(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130823
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】寝具調整具
(51)【国際特許分類】
A47C 31/00 20060101AFI20230913BHJP
A47C 27/00 20060101ALI20230913BHJP
A47G 9/10 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
A47C31/00
A47C27/00 E
A47C27/00 Z
A47G9/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035338
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】茂木 秀暁
(72)【発明者】
【氏名】斗谷 美幸
【テーマコード(参考)】
3B096
3B102
【Fターム(参考)】
3B096AC11
3B102AA07
3B102AB07
3B102AB08
3B102AC01
(57)【要約】
【課題】位置ずれを抑制でき、寝具の高さ及び柔らかさを容易に且つ部分的に調整できる寝具調整具を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る寝具調整具は、載置面Sに載置されるマットレス10に取り付けられる寝具調整具1である。マットレス10は、使用者の身体が載せられる表面10aと表面10aの裏側に位置する裏面とを有する。寝具調整具1は、表面10aに配置され、長手方向D1に延びるマット部2と、マット部2における長手方向D1の両端部に接続されるベルト部3とを備える。マット部2が表面10aに配置された状態において、ベルト部3は、載置面Sとマットレス10の裏面との間に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に載置される寝具に取り付けられる寝具調整具であって、
前記寝具は、使用者の身体が載せられる表面と前記表面の裏側に位置する裏面とを有し、
前記表面に配置され、一方向に延びるマット部と、
前記マット部における前記一方向の両端部に接続されるベルト部と、を備え、
前記マット部が前記表面に配置された状態において、前記ベルト部は、前記載置面及び前記裏面の間に配置される、
寝具調整具。
【請求項2】
前記ベルト部は、前記マット部における前記一方向の両端部から前記一方向に延びる一対の帯状部材であり、
一対の前記帯状部材の少なくともいずれかは、一方の前記帯状部材を他方の前記帯状部材に対して着脱可能とする固定部材を有し、
一対の前記帯状部材は、前記固定部材を介して互いに固定される、
請求項1記載の寝具調整具。
【請求項3】
前記固定部材は、一対の前記帯状部材のうちの一方に設けられた第1固定部材、及び一対の前記帯状部材のうちの他方に設けられた第2固定部材を含んでおり、
前記第1固定部材における前記一方向の長さは、前記第2固定部材における前記一方向の長さよりも長い、
請求項2記載の寝具調整具。
【請求項4】
前記第1固定部材は、面ファスナのループであり、
前記第2固定部材は、前記ループに係止する面ファスナのフックであり、
前記ループにおける前記一方向の長さは、前記フックにおける前記一方向の長さよりも長い、
請求項3記載の寝具調整具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、寝具調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001-169887号公報には、高さを調節可能な枕が記載されている。この枕では、枕の本体の上部に、高さ調節用のシート体が必要枚数だけ重ねられ、その上部が被覆体によって覆われている。被覆体は、長方形状を呈する。被覆体は枕の本体に巻き付けられるように当該本体に装着され、当該本体に巻き付けられた状態で当該本体に接合される。被覆体の一辺、及び本体の下面のそれぞれには、面ファスナーが配置されている。被覆体は、本体に巻き付けられた状態で当該面ファスナーを介して本体に接合される。このように、1枚又は複数枚のシート体が載せられた本体に被覆体が巻き付けられることにより、枕の高さが調節される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した枕では、シート体が寝具(枕)の本体の上面に載置されるため、寝具の使用中にシート体の位置がずれる可能性がある。また、使用者の身体が載せられる寝具では、寝具の高さ及び柔らかさを容易に調整できることが求められる。しかしながら、この寝具では、複数のシート体が重ねられ、更に被覆体が本体に巻き付けられることによって高さが調整される。よって、このような調整を行う場合には、被覆体を本体から剥がして本体又はシート体の上部を露出させた状態でシート体の枚数を調整する必要があり、寝具の高さを調整する作業が面倒である。さらに、この寝具では、寝具の全体に亘って載せられるシート体の枚数を調整することで高さが調整されるため、寝具の高さ及び柔らかさを部分的に調整することが難しい。
【0005】
本開示は、位置ずれを抑制でき、寝具の高さ及び柔らかさを容易に且つ部分的に調整できる寝具調整具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る寝具調整具は、載置面に載置される寝具に取り付けられる寝具調整具である。寝具は、使用者の身体が載せられる表面と表面の裏側に位置する裏面とを有する。寝具調整具は、当該表面に配置され、一方向に延びるマット部と、マット部における一方向の両端部に接続されるベルト部とを備える。マット部が表面に配置された状態において、ベルト部は、載置面及び裏面の間に配置される。
【0007】
本開示に係る寝具調整具では、ベルト部は、寝具が載置される載置面及び裏面の間に配置される。これにより、ベルト部が載置面及び裏面の間に挟まれることで固定されるため、寝具調整具の位置ずれを抑制できる。また、この寝具調整具では、マット部が寝具の表面に配置された状態において、ベルト部が載置面と寝具の裏面との間に配置されることにより寝具調整具が寝具に取り付けられる。よって、寝具に対する寝具調整具の着脱を容易に行うことができる。寝具の表面にマット部が配置された状態でベルト部が当該載置面と寝具の裏面との間に配置されることにより、寝具の表面に沿ってマット部を移動させると共に寝具の裏面に沿ってベルト部を移動させることが可能となる。従って、高さ及び柔らかさを調整したい部分にマット部を容易に移動できるので、寝具の高さ及び柔らかさを容易に且つ部分的に調整できる。マット部が寝具の表面に載せられた状態でベルト部が載置面と裏面との間に配置されるので、ベルト部が載置面と裏面との間に挟み込まれることによりベルト部の意図しない移動を抑制できる。従って、寝具調整具の位置ずれを抑制することができる。
【0008】
ベルト部は、マット部における一方向の両端部から一方向に延びる一対の帯状部材であってもよい。一対の帯状部材の少なくともいずれかは、一方の帯状部材を他方の帯状部材に対して着脱可能とする固定部材を有してもよい。一対の帯状部材は、固定部材を介して互いに固定されてもよい。この場合、マット部における一方向の両端部からベルト部である一対の帯状部材が延びており、少なくとも1つの帯状部材が寝具の載置面と寝具の裏面との間に配置される。そして、少なくとも1つの帯状部材が寝具の裏面の一端から他端まで延びた状態となる。従って、一対の帯状部材に寝具が巻き付けられた状態となるため、ベルト部の意図しない移動をより確実に抑制できる。マット部の一方向の両端部から延びる一対の帯状部材が固定部材を介して互いに着脱可能に固定される。この固定部材によって、寝具に対する一対の帯状部材の固定をより強固に行えると共に、固定部材を外して寝具の所望の箇所にマット部を容易に移動させることができる。
【0009】
固定部材は、一対の帯状部材のうちの一方に設けられた第1固定部材、及び一対の帯状部材のうちの他方に設けられた第2固定部材を含んでおり、第1固定部材における一方向の長さは、第2固定部材における一方向の長さよりも長くてもよい。この場合、第1固定部材に対する第2固定部材の固定位置を当該一方向に沿って変更できる。これにより、寝具に巻き付けられる一対の帯状部材の長さを自在に変更できるので、多様なサイズの寝具に対して寝具調整具を取り付けることが可能となる。
【0010】
第1固定部材は、面ファスナのループであり、第2固定部材は、ループに係止する面ファスナのフックであってもよい。ループにおける一方向の長さは、フックにおける一方向の長さよりも長くてもよい。この場合、一方向の長さがより長いループに対して当該一方向の位置を調整してフックを接触させることで第1固定部材に第2固定部材を固定できる。よって、面ファスナ以外の固定手段と比較して、一対の帯状部材の着脱を一層容易に行うことができる。また、面ファスナのフックはループと比較して肌触りがよくない。しかし、フックよりループの方が長い場合には、ループにフックを接合したときにフックの全体を隠すことが可能となる。よって、肌触りが良好な状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、位置ずれを抑制でき、寝具の高さ及び柔らかさを容易に且つ部分的に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る寝具調整具を示す模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された寝具調整具の面ファスナを示す平面図である。
【
図3】
図3は、寝具調整具が取り付けられたマットレスの表面を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、寝具調整具が取り付けられたマットレスの裏面を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、丸められた状態の寝具調整具を示す斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、評価試験における最大体圧の結果を示すグラフであり、
図6(b)は、評価試験における平均体圧の結果を示すグラフである。
【
図7】
図7(a)は、評価試験における接地面積の結果を示すグラフであり、
図7(b)は、評価試験における沈み込み量の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る寝具調整具の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0014】
まず、本開示に係る寝具調整具が取り付けられる寝具について説明する。「寝具」とは、使用者が身体を休めたり睡眠をとったりするときに使用者の身体が当てられるものを示している。「寝具」は、典型的には、マットレス及び敷き布団等の敷き寝具、クッション、ベッドパッド、座布団又は枕である。「寝具」は、載置面に載置されて用いられる。「載置面」は、寝具が置かれる(載置される)面である。一例として、「載置面」は床面である。「寝具」は、使用者の身体が載せられる表面と、表面の裏側に位置する裏面とを有する。つまり、「寝具」は載置面に当該裏面が接するように載置面に載置されると共に、寝具の表面に使用者の身体が載せられる。
【0015】
「使用者」は、自らの身体を寝具に接触させて寝具を使用する者である。「使用者」は、例えば、寝具が敷き寝具である場合には、寝具に自らの身体を載せる者である。この場合、具体例として、「使用者」は、購入した寝具の上に横たわる者、又は購入のために寝具の上に横たわる者である。本実施形態では、寝具調整具を寝具に取り付けることで寝具の高さ及び柔らかさを調整する作業が作業者によって行われる。「作業者」とは、例えば、寝具に寝具調整具を取り付ける者である。「作業者」は、典型的には、使用者、寝具を購入した者、又は寝具を販売する者である。
【0016】
[寝具調整具の構成]
図1は、一実施形態に係る寝具調整具1を示す模式的な平面図である。寝具調整具1は、載置面に載置される寝具に取り付けられることで、寝具の高さ及び柔らかさを部分的に調整するためのものである。
図1に示されるように、寝具調整具1は、一方向(
図1では左右方向)に延びる形状を呈する。寝具調整具1は、マット部2と、ベルト部3とを備える。
【0017】
マット部2には、使用者の身体の一部が載せられる。マット部2は、寝具の表面に配置され、寝具の高さ及び柔らかさを調整するための部分である。本実施形態では、マット部2は、一方向に延びる長辺を有する長方形状を呈する。例えば、マット部2は、扁平状を呈する。マット部2は、長辺2a,2bと、短辺2c,2dとを有する。以下では、マット部2における長辺2a,2bが延びる方向を長手方向D1と称し、マット部2における短辺2c,2dが延びる方向を短手方向D2と称する。本実施形態では、マット部2の長手方向D1は、寝具調整具1が延びる方向である「一方向」と一致する。
【0018】
マット部2は、例えば、袋体(側地)にクッション材が収容されて構成されている。当該袋体は、例えば、布製である。当該クッション材は、例えば、高反発ウレタン、低反発ウレタン、ファイバー状網状体、ハニカム、ラテックス、固綿、プロファイルウレタン、ビーズ、パイプ、そば殻、低反発チップ、又はポリエステル綿である。また、当該クッション材は、これらの材料のうち複数の材料を組み合わせることで構成されてもよい。当該袋体及び当該クッション材の種類は、適宜変更可能である。
【0019】
例えば、寝具調整具1が取り付けられる寝具が平面視において長方形状を呈する場合、マット部2の長手方向D1の長さは、寝具の短手方向の長さと同一であってもよい。しかし、マット部2の長手方向D1の長さは、寝具の短手方向の長さより長くてもよいし、寝具の短手方向の長さより短くてもよい。マット部2の長手方向D1の長さが寝具の短手方向の長さ以上である場合、マット部2によって寝具の短手方向の全体を覆うことが可能となる。
【0020】
マット部2の長手方向D1の長さは、例えば、20cm以上且つ200cm以下である。また、マット部2の短手方向D2の長さは、例えば、10cm以上且つ70cm以下である。マット部2の厚さ(長手方向D1及び短手方向D2の双方に直交する方向の長さ)は、例えば、0.5cm以上且つ3cm以下である。
【0021】
以上、マット部2の素材及び寸法の例について説明した。しかし、マット部2の素材及び寸法は上記の各例に限定されない。例えば、柔らかさ(硬さ)が互いに異なるマット部2を有する複数種類の寝具調整具1が用意されてもよい。また、寸法(平面視における面積又は厚さ)が互いに異なるマット部2を有する複数種類の寝具調整具1が用意されてもよい。このように、マット部2の種類が互いに異なる複数の寝具調整具1が選択可能であってもよい。この場合、使用者の好み又は身体の性状等に応じて所望の寝具調整具1を選択することが可能となる。
【0022】
ベルト部3は、寝具調整具1を寝具に取り付けるための部分である。例えば、ベルト部3は使用者の身体が載せられない部分である。ベルト部3は、マット部2の長手方向D1の両端部に接続される。本実施形態では、ベルト部3は、マット部2の長手方向D1の両端部から長手方向D1に延びる帯状部材4,5である。帯状部材4,5のそれぞれは、扁平状を呈する。また、帯状部材4,5のそれぞれは、等脚台形状を呈する。帯状部材4,5のそれぞれの短手方向D2の長さは、マット部2から離れるに従って短くなっている。
【0023】
帯状部材4は、下底辺4aと、下底辺4aより短い上底辺4bとを有する。例えば、下底辺4aは上底辺4bに対して略平行に延在している。帯状部材4は、下底辺4a及び上底辺4b同士を繋ぐ対辺4c,4dを有する。対辺4c,4dは、台形状を呈する帯状部材4の脚に相当する。例えば、対辺4cの長さは、対辺4dの長さと等しい。
【0024】
帯状部材4の下底辺4aは、マット部2の短辺2cに接続されている。一例として、帯状部材4は、マット部2に縫着されている。本実施形態では、帯状部材4の下底辺4aの長さは、マット部2の短辺2cの長さよりも短い。しかし、下底辺4aの長さは、短辺2cの長さと等しくてもよいし、短辺2cの長さより長くてもよい。帯状部材4の下底辺4aの長さは、例えば、10cm以上且つ70cm以下である。
【0025】
帯状部材5の形状及び大きさは、帯状部材4の形状及び大きさと同一であってもよい。例えば、帯状部材5は、下底辺5aと、下底辺5aよりも短い上底辺5bとを有する。例えば、下底辺5aは上底辺5bに対して略平行に延在している。帯状部材5は、下底辺5a及び上底辺5b同士を繋ぐ対辺5c,5dを有する。
【0026】
帯状部材5の下底辺5aは、マット部2の短辺2dに接続されている。一例として、帯状部材5は、マット部2に縫着されている。本実施形態では、帯状部材5の下底辺5aの長さは、マット部2の短辺2dの長さよりも短い。しかし、下底辺5aの長さは、短辺2dの長さと等しくてもよいし、短辺2dの長さより長くてもよい。
【0027】
帯状部材4,5のそれぞれは、例えば、伸縮可能なメッシュ素材により構成されている。この場合、帯状部材4,5が伸縮可能とされていることにより、寝具調整具1の移動を一層容易に行うことが可能となり、帯状部材4,5の通気性を高めることが可能となる。しかし、帯状部材4,5の構成材料は、適宜変更可能であり、伸縮可能なものでなくてもよく、特に限定されない。また、帯状部材4,5の形状は、例えば、矩形状であってもよく、等脚台形状に限定されない。
【0028】
例えば、帯状部材4,5のそれぞれの長手方向D1の長さは、マット部2の長手方向D1の長さ(すなわち、長辺2a,2bの長さ)よりも短い。例えば、帯状部材4の長手方向D1の長さ、及び帯状部材5の長手方向D1の長さは、互いに同一となっている。帯状部材4,5のそれぞれにおける長手方向D1の長さは、例えば、20cm以上且つ200cm以下である。例えば、寝具調整具1は、寝具に巻き付くように当該寝具に取り付けられる。なお、帯状部材4,5の長手方向D1の長さは、互いに異なっていてもよく、寝具に巻き付けることができる程度の長さであればよい。
【0029】
帯状部材4,5のそれぞれは、固定部材6を有する。固定部材6は、帯状部材4を帯状部材5に対して着脱可能とする。帯状部材4,5は、固定部材6を介して互いに固定される。固定部材6は、帯状部材4に設けられた第1固定部材61と、帯状部材5に設けられた第2固定部材62とを含む。
【0030】
図2は、
図1の固定部材6を示す平面図である。
図2に示されるように、第1固定部材61は、例えば、面ファスナのループ63(メス)である。本実施形態では、ループ63は、矩形状を呈する。例えば、ループ63は、長手方向D1に延びる長辺を有する長方形状を呈する。しかし、ループ63の形状は特に限定されない。本実施形態では、ループ63は、帯状部材4における長手方向D1の端部(帯状部材4における上底辺4b側)に設けられている。ループ63は、例えば、帯状部材4に縫着されている。
【0031】
第2固定部材62は、ループ63に係止する面ファスナのフック64(オス)である。本実施形態では、フック64は、矩形状を呈する。例えば、フック64は、長手方向D1に延びる長辺を有する長方形状を呈する。しかし、フック64の形状は特に限定されない。
【0032】
本実施形態では、フック64は、帯状部材5における長手方向D1の端部(帯状部材5における上底辺5b側)に設けられている。フック64は、例えば、帯状部材5に縫着されている。例えば、ループ63(第1固定部材61)における長手方向D1の長さA1は、フック64(第2固定部材62)における長手方向D1の長さA2よりも長い。例えば、フック64の短手方向D2の長さは、ループ63の短手方向D2の長さと同程度である。
【0033】
[寝具調整具の使用方法]
続いて、
図3及び
図4を用いて、本実施形態に係る寝具調整具1の使用方法について説明する。以下では、本実施形態に係る寝具調整具1が取り付けられる寝具の一例として、マットレス10を例示する。
図3は、寝具調整具1が取り付けられたマットレス10の表面10aを示す斜視図である。
図4は、寝具調整具1が取り付けられたマットレス10の裏面10bを示す斜視図である。
【0034】
図3及び
図4に示されるように、本実施形態に係るマットレス10は、載置面Sに載置される。一例として、載置面Sは床面である。マットレス10は、長手方向D3に延在する長辺、及び短手方向D4に延在する短辺を有する。マットレス10は、使用者の身体が載せられる表面10aと、表面10aの裏側に位置する裏面10bとを有する。本実施形態では、マットレス10は、平面視において長方形状を呈する。マットレス10は、例えば、側地11と、側地11の内部に収容されたクッション体(不図示)とを有する。
【0035】
本実施形態では、側地11は、マットレス10の長手方向に分割された袋体12,13,14により構成されている。一例として、袋体12は使用者の頭部が載せられる部分であり、袋体13は使用者の臀部が載せられる部分であり、袋体14は使用者の脚部が載せられる部分である。袋体12,13,14のそれぞれ(以下、単に「袋体」と称することがある)には、前述したクッション材が収容されている。
【0036】
側地11において互いに隣り合う袋体の間には、折り曲げ部15が形成されている。折り曲げ部15は、互いに隣り合う袋体同士を接続する側地11により形成されている。折り曲げ部15は、マットレス10の短手方向D4に沿って延在している。これにより、例えばマットレス10の使用者は、折り曲げ部15を介してマットレス10を折り曲げることが可能である。
【0037】
本実施形態では、マットレス10は、複数の折り曲げ部15を有している。従って、マットレス10は、各折り曲げ部15を介して折り畳むことが可能である。一例として、マットレス10は、2つの折り曲げ部15を有しているため、三つ折りすることが可能である。しかし、折り曲げ部15の数は、特に限定されない。一例として、側地11は、平面視において長方形状の1つの袋体により構成されていてもよい。この場合、折り曲げ部15が形成されていない。
【0038】
寝具調整具1がマットレス10に取り付けられるに際し、まず、作業者は、マットレス10の表面10aに寝具調整具1のマット部2を配置する。例えば、
図3に示されるように、作業者は、マット部2の長手方向D1をマットレス10の短手方向D4と一致させた状態でマット部2をマットレス10の表面10aに配置する。
【0039】
本実施形態では、作業者は、マットレス10の表面10aのうち袋体13が形成された部分にマット部2を配置する。前述したように、一例として、マット部2の長手方向D1の長さは、マットレス(寝具)10の短手方向D4の長さと同一である。この場合、マット部2がマットレス10の表面10aに配置された状態において、マット部2は、マットレス10の短手方向D4の全体に亘って配置される。
【0040】
作業者は、マットレス10の表面10aのうち袋体12,14が形成された部分にマット部2を配置してもよい。このように、マットレス10の長手方向D3における寝具調整具1(マット部2)の位置は、作業者(使用者)の好み等に応じて、変更可能である。作業者は、マットレス10において高さ及び柔らかさを調整したい部分にマット部2を配置する。マット部2を配置する位置は、特に限定されないが、例えば、使用者の身体の形状、体圧の分布等により適宜選択される。一例として、マットレス10において使用者の肩口、腰、膝裏、ふくらはぎ、又は踵が載せられる位置にマット部2が配置されてもよい。
【0041】
続いて、
図4に示されるように、作業者は、マット部2をマットレス10の表面10aに配置した状態で、帯状部材4,5をマットレス10の裏面10bに配置する。作業者は、帯状部材5のフック64(第2固定部材62)を帯状部材4のループ63(第1固定部材61)に係止する。これにより、帯状部材4,5は、固定部材6を介して互いに固定される。前述したように、一例として、帯状部材4,5のそれぞれにおける長手方向D1の長さは、互いに同一である。この場合、帯状部材4,5は、マットレス10の裏面10bにおける短手方向D4の略中央において互いに固定される。
【0042】
続いて、作業者は、載置面Sに裏面10bが接するように、マットレス10を載置面Sに載置する。これにより、マット部2が表面10aに配置された状態において、ベルト部3は載置面S及び裏面10bの間に配置される。すなわち、ベルト部3は載置面Sと裏面10bとの間に挟み込まれた状態となる。以上の工程を経て、寝具調整具1はマットレス10に対して巻き付けるように取り付けられる。
【0043】
続いて、本実施形態に係る寝具調整具1の作用効果について説明する。寝具調整具1では、ベルト部3は、マットレス10が載置される載置面S及び裏面10bの間に配置される。これにより、ベルト部3が載置面S及び裏面10bの間に挟まれることで固定されるため、寝具調整具1の位置ずれを抑制できる。また、この寝具調整具1では、マット部2がマットレス10の表面10aに配置された状態において、ベルト部3が載置面Sとマットレス10の裏面10bとの間に配置されることにより寝具調整具1がマットレス10に取り付けられる。よって、マットレス10に対する寝具調整具1の着脱を容易に行うことができる。
【0044】
マットレス10の表面10aにマット部2が配置された状態でベルト部3が当該載置面Sとマットレス10の裏面10bとの間に配置されることにより、マットレス10の表面10aに沿ってマット部2を移動させると共にマットレス10の裏面10bに沿ってベルト部3を移動させることが可能となる。さらに、この寝具調整具1では、マットレス10に取り付ける(又は取り外す)に際し、器具、道具等を必要としない。従って、高さ及び柔らかさを調整したい部分にマット部2を容易に移動できるので、マットレス10の高さ及び柔らかさを容易に且つ部分的に調整できる。マット部2がマットレス10の表面10aに載せられた状態でベルト部3が載置面Sと裏面10bとの間に配置されるので、ベルト部3が載置面Sと裏面10bとの間に挟み込まれることによりベルト部3の意図しない移動を抑制できる。従って、寝具調整具1の位置ずれを抑制することができる。
【0045】
ベルト部3は、マット部2における長手方向D1の両端部から長手方向D1に延びる一対の帯状部材(帯状部材4,5)である。帯状部材4,5は、帯状部材4を帯状部材5に対して着脱可能とする固定部材6を有する。帯状部材4,5は、固定部材6を介して互いに固定される。この場合、マット部2における長手方向D1の両端部からベルト部3である帯状部材4,5が延びており、帯状部材4,5のそれぞれがマットレス10の載置面Sとマットレス10の裏面10bとの間に配置される。そして、帯状部材4,5がマットレス10の短手方向D4の一端から他端まで延びた状態となる。従って、ベルト部3の意図しない移動をより確実に抑制できる。
【0046】
マット部2の長手方向D1の両端部から延びる一対の帯状部材4,5が固定部材6を介して互いに着脱可能に固定される。この固定部材6によって、マットレス10に対する帯状部材4,5の固定をより強固に行えると共に、固定部材6を外してマットレス10の所望の箇所にマット部2を容易に移動させることができる。
【0047】
図2に示されるように、固定部材6は、帯状部材4に設けられた第1固定部材61、及び帯状部材5に設けられた第2固定部材62を含んでおり、第1固定部材61における長手方向D1の長さA1は、第2固定部材62における長手方向D1の長さA2よりも長い。この場合、第1固定部材61に対する第2固定部材62の固定位置を長手方向D1に沿って変更できる。これにより、マットレス10に巻き付けられる帯状部材4,5の長さ、すなわち、帯状部材4,5の寝具に巻き付けられる部分の長さを自在に変更できるので、マットレス10だけでなく多様なサイズの寝具に寝具調整具1を取り付けることが可能となる。
【0048】
第1固定部材61は、面ファスナのループ63であり、第2固定部材62は、ループ63に係止する面ファスナのフック64である。ループ63における長手方向D1の長さA1は、フック64における長手方向D1の長さA2よりも長い。この場合、長手方向D1の長さがより長いループ63に対して当該長手方向D1の位置を調整してフック64を接触させることで第1固定部材61に第2固定部材62を固定できる。よって、面ファスナ以外の固定手段と比較して、帯状部材4,5の着脱を一層容易に行うことができる。また、面ファスナのフック64はループ63と比較して肌触りがよくない。しかし、フック64よりループ63の方が長い場合には、ループ63にフック64を接合したときにフック64の全体を隠すことが可能となる。よって、肌触りが良好な状態を維持することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る寝具調整具1は、扁平な形状を呈するマット部2及びベルト部3により構成されている。よって、寝具調整具1を使用しないとき等には、
図5に示されるように、作業者は、寝具調整具1を一方向に沿って丸めることができる。また、丸められた寝具調整具1は収容袋に収容することが可能であってもよい。前述したマットレス10を押し入れ等に収納する際には、例えば、作業者はマットレス10を三つ折りにする。このとき、寝具調整具1をマットレス10から取り外さずにマットレス10を折り畳んだ場合でも、寝具調整具1の厚みが小さいため、寝具調整具1がマットレス10を収納する際の妨げになりにくい。
【0050】
[実施例]
以下では、本開示に係る寝具調整具の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例の内容に限定されない。以下では、
図6及び
図7を用いて、本実施形態に係る寝具調整具1の評価試験結果について説明する。本評価試験では、まず、寝具調整具1が取り付けられる寝具としてプロファイルマットレスと、合繊固綿敷布団とを用意した。さらに、本評価試験では、寝具調整具1として低反発寝具調整具と、高反発寝具調整具とを用意した。
【0051】
プロファイルマットレスは、袋状の側地にプロファイル加工されたウレタンフォームを収容することで構成されている。側地は、使用者の身体が載せられる表地(ポリエルテル100%)と、表地の裏側に位置する裏地(ポリエステル100%)と、表地及び裏地を互いに繋ぐマチ部(ポリエステル100%)とを有している。裏地及びマチ部は、ハニカムメッシュで構成されている。
【0052】
プロファイルマットレスは、平面視において矩形状を呈している。プロファイルマットレスの長手方向の長さは、200cmであり、プロファイルマットレスの短手方向の長さは、97cmである。プロファイルマットレスの厚さ(プロファイルマットレスの長手方向及び短手方向の双方に交差する方向の長さ)は、9cmである。プロファイル加工により形成されたウレタンフォームの凸部の高さは、3cmである。
【0053】
合繊固綿敷布団は、袋状の側地(ポリエステル85%、綿15%)に合繊固綿を収容することで構成されている。合繊固綿は、巻き綿(ポリエステル50%、ウール50%)と、固綿(ポリエステル100%)と、で構成されている。
【0054】
合繊固綿敷布団は、平面視において矩形状を呈している。合繊固綿敷布団の長手方向の長さは210cmであり、合繊固綿敷布団の短手方向の長さは100cmである。合繊固綿敷布団の厚さは5cmである。
【0055】
低反発寝具調整具の反発力は、高反発寝具調整具の反発力よりも小さい。低反発寝具調整具及び高反発寝具調整具のそれぞれは、マット部2(ポリエステル100%)と、ベルト部3(ポリエステル100%)とを有している。ベルト部3は、ハニカムメッシュで構成されている。低反発寝具調整具は、マット部2のクッション材として低反発のウレタンフォーム(低反発ウレタン)を有する。一方、高反発寝具調整具は、マット部2のクッション材として高反発のウレタンフォーム(高反発ウレタン)を有する。マット部2の長手方向D1の長さは100cmであり、マット部2の短手方向D2の長さは32.5cmである。マット部2の厚さは1.5cmである。
【0056】
前述した寝具及び各寝具調整具を用いて、本評価試験では寝具調整具1の物性試験を実施した。本物性試験では、最大体圧、平均体圧、接地面積、及び沈み込み量のそれぞれの測定を実施した。
【0057】
最大体圧、平均体圧、及び接地面積の測定では、まず、寝具調整具1を寝具に取り付けた。続いて、寝具の表面、及び寝具調整具1のマット部2の上に体圧センサシートを敷いた。続いて、マット部2に敷かれた当該体圧センサシート上に金属製の重量体を載せて最大体圧、平均体圧、及び接地面積のそれぞれを測定した。試行回数は3回とした。
【0058】
重量体は、円板形状を呈する。重量体は、円板形状の本体部と、平面視において本体部の中央部から突出する突出部とにより構成されている。平面視における本体部の直径は30cmであり、本体部の厚さは2cmである。突出部は、球面状の突出面を有する。平面視において突出部の直径は20cmであり、突出部の厚さは2.5cmである。重量体の重量は5.07kgである。
【0059】
沈み込み量の測定では、まず、寝具調整具1を寝具に取り付けた。そして、寝具の表面、及び寝具調整具1のマット部2の上に体圧センサシートを敷いた。続いて、マット部2に敷かれた当該体圧センサシート上に基準板、及び金属製の重量体を載せて沈み込み量を測定した。試行回数は3回とした。
【0060】
重量体は、円柱状を呈する。平面視における重量体の直径は10cmであり、重量体の高さは4.5cmである。基準板は、円環状を呈する。すなわち、基準板は、円板形状の円板部の中央部に、平面視円形の貫通孔が形成されて構成されている。平面視における基準板の外径は30cmである。平面視における基準板の内径は、重量体の直径よりもわずかに大きく、一例として11cmである。
【0061】
体圧センサシート上に基準板及び重量体を載せるに際し、基準板の貫通孔から露出する体圧センサシートに重量体を載置した。このとき、体圧センサシートと接する重量体の底面から基準板の上面までの長さを沈み込み量とした。
【0062】
以上の内容の物性試験を以下の実施例1~4及び比較例1,2に対して行った。
(実施例1)
低反発寝具調整具を取り付けたプロファイルマットレスを実施例1に係るプロファイルマットレスとした。
(実施例2)
高反発寝具調整具を取り付けたプロファイルマットレスを実施例2に係るプロファイルマットレスとした。
(実施例3)
低反発寝具調整具を取り付けた合繊固綿敷布団を実施例3に係る合繊固綿敷布団とした。
(実施例4)
高反発寝具調整具を取り付けた合繊固綿敷布団を実施例4に係る合繊固綿敷布団とした。
(比較例1)
寝具調整具1を取り付けていないプロファイルマットレスを比較例1に係るプロファイルマットレスとした。
(比較例2)
寝具調整具1を取り付けていない合繊固綿敷布団を比較例2に係る合繊固綿敷布団とした。
【0063】
図6(a)及び
図6(b)に示されるように、低反発寝具調整具を有する実施例1に係るプロファイルマットレスでは、寝具調整具がない比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、最大体圧及び平均体圧が小さい結果となった。また、低反発寝具調整具を有する実施例3に係る合繊固綿敷布団では、寝具調整具がない比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、最大体圧及び平均体圧が小さい結果となった。
【0064】
高反発寝具調整具を有する実施例2に係るプロファイルマットレスでは、比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、最大体圧及び平均体圧が大きい結果となった。また、高反発寝具調整具を有する実施例4に係る合繊固綿敷布団では、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、最大体圧及び平均体圧が大きい結果となった。以上より、低反発寝具調整具又は高反発寝具調整具を用いる実施例1~4では最大体圧及び平均体圧を調整できることが分かった。
【0065】
図7(a)に示されるように、実施例1に係るプロファイルマットレスでは、比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、接地面積が大きい結果となった。また、実施例3に係る合繊固綿敷布団では、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、接地面積が大きい結果となった。実施例2に係るプロファイルマットレスでは、比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、接地面積が大きい結果となった。また、実施例4に係る合繊固綿敷布団では、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、接地面積が大きい結果となった。
【0066】
図7(b)に示されるように、実施例1に係るプロファイルマットレスでは、比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、沈み込み量が大きい結果となった。また、実施例3に係る合繊固綿敷布団では、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、沈み込み量が大きい結果となった。実施例2に係るプロファイルマットレスでは、比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、沈み込み量が小さい結果となった。また、実施例4に係る合繊固綿敷布団では、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、沈み込み量が小さい結果となった。
【0067】
以上より、本物性試験では、低反発のウレタンフォームを用いた寝具調整具1では、体圧分散性を向上できることが確認された。また、高反発のウレタンフォームを用いた寝具調整具1では、使用者の身体をしっかりと支えることができることが確認された。
【0068】
また、前述した寝具及び寝具調整具1を用いて、本評価試験では、被験者を用いた試験を実施した。本試験では、最大体圧、平均体圧、接地面積、及び沈み込み量のそれぞれの測定を実施した。
【0069】
最大体圧、平均体圧、及び接地面積の測定では、まず、寝具調整具1を寝具に取り付けた。続いて、寝具の表面及び寝具調整具1のマット部2に体圧センサシートを敷いた。続いて、当該体圧センサシート上に被験者の身体を載せて最大体圧、平均体圧、及び接地面積のそれぞれを測定した。
【0070】
最大体圧、平均体圧、及び接地面積の測定では、寝具調整具1の取付位置を変更しながら上記の測定を実施した。より具体的には、各被験者の肩口、腰部、及びふくらはぎのそれぞれに対応する位置にマット部2が位置するように寝具調整具1を寝具に取り付けた。各被験者の仰臥位及び側臥位のそれぞれについて上記の測定を実施した。被験者は、50代男性、20代男性、20代女性、及び30代女性の4人とした。試行回数は、それぞれ3回とした。
【0071】
沈み込み量の測定では、まず、寝具調整具1を寝具に取り付けた。続いて、寝具の表面及び寝具調整具1のマット部2にスパインフィッター(登録商標)を配置した。このスパインフィッター(登録商標)としては、公知のものを用いることができる。続いて、当該スパインフィッター上に被験者の身体を載せて沈み込み量を測定した。
【0072】
沈み込み量の測定では、各被験者の腰部に対応する位置にマット部2が位置するように寝具調整具1を寝具に取り付けた。また、各被験者の仰臥位について沈み込み量の測定を実施した。被験者が載せられた寝具調整具又は寝具に対し、最大体圧、平均体圧、及び接地面積のそれぞれを測定した。試行回数は、それぞれ3回とした。
【0073】
また、沈み込み量の測定では、所定の式を用いて「基準からの距離」を算出した。「基準からの距離」とは、臀部の沈み込み量(cm)から腰部の沈み込み量(cm)を引いた値から、被験者が男性である場合は2cm(被験者が女性である場合は3cm)をさらに引いた距離である。「基準からの距離」が0cmに近い程、各被験者にとって自然な寝姿勢であると言える。
【0074】
まず、各被験者の肩口に対応する位置にマット部2が位置するように寝具調整具1を寝具に取り付けた場合の結果について説明する。
【0075】
まず、仰臥位における測定結果について説明する。比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例2に係るプロファイルマットレスでは、最大体圧及び平均体圧が同程度となり、実施例1に係るプロファイルマットレスでは、最大体圧及び平均体圧が小さい結果となった。また、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例4に係る合繊固綿敷布団では、最大体圧及び平均体圧が同程度となり、実施例3に係る合繊固綿敷布団では、最大体圧及び平均体圧が小さい結果となった。
【0076】
比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例1、2に係るプロファイルマットレスでは、接地面積が大きい結果となった。特に、実施例2に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例1に係るプロファイルマットレスでは、接地面積が大きい結果となった。比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例3、4に係る合繊固綿敷布団では、接地面積が大きい結果となった。特に、実施例4に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例3に係る合繊固綿敷布団では、接地面積が大きい結果となった。
【0077】
続いて、側臥位における測定結果について説明する。比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例2に係るプロファイルマットレスでは、最大体圧が同程度となり、実施例1に係るプロファイルマットレスでは、最大体圧が大きい結果となった。また、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例4に係る合繊固綿敷布団では、最大体圧が同程度となり、実施例3に係る合繊固綿敷布団では、最大体圧が大きい結果となった。
【0078】
比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例1、2に係るプロファイルマットレスでは、平均体圧が大きい結果となった。また、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例3、4に係る合繊固綿敷布団では、平均体圧が大きい結果となった。
【0079】
比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例2に係るプロファイルマットレスでは、接地面積が同程度であり、実施例1に係るプロファイルマットレスでは、接地面積が大きい結果となった。また、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例4に係る合繊固綿敷布団では、接地面積が同程度であり、実施例3に係る合繊固綿敷布団では、接地面積が大きい結果となった。
【0080】
以上より、各被験者の肩口に対応する位置にマット部2が位置するように寝具調整具1を寝具に取り付けた場合、仰臥位においては、寝具調整具1を取り付けた寝具(実施例1~4)では、接地面積が大きくなり、体圧分散性に優れることが確認された。特に低反発のウレタンフォームを用いた寝具調整具1では、体圧分散性を向上できることが確認された。
【0081】
続いて、各被験者の腰部に対応する位置にマット部2が位置するように寝具調整具1を寝具に取り付けた場合の結果について説明する。
【0082】
まず、仰臥位における測定結果について説明する。比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例1、2に係るプロファイルマットレスでは、最大体圧が小さい結果となった。また、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例3、4に係る合繊固綿敷布団では、最大体圧が小さい結果となった。
【0083】
比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例2に係るプロファイルマットレスでは、平均体圧が同程度となり、実施例1に係るプロファイルマットレスでは、平均体圧が小さい結果となった。また、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例4に係る合繊固綿敷布団では、平均体圧が同程度となり、実施例3に係る合繊固綿敷布団では、平均体圧が小さい結果となった。
【0084】
比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例1、2に係るプロファイルマットレスでは、接地面積が大きい結果となった。また、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例3、4に係る合繊固綿敷布団では、接地面積が大きい結果となった。
【0085】
続いて、側臥位における測定結果について説明する。比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例1、2に係るプロファイルマットレスでは、最大体圧が小さい結果となった。また、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例3、4に係る合繊固綿敷布団では、最大体圧が小さい結果となった。
【0086】
比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例2に係るプロファイルマットレスでは、平均体圧が同程度となり、実施例1に係るプロファイルマットレスでは、平均体圧が小さい結果となった。また、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例4に係る合繊固綿敷布団では、平均体圧が同程度となり、実施例3に係る合繊固綿敷布団では、平均体圧が小さい結果となった。
【0087】
比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例1、2に係るプロファイルマットレスでは、接地面積が大きい結果となった。また、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例3、4に係る合繊固綿敷布団では、接地面積が大きい結果となった。
【0088】
比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例3、4に係る合繊固綿敷布団では、基準からの距離が小さい結果となった。特に、実施例3に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例4に係る合繊固綿敷布団では、基準からの距離が小さい結果となった。
【0089】
以上より、各被験者の腰部に対応する位置にマット部2が位置するように寝具調整具1を寝具に取り付けた場合、仰臥位においては、寝具調整具1により使用者の身体と寝具との間の空間を埋めることができるため、寝具調整具1を取り付けた寝具(実施例1~4)では、使用者の身体をしっかりと支えることができることが確認された。特に、実施例2、4に係る合繊固綿敷布団では、実施例1、3に係るプロファイルマットレスに比べて、最大体圧及び平均体圧が大きく、使用者の身体を一層しっかりと支えることができることが確認された。
【0090】
また、寝具調整具1を取り付けた合繊固綿敷布団(実施例3、4に係る合繊固綿敷布団)では、基準からの距離が小さくなり、理想的な寝姿勢とすることができることが確認された。実施例3、4に係る合繊固綿敷布団では、臀部の沈み込み量が小さくなるため、寝具調整具1を取り付けることで腰部の沈み込み量が小さくなり、基準からの距離が理想的な距離(0cm)に近づいたものと考えられる。
【0091】
続いて、各被験者のふくらはぎに対応する位置にマット部2が位置するように寝具調整具1を寝具に取り付けた場合の結果について説明する。
【0092】
まず、仰臥位における測定結果について説明する。比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例1に係るプロファイルマットレスでは、最大体圧が小さく、実施例2に係るプロファイルマットレスでは、最大体圧が大きい結果となった。また、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例3に係る合繊固綿敷布団では、最大体圧が小さく、実施例4に係る合繊固綿敷布団では、最大体圧が大きい結果となった。
【0093】
比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例1に係るプロファイルマットレスでは、平均体圧が同程度となり、実施例2に係るプロファイルマットレスでは、平均体圧が大きい結果となった。また、比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例3に係る合繊固綿敷布団では、平均体圧が同程度となり、実施例4に係る合繊固綿敷布団では、平均体圧が大きい結果となった。
【0094】
比較例1に係るプロファイルマットレスに比べて、実施例1、2に係るプロファイルマットレスでは、接地面積が大きい結果となった。比較例2に係る合繊固綿敷布団に比べて、実施例3、4に係る合繊固綿敷布団では、接地面積が大きい結果となった。
【0095】
側臥位については、測定結果の傾向が被験者によりばらつく結果となった。側臥位の場合、被験者ごとに寝方に個人差があるためであると考えられる。
【0096】
以上より、各被験者のふくらはぎに対応する位置にマット部2が位置するように寝具調整具1を寝具に取り付けた場合、仰臥位においては、寝具調整具1により使用者の身体と寝具との間の空間を埋めることができる。その結果、寝具調整具1を取り付けた寝具(実施例1~4)では、接地面積を大きくすることができたと考えられる。
【0097】
[変形例]
以上、本開示に係る寝具調整具の実施形態及び実施例について説明した。しかし、本開示に係る寝具調整具は、前述の実施形態等に限られず、適宜変更可能である。
【0098】
前述の実施形態では、ベルト部3がマット部2における長手方向D1の両端部から長手方向D1に延びる帯状部材4,5である例について説明した。しかし、ベルト部3は、一方向に延びる1つの帯状部材であってもよい。この場合、ベルト部3の一方の端部はマット部2における長手方向D1の一方の端部に接続され、ベルト部3の他方の端部はマット部2における長手方向D1の他方の端部に接続されてもよい。これにより、寝具調整具1は、マット部2及びベルト部3により環状に形成される。この場合、環状に形成された寝具調整具1にマットレス10を通すことで、寝具調整具1をマットレス10に取り付けることができる。
【0099】
前述の実施形態では、帯状部材4,5のそれぞれは、帯状部材4を帯状部材5に対して着脱可能とする固定部材6を有する例について説明した。しかし、帯状部材4,5のそれぞれは、固定部材6を有していなくてもよい。この場合、寝具調整具1をマットレス10に取り付けるに際し、帯状部材4,5のそれぞれを載置面S及びマットレス10の裏面10bの間に挟み込むことで、寝具調整具1をマットレス10に対して固定すればよい。これにより、寝具調整具1をマットレス10に一層容易に取り付けることができる。この場合、帯状部材4,5のそれぞれにおける載置面S又は裏面10bと接する部分には、滑り止め加工が施されていてもよい。これにより、寝具調整具1がマットレス10から外れてしまうことをより確実に抑制できる。
【0100】
前述の実施形態では、第1固定部材61は、面ファスナのループ63であり、第2固定部材62は、ループ63に係止する面ファスナのフック64である例について説明した。しかし、第1固定部材61及び第2固定部材62の種類は、特に限定されず、固定部材としては様々なものを用いることができる。例えば、第1固定部材61は、スナップボタンのメスであり、第2固定部材62は、当該メスに係止するスナップボタンのオスであってもよい。
【0101】
前述の実施形態では、帯状部材4,5は、マットレス10における短手方向の略中央において互いに固定される例について説明した。しかし、帯状部材4,5の固定位置は適宜変更可能である。例えば、帯状部材4,5は、載置面Sとマットレス10の裏面10bとの間において、マットレス10における短手方向の中央からずれた位置で互いに固定されてもよい。また、帯状部材4,5は、マットレス10の表面10a及び裏面10bを互いに繋ぐ側面において互いに固定されてもよい。この場合、帯状部材4,5を一層容易に着脱することができる。
【0102】
マット部2及びベルト部3の各寸法は、前述したものに限定されない。マット部2及びベルト部3の各寸法は、寝具の形状、大きさ、及び寝具において寝具調整具1が取り付けられる位置等に応じて適宜変更可能である。
【0103】
マット部2の袋体には、袋体の開閉を行うための開閉部材が設けられていてもよい。この開閉部材は、一例として、線ファスナである。この場合、袋体内のクッション材を容易に当該袋体から取り出すことができる。これにより、袋体の洗濯、交換等が容易となる。
【0104】
さらに、前述の実施形態では、寝具調整具1がマットレス10に適用される例について説明した。しかし、本開示に係る寝具調整具は、使用者の身体が載せられる寝具に対して広く適用可能である。例えば、本開示は、敷き布団、クッション、ベッドパッド、座布団又は枕等に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
1…寝具調整具、2…マット部、3…ベルト部、4,5…帯状部材、4a,5a…下底辺、4b,5b…上底辺、4c,4d,5c,5d…対辺、6…固定部材、10…マットレス(寝具)、10a…表面、10b…裏面、11…側地、12,13,14…袋体、15…折り曲げ部、61…第1固定部材、62…第2固定部材、63…ループ、64…フック、A1,A2…長さ、D1…長手方向(一方向)、D2…短手方向、S…載置面。