口4aと搬出口4bとの間に掛け渡されたベルトコンベアである。なお、ベルトコンベアである搬送部5は、搬入口4a及び搬出口4bよりも外側に突出していてもよい。搬送部5の搬送速度は、搬入コンベア51及び搬出コンベア52と略一致する。
【0020】
図1及び図2に示されるように、X線照射部6は、シールドボックス4内に配置されている電磁波照射部(X線源)である。X線照射部6は、例えば、X線を出射するX線管と、X線管から出射されたX線を搬送方向Aに垂直な面内において扇状に広げる絞り部と、を有している。X線照射部6から照射されるX線には、低エネルギー(長波長)から高エネルギー(短波長)までの様々なエネルギー帯のX線が含まれていてもよい。
【0021】
X線検出部7は、電磁波を検出するセンサ部材である。X線検出部7は、シールドボックス4内であって、上下方向においてX線照射部6に対向する位置に配置される。X線検出部7は、特定のエネルギー帯のX線を検出可能でもよいし、フォトンカウンティング方式でX線を検出可能でもよい。X線検出部7は、直接変換型検出部でもよいし、間接変換型検出部でもよい。当該センサは、例えば、少なくとも搬送部5の搬送方向及び上下方向に直交する方向(幅方向)に並べられる。当該素子は、上記幅方向だけでなく、上記搬送方向にも並べられてもよい。すなわち、X線検出部7は、ラインセンサであってもよいし、二次元的に配置されるセンサ群であってもよい。上記センサは、例えば、CdTe半導体検出器などの光子検出型センサである。
【0022】
図1に示されるように、表示操作部8は、装置本体2に設けられている。表示操作部8は、各種情報を表示すると共に、外部から各種条件の入力操作を受け付ける。表示操作部8は、例えば、液晶ディスプレイであり、タッチパネルとしての操作画面を表示する。この場合、オペレータは、表示操作部8を介して各種条件を入力することができる。
【0023】
制御部10は、装置本体2内に配置されている。制御部10は、X線検査装置1の各部(本実施形態では、搬送部5、X線照射部6、X線検出部7及び表示操作部8、並びに、X線検査装置1の下流に配置される振分装置20)の動作を制御する。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ及びSSD(Solid State Drive)等のストレージを備える。ROMには、X線検査装置1を制御するためのプログラムが記録されている。図3に示されるように、制御部10は、画像生成部10Aと、検査部10Bと、算出部10Cと、を有している。制御部10において、画像生成部10A、検査部10B及び算出部10Cは、ソフトウェアとして構成される。ただし、これらの各部がハードウェアとして構成されてもよい。
【0024】
画像生成部10Aは、X線検出部7から出力されてA/D変換された信号が入力される。検査部10Bは、当該信号に基づいて物品GのX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に基づいて物品Gの検査を行う。検査部10Bは、検査領域Rに搬入されてくる物品Gに異物が含まれているか否かを検査する。本実施形態のように、ばら製品の物品Gを検査する場合、検査部10Bは、所定の搬送領域ごと、例えば1秒間に搬送される物品群について、繰り返し検査を実行する。言い換えれば、検査部10Bは、搬送方向に所定長さのX線透過画像単位で検査を実行する。検査部10Bは、例えば、図4に示されるような検査結果画面80を表示操作部8に表示させる。検査結果画面80は、例えば、検出された異物の位置を表示する異物表示部81と、OK又はNGといった検査結果が表示される結果表示部83と、を有する。
【0025】
算出部10Cは、X線透過画像に基づいて、搬送部5によって単位時間あたりに搬送される物品Gの総量を算出する。言い換えれば、算出部10Cは、X線検査装置1を通過する単位時間当たりの物品Gの総量を算出する。総量の例は、例えば重量(質量)であり、下記に詳述する方法によって算出することができる。また、総量は、物品Gの重量と密度とに基づいて算出できる体積(容量)であってもよい。
【0026】
算出部10Cは、上述のとおり生成された物品GのX線透過画像から、物品Gが存在する物品領域を判別する。算出部10Cは、上記物品領域に対して画像処理を施すことにより、各物品領域における物品Gの重量を推定する。当該重量推定処理は、X線透過画像上においてはX線の照射方向に厚みのある物質ほど暗く写るという性質を利用し、以下の原理に基づいて行われる。
【0027】
X線透過画像上の厚さtの物質を写す画素の明るさIは、物質の存在しない領域に含まれる画素の明るさをIとした場合、以下の式(1)によって表される。
I/I=e-μt ・・・(1)
ここで、μは、X線のエネルギーと物質の種類とに応じて定まる線吸収係数である。式(1)を物質の厚さtについて解くと、以下の式(2)のようになる。
t=-1/μ×ln(I/I) ・・・(2)
【0028】
また、物品Gの微小部位の重量は、当該微小部位の厚さに比例する。したがって、明るさIの画素の写す物品Gの微小部位の重量mは、適当な定数αを用いて、以下の式(3)によって近似的に算出される。
m=-αln(I/I) ・・・(3)
算出部10Cは、物品Gを構成する全ての画素(物品領域)に対応する重量mを算出して足し合わせることにより、物品G全体の重量を推定する。
【0029】
次に、上述したような重量推定の方法を用いて、搬送部5によって単位時間あたりに搬送される物品Gの総量(例えば、重量又は体積)の算出方法について説明する。上述したように、X線検査装置1は、上述したとおり、所定の搬送領域ごと、例えば1秒間に搬送される物品群ごとに繰り返し検査を実行しているが、これに加えて、例えば1秒間に搬送される物品群ごとに繰り返し重量を推定している。
【0030】
図5は、検査領域Rに搬送されてくる物品Gを1秒ごとに連続して取得したX線透過画像である。図5に示される一つの画像U(U1、U2、・・・、UN)は、1秒間に搬送される物品群の画像(以下、単位画像Uとも称する。)である。算出部10Cは、6個の単位画像Uのそれぞれから得られる重量推定値を加算し、6秒間に搬送される物品Gの重量推定値(すなわち、6秒間に搬送される物品Gの総量)を算出する。そして、算出部10Cは、6秒間に搬送される物品Gの重量推定値を10倍して、搬送部5によって搬送される1分間あたりの物品Gの重量(すなわち、単位時間あたりに搬送される物品Gの総量)を算出する。
【0031】
より詳細には、算出部10Cは、所定の単位画像Uを取得したときを基準として5秒前までに取得された5枚のX線透過画像に基づいて、1分間あたりに搬送される物品Gの総量を算出する。例えば、単位画像U6を取得したときには、単位画像U6と単位画像U1~U5との6つの単位画像Uに基づいて、1分間あたりに搬送される物品Gの総量を算出する。同様に、単位画像U7を取得したときには、単位画像U7と単位画像U2~U6との6つの単位画像Uに基づいて、1分間あたりに搬送される物品Gの総量を算出する。
【0032】
算出部10Cは、このように算出された1分間あたりに搬送される物品Gの総量を、図4に示される検査結果画面80の表示領域85に表示する。表示領域85に表示される1分間あたりに搬送される物品Gの総量は、1秒ごとに切り替わる。また、算出部10Cは、表示領域85に表示される1分間あたりに搬送される物品Gの総量の表示に加えて又は代えて、上記のように算出した総量に対応付けて記憶されている過量又は少量の文字を表示してもよい。算出部10Cは、算出された1分間あたりに搬送される物品Gの総量が、予め記憶された第一上限値及び第一下限値を範囲とする第一所定範囲から外れたときに、表示操作部8における検査結果画面80に警告表示をさせる。なお、算出部10Cは、警告表示に加えて又は代えて、警告音を出力してもよい。
【0033】
算出部10Cは、算出された1分間あたりの物品Gの総量が、予め記憶された第一上限値よりも値が大きな第二上限値及び第一下限値よりも値が小さな第二下限値を範囲とする第二所定範囲から外れたときに、X線検査装置1の上流及び/又は下流に設けられ、物品Gに処理を施す物品処理装置にエラー処理を実行させる。エラー処理の例は、例えば、上流側及び/又は下流側に設けられる物品処理装置に、物品Gの供給量が過量又は少量であることを表示させたり、上流側に設けられる物品処理装置に、物品Gの供給を停止させたり、供給量を変更する処理が含まれる。
【0034】
上記実施形態のX線検査装置1における作用効果について説明する。上記実施形態のX線検査装置1では、搬送部5によって所定時間あたりに搬送される物品Gの総量がX線透過画像に基づいて算出される。X線検査装置1は、X線検査装置1から下流工程に搬送される原材料の量(言い換えれば、上流工程からX線検査装置1に供給される原材料の量)が適切であるか否かの情報を作業者に表示操作部8を介して提供することができる。この結果、算出された総量を取得した作業者は、例えば、供給量が適切となるように上流工程の物品処理装置を調整することが可能となる。また、作業者が上記供給量を適切に調整することによって、例えば、振分装置20では、供給量が多いと振分けが間に合わなくなったり、より多くの物品がまとめて排除されたりすることを抑制できる。これにより、振分装置20の振分精度(不良品を不良品として正しく振り分ける確率)を高めることが可能となる。
【0035】
上記実施形態のX線検査装置1では、算出部10Cは、予め記憶された第一上限値及び第一下限値を範囲とする第一所定範囲から上記総量が外れたときに、表示操作部8に警告表示をさせている。これにより、搬送される原材料の量が適切でないことを作業者に対して明示的に示すことができる。
【0036】
上記実施形態のX線検査装置1では、算出部10Cは、予め記憶された第一上限値よりも値が大きな第二上限値及び第一下限値よりも値が小さな第二下限値を範囲とする第二所定範囲から上記総量が外れたときに、X線検査装置1の上流及び/又は下流に設けられる物品処理装置にエラー処理を実行させている。この構成では、作業者が算出部10Cによって算出される総量を取得して、物品処理装置に対して何らかの対処を実行しなくても、自動的に必要な処理が実行される。これにより、作業者の負担を軽減することができる。
【0037】
以上、一実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0038】
(変形例1)
以下、本発明の変形例1について説明する。図6に示されるように、本発明の変形例1は、例えば、冷凍食品の製造ラインにおいて用いられる、上記のX線検査装置1と、X線検査装置1の上流側に設けられる第一物品処理装置(物品供給装置)60と、X線検査装置1の下流側に設けられる第二物品処理装置70と、第一物品処理装置60とX線検査装置1との間に設けられる搬送装置55Aと、X線検査装置1と第二物品処理装置70との間に設けられる搬送装置55Bと、を備える物品処理システム100として構成することができる。
【0039】
第一物品処理装置60の例は、食品加工装置である。例えば、冷凍食品の冷凍前の食品となる物品Gを製造し、下流工程に供給する。第二物品処理装置70の例は、冷凍処理装置である。第二物品処理装置70は、上流工程から搬送されてくる物品Gを冷凍処理する。第二物品処理装置70の下流側には、図示はしないが各種検査装置、包装装置、箱詰め装置等が配置されている。このような物品処理システム100においてX線検査装置1は、上流工程の第一物品処理装置60から搬送(供給)されてくる物品Gの異物の有無を検査すると共に、第一物品処理装置60から供給される物品Gの総量を算出する。なお、X線検査装置1における異物検査と、総量の算出方法とについては、上記実施形態と同じであるのでここでの説明は省略する。
【0040】
X線検査装置1と、第一物品処理装置60と、第二物品処理装置70とは、有線又は無線等のネットワークNを介して互いに通信可能に設けられている。X線検査装置1の算出部10Cは、算出した1分間あたりの物品Gの総量が、予め記憶された第一上限値及び第一下限値を範囲とする第一所定範囲から外れたときと、予め記憶された第一上限値よりも値が大きな第二上限値及び第一下限値よりも値が小さな第二下限値を範囲とする第二所定範囲から外れたときとにおいて、第一物品処理装置60及び第二物品処理装置70にエラー処理を実行させる。
【0041】
具体的には、算出部10Cは、算出した1分間あたりの物品Gの総量が第一所定範囲から外れたときに、ネットワークNで接続された第一物品処理装置60の制御部62を介して、第一物品処理装置60に設けられた異常灯61を点灯させ、算出した1分間あたりの物品Gの総量が第二所定範囲から外れたときに、ネットワークNで接続された第一物品処理装置60の制御部62を介して、第一物品処理装置60に予め設定されている冷凍前の食品となる物品Gの供給量を変更するように制御する。なお、算出部10Cは、上述したような第二所定範囲から外れたときの制御は実行しなくてもよい。算出部10Cは、当該変形例1においても、算出した1分間あたりの物品Gの総量が第一所定範囲から外れたときは、表示操作部8における検査結果画面80に警告表示をさせる。
【0042】
また、算出部10Cは、算出した1分間あたりの物品Gの総量が第一所定範囲から外れたときに、ネットワークNで接続された第二物品処理装置70の制御部72を介して、第二物品処理装置70に設けられた異常灯71を点灯させ、算出した1分間あたりの物品Gの総量が第二所定範囲から外れたときに、ネットワークNで接続された第二物品処理装置70の制御部72を介して、第二物品処理装置70の稼働を停止させる。なお、算出部10Cは、上述したような第二所定範囲から外れたときの制御は実行しなくてもよい。
【0043】
このような変形例1に係る構成では、作業者が算出部10Cによって算出される総量を取得して、第一物品処理装置60及び第二物品処理装置70に対して何らかの対処を実行しなくても、物品処理システム100を構成する第一物品処理装置60及び第二物品処理装置70において自動的に必要な処理が実行される。これにより、作業者の負担を軽減することができる。
【0044】
また、上記のとおり、算出部10Cによって第一物品処理装置60が制御されることによって、X線検査装置1に検査に適した総量の物品Gが供給されるようになるのでX線検査装置1における検査精度が向上する。また、第二物品処理装置70には、冷凍処理に適した総量の物品Gが供給されるようになるので、冷凍不良となる物品Gが少なくなり歩留まり率が向上する。
【0045】
なお、上記変形例1の更なる変形として、算出部10Cは、算出した1分間あたりの物品Gの総量が第一所定範囲から外れたときに、ネットワークNで接続された第一物品処理装置60の制御部62を介して、第一物品処理装置60に予め設定されている冷凍前の食品となる物品Gの供給量を変更するように制御し、ネットワークNで接続された第二物品処理装置70の制御部72を介して、第二物品処理装置70の稼働を停止させてもよい。
【0046】
(その他の変形例)
上記変形例1では、X線検査装置1の下流側に配置され、X線検査装置1の算出部10Cと接続される第二物品処理装置70として冷凍処理装置を例に挙げて説明したが、例えば、組合せ計量装置、各種検査装置等であってもよい。この場合であっても、算出部10Cは、算出した1分間あたりの物品Gの総量が上記の第一所定範囲又は第二所定範囲から外れたときは、組合せ計量装置又は各種検査装置等を適宜制御してもよい。
【0047】
上記変形例の第一物品処理装置60に代えて、第一物品処理装置60が配置される領域に人が作業する第一領域を設け、第二物品処理装置70が配置される領域に人が作業する第二領域を設けてもよい。この場合には、作業者は、X線検査装置1によって検査される物品Gの検査結果を監視しつつ、X線検査装置1の表示操作部8に表示される物品Gの総量を監視することによって、第二領域への供給量が適切な総量となるように、第一領域の人員を配置することができる。
【0048】
上記実施形態及び変形例では、X線検査装置1の算出部10Cが第一物品処理装置60及び/又は第二物品処理装置70を制御する例を挙げて説明したが、X線検査装置1とは別体として構成される制御装置が第一物品処理装置60及び/又は第二物品処理装置70を制御してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…X線検査装置、2…装置本体、5…搬送部、6…X線照射部、7…X線検出部、8…表示操作部、10…制御部、10A…画像生成部、10B…検査部、10C…算出部、60…第一物品処理装置、70…第二物品処理装置、80…検査結果画面、85…表示領域、100…物品処理システム、G…物品、U…単位画像。
図1
図2
図3
図4
図5
図6