(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130848
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】点灯装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/50 20220101AFI20230913BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20230913BHJP
H05B 45/38 20200101ALI20230913BHJP
【FI】
H05B45/50
H05B45/375
H05B45/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035377
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】芝原 信一
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴史
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA24
3K273BA30
3K273CA02
3K273CA03
3K273CA12
3K273CA13
3K273CA14
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA25
3K273EA34
3K273EA35
3K273EA36
3K273FA27
3K273FA41
3K273GA12
3K273GA14
3K273GA17
3K273HA10
3K273HA12
3K273HA17
(57)【要約】
【課題】高効率化が可能な点灯装置および照明器具を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る点灯装置は、直流電源と負荷とを接続する一対の線路に設けられ、前記一対の線路の低電位側に設けられたスイッチング素子のオンオフにより前記負荷に電力を供給するDC-DC変換回路と、定電圧素子と、前記定電圧素子と直列に接続された第1抵抗と、を含み、前記負荷と並列に接続される直列回路と、前記一対の線路の低電位側のうち前記スイッチング素子より前記負荷側の部分と、前記直流電源の低電位側との間に接続された検出抵抗と、前記検出抵抗に発生する電圧に応じて、前記負荷の接続の有無を判別する制御回路と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と負荷とを接続する一対の線路に設けられ、前記一対の線路の低電位側に設けられたスイッチング素子のオンオフにより前記負荷に電力を供給するDC-DC変換回路と、
定電圧素子と、前記定電圧素子と直列に接続された第1抵抗と、を含み、前記負荷と並列に接続される直列回路と、
前記一対の線路の低電位側のうち前記スイッチング素子より前記負荷側の部分と、前記直流電源の低電位側との間に接続された検出抵抗と、
前記検出抵抗に発生する電圧に応じて、前記負荷の接続の有無を判別する制御回路と、
を備えることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記検出抵抗は前記負荷の低電位側に接続されることを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記検出抵抗は、前記スイッチング素子のドレインに接続されることを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項4】
交流電源から電力を供給され、前記直流電源を提供するAC-DC変換回路を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記定電圧素子は、少なくとも前記負荷の接続が無い状態で導通状態となるツェナーダイオードであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記直流電源から前記DC-DC変換回路への入力電圧を検出する電圧検出回路を備え、
前記制御回路は、前記負荷の接続の有無を判別するための前記検出抵抗に発生する電圧の閾値を、前記入力電圧に応じて変更することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項7】
前記DC-DC変換回路の動作が停止しているとき、前記直列回路の両端に印加される電圧は、前記負荷の点灯電圧未満であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記DC-DC変換回路が動作しているとき、前記検出抵抗に発生する電圧に基づき前記DC-DC変換回路の異常を検出することを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載の点灯装置と、
前記負荷である光源ユニットと、
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項10】
前記光源ユニットは、発光素子と、前記発光素子と並列に接続された第2抵抗を有することを特徴とする請求項9に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には点灯装置が開示されている。この点灯装置は、入力端子間の直流電圧を電圧変換して出力端子間に直流電圧を出力するDC-DC変換回路と、出力端子間に接続された直流通電要素とを備える。負荷端子には、出力端子から供給される直流電流により点灯する半導体発光素子が接続される。負荷接続検出回路は、入力端子から負荷端子と半導体発光素子を介して直流電流を通電する経路を形成する。整流素子は、負荷端子と直流通電要素の間に接続されて、入力端子から直流通電要素を介して負荷接続検出回路に直流電流を通電する経路を遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDランプを点灯させるための点灯装置は、一般に商用交流電源を整流、平滑して直流電圧を生成するAC-DC変換回路部と、直流電圧からLEDに最適な電流を供給するDC-DC変換回路部を備える。多くの照明器具においては高力率を要求される。このため、昇圧チョッパ型の力率改善回路をAC-DC変換回路として用いて、DC-DC変換回路に降圧チョッパ回路を用いた2コンバータ方式が広く採用されている。
【0005】
このような点灯装置には、LEDランプの接続有無を判定する接続判定部が設けられることがある。LEDランプの接続判定結果が接続無しの場合、DC-DC変換回路の動作を停止するなどして、DC-DC変換回路の出力電圧に過電圧が発生することを抑制できる。降圧チョッパ回路において、スイッチング素子がハイサイドに配置される場合、降圧チョッパ回路の低電位側の出力端子がグラウンド電位となる。このため、降圧チョッパ回路の出力電圧を、抵抗等で容易に検出することができる。しかしながら、スイッチング素子をハイサイド側に配置した場合、スイッチング素子の駆動回路に高耐圧部品が必要となり、部品コストの増大につながるおそれがある。
【0006】
降圧チョッパ回路のスイッチング素子をローサイドに配置した場合、スイッチング素子の駆動回路に高耐圧部品が不要となる。しかし、降圧チョッパ回路の低電位側の出力端子が、AC-DC変換回路を構成する整流回路の低電位側のグラウンド電位と異なる電位となる。このため、降圧チョッパ回路の出力電圧の検出が困難となり、フォトカプラのような高価な部品が必要となるおそれがある。
【0007】
特許文献1では、フォトカプラを使用しなくてもLEDランプの接続判定が可能となる。しかし、特許文献1によれば、降圧チョッパ回路の出力端子と抵抗要素の間にダイオードが接続される。このダイオードには常時LEDランプに供給される電流が流れる。このため、電力損失が大きく、効率が低下する可能性がある。
【0008】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、高効率化が可能な点灯装置および照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る点灯装置は、直流電源と負荷とを接続する一対の線路に設けられ、前記一対の線路の低電位側に設けられたスイッチング素子のオンオフにより前記負荷に電力を供給するDC-DC変換回路と、定電圧素子と、前記定電圧素子と直列に接続された第1抵抗と、を含み、前記負荷と並列に接続される直列回路と、前記一対の線路の低電位側のうち前記スイッチング素子より前記負荷側の部分と、前記直流電源の低電位側との間に接続された検出抵抗と、前記検出抵抗に発生する電圧に応じて、前記負荷の接続の有無を判別する制御回路と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る点灯装置では、直流電源と負荷とを接続する一対の線路の低電位側のうち、スイッチング素子より負荷側の部分と、直流電源の低電位側との間に検出抵抗が接続される。この検出抵抗に発生する電圧に応じて、負荷の接続の有無を判別できる。従って、点灯装置の高効率化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る照明器具の回路ブロック図である。
【
図2】実施の形態1の比較例に係る照明器具の回路ブロック図である。
【
図3】実施の形態2に係る照明器具の回路ブロック図である。
【
図4】実施の形態3に係る照明器具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
各実施の形態に係る点灯装置および照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具100の回路ブロック図である。照明器具100は、点灯装置10と、負荷である光源ユニット2とを備える。点灯装置10は、交流電源1から電力の供給を受けて光源ユニット2を点灯させる。
【0014】
光源ユニット2は、例えば発光素子2aとしてLED(Light Emitting Diode)を用いたLEDランプである。光源ユニット2は、発光素子2aと、発光素子2aと並列に接続された抵抗R1を有する。光源ユニット2は、点灯装置10から着脱可能なモジュールである。抵抗R1は、例えば日本照明工業会規格JEL801の直管LEDランプシステムで規定される抵抗値を有する。抵抗R1は、LEDランプ識別抵抗とも呼ばれる。複数の発光素子2aは直列、並列または直並列に接続されても良い。また、発光素子2aは、有機EL等であっても良い。
【0015】
点灯装置10は、整流回路3、力率改善回路4、DC-DC変換回路5、制御回路6を備える。整流回路3は4つのダイオードから構成されたダイオードブリッジ回路である。整流回路3は、交流電源1から入力される交流電圧を全波整流する。この全波整流電圧は、力率改善回路4の動作中は平滑されず、交流電源1の2倍の周波数を有する脈動電圧となる。すなわち、整流回路3の直流出力側に接続されたフィルタコンデンサC1は全波整流電圧を平滑化しない。フィルタコンデンサC1は、力率改善回路4のスイッチングリップルを除去する程度の小容量のコンデンサである。
【0016】
力率改善回路4は昇圧チョッパ型である。力率改善回路4は、フィルタコンデンサC1、インダクタL1、スイッチング素子SW1、ダイオードD1、平滑コンデンサC2を備えている。スイッチング素子SW1は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。制御回路6はスイッチング素子SW1をオンオフして、力率改善回路4を制御する。力率改善回路4は、スイッチング素子SW1とインダクタL1でエネルギの充放電を行い、整流回路3が全波整流した電圧を昇圧して予め定められた直流電圧に変換する。このように、力率改善回路4は、交流電源1から電力を供給され、DC-DC変換回路5に直流電源を提供するAC-DC変換回路である。力率改善回路4は、さらに制御回路6によるスイッチング素子SW1の制御により、入力電流波形が正弦波状、且つ、交流電源1の電圧とほぼ同位相となるように、力率改善を行う。
【0017】
直流電源である力率改善回路4の出力と光源ユニット2とを接続する一対の線路9a、9bには、DC-DC変換回路5が設けられる。一対の線路9a、9bのうち線路9aが高電位側、線路9bが低電位側である。DC-DC変換回路5は降圧チョッパ型である。DC-DC変換回路5は、インダクタL2、スイッチング素子SW2、ダイオードD2、平滑コンデンサC3を備えている。スイッチング素子SW2は例えばMOSFETである。DC-DC変換回路5は力率改善回路4からの直流電圧を受けて、スイッチング素子SW2とインダクタL3でエネルギの充放電を行い、光源ユニット2の点灯に適した直流電圧及び直流電流を出力する。これにより光源ユニット2は点灯する。
【0018】
スイッチング素子SW2はローサイドに接続される。すなわちスイッチング素子SW2のソース端子は整流回路3の低圧端子および平滑コンデンサC2の負極に接続される。DC-DC変換回路5は、低電位側の線路9bに設けられたスイッチング素子SW2のオンオフにより光源ユニット2に電力を供給する。なお、整流回路3の低圧端子および平滑コンデンサC2の負極をグラウンド電位または接地用端子と呼ぶ。
【0019】
定電圧素子DZと、定電圧素子DZと直列に接続された抵抗R2と、を含む直列回路は、光源ユニット2と並列に接続される。定電圧素子DZは、例えばツェナーダイオードである。定電圧素子DZとして、例えばシャントレギュレータを用いても良い。光源ユニット2の低電位側と力率改善回路4の出力の低電位側との間には、検出抵抗R3、R4が接続される。つまり、検出抵抗R3、R4は、DC-DC変換回路5の低圧側出力と接地用端子との間に接続される。直列に接続された検出抵抗R3、R4の接続点の電圧は、制御回路6に入力される。定電圧素子DZ、抵抗R2、検出抵抗R3、R4は、接続検出回路7を構成する。
【0020】
制御回路6は、例えば入力される電圧信号をデジタル信号に変換するADコンバータと、各種演算処理を行うマイクロコンピュータと、スイッチング素子SW1、SW2を駆動するドライバ回路を備える。
【0021】
次に、実施の形態1にかかる点灯装置10の動作を説明する。点灯装置10に交流電源1が印加されると、整流回路3は入力された交流電圧を全波整流し、整流された電圧がフィルタコンデンサC1の両端に印加される。同時に、制御回路6が起動し、光源ユニット2が正常に接続されているか接続検出を行う。光源ユニット2の接続確認ができるまで、力率改善回路4とDC-DC変換回路5は動作停止状態を維持する。
【0022】
次に、DC-DC変換回路5の出力に光源ユニット2が接続されていない場合の動作を説明する。交流電源1が印加されると平滑コンデンサC2は例えば交流電源1のピーク電圧まで充電される。例えばAC100V入力のとき、平滑コンデンサC2の電圧は141Vとなる。平滑コンデンサC2の電圧は接続検出回路7に印加される。平滑コンデンサC2の電圧は定電圧素子DZのツェナー電圧より高いので、定電圧素子DZは導通する。このとき、光源ユニット2が接続されていないので、平滑コンデンサC2の電圧からツェナー電圧を差し引いた電圧が抵抗R2、R3、R4に印加される。
【0023】
制御回路6は、検出抵抗R4に発生する電圧に応じて、光源ユニット2の接続の有無を判別する。具体的には、制御回路6は検出抵抗R4に印加される電圧を読み取り、予め定められた閾値と比較する。制御回路6は、検出抵抗R4の電圧が閾値未満であれば、光源ユニット2の接続無と判別する。接続無と判定された場合、制御回路6は引き続き検出抵抗R4の電圧を検出し、接続ありと判別するまで待機状態となる。
【0024】
次にDC-DC変換回路5の出力に光源ユニット2が接続されている場合の動作を説明する。この場合、定電圧素子DZと抵抗R2の直列回路に対して、光源ユニット2に内蔵された抵抗R1が並列に接続される。交流電源1が印加されると平滑コンデンサC2が充電され、平滑コンデンサC2の電圧は接続検出回路7および抵抗R1に印加される。光源ユニット2が接続されない場合と比較して、抵抗R1が接続されることで、DC-DC変換回路5の出力間のインピーダンスが低下する。従って、DC-DC変換回路5の出力間の電圧が低下する。これにより、例えば交流電源1がAC100Vの場合、定電圧素子DZが導通しない。
【0025】
この場合、検出抵抗R4には抵抗R1と検出抵抗R3、R4の分圧比から決定する電圧が印加される。従って、光源ユニット2が未接続の場合と比較して、検出抵抗R4に印加される電圧は高くなる。制御回路6は検出抵抗R4に印加させる電圧を読み取り、予め定められた閾値以上であれば光源ユニット2の接続有りと判別する。
【0026】
制御回路6は、光源ユニット2の接続有りと判別すると、力率改善回路4とDC-DC変換回路5の動作を開始する。力率改善回路4では、スイッチング素子SW1が高周波でスイッチング動作を行い、入力電圧に対して昇圧された電圧が出力される。また、入力電流波形が電源電圧と同位相、且つ、正弦波状に制御され、高力率化が可能となる。
【0027】
DC-DC変換回路5ではスイッチング素子SW2が高周波でスイッチング動作を行い、入力された電圧よりも低い電圧が出力される。DC-DC変換回路5では、光源ユニット2に予め定められた電流が供給されるように、定電流フィードバック制御が実施される。スイッチング素子SW2と直列に、図示しない電流検出抵抗が接続されても良い。制御回路6は、例えば電流検出抵抗により検出される信号を用いて、スイッチング電流が目標値となるように、スイッチング素子SW2のオン時間を制御する。
【0028】
このように照明器具100では、光源ユニット2を接続すると、力率改善回路4とDC-DC変換回路5が動作を開始し、光源ユニット2が点灯を開始する。また、交流電源1が投入されたタイミングで光源ユニット2が接続されていない場合でも、その後光源ユニット2が接続されて検出抵抗R4の電圧が上昇すると、制御回路6は接続有りと判別する。これにより制御回路6は力率改善回路4とDC-DC変換回路5の動作を開始し、光源ユニット2を点灯させる。
【0029】
次に、定電圧素子DZを適用する効果を説明する。
図2は、実施の形態1の比較例に係る照明器具800の回路ブロック図である。照明器具800は点灯装置810を備える。点灯装置810は、定電圧素子DZを有さない点が点灯装置10と異なる。点灯装置810において、光源ユニット2が接続されていない場合、検出抵抗R4に印加される電圧はVpfc×R4/(R2+R3+R4)となる。ここで、Vpfcは力率改善回路4の出力電圧であり、平滑コンデンサC2の両端電圧である。光源ユニット2が接続された場合、検出抵抗R4に印加する電圧は、Vpfc×R4/(1/((1/R1)+(1/R2))+R3+R4)となる。このとき、抵抗R1と抵抗R2が並列接続されるため、光源ユニット2の接続無しの場合よりも検出抵抗R4の検出電圧は上昇する。
【0030】
次に、本実施の形態の点灯装置10において、光源ユニット2が接続されていない場合の検出抵抗R4に印加される電圧は(Vpfc-Vz)×R4/(R2+R3+R4)となる。ここでVzは定電圧素子DZのツェナー電圧である。光源ユニット2が接続されない場合、力率改善回路4の出力電圧Vpfcからツェナーダイオードの電圧Vzを差し引いた電圧が抵抗R2、および検出抵抗R3、R4に印加させる。このため、定電圧素子DZを設けない場合と比較して、検出抵抗R4の検出電圧が低下する。
【0031】
光源ユニット2が接続された場合、検出抵抗R4に印加される電圧は、定電圧素子DZが通電しないものとすると、Vpfc×R4/(R1+R3+R4)となる。光源ユニット2を接続した場合、定電圧素子DZと抵抗R2の直列回路と並列に抵抗R1が接続される。このため、抵抗R1、検出抵抗R3、R4の分圧比によって、検出抵抗R4の電圧が決定する。定電圧素子DZを用いない場合は、抵抗R2と抵抗R1の並列合成抵抗が考慮される。一方、定電圧素子DZを用いる場合は、定電圧素子DZが導通しないため、抵抗R2は影響しない。従って、検出抵抗R4の検出電圧はツェナーダイオード無しの場合と比較して若干低下する。しかし、R1<R3+R4であれば電圧低下の影響は小さい。以上から、定電圧素子DZを適用した場合、光源ユニット2の接続有無による検出抵抗R4に発生する電圧の差分が大きくなる。
【0032】
一例として、R1=600kΩ、R2=510kΩ、R3=3MΩ、R4=24kΩ、定電圧素子DZのツェナー電圧Vzを36V、入力電圧をAC100Vとする。定電圧素子DZを用いない場合、光源ユニット2未接続時に検出抵抗R4に発生する電圧は0.96V、光源ユニット2接続時に検出抵抗R4に発生する電圧は1.03Vとなる。つまり、光源ユニット2の接続有無による差電圧は0.07Vである。一方、定電圧素子DZを接続した場合、光源ユニット2未接続時に検出抵抗R4に発生する電圧は0.72V、光源ユニット2接続時に検出抵抗R4に発生する電圧は0.94Vとなる。つまり、光源ユニット2の接続有無による差電圧は0.22Vとなる。
【0033】
このように定電圧素子DZを抵抗R2と直列に接続することで、光源ユニット2の接続有無を判別するための検出信号の差電圧を拡大することができる。差電圧が小さい場合、検出回路のばらつきまたはノイズ等により誤判定する可能性がある。これに対し本実施の形態では、光源ユニット2の接続有無の検出精度を向上でき、誤判定を抑制できる。
【0034】
また、本実施の形態では、スイッチング素子SW2をローサイドに配置したので、高耐圧部品を削減できる。また、フォトカプラ等の高価な部品を使用せずに、光源ユニット2の接続有無を検出できる。従って、点灯装置10を低コストで製造できる。また、本実施の形態では、接続検出回路7として、DC-DC変換回路5の出力端子間にダイオードが接続されない。このため、点灯装置10における電力損失を抑制できる。従って、点灯装置10の高効率化が可能となる。
【0035】
本実施の形態の変形例として、検出抵抗R3、R4は、線路9bのうちスイッチング素子SW2より光源ユニット2側の部分と、力率改善回路4の出力の低電位側との間に接続されれば良い。例えば検出抵抗R3、R4は、スイッチング素子SW2のドレインに接続されても良い。光源ユニット2の接続検出はDC-DC変換回路5が動作していない状態で実行される。DC-DC変換回路5の停止中は、インダクタL2に起電力が発生しない。このため、検出抵抗R3をスイッチング素子SW2のドレイン端子に接続しても、光源ユニット2の低電位側に接続される場合とほぼ同等の検出電圧が得られる。
【0036】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る点灯装置および照明器具について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る点灯装置および照明器具については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0037】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係る照明器具200の回路ブロック図である。照明器具200は、点灯装置210を備える。点灯装置210は、力率改善回路4からDC-DC変換回路5への入力電圧を検出する電圧検出回路8を備える。他の構成は、点灯装置10と同様である。電圧検出回路8は、直列に接続された抵抗R5、R6から構成される。電圧検出回路8により検出された信号は制御回路6に入力される
【0038】
次に、本実施の形態に係る点灯装置210の動作を説明する。点灯装置210は複数の入力電圧に対応可能である。つまり、点灯装置210は、例えば交流100V、交流200Vの何れの交流電圧を入力されても動作可能である。力率改善回路4は、複数の入力電圧に対して、例えば400Vの同一電圧を出力できる。後段のDC-DC変換回路5には、交流電源1の値に係わらず、一定の電圧が入力される。このため、DC-DC変換回路5の動作および光源ユニット2の光出力は、交流電源1の値に影響されない。
【0039】
一方、光源ユニット2の接続検出が完了するまでは、力率改善回路4が動作しない。このため、点灯装置210に交流電源1が印加されると、整流回路3を介して平滑コンデンサC2に交流電源1のピーク電圧が充電される。このように、平滑コンデンサC2には入力電圧によって異なる電圧が充電され、例えば交流100Vであれば約141Vの直流電圧、交流200Vであれば約282Vの直流電圧が充電される。
【0040】
このとき、接続検出回路7に印加される電圧も交流電源電圧によって異なる。このため、交流電源電圧によって検出抵抗R4からの電圧信号も変化する。この場合、光源ユニット2の接続判定のための閾値が一定値であると、接続判定が困難になるおそれがある。
【0041】
これに対し本実施の形態では、制御回路6は、光源ユニット2の接続の有無を判別するための、検出抵抗R4に発生する電圧の閾値を、DC-DC変換回路5への入力電圧に応じて変更する。制御回路6は、光源ユニット2の接続検出時において、DC-DC変換回路5への入力電圧を検出する。具体的には、制御回路6は、電圧検出回路8を構成する抵抗R5、R6により分圧された電圧信号から、平滑コンデンサC2の電圧を判別する。DC-DC変換回路5への入力電圧を判別すると、制御回路6は閾値を入力電圧に応じた値に設定する。入力電圧が高いほど接続検出回路7に印加される電圧も高くなる。従って、制御回路6は入力電圧が高いほど閾値を高くする。その後、制御回路6は光源ユニット2の接続有無を判別する。本実施の形態の接続有無の判別方法は、実施の形態1の判別方法と同様である。
【0042】
なお、光源ユニット2の接続検出を行うタイミングは、力率改善回路4が停止しているときに限定されず、力率改善回路4が動作しているときであっても良い。この場合、交流電源1を投入した後、力率改善回路4が動作を開始する。その後、平滑コンデンサC2の電圧が目標電圧に到達した後に、制御回路6は光源ユニット2の接続検出を実行する。光源ユニット2の接続が確認された場合、制御回路6はDC-DC変換回路5を動作させる。このシーケンスでは、交流電源1が昇圧された直流電圧が力率改善回路4から出力される。このため、平滑コンデンサC2の電圧は、交流電源1のピーク電圧よりも高くなり、例えば400Vとなる。この場合も、制御回路6は電圧検出回路8によって平滑コンデンサC2の電圧を検出し、閾値をさらに高い値に設定できる。
【0043】
また、光源ユニット2の接続検出を実施するタイミングは、交流電源1を投入したタイミングに限定されない。例えば、照明器具200は、外部の調光器からの調光信号で調光制御されても良い。このとき、調光器からの消灯信号により消灯中の照明器具200に対して、調光器からの点灯信号を点灯装置210に入力したタイミングで、接続検出を行っても良い。この場合、交流電源1は光源ユニット2が消灯中でも点灯装置210に入力された状態となる。
【0044】
また、光源ユニット2が接続されていない状態で交流電源1を投入し、光源ユニット2の接続がされていないと判別された場合は、制御回路6は保護動作として力率改善回路4とDC-DC変換回路5の動作を停止する。光源ユニット2が点灯中に外された場合も同様である。このとき、DC-DC変換回路5の動作のみを停止し、力率改善回路4は動作を継続させても良い。しかし、待機電力を低減するためには力率改善回路4の動作も停止させた方が良い。光源ユニット2が接続されていない状態では、制御回路6は常に光源ユニット2の接続検出を行っている状態である。光源ユニット2の接続を検出すると、制御回路6はDC-DC変換回路5の動作を開始し、光源ユニット2は点灯する。本実施の形態では、制御回路6は力率改善回路4の動作の有無にかかわらず、DC-DC変換回路5の入力電圧に応じて適切な閾値を設定する。このため、高精度な接続判定ができる。
【0045】
なお、実施の形態1では光源ユニット2が接続されているときに定電圧素子DZは導通しない例について説明した。これに対し、交流電源1の電圧が交流200Vの場合、または、力率改善回路4が動作している状態で光源ユニット2の接続検出を実施する場合等には、接続検出回路7に印加される電圧が高くなる。このため、光源ユニット2の接続時において、定電圧素子DZに印加される電圧がツェナー電圧Vzに達し、定電圧素子DZが導通する場合がある。
【0046】
このように、定電圧素子DZは少なくとも光源ユニット2の接続が無い状態で導通状態となれば良く、光源ユニット2の接続がある状態では導通状態でも非導通状態でも良い。光源ユニット2を接続した状態で定電圧素子DZが導通する場合、光源ユニット2に印加される電圧VLは次の式(1)で表される。
【0047】
【0048】
また、検出抵抗R4に印加される電圧VR4は次に式(2)で表される。
【0049】
【0050】
光源ユニット2が接続されない場合の検出抵抗R4に印加される電圧は、実施の形態1と同様である。一例として、R1=600kΩ、R2=510kΩ、R3=3MΩ、R4=24kΩ、定電圧素子DZのツェナー電圧Vzを36V、入力電圧をAC200Vとする。このとき、定電圧素子DZを用いない場合、光源ユニット2未接続時に検出抵抗R4に発生する電圧は1.92V、光源ユニット2接続時に検出抵抗R4に発生する電圧は2.06Vとなる。このとき、光源ユニット2の接続有無による差電圧は、0.14Vとなる。これに対して、定電圧素子DZを用いた場合、光源ユニット2未接続時に検出抵抗R4に発生する電圧は1.68V、光源ユニット2接続時に検出抵抗R4に発生する電圧は1.92Vとなる。光源ユニット2の接続有無による差電圧は、0.24Vとなる。
【0051】
また、力率改善回路4が動作状態であり力率改善回路4の出力電圧が400Vの場合を考える。定電圧素子DZを用いない場合、光源ユニット2未接続時に検出抵抗R4に発生する電圧は2.72V、光源ユニット2接続時に検出抵抗R4に発生する電圧は2.91Vとなる。このとき、光源ユニット2の接続有無による差電圧は、0.19Vとなる。一方、定電圧素子DZを用いた場合、光源ユニット2未接続時に検出抵抗R4に発生する電圧は2.47V、光源ユニット2接続時に検出抵抗R4に発生する電圧は2.77Vとなる。このとき、光源ユニット2の接続有無による差電圧は、0.3Vとなる。
【0052】
このように、入力電圧が高い場合および力率改善回路4が動作している場合には、接続検出回路7に印加される電圧が大きくなるため、定電圧素子DZを用いない場合でも光源ユニット2の接続有無における差電圧は大きくなる。しかし、定電圧素子DZを用いることで差電圧をさらに拡大することができる。従って、光源ユニット2の接続の有無を精度よく判別できる。
【0053】
以上のように、本実施の形態では、制御回路6はDC-DC変換回路5への入力電圧に応じて、適切な閾値を設定する。このため、交流電源1の電圧または力率改善回路4の動作の有無に関わらず、光源ユニット2の接続検出を精度よく実施できる。また、光源ユニット2接続時の定電圧素子DZの導通、非導通に関わらず、定電圧素子DZの挿入によって光源ユニット2の接続の有無による差電圧を拡大でき、接続検出を精度よく実施できる。
【0054】
なお、DC-DC変換回路5の動作が停止しているとき、定電圧素子DZと抵抗R2が形成する直列回路の両端に印加される電圧は、光源ユニット2の点灯電圧未満であると良い。これにより、DC-DC変換回路5の動作開始前に光源ユニット2が点灯することを防止できる。
【0055】
制御回路6は、DC-DC変換回路5が動作しているとき、検出抵抗R4に発生する電圧に基づきDC-DC変換回路5の異常を検出しても良い。つまり、DC-DC変換回路5の開始動作後は、検出抵抗R3、R4をDC-DC変換回路5の出力電圧検出回路として用いても良い。検出抵抗R3、R4には、DC-DC変換回路5の入力電圧との出力電圧の差電圧が印加される。このため、電圧検出回路8で検出した入力電圧を検出抵抗R4に印加される電圧から差し引くことで、DC-DC変換回路5の出力電圧を求めることができる。制御回路6は、例えばDC-DC変換回路5の出力電圧が正常範囲を逸脱した場合に、保護動作としてDC-DC変換回路5の動作を停止させても良い。
【0056】
正常範囲を逸脱した場合には、例えば光源ユニット2が点灯動作中に点灯装置210から取り外されて、DC-DC変換回路5の出力電圧が上昇した場合、DC-DC変換回路5の出力が短絡した場合などが該当する。なお、DC-DC変換回路5の入力電圧が既知の値であれば、検出抵抗R4の印加電圧のみからDC-DC変換回路5の出力電圧の異常を検出できる。例えば光源ユニット2が点灯中に点灯装置210から取り外されて、DC-DC変換回路5の出力電圧が上昇した場合、検出抵抗R4に印加される電圧は低下する。このとき、制御回路6は検出抵抗R4の電圧が予め設定した閾値を下回ると、DC-DC変換回路5の動作を停止させても良い。
【0057】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3に係る照明器具の断面図である。照明器具300は、照明器具本体40、コネクタ41、点灯装置42、ソケット43a、43bを備える。照明器具本体40は、点灯装置42などを取り付けるための筺体である。ソケット43a、43bには光源ユニット44が装着される。光源ユニット44はソケット43a、43bから着脱自在である。光源ユニット44は発光素子45を備える光源基板46、ソケット43a、43bに嵌合されて受電する口金47a、47b、光拡散カバー48から構成される。
【0058】
点灯装置42には、コネクタ41、電源配線49を介して交流電源1からの電力が入力される。点灯装置42は出力配線50、ソケット43a、43bの両方または何れか、口金47a、47bの両方または何れかを介して光源基板46に接続されている。点灯装置42は、入力された電力を変換して光源基板46に供給する。光源基板46の発光素子45は、点灯装置42からの供給電力により点灯する。
【0059】
点灯装置42の回路構成は、上述した点灯装置10または点灯装置210と同じである。これにより、実施の形態1、2に係る点灯装置10、210の利点を備えた点灯装置42および照明器具300を提供できる。
【0060】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0061】
1 交流電源、2 光源ユニット、2a 発光素子、3 整流回路、4 力率改善回路、5 DC-DC変換回路、6 制御回路、7 接続検出回路、8 電圧検出回路、9a、9b 線路、10 点灯装置、40 照明器具本体、41 コネクタ、42 点灯装置、43a、43b ソケット、44 光源ユニット、45 発光素子、46 光源基板、47a、47b 口金、48 光拡散カバー、49 電源配線、50 出力配線、100、200 照明器具、210 点灯装置、300、800 照明器具、810 点灯装置、C1 フィルタコンデンサ、C2 平滑コンデンサ、C3 平滑コンデンサ、D1、D2 ダイオード、DZ 定電圧素子、L1、L2、L3 インダクタ、R1、R2 抵抗、R3、R4 検出抵抗、R5、R6 抵抗、SW1、SW2 スイッチング素子