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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130859
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】スクータ型電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 9/14 20200101AFI20230913BHJP
   B62J 43/20 20200101ALI20230913BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20230913BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20230913BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B62J9/14
B62J43/20
B62J45/00
B62J23/00 G
B60R16/02 610J
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035400
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(72)【発明者】
【氏名】鶴橋 啓之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 節
(72)【発明者】
【氏名】松澤 虎勇
(57)【要約】
【課題】スクータ型電動車両内の限られたスペースに複数の電装品を配置する。
【解決手段】実施形態に係るスクータ型電動車両1は、前輪3と、後輪4と、電動モータ47と、前輪3と後輪4との間に位置し、乗員が足を置くフットボード6と、フットボード6の後方斜め上方に位置し、乗員が座るシート5と、シート5の下方に位置する収納ボックス10であって、第1前壁10F、第1左側壁10Lおよび第1右側壁10Rを有する収納ボックス10と、第1前壁10Fを覆う第2前壁23、第1左側壁10Lを覆う第2左側壁24L、および第1右側壁10Rを覆う第2右側壁24Rを有するカバー20と、第1前壁10Fと第2前壁23との間に配置された第1電装品42と、第1左側壁10Lと第2左側壁24Lとの間に配置された第2電装品43と、第1右側壁10Rと第2右側壁24Rとの間に配置された第3電装品41とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪および後輪と、
バッテリから供給される電力に応じて回転を発生させ、前記前輪および前記後輪の少なくとも一方を駆動する電動モータと、
前記前輪と前記後輪との間に位置し、乗員が足を置くフットボードと、
前記フットボードの後方斜め上方に位置し、前記乗員が座るシートと、
前記シートの下方に位置する収納ボックスであって、第1前壁、第1左側壁および第1右側壁を有する収納ボックスと、
前記第1前壁を覆う第2前壁、前記第1左側壁を覆う第2左側壁、および前記第1右側壁を覆う第2右側壁を有するカバーと、
前記第1前壁と前記第2前壁との間に配置された第1電装品、前記第1左側壁と前記第2左側壁との間に配置された第2電装品、および前記第1右側壁と前記第2右側壁との間に配置された第3電装品と、
を備える、スクータ型電動車両。
【請求項2】
前記バッテリは前記収納ボックス内に配置される、請求項1に記載のスクータ型電動車両。
【請求項3】
前記バッテリは前記スクータ型電動車両に対して着脱可能である、請求項1または2に記載のスクータ型電動車両。
【請求項4】
前記第1電装品、前記第2電装品および前記第3電装品は、互いに機能が異なる電装品である、請求項1から3のいずれかに記載のスクータ型電動車両。
【請求項5】
前記第1電装品、前記第2電装品および前記第3電装品のそれぞれは、前記スクータ型電動車両の動作を制御する制御装置、前記バッテリの出力電圧の大きさを変更して出力するコンバータ、使用するバッテリを切り替えるバッテリ切替スイッチ、地理座標系における前記スクータ型電動車両の位置を検出する測位装置、前記スクータ型電動車両と外部装置との間のデータ通信を行う通信装置のいずれかである、請求項1から4のいずれかに記載のスクータ型電動車両。
【請求項6】
前記第1前壁と前記第2前壁との間に配置される前記第1電装品は、前記第2電装品および前記第3電装品よりも厚さが大きい、請求項1から5のいずれかに記載のスクータ型電動車両。
【請求項7】
前記第1左側壁と前記第2左側壁との間の位置、および前記第1右側壁と前記第2右側壁との間の位置を通るフレームをさらに備え、
前記スクータ型電動車両の幅方向において、前記第2電装品および前記第3電装品の少なくとも一方は、前記フレームよりも内側に配置される、請求項1から6のいずれかに記載のスクータ型電動車両。
【請求項8】
前記第1左側壁と前記第2左側壁との間の位置、および前記第1右側壁と前記第2右側壁との間の位置を通るフレームをさらに備え、
前記第2電装品および前記第3電装品の少なくとも一方は、前記フレームに設けられる、請求項1から7のいずれかに記載のスクータ型電動車両。
【請求項9】
前記スクータ型電動車両の前後方向において、前記第2電装品および前記第3電装品の少なくとも一方は、前記収納ボックスの中央部または前記中央部よりも後方に配置される、請求項1から8のいずれかに記載のスクータ型電動車両。
【請求項10】
前記第1左側壁と前記第2左側壁との間の位置、および前記第1右側壁と前記第2右側壁との間の位置を通るフレームをさらに備え、
前記フレームは、前記収納ボックスの側方において後方斜め上方に延びる形状を有し、
前記スクータ型電動車両の前後方向において、前記第2電装品および前記第3電装品の少なくとも一方は、前記収納ボックスの中央部または前記中央部よりも後方の位置において、前記フレームに設けられる、請求項1から9のいずれかに記載のスクータ型電動車両。
【請求項11】
前記後輪を支持するスイングアームをさらに備え、
前記電動モータは、前記スイングアームに設けられる、請求項1から10のいずれかに記載のスクータ型電動車両。
【請求項12】
前記スクータ型電動車両は、スクータ型電動二輪車である、請求項1から11のいずれかに記載のスクータ型電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータを用いて走行するスクータ型電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータを駆動源として走行するスクータ型電動二輪車がある(例えば特許文献1参照)。電動モータは、車両に搭載されたバッテリから電力を供給されて回転し、電動モータの回転が車輪に伝達されることで車両は走行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-253591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スクータ型電動二輪車には複数の電装品を含む様々な部品が搭載される。しかし、スクータ型電動二輪車では、車体内の限られたスペースに多くの部品を配置することが求められるため、複数の電装品を配置するスペースを確保することは容易ではない。
【0005】
スクータ型電動車両内の複数の電装品の配置についてさらなる改良が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある実施形態に係るスクータ型電動車両は、前輪および後輪と、バッテリから供給される電力に応じて回転を発生させ、前記前輪および前記後輪の少なくとも一方を駆動する電動モータと、前記前輪と前記後輪との間に位置し、乗員が足を置くフットボードと、前記フットボードの後方斜め上方に位置し、前記乗員が座るシートと、前記シートの下方に位置する収納ボックスであって、第1前壁、第1左側壁および第1右側壁を有する収納ボックスと、前記第1前壁を覆う第2前壁、前記第1左側壁を覆う第2左側壁、および前記第1右側壁を覆う第2右側壁を有するカバーと、前記第1前壁と前記第2前壁との間に配置された第1電装品、前記第1左側壁と前記第2左側壁との間に配置された第2電装品、および前記第1右側壁と前記第2右側壁との間に配置された第3電装品とを備える。
【0007】
スクータ型電動車両に搭載される複数の電装品を一箇所にまとめて配置しようとすると、複数の電装品をまとめて配置するための大きなスペースを車両内に確保する必要がある。本発明のある実施形態によれば、収納ボックスの第1前壁とカバーの第2前壁との間の位置、収納ボックスの第1左側壁とカバーの第2左側壁との間の位置、収納ボックスの第1右側壁とカバーの第2右側壁との間の位置に、複数の電装品を分散して配置する。これにより、複数の電装品を一箇所にまとめて配置するための大きなスペースを車両内に確保する必要がない。収納ボックスとカバーとの間のスペースを利用することで、全体としてスリムに複数の電装品を配置することができる。
【0008】
複数の電装品は分散して配置するが、収納ボックスの周囲という互いの間の距離が比較的短くなる位置に複数の電装品を配置することで、電装品同士を接続する電線を短くすることができる。例えば、バッテリと電動モータとの間の電気経路に配置される電装品には大電流が流れるため、そのような電装品には断面積が大きい電線が接続される。複数の電装品を収納ボックスの周囲に配置することで、断面積が大きい電線を短くでき、電線の配置に必要なスペースを小さくすることができる。また、断面積が大きい電線を短くできることで、軽量化および低コスト化を実現することができる。
【0009】
収納ボックスの周囲という比較的高い位置に電装品を配置することで、走行路面上の水が車両内に侵入した場合でも電装品にその水がかかりにくくすることができる。
【0010】
ある実施形態において、前記バッテリは前記収納ボックス内に配置されてもよい。
【0011】
バッテリと電装品とを接続する電線には大電流が流れるため、断面積が大きい電線が用いられる。複数の電装品を収納ボックスの周囲に配置することで、バッテリと電装品とを接続する断面積が大きい電線を短くすることができる。
【0012】
ある実施形態において、前記バッテリは前記スクータ型電動車両に対して着脱可能であってもよい。
【0013】
車両からバッテリを取り外した状態で、バッテリを外部の充電器に接続して充電を行うことができる。例えば駐輪場に充電設備が設けられていない場合でも、バッテリの充電を行うことができる。
【0014】
ある実施形態において、前記第1電装品、前記第2電装品および前記第3電装品は、互いに機能が異なる電装品であってもよい。
【0015】
互いに機能が異なる複数の電装品を一箇所にまとめて配置するための大きなスペースを車両内に確保する必要がなく、全体としてスリムに複数の電装品を配置することができる。
【0016】
ある実施形態において、前記第1電装品、前記第2電装品および前記第3電装品のそれぞれは、前記スクータ型電動車両の動作を制御する制御装置、前記バッテリの出力電圧の大きさを変更して出力するコンバータ、使用するバッテリを切り替えるバッテリ切替スイッチ、地理座標系における前記スクータ型電動車両の位置を検出する測位装置、前記スクータ型電動車両と外部装置との間のデータ通信を行う通信装置のいずれかであってもよい。
【0017】
複数の電装品を一箇所にまとめて配置するための大きなスペースを車両内に確保する必要がなく、全体としてスリムに複数の電装品を配置することができる。
【0018】
ある実施形態において、前記第1前壁と前記第2前壁との間に配置される前記第1電装品は、前記第2電装品および前記第3電装品よりも厚さが大きくてもよい。
【0019】
第1前壁と第2前壁との間の距離を大きくすることは比較的容易であり、厚さが最も大きい電装品を収納ボックスの前方に配置することで、収納ボックスを覆うカバーの左右方向の幅を小さくすることができる。
【0020】
ある実施形態において、スクータ型電動車両は、前記第1左側壁と前記第2左側壁との間の位置、および前記第1右側壁と前記第2右側壁との間の位置を通るフレームをさらに備え、前記スクータ型電動車両の幅方向において、前記第2電装品および前記第3電装品の少なくとも一方は、前記フレームよりも内側に配置されてもよい。
【0021】
スクータ型電動車両の側部に外力が加わった場合でも、その外力が電装品に加わることを抑制できる。
【0022】
ある実施形態において、スクータ型電動車両は、前記第1左側壁と前記第2左側壁との間の位置、および前記第1右側壁と前記第2右側壁との間の位置を通るフレームをさらに備え、前記第2電装品および前記第3電装品の少なくとも一方は、前記フレームに設けられてもよい。
【0023】
収納ボックスとカバーとの間の位置に第2電装品および第3電装品を容易に配置することができる。
【0024】
ある実施形態において、前記スクータ型電動車両の前後方向において、前記第2電装品および前記第3電装品の少なくとも一方は、前記収納ボックスの中央部または前記中央部よりも後方に配置されてもよい。
【0025】
収納ボックスを覆うカバーの左斜め前部および右斜め前部をスリムにでき、乗員の足元部分がすっきりとしたデザインのスクータ型電動車両を実現することができる。
【0026】
ある実施形態において、スクータ型電動車両は、前記第1左側壁と前記第2左側壁との間の位置、および前記第1右側壁と前記第2右側壁との間の位置を通るフレームをさらに備え、前記フレームは、前記収納ボックスの側方において後方斜め上方に延びる形状を有し、前記スクータ型電動車両の前後方向において、前記第2電装品および前記第3電装品の少なくとも一方は、前記収納ボックスの中央部または前記中央部よりも後方の位置において、前記フレームに設けられてもよい。
【0027】
収納ボックスを覆うカバーの左斜め前部および右斜め前部をスリムにでき、乗員の足元部分がすっきりとしたデザインのスクータ型電動車両を実現することができる。
【0028】
第2電装品および第3電装品をより高い位置に配置することができ、走行路面上の水が車両内に侵入した場合でも第2電装品および第3電装品にその水がかかりにくくすることができる。
【0029】
ある実施形態において、スクータ型電動車両は、前記後輪を支持するスイングアームをさらに備え、前記電動モータは、前記スイングアームに設けられてもよい。
【0030】
スクータ型電動車両の車体内部に電動モータを配置するスペースを確保する必要が無いため、電動モータ以外の部品の配置の自由度を高めることができる。
【0031】
ある実施形態において、前記スクータ型電動車両は、スクータ型電動二輪車であってもよい。
【0032】
スクータ型電動二輪車では、車両内の限られたスペースに様々な部品を配置する必要があり、各部品は配置の制約を受ける。本発明のある実施形態によれば、収納ボックスの第1前壁とカバーの第2前壁との間の位置、収納ボックスの第1左側壁とカバーの第2左側壁との間の位置、収納ボックスの第1右側壁とカバーの第2右側壁との間の位置に、複数の電装品を分散して配置する。収納ボックスとカバーとの間のスペースを利用することで、全体としてスリムに複数の電装品を配置することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のある実施形態によれば、収納ボックスの第1前壁とカバーの第2前壁との間の位置、収納ボックスの第1左側壁とカバーの第2左側壁との間の位置、収納ボックスの第1右側壁とカバーの第2右側壁との間の位置に、複数の電装品を分散して配置する。これにより、複数の電装品を一箇所にまとめて配置するための大きなスペースを車両内に確保する必要がない。収納ボックスとカバーとの間のスペースを利用することで、全体としてスリムに複数の電装品を配置することができる。
【0034】
複数の電装品は分散して配置するが、収納ボックスの周囲という互いの間の距離が比較的短くなる位置に複数の電装品を配置することで、電装品同士を接続する電線を短くすることができる。例えば、バッテリと電動モータとの間の電気経路に配置される電装品には大電流が流れるため、そのような電装品には断面積が大きい電線が接続される。複数の電装品を収納ボックスの周囲に配置することで、断面積が大きい電線を短くでき、電線の配置に必要なスペースを小さくすることができる。また、断面積が大きい電線を短くできることで、軽量化および低コスト化を実現することができる。
【0035】
収納ボックスの周囲という比較的高い位置に電装品を配置することで、走行路面上の水が車両内に侵入した場合でも電装品にその水がかかりにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】実施形態に係るスクータ型電動車両1を示す左側面図である。
図2】実施形態に係る車体フレーム30および収納ボックス10を示す左側面図である。
図3】実施形態に係る車体フレーム30および収納ボックス10を左斜め前方から見た斜視図である。
図4】実施形態に係る車体フレーム30および収納ボックス10を右斜め前方から見た斜視図である。
図5】実施形態に係るバッテリ51、52が収納された収納ボックス10を示す図である。
図6】実施形態に係るスクータ型電動車両1に設けられる複数の電装品の一例を示すブロック図である。
図7】実施形態に係る収納ボックス10、シートカウル23およびリアカウル24を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同様の構成要素には同様の参照符号を付し、重複する場合にはその説明を省略する。以下の説明において、前、後、上、下、左、右は、それぞれスクータ型電動車両のシートに着座した乗員から見たときの前、後、上、下、左、右を意味するものとする。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0038】
図1は、本発明の実施形態に係るスクータ型電動車両1を示す左側面図である。図1に示す例では、車両1はスクータ型電動二輪車である。車両1は三輪以上の車輪を備えるスクータ型電動車両であってもよい。以下では、車両1がスクータ型電動二輪車である場合の例を説明する。図2は、スクータ型電動二輪車1が備える車体フレーム30および収納ボックス10を示す左側面図である。
【0039】
スクータ型電動二輪車1は、車体2、前輪3および後輪4を備える。車体2は、車体フレーム30(図2)および車体フレーム30の少なくとも一部を覆う車体カバー20(図1)を含む構造を有する。車体フレーム30は、例えばアンダーボーンフレームである。車体フレーム30は、ヘッドパイプ31、メインフレーム32を有する。ヘッドパイプ31にはステアリングシャフトが挿入され、ステアリングシャフトの上端にはステアリングハンドル16が設けられる。ステアリングシャフトの下端にはフロントフォーク15が設けられる。フロントフォーク15の下端部には前輪3が回転可能に支持されている。
【0040】
図3は、車体フレーム30および収納ボックス10を左斜め前方から見た斜視図である。図4は、車体フレーム30および収納ボックス10を右斜め前方から見た斜視図である。図3および図4はともに斜め上方から見た車体フレーム30および収納ボックス10を示している。
【0041】
図2から図4に示すように、メインフレーム32は、ヘッドパイプ31から後方斜め下方に向かって延びた後、左方および右方に延び、さらに後方に延びる形状を有する。車体フレーム30は、リアフレーム33L、33Rをさらに有する。リアフレーム33Lは、メインフレーム32の左後部から後方斜め上方に向かって延びる形状を有する。リアフレーム33Rは、メインフレーム32の右後部から後方斜め上方に向かって延びる形状を有する。
【0042】
メインフレーム32の後部およびリアフレーム33L、33Rの前部には、左右方向に延びるクロスメンバ34が設けられている。クロスメンバ34は、ピボット18を介してスイングアーム17を揺動可能に支持している。スイングアーム17の後部には、電動モータ47が設けられている。電動モータ47はインホイールモータであり、電動モータ47に後輪4(図1)が設けられている。電動モータ47は、ダイレクトドライブ方式のインホイールモータであってもよいし、ギアリダクション方式のインホイールモータであってもよい。スイングアーム17は、電動モータ47を介して後輪4を回転可能に支持している。この例では、駆動輪は後輪4であり、従動輪は前輪3である。リアフレーム33L、33Rの後部は、ショックアブソーバ37の上部を揺動可能に支持している。ショックアブソーバ37の下部は、スイングアーム17を揺動可能に支持している。スイングアーム17の内部には、電動モータ47の動作を制御するモータコントロールユニット(MCU)46が設けられている。
【0043】
電動モータ47およびMCU46をスイングアーム17に設けることで、車体2内部に電動モータ47およびMCU46を配置するスペースを確保する必要が無くなる。このため、電動モータ47およびMCU46以外の部品の配置の自由度を高めることができる。
【0044】
図1に示すように、車両1の前後方向における前輪3と後輪4との間の位置には、乗員が両足を置くフットボード6が配置されている。フットボード6はメインフレーム32に支持されている。車体2の上部には乗員が座るシート5が設けられている。シート5は、フットボード6の後方斜め上方に位置している。シート5の下方には収納ボックス10(図2)が設けられている。
【0045】
収納ボックス10は、車両1の左右方向において、リアフレーム33Lおよび33Rの間に配置されている。収納ボックス10は、リアフレーム33L、33Rおよびクロスメンバ34により支持されている。
【0046】
収納ボックス10は上方に開口しており、収納ボックス10の上部に配置されたシート5は収納ボックス10の蓋として機能する。収納ボックス10の蓋として機能するシート5は、例えばヒンジを用いて開閉可能である。収納ボックス10の内部の空間には、乗員の荷物およびバッテリ等を収納可能である。収納ボックス10内にバッテリを収納する形態では、バッテリを接続するコネクタ56(図3)が収納ボックス10内に設けられる。
【0047】
図5は、バッテリが収納された収納ボックス10の例を示す図である。図5に示す例では、二つのバッテリ51、52が収納ボックス10内に配置されている。収納ボックス10内に複数のバッテリを収納する形態では、バッテリを接続するコネクタ56(図3)は複数個設けられる。図5に示す例では、バッテリ51、52の後方の残りのスペースに乗員の荷物等を収納することができる。収納ボックス10が収納可能なバッテリの個数は一個であってもよいし、三個以上であってもよい。
【0048】
バッテリ51、52を接続するコネクタ56は、収納ボックス10の底部よりも高い位置に設けてもよい。これにより、収納ボックス10内に水が浸入した場合でも、バッテリ51、52およびコネクタ56の電極部分が水に濡れることを抑制できる。
【0049】
バッテリ51、52は、車両1に対して工具を用いることなく着脱可能であり得る。バッテリ51、52が着脱可能であることにより、車両1からバッテリ51、52を取り外した状態で、バッテリ51、52を外部の充電器に接続して充電を行うことができる。例えば駐輪場に充電設備が設けられていない場合でも、室内などの別のエリアでバッテリ51、52の充電を行うことができる。
【0050】
車体カバー20(図1)は、車体フレーム30および収納ボックス10を覆う形状を有する。車体カバー20は、車両1の前部の一部を覆うフロントカウル21およびレッグカウル22を有する。フロントカウル21の前部にはヘッドランプ7が配置されている。
【0051】
車体カバー20は、車両1の後部の一部を覆うシートカウル23およびリアカウル24をさらに有する。シートカウル23およびリアカウル24は、収納ボックス10およびリアフレーム33L、33Rの周囲を覆っている。
【0052】
次に、スクータ型電動二輪車1に設けられる複数の電装品を説明する。図6は、スクータ型電動二輪車1に設けられる複数の電装品の一例を示すブロック図である。スクータ型電動二輪車1には、互いに機能が異なる複数の電装品が設けられる。
【0053】
ビークルコントロールユニット(VCU)41は、スクータ型電動車両1の全体の動作を制御する。バッテリ51、52は、電動モータ47を動作させる電力を出力する。バッテリ51、52それぞれの出力電圧は、例えば50Vであるがそれに限定されない。バッテリ切替スイッチ42は、バッテリ51、52の間で使用するバッテリを切り替える。バッテリ切替スイッチ42は、例えばリレーである。VCU41は、バッテリ切替スイッチ42の動作を制御することで、バッテリ51、52のうちの使用するバッテリを選択することができる。例えば、使用中のバッテリの残容量が少なくなった場合に、他方のバッテリに切り替えることができる。
【0054】
低電圧バッテリ48は、低電圧で動作する電装品に電力を供給する。“低電圧”は、バッテリ51、52の出力電圧よりも低い電圧を意味し、例えば12Vであるがそれに限定されない。低電圧バッテリ48は、例えばフットボード6(図1)の下方に配置されるが、別の位置に配置されてもよい。
【0055】
DC/DCコンバータ43は、バッテリ切替スイッチ42を介してバッテリ51、52から供給された電圧を降圧して出力する。DC/DCコンバータ43の出力電圧は、例えば12Vであるが、それに限定されない。DC/DCコンバータ43が出力した電力は、低電圧バッテリ48に供給され、低電圧バッテリ48を充電することができる。DC/DCコンバータ43が出力した電力は、低電圧で動作する電装品に直接供給されてもよい。
【0056】
モータコントロールユニット(MCU)46は、バッテリ切替スイッチ42を介してバッテリ51、52から供給された電流から駆動電流を生成し、電動モータ47に出力する。電動モータ47が発生させた回転は後輪4に伝達され、車両1は走行する。
【0057】
測位装置44は、地理座標系における車両1の位置(地理座標)を検出することができる。測位装置44は、GNSS衛星から送信されるGNSS信号を受信し、GNSS信号に基づいて測位を行う。GNSSは、GPS(Global Positioning System)、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System、例えばみちびき)、GLONASS、Galileo、およびBeiDouなどの衛星測位システムの総称である。測位方法は、必要な精度の位置情報が得られる任意の方法であり得る。測位方法として、例えば、干渉測位法または相対測位法が採用されてもよい。車両1の地理座標を検出することで、車両1の現在値を示す地図をディスプレイに表示したり、目的地への経路案内を行ったりすることができる。
【0058】
通信装置45は、通信ネットワークを介した車両1と外部装置との通信に用いられる。通信装置45は、携帯電話回線または人工衛星を経由する回線を利用した無線通信を行い得る。乗員がモバイルルータを携帯している場合は、通信装置45は、無線通信または有線通信により、モバイルルータに接続されてもよい。この場合、通信装置45は、モバイルルータを介して通信ネットワークに接続される。通信装置45は、他の車両との間で車車間通信を行ってもよい。
【0059】
VCU41は、バスを介して複数の電装品に接続され得、複数の電装品の動作を制御することができる。VCU41は、バスを介さずに複数の電装品のそれぞれと接続されてもよい。
【0060】
なお、車両1の位置情報を用いない場合は、車両1は測位装置44を備えていなくてもよい。また、外部装置との通信を行わない場合は、車両1は通信装置45を備えていなくてもよい。電動モータ47に電力を供給するバッテリを1個のみ搭載する場合は、車両1はバッテリ切替スイッチ42を備えていなくてもよい。
【0061】
次に、複数の電装品の配置位置の例を説明する。図7は、上方から見た収納ボックス10、シートカウル23およびリアカウル24を示す図である。
【0062】
図3図4図7に示すように、収納ボックス10は、第1前壁10F、第1左側壁10L、第1右側壁10R、第1後壁10Reを有する。第1前壁10Fは、収納ボックス10の前部において主に上下左右方向に広がる壁部である。第1左側壁10Lは、収納ボックス10の左部において主に前後上下方向に広がる壁部である。第1右側壁10Rは、収納ボックス10の右部において主に前後上下方向に広がる壁部である。第1後壁10Reは、収納ボックス10の後部において主に上下左右方向に広がる壁部である。図7では、第1前壁10Fおよび第1後壁10Reを実線で示し、第1左側壁10Lおよび第1右側壁10Rを点線で示している。第1前壁10F、第1後壁10Re、第1左側壁10L、第1右側壁10Rは一体に形成されてもよいし、別々に形成されてもよい。
【0063】
リアカウル24は、第2左側壁24L、第2右側壁24R、第2後壁24Reを有する。第2左側壁24Lは、収納ボックス10の第1左側壁10Lおよびリアフレーム33L(図3)の左方に配置され、第1左側壁10Lおよびリアフレーム33Lを覆っている。第2右側壁24Rは、収納ボックス10の第1右側壁10Rおよびリアフレーム33R(図4)の右方に配置され、第1右側壁10Rおよびリアフレーム33Rを覆っている。第2後壁24Reは、収納ボックス10の第1後壁10Reの後方に配置され、第1後壁10Reを覆っている。第2左側壁24L、第2右側壁24R、第2後壁24Reは一体に形成されてもよいし、別々に形成されてもよい。
【0064】
シートカウル23は、収納ボックス10の第1前壁10Fの前方に配置され、第1前壁10Fを覆っている。シートカウル23は、第1前壁10Fを覆う第2前壁となる。図7では、第2前壁23および第2後壁24Reを実線で示し、第2左側壁24Lおよび第2右側壁24Rを破線で示している。リアフレーム33Lは、第1左側壁10Lと第2左側壁24Lとの間の位置を通る。リアフレーム33Rは、第1右側壁10Rと第2右側壁24Rとの間の位置を通る。
【0065】
本実施形態では、第1前壁10Fと第2前壁23との間の位置、第1左側壁10Lと第2左側壁24Lとの間の位置、および第1右側壁10Rと第2右側壁24Rとの間の位置のそれぞれの位置に、電装品を配置する。
【0066】
一例として、第1前壁10Fと第2前壁23との間の位置には、複数の電装品のうちのバッテリ切替スイッチ42を配置する。第1左側壁10Lと第2左側壁24Lとの間の位置には、DC/DCコンバータ43を配置する。第1右側壁10Rと第2右側壁24Rとの間の位置には、VCU41を配置する。
【0067】
バッテリ切替スイッチ42は、例えばボルトなどの締結具を用いて第1前壁10Fに取り付けられる。バッテリ切替スイッチ42を第1前壁10Fに取り付けることで、第1前壁10Fと第2前壁23との間の位置にバッテリ切替スイッチ42を容易に配置することができる。
【0068】
DC/DCコンバータ43は、例えばステー38を介してリアフレーム33Lに取り付けられる。VCU41は、例えばステー39を介してリアフレーム33Rに取り付けられる。DC/DCコンバータ43をリアフレーム33Lに取り付けることで、第1左側壁10Lと第2左側壁24Lとの間の位置にDC/DCコンバータ43を容易に配置することができる。VCU41をリアフレーム33Rに取り付けることで、第1右側壁10Rと第2右側壁24Rとの間の位置にVCU41を容易に配置することができる。
【0069】
スクータ型電動二輪車1に搭載される複数の電装品を一箇所にまとめて配置しようとすると、複数の電装品をまとめて配置するための大きなスペースを車両1内に確保する必要がある。本実施形態では、第1前壁10Fと第2前壁23との間の位置、第1左側壁10Lと第2左側壁24Lとの間の位置、第1右側壁10Rと第2右側壁24Rとの間の位置に、複数の電装品を分散して配置する。これにより、複数の電装品を一箇所にまとめて配置するための大きなスペースを車両1内に確保する必要がない。収納ボックス10とカウル23、24との間のスペースを利用することで、全体としてスリムに複数の電装品を配置することができる。
【0070】
複数の電装品は分散して配置するが、収納ボックス10の周囲という互いの間の距離が比較的短くなる位置に複数の電装品を配置することで、電装品同士を接続する電線を短くすることができる。
【0071】
本実施形態では、バッテリ51、52は収納ボックス10内に配置される。例えば、バッテリ51、52と電動モータ47との間の電気経路に配置される電装品には大電流が流れるため、そのような電装品には断面積が大きい電線が接続される。複数の電装品を収納ボックス10の周囲に配置することで、断面積が大きい電線を短くでき、電線の配置に必要なスペースを小さくすることができる。また、断面積が大きい電線を短くできることで、軽量化および低コスト化を実現することができる。
【0072】
また、収納ボックス10の周囲という比較的高い位置に電装品を配置することで、走行路面上の水が車両1内に侵入した場合でも電装品にその水がかかりにくくすることができる。
【0073】
収納ボックス10の前方に配置される電装品は、収納ボックス10の側方に配置される電装品よりも厚さが大きくてもよい。ここで、電装品の厚さとは、電装品の外形寸法における最も長さが小さくなる方向の長さであり得る。第1前壁10Fと第2前壁23との間の距離を大きくすることは比較的容易であり、厚さが最も大きい電装品を収納ボックス10の前方に配置することで、リアカウル24の左右方向の幅を小さくすることができる。
【0074】
図2に示すように、車両1の前後方向における収納ボックス10の中央部C1または中央部C1よりも後方の位置において、DC/DCコンバータ43はフレーム33Lに取り付けられてもよい。収納ボックス10の中央部C1は、収納ボックス10の内寸における中心位置であり得る。同様に、収納ボックス10の中央部C1または中央部C1よりも後方の位置において、VCU41はフレーム33Rに取り付けられてもよい。これにより、収納ボックス10を覆うリアカウル24の左斜め前部および右斜め前部をスリムにでき、乗員の足元部分がすっきりとしたデザインのスクータ型電動二輪車1を実現することができる。
【0075】
リアフレーム33L、33Rは、収納ボックス10の側方において後方斜め上方に延びる形状を有する。DC/DCコンバータ43およびVCU41を中央部C1または中央部C1よりも後方の位置において、フレーム33Lおよび33Rに設けることで、DC/DCコンバータ43およびVCU41を車両1のより高い位置に配置することができる。これにより、走行路面上の水が車両1内に侵入した場合でもDC/DCコンバータ43およびVCU41にその水がかかりにくくすることができる。
【0076】
図3に示すように、車両1の幅方向(左右方向)において、DC/DCコンバータ43はリアフレーム33Lよりも内側に配置されてもよい。また、図4に示すように、車両1の幅方向において、VCU41はリアフレーム33Rよりも内側に配置されてもよい。電装品をリアフレーム33L、33Rよりも内側に配置することで、車両1の側部に外力が加わった場合でも、その外力が電装品に加わることを抑制できる。また、リアカウル24の左右方向の幅を小さくすることができる。
【0077】
上述した第1前壁10Fと第2前壁23との間の位置、第1左側壁10Lと第2左側壁24Lとの間の位置、および第1右側壁10Rと第2右側壁24Rとの間の位置には、別の電装品が配置されてもよい。例えば、測位装置44、通信装置45、MCU46等が配置されてもよい。また、それら三つの位置に、合計4個以上の電装品が配置されてもよい。
【0078】
上述の実施形態の説明では、収納ボックス10の周囲を覆うカバーとしてシートカウル23とリアカウル24とが設けられていたが、それらシートカウル23とリアカウル24とは互いに一体に形成されていてもよい。
【0079】
バッテリ51、52は着脱可能でなくてもよく、車両1に固定されて取り外しができない形態であってもよい。バッテリ51、52の取り外しができない形態とは、例えば、ボルトとナットを用いて車両1に固定されている等、バッテリ51、52の取り外しには何らかの工具が必要な形態を指す。
【0080】
電動モータ47は、インホイールモータに限定されない。電動モータ47は、後輪4から離れた位置に配置され、動力伝達機構を介して電動モータ47から後輪4に回転が伝達されてもよい。
【0081】
以上、本発明の例示的な実施形態を説明した。
【0082】
本発明のある実施形態に係るスクータ型電動車両1は、前輪3および後輪4と、バッテリ51、52から供給される電力に応じて回転を発生させ、前輪3および後輪4の少なくとも一方を駆動する電動モータ47と、前輪3と後輪4との間に位置し、乗員が足を置くフットボード6と、フットボード6の後方斜め上方に位置し、乗員が座るシート5と、シート5の下方に位置する収納ボックス10であって、第1前壁10F、第1左側壁10Lおよび第1右側壁10Rを有する収納ボックス10と、第1前壁10Fを覆う第2前壁23、第1左側壁10Lを覆う第2左側壁24L、および第1右側壁10Rを覆う第2右側壁24Rを有するカバー20と、第1前壁10Fと第2前壁23との間に配置された第1電装品42、第1左側壁10Lと第2左側壁24Lとの間に配置された第2電装品43、および第1右側壁10Rと第2右側壁24Rとの間に配置された第3電装品41とを備える。
【0083】
スクータ型電動車両1に搭載される複数の電装品を一箇所にまとめて配置しようとすると、複数の電装品をまとめて配置するための大きなスペースを車両1内に確保する必要がある。
【0084】
本発明のある実施形態によれば、収納ボックス10の第1前壁10Fとカバー20の第2前壁23との間の位置、収納ボックス10の第1左側壁10Lとカバー20の第2左側壁24Lとの間の位置、収納ボックス10の第1右側壁10Rとカバー20の第2右側壁24Rとの間の位置に、複数の電装品を分散して配置する。これにより、複数の電装品を一箇所にまとめて配置するための大きなスペースを車両1内に確保する必要がない。収納ボックス10とカバー20との間のスペースを利用することで、全体としてスリムに複数の電装品を配置することができる。
【0085】
複数の電装品は分散して配置するが、収納ボックス10の周囲という互いの間の距離が比較的短くなる位置に複数の電装品を配置することで、電装品同士を接続する電線を短くすることができる。例えば、バッテリ51、52と電動モータ47との間の電気経路に配置される電装品には大電流が流れるため、そのような電装品には断面積が大きい電線が接続される。複数の電装品を収納ボックス10の周囲に配置することで、断面積が大きい電線を短くでき、電線の配置に必要なスペースを小さくすることができる。また、断面積が大きい電線を短くできることで、軽量化および低コスト化を実現することができる。
【0086】
収納ボックス10の周囲という比較的高い位置に電装品を配置することで、走行路面上の水が車両1内に侵入した場合でも電装品にその水がかかりにくくすることができる。
【0087】
ある実施形態において、バッテリ51、52は収納ボックス10内に配置されてもよい。
【0088】
バッテリ51、52と電装品とを接続する電線には大電流が流れるため、断面積が大きい電線が用いられる。複数の電装品を収納ボックス10の周囲に配置することで、バッテリ51、52と電装品とを接続する断面積が大きい電線を短くすることができる。
【0089】
ある実施形態において、バッテリ51、52はスクータ型電動車両1に対して着脱可能であってもよい。
【0090】
車両1からバッテリ51、52を取り外した状態で、バッテリ51、52を外部の充電器に接続して充電を行うことができる。例えば駐輪場に充電設備が設けられていない場合でも、バッテリ51、52の充電を行うことができる。
【0091】
ある実施形態において、第1電装品42、第2電装品43および第3電装品41は、互いに機能が異なる電装品であってもよい。
【0092】
互いに機能が異なる複数の電装品を一箇所にまとめて配置するための大きなスペースを車両1内に確保する必要がなく、全体としてスリムに複数の電装品を配置することができる。
【0093】
ある実施形態において、第1電装品42、第2電装品43および第3電装品41のそれぞれは、スクータ型電動車両1の動作を制御する制御装置41、バッテリ51、52の出力電圧の大きさを変更して出力するコンバータ43、使用するバッテリ51、52を切り替えるバッテリ切替スイッチ42、地理座標系におけるスクータ型電動車両1の位置を検出する測位装置44、スクータ型電動車両1と外部装置との間のデータ通信を行う通信装置45のいずれかであってもよい。
【0094】
複数の電装品を一箇所にまとめて配置するための大きなスペースを車両1内に確保する必要がなく、全体としてスリムに複数の電装品を配置することができる。
【0095】
ある実施形態において、第1前壁10Fと第2前壁23との間に配置される第1電装品42は、第2電装品43および第3電装品41よりも厚さが大きくてもよい。
【0096】
第1前壁10Fと第2前壁23との間の距離を大きくすることは比較的容易であり、厚さが最も大きい電装品を収納ボックス10の前方に配置することで、収納ボックス10を覆うカバー20の左右方向の幅を小さくすることができる。
【0097】
ある実施形態において、スクータ型電動車両1は、第1左側壁10Lと第2左側壁24Lとの間の位置、および第1右側壁10Rと第2右側壁24Rとの間の位置を通るフレーム33L、33Rをさらに備え、スクータ型電動車両1の幅方向において、第2電装品43および第3電装品41の少なくとも一方は、フレーム33L、33Rよりも内側に配置されてもよい。
【0098】
スクータ型電動車両1の側部に外力が加わった場合でも、その外力が電装品に加わることを抑制できる。
【0099】
ある実施形態において、スクータ型電動車両1は、第1左側壁10Lと第2左側壁24Lとの間の位置、および第1右側壁10Rと第2右側壁24Rとの間の位置を通るフレーム33L、33Rをさらに備え、第2電装品43および第3電装品41の少なくとも一方は、フレーム33L、33Rに設けられてもよい。
【0100】
収納ボックス10とカバー20との間の位置に第2電装品43および第3電装品41を容易に配置することができる。
【0101】
ある実施形態において、スクータ型電動車両1の前後方向において、第2電装品43および第3電装品41の少なくとも一方は、収納ボックス10の中央部C1または中央部C1よりも後方に配置されてもよい。
【0102】
収納ボックス10を覆うカバー20の左斜め前部および右斜め前部をスリムにでき、乗員の足元部分がすっきりとしたデザインのスクータ型電動車両1を実現することができる。
【0103】
ある実施形態において、スクータ型電動車両1は、第1左側壁10Lと第2左側壁24Lとの間の位置、および第1右側壁10Rと第2右側壁24Rとの間の位置を通るフレーム33L、33Rをさらに備え、フレーム33L、33Rは、収納ボックス10の側方において後方斜め上方に延びる形状を有し、スクータ型電動車両1の前後方向において、第2電装品43および第3電装品41の少なくとも一方は、収納ボックス10の中央部C1または中央部C1よりも後方の位置において、フレーム33L、33Rに設けられてもよい。
【0104】
収納ボックス10を覆うカバー20の左斜め前部および右斜め前部をスリムにでき、乗員の足元部分がすっきりとしたデザインのスクータ型電動車両1を実現することができる。
【0105】
第2電装品43および第3電装品41をより高い位置に配置することができ、走行路面上の水が車両1内に侵入した場合でも第2電装品43および第3電装品41にその水がかかりにくくすることができる。
【0106】
ある実施形態において、スクータ型電動車両1は、後輪4を支持するスイングアーム17をさらに備え、電動モータ47は、スイングアーム17に設けられてもよい。
【0107】
スクータ型電動車両1の車体内部に電動モータ47を配置するスペースを確保する必要が無いため、電動モータ47以外の部品の配置の自由度を高めることができる。
【0108】
ある実施形態において、スクータ型電動車両1は、スクータ型電動二輪車であってもよい。
【0109】
スクータ型電動二輪車1では、車両1内の限られたスペースに様々な部品を配置する必要があり、各部品は配置の制約を受ける。本発明のある実施形態によれば、収納ボックス10の第1前壁10Fとカバー20の第2前壁23との間の位置、収納ボックス10の第1左側壁10Lとカバー20の第2左側壁24Lとの間の位置、収納ボックス10の第1右側壁10Rとカバー20の第2右側壁24Rとの間の位置に、複数の電装品を分散して配置する。収納ボックス10とカバー20との間のスペースを利用することで、全体としてスリムに複数の電装品を配置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、電動モータを駆動源とするスクータ型電動車両の分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0111】
1:スクータ型電動車両(スクータ型電動二輪車)、 2:車体、 3:前輪、 4:後輪、 5:シート、 6:フットボード、 7:ヘッドランプ、 10:収納ボックス 10F:第1前壁 10L:第1左側壁 10R:第1右側壁 10Re:第1後壁 15:フロントフォーク、 16:ステアリングハンドル、 17:スイングアーム、 18:ピボット、 20:カバー、 21:フロントカウル、 22:レッグカウル、 23:シートカウル(第2前壁)、 24:リアカウル、 24L:第2左側壁、 24R:第2右側壁、 24Re:第2後壁、 30:車体フレーム、 31:ヘッドパイプ、 32:メインフレーム、 33L、33R:リアフレーム、 34:クロスメンバ、 37:ショックアブソーバ、 38:ステー、 39:ステー、 41:ビークルコントロールユニット(VCU)、 42:バッテリ切替スイッチ、 43:DC/DCコンバータ、 44:測位装置、 45:通信装置、 46:モータコントロールユニット(MCU)、 47:電動モータ、 48:低電圧バッテリ、 51:バッテリ、 52:バッテリ、 56:コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7