(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130866
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信システム、無線通信接続方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 36/08 20090101AFI20230913BHJP
H04W 36/30 20090101ALI20230913BHJP
H04W 84/12 20090101ALN20230913BHJP
【FI】
H04W36/08
H04W36/30
H04W84/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035421
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 公二
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA15
5K067DD44
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ39
(57)【要約】
【課題】アクセスポイントの切り替えに要する時間を短縮することが可能な無線通信装置、無線通信システム、無線通信接続方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る無線通信装置は、通信部と、記憶部と、制御部と、を有する無線通信装置であって、制御部は、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度を監視する監視部と、無線通信装置の移動経路に関する情報と、切替先アクセスポイントの候補との対応を示す情報を記憶部から読み出して、読み出した情報に基づいて、接続先アクセスポイントを決定する決定部と、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度が閾値外となった場合に、決定された接続先アクセスポイントへの接続処理を実行する接続部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と、記憶部と、制御部と、を有する無線通信装置であって、
前記制御部は、
接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度を監視する監視部と、
前記無線通信装置の移動経路と切替先アクセスポイントの候補との対応を示す情報を前記記憶部から読み出して、読み出した前記情報に基づいて接続先アクセスポイントを決定する決定部と、
前記接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度が閾値外となった場合に、決定された接続先アクセスポイントへの接続処理を実行する接続部と、を備える、
無線通信装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記情報において、移動経路ごとの切替先アクセスポイントの候補が複数存在した場合に、アクセスポイントの接続優先度に基づいて、接続先アクセスポイントを決定する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記無線通信装置のアクセスポイントへの接続履歴が記憶された接続履歴記憶部、をさらに備え、
前記接続優先度は、前記無線通信装置の前記接続履歴を基準に算出される、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記記憶部は、アクセスポイント間の距離を記憶するアクセスポイント間距離記憶部と、をさらに備え、
前記接続優先度は、接続中のアクセスポイントから切替先アクセスポイントの間の距離を基準に算出される、
請求項2又は請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記情報において、前記無線通信装置の移動経路に対応する前記切替先アクセスポイントの候補が存在しない場合には、周囲のアクセスポイントと通信を行うことで前記接続先アクセスポイントを決定し、
前記無線通信装置の移動経路と、前記接続先アクセスポイントを対応付けて前記記憶部に記憶させる更新部を更に備える、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の無線通信装置と、
切替先アクセスポイント記憶部を備えるサーバ装置と、を備える無線通信システムであって、
前記無線通信装置は、前記サーバ装置から前記情報を受信して、前記無線通信装置の切替先アクセスポイント記憶部に記憶する、
無線通信システム。
【請求項7】
接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度を監視するステップと、
無線通信装置の移動経路に関する情報と、切替先アクセスポイントの候補との対応を示す情報を記憶部から読み出して、読み出した前記情報に基づき、接続先アクセスポイントを決定するステップと、
接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度が閾値外となった場合に、決定された接続先アクセスポイントへの接続処理を実行するステップと、を含む、
無線通信接続方法。
【請求項8】
接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度を監視するステップと、
無線通信装置の移動経路に関する情報と、切替先アクセスポイントの候補との対応を示す情報を記憶部から読み出して、読み出した前記情報に基づき、接続先アクセスポイントを決定するステップと、
接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度が閾値外となった場合に、決定された接続先アクセスポイントへの接続処理を実行するステップと、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置、無線通信システム、無線通信接続方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車や自動車等の移動する製品における通信や、大規模プラント内での作業者の情報伝達用インフラとして無線LAN(Local Area Network)を利用する場合、無線LANアクセスポイントを複数配置する必要がある。この場合、端末がアクセスポイント間を移動する際の通信継続技術(以下、ハンドオーバ技術と呼ぶ)が必要である。
【0003】
無線LANにおいて、アクセスポイント探索から接続先アクセスポイント決定までの処理は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11kに規定される処理を用いることがある。この場合、接続中のアクセスポイントから切替先アクセスポイントの情報を収集し、ハンドオーバが必要になると接続中のアクセスポイントから切替先アクセスポイントに接続する。切替先アクセスポイントの候補が複数ある場合は、接続時間を短縮できるが、切替先アクセスポイントの数が1つだけの場合は、アクセスポイントの切り替えに要するハンドオーバ時間に大きな差が生じることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにハンドオーバを行う際には、アクセスポイントの切り替えに要する時間を短縮することが求められる。本開示は上記課題を鑑み、アクセスポイントの切り替えに要する時間を短縮することが可能な無線通信装置、無線通信システム、無線通信接続方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る無線通信装置は、通信部と、記憶部と、制御部と、を有する無線通信装置であって、前記制御部は、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度を監視する監視部と、前記無線通信装置の移動経路と切替先アクセスポイントの候補との対応を示す情報を前記記憶部から読み出して、読み出した前記情報に基づいて接続先アクセスポイントを決定する決定部と、前記接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度が閾値外となった場合に、決定された接続先アクセスポイントへの接続処理を実行する接続部と、を備える。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る無線通信システムは、無線通信装置と、切替先アクセスポイント記憶部を備えるサーバ装置と、を備える無線通信システムであって、前記無線通信装置は、前記サーバ装置から前記情報を受信して、前記無線通信装置の切替先アクセスポイント記憶部に記憶する。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る無線通信接続方法は、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度を監視するステップと、無線通信装置の移動経路に関する情報と、切替先アクセスポイントの候補との対応を示す情報を記憶部から読み出して、読み出した前記情報に基づき、接続先アクセスポイントを決定するステップと、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度が閾値外となった場合に、決定された接続先アクセスポイントへの接続処理を実行するステップと、を含む。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度を監視するステップと、無線通信装置の移動経路に関する情報と、切替先アクセスポイントの候補との対応を示す情報を記憶部から読み出して、読み出した前記情報に基づき、接続先アクセスポイントを決定するステップと、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度が閾値外となった場合に、決定された接続先アクセスポイントへの接続処理を実行するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、アクセスポイントの切り替えに要する時間を短縮することが可能な無線通信装置、無線通信システム、無線通信接続方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、無線通信装置のアクセスポイントの切り替えを模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、本開示に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示に係る無線通信装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示に係る切替先アクセスポイント記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示に係る接続履歴記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示に係るアクセスポイント間距離記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示に係るアクセスポイントの構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の第1態様に係る無線通信接続処理のフローチャートを示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の第2態様に係る無線通信接続処理のフローチャートを示す図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る無線通信接続処理のフローチャートを示す図である。
【
図11】
図11は、本開示に係るサーバ装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0013】
(アクセスポイントの切り替えについて)
図1は、無線通信装置のアクセスポイントの切り替えを模式的に示す図である。
図1に示すように、ネットワークNに接続された第1アクセスポイントAP1(300)と、第2アクセスポイントAP2(300)と、第3アクセスポイントAP3(300)は、それぞれ無線電波RW1、RW2、RW3を発信する。
図1に示すように無線通信装置100が第2アクセスポイントAP2(300)の無線電波RW2の受信可能範囲に位置する場合、無線通信装置100は第2アクセスポイントAP2(300)に接続する。しかしながら、無線通信装置100が
図1に示す移動方向に沿って移動を継続すると、無線通信装置100は第2アクセスポイントAP2(300)の無線電波RW2の受信可能範囲から逸脱するため、第2アクセスポイントAP2(300)との接続を継続できなくなる。そのため、無線通信装置100は第2アクセスポイントAP2(300)とは異なるアクセスポイントに接続する必要が生じる。
【0014】
このような場合、無線通信装置100が接続中のアクセスポイント、例えば、
図1の第2アクセスポイントAP2(300)に周囲のアクセスポイントの情報のリクエスト(Neighbor Request)を送信する。リクエストを受信した第2アクセスポイントAP2(300)は、周囲のアクセスポイントの情報(Neighbor Report)を無線通信装置100に送信する。そして、無線通信装置100は、受信したNeighbor Reportに切替先アクセスポイントの候補が複数存在した場合は、Neighbor Reportに含まれる電波強度の情報に基づき、一つのアクセスポイントを選択する。
図2に示す例において、無線通信装置100は第3アクセスポイントAP3(300)を選択したとする。この場合、無線通信装置100は、第3アクセスポイントAP3(300)に対して接続処理(Authentication Request)を行う。そして、無線通信装置100が接続処理を行った第3アクセスポイントAP3(300)から応答(Authentication Response)があった場合、無線通信装置100は応答があった第3アクセスポイントAP3(300)に対して、認証要求(Association Request)を送信する。そして、第3アクセスポイントAP3(300)から、接続可否応答(Association Response)があったら、無線通信装置100と第3アクセスポイントAP3(300)の両方が通信用暗号鍵の交換を行い、接続が完了する。
【0015】
(第1実施形態)
(無線通信システムの構成)
図2は、本開示に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図2に示すように、本開示に係る無線通信システム1は、無線通信装置100と、サーバ装置200と、を含む。なお、
図2に示した無線通信システム1は、複数台の無線通信装置100や、複数台のサーバ装置200が含まれ構成されていてもよい。無線通信装置100とサーバ装置200は、所定の通信網(ネットワークN)を介して、有線又は無線により通信可能に接続される。
【0016】
無線通信装置100は、例えば列車や自動車、防災車両などの移動体に搭載され、その外部の装置等との無線通信を実現する情報処理装置であってよい。また、無線通信装置100は、例えばスマートフォン、タブレット型端末、ノート型PC、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の持ち運び可能で外部の装置等との無線通信が可能な情報処理装置であってもよい。
【0017】
サーバ装置200は、例えばPC(Personal Computer)、WS(Work Station)、サーバの機能を備えるコンピュータなどの情報処理装置であってよい。例えば、サーバ装置200は、無線通信装置100からネットワークNを介して送信されてきた情報に基づいて処理を行う。
【0018】
(無線通信装置の構成)
次に、
図3を用いて、本開示に係る無線通信装置100の構成について説明する。
図3は、本開示に係る無線通信装置の構成例を示す図である。
図3に示すように、無線通信装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130と、を有する。なお、
図3に図示はしていないが、無線通信装置100は、無線通信装置100の利用者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を出力するための出力部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0019】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線LANカード等の無線通信接続を実現する電子回路によって実現される。また、通信部110は、電波を送受信するアンテナを備えてもよい。通信部110が無線通信に使用する電波の周波数は、例えば5GHz帯、2.4GHz帯であってよい。そして、通信部110は、ネットワークNと無線で接続され、アクセスポイントやサーバ装置200との間で情報の送受信を行う。
【0020】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置によって実現される。
図3に示すように、記憶部120は、切替先アクセスポイント記憶部121と、接続履歴記憶部122と、アクセスポイント間距離記憶部123と、を有する。
【0021】
(切替先アクセスポイント記憶部121について)
切替先アクセスポイント記憶部121は、無線通信装置100の移動経路ごとの切替先アクセスポイントに関する情報(以下、切替先情報と記載)を記憶する。切替先情報は、無線通信装置100の移動経路と切替先アクセスポイントの候補との対応を示す情報といえる。切替先アクセスポイントの候補とは、これから接続するアクセスポイント(切替先アクセスポイント)の候補となるアクセスポイントを指す。ここで、
図4を用いて、切替先アクセスポイント記憶部121が記憶する切替先情報の一例を説明する。
図4は、本開示に係る切替先アクセスポイント記憶部に記憶される切替先情報の一例を示す図である。
【0022】
図4に示す例において、切替先アクセスポイント記憶部121は、「1つ前に接続した
アクセスポイント」、「接続中アクセスポイント」、「切替先アクセスポイント」、「切替先アクセスポイントのMACアドレス」という項目に係る情報を紐付けて、切替先情報として記憶する。
【0023】
「1つ前に接続したアクセスポイント」は、無線通信装置100が現在接続しているアクセスポイントと接続する前に、接続していたアクセスポイントを示す情報である。「接続中アクセスポイント」は、無線通信装置100が現在接続しているアクセスポイントを示す情報である。「切替先アクセスポイント」は、現在接続しているアクセスポイントから接続を切替える候補となるアクセスポイントを示す情報である。「切替先アクセスポイントのMACアドレス」は、切替先アクセスポイントのMAC(Media Access Control)アドレスを示す情報である。
【0024】
すなわち、
図4においては、「1つ前に接続したアクセスポイント」がAP#1であり、「接続中アクセスポイント」がAP#2である場合は、「切替先アクセスポイント」がAP#3、「切替先アクセスポイントのMACアドレス」がMAC#3であることを示している。
【0025】
なお、切替先アクセスポイント記憶部121に記憶される切替先情報は、「1つ前に接続したアクセスポイント」、「接続中アクセスポイント」、「切替先アクセスポイント」、「切替先アクセスポイントのMACアドレス」という項目に係る情報に限定されるものではなく、その他の任意の情報が記憶されてよい。例えば、無線通信装置100の移動経路が時間帯や日により変わる場合に対応するために、切替先アクセスポイント記憶部121に、切替先アクセスポイントに関する情報が有効となる時間帯を示す有効時刻に関する情報を、切替先情報として記憶してもよい。
【0026】
(接続履歴記憶部122について)
接続履歴記憶部122は、無線通信装置100のアクセスポイントへの接続履歴に関する情報(以下、履歴情報と記載)を記憶する。履歴情報は、過去に接続したアクセスポイントを示す情報であり、例えば、過去における、接続したアクセスポイントと、その次に接続したアクセスポイントとの対応を示す情報であってよい。ここで、
図5を用いて、接続履歴記憶部122が記憶する履歴情報の一例を説明する。
図5は、本開示に係る接続履歴記憶部に記憶される履歴情報の一例を示す図である。
【0027】
図5に示す例において、接続履歴記憶部122は、「接続中アクセスポイント」、「接続切替時刻」、「切替先アクセスポイント」という項目に係る情報を紐付けて、履歴情報として記憶する。
【0028】
「接続中アクセスポイント」は、無線通信装置100が現在接続しているアクセスポイントを示す情報である。「接続切替時刻」は、無線通信装置100が現在接続しているアクセスポイントから切替先アクセスポイントに接続を切替えた時刻を示す情報である。「切替先アクセスポイント」は、無線通信装置100が接続中アクセスポイントから切替先アクセスポイントに接続を切替えた先のアクセスポイントを示す情報である。
【0029】
すなわち、
図5においては、「接続中アクセスポイント」のAP#1から、「接続切替時刻」のTIME#11に、「切替先アクセスポイント」のAP#3に接続を切替えたことを示している。
【0030】
なお、接続履歴記憶部122に記憶される履歴情報は、「接続中アクセスポイント」、「接続切替時刻」、「切替先アクセスポイント」という項目に係る情報に限定されるものではなく、その他の任意の情報が記憶されてよい。
【0031】
(アクセスポイント間距離記憶部123について)
アクセスポイント間距離記憶部123は、アクセスポイント間の距離に関する情報(以下、距離情報と記載)を記憶する。距離情報は、過去に接続したアクセスポイント同士の距離を示す情報であり、例えば、過去における、接続したアクセスポイントと、その次に接続したアクセスポイントとの間の距離を示す情報であってよい。ここで、
図6を用いて、アクセスポイント間距離記憶部123が記憶する距離情報の一例を説明する。
図6は、本開示に係るアクセスポイント間距離記憶部に記憶される距離情報の一例を示す図である。
【0032】
図6に示す例において、アクセスポイント間距離記憶部123は、「接続中アクセスポイント」、「切替先アクセスポイント」、「アクセスポイント間距離」という項目に係る情報を紐付けて、距離情報として記憶する。
【0033】
「接続中アクセスポイント」は、無線通信装置100が現在接続しているアクセスポイントを示す情報である。「切替先アクセスポイント」は、無線通信装置100が現在接続しているアクセスポイントから接続を切替える候補となるアクセスポイントを示す情報である。「アクセスポイント間距離」は、「接続中アクセスポイント」から「切替先アクセスポイント」の間の距離を示す情報である。なお、アクセスポイント間距離は、物理的な距離でも目安距離(管理者が設定したおおよその距離尺度)でもよい。
【0034】
すなわち、
図6においては、「接続中アクセスポイント」がAP#1である場合の「切替先アクセスポイント」がAP#2やAP#3であり、それらの「アクセスポイント間距離」がそれぞれD#12、D#13であることを示している。
【0035】
なお、アクセスポイント間距離記憶部123に記憶される距離情報は、「接続中アクセスポイント」、「切替先アクセスポイント」、「アクセスポイント間距離」という項目に係る情報に限定されるものではなく、その他の任意の情報が記憶されてよい。
【0036】
(制御部130について)
次に
図3に戻って、制御部130について説明する。制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、無線通信装置100の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0037】
図4に示すように、制御部130は、取得部131と、監視部132と、判定部133と、決定部134と、接続部135と、更新部136と、を有する。
【0038】
(取得部131について)
取得部131は、切替先アクセスポイント記憶部121に予め記憶されていた切替先情報を、切替先アクセスポイント記憶部121から読み出す。また、取得部131は、接続履歴記憶部122に予め記憶されていた履歴情報を、接続履歴記憶部122から読み出してもよい。また、取得部131は、アクセスポイント間距離記憶部123に予め記憶されていた距離情報を、アクセスポイント間距離記憶部123から読み出してもよい。
【0039】
(監視部132について)
監視部132は、無線通信装置100が接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度を監視する。すなわち、監視部132は接続中のアクセスポイントが発信する無線LANの電波を、通信部110を介して受信してその信号レベルを見る。つまり、監視部132は、通信部110が接続中のアクセスポイントから受信した無線LANの電波の強度を測定する。
【0040】
(判定部133について)
判定部133は、監視部132が測定した電波の強度と閾値を比較して、無線通信装置100が受信した電波の強度が閾値以下となった否かを判定する。ここで、閾値は予め設定してよく、複数の閾値を設定してもよい。
【0041】
(決定部134について)
決定部134は、判定部133が無線通信装置100の通信部110が受信した電波が閾値以下となったと判定した場合、切替先アクセスポイント記憶部121から読み出した切替先情報に基づいて接続先アクセスポイントを決定する。すなわち、決定部134は、切替先情報を読み出して、1つ前に接続したアクセスポイントと、接続中アクセスポイントと、が一致する切替先アクセスポイントを接続先アクセスポイントとして決定する。
【0042】
決定部134は、移動経路ごとの切替先アクセスポイントの候補が複数存在した場合には、アクセスポイントの接続優先度に基づいて、接続先アクセスポイントを決定してよい。すなわち、決定部134は、切替先情報において、切替先アクセスポイントの候補が複数存在した場合には、アクセスポイントの接続優先度を決定し、切替先アクセスポイントの複数の候補の中から、接続優先度が最も高く決定された切替先アクセスポイントを、接続先アクセスポイントとして決定する。なお、決定部134が接続優先度を決定する処理は、例えば次のような処理であってよい。
【0043】
決定部134は、接続優先度を、無線通信装置100の接続履歴を基準に算出する。決定部134は、接続履歴記憶部122に記憶された履歴情報を読み出して、無線通信装置100が接続中のアクセスポイントと、接続切替時刻と、を参照し、現在の時刻に近い時刻に接続したアクセスポイントの接続優先度を高く決定する。すなわち、決定部134は、無線通信装置100が現在接続中のアクセスポイントに接続する前に接続したアクセスポイントの接続優先度を高く決定する。
【0044】
決定部134は、接続優先度を、接続中のアクセスポイントから切替先アクセスポイントの間の距離を基準に算出してもよい。この場合、決定部134は、アクセスポイント間距離記憶部123に記憶された距離情報を読み出して、無線通信装置100が接続中のアクセスポイントと、切替先アクセスポイントとの間のアクセスポイント間距離を参照し、接続中のアクセスポイントとの距離が近い切替先アクセスポイントの接続優先度を高く決定する。すなわち、決定部134は、接続中アクセスポイントと切替先アクセスポイントとの距離が近ければ近いほど、接続優先度を高く決定する。
【0045】
決定部134は、無線通信装置100の移動経路に対応する切替先アクセスポイントの候補が存在しない場合には、周囲のアクセスポイントと通信を行うことで接続先アクセスポイントを決定する。すなわち、決定部134は、無線通信装置100が接続中のアクセスポイントに対して切替先アクセスポイントに関する情報を要求する。要求を受けたアクセスポイントは切替先アクセスポイントに関する情報としてESSID(Extended Service Set Identifier)、BSSID(Basic Service Set Identifier)、チャンネル等の情報を無線通信装置100に送信する。無線通信装置100がこれらの情報を受信したら、受信した切替先アクセスポイントに関する情報に含まれる電波強度の情報に基づいて接続するアクセスポイントを決定し、決定されたアクセスポイントに対して接続処理(Authentication Request)を行う。そして、無線通信装置100とアクセスポイントの両方が通信用暗号鍵を交換して接続が完了する。
【0046】
なお、ここで、ESSIDとは、IEEE802.11に規定される無線LANにおけるネットワークの識別子である。ESSIDは、アクセスポイントの管理者が任意に設定でき、最大32文字までの英数字によりなる。また、BSSIDは、IEEE802.11に規定される無線LANにおけるネットワークの識別子の一つである。48ビットの数値よりなり、通常はアクセスポイントのMACアドレスと同じものである。チャンネルは、無線LANが占有する周波数帯域を所定の周波数帯域で区切ったものである。
【0047】
(接続部135について)
接続部135は、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度が閾値外となった場合に、決定された接続先アクセスポイントへの接続処理を実行する。すなわち、接続部135は、決定された接続先アクセスポイントへの接続処理を実行する。接続部135は、決定部134が決定した接続先アクセスポイントのBSSIDやMACアドレスを用いて、認証要求(Authentication Request)を接続先アクセスポイントに送信する。接続部135は、接続先アクセスポイントから応答(Authentication Response)を受信したら、接続中アクセスポイントとの接続を切断し、接続先アクセスポイントに接続処理(Association Request)を送信し、接続先アクセスポイントと接続する。
【0048】
(更新部136について)
更新部136は、無線通信装置100の移動経路と接続したアクセスポイントを対応付けて記憶部120に記憶させる。具体的には、更新部136は、接続部135の新たなアクセスポイントへの接続処理が完了すると、無線通信装置100がその接続処理における1つ前に接続したアクセスポイントと、接続中アクセスポイントと、切替先アクセスポイントと、切替先アクセスポイントのMACアドレスを対応付けた情報を切替先情報に加えることで、切替先情報を更新して、切替先アクセスポイント記憶部121に記憶する。
【0049】
また、更新部136は、接続中アクセスポイントと、接続切替時刻と、切替先アクセスポイントと、を対応付けて記憶部120に記憶させてもよい。具体的には、更新部136は、接続部135の新たなアクセスポイントへの接続処理が完了すると、その接続処理における接続中アクセスポイントと、接続切替時刻と、切替先アクセスポイントと、を対応付けた情報を履歴情報に加えることで、履歴情報を更新して、接続履歴記憶部122に記憶する。
【0050】
(アクセスポイントの構成)
次に、
図7を用いて、本開示に係るアクセスポイントの構成について説明する。
図7は、本開示に係るアクセスポイントの構成例を示す図である。
図7に示すように、アクセスポイント300は、通信部310と、記憶部320と、制御部330と、を有する。
【0051】
通信部310は、アクセスポイントと外部の装置との無線通信を実現する電子回路である。通信部310は、例えばNICによって実現されてよい。通信部310が通信に使用する電波の周波数は、例えば5GHz帯、2.4GHz帯であってよい。通信部310は、電波を送受信するアンテナを含んでよい。
【0052】
記憶部320は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、SSD等の記憶装置によって実現される。記憶部320には、ESSID、MACアドレス、チャンネル、暗号モード、及び暗号キー等の情報を含む。
【0053】
制御部330は、CPUやMPU等によって、アクセスポイント300の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部330は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。
【0054】
(無線通信接続処理について)
以上説明した無線通信装置100の無線通信接続のフローを、フローチャートに基づき説明する。
図8は、第1実施形態の第1態様に係る無線通信接続処理のフローチャートを示す図である。
【0055】
まず、無線通信装置100は切替先アクセスポイント記憶部121に、切替先情報を記憶する(ステップS10)。そして、無線通信装置100は移動しながら自身の移動経路を記憶する(ステップS11)。そして、無線通信装置100は接続中のアクセスポイントからの無線信号の電波強度がハンドオーバ閾値以下になったか否かを判定する(ステップS12)。
【0056】
電波強度がハンドオーバ閾値以下となった場合(ステップS12;YES)、無線通信装置100は切替先情報(切替先アクセスポイント表)に無線通信装置100の移動経路に合致する移動経路が記憶されているか否かを判定する(ステップS13)。
【0057】
切替先情報に無線通信装置100の移動経路に合致する移動経路が記憶されている場合(ステップS13;YES)、無線通信装置100は切替先アクセスポイントの候補が一種類であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0058】
切替先アクセスポイントの候補が一種類である場合(ステップS14;YES)、無線通信装置100はその切替先アクセスポイントを接続先アクセスポイントとして決定する(ステップS15)。そして、無線通信装置100は決定された接続先アクセスポイントに対して接続処理(Authentication Requestを送信)を開始する(ステップS16)。
【0059】
無線通信装置100はアクセスポイントから応答(Authentication Response)があるか否かを判定する(ステップS17)。
【0060】
無線通信装置100はアクセスポイントから応答(Authentication Response)がある場合(ステップS17;YES)、接続先アクセスポイントとの接続を継続して接続する(ステップS18)。そして、無線通信装置100は自身の移動経路と接続先アクセスポイントとを対応付けて接続履歴記憶部122に記憶する(ステップS10)。
【0061】
すなわち、無線通信装置100の移動経路から切替先アクセスポイントが一意に決まる場合、IEEE802.11kに規定されるNeighbor Request及びNeighbor Reportの処理、又はProbe Request及びProbe Responseの処理を行わない。
【0062】
これにより、無線通信装置100はアクセスポイントの切り替えに要する時間を短縮することが可能となる。また、アクセスポイントの切り替え処理に用いるCPUやRAM等の計算資源の利用率を削減することができる。
【0063】
次に、ステップS14において、NOと判定される場合について
図8を用いて説明する。この場合、ステップS10からステップS14までを前述の処理と同じ処理を実行する。
【0064】
そして、無線通信装置100は切替先アクセスポイントの候補が一種類ではない場合(ステップS14;NO)、アクセスポイントの接続優先度を確認し、接続優先度が高いアクセスポイントを切替先アクセスポイントに選定する(ステップS20)。具体的には、無線通信装置100は、アクセスポイントの接続優先度を、距離情報(アクセスポイント間の距離を示す情報)に基づいて算出する。すなわち、無線通信装置100は、距離情報に基づいて、現在接続中のアクセスポイントと切替先アクセスポイントの候補との距離を取得して、その距離が近いほど切替先アクセスポイントの接続優先度を高く決定する。そして、無線通信装置100は、優先度が最も高い切替先アクセスポイントを接続先アクセスポイントとして決定する。また、無線通信装置100は、アクセスポイントの接続優先度を、履歴情報(無線通信装置100の接続履歴を示す情報)に基づいて算出してもよい。この場合、無線通信装置100は、履歴情報に基づいて、接続優先度をアクセスポイントの接続履歴を参照して、接続中のアクセスポイントの前に接続したアクセスポイントの接続優先度を高く決定する。そして、無線通信装置100は、最も接続優先度が高い切替先アクセスポイントを接続先アクセスポイントとして決定する。
【0065】
そして、無線通信装置100はステップS20にて選定されたアクセスポイントに対して接続処理(Authentication Requestを送信)を開始する(ステップS21)。そして、無線通信装置100はアクセスポイントから応答(Authentication Response)があるか否かを判定する(ステップS22)。
【0066】
無線通信装置100はアクセスポイントから応答(Authentication Response)がある場合(ステップS22;YES)、切替先アクセスポイントとの接続を継続して接続する(ステップS23)。そして、無線通信装置100は自身の移動経路と接続先アクセスポイントを、接続履歴記憶部122に記憶する(ステップS10)。
【0067】
なお、ステップS22においてアクセスポイントから応答(Authentication Response)がない場合(ステップS22;NO)、無線通信装置100は切替先のアクセスポイントの候補の残りがあるか否かを判定する(ステップS30)。
【0068】
無線通信装置100は切替先のアクセスポイントの候補の残りがある場合(ステップS30;YES)、ステップ20に戻って残りの候補から優先度を確認し、優先度の高いアクセスポイントを選定する(ステップS20)。そして、無線通信装置100はアクセスポイントから応答があるまで、ステップS20からステップS22、ステップS30までの処理を実行する。
【0069】
なお、アクセスポイントの候補の残りがなくなった場合(ステップS30;NO)、無線通信装置100はIEEE802.11kに対応しているか否かを判定する(ステップS40)。そして、無線通信装置100がIEEE802.11kに対応している場合(ステップS40;YES)、無線通信装置100は接続中のアクセスポイントに対してNeighbor Requestを送信する(ステップS41)。そして、無線通信装置100は接続中のアクセスポイントからNeighbor Responseを受信する(ステップS42)。ここで、Neighbor Responseには隣接するアクセスポイントのBSSID、チャンネル等の情報が含まれる。そして、無線通信装置100はNeighbor Responseに含まれる切替先アクセスポイントの情報に基づいて、切替先アクセスポイントに対して接続処理を実行する(ステップS43)。そして、無線通信装置100は自身の移動経路と接続先アクセスポイントに関する情報を接続履歴記憶部122に記憶する(ステップS44)。
【0070】
また、ステップS40において無線通信装置100がIEEE802.11kに対応していない場合(ステップS40:NO)、無線通信装置100は周囲のアクセスポイントに対してProbe Requestを送信する(ステップS50)。そして、無線通信装置100は周囲のアクセスポイントからProbe Responseを受信したら(ステップS51)、その情報に基づいてアクセスポイントに対して接続処理を実行する(ステップS43)。ここで、アクセスポイントから送信されるProbe Responseには、BSSID、SSID、チャンネル等の情報が含まれる。そして、無線通信装置100は自身の移動経路と接続先アクセスポイントに関する情報を接続履歴記憶部122に記憶する(ステップS44)。
【0071】
このように、切替先アクセスポイントの候補が複数存在した場合、接続優先度に基づいて、接続先アクセスポイントを決定し、その接続先アクセスポイントに対して接続処理を実行する。そして、切替先アクセスポイントの候補が無くなった場合に限って、IEEE802.11kに規定される処理や、Probe Request及びProbe Responseの処理を実行する。
【0072】
これにより、無線通信装置100は、アクセスポイントの切り替えに要する時間を短縮することが可能となる。
【0073】
次に、第1実施形態の第2態様に係る無線通信接続処理について、
図9を用いて説明する。
図9は、第1実施形態の第2態様に係る無線通信接続処理のフローチャートを示す図である。第1実施形態の第2態様に係る無線通信接続処理は、
図9に示すようにステップS10からステップS14までの処理を第1実施形態の第1態様に係る無線通信接続処理と同じ処理を実行する。そのため、第1実施形態の第1態様と異なる処理について説明する。
【0074】
まず、無線通信装置100は、
図9に示すステップS10からステップS14までの処理を実行する。切替先アクセスポイントの候補が一種類ではない場合(ステップS14;NO)、無線通信装置100はIEEE802.11kに対応しているか否かを判定する(ステップS40)。無線通信装置100がIEEE802.11kに対応している場合(ステップS40;YES)、IEEE802.11kによるアクセスポイントの探索処理を実行する(ステップS41からステップS43)。
図9に示すステップS41からステップS43の処理は、前述した
図8に示すステップS41からステップS43の処理と同じであるから説明を省略する。
【0075】
このように第1実施形態の第2態様に係る無線通信接続処理においては、切替先アクセスポイントの候補が複数存在する場合に限って、IEEE802.11kに規定される処理や、Probe Request及びProbe Responseの処理を実行する。
【0076】
これにより、切替先アクセスポイントの候補が複数ある場合に、無線通信装置100において接続優先度に基づいて接続先アクセスポイントを決定する処理を行う必要が無くなる。切替先アクセスポイントの候補が複数存在する場合であっても、アクセスポイントの切替えを行うことができる。
【0077】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る無線通信接続処理について、
図10を用いて説明する。
図10は、第2実施形態に係る無線通信接続処理のフローチャートを示す図である。
【0078】
第2実施形態に係る無線通信接続処理は、第1実施形態の第1態様に係る無線通信接続処理に対して、ステップS10の前に、切替先のアクセスポイントの接続履歴、すなわち切替先情報を記憶する処理(ステップS60)を実行する点が異なる。つまり、第2実施形態に係る無線通信接続処理においては、切替先のアクセスポイントの候補が無く、かつ、無線通信装置100がIEEE802.11kに対応している場合(ステップS40;YES)、
図10に示すようにIEEE802.11kによるアクセスポイントの探索処理、接続処理、及び接続履歴記憶処理を実行する(ステップS41からステップS44)。
図10に示すステップS41からステップS43の処理は、前述した
図8に示すステップS41からステップS43の処理と同じであるから説明を省略する。
【0079】
なお、無線通信装置100がIEEE802.11kに対応していない場合(ステップS40;NO)は、無線通信装置100は周囲のアクセスポイントに対してProbe Requestを送信し、応答したアクセスポイントへの接続、及び接続履歴記憶処理を実行する(ステップS50からステップS44)。
図10に示すステップS50からステップS44の処理は、前述した
図8に示すステップS50からステップS44の処理と同じであるから説明を省略する。
【0080】
このように第2実施形態に係る無線通信接続処理においては、無線通信装置100に予め切替先アクセスポイントに関する情報を記憶しなくとも、無線通信装置100が移動しながら、切り替えが必要になるたびに他のアクセスポイントへの接続処理を実行し、その接続履歴を記憶していくことで、切替先アクセスポイントに関する情報を蓄積していく。
【0081】
そのため、無線通信装置100は無線通信装置100がこれまでに移動したことがない場所においてもアクセスポイントの切り替えを適切に行うことが可能となる。
【0082】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る無線通信接続処理について説明する。上述の実施形態では、切替先情報が切替先アクセスポイント記憶部121に予め記憶されており、取得部131がそれを読み出していたが、それに限られない。例えば、取得部131は、サーバ装置200から、通信により切替先情報を取得して、取得した切替先情報を切替先アクセスポイント記憶部121に記憶させてもよい。取得部131は、切替先アクセスポイント記憶部121に記憶させた切替先情報を読み出せばよい。同様に、取得部131は、サーバ装置200から、通信により履歴情報や距離情報を取得して、取得した履歴情報や距離情報を、接続履歴記憶部122やアクセスポイント間距離記憶部123に記憶させてもよい。すなわち、第3実施形態に係る無線通信接続処理においては、
図8に示す第1実施形態の第1態様、及び
図9に示す第1実施形態の第2態様のステップS10において、サーバ装置200から切替先情報、履歴情報、距離情報などを取得し、それぞれ切替先アクセスポイント記憶部121、接続履歴記憶部122、アクセスポイント間距離記憶部123に記憶する処理を実行する。この場合のサーバ装置200の構成について次に説明する。
【0083】
(サーバ装置の構成)
図11を用いて、本開示に係るサーバ装置200の構成について説明する。
図11は、本開示に係るサーバ装置の構成例を示す図である。
図11に示すように、サーバ装置200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230と、を有する。
【0084】
通信部210は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部210は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、無線通信装置100との間で各種の情報の送受信を行う。
【0085】
記憶部220は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、SSD等の記憶装置によって実現される。
図11に示すように、記憶部220は、切替先アクセスポイント記憶部221と、接続履歴記憶部222と、アクセスポイント間距離記憶部223と、を有する。
【0086】
切替先アクセスポイント記憶部221は、無線通信装置100の移動経路ごとの切替先アクセスポイントに関する情報を記憶する。切替先アクセスポイント記憶部221に記憶される情報は、無線通信装置100の切替先アクセスポイント記憶部121に記憶される情報と同じであるから説明を省略する。
【0087】
接続履歴記憶部222は、無線通信装置100のアクセスポイントへの接続履歴に関する情報を記憶する。接続履歴記憶部222に記憶される情報は、無線通信装置100の接続履歴記憶部122に記憶される情報と同じであるから説明を省略する。
【0088】
アクセスポイント間距離記憶部223は、アクセスポイント間の距離に関する情報を記憶する。アクセスポイント間距離記憶部223に記憶される情報は、無線通信装置100のアクセスポイント間距離記憶部123に記憶される情報と同じであるから説明を省略する。
【0089】
制御部230は、CPUやMPU等によって、サーバ装置200の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部230は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。
【0090】
図11に示すように、制御部230は、受付部231と、出力部232と、を有する。
【0091】
受付部231は、サーバ装置200の外部の装置、例えば無線通信装置100からサーバ装置200への情報提供要求を受け付ける。例えば、受付部231は、無線通信装置100から切替先アクセスポイントに関する情報の情報提供要求を受け付ける。受付部231は、情報提供要求を受け付けたら、サーバ装置200の切替先アクセスポイント記憶部221から切替先アクセスポイントに関する情報を読み出して、後述する出力部232に提供する。
【0092】
また、受付部231は、サーバ装置200の外部の装置、例えば無線通信装置100から接続履歴に関する情報の情報提供要求を受け付けてもよい。例えば、受付部231は、無線通信装置100から接続履歴に関する情報提供要求を受け付けたら、サーバ装置200の接続履歴記憶部222から接続履歴に関する情報を読み出して、後述する出力部232に提供する。
【0093】
また、受付部231は、サーバ装置200の外部の装置、例えば無線通信装置100からアクセスポイント間距離に関する情報の情報提供要求を受け付けてもよい。例えば、受付部231は、無線通信装置100からアクセスポイント間距離に関する情報提供要求を受け付けたら、サーバ装置200のアクセスポイント間距離記憶部223からアクセスポイント間距離に関する情報を読み出して、後述する出力部232に提供する。
【0094】
出力部232は、受付部231が受け付けた情報提供要求に基づいて、情報提供要求の要求元に情報を出力する。すなわち、出力部232は、受付部231が受け付けた情報提供要求に合致する情報を、受付部231から提供を受けたら情報提供の要求元、例えば、無線通信装置100に、情報提供要求に合致する情報を、通信部210を介して出力、すなわち、送信する。
【0095】
(構成と効果)
本開示に係る無線通信装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130と、を有する無線通信装置100であって、制御部130は、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度を監視する監視部132と、無線通信装置100の移動経路と切替先アクセスポイントの候補との対応を示す情報を記憶部120から読み出して、読み出した情報に基づいて接続先アクセスポイントを決定する決定部134と、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度が閾値外となった場合に、決定された接続先アクセスポイントへの接続処理を実行する接続部135と、を備える。
【0096】
この構成によれば、無線通信装置100はアクセスポイントの探索に要する時間がかかるIEEE802.11kを用いることなく、アクセスポイントを切替えることが可能となるため、アクセスポイントの切替えに要する時間を短縮することが可能となる。また、アクセスポイントの切り替え処理に用いるCPUやRAM等の計算資源の利用率を削減することができる。
【0097】
本開示に係る無線通信装置100の決定部134は、情報において、移動経路ごとの切替先アクセスポイントの候補が複数存在した場合に、アクセスポイントの接続優先度に基づいて、接続先アクセスポイントを決定する。
【0098】
この構成によれば、無線通信装置100は切替先のアクセスポイントの候補が複数ある場合においても、アクセスポイントの探索に要する時間がかかるIEEE802.11kを用いることなく、アクセスポイントの切替えを行うことができる。そのため、アクセスポイントの切替えに要する時間を短縮することが可能となる。
【0099】
本開示に係る無線通信装置100の記憶部120は、無線通信装置100のアクセスポイントへの接続履歴が記憶された接続履歴記憶部122と、をさらに備え、接続優先度は、無線通信装置100の接続履歴を基準に算出される。
【0100】
この構成によれば、無線通信装置100は切替先のアクセスポイントの候補が複数ある場合において、接続優先度を明確な基準に基づいて算出することができる。そのため、アクセスポイントの探索に要する時間がかかるIEEE802.11kを用いることなく、アクセスポイントの切替えを行うことができる。したがって、アクセスポイントの切替えに要する時間を短縮することが可能となる。
【0101】
本開示に係る無線通信装置100の記憶部120は、アクセスポイント間の距離を記憶するアクセスポイント間距離記憶部123と、をさらに備え、接続優先度は、接続中のアクセスポイントから切替先アクセスポイントの間の距離を基準に算出される。
【0102】
この構成によれば、無線通信装置100は切替先のアクセスポイントの候補が複数ある場合において、接続優先度を明確な基準に基づいて算出することができる。
【0103】
本開示に係る無線通信装置100の決定部134は、情報において、無線通信装置100の移動経路に対応する切替先アクセスポイントの候補が存在しない場合には、周囲のアクセスポイントと通信を行うことで接続先アクセスポイントを決定し、無線通信装置100の移動経路と、接続先アクセスポイントを対応付けて記憶部120に記憶させる更新部136を更に備える。
【0104】
この構成によれば、無線通信装置100は切替先のアクセスポイントの候補が複数ある場合においても、適切に接続先アクセスポイントを決定することができる。
【0105】
本開示に係る無線通信システム1は、無線通信装置100と、切替先アクセスポイント記憶部221を備えるサーバ装置200と、を備える無線通信システム1であって、無線通信装置100は、サーバ装置200から情報を受信して、無線通信装置100の切替先アクセスポイント記憶部221に記憶する。
【0106】
この構成によれば、無線通信装置100はサーバ装置200から切替先アクセスポイントの情報を取得できることから、無線通信装置100に切替先アクセスポイントの情報が記憶されていない場合であっても、適切に切替先アクセスポイントを決定することができる。
【0107】
本開示に係る無線通信接続方法は、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度を監視するステップと、無線通信装置100の移動経路に関する情報と、切替先アクセスポイントの候補との対応を示す情報を記憶部120から読み出して、読み出した情報に基づき、接続先アクセスポイントを決定するステップと、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度が閾値外となった場合に、決定された接続先アクセスポイントへの接続処理を実行するステップと、を含む。
【0108】
この構成によれば、無線通信装置100はアクセスポイントの探索に要する時間がかかるIEEE802.11kを用いることなく、アクセスポイントを切替えることが可能となるため、アクセスポイントの切替えに要する時間を短縮することが可能となる。
【0109】
本開示に係るプログラムは、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度を監視するステップと、無線通信装置100の移動経路に関する情報と、切替先アクセスポイントの候補との対応を示す情報を記憶部120から読み出して、読み出した情報に基づき、接続先アクセスポイントを決定するステップと、接続中のアクセスポイントが発信する無線信号の強度が閾値外となった場合に、決定された接続先アクセスポイントへの接続処理を実行するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0110】
この構成によれば、無線通信装置100はアクセスポイントの探索に要する時間がかかるIEEE802.11kを用いることなく、アクセスポイントを切替えることが可能となるため、アクセスポイントの切替えに要する時間を短縮することが可能となる。
【0111】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0112】
1 無線通信システム
100 無線通信装置
110 通信部
120 記憶部
121 切替先アクセスポイント記憶部
122 接続履歴記憶部
123 アクセスポイント間距離記憶部
130 制御部
131 取得部
132 監視部
133 判定部
134 決定部
135 接続部
136 更新部
200 サーバ装置
300 アクセスポイント
N ネットワーク