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特開2023-130832食器・トレイの反転分離装置及び食器・トレイの反転分離方法並びに食器洗浄システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130832
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】食器・トレイの反転分離装置及び食器・トレイの反転分離方法並びに食器洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/84 20060101AFI20230913BHJP
   A47L 15/24 20060101ALI20230913BHJP
   B65G 47/248 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B65G47/84 C
A47L15/24
B65G47/248 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035349
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】嶽北 直昭
(72)【発明者】
【氏名】和田野 誠
(72)【発明者】
【氏名】本庄 浩朗
(72)【発明者】
【氏名】大谷 宗也
【テーマコード(参考)】
3B082
3F072
3F081
【Fターム(参考)】
3B082AA01
3B082AA03
3F072AA07
3F072AA18
3F072GG06
3F072GG11
3F072GG19
3F072JA03
3F072KA01
3F072KE12
3F081AA18
3F081BE03
3F081BE09
3F081BF01
3F081BF20
3F081CA04
3F081CA06
3F081CB05
3F081CC08
3F081DA11
(57)【要約】
【課題】トレイ及びトレイに載置した食器を反転した姿勢のまま確実に搬出することができる反転分離装置及び反転分離方法並びに食器洗浄システムを提供する。
【解決手段】食器・トレイの反転分離装置は、食器3を載置したトレイ2を下方から保持するトレイ保持部14と、トレイ保持部で食器を載置したトレイを保持したときにトレイ保持部の上方に位置する搬出コンベア15と、トレイ保持部と搬出コンベアとの間に挟まれて形成された収納空間13と、収納空間内に収納したトレイ及びトレイに載置した食器を、トレイ保持部及び搬出コンベアとともに回転させることにより、上下方向に反転させる回転ドラム20と、を備え、回転ドラムによりトレイ保持部及び搬出コンベアを回転して、食器・トレイを上下方向に反転させるとともに、トレイから食器を分離した後に、搬出コンベアを駆動してトレイから分離した食器を収納空間から搬出し、次いでトレイを搬出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ及びトレイに載置した食器を反転させて、トレイから食器を分離する食器・トレイの反転分離装置において、
食器を載置したトレイを少なくとも下方から保持するトレイ保持部と、
前記トレイ保持部で食器を載置したトレイを保持したときに前記トレイ保持部の上方に位置する搬出コンベアと、
前記トレイ保持部と前記搬出コンベアとの間に挟まれて形成された収納空間と、
前記収納空間内に収納したトレイ及びトレイに載置した食器を、前記トレイ保持部及び前記搬出コンベアとともに回転させることにより、上下方向に反転させる回転機構と、を備え、
前記回転機構により前記トレイ保持部及び前記搬出コンベアを回転して、トレイ及びトレイに載置した食器を上下方向に反転させるとともに、トレイから食器を分離した後に、前記搬出コンベアを駆動して前記収納空間内でトレイから分離した食器を上下方向に反転した状態で前記収納空間から搬出し、次いでトレイを搬出することを特徴とする食器・トレイの反転分離装置。
【請求項2】
回転機構は、複数のトレイ保持部及び搬出コンベアを回転軸回りに放射状に設けて複数の収納空間を形成して成る回転ドラムを備え、
前記複数の収納空間の内の一つに、トレイ及びトレイに載置した食器を収納し、前記回転ドラムを所定角度回転させ、前記複数の収納空間の内の一つとは異なる収納空間内に、新たにトレイ及びトレイに載置した食器を収納することを特徴とする請求項1に記載の食器・トレイの反転分離装置。
【請求項3】
回転機構は、搬出コンベアにより収納空間から上下方向に反転した食器を搬出した後に、さらに回転ドラムを回転させることにより、前記収納空間内に収納されている上下方向に反転したトレイを自重で搬出させるトレイ搬出機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食器・トレイの反転分離装置。
【請求項4】
トレイ及びトレイに載置した食器に、浸漬水を供給する浸漬水供給部をさらに備え、
前記浸漬水供給部により、トレイ及びトレイに載置した食器に浸漬水を供給し、トレイ及びトレイに載置した食器に浸漬水を貯水して浸漬洗浄を行った後に、トレイ及びトレイに載置した食器を収納空間へと収納することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の食器・トレイの反転分離装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の食器・トレイの反転分離装置と、
トレイに載置された食器に被せられた蓋を食器から分離し、分離した蓋を蓋洗浄装置へと搬送する蓋分離搬送部と、を備え、
前記蓋分離搬送部により、食器に被せられた蓋を分離し、分離した蓋を前記蓋洗浄装置へと搬送し、トレイ及びトレイに載置した食器を収納空間へと収納することを特徴とする食器洗浄システム。
【請求項6】
トレイ及びトレイに載置した食器を反転させて、トレイから食器を分離する食器・トレイの反転分離方法において、
トレイ及びトレイに載置した食器を収納空間内に収納する収納ステップと、
前記収納ステップの後に、前記収納空間を回転させてその上下方向を反転させることにより、前記収納ステップにより前記収納空間内に収納したトレイ及びトレイに載置した食器を上下方向に反転させ、トレイから食器を分離する反転分離ステップと、
前記反転分離ステップの後に、前記収納空間を形成する搬出コンベアを駆動することにより、前記反転分離ステップにより反転してトレイから分離した食器を前記収納空間内から搬出する食器搬出ステップと、
前記食器搬出ステップの後に、上下方向に反転して前記収納空間内に収納されているトレイを搬出するトレイ搬出ステップと、を含むことを特徴とする食器・トレイの反転分離方法。
【請求項7】
複数の収納空間を有する回転ドラムを回転させて、前記複数の収納空間内で、順次、収納ステップと、反転分離ステップと、食器搬出ステップと、トレイ搬出ステップと、を行うことを特徴とする請求項6に記載の食器・トレイの反転分離方法。
【請求項8】
トレイ搬出ステップは、食器搬出ステップの後に収納空間をさらに回転させることにより、前記収納空間内で反転したトレイを、前記収納空間内から自重で搬出させることを特徴とする請求項6又は7に記載の食器・トレイの反転分離方法。
【請求項9】
トレイ及びトレイに載置した食器に浸漬水を供給して貯水し、トレイ及びトレイに載置した食器の浸漬洗浄を行う浸漬洗浄ステップを含み、
前記浸漬洗浄ステップを行った後に、収納ステップを行うことを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の食器・トレイの反転分離方法。
【請求項10】
トレイに載置された食器に被せられた蓋を食器から分離し、分離した蓋を蓋洗浄装置へと搬送する蓋分離搬送ステップを行った後に、収納ステップを行うことを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の食器・トレイの反転分離方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ及びトレイに載置した食器の洗浄のための、食器・トレイの反転分離装置及び食器・トレイの反転分離方法並びに食器洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食器洗浄システムにあって、トレイ及びトレイに載置した食器を、洗浄に適した姿勢であるうつ伏せ姿勢にそれぞれ反転して分離する食器及び食器トレイ裏返し装置(以下、反転分離装置という)が知られている(例えば特許文献1参照)。この反転分離装置は、回転軸を中心に回転する回転体に、トレイ及びトレイに載置した食器を収納する収納空間を放射状に配列して成り、この収納空間に、トレイ及びトレイに載置した食器を順次挿入し、回転体を回転させることでトレイ及びトレイに載置した食器を反転し、分離する。反転、分離後に、回転体から所定の長さだけはみ出しているトレイ部分を下流側のコンベアに接触させることで、トレイを収納空間から搬出する。このトレイ搬出後に、回転体がさらに回転して食器は自重で滑り落ち、収納空間から下流側のコンベアに載置され搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-182658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される反転分離装置においては、収納空間内に収納されて反転したトレイは、収納空間から所定の長さだけはみ出しているトレイ部分にコンベアを接触させて搬出するため、コンベアが滑ってしまうとトレイが搬出されない。その場合、トレイがコンベアに引っ掛かり回転体が停止し、装置自体が停止してしまうおそれがあった。
【0005】
また、自重で搬出される食器は、食器に付着した汚れにより収納空間で固着し、食器が搬出されないというおそれもあった。また、食器とトレイとの間に入り込んだ汚れが多い場合、その汚れが固着して食器がトレイに接着されてしまう場合がある。その場合、反転したトレイを回転体から搬出する際に、トレイに接着した食器がトレイと共に搬出され、食器及びトレイの分離作業に支障を来たすことになる。
【0006】
さらに、食器は種類が様々(形状、材質等)であり、自重で滑り落ち始めるタイミングやその速度が異なる。また、残菜等の食器に付着している汚れも様々であり、付着する汚れにより摩擦係数が変化し、食器の滑り落ち方も異なる。これらの食器がトレイに載置されており、反転、分離した後に、収納空間から搬出する際、自重で滑り落ちるが、その滑り落ち方は様々である。
【0007】
上記特許文献1に示される反転分離装置では、収納空間内の反転した食器を押し出すためのプッシャーを備えている。ところが、プッシャーによる押し出し時に、収納空間で複数の食器同士で押し合い、食器をスムースに滑り落とすことができず、搬出されないおそれがあった。また、プッシャーを備えることなく食器が自重で滑り落ちる構成とする場合、収納空間から自重で滑り落すための下方傾斜角度(搬出角度)の設定は、食器ごとに異なり、急角度でないと落下できない食器もある。そのような急角度で滑り落すと、搬出時に食器の洗浄に適したうつ伏せ状態を維持できないおそれがある。
【0008】
本発明は、上記従来の問題を解消するものであり、トレイ及びトレイに載置した食器を反転した姿勢のまま確実に搬出することができる食器・トレイの反転分離装置及び食器・トレイの反転分離方法並びに食器洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る食器・トレイの反転分離装置は、トレイ及びトレイに載置した食器を反転させて、トレイから食器を分離する食器・トレイの反転分離装置において、
食器を載置したトレイを少なくとも下方から保持するトレイ保持部と、
前記トレイ保持部で食器を載置したトレイを保持したときに前記トレイ保持部の上方に位置する搬出コンベアと、
前記トレイ保持部と前記搬出コンベアとの間に挟まれて形成された収納空間と、
前記収納空間内に収納したトレイ及びトレイに載置した食器を、前記トレイ保持部及び前記搬出コンベアとともに回転させることにより、上下方向に反転させる回転機構と、を備え、
前記回転機構により前記トレイ保持部及び前記搬出コンベアを回転して、トレイ及びトレイに載置した食器を上下方向に反転させるとともに、トレイから食器を分離した後に、前記搬出コンベアを駆動して前記収納空間内でトレイから分離した食器を上下方向に反転した状態で前記収納空間から搬出し、次いでトレイを搬出することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る食器洗浄システムは、前記した食器・トレイの反転分離装置と、
トレイに載置された食器に被せられた蓋を食器から分離し、分離した蓋を蓋洗浄装置へと搬送する蓋分離搬送部と、を備え、
前記蓋分離搬送部により、食器に被せられた蓋を分離し、分離した蓋を前記蓋洗浄装置へと搬送し、トレイ及びトレイに載置した食器を収納空間へと収納することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係る食器・トレイの反転分離方法は、トレイ及びトレイに載置した食器を反転させて、トレイから食器を分離する食器・トレイの反転分離方法において、
トレイ及びトレイに載置した食器を収納空間内に収納する収納ステップと、
前記収納ステップの後に、前記収納空間を回転させてその上下方向を反転させることにより、前記収納ステップにより前記収納空間内に収納したトレイ及びトレイに載置した食器を上下方向に反転させ、トレイから食器を分離する反転分離ステップと、
前記反転分離ステップの後に、前記収納空間を形成する搬出コンベアを駆動することにより、前記反転分離ステップにより反転してトレイから分離した食器を前記収納空間内から搬出する食器搬出ステップと、
前記食器搬出ステップの後に、上下方向に反転して前記収納空間内に収納されているトレイを搬出するトレイ搬出ステップと、を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の食器・トレイの反転分離装置及び食器・トレイの反転分離方法並びに食器洗浄システムによれば、トレイ及びトレイに載置した食器を反転した姿勢のまま確実に搬出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る反転分離装置を備えた食器洗浄システムの全体的なブロック図。
図2】上記反転分離装置の食器・トレイ搬入側(以下、搬入側という)の一側方から見た斜視図。
図3】上記反転分離装置の搬入側を他側方から見た斜視図。
図4】上記反転分離装置の食器・トレイ搬出側(以下、搬出側という)を他側方から見た斜視図。
図5】上記反転分離装置の搬出側を一側方から見た斜視図。
図6図2に示す反転分離装置の一部構成を省略した斜視図。
図7図5に示す反転分離装置の一部構成を省略した斜視図。
図8】上記反転分離装置の一部構成を省略した正面図。
図9】上記反転分離装置の収納空間を正面から見た投影図。
図10】上記反転分離装置の収納空間の正面図であり、(a)は食器・トレイ収納前を示す図、(b)は食器・トレイ収納後を示す図。
図11】上記反転分離装置の回転ドラムのドラム回転角度0度で食器・トレイ未搬入時の状態を示す一部構成を省略した側面図。
図12】上記反転分離装置の回転ドラムのドラム回転角度0度で食器・トレイ搬入済の状態を示す一部構成を省略した側面図。
図13】上記反転分離装置の回転ドラムのドラム回転角度90度のときの状態を示す一部構成を省略した側面図。
図14】上記反転分離装置の回転ドラムのドラム回転角度180度で食器・トレイ未搬出時の状態を示す一部構成を省略した側面図。
図15】上記反転分離装置の回転ドラムのドラム回転角度180度で食器搬出中の状態を示す一部構成を省略した側面図。
図16】上記反転分離装置の回転ドラムのドラム回転角度200度でトレイ未搬出時の状態を示す一部構成を省略した側面図。
図17】上記反転分離装置の回転ドラムのドラム回転角度200度でトレイ搬出中の状態を示す一部構成を省略した側面図。
図18】上記反転分離装置の回転ドラムのドラム回転角度200度でトレイ搬出済の状態を示す一部構成を省略した側面図。
図19図11の一部構成を省略した斜視図。
図20図12の一部構成を省略した斜視図。
図21図13の一部構成を省略した斜視図。
図22図14の一部構成を省略した斜視図。
図23図15の一部構成を省略した斜視図。
図24図16の一部構成を省略した斜視図。
図25図17の一部構成を省略した斜視図。
図26図18の一部構成を省略した斜視図。
図27】(a)~(d)は上記食器洗浄システムの浸漬水供給部での動作を時系列で示す概略側断面図。
図28】上記食器洗浄システムの食器洗浄装置の概略側断面図。
図29】上記食器洗浄システムの蓋取り装置を搬入側の一側方から見た斜視図。
図30】上記食器洗浄システムの蓋取り装置を搬入側の他側方から見た斜視図。
図31】上記食器洗浄システムによる食器・トレイの反転分離方法のステップ図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、
トレイ及びトレイに載置した食器を反転させて、トレイから食器を分離する食器・トレイの反転分離装置において、
食器を載置したトレイを少なくとも下方から保持するトレイ保持部と、
前記トレイ保持部で食器を載置したトレイを保持したときに前記トレイ保持部の上方に位置する搬出コンベアと、
前記トレイ保持部と前記搬出コンベアとの間に挟まれて形成された収納空間と、
前記収納空間内に収納したトレイ及びトレイに載置した食器を、前記トレイ保持部及び前記搬出コンベアとともに回転させることにより、上下方向に反転させる回転機構と、を備え、
前記回転機構により前記トレイ保持部及び前記搬出コンベアを回転して、トレイ及びトレイに載置した食器を上下方向に反転させるとともに、トレイから食器を分離した後に、前記搬出コンベアを駆動して前記収納空間内でトレイから分離した食器を上下方向に反転した状態で前記収納空間から搬出し、次いでトレイを搬出することを特徴とする食器・トレイの反転分離装置である。
【0015】
この食器・トレイの反転分離装置によれば、トレイ及びトレイに載置した食器を確実に反転した状態で搬出することができる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、
回転機構は、複数のトレイ保持部及び搬出コンベアを回転軸回りに放射状に設けて複数の収納空間を形成して成る回転ドラムを備え、
前記複数の収納空間の内の一つに、トレイ及びトレイに載置した食器を収納し、前記回転ドラムを所定角度回転させ、前記複数の収納空間の内の一つとは異なる収納空間内に、新たにトレイ及びトレイに載置した食器を収納することを特徴とする食器・トレイの反転分離装置である。
【0017】
これにより、複数の収納空間を有するので、連続的に複数のトレイ及びトレイに載置した食器を収納空間に収納し、反転分離を行うことを容易とすることができる。
【0018】
第3の発明は、第1又は2の発明において、
回転機構は、搬出コンベアにより収納空間から上下方向に反転した食器を搬出した後に、さらに回転ドラムを回転させることにより、前記収納空間内に収納されている上下方向に反転したトレイを自重で搬出させるトレイ搬出機構を備えていることを特徴とする食器・トレイの反転分離装置である。
【0019】
これにより、食器搬出に次いでトレイを反転した状態で自重により搬出することができる。
【0020】
第4の発明は、第1~3のいずれか1つの発明において、
トレイ及びトレイに載置した食器に、浸漬水を供給する浸漬水供給部をさらに備え、
前記浸漬水供給部により、トレイ及びトレイに載置した食器に浸漬水を供給し、トレイ及びトレイに載置した食器に浸漬水を貯水して浸漬洗浄を行った後に、トレイ及びトレイに載置した食器を収納空間へと収納することを特徴とする食器・トレイの反転分離装置である。
【0021】
これにより、トレイを浸漬洗浄するので、トレイから食器を分離しやすくし、確実にトレイから食器を分離することができる。
【0022】
第5の発明は、
第1~4のいずれか1つの食器・トレイの反転分離装置と、
トレイに載置された食器に被せられた蓋を食器から分離し、分離した蓋を蓋洗浄装置へと搬送する蓋分離搬送部と、を備え、
前記蓋分離搬送部により、食器に被せられた蓋を分離し、分離した蓋を前記蓋洗浄装置へと搬送し、トレイ及びトレイに載置した食器を収納空間へと収納することを特徴とする食器洗浄システムである。
【0023】
これにより、先に蓋を食器から分離できるので、蓋付きの食器にも対応する食器洗浄システムを実現できる。
【0024】
第6の発明は、
トレイ及びトレイに載置した食器を反転させて、トレイから食器を分離する食器・トレイの反転分離方法において、
トレイ及びトレイに載置した食器を収納空間内に収納する収納ステップと、
前記収納ステップの後に、前記収納空間を回転させてその上下方向を反転させることにより、前記収納ステップにより前記収納空間内に収納したトレイ及びトレイに載置した食器を上下方向に反転させ、トレイから食器を分離する反転分離ステップと、
前記反転分離ステップの後に、前記収納空間を形成する搬出コンベアを駆動することにより、前記反転分離ステップにより反転してトレイから分離した食器を前記収納空間内から搬出する食器搬出ステップと、
前記食器搬出ステップの後に、上下方向に反転して前記収納空間内に収納されているトレイを搬出するトレイ搬出ステップと、を含むことを特徴とする食器・トレイの反転分離方法である。
【0025】
この食器・トレイの反転分離方法によれば、トレイ及びトレイに載置した食器を確実に反転した状態で搬出することができる。
【0026】
第7の発明は、第6の発明において、
複数の収納空間を有する回転ドラムを回転させて、前記複数の収納空間内で、順次、収納ステップと、反転分離ステップと、食器搬出ステップと、トレイ搬出ステップと、を行うことを特徴とする食器・トレイの反転分離方法である。
【0027】
これにより、複数の収納空間を有するので、連続的に複数のトレイ及びトレイに載置した食器を収納空間に収納し、反転分離を行うことを容易とすることができる。
【0028】
第8の発明は、第6又は7の発明において、
トレイ搬出ステップは、食器搬出ステップの後に収納空間をさらに回転させることにより、前記収納空間内で反転したトレイを、前記収納空間内から自重で搬出させることを特徴とする食器・トレイの反転分離方法である。
【0029】
これにより、食器の搬出の後にトレイを反転した状態で自重により搬出することができる。
【0030】
第9の発明は、第6~8のいずれか1つの発明において、
トレイ及びトレイに載置した食器に浸漬水を供給して貯水し、トレイ及びトレイに載置した食器の浸漬洗浄を行う浸漬洗浄ステップを含み、
前記浸漬洗浄ステップを行った後に、収納ステップを行うことを特徴とする食器・トレイの反転分離方法である。
【0031】
これにより、トレイを浸漬洗浄するので、トレイから食器を分離しやすくし、確実にトレイから食器を分離することができる。
【0032】
第10の発明は、第6~9のいずれか1つの発明において、
トレイに載置された食器に被せられた蓋を食器から分離し、分離した蓋を蓋洗浄装置へと搬送する蓋分離搬送ステップを行った後に、収納ステップを行うことを特徴とする食器・トレイの反転分離方法である。
【0033】
これにより、先に蓋を食器から分離できるので、蓋付きの食器にも対応して食器・トレイを反転分離することができる。
【0034】
(実施形態1)
(食器洗浄システム)
以下、本発明の一実施形態に係る食器・トレイの反転分離装置及び食器・トレイの反転分離方法並びにそれを用いた食器洗浄システムについて、図面を参照して説明する。先ず、図1を参照して、本実施形態に係る食器洗浄システム100の全体構成を説明する。
【0035】
食器洗浄システム100は、搬入されたトレイ2及びトレイ2に載置された食器3(これらを略して食器・トレイともいう。)を浸漬洗浄した後に、食器・トレイを反転させることでトレイ2から食器3を分離し、その後に、トレイ2及び食器3を洗浄し、篭などに整理するものである。搬入される食器・トレイは、食事に供された後、下膳された複数のものから成る。図示の矢印Aは、食器・トレイの搬送(搬入、搬出)方向を示す。
【0036】
食器洗浄システム100は、その入口部に、食器3を載せたトレイ2を搬入する搬入部7を有し、搬入された食器・トレイを反転させることでトレイ2から食器3を分離する反転分離装置1を備える。反転分離装置1は、反転分離後の食器3を搬出する食器搬出部11と、反転分離後のトレイ2を図示の矢印B方向に搬出する引き出し式のトレイ搬出部(トレイ収集部)12を備える。
【0037】
反転分離装置1の前工程として、食器3に被せられた蓋3aを食器3から取り上げて分離する蓋取り装置(蓋分離搬送部)6、及び食器3内と食器3を載置したトレイ2に浸漬水を供給・貯水して浸漬洗浄を行う浸漬装置(浸漬水供給部)4を備えている。浸漬装置4は、その浸漬洗浄により、食器3とトレイ2に付着した汚れを湿潤させる。
【0038】
これにより、後工程の反転分離装置1での食器3とトレイ2の分離を容易にすることができるとともに、食器洗浄装置5Aで食器3に付着した汚れを落とす食器洗浄と、トレイ洗浄装置5C(図示なし)でトレイ2に付着した汚れを落とすトレイ洗浄と、をより効果的に行うことができる。
【0039】
反転分離装置1の後工程として、食器3、トレイ2、及び蓋3aを洗浄する洗浄装置5を備えている。洗浄装置5は、反転し分離された食器3を反転した状態で洗浄する食器洗浄装置5Aと、これに並設され、食器3から分離された蓋3aを洗浄する蓋洗浄装置5Bと、食器3を分離したトレイ2を洗浄するトレイ洗浄装置5Cと、で構成される。
【0040】
食器洗浄装置5A及び蓋洗浄装置5Bの下流側には、洗浄後の食器3及び蓋3aを搬出する搬出部70を備えている。搬出部70は、第6の搬送コンベア76と、搬送される食器3及び蓋3aを回収整理する仕分けロボット8と、食器3を収納する食器回収コンテナ9と、蓋3aを回収する蓋回収コンテナ10とで構成される。
【0041】
食器洗浄システム100は、このシステムの各装置を電気的に制御する制御部101と、スイッチやランプ等を有して信号を送ることにより制御部101による制御を行う操作部102を備えている。また、食器洗浄システム100は、トレイ2、食器3及び蓋3aを搬送する第1~6の搬送コンベア71~76を備えている。
【0042】
なお、食器洗浄システム100は、搬送方向に直交方向側に並んだ複数レーンがあって連携して制御されるものであってもよい。これにより、単位時間あたりに反転してトレイ2から食器3を分離する数や、洗浄することができるトレイ2、食器3及び蓋3aの数を増やすことができる。
【0043】
第1の搬送コンベア71は、搬入部7に搬入されたトレイ2及びトレイ2に載置された食器3を蓋取り装置6に搬送する。第2の搬送コンベア72は、蓋取り装置6により食器3から分離された蓋3aを蓋洗浄装置5Bへ搬送する。第3の搬送コンベア73は、蓋取り装置6の下流側にあって、蓋取り装置6で蓋3aを取り上げた食器3を載せたトレイ2を、浸漬装置4内で搬送するとともに、浸漬装置4内の第4の搬送コンベア74へと搬送する。
【0044】
第4の搬送コンベア74は、浸漬装置4内にあって、食器・トレイを昇降させる。第5の搬送コンベア75は、浸漬装置4の下流側にあって、浸漬洗浄された後の食器・トレイを反転分離装置1に搬入する。第6の搬送コンベア76は、反転分離装置1の食器搬出部11にあって、反転分離後の食器3を食器洗浄装置5Aに搬送し、かつ食器洗浄装置5Aから搬出する。
【0045】
また、反転分離装置1により反転し、食器3を分離したトレイ2は、トレイ搬出部12に搬出され、人手によりトレイ洗浄装置5Cへと搬入される。
【0046】
かくして、食器洗浄システム100においては、搬入部7に搬入されたトレイ2及びトレイ2に載置された食器3は、浸漬装置4により浸漬洗浄された後、反転分離装置1により反転、分離される。反転、分離後の食器3は、上下方向に反転した状態のまま食器搬出部11より第6の搬送コンベア76上に搬出され、食器洗浄装置5Aに搬送され、食器洗浄装置5Aにより洗浄される。反転、分離後のトレイ2は、上下方向に反転した状態のままトレイ搬出部12に搬出され、人手によりトレイ洗浄装置5Cへと搬入されて洗浄される。また、蓋3aは、蓋取り装置6により食器3から分離され、第2の搬送コンベア72により蓋洗浄装置5Bに搬送され洗浄される。
【0047】
(搬入部)
次に、食器洗浄システム100の各構成部を説明する。
【0048】
先ず、搬入部7について説明する。搬入部7は、蓋取り装置6を示す図29及び図30に示されるように、第1の搬送コンベア71の上流端に位置し、作業者によりトレイ2に載置された食器3が搬入される部分であり、トレイ2の搬入位置を規制するための複数の位置決めガイド61を備えている。なお、図29及び図30では、浸漬装置4の記載を省略している。
【0049】
(蓋取り装置)
次に、蓋取り装置6の構成例について、図29及び図30を参照して説明する。蓋取り装置6は、トレイ2に載置された食器3に被せた蓋3aを取り上げるための装置であり、食器3に被せられた蓋3aを食器3から分離し、分離した蓋3aを第2の搬送コンベア72へと搬送する。そして、蓋3aは、第2の搬送コンベア72により蓋洗浄装置5Bへと搬送される。蓋取り装置6を食器洗浄システム100に備えることで、蓋3a付きの食器3にも対応するシステムを実現できる。
【0050】
蓋取り装置6は、蓋3aを負圧により吸着する吸着パッド62及びそのエアシリンダを有した保持部63と、この保持部63を鉛直方向及び水平方向に駆動するアクチュエータで成る駆動手段64とを備える。第1の搬送コンベア71の上方には、搬送されるトレイ2上の食器3の位置を調整するための位置調整ローラ65を有した位置調整部材66が設けられている。
【0051】
この位置調整部材66は、搬送されるトレイ2上の食器3を吸着パッド62により吸着し易い位置に仕分けるものである。蓋3aが落とされる第2の搬送コンベア72の周辺には傾斜部67が設けられている。この傾斜部67は、吸着パッド62の負圧を解除する前に、吸着パッド62に吸着させて搬送した蓋3aが落下した際に、蓋3aが第2の搬送コンベア72から落下しないようにするためにある。また、傾斜部67上に蓋3aが落下した際に、第2の搬送コンベア72上へと導くものである。
【0052】
(蓋洗浄装置)
蓋洗浄装置5Bは、蓋取り装置6で食器3から分離した蓋3aを伏せた状態で第2の搬送コンベア72で搬送して洗浄する。
【0053】
蓋洗浄装置5Bは、図28に示した後述する食器洗浄装置5Aと略同一の構造を有し、洗浄水を貯水するタンク、タンクに貯水した洗浄水を所定の温度まで加熱するヒータ、タンクに貯水した洗浄水を吸い込み吐出するポンプ、及びポンプにより吐出された洗浄水を噴射するノズルを備える。洗浄水を噴射するノズルは、食器3に比べて背が低い蓋3aに合わせて食器洗浄装置5Aのノズル53a~53cより低い位置に配置すればよい。
【0054】
(浸漬装置)
浸漬装置4の構成例について図27(a)~(d)を参照して説明する。浸漬装置4は、反転分離装置1の食器・トレイの搬入方向上流側にあり、第3の搬送コンベア73に搬送される食器3を載せたトレイ2の上方から浸漬水を噴射し、食器3及びトレイ2に浸漬水を供給して貯水し、昇降する第4の搬送コンベア74で搬送しながらこれらを浸漬洗浄する。
【0055】
浸漬装置4は、浸漬水を貯水するタンク41と、タンク41に貯水した浸漬水を吸い込んで吐出するポンプ42と、ポンプ42により吐出された浸漬水を第3の搬送コンベア73に搬送される食器3及びトレイ2へと噴射するノズル43とを備える。タンク41は、第3の搬送コンベア73及び第4の搬送コンベア74の下方に設けられ、トレイ2の端から流下、若しくはノズル43から噴射された浸漬水を受ける。浸漬水は、ファインバブルが溶存する水である。
【0056】
なお、図27に示したタンク41は第3の搬送コンベア73の下方のみに備えているようにしているが、第4の搬送コンベア74若しくは第5の搬送コンベア75の下方にも備えるように延長してもよい。これにより、第4の搬送コンベア74若しくは第5の搬送コンベア75で搬送する食器・トレイに貯水した浸漬水がこぼれても、タンク41により受けて、浸漬装置4を設置する施設の床を濡らさず、作業環境の悪化を抑制することができる。
【0057】
(反転分離装置)
反転分離装置1の構成例について図面を参照して説明する。
【0058】
図2図3、及び図6は、反転分離装置1を食器・トレイの搬入側斜め前方から見た図である。反転分離装置1は、食器3を載せたトレイ2を反転し、トレイ2から食器3を分離して搬出し、その後にトレイ2を自重で落下させ搬出するものである。
【0059】
反転分離装置1は、搬入されるトレイ2及びトレイ2に載置した食器3を収納する収納空間13と、収納空間13に収納したトレイ2を下方から保持するトレイ保持部14と、トレイ保持部14の上方に位置する搬出コンベア15と、収納空間13を回転させることにより上下方向に反転させる回転機構16と、を備えている。
【0060】
収納空間13は、搬入された食器3を載せたトレイ2を収納する空間であり、トレイ保持部14と搬出コンベア15との間に挟まれて形成されており、収納空間13への入り口となる開口を通して食器・トレイを搬入及び搬出する。収納空間13内には、トレイ2が上下方向に反転した時にトレイ2を下方から保持するトレイ保持ローラ(トレイ搬出機構)17を備える。このトレイ保持ローラ17は、反転したトレイ保持部を兼ねたトレイ搬出機構となる。
【0061】
トレイ保持部14は、収納空間13に設けられ、食器3を載せたトレイ2の収納(搬入)方向両サイドを下方から保持するもので、例えば樹脂材でレール形状とされている。搬出コンベア15は、回転ドラム20の収納空間13に臨んで設けられ、回転機構16により収納空間13が回転させられて上下方向に反転したトレイ2から分離された食器3を反転した状態で受け、その食器3を収納空間13から搬出するものである。
【0062】
回転機構16は、収納空間13内に収納したトレイ2及びトレイ2に載置した食器3を、トレイ保持部14及び搬出コンベア15と共に回転させるものである。回転機構16は、本実施形態では回転ドラム20として構成され、回転ドラム20は、収納空間13、トレイ保持部14及び搬出コンベア15を、回転軸24の回りに放射状に複数、本実施形態では90度間隔に4個備えている。
【0063】
より具体的には、回転ドラム20は、フレーム22に設けた軸受け23に軸支された回転軸24と、回転軸24に固定された対向する略円板状のサイドカバー25,26とを備える。サイドカバー25,26は、食器3を載せたトレイ2の搬送方向に直交する左右方向で、回転ドラム20の側面に設けた板で成る。回転ドラム20は、回転軸24に連結されたモータ27により回転駆動される。トレイ保持部14は、サイドカバー25,26の対向内面に左右一対、設けられている。
【0064】
搬出コンベア15は、サイドカバー25,26間に跨って設けられた2本の駆動軸15aに設けられた複数のプーリー15b間に架けられた複数のロープ状のベルト15cから成り、その駆動軸15aの一端に駆動連結部28を備える。複数のプーリー15b間の隙間に、搬出する食器3がはまり込まないように、隙間を埋めるカラーを設けている。
【0065】
駆動連結部28は、搬出コンベア15へ駆動を伝える連結部である。フレーム22には、搬出コンベア15を外部駆動する搬出コンベア駆動部29が設けられている(図3参照)。回転ドラム20が食器搬出の回転角度になったときに、搬出コンベア駆動部29と駆動連結部28とが連結され、搬出コンベア駆動部29が駆動することにより、搬出コンベア15が回転駆動される。
【0066】
搬出コンベア駆動部29と駆動連結部28との連結は、本例ではマグネット結合(マグネットドライブ)により成される。この構成により、搬出コンベア15の駆動部を回転ドラム20の外に設けることができると共に、回転ドラム20の複数の搬出コンベア15に対して1つの駆動部で済み、構成の簡素化を図ることができる。
【0067】
また、反転分離装置1は、回転ドラム20の下方に、板状の浸漬水誘導板36と、その浸漬水誘導板36の中央に設けた排水口36aとを備える。
【0068】
図4図5及び図7は、反転分離装置1を食器・トレイの搬出側斜め後方から見た図である。反転分離装置1は、収納空間13から搬出された食器3を食器搬出部11に搬出する搬出ガイド部30と、トレイ搬出部12にあってトレイ2の搬出タイミングを規制する規制板31と、搬出されるトレイ2を収集する引き出し式のトレイ収集箱32とを備える。
【0069】
搬出ガイド部30は、傾斜したスライド板から成り、搬出側端部を軸心として回動自在とされ、食器3が回転ドラム20から搬出されるときに搬出ガイド部30にトレイ2若しくは食器3が引っかかったとしても搬出ガイド部30が軸心を中心に回動し、トレイ2若しくは食器3、又は搬出ガイド部30が破損しないようにすることができる。
【0070】
規制板31は、後述するように回転ドラム20が回転角度180度を越えてさらに200度に達するまではトレイ2が自重で滑り落ちないように、トレイ2の前端部に当接される円弧形状とされている。トレイ収集箱32は、フレーム22に設けられたスライドレール33に保持され側方に引き出すことができる(図8参照)。
【0071】
このような反転分離装置1にあって、回転ドラム20内の収納空間13に、第5の搬送コンベア75により搬入したトレイ2及びトレイ2に載置した食器3を収納した状態から、回転ドラム20を例えば180度回転させると、食器3及びトレイ2は上下方向に反転した状態となる。上下方向に反転したトレイ2は、トレイ保持ローラ17に保持され、上下方向に反転した食器3は、トレイ2から離れて搬出コンベア15上に乗る。この状態で、搬出コンベア15を駆動することで、食器3を収納空間13から搬出ガイド部30に搬出することができる。そして、食器3は、うつ伏せ姿勢を維持したまま、搬出ガイド部30を介して、第6の搬送コンベア76上に載置される。
【0072】
さらに、回転ドラム20を回転させ、上下方向に反転したトレイ2が保持されているトレイ保持ローラ17の収納空間13の入口となる開口側を下向きに傾斜させると、規制板31によるトレイ2の規制が外れたタイミングで、トレイ2は自重でトレイ保持ローラ17上を滑って収納空間13からトレイ収集箱32に搬出される。
【0073】
(反転分離装置の収納空間の詳細)
図8は、反転分離装置1の一部構成を省略した正面図、図9は、反転分離装置1の収納空間13の投影図である。収納空間13に臨んで、その左右両側のサイドカバー25,26に食器ガイド34が設けられている。食器ガイド34は、収納空間13の反転時に食器3をガイドする摺動性の高い樹脂材等で成り、搬出コンベア15により収納空間13から食器3を搬出する際、食器3がトレイ保持ローラ17に引っ掛からないようにするためのものである。
【0074】
収納空間13の奥方背面には、当て止め部35が設けられている。当て止め部35は、回転ドラム20を回転した際に収納空間13に収納した食器3及びトレイ2が収納空間13から回転ドラム20の回転軸24側へと滑り落ちないよう当て止めするためのものである。
【0075】
図10(a)は食器・トレイ収納前の収納空間13の正面図、図10(b)は食器・トレイ収納後の収納空間13の正面図である。収納空間13に、トレイ2及びトレイ2に載置された食器3が搬入されると、トレイ2は、その底面の両サイドが下方からトレイ保持部14に保持される。
【0076】
その状態で、トレイ2の両サイド上端部と、トレイ2の上下方向反転時にトレイ2を保持するトレイ保持ローラ17との間には隙間ができる。また、トレイ2に載置された食器3の上端面と、搬出コンベア15の下面との間にも隙間ができる。
【0077】
なお、これらの隙間の大きさを比較すると、トレイ2の両サイド上端部とトレイ2の上下方向反転時にトレイ2を保持するトレイ保持ローラ17との間の隙間よりも、トレイ2に載置された食器3の上端面と搬出コンベア15の下面との間の隙間の方が大きくなるよう構成してもよい。これにより、上下方向反転時にトレイ2と食器3とを確実に分離することができる。
【0078】
また、トレイ2の両サイド上端部とトレイ2の上下方向反転時にトレイ2を保持するトレイ保持ローラ17との間の隙間と、トレイ2に載置された食器3の上端面と搬出コンベア15の下面との間の隙間が略同一の大きさとするように構成してもよい。
【0079】
このように、収納空間13は、トレイ2と食器3の高さ寸法や形状に応じて適宜に構成されている。
【0080】
上記のように構成された回転ドラム20の収納空間13内に食器3及びトレイ2を搬入した状態から、回転ドラム20を回転させて食器3及びトレイ2を上下方向に反転させると、トレイ2はトレイ保持部14による保持からトレイ保持ローラ17の保持に変わり、食器3を自重によりトレイ2から分離することができる。
【0081】
このトレイ2の保持がトレイ保持ローラ17へと変わるとき、トレイ2の上端面とトレイ保持ローラ17との間には隙間があるので、振動が生じる。この振動でもって、食器3をトレイ2から分離し易くすることができる。
【0082】
(食器洗浄装置)
食器洗浄装置5Aについて図28を参照して説明する。食器洗浄装置5Aは、第6の搬送コンベア76に食器3を伏せた状態で搬送しながら洗浄するものであり、荒洗浄工程、本洗浄工程、及び仕上すすぎ工程を行う構成から成る。
【0083】
荒洗浄工程のための構成は、荒洗浄タンク51a、荒洗浄ポンプ52a、及びノズル53aを備える。荒洗浄タンク51aは、荒洗浄を行うための洗浄水を貯水するタンクで、貯水した洗浄水をヒータ(図示なし)により所定の温度まで加熱する。荒洗浄ポンプ52aは、荒洗浄タンク51aに貯水した洗浄水を吸い込んで吐出する。ノズル53aは、荒洗浄ポンプ52aより吐出された洗浄水を食器3に噴射して洗浄する。
【0084】
本洗浄工程のための構成は、本洗浄タンク51b、本洗浄ポンプ52b、及びノズル53bを備える。本洗浄タンク51bは、本洗浄を行うための洗浄水を貯水するタンクで、ヒータ(図示なし)により本洗浄タンク51bに貯水した洗浄水を所定の温度まで加熱する。本洗浄ポンプ52bは、本洗浄タンク51bに貯水した洗浄水を吸い込んで吐出する。ノズル53bは、本洗浄ポンプ52bより吐出された洗浄水を食器3に噴射して洗浄する。
【0085】
仕上すすぎ工程のための構成は、仕上すすぎタンク51c、仕上すすぎポンプ52c、及びノズル53cを備える。仕上すすぎタンク51cは、仕上すすぎを行うための清水を貯水するタンクで、ヒータ(図示なし)により貯水した清水を所定の温度まで加熱する。仕上すすぎポンプ52cは、仕上すすぎタンク51cに貯水した清水を吸い込んで吐出する。ノズル53cは、仕上すすぎポンプ52cより吐出された清水を食器3に噴射して洗浄する。
【0086】
食器洗浄装置5Aでは、ノズル53aから噴射した洗浄水は荒洗浄タンク51aへ、ノズル53bから噴射した洗浄水は本洗浄タンク51bへ、ノズル53cから噴射した清水は図示しない流動板により本洗浄タンク51bへと流動し、洗浄水は循環して洗浄に使用される。
【0087】
(搬出部)
搬出部70は、図1の洗浄装置5の下流側にあり、食器洗浄装置5Aで洗浄された食器3、及び蓋洗浄装置5Bで洗浄された蓋3aを搬出する部分である。仕分けロボット8は、マニュピレータとしての少なくとも1本のアームの先端に食器3及び蓋3aを掴む円旋回可能とされた保持部(図示なし)を備え、保持部は、エアシリンダの下端に設けられた吸着パッドを有し、吸着パッドを通じて負圧により食器3及び蓋3aをそれぞれ吸着させて搬送する。
【0088】
この保持部により、第6の搬送コンベア76により搬送される食器3を伏せた状態で保持して食器回収コンテナ9内に積重ねて収納し、また、蓋3aを蓋回収コンテナ10に積重ねて回収する。食器回収コンテナ9及び蓋回収コンテナ10は、例えば樹脂製の篭から成る。
【0089】
(トレイ洗浄装置)
トレイ洗浄装置5Cは図示していないが、上面視略矩形状のトレイ2の一辺を下方にし立てた状態でコンベアの搬送面に載置し、トレイ2が転倒しないように設けたガイドレールにより支持しつつ、コンベアにより搬送して洗浄する。
【0090】
トレイ洗浄装置5Cは、図28に示した食器洗浄装置5Aと略同一の構造を有し、洗浄水を貯水するタンク、タンクに貯水した洗浄水を所定の温度まで加熱するヒータ、タンクに貯水した洗浄水を吸い込み吐出するポンプ、及びポンプにより吐出された洗浄水を噴射するノズルを備える。洗浄水を噴射するノズルは、一辺を下方にし立てた状態でトレイ2を搬送するため、トレイ2の搬送方向に直交する水平方向に、対向して配置すればよい。
【0091】
なお、トレイ洗浄装置5Cは、食器洗浄装置5A又は蓋洗浄装置5Bと一体の構造としてもよい。これにより、食器洗浄システム100を設置する施設の床面積を可能な限り小さくし、食器洗浄システム100を使用して行う作業スペースを広くとることができる。
【0092】
(食器洗浄システムの動き)
以下、食器洗浄システム100の動きを、上述の図に加えて食器・トレイの反転分離方法のステップを示す図31を参照しつつ、各ステップに分けて説明する。
【0093】
(搬入ステップ)
図29に示すように、搬入ステップS10では、搬入部7に食器3を載せたトレイ2を搬入し、第1の搬送コンベア71を駆動することにより、食器3を載せたトレイ2を搬送する。この搬送に伴い、トレイ2は、位置決めガイド61により搬送姿勢が整列され、また、トレイ2上の蓋3a付きの食器3は、位置調整部材66によりトレイ2上で搬送方向と直交する方向の両側に仕分けられる。
【0094】
(蓋分離搬送ステップ)
蓋分離搬送ステップS20では、第1の搬送コンベア71は、食器3を載せたトレイ2を蓋取り装置6内に搬送した時点で一時的に停止する。蓋取り装置6の保持部63は、所定の位置まで下降し、吸着パッド62を蓋3aの表面に接触させる。このとき、保持部63に有するシリンダーにより、それぞれの吸着パッド62を食器の高さに合わせて、吸着する位置が調整される。その吸着パッド62の負圧により蓋3aを吸着し、保持部63は上昇し食器3から蓋3aを取り上げて分離する。その後、再び、第1の搬送コンベア71が駆動され、蓋3aを分離された食器3及びトレイ2を第3の搬送コンベア73へと搬送する。
【0095】
保持部63は、駆動手段64の動作により、保持した蓋3aを第2の搬送コンベア72上に搬送する。蓋3aが第2の搬送コンベア72上に搬送されたとき、保持部63は所定の位置まで下降し、吸着パッド62の吸着を解除し、蓋3aを第2の搬送コンベア72上に落とし、第2の搬送コンベア72により下流側に設けた蓋洗浄装置5Bへと搬送する。
【0096】
(蓋洗浄ステップ)
図1に示すように、蓋洗浄ステップS30では、第2の搬送コンベア72により下流側へと搬送された蓋3aを、搬送しながら蓋洗浄装置5Bにより洗浄する。
【0097】
(浸漬洗浄ステップ)
図27に示すように、浸漬洗浄ステップS40では、図27(a)~(d)に示した浸漬装置4において、第3の搬送コンベア73による食器・トレイの搬送中(図示の矢印は搬送方向を示す)に、ポンプ42を駆動してノズル43から浸漬水を食器・トレイに供給して貯水し、食器・トレイを浸漬洗浄する。第4の搬送コンベア74は、昇降リフタにより高さ調整のために昇降して、第3の搬送コンベア73から食器・トレイを受け取り、反転分離装置1に食器・トレイを搬入する第5の搬送コンベア75に受け渡す。
【0098】
浸漬装置4により、食器・トレイに付着した汚れに対して浸漬洗浄を行うことにより、食器・トレイに付着した汚れを湿潤させて除去し易くすることができる。また、浸漬水を昇温して食器・トレイに供給し付着した汚れを昇温させれば、付着した汚れが油分を含んだ汚れである場合にも除去し易くなる。
【0099】
さらに、食器3とトレイ2との間に入り込んだ汚れを湿潤させるとともに昇温することで、汚れによりトレイ2に接着された食器3を分離し易くし、円滑にトレイ2から食器3を分離することができる。この浸漬洗浄ステップS40を行った後に、反転分離装置1での後述する食器・トレイの反転分離ステップS50を行うことにより、トレイ2が浸漬洗浄されているので、トレイ2から食器3を分離しやすくし、確実にトレイ2から食器3を分離することができる。
【0100】
(食器・トレイの反転分離ステップ)
反転分離装置1により実施される食器・トレイの反転分離ステップS50について、図面を参照して説明する。食器・トレイの反転分離ステップS50は、収納ステップS51、反転分離ステップS52、食器搬出ステップS53、及びトレイ搬出ステップS54により構成されている。
【0101】
図11~18は、反転分離装置1の食器・トレイの反転分離ステップS50を示す図であり、回転ドラム20の回転角度毎での動作を示している。図19~26は、上記図11~18に対応する斜視図である。後述するように収納空間13に搬入された食器・トレイは、回転ドラム20が回転することにより収納空間13内で移動しながら反転される。図11~26では、図の見やすさを考慮し、食器・トレイの収納空間13内で食器・トレイが移動する状態の一部を表現していない。また、図11~18の規制板31は、図の見やすさを考慮し、回転ドラム20から離して記載している。
【0102】
(収納ステップ)
図11は、回転ドラム20のドラム回転角度0度でトレイ2及び食器3の未搬入時を、図12は、ドラム回転角度0度でトレイ2及び食器3の搬入済の状態を示す。これらは、トレイ2及びトレイ2に載置した食器3を第5の搬送コンベア75により収納空間13内に収納する収納ステップS51に相当する。ここに、ドラム回転角度0度の状態での搬入側の一つの収納空間13への食器・トレイの搬入・収納方向(トレイ保持部14及び搬出コンベア15の方向)は、水平方向となる。
【0103】
(反転分離ステップ)
図13は、ドラム回転角度90度の状態で、次の収納空間13に新たなトレイ2及び食器3を搬入した状態を示す。このとき、ドラム回転角度90度となった収納空間13内の最初に搬入された食器・トレイからは、食器・トレイに付着していた汚れとともに、浸漬洗浄ステップS40で供給して貯水した浸漬水が排出される。そして、排出された浸漬水は、回転ドラム20の下方に備える浸漬水誘導板36へと落下流動し、浸漬水誘導板36の中央に設けた排水口36aから施設の排水溝へと排出することができる。これにより、食器・トレイに付着していた汚れとともに、浸漬水を周囲の床へ飛散させずにまとめて排出し、食器洗浄システム100を設置する施設の作業環境が悪化することを抑制することができる。
【0104】
図14は、ドラム回転角度180度で、最初に搬入したトレイ2及び食器3の未搬出時を示す。ドラム回転角度が0度から90度を経て180度に至るステップは、反転分離ステップS52に相当し、前記収納ステップS51の後、収納したトレイ2及び食器3を収納空間13ごと回転させることにより、トレイ2及び食器3を上下方向に反転させ、トレイ2から食器3を分離する。反転させ分離したトレイ2はトレイ保持ローラ17に載置され、反転させ分離した食器3は搬出コンベア15に載置された状態となる。
【0105】
(食器搬出ステップ)
図15は、ドラム回転角度180度で、最初に搬入した食器3の搬出中の状態を示す。これは、前記反転分離ステップS52の後に、収納空間13に設けた搬出コンベア15を駆動することにより、反転してトレイ2から分離した食器3を収納空間13内から搬出する食器搬出ステップS53に相当する。ここに、水平方向に位置する搬出コンベア15により反転状態の食器3を搬出するので、例えばローラを用いる場合に比べて、大きさや形状が異なる複数の食器3に対しても円滑に搬出することができる。
【0106】
ドラム回転角度180度の位置で、搬出コンベア15の駆動連結部28と搬出コンベア駆動部29とが連結され、搬出コンベア15を駆動することができる状態となる。連結は、マグネット結合により成されるので、ドラム回転角度180度の位置で回転ドラム20を停止させるだけで、連結することができる。また、連結した駆動連結部28と搬出コンベア駆動部29とは、搬出コンベア15により食器3を搬出した後、回転ドラム20を回転させるだけでその連結を解除することができる。
【0107】
トレイ2には、様々な種類の食器3が載せられて搬入される。食器3は形状や重量が異なり、自重落下させて搬出させると、うまく搬出できないおそれがある。本実施形態の反転分離装置1では、搬出コンベア15でロープ状のベルト15cを駆動して食器3を搬出することにより、様々な種類の食器3の反転された姿勢を維持して搬出することができる。
【0108】
図16は、ドラム回転角度200度で、最初に搬入したトレイ2の未搬出時を、図17は、ドラム回転角度200度で、最初に搬入したトレイ2の搬出中の状態を示す。
【0109】
図16及び図17では、ドラム回転角度200度となった部分でトレイ2が搬出されるが、その対向する側であるドラム回転角度20度となった食器・トレイからは、食器・トレイに付着した汚れとともに、浸漬洗浄ステップS40で供給して貯水した浸漬水を少しずつ排出することができる。これにより、食器・トレイに貯水した浸漬水が食器・トレイから排出される流れを穏やかにし、回転ドラム20内で食器・トレイに付着していた汚れとともに浸漬水が飛散することを抑制することができる。そして、回転ドラム20を清掃する際には、清掃箇所を可能な限り少なくし、作業を少なくして省人化を図ることができる。
【0110】
(トレイ搬出ステップ)
図18は、ドラム回転角度200度で、最初に搬入したトレイ2の搬出済の状態を示す。これらは、前記食器搬出ステップS53の後に、収納空間13内に上下方向に反転して収納されているトレイ2を搬出するトレイ搬出ステップS54に相当する。ドラム回転角度が180度から200度の間は、トレイ2は規制板31により搬出が規制されており、ドラム回転角度が200度に達すると、この規制が解除され、トレイ2が自重により滑り落ちる。
【0111】
上記のように、反転分離装置1における回転ドラム20には、複数の収納空間13(トレイ保持部14及び搬出コンベア15をも含め)が設けられているので、図11及び図12に示される回転ドラム20の回転角度0度のときに、搬入側の収納空間13にトレイ2及び食器3を搬入し、図13に示す回転角度90度毎に繰り返し連続的に搬入し、図14及び図15に示される回転角度180度で搬出側の収納空間13に臨む搬出コンベア15を駆動して収納空間13から食器3を先に搬出し、さらにその後、図16~18に示される回転角度200度で搬出側の収納空間13からトレイ2を自重により搬出する。
【0112】
このように複数の収納空間13を用いて、収納空間13の一つに食器・トレイを収納し、回転ドラム20を所定角度回転させた後、上記とは異なる一つの収納空間13に新たに食器・トレイを収納する。
【0113】
かくして、同時に、複数の収納空間13内で、順次、収納ステップS51と、反転分離ステップS52と、食器搬出ステップS53と、トレイ搬出ステップS54と、を行うことができる。そして、さらに、食器・トレイに貯水した浸漬水とともに、食器・トレイに付着していた汚れを排出することができる。
【0114】
これにより、連続的に複数のトレイ2及びトレイ2に載置した食器3を収納空間13に収納し、反転分離を行うことを容易とすることができる。そして、多数の食器・トレイを短時間で能率良く、かつ確実に反転、分離、浸漬水の排出をすることができ、人手を要することなく省人化を図ることができる。
【0115】
また、食器3の搬出は、回転ドラム20を所定の位置で一時停止させて搬出コンベア15を外部駆動して行い、トレイ2の搬出は、食器3の搬出後、食器3の搬出とは異なる位置で回転ドラム20を回転させたままトレイ2の自重による落下で行う。なお、トレイ2の排出も、回転ドラム20のドラム回転角度200度となった位置で一時停止させてもよい。これにより、収納空間13からのトレイ2の搬出をより確実なものとすることができる。
【0116】
これにより、反転分離装置1の構成は比較的に簡単なもので済み、かつ食器3及びトレイ2の搬出を確実かつ能率良く行うことができる。ここに、食器3は上段に搬出され、トレイ2は下段に搬出されることになり、それぞれの回収処理構成も簡単なものとなる。
【0117】
(食器洗浄ステップ)
図28に示すように、食器洗浄ステップS60では、食器洗浄装置5Aにおいて、食器搬出ステップS53により収納空間13内から搬出した食器3を、第6の搬送コンベア76に伏せた状態で搬送しながら洗浄し、上述したごとく、荒洗浄工程、本洗浄工程、及び仕上すすぎ工程を行う。
【0118】
(搬出ステップ)
図1に示すように、搬出ステップS70では、搬出部70において、食器洗浄ステップS60により洗浄した食器3と、蓋洗浄ステップS30により洗浄した蓋3aを、仕分けロボット8により、それぞれ食器回収コンテナ9と蓋回収コンテナ10に回収する。
【0119】
(トレイ洗浄ステップ)
トレイ洗浄ステップS80では、トレイ搬出ステップS54で図1に示すトレイ搬出部12に搬出されてトレイ収集箱32に複数枚積重ねたトレイ2を、トレイ収集箱32ごと図示の矢印B方向に引き出して搬出し、人手によりトレイ洗浄装置5Cへと搬入する。そして、公知のトレイ供給器により1枚ずつトレイ洗浄装置5Cへと供給されて洗浄されたトレイ2は、人手によりトレイ回収コンテナ(図示なし)に回収する。
【0120】
なお、食器洗浄システム100は、トレイ搬出ステップS54でトレイ搬出部12へと搬出されたトレイ2をトレイ洗浄装置5Cへと搬送するコンベアと、トレイ洗浄装置5Cにより洗浄したトレイ2を搬出してトレイ回収コンテナに回収するコンベアと、を備えていてもよい。これにより、トレイ洗浄ステップS80で作業者によりトレイ2を運ぶ必要がなくなり、人手を要することなく省人化を図ることができる。
【0121】
(本実施形態のさらなる特徴)
本実施形態に係る食器洗浄システム100及びその反転分離装置1においては、さらに次のような特徴を有する。
【0122】
本実施形態の食器洗浄システム100においては、反転分離装置1の回転ドラム20により食器3を反転させ、うつ伏せ姿勢にするとともに、食器3に付着していた汚れを貯水していた浸漬水とともに排出し、かつ反転後の食器3を略水平となる位置でうつ伏せ姿勢を維持したまま収納空間13から搬出し、食器洗浄装置5Aへ搬送する。
【0123】
このため、食器3の搬出位置と、食器3とトレイ2に付着していた汚れとともに排出する浸漬水の排出先とを異ならせ、浸漬水排出時にその落下方向に食器3とトレイ2が存在しない構成とし、排出した浸漬水と食器3とトレイ2との再接触を可能な限り抑制することができる。
【0124】
従って、食器洗浄装置5Aに搬入する前の食器3へ汚れの再付着が低減され、食器洗浄装置5Aでの洗浄性が向上し、しかも、食器洗浄装置5Aで洗浄に循環して使用する洗浄水の清浄度の低下を抑制することができる。
【0125】
また、従来のように食器を食器洗浄装置の搬送コンベア上に自重落下させた場合は、搬送コンベア上に載置される食器の姿勢はまばらとなるため、汚れが最も付着しやすい食器の喫食面である上表面を洗うことが困難となる。一方、本実施形態では、人手を介することなく食器3をうつ伏せの姿勢で食器洗浄装置5Aへと搬送して、食器洗浄装置5A内で食器3の上表面を洗浄することができるため、省人化を図ることができる。
【0126】
本実施形態では、食器3を略水平方向に搬出してから、トレイ2を自重で搬出する。その点、姿勢が崩れやすい食器3は、自重落下で搬出すると、うつ伏せ姿勢を維持できないおそれがあるが、反転により、うつ伏せ姿勢となった食器3を略水平方向に搬出することで、安定して、うつ伏せ姿勢を維持して搬出することができる。また、食器3より自重が大きく、扁平形状で落下時に姿勢を崩しにくいトレイ2は、簡易な構成で搬出することができる。
【0127】
本実施形態では、食器3とトレイ2を反転する際に、食器3とトレイ2に貯水していた浸漬水を排出するとともに、食器3とトレイ2を分離し、食器3とトレイ2とを反転した状態で、それぞれ搬送可能な状態とする。
【0128】
従来の、食器を自重落下により搬送コンベア上に分離する構成では、搬送コンベア上に食器が到達するまでに姿勢が変わり、または搬送コンベア上に到達したときの衝撃で姿勢が変わってしまい、形状(高さ、サイズ、丸・四角など)が異なる複数の食器の全てを確実にうつ伏せにすることができない。
【0129】
その点、本実施形態では、形状の異なる複数の食器3を、1回の反転で、うつ伏せ姿勢に変更し、反転したトレイ2から分離した食器3を、トレイ2から近い位置で受けとめる。食器3を受け止める搬出コンベア15が可撓性のベルト15cであることで、食器3が搬出コンベア15に到達する際の衝撃を緩和し食器3が跳ねないので、姿勢が変わりにくい。
【0130】
そして、食器3を受け止めた搬出コンベア15を駆動して、食器3を回転ドラム20から搬出する。この搬送コンベア15は、搬送面が略水平となる所定の位置で、搬出コンベア15と駆動部29とを着脱自在の継手で連結するよう構成している。このため、食器3が滑り落ちることがなく、任意のタイミングでより確実に回転ドラム20から食器3を搬出することができる。
【0131】
本実施形態においては、トレイ2に食器3を載せたまま、上表面を上向きとしたまま浸漬装置4に搬入し、上表面側から浸漬水を供給して、食器3とトレイ2の上表面側に浸漬水を貯水し、上表面を浸漬洗浄する。浸漬洗浄の後、その状態で反転分離装置1によりトレイ2ごと反転して、食器3とトレイ2に貯水していた浸漬水を排出するとともに、食器3とトレイ2とを反転した状態で搬出する。
【0132】
このため、反転分離装置1において、喫食後の形状の異なる複数の食器3を載せた状態のトレイ2を反転する際、食器3とトレイ2を、より確実に、うつ伏せにして、それぞれ分離することができる。また、可撓性のベルト15cから成る搬出コンベア15により、食器3はうつ伏せ姿勢を維持しつつ、食器洗浄装置5Aへと搬入することができる。トレイ2は、うつ伏せのまま、トレイ洗浄装置5Cへ搬入することもできるし、姿勢を変えて洗浄することも可能である。
【0133】
また、一般に食器3の主な汚れが付着する面は、食品を盛り付ける喫食面である上表面となる。従って、食器3は、付着していた汚れを除去するためと、噴射した洗浄水を効率よく回収するために、うつ伏せで食器洗浄装置5Aへ搬入することが望ましい。本実施形態による食器洗浄システム100の食器洗浄装置5Aでは、食器3をうつ伏せにした状態で洗浄することができる。
【0134】
(変形例)
本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、上記では、回転ドラム20の回転角度180度で搬出側の収納空間13から食器3を搬出し、その後、回転角度200度で搬出側の収納空間13からトレイ2を自重により搬出する例を示したが、これらの角度に限られることなく、食器3の搬出は、回転角度180度を少し過ぎた190度近くで行っても構わない。
【0135】
また、回転ドラム20の収納空間13が鉛直方向になった時点(図13に示すドラム回転角度90度の状態)で、回転ドラム20を一旦停止させるようにしてもよい。これにより、食器・トレイに付着していた汚れとともに浸漬水を効果的に排出することができる。なお、反転分離装置1には、回転ドラム20の上方から洗浄水を噴射供給する構成を付加し、これにより収納空間13内に付着した食器・トレイに付着していた汚れを除去するようにしてもよい。
【0136】
また、本実施形態では、回転ドラム20を停止させて食器3の搬出を行うときに、搬入側の収納空間13へ食器・トレイを搬入(第5の搬送コンベア75による)しており、回転ドラム20は間欠運転になっているが、回転ドラム20は、間欠運転でなく、連続運転して単位時間当たりの処理数を増やすようにしてもよい。回転ドラム20を連続運転とすると、搬出コンベア駆動部29と駆動連結部28との連結は、マグネット結合とするのが困難となる可能性がある。その場合は、搬出コンベア駆動部29の駆動を回転ドラム20に備えるよう構成してもよい。
【0137】
また、回転ドラム20を食器3の搬出位置に一律に回転させるのではなく、回転ドラム20の回転による反転中のトレイ2及び食器3に付着していた汚れとともに、食器・トレイに貯水した浸漬水を十分に排出させるために、回転ドラム20の回転に要する時間や回転速度を制御するようにしてもよい。
【0138】
また、回転ドラム20は、収納空間13、トレイ保持部14及び搬出コンベア15を、回転軸24の回りに放射状に90度間隔に4個備えた例を示したが、これに限られず、適宜の数だけ備えているものでよい。
【符号の説明】
【0139】
100 食器洗浄システム
101 制御部
102 操作部
1 反転分離装置
2 トレイ
3 食器
3a 蓋
11 食器搬出部
12 トレイ搬出部(トレイ収集部)
13 収納空間
14 トレイ保持部
15 搬出コンベア
15a 駆動軸
15b プーリー
15c ベルト
16 回転機構
17 トレイ保持ローラ(トレイ搬出機構)
20 回転ドラム
22 フレーム
23 軸受け
24 回転軸
25,26 サイドカバー
27 モータ
28 駆動連結部
29 搬出コンベア駆動部
30 搬出ガイド部
31 規制板
32 トレイ収集箱
33 スライドレール
34 食器ガイド
35 当て止め部
36 浸漬水誘導板
36a 排水口
4 浸漬装置(浸漬水供給部)
41 タンク
42 ポンプ
43 ノズル
5 洗浄装置
5A 食器洗浄装置
5B 蓋洗浄装置
5C トレイ洗浄装置
51a 荒洗浄タンク
51b 本洗浄タンク
51c 仕上すすぎタンク
52a 荒洗浄ポンプ
52b 本洗浄ポンプ
52c 仕上すすぎポンプ
53a ノズル
53b ノズル
53c ノズル
6 蓋取り装置(蓋分離搬送部)
61 位置決めガイド
62 吸着パッド
63 保持部
64 駆動手段
65 位置調整ローラ
66 位置調整部材
67 傾斜部
7 搬入部
70 搬出部
71 第1の搬送コンベア
72 第2の搬送コンベア
73 第3の搬送コンベア
74 第4の搬送コンベア
75 第5の搬送コンベア
76 第6の搬送コンベア
8 仕分けロボット
9 食器回収コンテナ
10 蓋回収コンテナ
S10 搬入ステップ
S20 蓋分離搬送ステップ
S30 蓋洗浄ステップ
S40 浸漬洗浄ステップ
S50 食器・トレイの反転分離ステップ
S51 収納ステップ
S52 反転分離ステップ
S53 食器搬出ステップ
S54 トレイ搬出ステップ
S60 食器洗浄ステップ
S70 搬出ステップ
S80 トレイ洗浄ステップ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31