(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130843
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】PET装置、PET-CT装置、情報生成表示方法、および情報生成表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20230913BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
G01T1/161 A
G01T1/161 E
A61B6/03 377
A61B6/03 360Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035370
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 幹志
【テーマコード(参考)】
4C093
4C188
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA25
4C093CA16
4C093CA22
4C093FB20
4C093FF36
4C093FG13
4C188EE02
4C188FF07
4C188GG18
4C188JJ02
4C188JJ25
4C188KK15
4C188KK24
4C188KK33
4C188MM04
(57)【要約】
【課題】複数のPET検出器リングの位置の移動に関する効率性を向上させること。
【解決手段】本実施形態に係るPET装置は、複数のPET検出器リングと、取得部と、生成部と、表示制御部と、を有する。複数のPET検出器リングは、被検体を載置する天板が挿入されるボア内の中心軸方向に沿って前記天板に対して相対的に移動可能である。取得部は、前記複数のPET検出器リング各々に関して、前記中心軸方向における位置情報を取得する。生成部は、前記位置情報に基づいて、前記複数のPET検出器リングに関する表示情報を生成する。表示制御部は、前記表示情報をディスプレイに表示させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を載置する天板が挿入されるボア内の中心軸方向に沿って前記天板に対して相対的に移動可能な複数のPET検出器リングと、
前記複数のPET検出器リング各々に関して、前記中心軸方向における位置情報を取得する取得部と、
前記位置情報に基づいて、前記複数のPET検出器リングの位置に関する表示情報を生成する生成部と、
前記表示情報をディスプレイに表示させる表示制御部と、
を備えるPET装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記被検体に関する情報を更に取得し、
前記生成部は、前記複数のPET検出器リングの位置と前記被検体に関する情報とを対応付けて前記表示情報を生成する、
請求項1に記載のPET装置。
【請求項3】
前記表示情報において前記複数のPET検出器リング各々を示すリング表示オブジェクトを移動させる操作を入力する入力部をさらに備える、
請求項1または2に記載のPET装置。
【請求項4】
前記リング表示オブジェクトの位置の確定後、移動された前記リング表示オブジェクトと前記位置情報とに基づいて、移動された前記リング表示オブジェクトに対応するPET検出器リングを、前記中心軸方向に沿って移動させる移動制御部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記リング表示オブジェクトの移動の操作に伴って前記表示情報を更新して前記ディスプレイに表示させる、
請求項3に記載のPET装置。
【請求項5】
前記表示情報において前記被検体の撮影範囲を入力する入力部をさらに備え、
前記生成部は、前記撮影範囲に基づいて、前記被検体の体長に応じた所定の間隔で前記複数のPET検出器リングを均等に配置させる第1モードと、前記被検体の複数の部位各々に応じて前記複数のPET検出器リングを前記中心軸方向に沿って密に配置させる第2モードとを含む複数の撮影モードから、前記撮影範囲に近い撮影モードを選択し、
前記表示制御部は、前記選択された撮影モードと、前記選択された撮影モードに応じたスキャン可能範囲とを、前記表示情報に加えて前記ディスプレイに表示させる、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のPET装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記複数のPET検出器リングにそれぞれ搭載された複数の投光器から前記被検体が搭載された前記天板に対して垂直に投光された投光位置を、前記位置情報として取得する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のPET装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記複数のPET検出器リング各々に搭載された複数のPET検出器からの出力に基づく同時計数イベントデータを取得し、
前記生成部は、前記同時計数イベントデータに基づいて、前記複数のPET検出器における単位時間当たりのガンマ線のカウント数を示すカウントレートマップを、前記複数のPET検出器リングごとに生成し、
前記表示制御部は、前記表示情報において、前記複数のPET検出器リング各々を示すリング表示オブジェクトに前記カウントレートマップを重畳させて前記ディスプレイに表示させる、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のPET装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記被検体の体長に応じた所定の間隔で前記複数のPET検出器リングを均等に配置させた状態での第1スキャンにおいて、前記複数のPET検出器リング各々に搭載された複数のPET検出器からの出力に基づいて、同時計数イベントデータを取得し、
前記生成部は、前記同時計数イベントデータに基づいて、ガンマ線のカウントの集積の分布を示す集積マップを、前記複数のPET検出器リングごとに生成し、
前記表示制御部は、前記表示情報において、複数の前記集積マップのうち最も集積が少ない集積マップに対応するPET検出器リングの位置を中心として前記複数のPET検出器リングを密に配置した状態を、第2スキャンにおける前記複数のPET検出器リングの推奨配置として、前記ディスプレイに表示させる、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のPET装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記被検体に対する第1スキャンにおいて、前記複数のPET検出器リング各々に搭載された複数のPET検出器からの出力に基づいて、同時計数イベントを取得し、
前記生成部は、前記同時計数イベントに基づいて、単位時間当たりのガンマ線のカウント数を示すカウントレートマップを、前記複数のPET検出器リングごとに生成し、
前記表示制御部は、前記表示情報において、前記カウント数が所定の値に到達したことを契機として、前記第1スキャンから第2スキャンへの切り替えを示す切り替えオブジェクトを、前記ディスプレイに表示させる、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のPET装置。
【請求項10】
前記被検体に対する第1スキャンにおいて、前記被検体の体長に応じた所定の間隔で前記複数のPET検出器リングを均等に配置させるように、前記複数のPET検出器リングを前記中心軸方向に沿って移動させ、
前記第1スキャンの実行後において、前記所定の間隔に対応する複数の位置に前記複数のPET検出器リングをそれぞれ配置させるように、前記複数のPET検出器リングまたは前記被検体が載置された前記天板を前記中心軸方向に沿って移動させる移動制御部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記第1スキャンの実行時と前記第1スキャンの後に実行される第2スキャンの実行時とにおいて、前記複数のPET検出器リングと前記天板との相対的な位置関係が異なるように、前記表示情報を、前記ディスプレイに表示させる、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のPET装置。
【請求項11】
被検体を載置する天板が挿入されるボア内の中心軸方向に沿って前記天板に対して相対的に移動可能な複数のPET検出器リングと、
前記被検体に対してCTスキャンを行うCT撮像機構と、
前記CTスキャンの実行指示を入力する入力部と、
前記実行指示の入力を契機として、前記複数のPET検出器リングを、前記CTスキャンにおける撮像範囲から退避させるように移動させる移動制御部と、
を備えるPET-CT装置。
【請求項12】
被検体を載置する天板が挿入されるボア内の中心軸方向に沿って前記天板に対して相対的に移動可能な複数のPET検出器リング各々に関して、前記中心軸方向における位置情報を取得し、
前記位置情報に基づいて、前記複数のPET検出器リングの位置に関する表示情報を生成し、
前記表示情報をディスプレイに表示させること、
を備える情報生成表示方法。
【請求項13】
コンピュータに、
被検体を載置する天板が挿入されるボア内の中心軸方向に沿って前記天板に対して相対的に移動可能な複数のPET検出器リング各々に関して、前記中心軸方向における位置情報を取得し、
前記位置情報に基づいて、前記複数のPET検出器リングの位置に関する表示情報を生成し、
前記表示情報をディスプレイに表示させること、
を実現させる情報生成表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、PET装置、PET-CT装置、情報生成表示方法、および情報生成表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PET(Positoron Emission Tomography:陽電子放出コンピュータ断層撮影)装置は、光子を検出するPET検出器がリング状に配列されたPETリングを有する。近年、複数のPETリングを有するPET装置が開発されている。複数のPETリングは、体軸方向に沿って自由に移動されるように構成されることがある。複数のPETリングを自由に移動させることができる場合、複数のPETリング各々の位置は、被検体の体軸方向に沿った撮影範囲の長さに応じて、適宜変更可能となる。
【0003】
しかしながら、被検体の全身を撮影する場合および被検体の特定の部位を撮影する場合など、撮影範囲に応じてユーザーが複数のPETリングの位置を移動させる場合、ユーザーはPETリングの位置の把握が困難となることがある。このため、PETリングの任意の位置に配置する場合、PETリングの位置を効率的に移動させることが難しいということがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、複数のPET検出器リングの位置の移動に関する効率性を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係るPET装置は、複数のPET検出器リングと、取得部と、生成部と、表示制御部と、を有する。複数のPET検出器リングは、被検体を載置する天板が挿入されるボア内の中心軸方向に沿って前記天板に対して相対的に移動可能である。取得部は、前記複数のPET検出器リング各々に関して、前記中心軸方向における位置情報を取得する。生成部は、前記位置情報に基づいて、前記複数のPET検出器リングの位置に関する表示情報を生成する。表示制御部は、前記表示情報をディスプレイに表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るPET-CT装置の構成を示す図。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係り、撮影範囲に応じた複数のPET検出器リングの配置の一例を示す図。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る情報生成表示処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係り、ディスプレイに表示された表示情報の一例を示す図。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係り、ステップS306においてスキャノ画像に対して被検体の頭部から脚部までスワイプされたときの表示情報の一例を示す図。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係り、ステップS306においてスキャノ画像に対して被検体の肩部から腰部までスワイプされたときの表示情報の一例を示す図。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係り、
図4に示す表示情報に対するユーザーの操作の一例を示す図。
【
図8】
図8は、第1実施形態の第1応用例に係り、ディスプレイに表示されたカウントレートマップの一例を示す図。
【
図9】
図9は、第1実施形態の第4応用例に係り、被検体に対する複数のPET検出器リングの配置において、第1スキャン第2スキャンとの相違の一例を示す図。
【
図10】
図10は、第1実施形態の変形例に係り、投光器から投稿されたレーザーによる投光位置の一例を示す図。
【
図11】
図11は、第1実施形態の変形例に係り、第1カメラによる撮影領域と、第2カメラによる撮影領域との一例を示す図。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係り、PET-CT検査における複数のPET検出器リングの動作の手順の一例を示す流れ図。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係り、X線の曝射範囲外へ退避された複数のPET検出器リングの位置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、PET(Positoron Emission Tomography:陽電子放出コンピュータ断層撮影)装置、PET-CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置、情報生成表示方法、および情報生成表示プログラムについて詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。なお、本願に係るPET装置、PET-CT装置、情報生成表示方法、および情報生成表示プログラムは、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
【0009】
本実施形態に係るPET装置は、PET撮像(PETスキャンおよびPETスキャノ)を行う撮像機構を有する。このようなPET装置としては、例えば、PET撮像機能のみを有するPET装置、PET撮像機構とX線CT(Computed Tomography)撮像機構とを有するPET-CT装置、PET撮像機構とMR(Magnetic Resonance)撮像機構とを有するPET-MR装置等が挙げられる。以下、説明を具体的に行うため、本実施形態はPET-CT装置であるものとする。本実施形態におけるPET撮像機構では、複数のPET検出器リングを有する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るPET-CT装置1の構成を示す図である。
図1に示すように、PET-CT装置1は、PETガントリ10、CTガントリ30、寝台50及びコンソール70を有する。典型的には、PETガントリ10、CTガントリ30及び寝台50は、共通の検査室に設置される。コンソール70は、検査室に隣接する制御室に設置される。PETガントリ10は、被検体PをPET撮像(PETスキャンおよび/またはPETスキャノ)するための撮像装置である。CTガントリ30は、被検体PをX線CT撮像(CTスキャンおよび/またはCTスキャノ)するための撮像装置である。寝台50は、撮像対象の被検体Pを載置する天板53を移動自在に支持する。コンソール70は、PETガントリ10、CTガントリ30及び寝台50などを制御するコンピュータである。
【0011】
PETガントリ10は、例えば、複数のPET検出器リング、信号処理回路13、同時計数回路15、およびリング移動機構16を有する。
図1では、1つのPET検出器リング11が示されているが、実際のPETガントリ10には、被検体Pを載置する天板53が挿入されるボア20内の中心軸方向(Z方向)に沿って天板53に対して相対的に移動可能な複数のPET検出器リングが搭載される。このとき、信号処理回路13及び同時計数回路15は、例えば、複数のPET検出器リング各々に対して設けられる。リング移動機構16は、複数のPET検出器リング各々を、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って移動可能に支持する。なお、PETガントリ10とCTガントリ30とは、同一の筐体に収められてもよい。
【0012】
PET検出器リング11は、中心軸Z回りの円周上に配列された複数のガンマ線検出器17を有する。ガンマ線検出器17は、PET検出器とも称される。PET検出器リング11の開口部には、画像視野(FOV:Field Of View)が設定される。画像視野に被検体Pの撮像部位が含まれるように、被検体Pが位置決めされる。被検体Pには陽電子放出核種により標識された薬剤が投与される。陽電子放出核種から放出された陽電子は周囲の電子と対消滅する。対消滅により、一対の対消滅ガンマ線が発生される。ガンマ線検出器17は、被検体Pの体内から放出された対消滅ガンマ線を検出する。ガンマ線検出器17は、検出された対消滅ガンマ線の光量に応じた電気信号を生成する。例えば、ガンマ線検出器17は、複数のシンチレータと複数の光電子増倍管とを有する。シンチレータは、被検体P内の放射性同位元素に由来する対消滅ガンマ線を受けて、シンチレーション光を発生する。光電子増倍管は、シンチレーション光の光量に応じた電気信号を発生する。発生された電気信号は、信号処理回路13に供給される。
【0013】
信号処理回路13は、ガンマ線検出器17から出力された電気信号に基づいてシングルイベントデータを生成する。具体的には、信号処理回路13は、当該電気信号に対して、例えば、検出時刻計測処理、位置計算処理、及びエネルギー計算処理を施す。信号処理回路13は、検出時刻計測処理、位置計算処理、及びエネルギー計算処理を実行可能に構成された特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現される。
【0014】
検出時刻計測処理において信号処理回路13は、ガンマ線検出器17によるガンマ線の検出時刻を計測する。具体的には、信号処理回路13は、ガンマ線検出器17からの電気信号の波高値をモニタリングし、波高値が予め設定された閾値を超える時刻を検出時刻として計測する。換言すれば、信号処理回路13は、波高値が閾値を超えたことを検知することにより、電気的に対消滅ガンマ線を検出する。位置計算処理において信号処理回路13は、ガンマ線検出器17からの電気信号に基づいて、対消滅ガンマ線の入射位置を計算する。対消滅ガンマ線の入射位置は、対消滅ガンマ線が入射したシンチレータの位置座標に対応する。エネルギー計算処理において信号処理回路13は、ガンマ線検出器17からの電気信号に基づいて、検出した対消滅ガンマ線のエネルギー値を計算する。
【0015】
シングルイベントに関する検出時刻のデータと位置座標のデータとエネルギー値のデータとは関連付けられる。シングルイベントに関するエネルギー値のデータと位置座標のデータと検出時刻のデータとの組合せは、シングルイベントデータと呼ばれている。シングルイベントデータは、対消滅ガンマ線が検出される毎に次々に生成される。生成されたシングルイベントデータは、同時計数回路15に供給される。
【0016】
同時計数回路15は、信号処理回路13からのシングルイベントデータに対して、同時計数処理を施す。ハードウェア資源としては、同時計数回路15は、同時計数処理を実行可能に構成されたASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現される。同時計数処理において同時計数回路15は、繰り返し供給されるシングルイベントデータの中から、予め定められた時間枠内に収まる2つのシングルイベントに関するシングルイベントデータを繰り返し特定する。この対のシングルイベントは、同一の対消滅点から発生された対消滅ガンマ線に由来すると推定される。対のシングルイベントは、まとめて同時計数イベントと呼ばれる。この対消滅ガンマ線を検出した対のガンマ線検出器17(より詳細にはシンチレータ)を結ぶ線は、LOR(Line Of Response)と呼ばれる。LORを構成する対のイベントに関するイベントデータは、同時計数イベントデータと呼ばれる。同時計数イベントデータとシングルイベントデータとは、コンソール70に伝送される。以下、同時計数イベントデータとシングルイベントデータとを特に区別しないときは、これらをまとめてPETイベントデータと呼ぶこととする。
【0017】
なお、上記構成において信号処理回路13と同時計数回路15とは、PETガントリ10に含まれるとしたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、同時計数回路15、又は信号処理回路13と同時計数回路15との双方が、PETガントリ10とは別体の装置に含まれても良い。また、同時計数回路15は、PETガントリ10に搭載される複数の信号処理回路13に対して一つ設けられても良いし、PETガントリ10に搭載される複数の信号処理回路13を複数のグループに区分し、各グループに対して一つ設けられても良い。
【0018】
リング移動機構16は、複数のPET検出器リングを、後述の処理回路73における移動制御機能737による制御の下で、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って移動させる。リング移動機構16は、例えば、複数のPET検出器リングを、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って移動可能に支持するリング支持機構と、リング支持機構において複数のPET検出器リングを移動させる移動機構と、当該移動部を駆動させる駆動機構とを有する。リング支持機構は、例えば、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿ってPETガントリ10に配置された直動軸受により実現される。リング支持機構の実現手段は、直動軸受けに限定されず、既知の各種軸受け等が適宜利用可能である。直動軸受けのレールは、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って、PETガントリ10における固定フレームに設けられる。また、直動軸受けにおいて、レール上を走行するブロックは、複数のPET検出器リング各々をリング状に保つ支持フレームを搭載する。
【0019】
移動機構は、複数のPET検出器リングに対応する複数のラックアンドピニオンにより実現される。移動機構の実現手段は、ラックアンドピニオンに限定されず、ボールねじなど既知の装置が適宜利用可能である。複数のラックアンドピニオンにおける複数のラックギアは、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って配置され、複数のPET検出器リングに対応する複数の保持フレームにそれぞれ接続される。複数のピニオンギアは、複数のラックギアにそれぞれ勘合する。ピニオンギアには、例えば、ピニオンギアの回転数を計測するロータリーエンコーダが設けられてもよい。このとき、ロータリーエンコーダからに出力は、処理回路73へ出力される。
【0020】
駆動機構は、例えばモータにより実現される。モータの回転軸は、例えば、各種のギアを介してピニオンギアに接続される。なお、ピニオンギアにロータリーエンコーダが設けられていない場合、モータの回転軸または各種ギアには、例えば、当該回転軸の回転数を計測するロータリーエンコーダが設けられてもよい。このとき、ロータリーエンコーダからに出力は、処理回路73へ出力される。モータは、移動制御機能737による制御信号に従って、駆動する。モータの回転によりピニオンギアが回転することで、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿ってラックギアが移動する。ラックギアの移動により複数のPET検出器リングは、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って移動する。
【0021】
図2は、撮影範囲に応じた複数のPET検出器リング101の配置の一例を示す図である。
図2における左端の図は、複数のPET検出器リング101が密に配置されている状態(以下、密集状態と呼ぶ)DSの一例を示している。密集状態DSでは、例えば、被検体Pの撮影範囲として、頚部から腰部までの短い(狭い)撮影範囲に対応して、複数のPET検出器リング101が配置されている。
図2に示す密集状態DSにおいて、隣接する2つのPET検出器リングの間隔112は、
図2における他の状態に比べて狭くなっている。このとき、PETガントリ10は、被検体Pの小さな関心領域において高SNR(Signal-to-Noise Ratio:信号対雑音比)でデータを取得することができる。
【0022】
また、
図2における中央の図は、複数のPET検出器リング101が均等に被検体Pの全身に亘って配置されている状態(以下、全身配置状態と呼ぶ)WBSの一例を示している。全身配置状態WBSでは、被検体Pの撮影範囲として、全身の長い(広い)撮影範囲に対応して、複数のPET検出器リング101が配置されている。
図2に示す全身配置状態WBSでは、長い撮影範囲で被検体Pの大きな関心領域のデータを取得することができる。このとき、隣接するPET検出器リングの間隔112は、
図2における密集状態DSに比べて広くなっている。
【0023】
また、
図2における右端の図は、複数のPET検出器リング101の一部が被検体Pの特定部位に密集している状態(以下、一部密集状態)PDSの一例を示している。一部密集状態PDSでは、被検体Pの撮影範囲として全身を網羅しつつ、かつ被検体Pの胸部における複数のPET検出器リング101の密度が他の部位より増加されている。
図2に示すように、本実施形態における複数のPET検出器リング101は、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って適宜移動可能となっている。
【0024】
複数のPET検出器リング101は、例えば、被検体Pの年齢、被検体Pの性別、及び、被検体Pの身長を含む被検体Pの特定の特徴、被検体内での放射線の減弱、検査目的、ユーザーにより設定された撮影範囲などに応じて配置される。このようにして、被検体Pの特定の領域は、関連する被検体Pの要因に応じて、例えば、一部密集状態PDSでは、特定部位のPET撮像に関する隣接する2つのPET検出器リングの間隔112’は第1の距離に相当し、被検体Pの他の特定の領域のPET撮像に関する隣接する2つのPET検出器リングの間隔112”は、第1の距離より長い第2の距離となる。
図2における一部密集状態PDSに示すように、関心領域が被検体Pの上気道を含む場合は、それに応じて、胴体上部のPET検出器リングの間隔112’が下肢のPET検出器リングの間隔112”より短く設定される。
【0025】
図1に示すように、CTガントリ30は、CT撮像機構を有する。CT撮像機構は、被検体Pに対してCTスキャンを行う。なお、CT撮像機構は、X線によるスキャノ撮影を、被検体Pに対して行ってもよい。CT撮像機構は、X線管31、X線検出器32、回転フレーム33、X線高電圧装置34、CT制御装置35、ウェッジ36、コリメータ37及びDAS38を有する。
【0026】
X線管31は、X線を発生する。具体的には、X線管31は、熱電子を発生する陰極と、陰極から飛翔する熱電子を受けてX線を発生する陽極とを保持する真空管を有する。X線管31は、高圧ケーブルを介してX線高電圧装置34に接続されている。陰極と陽極との間には、X線高電圧装置34により管電圧が印加される。管電圧の印加により陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔する。陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔することにより、管電流が流れる。X線高電圧装置34からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔し、熱電子が陽極に衝突する。これにより、X線が発生される。
【0027】
X線検出器32は、X線管31から発生され被検体Pを通過したX線を検出する。X線検出器32は、検出されたX線の線量に対応した電気信号を、DAS38へ出力する。X線検出器32は、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向ともいう)に複数配列された構造を有する。X線検出器32は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光量の光を出力する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射面側に配置される。グリッドは、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。光センサアレイは、シンチレータから出力された光を、当該光の光量に応じた電気信号に変換する。光センサとしては、例えば、フォトダイオード又は光電子増倍管が用いられる。なお、X線検出器32は、入射X線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器(半導体検出器)により実現されてもよい。
【0028】
回転フレーム33は、X線管31とX線検出器32とを回転軸Z回りに回転可能に支持する円環状のフレームである。具体的には、回転フレーム33は、X線管31とX線検出器32とを対向支持する。回転フレーム33は、固定フレーム(図示せず)に回転軸Z回りに回転可能に支持される。CT制御装置35による制御のもとで回転フレーム33が回転軸Z回りに回転する。これにより、X線管31とX線検出器32とは、回転軸Z回りに回転する。回転フレーム33は、CT制御装置35の駆動機構からの動力を受けて、回転軸Z回りに一定の角速度で回転する。回転フレーム33の開口部には、画像視野(FOV)が設定される。
【0029】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム33の回転軸又は寝台50の天板53の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向と定義する。
【0030】
X線高電圧装置34は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有する。また、X線高電圧装置34は、X線管31に印加する高電圧及びX線管31に供給するフィラメント電流を発生する高電圧発生装置と、X線管31が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置34は、CTガントリ30内の回転フレーム33に設けられてもよいし、CTガントリ30内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。
【0031】
ウェッジ36は、被検体Pに照射されるX線の線量を調節する。具体的には、ウェッジ36は、X線管31から被検体Pへ照射されるX線の線量が予め定められた分布になるように、X線を減衰する。例えば、ウェッジ36としては、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)などのアルミニウム等の金属板が用いられる。
【0032】
コリメータ37は、ウェッジ36を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ37は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。
【0033】
DAS(Data Acquisition System:データ収集システム)38は、X線検出器32により検出されたX線の線量に応じた電気信号を、X線検出器32から読み出す。DAS38は、読み出した電気信号を可変の増幅率で増幅する。次いで、DAS38は、増幅された電気信号をビュー期間に亘り積分することで、当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有するCT生データを収集する。DAS38は、例えば、CT生データを生成可能な回路素子を搭載したASICにより実現される。CT生データは、非接触データ伝送装置等を介してコンソール70に伝送される。
【0034】
CT制御装置35は、コンソール70の処理回路73の撮像制御機能733により、X線CT撮像を実行するために、X線高電圧装置34やDAS38などを制御する。CT制御装置35は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPUやMPU(Micro-Processing Unit:マイクロプロセッサ)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。また、CT制御装置35は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDなどにより実現されてもよい。
【0035】
なお、CTガントリ30は、X線発生部とX線検出部とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線発生部のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4世代CT)等の様々なタイプがあり、いずれのタイプでも一実施形態へ適用可能である。
【0036】
図1に示すように、寝台50は、スキャン対象の被検体Pを載置し、載置された被検体を移動させる。寝台50は、PETガントリ10とCTガントリ30とで共有される。
【0037】
寝台50は、基台51、支持フレーム52、天板53及び寝台駆動装置54を備える。基台51は、床面に設置される。基台51は、支持フレーム52を、床面に対して垂直方向(Y軸方向)に移動可能に支持する筐体である。支持フレーム52は、基台51の上部に設けられるフレームである。支持フレーム52は、天板53を中心軸Zに沿ってスライド可能に支持する。天板53は、被検体Pが載置される柔軟性を有する板である。
【0038】
寝台駆動装置54は、寝台50の筐体内に収容される。寝台駆動装置54は、被検体Pが載置された支持フレーム52と天板53とを移動させるための動力を発生するモータ又
はアクチュエータである。寝台駆動装置54は、コンソール70等による制御に従い作動する。
【0039】
PETガントリ10とCTガントリ30とは、PETガントリ10の開口の中心軸ZとCTガントリ30の開口の中心軸Zとが略一致するように配置される。天板53の長軸がPETガントリ10及びCTガントリ30の開口の中心軸Zに平行するように寝台50が
配置される。CTガントリ30及びPETガントリ10は、例えば、寝台50に近い方からCTガントリ30及びPETガントリ10の順番に設置される。
【0040】
図1に示すように、コンソール70は、PETデータメモリ71、CTデータメモリ72、処理回路73、ディスプレイ74、メモリ75及び入力インタフェース76を有する。例えば、PETデータメモリ71、CTデータメモリ72、処理回路73、ディスプレイ74、メモリ75及び入力インタフェース76間のデータ通信は、バス(bus)を介して行われる。
【0041】
PETデータメモリ71は、PETガントリ10から伝送されたシングルイベントデータ及び同時計数イベントデータを記憶する記憶装置である。PETデータメモリ71は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。
【0042】
CTデータメモリ72は、CTガントリ30から伝送されたCT生データを記憶する記憶装置である。CTデータメモリ72は、HDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。
【0043】
処理回路73は、ハードウェア資源として、CPU、MPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路73は、当該メモリから読み出した各種プログラムの実行により、再構成機能731、画像処理機能732、撮像制御機能733、取得機能734、生成機能735、表示制御機能736、及び移動制御機能737を実現する。すなわち、処理回路73は、メモリからプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサに相当する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路73は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、再構成機能731、画像処理機能732、撮像制御機能733、取得機能734、生成機能735、表示制御機能736、及び移動制御機能737は、一の基板の処理回路73により実装されても良いし、複数の基板の処理回路73により分散して実装されても良い。再構成機能731、画像処理機能732、撮像制御機能733、取得機能734、生成機能735、表示制御機能736、及び移動制御機能737を実現する処理回路73は、再構成部、画像処理部、撮像制御部、取得部、生成部、表示制御部、及び移動制御部にそれぞれ対応する。
【0044】
再構成機能731において処理回路73は、同時計数イベントデータに基づいて、被検体Pに投与された陽電子放出核種の分布を示すPET画像を再構成する。また、処理回路73は、CT生データに基づいて、被検体Pに関するCT値の空間分布を表現するCT画像を再構成する。画像再構成アルゴリズムとしては、FBP(Filtered Back Projection)法や逐次近似再構成法等の既存の画像再構成アルゴリズムが用いられれば良い。また、処理回路73は、PETイベントデータに基づいてPETに関する位置決め画像を生成したり、CT生データに基づいてCTに関する位置決め画像(CTスキャノ画像)を生成したりすることも可能である。
【0045】
画像処理機能732において処理回路73は、再構成機能731により再構成されたPET画像及びCT画像に種々の画像処理を施す。例えば、処理回路73は、PET画像及びCT画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画素値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を生成する。
【0046】
撮像制御機能733において処理回路73は、PET撮像を行うために、PETガントリ10と寝台50とを同期的に制御する。また、撮像制御機能733は、CT撮像を行うために、CTガントリ30と寝台50とを同期的に制御する。PET撮像とCT撮像とを連続して行う場合、撮像制御機能733は、PETガントリ10、CTガントリ30及び寝台50を同期的に制御する。また、処理回路73は、PETガントリ10による位置決めスキャン(以下、PET位置決めスキャンと呼ぶ)やCTガントリ30による位置決めスキャン(以下、CT位置決めスキャンと呼ぶ)を実行可能である。PET位置決めスキャンのために、撮像制御機能733は、PETガントリ10と寝台50とを同期的に制御する。CT位置決めスキャンのために処理回路73は、CTガントリ30と寝台50とを同期的に制御する。
【0047】
処理回路73は、取得機能734により、複数のPET検出器リング各々に関して、中心軸方向(Z方向)における位置情報を取得する。例えば、取得機能734は、ピニオンギアに設けられたロータリーエンコーダからの出力、または駆動機構におけるモータの回転軸に設けられたロータリーエンコーダからの出力に基づいて、複数のPET検出器リング各々の位置情報を取得する。なお、位置情報の取得元は、上記ロータリーエンコーダに限定されず、既知の位置センサであってもよい。取得機能734は、取得した位置情報を、メモリ75に記憶する。また、取得機能734は、被検体Pに関する情報をさらに取得する。ここで、被検体Pに関する情報とは、例えば、被検体Pに対するスキャノ撮影(CTスキャノもしくはPETスキャノ)により生成されたスキャノ画像である。取得機能734は、取得した被検体Pに関する情報を、メモリ75に記憶する。
【0048】
処理回路73は、生成機能735により、取得された位置情報に基づいて、複数のPET検出器リング101の位置に関する表示情報を生成する。例えば、生成機能735は、複数のPET検出器リング101の位置と被検体Pに関する情報とを対応付けて、当該表示情報を生成する。表示情報は、例えば、天板53に載置された被検体Pに対する複数のPET検出器リング101の相対的な位置関係を示す情報である。このとき、表示情報は、複数のPET検出器リング101の位置として、複数のPET検出器リング各々を示すリング表示オブジェクトを有する。なお、表示情報は、被検体Pに対するX線検出器32の位置をさらに有していてもよい。
【0049】
また、表示情報は、入力インタフェース76を介したユーザーの指示、または、放射線部門情報システム(RIS:Radiology Information Systems)または病院情報システム(HIS:Hospital Information System)から出力された検査オーダにおける検査部位に応じて、被検体Pに対する撮影範囲を示す情報(例えば、点線の枠や撮影対象部位を示す撮影モードなど)を、さらに有していてもよい。
【0050】
処理回路73は、生成機能735により、入力インタフェース76を介した撮影範囲に基づいて、第1モードと第2モードとを含む複数の撮影モードから、入力された撮影範囲に近い撮影モード(以下、推奨モードと呼ぶ)を選択する。第1モードは、被検体Pの体長に応じた所定の間隔で複数のPET検出器リング101を均等に配置させる撮影モードである。第1モードは、例えば、
図2における全身配置状態WBSに示すような、複数のPET検出器リング101の配置に対応する。第2モードは、被検体Pの複数の部位各々に応じて複数のPET検出器リング101を中心軸方向に沿って密に配置させる撮影モードである。頚部から腰部までが撮影範囲である場合、第2モードは、
図2における一部密集状態)PDSに示すような、複数のPET検出器リング101の配置に対応する。
【0051】
処理回路73は、表示制御機能736により、生成機能735で生成された表示情報を、ディスプレイ74に表示させる。また、入力インタフェース76を介したユーザーの指示によりリング表示オブジェクトを移動させる操作(以下、移動操作と呼ぶ)が入力されると、表示制御機能736は、リング表示オブジェクトの移動に伴って当該表示情報を更新してディスプレイ74に表示させる。また、生成機能735により複数の撮影モードから推奨モードが選択されると、表示制御機能736は、選択された撮影モード(推奨モード)と、推奨モードに応じたスキャン可能範囲とを、当該表示情報に加えてディスプレイ74に表示させる。スキャン可能範囲は、例えば、表示情報において、推奨モードに対応する複数のリング表示オブジェクトの配置、および/またはスキャノ画像に対する枠などで表される。表示情報における表示の態様については、後述の情報生成表示処理において説明する。
【0052】
処理回路73は、移動制御機能737により、複数のPET検出器リング101の移動を制御する。例えば、ディスプレイ74に表示されたリング表示オブジェクトの移動の確定後、移動制御機能737は、移動されたリング表示オブジェクトと位置情報とに基づいて、移動されたリング表示オブジェクトに対応するPET検出器リングを、中心軸方向に沿って移動させる。
【0053】
具体的には、リング表示オブジェクトの移動の確定の指示が入力インタフェース76を介して入力されると、移動制御機能737は、表示情報における移動後のリング表示オブジェクトの位置と、当該移動後のリング表示オブジェクトに対応するPET検出器リングの位置情報とに基づいて、表示情報における移動後のリング表示オブジェクトの位置に対応するPETガントリ10内での位置を特定する。次いで、移動制御機能737は、当該PET検出器リングに関する位置情報と、特定された位置とに基づいて、当該PET検出器リングの移動量(例えば、ピニオンギアの回転数またはモータの回転数)を算出する。続いて、移動制御機能737は、当該PET検出器リングを、算出された移動量で移動させるように、リング移動機構16(より詳細には、駆動機構)を制御する。
【0054】
ディスプレイ74は、処理回路73における表示制御機能736の制御のもとで、生成機能735により生成された表示情報などの種々の情報を表示する。ディスプレイ74としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。また、ディスプレイ74は、デスクトップ型でもよいし、コンソール70と無線通信可能なタブレット端末等で構成されてもよい。ディスプレイ74は、表示部に対応する。
【0055】
メモリ75は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、メモリ75は、CD(Compact Disc)-ROMドライブやDVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。メモリ75は、例えば、再構成機能731、画像処理機能732、撮像制御機能733、取得機能734、生成機能735、表示制御機能736、及び移動制御機能737などの実行に関する各種データなどを記憶する。メモリ75は、取得機能730により取得された位置情報を記憶する。メモリ75は、生成機能735により生成された表示情報を記憶する。メモリ75は、生成機能735により生成された表示情報を記憶する。メモリ75は、第1モードおよび第2モードなど、複数のPET検出器リング101の配置のパターンを記憶する。メモリ75は、再構成機能731、画像処理機能732、撮像制御機能733、取得機能734、生成機能735、表示制御機能736、及び移動制御機能737の実行に関する各種プログラムを記憶する。
【0056】
入力インタフェース76は、ユーザーからの各種の入力操作(例えば、PET撮像の実行指示、CT撮像の実行指示、撮影範囲の選択など)を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路73に出力する。例えば、入力インタフェース76としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。なお、本実施形態において、入力インタフェース76は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路73へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース76の例に含まれる。また、入力インタフェース76は、コンソール70と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。入力インタフェース76は、入力部に対応する。
【0057】
以上、PET-CT装置1の全体構成について説明した。以下、情報生成表示処理の手順について、
図3乃至
図7を用いて説明する。情報生成表示処理は、複数のPET検出器リング各々に関する位置情報に基づいて、複数のPET検出器リング101に関する表示情報を生成して表示する処理である。
図3は、情報生成表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0058】
(情報生成表示処理)
(ステップS301)
処理回路73は、取得機能734により、被検体Pに関する情報を取得する。例えば、本水ステップの前段において、処理回路73は、撮像制御機能733により、被検体Pに対してスキャノ撮影(CTスキャノもしくはPETスキャノ)を実行する。これにより、処理回路73は、再構成機能731または画像処理機能732により、被検体Pのスキャノ画像を生成する。続いて、処理回路73は、本ステップにおいて、取得機能734により、被検体Pに関する情報として、スキャノ画像を取得する。
【0059】
(ステップS302)
処理回路73は、取得機能734により、複数のPET検出器リング各々に関して、中心軸方向における位置情報を取得する。例えば、取得機能734は、リング移動機構16におけるロータリーエンコーダからの出力に基づいて、複数のPET検出器リング各々の位置情報を取得する。
【0060】
(ステップS303)
処理回路73は、生成機能735により、複数のPET検出器リング101と被検体Pに関する情報とを対応付けて、位置情報に基づいて複数のPET検出器リング101に関する表示情報を生成する。具体的には、生成機能735は、被検体Pに関連する情報としてのスキャノ画像に、位置情報に基づく位置でリング表示オブジェクトを重畳して、表示情報を生成する。このとき、生成機能735は、被検体Pのスキャノ画像の背面に、天板53を示す枠を表示情報に追加してもよい。なお、生成機能735は、位置情報に基づいて、PETガントリ10および/またはCTガントリ30を示す枠、およびX線検出器32を示す枠などを、スキャノ画像にさらに重畳して、表示情報を生成してもよい。また、生成機能735は、被検体Pのスキャノ画像の代わりに当該スキャノ画像の輪郭を、被検体Pに関する情報として用いて、表示情報を生成してもよい。
【0061】
(ステップS304)
処理回路73は、表示制御機能736により、表示情報をディスプレイ74に表示させる。このとき、表示情報における複数のリング表示オブジェクト各々は、入力インタフェース76を介したユーザーの指示により、表示情報における中心軸方向(天板53の長軸方向)に沿って、適宜移動させることが可能である。
【0062】
図4は、ディスプレイ74に表示された表示情報DIの一例を示す図である。
図4に示すように、表示情報DIは、被検体Pのスキャノ画像SIと、4つのPET検出器リングに対応する4つのリング表示オブジェクトRDOと、撮影モードIMとが表示されている。
図4に示すように、被検体Pのスキャノ画像SIには、位置情報にしたがって4つのリング表示オブジェクトRDOが重畳されている。
図4に示すように、4つのリング表示オブジェクトRDOの表示は、複数のPET検出器リング101の位置を表示情報DIに反映することに相当する。
【0063】
(ステップS305)
入力インタフェース76を介して、撮影範囲が入力されると(ステップS305のYes)、ステップS306の処理が実行される。撮影範囲が入力されなければ(ステップS305のNo)、ステップS308の処理が実行される。
【0064】
(ステップS306)
処理回路73は、生成機能735により、複数の撮影モードから、入力された撮影範囲に近い撮影モード(推奨モード)を選択する。例えば、表示情報DIにおいて、ユーザーにより、スキャノ画像SIにおける被検体Pの頭尾方向に沿ってスワイプされると、生成機能735は、スワイプされた範囲とスキャノ画像SIにおける被検体Pの頭尾方向の長さとに基づいて、撮影範囲を決定する。なお、撮影範囲の入力は、スワイプに限定されず、例えば、マウスにより、クリックしながらカーソルを頭尾方向に移動させる動作、クリックしながらホールを回転させる動作など、既知の操作が適用可能である。生成機能735は、入力された撮影範囲に対応する撮影モードを、推奨モードとして決定する。なお、推奨オードの設定は、表示情報DIにおける複数の撮影モードIMのうちユーザーにより選択された撮影モードであってもよい。また、複数の撮影モードに対する複数のリング表示オブジェクトの位置および複数のPET検出器リング101の位置は、あらかじめ対応付けられて、メモリ75に記憶されている。
【0065】
(ステップS307)
処理回路73は、表示制御機能736により、推奨モードに従って、表示情報DIを更新してディスプレイ74に表示させる。例えば、表示制御機能736は、選択された撮影モード(推奨モード)と、推奨モードに応じたスキャン可能範囲とを、当該表示情報に加えてディスプレイ74に表示させる。具体的には、表示制御機能736は、表示情報DIにおいて、複数の撮影モードIMのうち推奨モードに対応する撮影モードを、ハイライトで表示する。また、表示制御機能736は、表示情報DIにおいて、複数のリング表示オブジェクトRDOの配置を、推奨モードに対応する複数のリング表示オブジェクトRDOの位置に表示する。推奨モードに対応する複数のリング表示オブジェクトRDOの位置は、例えば、PETスキャンが可能なスキャン可能範囲に対応する。なお、スキャン可能範囲は、推奨モードに対応する複数のリング表示オブジェクトRDOの位置に限定されず、例えば、スキャノ画像SIに対する枠として表示されてもよい。
【0066】
図5は、ステップS306においてスキャノ画像SIに対して被検体Pの頭部から脚部までスワイプされたときの表示情報DIの一例を示す図である。被検体Pの頭部から脚部までのスワイプは、
図5に示すように、ユーザーの希望撮影範囲に相当する。このとき、
図5に示すように、表示情報DIにおいて、複数の撮影モードIMのうち推奨モード(第1モード)RMに対応する撮影モード「全身」がハイライトで表示される。加えて、
図5に示すように、表示情報DIにおいて、複数のリング表示オブジェクトRDOは、第1モードに対応する位置関係で、表示情報DIとして表示される。
【0067】
図6は、ステップS306においてスキャノ画像SIに対して被検体Pの肩部から腰部までスワイプされたときの表示情報DIの一例を示す図である。被検体Pの肩部から腰部までのスワイプは、
図6に示すように、ユーザーの希望撮影範囲に相当する。このとき、
図6に示すように、表示情報DIにおいて、複数の撮影モードIMのうち推奨モード(第2モード)RMに対応する撮影モード「胸部」がハイライトで表示される。加えて、
図6に示すように、表示情報DIにおいて、複数のリング表示オブジェクトRDOは、第2モードに対応する位置関係で、表示情報DIとして表示される。
【0068】
(ステップS308)
入力インタフェース76を介して、リング表示オブジェクトの移動操作が入力されると(ステップS308のYes)、ステップS309の処理が実行される。リング表示オブジェクトの移動操作が入力されなければ(ステップS308のNo)、ステップS310の処理が実行される。
【0069】
図7は、
図4に示す表示情報DIに対するユーザーの操作の一例を示す図である。
図7に示すように、スキャノ画像SIにおける膝の位置におけるリング表示オブジェクトなどは、ユーザーの操作により、移動可能である。
図7では、一例として、矢印の方向に沿って、スキャノ画像SIにおける膝の位置におけるリング表示オブジェクトが、ユーザーの操作により移動される様子が示されている。すなわち、処理回路73は、表示制御機能736により、リング表示オブジェクトの移動の操作に伴って表示情報DIを更新してディスプレイ74に表示させる。
【0070】
(ステップS309)
処理回路73は、表示制御機能736により、リング表示オブジェクトの移動の操作に伴って、当該表示情報を更新してディスプレイ74に表示させる。例えば、
図7において、スキャノ画像SIにおける膝の位置におけるリング表示オブジェクトがユーザーの操作により、スキャノ画像SIにおける腹部の位置におけるリング表示オブジェクトまで移動されると、複数のリング表示オブジェクトとスキャノ画像SIとの位置関係は、
図6に示すような位置関係となる。
【0071】
(ステップS310)
入力インタフェース76を介したユーザーの指示により、複数のPET検出器リング101の位置が確定されると(ステップS310のYes)、ステップS311の処理が実行される。複数のPET検出器リング101の位置が確定されなければ(ステップS310のNo)、ステップS305以降の処理が繰り返される。上記ステップS307およびS309における処理は、PET検出器リングの移動に関するデモンストレーション(デモ動画)をユーザーに提示することに相当する。
【0072】
(ステップS311)
処理回路73は、移動制御機能737により、移動されたリング表示オブジェクトと位置情報とに基づいて、移動されたリング表示オブジェクトに対応するPET検出器リングを、中心軸方向に沿って移動させる。すなわち、移動制御機能737は、リング表示オブジェクトの位置を、複数のPET検出器リング101の位置にフィードバックする。なお、処理回路73は、表示制御機能736により、PET検出器リングの移動に伴う位置情報の推移に従って、表示情報DIを更新してディスプレイ74に表示してもよい。すなわち、本ステップにおいて、表示制御機能736は、PET検出器リングの移動に連動して、リング表示オブジェクトを移動させた表示情報DIを、ディスプレイ74に表示してもよい。情報生成表示処理の終了後、入力インタフェース76を介したユーザーの指示により、被検体Pに対してPET撮像が実行される。
【0073】
以上に述べた第1実施形態に係るPET-CT装置1(またはPET装置)は、被検体Pを載置する天板53が挿入されるボア20内の中心軸方向に沿って天板53に対して相対的に移動可能な複数のPET検出器リング各々に関して、当該中心軸方向における位置情報を取得し、取得された位置情報に基づいて、複数のPET検出器リング101の位置に関する表示情報DIを生成し、生成された表示情報DIをディスプレイ74に表示させる。また、本実施形態は、被検体Pに関する情報を更に取得し、複数のPET検出器リング101の位置と被検体Pに関する情報とを対応付けて表示情報DIを生成してもよい。また、本実施形態は、表示情報DIにおいて複数のPET検出器リング各々を示すリング表示オブジェクトを移動させる操作を入力する。
【0074】
加えて、第1実施形態に係るPET-CT装置1(またはPET装置)は、リング表示オブジェクトの位置の確定後、移動されたリング表示オブジェクトと位置情報とに基づいて、移動されたリング表示オブジェクトに対応するPET検出器リングを、中心軸方向に沿って移動させ、リング表示オブジェクトの移動の操作に伴って表示情報DIを更新してディスプレイ74に表示させる。
【0075】
これらのことから、第1実施形態に係るPET-CT装置1(またはPET装置)によれば、複数のPET検出器リング101の位置をディスプレイ74上に反映することができ、ディスプレイ74上から複数のPET検出器リング101の位置を操作することができる。また、本実施形態によれば、ユーザーが操作可能なディスプレイ74において、CTスキャノまたはPETスキャノの撮像結果であるスキャノ画像に対して重ねるように複数のPET検出器リング101の位置を、リング表示オブジェクトとして表示することができる。
【0076】
これにより、第1実施形態に係るPET-CT装置1(またはPET装置)によれば、ユーザーが希望する撮影範囲に合わせて、ユーザーがディスプレイ74上のリング表示オブジェクトの位置を操作すると、複数のPET検出器リング101の移動のデモンストレーションと共にスキャン可能な範囲を表示することができる。このため、リング表示オブジェクトの位置(座標)がユーザーにより確定されると、複数のPET検出器リング101の制御に当該確定された位置がフィードバックされ、ユーザーにより確定された位置に複数のPET検出器リング101を移動させることができる。
【0077】
以上のことから、第1実施形態に係るPET-CT装置1(またはPET装置)によれば、天板53に対して相対的に移動可能な複数のPET検出器リング101の位置の把握が容易となり、かつ当該複数のPET検出器リング101の調整の操作を容易に実行することができる。このため、本実施形態によれば、複数のPET検出器リング101の操作に伴うユーザーの負担を軽減することができ、かつ被検体Pに対する検査のスループットを向上させることができる。また、本実施形態によれば、移動可能な複数のPET検出器リング101によるPETスキャンでの臨床効果を最大化することができ、PETスキャンに「より得られた画像の画質を向上させることができる。
【0078】
また、第1実施形態に係るPET-CT装置1(またはPET装置)は、表示情報DIにおいて被検体Pの撮影範囲を入力し、入力された撮影範囲に基づいて、第1モードと第2モードとを含む複数の撮影モードから、当該撮影範囲に近い撮影モードを選択し、前記選択された撮影モード(推奨モード)と、当該推奨モードに応じたスキャン可能範囲とを、表示情報DIに加えてディスプレイ74に表示させる。
【0079】
このため、第1実施形態に係るPET-CT装置1(またはPET装置)によれば、第1モードおよび第2モードを含む複数の撮影モードがあらかじめソフトウェア(またはメモリ75)内に複数用意され、ユーザーが選択した撮影範囲に応じてあらかじめ用意された複数の撮影モードの中から最も撮影範囲が近い撮影モードを特定することで、スキャン可能範囲をユーザーに示しながら、ユーザーに対して撮影モードを提案することができる。このため、本実施形態によれば、ユーザーによる撮影範囲を選択、および複数のPET検出器リング101の位置を操作する時間を短縮することができ、被検体Pに対する検査のワークフローを効率化することができる。
【0080】
(第1応用例)
本応用例は、情報生成表示処理において、同時計数イベントデータに基づいて複数のPET検出器における単位時間当たりのガンマ線のカウント数を示すカウントレートマップを、複数のPET検出器リング101ごとに生成し、表示情報DIにおいて、生成されたカウントレートマップをリング表示オブジェクトRDOに重畳させてディスプレイ74に表示する。なお、本応用例におけるカウントレートは、被検体Pに対するPET撮像の実行中に生成されるため、リアルタイムカウントレートと称されてもよい。具体的には、カウントレートは、PETスキャンおよび/またはPETスキャノの実行中において生成され、表示情報DI上で表示される。なお、単位時間は、30秒、1分などあらかじめ設定されてもよいし、入力インタフェース76を介したユーザーの指示により、任意に設定可能である。
【0081】
処理回路73は、取得機能734により、複数のPET検出器リング各々に搭載された複数のガンマ線検出器(PET検出器)17からの出力に基づく同時計数イベントデータを取得する。例えば、取得機能734は、被検体Pに対するPET撮影の実行中において、同時計数回路15から同時計数イベントデータを取得する。
【0082】
処理回路73は、生成機能735により、被検体Pに対するPET撮影の実行中において、同時計数イベントデータに基づいてカウントレートマップを複数のPET検出器リングごとに生成する。カウントレートマップは、例えば、複数のPET検出器リング各々において、鉛直方向に沿って対向する2つのPET検出器による同時計数イベントのカウント数を加算(圧縮)した平面(プラナー)画像で生成される。このとき、カウントレートマップにおける複数の画素各々は、PET検出器の位置を示し、当該画素各々の画素値は、カウントレートを示す輝度値(もしくは、カラー値)に対応する。なお、カウントレートマップは、プラナー画像に限定されず、例えば、被検体Pのボリュームデータに合わせてPET検出器単位、すなわち検出チャンネル単位でカウントレートを示した3次元画像で生成されてもよい。
【0083】
処理回路73は、表示制御機能736により、表示情報DIにおいて、複数のPET検出器リング各々を示すリング表示オブジェクトにカウントレートマップを重畳させてディスプレイ74に表示させる。
図8は、ディスプレイ74に表示されたカウントレートマップCRMの一例を示す図である。
図8に示すように、4つのPET検出器リングにそれぞれ対応する4つのカウントレートマップCRMは、4つのPET検出器リングにそれぞれ対応する4つのリング表示オブジェクトRDOにそれぞれ重畳して表示される。
図8に示すカウントレートマップCRMにおける一つ一つの格子は、PET検出器すなわちチャンネルに対応する。
図8では、カウントレートマップCRMにおけるカウントレートの違いをハッチングで示しているが、実際には、カウントレートの大きさは、輝度値の違いで表される。
【0084】
以上に述べた第1実施形態の第1応用例に係るPET-CT装置1(またはPET装置)は、複数のPET検出器リング各々に搭載された複数のPET検出器からの出力に基づく同時計数イベントデータを取得し、同時計数イベントデータに基づいて、複数のPET検出器における単位時間当たりのガンマ線のカウント数を示すカウントレートマップCRMを、複数のPET検出器リングごとに生成し、表示情報DIにおいて、複数のPET検出器リング各々を示すリング表示オブジェクトにカウントレートマップCRMを重畳させてディスプレイ74に表示させる。
【0085】
これにより、第1実施形態の第1応用例に係るPET-CT装置1(またはPET装置)によれば、PET撮像におけるデータ収集中にガンマ線検出器17の各チャンネルでカウントされた同時計数イベントからカウントレートをリアルタイムで計測し、計測されたカウントレートをリアルタイムに表示情報DIとともにディスプレイ74に表示することができる。このため、本応用例によれば、ユーザーは、被検体P内における放射性核種の集積や当該放射性核種の動態分布をリアルタイムに把握(確認)することができる。
【0086】
これらのことから、第1実施形態の第1応用例に係るPET-CT装置1(またはPET装置)によれば、ユーザーは、例えば、カウントレートに基づいてPET撮像の撮影範囲を選択することが可能となるため、当該撮影範囲の選択が正確になり、かつ線量の高い状態でPET撮像における本スキャン(PETスキャン)に進めることができる。すなわち、本応用例によれば、CTスキャノなしにPETスキャンを実行することができるため、被検体Pに対する被曝を低減することができる。加えて、本応用例によれば、カウントレートをリアルタイムで表示することができるため、例えば、放射性核種としてFDG(フルオロデオキシグルコース)を用いたPET検査の時間を短縮すること、すなわち検査のワークフローを短縮(改善)することができる。このため、本応用例によれば、被検体Pへの放射性核種の投与量を低減することができ、被検体Pに対する被曝を低減することができる。
【0087】
(第2応用例)
本応用例は、情報生成表示処理において、被検体Pの体長に応じた所定の間隔で複数のPET検出器リング101を均等に配置させた状態(第1モード)でのPET撮像(第1スキャン)により、ガンマ線のカウントの集積の分布を示す集積マップを、PET検出器リングごとに生成する。次いで、本応用例は、複数のPET検出器リング101に対応する複数の集積分布のうち最も集積が少ない集積マップに対応するPET検出器リングの位置を中心として複数のPET検出器リング101を密に配置した状態を、第2スキャンにおける複数のPET検出器リング101の推奨配置として、表示情報DIにおいてディスプレイ74に表示させることにある。
【0088】
処理回路73は、撮像制御機能733により、被検体Pに対して第1モードで、第1スキャン(PETスキャン)を実行する。処理回路73は、取得機能734により、第1スキャンにおいて、複数のPET検出器リング各々に搭載された複数のPET検出器からの出力に基づいて、同時計数イベントデータを取得する。
【0089】
処理回路73は、生成機能735により、同時計数イベントデータに基づいて、ガンマ線のカウントの集積の分布を示す集積マップを、複数のPET検出器リングごとに生成する。集積マップは、例えば、第1スキャン中に動的に生成される。集積マップは、第1スキャンの開始時から現時点に亘るPET検出器ごとのカウント値の総数を、PET検出器リングごとに示したマップに相当する。
【0090】
処理回路73は、表示制御機能736により、表示情報DIにおいて、複数の集積マップを、対応するリング表示オブジェクトに重畳して、ディスプレイ74に表示させる。第1スキャンの完了後、表示制御機能736は、表示情報DIにおいて、複数の前積マップのうち最も集積が少ない集積マップを特定する、表示制御機能736は、特定された集積マップに対応するPET検出器リングの位置を中心として複数のPET検出器リング101を密に配置した状態(以下、密配置状態と呼ぶ)を、第1スキャンの後に実行可能な第2スキャンにおける複数のPET検出器リング101の推奨配置として、ディスプレイ74に表示させる。
【0091】
入力インタフェース76を介したユーザーの指示により、第2スキャンに関する密配置状態が了承されると、処理回路73は、移動制御機能737により、密配置状態に複数のPET検出器リング101を位置させるように、リング移動機構16を制御する。
【0092】
以上に述べた第1実施形態の第2応用例に係るPET-CT装置1(またはPET装置)は、第1モードでの第1スキャンにおいて、複数のPET検出器リング各々に搭載された複数のPET検出器からの出力に基づいて同時計数イベントデータを取得し、同時計数イベントデータに基づいて集積マップを、複数のPET検出器リングごとに生成し、表示情報において、密配置状態を、第2スキャンにおける複数のPET検出器リング101の推奨配置として、ディスプレイ74に表示させる。
【0093】
これにより、第1実施形態の第2応用例に係るPET-CT装置1(またはPET装置)によれば、被検体Pの全身のPET画像を均一に取得するにあたって、効率よく同時計数イベントデータを収集することができる。このため、本応用例によれば、被検体Pに対するPET検査のワークフローを改善することができ、検査効率(スループット)を向上させることができる。
【0094】
(第3応用例)
本応用例は、情報生成表示処理において、カウントレートマップRDOにおけるカウントレートのカウント数が所定の値に到達したことを契機として、第1スキャン(例えば、PETスキャノ)から対応する第2スキャン(例えば、PET本スキャン)への切り替えを示す切り替えオブジェクトを、例えば、PETガントリ10および/またはCTガントリ30の表面に配置されたディスプレイ74に表示させる。カウントレートマップRDOの生成は、第1応用例と同様なため、詳細な説明は省略する。カントレートマップRDOは、第1スキャンの実施中及び第2スキャンの実施中において、当該ディスプレイ74に表示される。
【0095】
メモリ75は、所定の値を記憶する、所定の値は、入力インタフェース76を介したユーザーの指示により、適宜設定、変更が可能である。また、所定の値は、放射性核種の種別に応じて、設定されてもよい。
【0096】
処理回路73は、表示制御機能736により、カウントレートマップRDOにおけるカウントレートのカウント数が所定の値に到達したか否かを判定する。なお、当該判定は、処理回路73における他の機能または別途新たに設けられた判定機能により実現されてもよい。判定機能を実現する処理回路73は、判定部に相当する。表示制御機能736は、カウント数が所定の値に到達したことを契機として、切り替えオブジェクトをディスプレイ74に表示する。切り替えオブジェクトは、PETスキャノからPET本スキャンに切り替えることをユーザーに提示(提案)する情報であって、例えば、「本スキャンを実行しますか?」などの文字情報、及びまたは「本スキャン開始」を示すボタン表示などである。
【0097】
入力インタフェース76を介したユーザーの指示により、スキャンのモードの切り替えが入力されると、処理回路73は、移動制御機能737により、第1スキャンでの第1モードから、被検体Pの撮影対象の部位に応じた第2モードに移行するために、複数のPET検出器リング101を中心軸方向に沿って移動させるようにリング移動機構16を制御する。これにより、複数のPET検出器リング101の配置は、第1モードから第2モードへ移行する。次いで、処理回路73は、撮像制御機能733により、被検体Pに対して第2スキャンを実行する。
【0098】
以上に述べた第1実施形態の第3応用例に係るPET-CT装置1(またはPET装置)は、PETガントリ10および/またはCTガントリ30の表面に配置されたディスプレイ74において、カウントレートマップRDOを有する表示情報DIを表示する。これにより、ユーザーは、第1応用例と同様に、第1スキャンにおけるカウントレートを確認することができる。また、本応用例は、カウントレートマップRDOにおけるカウント数が所定の値に到達したことを契機として、切り替えオブジェクトを、ディスプレイ74に表示する。加えて、本応用例は、切り替えオブジェクトの操作に応じて、被検体Pに対するPET本スキャンを実行する。
【0099】
これらのことから、第1実施形態の第3応用例に係るPET-CT装置1(またはPET装置)によれば、リアルタイムのカウントレートマップRDOに対するユーザーの確認により、第1スキャンから同時計数イベントデータの本収集を実行するPET本スキャン(第2スキャン)にスキャンモードを切り替えることを、ユーザーは、PETガントリ10および/またはCTガントリ30から操作することができる。このため、本応用例によれば、例えば、ルビジウム82(82Rb)などの短半減期核種を被検体Pに投与する場合、リアルタイムでの短半減期核種の動態分布(カウントレートマップRDO)、および被検体Pへの短半短半減期核種の確実な投与を、簡便に確認することができる。加えて、本応用例によれば、リアルタイムで被検体Pへの短半減期核種の投与を確認してから撮影を開始できる。以上のことから、本応用例によれば、被検体Pに対するPET本スキャンの実施の失敗を低減すること、およびスキャンの切り替えタイミングを従来に比べて短縮できるため、被検体Pに対するPET検査のワークフローが改善し、検査効率(スループット)を向上させることができる。
【0100】
(第4応用例)
第4応用例は、被検体Pに対するPETスキャンにおいて、第1モードでの複数のPET検出器リング101の配置で第1スキャンを行い、第1スキャンの実行後において、第1モードでの所定の間隔に対応する複数の位置に複数のPET検出器リング101をそれぞれ配置させるように、複数のPET検出器リング101または被検体Pが載置された天板53を中心軸方向に沿って移動させて、その後第2スキャンを実行することにある。
【0101】
処理回路73は、移動制御機能737により、被検体Pに対する第1スキャンにおいて、被検体Pの体長に応じた所定の間隔で複数のPET検出器リング101を均等に配置させるように、複数のPET検出器リング101を中心軸方向に沿って移動させる。すなわち、移動制御機能737は、第1モードでの複数のPET検出器リング101の配置を実現するように、リング移動機構16を制御する。これにより、第1スキャンの実行前において、第1モードに対応する複数のPET検出器リング101の配置が実現される。
【0102】
処理回路73は、移動制御機能737により、第1スキャンの実行後において、第1モードでの所定の間隔に対応する複数の位置に複数のPET検出器リング101をそれぞれ配置させるように、複数のPET検出器リング101または被検体Pが載置された天板53を中心軸方向に沿って移動させる。具体的には、移動制御機能737は、第1モードにおいて所定の間隔をあけて隣接する2つのPET検出器リングの間の位置に、PET検出器リングを配置させるように、リング移動機構16または寝台駆動装置54を制御する。
【0103】
処理回路73は、表示制御機能736により、第1スキャンおよび第1スキャンの後に実行される第2スキャンにおける複数のPET検出器リング101の配置を、表示情報DIを、ディスプレイ74に表示させる。具体的には、表示制御機能736は、第1スキャンの実行時と第2スキャンの実行時とにおいて、複数のPET検出器リング101と天板53との相対的な位置関係が異なるように、表示情報DIを、ディスプレイ74に表示させる。すなわち、表示制御機能736は、第1スキャンの実行時と第2スキャンの実行時とにおいて、複数のPET検出器リング101各々の配置を示す複数のリング表示オブジェクトがスキャノ画像に対して互い違いとなるように、表示情報DIをディスプレイ74に表示させる。
【0104】
図9は、被検体Pに対する複数のPET検出器リング101の配置において、第1スキャンS1と第2スキャンS2との相違の一例を示す図である。
図9では、PETガントリ10とCTガントリ30とは、同一の筐体(PET/CTガントリ)PCGで示されている。
図9に示すように、第1スキャンS1では、複数のPET検出器リング101は、被検体Pの全身を撮像するために、所定の間隔PIを開けて均等に配置される。また、
図9に示すように、第2スキャンS2では、複数のPET検出器リング101は、被検体Pの全身を撮像するために、所定の間隔PIの複数の位置に、それぞれ配置される。なお、表示制御機能736は、
図9に示す被検体Pをスキャノ画像で、複数のPET検出器リング101を複数のリング表示オブジェクトRDOでそれぞれ表した表示情報DIを、第1スキャンの実行前と第2スキャンの実行前とにおいて、ディスプレイ74にそれぞれ表示させてもよい。
【0105】
以上に述べた第1実施形態の第4応用例に係るPET-CT装置1(またはPET装置)は、第1スキャンにおいて、第1モードを実現するように複数のPET検出器リング101を中心軸方向に沿って移動させ、第1スキャンの実行後において、第1モードでの所定の間隔に対応する複数の位置に複数のPET検出器リング101をそれぞれ配置させるように、複数のPET検出器リング101または天板53を中心軸方向に沿って移動させ、第1スキャンおよび第2スキャンの実行時において、
図9に示すよう、複数のPET検出器リング101と天板53との相対的な位置関係が異なるように、表示情報DIを、ディスプレイ74に表示させる。
【0106】
これらのことから、第1実施形態の第4応用例に係るPET-CT装置1(またはPET装置)によれば、1スキャン目で被検体Pの全身に対して均一に複数のPET検出器リング101が配置した状態でPETスキャンを行った場合、2スキャン目では1スキャン目の複数のPET検出器リング101の配置における隣接する2つのPET検出器リングの間の隙間PIを埋めるように、第1スキャンと第2スキャンとの間に複数のPET検出器リング101もしくは天板53の位置を調整することができる。このため、本応用例によれば、被検体Pの全身などの広い撮影範囲に対して、高感度での撮影を実行することができる。以上のことか、本応用例によれば、高感度の全身画像を取得するにあたって、効率よくPETイベントデータを収集することができ、被検体Pに対するPET検査のワークフローを改善することができる。
【0107】
(変形例)
本変形例は、被検体Pに関する情報としてスキャノ画像を用いないことにある。すなわち、本変形例では、位置情報および被検体Pに関する情報は、カメラによる撮影により生成された映像データに基づいて、取得機能734により取得される。例えば、カメラは、PETガントリ10の外部および/またはCTガントリ30に設けられる。加えて、被検体Pに関する情報も、映像データに基づいて、取得機能734により取得される。
【0108】
複数のPET検出器リング各々は、天板53に対して垂直に投光可能な投光器を有する。複数のPET検出器リング各々において、投光器は、例えば、天板53に対向する位置に搭載される。投光器は、天板53に対して垂直となるように、すなわち鉛直方向に平行に、レーザーを天板53に向けて投光する。なお、投光器は、レーザーを投稿する装置に限定されない。例えばカメラが光学カメラである場合、可視光を発生してもよい。また、カメラが赤外線カメラである場合、投光器は、赤外線を発生してもよい。また、投光器による投光のON/OFFは、例えば、入力インタフェース76を介したユーザーの指示により、制御されてもよい。
【0109】
処理回路73は、取得機能734により、複数のPET検出器リング101にそれぞれ搭載された複数の投光器から被検体Pが搭載された天板53に対して垂直に投光された投光位置を、位置情報として取得する。例えば、取得機能734は、カメラから出力された映像データにおける投光位置を画像処理により特定して、特定された投光位置を位置情報として取得する。また、取得機能734は、映像データに対する画像処理により、天板53上の被検体Pの領域を特定して、特定された被検体Pの領域を被検体に関する情報として取得する。なお、カメラから出力された映像データに対する画像処理は、画像処理機能732により実行されてもよい。投光位置を特定する画像処理は、既知の技術が適宜利用可能であるため、説明は省略する。
【0110】
図10は、投光器FLから投稿されたレーザーによる投光位置IPの一例を示す図である。
図10に示すように、複数のPET検出器リング101は、被検体Pの体長に応じた所定の間隔で均等に配置されている(第1モード)。
図10に示すように、複数の投光器FLにより天板53に向けて鉛直方向に平行に投光されたレーザーは、天板53に到達すると、天板53に対する複数のPET検出器リング101に対応する複数の投光位置IPに到達する。また、
図10に示すように、PETガントリ10の外部には、例えば、検査室の床面FLに据え付けられ支柱PRから延びた梁に、第1カメラ121が設けられる。また、例えば、CTガントリ30におけるボア20の上部にも第2カメラ123が設けられる。本変形例におけるカメラの設置場所は、
図10に限定されず、複数の投光位置IPを撮影可能であれば、任意に設定可能である。本変形例におけるカメラから出力された映像データは、有線または無線により、コンソール70に出力される。このとき、映像データは、メモリ75に記憶される。
【0111】
図11は、第1カメラ121による撮影領域IR1と、第2カメラ123による撮影領域IR2との一例を示す図である。
図11に示すように、第1カメラ121と第2カメラ123とにより、複数の投光位置IPの撮影が可能となる。処理回路73は、取得機能734により、第1カメラ121と第2カメラ123とから出力された映像データにおける複数の投光位置IPに基づいて、天板53に対する複数のPET検出器リング101の相対的な位置を、位置情報として取得する。
【0112】
以上に述べた第1実施形態の変形例に係るPET-CT装置1(またはPET装置)は、複数のPET検出器リング101にそれぞれ搭載された複数の投光器FLから天板53に対して垂直に投光された投光位置IPを、位置情報として取得する。これにより、本変形例によれば、PETガントリ10外の第1カメラ121およびCTガントリ30内に搭載された第2カメラ123により、PETガントリ10内に収まる被検体Pおよびレーザーが投影された投光位置IPを撮影する。次いで、本変形例によれば、撮影した映像を画像処理することにより、被検体Pの位置と複数のPET検出器リング101の位置とを、実写およびリアルタイムで確認することができる。
【0113】
これらのことから、第1実施形態の変形例に係るPET-CT装置1(またはPET装置)によれば、スキャノ画像を得るためのスキャノ撮影を実行することなく、複数のPET検出器リング101の位置情報と、被検体に関する情報とを取得することができる。加えて、本変形例によれば、第1実施形態の
図5および
図6で記載されたように、ユーザーが選択した撮影範囲に応じて複数のPET検出器リング101が配置されるように予め設定された撮影モードをユーザーに提案する機能(
図5、
図6など)と本変形例とを組み合わせることにより、ユーザーが望む撮影範囲に対して複数のPET検出器リング101の最適な配置を、被検体Pに対するスキャノ撮影を実行することなく、ユーザーに提案することができる。
【0114】
以上のことから、本変形例によれば、スキャノ画像の取得に関する被曝を低減することができる。加えて、本変形例によれば、ユーザーによる撮影範囲の選択の手間を軽減させることができるため、被検体Pに対する検査のワークフローを効率化することがき、検査効率(スループット)を向上させることができる。
【0115】
(第2実施形態)
第2実施形態は、CT撮像の実行前に、PET検出器を、X線の曝射範囲外へ移動させることにある。例えば、処理回路73は、移動制御機能737により、複数のPET検出器リング101をX線の曝射範囲外へ移動させるように、CT撮像の実行前にリング移動機構16を制御する。
【0116】
図12は、PET-CT検査における複数のPET検出器リング101の動作の手順の一例を示す流れ図である。
図12では、PETスキャンより先にCTスキャンが実施される一例を示している。なお、CTスキャンは、PETスキャンより後に実行されてもよい。
図12に示すように、ユーザーの指示により、入力インタフェース76は、PET-CTスキャンの選択、すなわちCTスキャンの実行指示が入力される(S121)。
【0117】
処理回路73は、移動制御機能737により、CTスキャンの実行指示の入力を契機として、複数のPET検出器リング101を、CTスキャンにおける曝射範囲から退避させるように、リング移動機構16を制御する。これにより、複数のPET検出器リング101は、CTから離れた位置に移動される(S122)。このとき、処理回路73は、表示制御機能736により、X線の曝射範囲外へ複数のPET検出器リング101が退避される様子を、表示情報DIとしてディスプレイ74に表示してもよい。
【0118】
X線の曝射範囲外へ複数のPET検出器リング101が退避されると、処理回路73は、撮像制御機能733により、被検体Pに対してCTスキャンを実行する(S123)。なお、撮像制御機能733は、CTスキャンの実行前に、被検体Pに対してCTスキャノを実行してもよい。
【0119】
図13は、X線の曝射範囲外へ退避された複数のPET検出器リング101の位置の一例を示す図である。
図13に示すように、被検体Pに対するX線曝射の実行時おいて、複数のPET検出器リング101は、X線の曝射範囲外に位置することとなる。例えば、
図13に示す図は、処理S122において、表示制御機能736により、表示情報DIとしてディスプレイ74に表示されてもよい。
【0120】
被検体Pに対するCTスキャンの実行後、処理回路73は、移動制御機能737により、複数のPET検出器リング101を、PETガントリ10内において天板53の長軸方向に沿って、被検体Pの体長に合わせて均等に配置させるように、リング移動機構16を制御する(S124)。これにより、第1モードに対応する複数のPET検出器リング101の配置が完了する。
【0121】
第1モードに対応する複数のPET検出器リング101の配置後、モニター(ディスプレイ74)上で、PET検出器リングの位置が操作される(S125)。次いで、PET検出器リングの位置が決定される(S126)。続いて、PET検出器リングの移動が実行される(S127)。S125乃至S127の処理は、第1実施形態における情報生成表示処理IGDPと同様なため説明は省略する。PET検出器リングの移動の完了後、処理回路73は、撮像制御機能733により、被検体に対してPETスキャンを実行する(S128)。
【0122】
以上に述べた第2実施形態に係るPET-CT装置1は、被検体Pに対してCTスキャンの実行指示の入力を契機として、複数のPET検出器リング101を、CTスキャンにおける撮像範囲から退避させるように移動させる。すなわち、第2実施形態に係るPET-CT装置1によれば、ユーザーによるCTのスキャン選択後のX線の曝射前に、複数のPET検出器リング101を、CTスキャンの曝射範囲から離れた位置に動かすことができ、CT撮影時の散乱X線によるガンマ線検出器17の経年劣化を低減することができる。これらのことから、本実施形態のPET-CT装置1によれば、PET-CT装置1の寿命を向上させることができ、メンテナンス費用などコストを低減することができる。
【0123】
本実施形態における技術的思想を情報生成表示方法で実現する場合、情報生成表示方法は、被検体Pを載置する天板53が挿入されるボア20内の中心軸方向に沿って天板53に対して相対的に移動可能な複数のPET検出器リング各々に関して、中心軸方向における位置情報を取得し、取得された位置情報に基づいて複数のPET検出器リング101の位置に関する表示情報DIを生成し、生成された表示情報DIをディスプレイ74に表示させる。本情報生成表示方法における処理手順および効果は、第1実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0124】
本実施形態における技術的思想を情報生成表示プログラムで実現する場合、当該情報生成表示プログラムは、コンピュータに、被検体Pを載置する天板53が挿入されるボア20内の中心軸方向に沿って天板53に対して相対的に移動可能な複数のPET検出器リング各々に関して、中心軸方向における位置情報を取得し、取得された位置情報に基づいて、複数のPET検出器リング101の位置に関する表示情報DIを生成し、生成された表示情報DIをディスプレイ74に表示させること、を実現させる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。情報生成表示プログラムにおける処理手順および効果は、第1実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0125】
以上説明した少なくとも一つの実施形態などによれば、複数のPET検出器リング101の位置の移動に関する効率性を向上させることができる。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0127】
1 PET-CT装置
10 PETガントリ
11 PET検出器リング
13 信号処理回路
15 同時計数回路
16 リング移動機構
17 ガンマ線検出器
20 ボア
30 CTガントリ
31 X線管
32 X線検出器
33 回転フレーム
34 X線高電圧装置
35 CT制御装置
36 ウェッジ
37 コリメータ
50 寝台
51 基台
52 支持フレーム
53 天板
54 寝台駆動装置
70 コンソール
71 PETデータメモリ
72 CTデータメモリ
73 処理回路
74 ディスプレイ
75 メモリ
76 入力インタフェース
101 複数のPET検出器リング
112 間隔
121 第1カメラ
123 第2カメラ
731 再構成機能
732 画像処理機能
733 撮像制御機能
734 取得機能
735 生成機能
736 表示制御機能
737 移動制御機能