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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130902
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】パワーコンディショナ
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230913BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20230913BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20230913BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230913BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
H02J7/00 T
H02M3/00 B
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/38 180
H02J7/00 P
H02J7/35 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035485
(22)【出願日】2022-03-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年1月11日にニチコン株式会社が株式会社トムス久喜倉庫事業所(埼玉県久喜市北青柳1464-1)に出荷 〔刊行物等〕 2022年1月12日にニチコン株式会社がセンコー株式会社奈良PDセンター(奈良県大和郡山市横田町141-1)に出荷
(71)【出願人】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】中村 英人
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H730
【Fターム(参考)】
5G066HA11
5G066HA13
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA11
5G503DA05
5G503DA07
5G503DA17
5G503DA18
5G503FA06
5G503FA15
5G503GB06
5G503GD06
5H730AA17
5H730AS08
5H730AS17
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG12
5H730XC02
(57)【要約】
【課題】直流電力機器が接続される端子への誤接続があるか否かを判定することにより、誤接続による故障を未然に防止する。
【解決手段】電圧取得部240は、蓄電池接続端子部270の端子間電圧を取得し、制御部250へ出力する。制御部250は、端子間電圧に応じた電圧取得部240の出力電圧と、蓄電池ユニット300内に複数配列された蓄電池セルの電圧とを比較し、比較結果が適正範囲である場合には、蓄電池接続端子部270に誤接続はないと判定する。そして、制御部250は、誤接続はないと判定した結果に基づいて、充放電用コンバータ220を起動する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池接続端子部を介して蓄電池ユニットと接続され、前記蓄電池ユニットからの直流電力を所定の直流電圧に変換して放電するとともに、所定の充電電圧に変換して前記蓄電池ユニットを充電する充放電用コンバータと、
前記蓄電池接続端子部の端子間電圧を取得する電圧取得部と、
前記充放電用コンバータの起動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記端子間電圧に応じた前記電圧取得部の出力電圧と、前記蓄電池ユニットからの電圧とを比較し、比較結果が適正範囲である場合には、前記蓄電池接続端子部に前記蓄電池ユニットが正常に接続されたとして誤接続はないと判定し、前記充放電用コンバータを起動させることを特徴とするパワーコンディショナ。
【請求項2】
前記制御部は、前記端子間電圧が負電圧の場合には、前記蓄電池接続端子部に前記蓄電池ユニットが逆接続されたとして誤接続があると判定することを特徴とする請求項1に記載のパワーコンディショナ。
【請求項3】
前記制御部は、前記電圧取得部の出力電圧と前記蓄電池ユニットからの電圧とを比較し、当該比較結果が所定の規定値の範囲内にない場合には、前記蓄電池接続端子部に前記蓄電池ユニットではなく、V2Hスタンドまたは太陽電池モジュールが接続されたとして誤接続があると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパワーコンディショナ。
【請求項4】
前記制御部は、前記電圧取得部の出力電圧と、前記蓄電池ユニットからの電圧とを一定時間比較し、当該比較結果が所定の変動規定値の範囲内にない場合には、前記蓄電池接続端子部に前記蓄電池ユニットではなく太陽電池モジュールが接続されたとして誤接続があると判定することを特徴とする請求項3に記載のパワーコンディショナ。
【請求項5】
前記蓄電池接続端子部と前記充放電用コンバータとの間に介装されたリレーをさらに備え、
前記制御部は、前記誤接続はないと判定した場合には、前記リレーをON状態にさせることを特徴とする請求項1に記載のパワーコンディショナ。
【請求項6】
外部端末に誤接続情報を送信させる送信部を備え、
前記制御部は、前記比較結果が前記規定値または前記変動規定値の範囲内ではない場合には、前記蓄電池接続端子部に誤接続があると判定し、前記送信部は、前記外部端末に誤接続情報を送信することを特徴とする請求項4に記載のパワーコンディショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーコンディショナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーを活用するための蓄電システムにおいて、蓄電池ユニット、太陽電池モジュール(太陽光発電機器)、V2H(Vehicle to Home)等、複数の機器を接続可能とするパワーコンディショナが開発されている。
パワーコンディショナに接続されるこれらの機器は、出力される電圧値あるいは電流値が各機器により異なり、パワーコンディショナにおいては、各機器用の接続端子を備えておく必要がある。
ところで、施工業者がこのような蓄電システムを設置する際に、配線コードを加工して施工する場合もあり、誤接続が発生することにより、パワーコンディショナ内のコンバータが故障する虞がある。
そのため、この種の電源装置として、分散電源を商用電力系統に接続する際に、交流電力系統の端子間電圧を測定し、誤接続の有無を判定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-13073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したように複数の直流電力機器を各々の直流接続端子間に接続する際にも、パワーコンディショナの接続端子に接続されるべき機器とは異なる他の直流電力機器が誤接続された場合に誤接続を検出できず、パワーコンディショナが故障する虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、直流電力機器が接続される端子への誤接続があるか否かを判定することにより、誤接続による故障を未然に防止するパワーコンディショナを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、蓄電池接続端子部を介して蓄電池ユニットと接続され、前記蓄電池ユニットからの直流電力を所定の直流電圧に変換して放電するとともに、所定の充電電圧に変換して前記蓄電池ユニットを充電する充放電用コンバータと、前記蓄電池接続端子部の端子間電圧を取得する電圧取得部と、前記充放電用コンバータの起動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記端子間電圧に応じた前記電圧取得部の出力電圧と、前記蓄電池ユニットからの電圧とを比較し、比較結果が適正範囲である場合には、前記蓄電池接続端子部に前記蓄電池ユニットが正常に接続されたとして誤接続はないと判定し、前記充放電用コンバータを起動させるパワーコンディショナを提案している。
本発明の1またはそれ以上の実施形態に係る電圧取得部は、蓄電池接続端子部の端子間電圧を取得し、制御部へ出力する。
制御部は、蓄電池接続端子部の端子間電圧に応じた電圧取得部の出力電圧と、蓄電池ユニットからの電圧とを、比較し、比較結果が適正範囲である場合には、蓄電池接続端子部に誤接続はないと判定し、充放電用コンバータを起動させる。
つまり、制御部は、誤接続はないと判定した結果に基づいて、充放電用コンバータを起動させることができる。
そのため、接続端子への誤接続による故障を未然に防止することができる。
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記制御部は、前記端子間電圧が負電圧の場合には、前記蓄電池接続端子部に前記蓄電池ユニットが逆接続されたとして誤接続があると判定するパワーコンディショナを提案している。
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記制御部は、前記電圧取得部の出力電圧と前記蓄電池ユニットからの電圧とを比較し、当該比較結果が所定の規定値の範囲内にない場合には、前記蓄電池接続端子部に前記蓄電池ユニットではなく、V2Hスタンドまたは太陽電池モジュールが接続されたとして誤接続があると判定するパワーコンディショナを提案している。
【0007】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記制御部は、前記電圧取得部の出力電圧と、前記蓄電池ユニットからの電圧とを一定時間比較し、当該比較結果が所定の変動規定値の範囲内にない場合には、前記蓄電池接続端子部に前記蓄電池ユニットではなく太陽電池モジュールが接続されたとして誤接続があると判定するパワーコンディショナを提案している。
【0008】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記蓄電池接続端子部と前記充放電用コンバータとの間に介装されたリレーをさらに備え、前記制御部は、前記誤接続はないと判定した場合には、前記リレーをON状態にさせるパワーコンディショナを提案している。
【0009】
形態6;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、外部端末に誤接続情報を送信させる送信部を備え、前記制御部は、前記比較結果が前記規定値または前記変動規定値の範囲内ではない場合には、前記蓄電池接続端子部に誤接続があると判定し、前記送信部は、前記外部端末に誤接続情報を送信するパワーコンディショナを提案している。
【発明の効果】
【0010】
パワーコンディショナへの入力電圧である蓄電池接続端子部の端子間電圧に応じた電圧取得部の出力電圧と、蓄電池ユニットからの電圧とを比較し、比較結果が適正範囲である場合には、蓄電池接続端子部に蓄電池ユニットが正常に接続されたとして誤接続はないと判定し、充放電用コンバータを起動することができる。そのため、誤接続によるパワーコンディショナの故障を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る蓄電システムの構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るパワーコンディショナの構成図である。
図3】本発明の実施形態に係る電圧取得部の回路構成例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、図1から図4を用いて、本実施形態に係るパワーコンディショナ200が搭載される蓄電システム10について説明する。
なお、本実施形態に係る蓄電システム10は、蓄電池ユニットとパワーコンディショナとが分離された蓄電システムであって、単機能型蓄電システム(太陽光パワーコンディショナが分離された蓄電システム)、ハイブリッド型蓄電システム(太陽電池モジュールに接続される太陽光パワーコンディショナと蓄電池ユニットに接続される蓄電パワーコンディショナとを一体化した蓄電システム)および多機能型蓄電システム(太陽電池モジュールに接続される太陽光パワーコンディショナと蓄電池ユニットに接続される蓄電パワーコンディショナと、電動車両に接続される充放電回路と、を一体化した蓄電システム)のいずれにも対応可能な蓄電システムである。
【0013】
<蓄電システム10の構成>
本実施形態に係る蓄電システム10は、図1に示すように、蓄電システム用ブレーカ110と、パワーコンディショナ200と、蓄電池ユニット300と、V2Hスタンド400と、太陽電池モジュール500と、主幹ブレーカ610と、分岐ブレーカ620と、切替スイッチ630と、重要負荷用分岐ブレーカ640とを含んで構成されている。
なお、主幹ブレーカ610の商用電力系統側にエネファーム(登録商標)等の商用系統連系機器700が接続される場合がある。
【0014】
蓄電システム用ブレーカ110は、パワーコンディショナ200および蓄電池ユニット300等に接続されたブレーカである。
蓄電システム用ブレーカ110は、一方端は商用電力系統と接続され、常時電力が供給され、他方端はパワーコンディショナ200に接続されている。
そして、蓄電システム用ブレーカ110は、例えば、パワーコンディショナ200や蓄電池ユニット300等に異常が発生した場合には、蓄電システム用ブレーカ110が作動することにより、電路を開放する。
【0015】
パワーコンディショナ200は、蓄電システム用ブレーカ110を介して商用電力系統と接続されるとともに、例えば、太陽光により発電する太陽電池モジュール500、余剰電力を充電する蓄電池(蓄電池ユニット300、車載蓄電池)等と接続され、また、V2Hスタンド400を介して、外部への給電機能を有する電気自動車、燃料電池自動車等の電動車410と接続される。
【0016】
具体的には、パワーコンディショナ200は、例えば、太陽電池モジュール500等の再生可能エネルギーにより発電された直流電力を所定の直流電圧に変換した後、交流電力に変換する。
また、パワーコンディショナ200は、蓄電池ユニット300からの直流電力(放電電力)を、所定の直流電力に変換した後、交流電力に変換する。
また、パワーコンディショナ200は、太陽電池モジュール500からの発電電力および直流電力に変換された商用電力を充電電力として、蓄電池ユニット300に充電する制御を行う。
【0017】
また、パワーコンディショナ200は、蓄電池ユニット300およびV2Hスタンド400と図示しない通信ケーブル等で接続されており、当該通信ケーブル等を介して、蓄電池ユニット300およびV2Hスタンド400の状態等を受信するとともに、蓄電池ユニット300およびV2Hスタンド400に対して充放電の制御を行う。
なお、パワーコンディショナ200の詳細については後述する。
【0018】
蓄電池ユニット300は、パワーコンディショナ200を介して、例えば、夜間等の商用電力等を用いて、内部に備えているリチウムイオン電池等の蓄電池に充電し電力を蓄え、あるいは、蓄電池に蓄えた電力を放電する。
蓄電池ユニット300は、後述する蓄電池端子310を介して、パワーコンディショナ200と接続される。
また、蓄電池ユニット300は、蓄電池ユニット内に複数配列された蓄電池セルの電圧情報を、電圧監視部320からパワーコンディショナ200に送信する(図2参照)。
【0019】
V2Hスタンド400は、双方向コンバータを内蔵し、電動車410に搭載された車載蓄電池からの直流電力を昇圧した直流電力に変換し、パワーコンディショナ200の制御に基づいて、直流電力をパワーコンディショナ200に放電する。
また、V2Hスタンド400は、商用電力、太陽電池モジュール500等の発電電力または蓄電池ユニット300からの直流電力により、パワーコンディショナ200の制御に基づいて、電動車410の車載蓄電池を充電する。
また、V2Hスタンド400は、パワーコンディショナ200と通信ケーブル等で接続されており、パワーコンディショナ200に、例えば、電動車410における車載蓄電池の状態等を出力している。
【0020】
太陽電池モジュール500は、一般的には、太陽光パネルあるいは太陽電池パネルと呼ばれる太陽電池セルが複数配列され、これをガラスや樹脂、フレームで保護したものである。
太陽電池モジュール500は、パワーコンディショナ200の制御に基づいて、一般負荷あるいは重要負荷に電力を放電する。
【0021】
主幹ブレーカ610は、例えば、トリップ機能を備えたブレーカであり、商用電力からの出力電力が常時、供給されている。
主幹ブレーカ610は、負荷、短絡等の要因で二次側の回路(負荷、電路等)に異常な過電流が流れたときには、主幹ブレーカ610が作動して、電路を開放する。
【0022】
分岐ブレーカ620は、一方端が主幹ブレーカ610と接続されるとともに、他方端が、それぞれの一般負荷と接続されている。
【0023】
切替スイッチ630は、系統出力側と自立出力側とに切替可能となっている。
通常時(商用電力連系時)には、切替スイッチ630は自立出力側に接続され(図1に示す状態)、重要負荷には蓄電システム用ブレーカ110およびパワーコンディショナ200を介して商用電力が供給される。
また、一般負荷には主幹ブレーカ610を介して商用電力が供給される。
一方、停電時には、商用電力系統とパワーコンディショナ200とが解列され蓄電池ユニット300、V2Hスタンド400および太陽電池モジュール500の少なくとも1つに基づく電力がパワーコンディショナ200から重要負荷に供給可能となっている。
また、パワーコンディショナ200が故障した場合等、蓄電システム用ブレーカ110がオフ状態のときには、切替スイッチ630を手動で系統出力側に切り替えることにより、重要負荷には主幹ブレーカ610を介して商用電力が供給される。
【0024】
重要負荷用分岐ブレーカ640は、一方端が切替スイッチ630と接続されるとともに、他方端がそれぞれの重要負荷と接続されている。ここで、重要負荷としては、照明、冷蔵庫、空調機器等を例示することができる。
【0025】
なお、商用系統連系機器700が系統出力に接続される場合には、当該商用系統連系機器700からの供給電力を重要負荷および一般負荷に給電することが可能となっている。
【0026】
<パワーコンディショナ200の構成>
パワーコンディショナ200は、図2に示すように、発電電力用コンバータ210と、充放電用コンバータ220と、インバータ230と、電圧取得部240と、制御部250と、リレー260と、蓄電池接続端子部270と、送信部280とを含んで構成されている。
なお、以下の構成は例示であり、同様の機能を果たすことができるものであれば、他の構成であってもよい。
【0027】
発電電力用コンバータ210は、太陽電池モジュール500に接続され、制御部250の制御に基づいて、太陽電池モジュール500から放電された直流電力を昇圧した直流電圧に変換する。
発電電力用コンバータ210は、インバータ230に接続されており、制御部250の制御に基づいて、昇圧させた直流電圧をインバータ230に放電させる。
【0028】
充放電用コンバータ220は、リレー260および蓄電池接続端子部270を介して、蓄電池ユニット300に接続され、制御部250の制御に基づいて、蓄電池ユニット300からの直流電力を所定の直流電圧に変換して放電するとともに、所定の充電電圧に変換して蓄電池ユニット300を充電させる双方向コンバータである。
充放電用コンバータ220は、例えば商用電力系統に停電が発生した場合には、蓄電池ユニット300に充電された電力を所定の直流電力に変換して、インバータ230に蓄電池ユニット300の電力を放電させる。
また、充放電用コンバータ220は、太陽電池モジュール500の発電電力に余剰電力が発生している場合には、制御部250の制御に基づいて発電電力用コンバータ210を介して放電された直流電力を所定の直流電圧に変換し、蓄電池ユニット300を充電させる。
【0029】
インバータ230は、制御部250の制御に基づいて、太陽電池モジュール500により発電された直流電力を交流電力に変換するとともに、蓄電池ユニット300あるいは、V2Hスタンド400からの直流電力を交流電力に変換する。
また、インバータ230は、制御部250の制御に基づいて、商用電力を直流電力に変換し、充放電用コンバータ220を介して蓄電池ユニット300を充電させ、あるいは、V2Hスタンドを介して電動車410の車載蓄電池を充電させる。
【0030】
電圧取得部240は、蓄電池ユニット300が接続される蓄電池接続端子部270の端子間電圧を電圧変換し出力する。
電圧取得部240は、蓄電池接続端子部270の正負端子間電圧に印加された電圧が入力され、制御部250の電源電圧範囲に電圧変換した後、蓄電池接続端子部270の端子間電圧を制御部250に出力する。
電圧取得部240の構成の詳細については、後述する。
【0031】
制御部250は、電圧取得部240の出力電圧(以下、「取得電圧SV」と記載する)と、蓄電池ユニット300内に複数配列された蓄電池セルの電圧と、を比較し、比較した結果に基づき、充放電用コンバータ220の起動を制御する。
【0032】
具体的には、制御部250は、充放電用コンバータ220を起動させる場合には、蓄電池ユニット300から蓄電池セルの電圧情報を取得し、蓄電池セルの電圧情報に基づき、取得電圧SVと比較する電圧値に換算する(以下、「セル換算電圧CV」と記載する)。
そして、制御部250は、取得電圧SVと、セル換算電圧CVと、を比較し、蓄電池接続端子部270に蓄電池ユニット300以外の機器が誤接続されているか否かを判定する。
制御部250は、蓄電池接続端子部270に太陽電池モジュール500およびV2Hスタンド400が誤接続されていないと判定した場合には、充放電用コンバータ220を起動させる。
制御部250の誤接続時の制御については、後述する。
【0033】
また、制御部250は、蓄電池ユニット300、V2Hスタンド400および太陽電池モジュール500の状態等を受信するとともに、蓄電池ユニット300およびV2Hスタンド400の充放電を制御する。
【0034】
具体的には、制御部250は、例えば、太陽電池モジュール500が発電する電力を負荷に利用する場合には、各電力供給機器が直流電力バス上で繋がる接続点(図2の接続点P)の電圧値(以下「中間電圧値」という)を制御することにより、発電電力用コンバータ210からインバータ230に給電する制御を行う。具体的には、複数の電力供給機器の間で出力優先順位が予め決定されており、各電力供給機器の出力電圧と中間電圧値の高低に応じて各電力供給機器から直流電力バスに電力が供給される。そのため、中間電圧値がV2Hスタンド400および充放電用コンバータ220の出力電圧よりも高いと、発電電力用コンバータ210からインバータ230に発電電力が供給される。
そして、日射量や温度、負荷の状態等の要因により出力が変動する太陽電池モジュール500から常に最大の電力を取り出す機能(最大電力点追従機能(MPPT))、商用電力系統への悪影響を防止するために、高調波電流を抑制した電流を出力する機能(高調波抑制機能)、あるいは、太陽電池モジュール500の余剰電力を商用電力系統側に逆潮流させる機能(逆潮流制御機能)等を制御する。
また、制御部250は、例えば、太陽電池モジュール500が発電する電力を蓄電池ユニット300の充電に利用する場合には、発電電力用コンバータ210から直流電力バスに発電電力が供給されるように中間電圧値を制御するとともに、インバータ230から商用電力系統への電力変換をオフ、充放電用コンバータ220を充電動作させることで、蓄電池ユニット300に充電する制御を行う。
【0035】
リレー260は、例えば、正負両極の入出力の4端子を備えており、一方端は充放電用コンバータ220の正負両極に接続され、他方端は後述する蓄電池接続端子部270の正負両極に接続されている。
なお、リレー260は、図2に示すように、負極側は入出力を直接接続することにより、接点を備えなくてもよい。
そして、リレー260は、制御部250に接続されており、制御部250の制御に基づいて接点を開閉することにより、充放電用コンバータ220と、蓄電池ユニット300との接続が制御される。
【0036】
蓄電池接続端子部270は、パワーコンディショナ200に備えられた接続端子であり、蓄電池接続端子部270を介して蓄電池ユニット300と充放電用コンバータ220とが接続される。
蓄電池接続端子部270は、正極および負極を備えており、施工現場において、必要な長さに加工されたケーブル等により、蓄電池ユニット300の正極と蓄電池接続端子部270の正極とが、また、蓄電池ユニット300の負極と蓄電池接続端子部270の負極とが接続される。
また、蓄電池接続端子部270は、パワーコンディショナ200の内部においては、リレー260を介して充放電用コンバータ220と接続される。
【0037】
送信部280は、制御部250が、蓄電池接続端子部270に誤接続があると判定した場合には、図示しない外部端末に誤接続情報を送信する。
このとき、誤接続情報を受信した外部端末、例えば、リモコン、携帯電話、スマートフォン等は、受信した誤接続情報を表示部に表示する、あるいは、音声出力する等により、施工現場の作業員に知らせる。
【0038】
<パワーコンディショナ200と蓄電池ユニット300との接続部の構成>
図2を用いて、パワーコンディショナ200と蓄電池ユニット300との接続部(以下、「蓄電池接続部BC」と記載する)の構成について説明する。
【0039】
図2に示すように、蓄電池接続部BCは、電圧取得部240と、リレー260と、蓄電池接続端子部270と、を含んで構成される。
また、蓄電池接続部BCは、蓄電池ユニット300の蓄電池端子310と、電圧監視部320とを含んで構成される。
【0040】
蓄電池端子310は、蓄電池ユニット300に備えられた接続端子であり、ケーブル等を介して、パワーコンディショナ200に備えられた蓄電池接続端子部270と接続可能とされる。
蓄電池端子310と、蓄電池接続端子部270とは、施工現場において、必要な長さに加工されたケーブル等により、蓄電池端子310の正極と蓄電池接続端子部270の正極とが、また、蓄電池端子310の負極と蓄電池接続端子部270の負極とが接続される。
蓄電池端子310は、蓄電池ユニット300に備えつけられた電源スイッチがONされる等により起動されることにより、蓄電池340に接続される。
【0041】
電圧監視部320は、蓄電池ユニット300の蓄電池ユニット内に複数配列された蓄電池セルの電圧を監視し、通信ケーブル等を介してパワーコンディショナ200の制御部250に蓄電池セルの電圧情報を送信する。
【0042】
蓄電池340は、蓄電池セルが複数配列されて構成されており、蓄電池端子310を介して電力の充放電が行われる。
また、蓄電池340は、蓄電池セルの電圧を監視するために、電圧監視部320と接続されている。
【0043】
<電圧取得部240の構成>
図3を用いて、電圧取得部240の構成について説明する。
【0044】
電圧取得部240は、例えば、図3に示すような回路構成となっている。
【0045】
電圧取得部240は、入力レベル減衰回路部241と、絶縁アンプ部242と、差動増幅回路部243と、を含んで構成される。
【0046】
入力レベル減衰回路部241は、例えば、オペアンプを用いた二次のアクティブフィルタを用いて構成され、主に蓄電池接続端子部270から侵入する高周波ノイズを減衰させるためのフィルタが構成されるとともに、後段の制御部250で電圧取得が可能な電圧範囲に降圧させる。
入力レベル減衰回路部241は、蓄電池接続端子部270の正端子と負端子が差動入力電圧として接続され、入力信号を所定の減衰量で降圧させた後、後段の絶縁アンプ部242へ差動信号を出力する。
【0047】
絶縁アンプ部242は、入力レベル減衰回路部241までの一次側電圧系統と、差動増幅回路部243等の二次側電圧系統を分離し、電圧変換を行う。
そして、絶縁アンプ部242は、入力電圧値を、二次側の電圧を基準とした電圧値に変換し、後段の差動増幅回路部243へ差動信号を出力する。
なお、図3において、一次側電圧系統のGNDをGND1、二次側電圧系統のGNDをGND2と表記し、両者のGNDレベルは互いに異なる。
【0048】
差動増幅回路部243は、正の片電源で動作する差動増幅回路を含んで構成され、差動増幅回路の正入力端子には、正の電圧の基準電源が接続される。
また、差動増幅回路部243には、絶縁アンプ部242から差動信号が入力される。
差動増幅回路部243は、制御部250と同一の電源電圧の範囲内に入力信号レベルの増幅率を調整するとともに、不要な高周波ノイズの除去するフィルタを構成している。
【0049】
具体的には、差動増幅回路部243は、抵抗R10、R20、R30、R40、R50コンデンサC10、C20、C30、基準電圧源V10、オペアンプU10を含んで構成される。
【0050】
抵抗R10および抵抗R20は、オペアンプU10の入力抵抗である。
抵抗R10および抵抗R20の一方端は、絶縁アンプ部242の正出力および負出力に接続され、抵抗R10および抵抗R20の他方端は、オペアンプU10の負入力端子(反転入力端子)および正入力端子(非反転入力端子)にそれぞれ接続されている。
【0051】
抵抗R30、R40は、抵抗R10、20との抵抗比により、オペアンプU10の増幅量とアイソレーション量(同相ノイズ除去比)とを決める抵抗である。
抵抗R30の一方端は、オペアンプU10の正入力端子に接続され、他方端は、基準電圧源(実施例では+0.3[V]の正電圧)V10に接続される。
抵抗R40の一方端は、オペアンプU10の負入力端子に接続され、他方端はオペアンプU10の出力端子に接続される。
【0052】
コンデンサC10は、抵抗R30に並列に接続され、ノイズフィルタを構成する。
また、コンデンサC20は、抵抗R40に並列に接続され、差動増幅回路部243の位相補償を行うことにより、オペアンプU10で構成される差動増幅回路の動作を安定させる。
【0053】
基準電圧源V10は、オペアンプU10に基準電圧を供給する電源であり、例えば、汎用ICとしての基準電圧IC等が接続される。なお、本実施形態では、オペアンプU10は+3.3Vの電源電圧で駆動される。
基準電圧源V10は、抵抗R30に接続され、抵抗R30を介してオペアンプU10に基準電圧を供給する。
なお、基準電圧源V10と抵抗R30が接続された接続点を、後段の制御部250に入力させることにより、制御部250に基準電圧値を認識させてもよい。
【0054】
抵抗R50およびコンデンサC30は、オペアンプU10で構成された差動増幅回路から出力される不要な高周波ノイズを低減させるローパスフィルタを構成している。
抵抗R50の一方端は、オペアンプU10の出力端子に接続され、他方端は、制御部250に接続される。
【0055】
オペアンプU10は、基準電圧が供給された正入力端子および負入力端子に入力された電圧値の差分がGNDレベル(図3に示すGND2の電位)よりも高い場合には、基準電圧値よりも高い電圧値の信号を出力し、前記差分がGNDレベルよりも低い場合には、基準電圧値よりも低い電圧値の信号を出力する。
【0056】
<制御部250の誤接続時の制御>
以下、図4を用いて、制御部250の誤接続時の制御について説明する。
【0057】
施工現場の作業員等により、パワーコンディショナ200に、蓄電システム用ブレーカ110、蓄電池ユニット300、V2Hスタンド400、太陽電池モジュール500および切替スイッチ630が、ケーブル等で接続される。
そして、蓄電システム用ブレーカ110が閉状態にされることにより、パワーコンディショナ200に商用電力が供給され、パワーコンディショナ200に備えつけられた電源スイッチ等がONされることにより起動される(ステップS101)。
【0058】
蓄電池ユニット300は、備えつけられた電源スイッチがONされる等により起動され、蓄電池端子310に蓄電池電圧を出力する(ステップS102)。
そして、蓄電池接続端子部270を介して、電圧取得部240に蓄電池電圧が入力される。
【0059】
電圧取得部240に入力された蓄電池電圧は、電圧取得部240の入力レベル減衰回路部241にて降圧され、絶縁アンプ部242にて電圧変換が行われ、差動増幅回路部243に入力される。
【0060】
差動増幅回路部243では、オペアンプU10の抵抗R10および抵抗R20を介して、オペアンプU10の正入力端子および負入力端子に入力される。
そして、差動増幅回路部243は、正入力端子と負入力端子の差分電圧に対して、抵抗R10、R20および抵抗R30、R40の抵抗比で定まる倍率だけ増幅された取得電圧SVを出力する。
ここで、オペアンプU10の正入力端子には、予め定められた基準電圧が入力されている。
オペアンプU10は、入力された差分信号が負電圧の場合には、基準電圧値よりも低い電圧を出力する。
例えば、蓄電池接続端子部270の正入力端子に蓄電池ユニット300の負出力端子が接続され、蓄電池接続端子部270の負入力端子に蓄電池ユニット300の正出力端子が接続された場合(蓄電池ユニット300の出力端子が逆接続された場合)には、オペアンプU10の出力には、基準電圧値よりも低い電圧が出力される。
また、オペアンプU10は、入力された差分信号が正電圧の場合には、オペアンプU10には、基準電圧値よりも高い電圧が出力される。
蓄電池接続端子部270に蓄電池ユニット300の出力が正しく接続された場合、あるいは、蓄電池接続端子部270にV2Hスタンド400の出力が接続された場合、あるいは、蓄電池接続端子部270に太陽電池モジュール500の出力が接続された場合には、オペアンプU10の出力には、基準電圧値よりも高い電圧が出力される。
そして、制御部250は、オペアンプU10の出力から取得電圧SVを取得する(ステップS103)。
ここで、制御部250は、取得電圧SVが基準電圧値より低い電圧の場合には、負電源が接続されたと認識し、蓄電池ユニット300の配線が逆接続していると判定することができる。例えば、図3に示す電圧取得部240により負電圧を含む-30[V]~+300[V]までの直流電圧が検出可能な場合(電圧レンジが300[V]の場合)において、端子間電圧が200[V]の蓄電池ユニット300が逆接続されると、取得電圧SVが-200[V]となる。このとき、制御部250は、-30[V]の負電源が接続されたと認識し、蓄電池ユニット300の逆接続を検出することができる。このように、負電圧の検出範囲(-30[V])を正電圧の検出範囲(+300[V])の10分の1とすることで、逆接続の検出を可能としながらも電圧レンジを正電圧範囲で十分に大きく取りつつ(蓄電池ユニット300の出力電圧をカバー)、正負含めた全体電圧レンジをコンパクトにすることができる。
【0061】
制御部250は、取得した取得電圧SVが正の電圧であるか否かを判定する(ステップS104)。
制御部250は、取得電圧SVが負の電圧である場合には(ステップS104の「NO」)、蓄電池接続端子部270に蓄電池ユニット300の出力端子が逆接続されたと認識し、誤接続であると判定し、送信部280を介して、外部端末に誤接続情報を送信する(ステップS105)。
【0062】
一方で、制御部250は、取得電圧SVが正の電圧である場合には(ステップS104の「YES」)、電圧監視部320から蓄電池セルの電圧情報を取得し、蓄電池セルの電圧情報に基づき、蓄電池ユニット300の出力電圧に相当するセル換算電圧CVに換算し、制御部250は、取得電圧SVとセル換算電圧CVとを比較する(ステップS107)。
蓄電池接続端子部270に蓄電池ユニット300の出力端子が正しく接続されている場合には、取得電圧SVは、セル換算電圧CVと同等の電圧となる。
一方で、蓄電池接続端子部270にV2Hスタンド400の出力、あるいは、太陽電池モジュール500の出力が接続された場合には、取得電圧SVは、セル換算電圧CVと異なる電圧となる。
【0063】
そして、制御部250は、取得電圧SVと、セル換算電圧CVから、比較電圧差を算出し、比較電圧差が規定値の範囲内であるか否かを判定する(ステップS108)。
ここでいう比較電圧差は、例えば、取得電圧SVからセル換算電圧CVを引いた値を示し、規定値は、比較電圧差が±15Vの範囲内であることを例示することができる。なお、ステップS104とステップS108の判定はステップS107における電圧比較後に同時に行ってもよい。
【0064】
制御部250は、比較電圧差が規定値の範囲外である場合には(ステップS108の「NO」)、蓄電池接続端子部270にV2Hスタンド400の出力が接続された、あるいは、太陽電池モジュール500の出力が接続されたと認識し、誤接続であると判定し、送信部280を介して、外部端末に誤接続情報を送信する(ステップS105)。
【0065】
一方で、制御部250は、比較電圧差が規定値の範囲内である場合には(ステップS108の「YES」)、取得電圧SVと、セル換算電圧CVとを一定時間Twの間比較し、比較電圧差の変動が変動規定値の範囲内であるか否かを判定する(ステップS109)。
このように判定する理由は以下のとおりである。太陽電池モジュール500の出力電圧は、気候条件等により、蓄電池ユニット300の出力と同等の出力電圧になり、制御部250は、誤接続があるか否かを判定できない場合がある。
しかしながら、太陽電池モジュール500の出力電圧は、常に一定ではなく、例えば、太陽光の照射角度の変化あるいは雲の通過等により、変動している。
そのため、比較電圧差の変動が一定時間Tw、変動規定値の範囲内であるか否かを判定することにより、蓄電池接続端子部270に太陽電池モジュール500の出力が誤接続されているか否かを判定することができる。
ここで、変動規定値は、ステップS108と同じ規定値(範囲)としてもよいし、ステップS108とは異なる範囲としてもよい。例えば、変動規定値として、ステップS108に比較して狭い範囲(例えば±5Vの範囲内)を設定してもよいし、絶対値ではなく±1%の範囲内等の相対値で規定してもよい。
一定時間Twは、太陽電池モジュール500の出力電圧が変動することが想定される時間(制御部250による誤接続検知が期待される時間)であり、例えば、5~30秒間(本実施形態においては5秒間)が設定される。
【0066】
制御部250は、比較電圧差の変動が一定時間Twの間変動規定値の範囲内である場合には(ステップS109の「YES」)、蓄電池接続端子部270に誤接続はないと判定し、リレー260を閉状態にさせることにより、充放電用コンバータ220と蓄電池ユニット300とを接続させるとともに、充放電用コンバータ220を起動させる(ステップS110)。
【0067】
一方で、制御部250は、比較電圧差の変動が一定時間Twの間に変動規定値の範囲外となる場合には(ステップS109の「NO」)、蓄電池接続端子部270に太陽電池モジュール500の出力が接続されたと認識し、誤接続であると判定し、送信部280を介して、外部端末に誤接続情報を送信する(ステップS105)。
【0068】
誤接続情報を受信した外部端末、例えば、リモコン、携帯電話、スマートフォン等は、受信した誤接続情報を表示部に表示する、あるいは、音声出力する等により、施工現場の作業員に報知する(ステップS106)。
【0069】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係るパワーコンディショナは、蓄電池接続端子部270を介して蓄電池ユニット300と接続され、蓄電池ユニット300からの直流電力を所定の直流電圧に変換して放電するとともに、所定の充電電圧に変換して蓄電池ユニット300を充電する充放電用コンバータ220と、蓄電池接続端子部270の端子間電圧を取得する電圧取得部240と、充放電用コンバータ220の起動を制御する制御部250と、を備えている。
制御部250は、蓄電池接続端子部270の端子間電圧に応じた電圧取得部240の出力電圧と、蓄電池ユニット300からの電圧と、を比較し、比較結果が適正範囲である場合には、蓄電池接続端子部270に蓄電池ユニット300が正常に接続されたとして誤接続はないと判定し、充放電用コンバータ220を起動する。
つまり、制御部250は、蓄電池接続端子部270から取得された取得電圧SVと、セル換算電圧CV(電圧監視部320から蓄電池セルの電圧情報を取得し、蓄電池セルの電圧情報に基づき、蓄電池ユニット300の出力電圧に相当する電圧に換算した電圧値)と、を比較し、蓄電池接続端子部270に蓄電池ユニット300が正しく接続されているか否かを判定する。
そして、制御部250は、比較結果が適正範囲である場合には、蓄電池接続端子部270に誤接続はないと判定し、充放電用コンバータ220を起動する。
そのため、誤接続によるパワーコンディショナ200の故障を未然に防止することができる。
【0070】
具体的には、本実施形態に係るパワーコンディショナ200は、蓄電池接続端子部270の端子間電圧が負電圧の場合には、制御部250は、蓄電池接続端子部270に蓄電池ユニット300が逆接続されたとして誤接続があると判定する。
つまり、制御部250は、電圧取得部240から取得した取得電圧SVが基準電圧値よりも低く、蓄電池接続端子部270の端子間電圧が負の電圧であると認識した場合には、制御部250は、即座に誤接続があると判定することができる。
また、本実施形態に係るパワーコンディショナ200において、制御部250は、電圧取得部240の出力電圧と、蓄電池ユニット300内に複数配列された蓄電池セルの電圧とを比較し、比較電圧差が規定値の範囲内であるか否かを判定し、比較電圧差が規定値の範囲外である場合には、蓄電池接続端子部270にV2Hスタンド400の出力が接続された、あるいは、太陽電池モジュール500の出力が接続されたと認識し、誤接続であると判定することができる。
そのため、誤接続によるパワーコンディショナ200の故障を未然に防止することができる。
【0071】
また、本実施形態に係るパワーコンディショナ200において、制御部250は、電圧取得部240の出力電圧と、蓄電池ユニット300からの電圧とを一定時間Tw比較し、当該比較結果が所定の変動規定値の範囲内にない場合には、蓄電池接続端子部270に蓄電池ユニット300ではなく太陽電池モジュール500が接続されたとして誤接続があると判定する。
つまり、制御部250は、取得電圧SVおよびセル換算電圧CVを、一定時間Tw比較することにより、比較電圧差の変動を取得し、基準となるセル換算電圧CVの変動と、取得電圧SVの変動とが変動規定値の範囲内であるか否かを判定する。
そして、比較電圧差の変動が一定時間Twの間変動規定値の範囲内である場合には、制御部250は、蓄電池接続端子部270に誤接続はないと判定し、充放電用コンバータ220を起動させることができる。
一方で、比較電圧差の変動が一定時間Twの間に変動規定値の範囲外である場合には、制御部250は、蓄電池接続端子部270に太陽電池モジュール500の出力が接続されたと認識し、誤接続であると判定し、送信部280を介して、外部端末に誤接続情報を送信することができる。
そのため、誤接続によるパワーコンディショナ200の故障を未然に防止することができる。
【0072】
また、本実施形態に係るパワーコンディショナ200は、蓄電池接続端子部270と充放電用コンバータ220とを接続させるリレー260をさらに備え、制御部250は、誤接続はないと判定した場合には、リレー260をON状態にさせる。
つまり、制御部250は、蓄電池接続端子部270に誤接続はないという判定結果に基づき、リレー260をON状態にさせ、充放電用コンバータ220と蓄電池ユニット300とを接続させた後に、充放電用コンバータ220を起動させることができる。
そのため、誤接続によるパワーコンディショナ200の故障を未然に防止することができる。
【0073】
また、本実施形態に係るパワーコンディショナ200は、電圧取得部240は、正の片電源で動作する差動増幅回路部243を含んで構成され、差動増幅回路部243の正入力端子には、正の電圧の基準電源が接続され、差動増幅回路部243の正入力端子と、負入力端子と、には、蓄電池ユニット300からの電圧を降圧させた電圧が入力される。
つまり、電圧取得部240は、蓄電池接続端子部270から入力される入力電圧を降圧させることにより、制御部250の電源電圧と同等の電源電圧および正の片電源で差動増幅回路部243を構成させることができる。
また、蓄電池接続端子部270から入力される入力電圧を降圧させることから、誤接続された場合でも、制御部250の電源電圧以上の電圧は入力されないことにより、電圧取得部240および制御部250は正常動作することができる。
そのため、誤接続による故障を未然に防止することができ、また、低コストで電圧取得部240を構成させることができる。
【0074】
また、本実施形態に係るパワーコンディショナ200は、制御部250は、比較結果が規定値または変動規定値の範囲内ではない場合には、蓄電池接続端子部270に誤接続があると判定し、送信部280は、外部端末に誤接続情報を送信する。
また、外部端末は、送信部280から誤接続情報を受信したときに、その旨を報知する報知部を備えている。
つまり、制御部250は、蓄電池接続端子部270に誤接続があると判定した場合には、外部端末に誤接続情報を送信することにより、速やかに施工現場の作業員等に知らせることができる。
そして、外部端末の報知部により、パワーコンディショナ200の蓄電池接続端子部270に外部接続機器が誤接続された状態を、例えば、誤接続表示や音声メッセージあるいは、その双方により、速やかに、施工現場の作業員等に知らせることができる。
そのため、誤接続による故障を未然に防止することができる。
【0075】
なお、パワーコンディショナの処理をコンピュータシステムあるいはコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをパワーコンディショナ200の制御部250に読み込ませ、実行することによって本発明のパワーコンディショナ200を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムあるいはコンピュータとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0076】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、Webページの提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0077】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、所謂、差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0078】
以上、この発明の実施形態および実施例につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態あるいは実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0079】
10;蓄電システム
110;蓄電システム用ブレーカ
200;パワーコンディショナ
210;発電電力用コンバータ
220;充放電用コンバータ
230;インバータ
240;電圧取得部
250;制御部
260;リレー
270;蓄電池接続端子部
280;送信部
300;蓄電池ユニット
310;蓄電池端子
320;電圧監視部
400;V2Hスタンド
410;電気自動車
500;太陽電池モジュール
610;主幹ブレーカ
620;分岐ブレーカ
700;商用系統連系機器
U10;オペアンプ
V10;基準電圧源
BC;蓄電池接続部
図1
図2
図3
図4