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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130905
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
A63F7/02 301C
A63F7/02 336
A63F7/02 352F
A63F7/02 334
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035492
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 安隆
(72)【発明者】
【氏名】奈良崎 哲太
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA09
2C088BA12
2C088BB06
2C088BC27
2C088CA04
(57)【要約】
【課題】所謂封入式の遊技機に対応した計数誤差監視の検出精度を向上させることで起こり得る不適切な異常検出を抑制可能な遊技場用システムを提供すること。
【解決手段】遊技球の発射に応じたアウトにより遊技玉ポイントが減算更新される一方、入賞に応じたセーフに応じて遊技玉ポイントが加算更新されると共に、アウト、セーフ及び遊技玉ポイントを特定可能な遊技情報を出力する遊技機3、が設置された遊技場向けの遊技場用システム1は、持玉あるいは入金残高を対価とした貸出玉ポイントにより遊技玉ポイントを更新する遊技価値提供手段と、遊技玉ポイントの誤差に関する異常を判定する判定処理を実行可能な誤差監視手段と、を含み、誤差監視手段は、対価付与ポイントが更新された場合に判定処理の実行を抑制するための抑制処理を実行する一方、遊技機3から遊技情報を取得した場合には、抑制処理を実行することなく判定処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者により獲得された遊技価値である第1獲得価値を示す情報を記憶可能であり、
当該第1獲得価値を対価として遊技を行わせ、当該対価として消費された消費価値により前記第1獲得価値を更新する遊技実行手段と、
遊技の進行に応じて遊技者に付与される入賞付与価値により前記第1獲得価値を更新する遊技価値付与手段と、
前記消費価値、前記入賞付与価値および前記第1獲得価値を特定可能な遊技情報を、時間的な間隔を空けて出力する遊技情報出力手段と、を有する遊技機が設置された遊技場向けの遊技場用システムであって、
前記第1獲得価値とは区分される前記遊技価値である第2獲得価値を示す情報を、遊技機単位で記憶する価値記憶手段と、
遊技機に対応して前記価値記憶手段により記憶される第2獲得価値または遊技者によって投入された貨幣価値を対価とした対価付与価値を提供することによって、対応する遊技機にて記憶される第1獲得価値を更新する遊技価値提供手段と、
前記第1獲得価値の全部又は一部を前記第2獲得価値へ移行するための計数処理を実行可能な計数手段と、
前記消費価値、前記対価付与価値、前記入賞付与価値、及び前記第1獲得価値を利用し、遊技者により獲得された遊技価値を示す理論上の値と実際の値との誤差に関する異常を判定する判定処理を実行可能な誤差監視手段と、を含み、
該誤差監視手段は、前記対価付与価値が更新された場合に前記判定処理の実行を抑制するための抑制処理を実行する一方、遊技機から前記遊技情報を取得した場合には、当該抑制処理を実行することなく前記判定処理を実行するように構成されている遊技場用システム。
【請求項2】
前記遊技価値提供手段は、遊技機に個別に対応して設けられていると共に、提供する前記対価付与価値を示す対価付与情報を、前記誤差監視手段に向けて出力するように構成され、
前記誤差監視手段は、前記遊技価値提供手段から取得した前記対価付与情報によって示される対価付与価値を利用して異常を判定する請求項1に記載の遊技場用システム。
【請求項3】
前記誤差監視手段は、前記対価付与価値が更新された時点を起点とした期間であって前記判定処理の抑制対象となる抑制期間を設けることで前記抑制処理を実行し、当該抑制期間において遊技機から前記遊技情報を取得した場合であっても前記判定処理を抑制する請求項2に記載の遊技場用システム。
【請求項4】
前記遊技価値提供手段が前記誤差監視手段に向けて前記対価付与情報を出力する条件には、前記対価付与情報を出力してから所定期間が経過したこと、が含まれ、
前記抑制期間は、当該所定期間と同じ期間あるいは当該所定期間よりも長い期間である請求項3に記載の遊技場用システム。
【請求項5】
前記抑制期間であっても異常の判定を実行するための所定の除外条件が設定されており、前記誤差監視手段は、前記抑制期間において前記所定の除外条件が成立した場合には異常の判定を実行するように構成されている請求項3または4に記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技場では、不正が行われていないかを監視するため、遊技装置から付与された遊技価値を示す対価付与価値、計数された遊技価値を示す計数価値、遊技機に投入された遊技価値を示すアウトおよび遊技により付与された遊技価値を示すセーフに基づく演算値と、基準値と、を比較することで誤差がないかを判定する所謂計数誤差監視を行っている。例えば下記の特許文献1では、所謂封入式を対象として、遊技機にて管理される遊技玉を当該演算の対象に含めることが提案されている。
【0003】
さて、封入式を対象とする場合、所謂玉こぼれが生じないため、基準値を比較的辛めに設定すると共に、例えばいずれかの情報が更新される度に基準値との比較を行うといったように頻繁に検知処理を行うことで、より厳密な検知処理を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-185086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、封入式の遊技機を対象として上記のような厳密な検知処理を行う場合には、次のような問題が生じるおそれがある。例えば基準値を100玉、1回当りに付与する対価付与価値を125玉として検知処理を管理装置にて行い、対価付与価値の更新状況を示す第1情報は遊技装置、遊技玉の更新状況を示す第2情報は遊技機から出力される場合を想定したとき、第1情報が送信されてから、その第1情報に対応した対価付与価値分の更新状況を反映した第2情報が送信されるまでにタイムラグが生じ、このタイムラグの間は演算値に対価付与価値分の誤差が生じ、何ら異常や不正が生じていないにもかかわらず異常検出されてしまうおそれがある。このようなおそれは、遊技機から送信される遊技玉を利用して計数誤差監視を行うことに起因するため、例えば遊技装置のような管理装置以外の装置にて計数誤差監視するような他の場合にも同様に生じ得る。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、所謂封入式の遊技機に対応した計数誤差監視の検出精度を向上させることで起こり得る不適切な異常検出を抑制可能な遊技場用システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の遊技場用システムは、遊技の対価としての消費価値(例えば実施例におけるアウト)および入賞付与価値(同セーフ)により更新される第1獲得価値(同遊技玉ポイント)を示す情報を記憶していると共に、消費価値、入賞付与価値および第1獲得価値を特定可能な遊技情報を、時間的な間隔を空けて出力する遊技機が設置された遊技場向けのシステムである。
【0008】
本発明の遊技場用システムでは、第1獲得価値とは区分される遊技価値である第2獲得価値(同持玉)を示す情報が遊技機単位で記憶されている。第1獲得価値は、第2獲得価値または遊技者によって投入された貨幣価値(同入金残高)を対価とした対価付与価値を提供することにより更新される。第1獲得価値は、計数処理により、その全部又は一部が第2獲得価値へ移行される。
【0009】
本発明の遊技場用システムは、消費価値、対価付与価値、入賞付与価値、及び第1獲得価値を利用し、遊技価値を示す理論上の値と実際の値との誤差に関する異常を判定する判定処理を実行可能な誤差監視手段を含んでいる。この誤差監視手段は、対価付与価値が更新された場合に判定処理の実行を抑制するための抑制処理を実行する一方、遊技機から遊技情報を取得した場合には、当該抑制処理を実行することなく判定処理を実行するように構成されている。
【0010】
本発明の遊技場用システムは、対価付与価値が更新された場合に判定処理の実行を抑制するための抑制処理を実行する一方、遊技機から遊技情報を取得した場合には抑制処理を実行する判定処理を実行する。これにより、この遊技場用システムでは、計数誤差監視の検出精度が高く設定された場合であっても、遊技情報の取得タイミングのズレ等に起因する誤検出のおそれが少なくなっている。
【0011】
このように本発明の遊技場用システムは、所謂封入式の遊技機に対応した計数誤差監視の検出精度を向上させることで起こり得る不適切な異常検出を抑制可能な優れた特性のシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1における、遊技場用システムの構成を示すシステム図。
図2】実施例1における、遊技機と遊技装置の組み合わせを示す正面図。
図3】実施例1における、管理装置が台番毎に管理する遊技情報を例示する図。
図4】実施例1における、解決するべき課題を説明するためのデータ送信タイムチャート。
図5】実施例1における、データ送信タイムチャート。
図6】実施例1における、大当り時のデータ送信タイムチャート。
図7】実施例1における、計数時のデータ送信タイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、遊技機3が複数設置された遊技場において各遊技機3の計数誤差監視(価値誤差監視)を実現するための遊技場用システム1に関する例である。以下、図1図7を参照して遊技場用システム1の内容を説明する。
【0014】
遊技場では、図1のごとく、パチンコ遊技機3(以下、単に遊技機3という。)に対して、遊技装置2や表示装置51等が個別に設置されている。遊技に必要な遊技価値の付与機能や計数機能を備える遊技装置2は、対応する遊技機3と隣り合う他の遊技機3との間の隙間のスペースに設置されている。遊技装置2は、対応する遊技機3の左側に配置されている。また、呼出ランプ511を備える表示装置51は遊技機3の上方に設置される。なお、遊技場には、パチンコ遊技機3以外に図示しないスロットマシンなども設置されている。スロットマシンの場合は、対応する遊技機の右側に遊技装置2が設置される場合もある。
【0015】
遊技場内の通路に面して遊技機3が配列された遊技島では、2台の遊技機3毎に1台ずつ中継装置54が設置されている。また、遊技場内に設けられた管理スペースには、遊技場内の各種の機器の稼動状況を集中的に管理するための管理装置10が設置されている。遊技者が遊技により獲得した遊技価値である持玉(第2獲得価値の一例。)を景品に交換するための景品カウンタには、景品交換に利用されるPOS端末55が設置されている。遊技機3が配列された遊技島の島端等には、遊技カード53(図2)に対応付けられた残高(プリペイド残高)の精算を受け付ける図示しない残高精算機が設置されている。
【0016】
遊技場では、管理装置10が通信可能に接続された有線LAN等の場内ネットワーク500が構築されている。遊技機3に対応して個別に設置された表示装置51及び遊技装置2は、中継装置54を介して場内ネットワーク500に接続されている。遊技場用システム1では、遊技装置2などの遊技機3の周辺装置と、管理装置10と、の間の各種の通信が中継装置54を介して実現されている。
【0017】
管理装置10は、遊技場に設置された各種機器の動作状態を管理するほか、各遊技機3の遊技情報を収集し、遊技機単位の遊技データを管理している。なお、遊技機3の遊技状況を示す遊技情報は、遊技機3→遊技装置2→中継装置54→管理装置10の経路にて伝送される。さらに、管理装置10は、遊技者が所持する遊技カード53(図2参照。)に対応付けられる残高(入金残高)や持玉などの価値を記憶し、遊技カード53の識別情報であるカードIDを対応付けて管理している。
【0018】
以下、本例の遊技場用システム1を構成する遊技機3、遊技装置2、管理装置10の構成及び動作を詳しく説明し、続いて遊技場用システム1の動作内容について説明する。
(遊技機)
遊技機3は、(パチンコ)玉を遊技媒体として遊技が行われる遊技機である。遊技機3は、遊技に伴い減算され、遊技で入賞すると加算されるポイント(遊技価値)を記憶する、いわゆる封入式の遊技機である。
【0019】
遊技機3では遊技媒体である玉が封入されており、遊技者側に玉が払い出されることがない。玉は、遊技領域である盤面330(図2)への発射→盤面330からの排出、を繰り返し、遊技機3の内部で循環する。この遊技機3は、遊技を通じて獲得されたポイントである遊技玉ポイント(第1獲得価値の一例)を示す情報を記憶する機能を備えている。遊技機3では、この遊技玉ポイントを1P(ポイント)ずつ消費して玉を発射できる。いずれかの入賞口に玉が入賞すればポイントを獲得でき、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントを増やすことができる。
【0020】
ここで、封入式の遊技機3の構成を概説する。図2のごとく、この遊技機3は、第1始動口31及び第2始動口32への入賞に応じて大当り抽選を実行する、いわゆるセブン機である。この遊技機3は、大当り抽選に応じて図柄変動を実行し、大当りのときには大当り図柄の停止表示により大当り当選を報知する。大当り当選が発生すれば、大入賞口360が開放されるラウンドが複数回繰り返される有利な大当り状態に移行できる。
【0021】
遊技機3の前面には、遊技椅子に着席した遊技者に対面するように盤面330が設けられている。この盤面330の下方には、払出式の遊技機における上皿に代えて、棚状に遊技者側に張り出すカウンター部35が設けられている。さらにカウンター部35の下方、遊技者側から向かって右側には、盤面330に打ち込む玉の発射強度を調節するために遊技者が操作する操作ハンドル335が立設されている。
【0022】
玉を貯留するための窪みが設けられた払出式の遊技機の上皿とは異なり、カウンター部35の上面は略面一に形成されている。カウンター部35の上面の中央付近には、6個の7セグメント表示器が横一列に配置された遊技玉P表示部355が埋め込まれている。遊技玉P表示部355の左側には、計数ボタン357が配置され、同右側には、残高表示部351、貸玉ボタン352、返却ボタン353等が配置されている。
【0023】
遊技玉P表示部355は、遊技者が遊技により獲得し遊技機3が記憶している第1獲得価値の一例である遊技玉ポイントの表示部である。遊技玉ポイントの1ポイントは、玉1個分に対応している。遊技玉P表示部355に表示される遊技玉ポイントは、払出式の遊技機であれば遊技者の手元にある計数前の遊技玉に相当している。
【0024】
計数ボタン357は、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントを計数して第2獲得価値の一例である持玉に移行させる計数処理を実行させる操作ボタンである。この計数ボタン357は、遊技機3により記憶される遊技玉ポイントの全部または一部を、遊技装置2にて記憶される持玉に移行するために遊技者が行う所定の計数操作を受け付ける。
【0025】
残高表示部351は、遊技装置2が受け付けた貨幣(貨幣価値)のうちの残りの金額である残高(プリペイド残高)を表示する表示部である。
貸玉ボタン352は、残高を対価として貸玉(売上玉)のポイント付与を受けるための操作ボタンである。付与されたポイント(対価付与価値)は、遊技玉ポイントに加算される。
【0026】
返却ボタン353は、遊技装置2に残高や持玉が残存する状態で遊技を終了等するときに遊技カード53を返却あるいは発行等させるための操作ボタンである。遊技装置2に持玉や残高がある状態で遊技を終了する場合、この返却ボタン353の押下げ操作により、持玉や残高が対応付けられた遊技カード53の返却あるいは発行を受けることができる。なお、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントの計数処理、ポイントの付与処理、遊技カード53の発行処理等については、遊技装置2の動作と密接に関わっている。そこで、これらの処理の内容、及び遊技機3が遊技装置2に対して出力する遊技情報、などについては、遊技装置2の構成を説明した後で説明する。
【0027】
盤面330は、玉が流下する領域である。盤面330には、液晶表示部390を含む表示装置39を中心として、第1及び第2始動口31、32、通過ゲート34、開閉式の大入賞装置36等が配置されている。盤面330の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔338が開口している。
【0028】
遊技者側から向かって表示装置39の右側には、通過ゲート34、一般入賞口343が配置され、表示装置39の右下に第2始動口32が配置されている。表示装置39の真下には、第1始動口31が配置され、第1始動口31と第2始動口32との間のスペースの下方に大入賞装置36が配置されている。さらに表示装置39の左下には、もう一つの一般入賞口345が配置されている。一般入賞口343、345への玉の入賞に応じて遊技者が獲得できるポイント(入賞付与価値)は12Pである。
【0029】
通過ゲート34は、通過玉を検知するゲートである。玉を通過させるのみの通過ゲート34は、普図入賞口である一方、ポイントの付与が設定されていない。通過ゲート34が通過玉を検知すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、普図判定が実行される。
【0030】
第1始動口31は、第1の特別図柄の当否判定(以下、第1特図判定という。)の契機となる始動口である。第2始動口32は、第2の特別図柄の当否判定(以下、第2特図判定という。)の契機となる始動口である。表示装置39の直下に配置される第1始動口31は、入賞率が変動しない、いわゆるへそタイプの始動口である。第2始動口32は、電チュータイプの始動口である。第2始動口32の開口部320には、一対の可動羽根が回動して第2始動口32への入賞確率を高める電動チューリップ321が取り付けられている。この電動チューリップ321は、上記の普図判定の当選(普図当選)に応じて動作し、第2始動口32を開放する。なお、第1始動口31及び第2始動口32に玉が入賞したときに遊技者が獲得できるポイント(入賞付与価値)は3Pとなっている。
【0031】
大入賞装置36は、大入賞口360を開口させる、いわゆるアタッカーと呼ばれる可変入賞装置である。アタッカー36は、横長矩形状の大入賞口360と、下開きで回動してこの大入賞口360を開閉する蓋部材361と、を有している。アタッカー36では、通常、蓋部材361が盤面330と略面一をなしており、大入賞口360が閉鎖されている。蓋部材361が手前に回動すると、大入賞口360が開放状態となる。なお、大入賞口360に入賞したときに遊技者が獲得できるポイント(入賞付与価値)は15Pとなっている。
【0032】
アタッカー36は、第1特図判定または第2特図判定により大当りが発生すると開放状態になる。大当りを契機とする大当り状態では、30秒経過あるいは玉が10個入賞するまでアタッカー36が開放されるラウンド処理が繰り返し実行される。なお、大当り状態としては、ラウンド処理の回数が2回の2R大当り状態、同10回の10R大当り状態がある。
【0033】
表示装置39は、図2のごとく、外枠の内側に液晶表示部390が配置された装置である。外枠の上部右側には、普図判定の当否を報知する普図表示部381、普図保留表示部382が配置されている。また、外枠の下部の左右には、第1特図保留表示部395Aと第2特図保留表示部395Bとが配設されている。
【0034】
普図表示部381は、内部にLEDが仕込まれた〇と×の表示部により形成されている。普図表示部381は、〇と×のいずれかの点灯表示により普図判定の当否を報知する。
普図保留表示部382は、LEDが4個並べて配置された表示部である。普図保留表示部382は、抽出された普図判定の抽選用乱数のうち、当否が未報知の保留乱数(普図保留、保留上限4個)の個数を、LEDの点灯個数によって表示する。
【0035】
第1(第2)特図保留表示部395A(395B)は、普図保留表示部382と同様、LEDが4個並べて配置された表示部である。第1(第2)特図保留表示部395A(395B)は、抽出された第1(第2)特図判定の抽選用乱数のうち、当否を未報知の保留乱数(第1(第2)特図保留、保留上限4個)の個数を、LEDの点灯個数によって表示する。
【0036】
特図表示部としての液晶表示部390は、3桁の数字図柄を表示画面391に変動表示し、停止した3桁の数字図柄の組み合わせにより特図判定の当否を報知する。3桁のゾロ目が大当りを報知する大当り図柄となっている。後述する通り、この大当り図柄を構成する数字によって、大当りの種類、及び確変大当りであるか通常大当りであるかが異なってくる。
【0037】
特図判定の当否を報知する際、3桁の数字図柄が左→右→中の順番で停止する。この報知演出においては、左と右で同じ数字図柄が停止し、中の数字図柄が変動表示中というリーチ演出が発生する場合がある。このリーチ演出には、シーンの切替が発生してキャラクタなどが登場するスーパーリーチ演出等が含まれている。
【0038】
遊技機3は、図示を省略するが、CPUを含む制御回路を中心として電気的に構成されている。制御回路は、ROMなどに格納されたプログラムをCPUに実行させることで、以下の(1)~(4)の各手段としての機能を実現する。
(1)遊技価値記憶手段:遊技者により獲得された遊技価値の一例である遊技玉ポイント(第1獲得価値)を示す情報を記憶する手段。
(2)遊技実行手段:遊技玉ポイントを対価として遊技を行わせ、対価として消費された消費価値により遊技玉ポイントを更新する手段。
(3)遊技価値付与手段:遊技の進行に応じて遊技者に付与されるポイント(入賞付与価値の一例)により遊技玉ポイントを更新する手段。
(4)遊技情報出力手段:消費価値、入賞付与価値および遊技玉ポイントを特定可能な遊技情報を、時間的な間隔を空けて出力する手段。なお、遊技情報の種類や出力態様については後で詳しく説明する。
【0039】
ここで、遊技機3の遊技性について説明する。遊技機3では、操作ハンドル335の操作に応じて玉を発射できる。玉が1個発射されると、対価の1ポイントが遊技玉ポイントから減算される。発射された玉は、通過ゲート34などが配置された盤面330を流下する。入賞しなかった玉は、盤面330の最下部に設けられたアウト孔338から回収される。
【0040】
第1(第2)始動口31(32)へ玉が入賞すると大当り抽選が実行される。大当り抽選の抽選結果は、液晶表示部390(表示装置39)による図柄変動により報知される。大当りの場合、液晶表示部390による大当り図柄の停止表示により、その大当りが報知される。
【0041】
なお、図柄変動中に、第1始動口31あるいは第2始動口32への入賞(始動入賞)が発生した場合には、所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動が累積的に保留され、図柄変動終了後に保留している図柄変動が開始される。なお、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で新たな始動入賞が発生した場合、その図柄変動は保留されず無効となる。なお、始動入賞に応じた図柄変動の保留消化の優先順位は、第1始動口31への第1始動入賞か、第2始動口32への第2始動入賞か、で異なり、第1始動入賞よりも第2始動入賞の方が、優先順位が高く設定されている。
【0042】
本例の遊技機3では、大当り抽選の当選確率(大当り確率)が、通常遊技状態(通常状態、通常)と、確率変動状態(確変状態、確変)と、で区別して規定されている。例えば通常状態での大当り確率が1/310である一方、確変状態での大当り確率は1/70である。さらに、遊技機3では、大当り後に確変となる大当り(確変大当り)の割合である確変率(例えば66%)が定められている。
【0043】
大当りが発生すると、対応するラウンド(R)分だけ、大入賞口360が開放する。なお、1Rの上限入賞数は10個、上限開放期間は30秒であり、上限入賞数および上限開放期間のいずれかが満たされた場合に1Rが終了する。大当りに対応するラウンド(10Rか2Rか)は、大当り抽選と同様に抽選により決定される。第1始動口31への入賞を契機とした大当りでの10R大当りおよび2R大当りの振分率が50%ずつである一方、第2始動口32への入賞を契機とした大当りでは10R大当りの振分率は100%となっている。
【0044】
確変大当りが発生した場合、対応するラウンドの終了後に確変が発生する。確変中では、大当り確率が向上すると共に、第2始動口32の入賞率が高くなる時短状態(時短)となる。一方、確変大当りでない大当り(通常大当り)が発生した場合は、大当り後に確変でない時短(単独時短)となり、所定の時短回数(例えば100回)分の図柄変動を行うか大当りが発生するまで時短が継続される。大当りが発生しない場合には、時短回数分の図柄変動の消化に応じて通常状態に戻る。
【0045】
第2始動口32は、普図入賞口である通過ゲート34への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。普図1回当たりの変動期間は、通常状態では30秒、時短状態では3秒である。また、第2始動口32の開放期間は、通常状態であるか時短であるかによって相違し、通常状態では0.3秒、時短では5秒となっている。即ち、時短においては、通常状態と比較して普図変動期間が短くなると共に開放期間が長くなることで、第2始動口32の入賞率が高くなる。
【0046】
例示する遊技機3では、大入賞口360や第2始動口32が盤面330の右側にあることから、時短中や大当り中では盤面330の右側を狙って玉を打出す、所謂右打ちが行われる。なお、以上のような遊技機3の仕様は、特定の機種の例示であり、別の機種であればラウンドの振分が異なる等、仕様が様々であり遊技性も異なってくる。
【0047】
(遊技装置)
遊技装置2(図1及び図2)は、遊技機3単位で対応して設けられている。遊技装置2は、遊技に必要なポイント(対価付与価値)を付与する付与処理や、遊技機3にて記憶されている遊技玉ポイントを計数して持玉に移行させる計数処理等を実行する装置である。
【0048】
図2のごとく、遊技装置2の前面パネル25には、状態表示部21、貨幣投入口22、タッチパネル23、遊技ボタン24、カード挿入口26等が設けられている。
状態表示部21は、装置エラーや一般カード(遊技カードの一種、図2)のストック切れ等の作動状態を表示する表示部である。
貨幣投入口22は、ポイントの対価となる貨幣を投入する挿入口である。
タッチパネル23は、遊技者が指先等で表示画面に触れて操作するタッチ操作が可能な表示装置である。タッチパネル23は、持玉や残高等を表示するほか、遊技者の設定操作を受け付ける各種の画面を表示する。第2獲得価値の一例である持玉は、遊技者が獲得し、遊技装置2にて記憶されている遊技価値である。残高は、遊技者によって投入された貨幣価値のうちの残りである。
【0049】
遊技ボタン24は、遊技者が獲得した遊技価値である持玉を元にして遊技に必要なポイントの付与を受けるための操作ボタンである。付与されたポイントは、遊技機3にて記憶されている遊技玉ポイントに加算される。
カード挿入口26は、第2獲得価値である持玉や残高等が対応付けられた遊技カード53の挿入あるいは発行のための挿入口である。
【0050】
カード挿入口26には、会員カードや一般カード等の遊技カード53(図2参照。)を挿入可能である。会員カードは、会員登録した遊技者に発行される遊技カードである。一般カードは、遊技終了時に残高あるいは持玉が残っている場合に発行される遊技カードである。
【0051】
遊技カード53は、遊技により遊技者が獲得した遊技価値である持玉等を対応付け可能な記憶媒体である。会員カードであるか一般カードであるかによらず、遊技カード53には、識別情報であるカードIDのほか、当日の遊技により獲得された遊技価値である持玉や、当日入金した貨幣価値のうちの残金である残高等のデータが記録される。
【0052】
なお、会員カードは、前日以前の遊技により獲得した持玉を貯玉として遊技場側に預け入れて、後日の引出しを可能にする、といったような会員向けの貯玉サービスに対応している。この貯玉については、改ざん等の不正を未然に回避するため、遊技カード53には記録されない。貯玉は、カードIDを対応付けて専ら管理装置10で記憶、管理される。なお、貯玉とは、玉だけでなくメダルやポイントのような遊技価値も対象とする広義の遊技場に預け入れた遊技価値を示している。以下、例えば持玉のような「玉」を含む他の表現も同様である。
【0053】
持玉、残高など、遊技カード53の記録情報は、遊技カード53の不正利用の防止等を目的として管理装置10側で管理されている。遊技装置2やPOS端末55や残高精算機(図示略)など、遊技カード53を取り扱う場内装置は、遊技カード53を受け付けるとカードIDを読み出して管理装置10に照会を要求し、記録情報の正否を確認する。また、これらの場内装置は、遊技カード53の記録情報を書き換えて更新する際、新たな記録情報を管理装置10に送信する。管理装置10は、遊技カード53の識別情報であるカードID単位で、遊技カード53に対応付けられた持玉や残高等を記憶し管理している。なお、持玉や残高等の情報を遊技カード53に記録せず、専ら管理装置10で管理することも良い。また、会員カードと、当日限りの一般カードとで、記録する情報を異ならせることも良い。
【0054】
遊技装置2は、図示しないCPUを含む制御回路を中心として電気的に構成されている。制御回路は、図示しないROMから読み出したプログラムをCPUに実行させることにより、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)情報取得手段:遊技機3での遊技状況を示す遊技情報等を取得する手段。
(2)価値記憶手段:遊技を通じて獲得された遊技価値であって、遊技機3で記憶される遊技玉ポイント(第1獲得価値)とは区分される持玉(第2獲得価値)、及び遊技者によって投入された貨幣価値のうちの残りである残高を示す情報を記憶する手段。
(3)遊技価値提供手段:遊技者の持玉または残高を対価として提供対象となるポイントにより、遊技機3で記憶される遊技玉ポイント(第1獲得価値)を更新させることで対価付与価値の一例であるポイントを提供する手段。
(4)情報送信手段:情報取得手段が取得した遊技情報、及び対価付与価値としてのポイントを対応する遊技機3に提供した旨を示す対価付与情報、等を中継装置54に送信する手段。
(5)計数手段:遊技者による所定の計数操作に応じて計数対象となる遊技玉ポイント(遊技機3で記憶される第1獲得価値)の全部又は一部である計数玉(計数価値)により、持玉(第2獲得価値)を更新する手段。
(6)交替特定手段:遊技者の交替である客交替を特定する手段。
【0055】
ここで、遊技機3及び遊技装置2が、遊技者の所有価値を取り扱う際の基本動作について説明する。遊技場では、例えば、遊技装置2に紙幣や硬貨などの貨幣価値を投入等することで、対応する遊技機3での遊技を開始できる。遊技装置2が貨幣を受付する(貨幣受付処理)と、遊技機3と遊技装置2との双方において、入金額が残高に加算されて表示される。残高がある状態で遊技機3の貸玉ボタン352を押下(貸出操作、付与操作)すると貸出1単位(例えば125玉)分が貸出玉のポイント(対価付与価値)に変換され(貸出処理、対価付与処理)、対価分が残高から引落とされる。なお、遊技装置2は、複数回の対価付与処理の対応分の貨幣を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0056】
遊技機3は、上記の通り、いわゆる封入式の遊技機であり、盤面330に打ち出された玉が循環し、入賞した場合であっても玉が払出されない。この遊技機3では、遊技玉ポイントが記憶、管理されている。この遊技玉ポイントは、盤面330への玉の打出し(使用)に応じて減算される。入賞が発生すると、入賞付与価値の一例であるポイントが遊技玉ポイントに加算される(入賞付与処理)。
【0057】
遊技装置2は持玉を管理しており、持玉は直接的には遊技に使用できないが、遊技ボタン24の押下に応じて貸出1単位分の持玉をポイントに変換できる。変換玉としての貸出玉のポイント(対価付与価値)は、遊技機3にて記憶されている遊技玉ポイントに加算される(対価付与処理)。この場合、持玉から遊技玉ポイントへの変換率を別途設けても良いが、本例では1:1の等価変換としている。なお、この等価変換については、下記の計数処理についても同様である。
【0058】
遊技の進行に応じて遊技機3の遊技玉ポイントが増加した場合、遊技機3の計数ボタン357の押下に応じて遊技玉ポイントを計数玉(計数価値)に変換でき、遊技装置2にて記憶されている第2獲得価値の一例である持玉を加算更新できる(計数処理)。この場合、1回押下(計数ボタン357)に応じて1ポイントが変換対象となるが、計数ボタン357の押下状態を継続させると連続的、且つ加速的に複数玉を計数玉に変換できる。遊技装置2にて残高や持玉が残存する状態で遊技機3の返却ボタン353を押下する等の発行操作が行われると、遊技装置2は、ストックしている持玉券としての一般カードに残高や持玉を対応付けて発行する(発行処理)。なお、持玉の一部や残高のみを発行対象とする分割発行を可能とすることも良い。
【0059】
この発行処理については、遊技機3における遊技玉ポイントに応じた発行条件が設けられている。本例では、遊技玉ポイントが所定数(ゼロ)以下となることで発行条件が成立し遊技カード53の発行処理が可能となる。よって、遊技機3との所定間隔(例えば300m秒)の通信により、遊技への使用や計数処理等により遊技玉ポイントがゼロになるとその旨が遊技装置2に通知され、発行条件が成立すると発行処理が許可される。上記した通り遊技機3から遊技玉ポイントを特定可能なデータ信号を受信することで遊技玉ポイントの数量を更新して発行条件が成立した旨を特定すれば良いが、遊技玉ポイントがゼロになった旨を示す信号を別途受信するような他の特定方法を採用しても良い。
【0060】
発行された一般カード(持玉券)により特定可能な持玉は、POS端末55にて景品との交換が許容され、残高は残高精算機(図示略)にて貨幣に精算可能である。なお、遊技装置2が受付ける貨幣を含め、貨幣価値としては現金を例示できるが、例えば電子マネーやクレジット決済といったように現金以外の貨幣価値を受付対象や精算対象としても良い。また、持玉や残高を一般カードに対応付けて発行処理を行うことを例示したが、例えば会員カードや遊技者の携帯電話等の他の記憶媒体に対応付けた発行処理を行っても勿論よい。
【0061】
遊技装置2は、中継装置54とのシリアル通信により、貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉、貸出玉数、変換玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、及び持玉券の受付や発行処理、等の各種情報を管理装置10にて特定可能とする。これに代えて、これら各種情報をパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としても良い。なお、遊技機3との通信は中継装置54を介して通信しても良い。
【0062】
遊技機3⇔遊技装置2でやり取りされる信号あるいは情報としては以下のものがある。
(1)状態確認要求信号:状態確認応答(台データ)の要求信号。遊技装置2が300m秒毎に遊技機3に送信する。
(2)台データ:状態確認要求信号に応じて遊技機3が遊技装置2に返信する状態確認応答。なお、台データの内訳は後述の通りである。
(3)カード挿入通知:遊技カード53を受け付けた旨の遊技装置2による通知。
(4)カード挿入応答:カード挿入通知に対する遊技機3の応答。
(5)返却要求信号:遊技カード53の返却を求めて遊技機3が送信する信号。返却ボタン353の操作に応じて遊技機3が送信する。
(6)計数要求信号:遊技機3が備える計数ボタン357が操作されたときに遊技機3が送信する信号。計数要求信号は、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントのうちの1P分の計数を要求する信号である。
【0063】
台データは、例えば下記のデータ項目を特定可能な電文のようなデータ信号(遊技情報の一例)である。台データは、状態確認要求信号に応じて、所定期間(300ミリ秒)単位で遊技装置2に送信される。台データでは、前回送信時からの差分が送信対象となる。遊技装置2は、遊技機2の遊技情報を特定可能な台データを受信すると、その遊技情報をデータ化すると共に、台データを含むデータ通知を、中継装置54経由で管理装置10へ送信する。また、遊技装置2は、貸出処理のような対応処理を行った場合には貸出玉を示す情報を管理装置10へ送信する。
【0064】
台データによれば、例えば、以下のデータ項目を特定可能である。
(1)アウト:遊技進行中に消費された遊技価値である消費価値の一例である。前回データ送信時からの消費(使用、打込)価値であるアウトが1玉(ポイント)単位で示される。
(2)セーフ:遊技の進行に応じて遊技者に付与された入賞付与価値の一例である。前回データ送信時からの入賞に応じて付与された入賞付与価値であるセーフが1玉単位で示される。
(3)S入賞(回数):前回データ送信時からの始動入賞(S入賞)を1回単位で示す遊技データ。
(4)スタート(回数):前回データ送信時からのS入賞により作動(変動)する役物(液晶表示部)のスタート(図柄変動数、役物作動数、単位遊技数)を示す遊技データ。確定した時点で計数されるが、開始した時点で計数しても良い。
(5)作動中(状態):データ送信時に図柄変動中等の役物が作動中であればon、非作動中ならoffとなるフラグデータ。作動中(状態)が、onとなってからoffとなるまでの期間を役物作動中として特定できる。
(6)大当り(回数):前回データ送信時から発生した大当り数を1回単位で示す遊技データ。発生した時点で計数されるが、終了した時点で計数しても良い。
(7)大当り(状態):データ送信時に大当り中であればon、大当り中でなければoffとなるフラグデータ。大当たり(状態)が、onとなってからoffとなるまでの期間を大当り中として特定できる。
(8)甘中(状態):データ送信時に、特別状態中(甘中)あるいは大当り中であればon、それ以外であればoffとなるフラグデータ。甘中(状態)が、onとなってからoffとなるまでの期間を、甘中あるいは大当り中として特定できる。例えば甘中(状態)がonの場合、大当り(状態)がonであれば大当り中、offなら甘中と特定できる。また、甘中は上記した時短や確変といった特別状態が対応する。大当り中には必ずしもonにならなくても良い。なお、大当り(状態)と甘中(状態)のいずれもoffであれば通常状態と特定する。大当りあるいは甘中である状態を特賞中とする。
(9)遊技玉:遊技機3にて記憶されている遊技玉ポイントを1玉単位で示す遊技データ。前回の送信時からの差分ではなく現在値をそのまま送信対象とする。
【0065】
なお、前回送信時からの差分を送信対象とする台データ(データ信号)に代えて、例えば開店時のような初期化条件成立時からの累計値を送信対象としても良い。なお、遊技玉のように増減する可能性がある遊技情報は差分ではなく現在値をそのまま送信対象とするが、差分としてもよく、差分とするか累計値とするかはいずれでも良い。上記は本例に関係する情報のみを例示しているが、他に要求情報や不正情報等も出力対象となる。
【0066】
(管理装置)
管理装置10(図1)は、各種の演算処理を実行する処理ユニットを含むコンピュータ装置である。管理装置10は、ディスプレイやプリンタなどの出力デバイスを含めて構成されている。管理装置10は、場内ネットワーク500に通信可能に接続されている。管理装置10は、場内ネットワーク500経由で遊技装置2が300m秒単位で送信してくるデータ通知を受信する。管理装置10は、上記の台データを含むデータ通知に基づいて遊技機3単位の遊技データを生成する。
【0067】
管理装置10は、所定の動作プログラムを処理ユニットが実行することで、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)受信手段:データ通信用の回線である場内ネットワーク500に接続された中継装置54を介して遊技情報送信手段としての遊技装置2と接続され、中継装置54を経由して遊技装置2からデータ通知を受信する手段。
(2)遊技データ生成手段:受信手段によって受信されたデータ通知に含まれる台データ(遊技情報)に演算処理を施して遊技機3の遊技に関する遊技データを生成する手段。
(3)価値記憶手段:遊技玉ポイント(第1獲得価値の一例。)とは区分される遊技価値である持玉(第2獲得価値の一例。)を示す情報を、遊技機単位で記憶する手段。
(4)誤差監視手段:アウト(消費価値)、貸出玉のポイント(対価付与価値)、セーフ(入賞付与価値)、及び遊技玉ポイント(第1獲得価値の一例)を利用し、遊技価値を示す理論上の値と実際の値との誤差に関する異常を判定する判定処理(異常判定処理という。)を実行する手段。特に、本例の誤差監視手段は、貸出玉のポイントが更新された場合に異常判定処理の実行を抑制するための抑制処理を実行する一方、遊技機3から遊技情報(データ通知)を取得した場合には、抑制処理を実行することなく異常判定処理を実行するように構成されている。なお、対価付与価値の一例をなす貸出玉のポイントには、残高を対価とした売上玉、持玉を対価とした持玉付与、貯玉を対価とした再プレイ玉が含まれる。
【0068】
(遊技場用システムの動作内容)
次に、遊技機単位で遊技データを管理する本例の遊技場用システム1の動作内容について説明する。遊技場用システム1では、遊技機3における遊技状況を示す遊技情報が、遊技機3→遊技装置2→中継装置54→管理装置10の経路にて管理装置10に送られて管理される。
【0069】
図3は、遊技機3が出力した遊技情報(台データ)に基づき、管理装置10が遊技機3単位で集計したデータ一覧を示している。同図は、遊技機3の台番単位で計数誤差監視を行うために管理される遊技情報の例示である。同図における各データ項目は以下の通りである。
【0070】
(1)アウト:遊技進行中に消費されたポイント(消費価値の一例)。
(2)セーフ:遊技の進行に応じて遊技者に付与されたポイント(入賞付与価値の一例)。
(3)売上玉:遊技装置2が記憶している残高を対価として対価付与価値に変換されて遊技玉ポイントに加算されたポイント(対価付与価値の一例)。
(4)再プレイ玉:前日貯玉を対価として変換されて遊技玉ポイントに加算されたポイント(対価付与価値の一例)。
(5)持玉付与:持玉を対価として変換されて遊技玉ポイントに加算されたポイント(対価付与価値の一例)。
(6)計数玉:計数処理により持玉に変換された遊技玉ポイント。
(7)遊技玉:遊技機3にて記憶されている遊技玉ポイント。
(8)累計誤差:いわゆる計数誤差であり、(セーフ+売上玉+再プレイ玉+持玉付与)-(アウト+計数玉+遊技玉)を示し、異常がなければほぼ0になる演算値。また、±100玉の基準値が設けられ、例えば100玉に達している場合や、-100玉に達していない場合といったように、その基準値と比較し、異常である場合には異常検出の対象となる演算値である。なお、図3では、プラス側の異常検出は斜線ハッチング、マイナス側の異常検出はドットハッチングにて区別可能に示している。
(9)確認:従業員など遊技場側が確認済みの異常検出の回数。
【0071】
図3の例では、1、3、5番台では誤差はなく正常であることを確認出来る。また、例えば2番台では誤差が大きくマイナスとなっていることから従来の払出式と同様に異常検出が可能である。
さらに、4番台では誤差が200玉となって100玉に達していることから異常検出される。従来の払出式の遊技機の場合、遊技玉(遊技玉ポイント)が演算対象に含まれていなかったため、遊技機の上皿等に貯留された未計数分の玉数を考慮して基準値を例えば±500玉とする必要がある。払出式の遊技機の場合、4番台のように誤差が200玉となっても上皿に玉数が残存している場合がほとんどなので、異常検出することが難しかった。一方、封入式の遊技機3の場合、遊技玉を演算対象とすることで未計数分の遊技ポイントを考慮する必要がなくなり、上記の通り、±100玉のような厳しい基準値を設定可能となる。これにより、4番台のように200玉の誤差であっても異常検出することが可能となり、この場合、遊技機3のセンサやデータの異常、或いは盤面に多くの玉が滞っている状態を想定し、従来の払出式よりも早めの対応が可能となる。
【0072】
また、6番台では誤差が-300玉となって-100玉に達していないことから異常検出される。ここで、払出式の遊技機の場合、上記と同様、未計数の玉数分を考慮して基準値を例えば±500玉というように緩く設定する必要がある。例えば上皿等に未計数の玉が300玉あるとき、基準値-500玉に達しないようになるには-800玉分の誤差が生じなければならず、-800玉分の誤差が生じないかぎり異常検出できなかった。一方、封入式の遊技機3に対応する図3の場合、未計数の玉数を考慮する必要がなく、基準値も-100玉と辛めに設定されているので、-100玉となった時点で異常検出が可能となり、例えば不正行為の開始直後など早めの対応が可能となる。
【0073】
計数誤差監視による異常判定処理(異常を判定する判定処理)は、例えば閉店時や管理者の操作が行われた際に行うことも想定できるが、4番台や6番台のような早めの対応を考慮すると、リアルタイム(例えば遊技機3から遊技情報が出力される毎)に行うことや、演算対象となるいずれかの遊技情報が更新された際や、発行処理が行われた場合や、所定時間単位(例えば10分毎)で行うことが望ましい。
【0074】
また、本例では管理装置10が、管理対象となる全ての遊技機3を対象として異常判定処理を実行する構成を例示しているが、例えば中継装置54が自身の管理対象分の遊技機3を対象として異常判定処理を実行したり、遊技装置2にて対応する遊技機3の異常判定処理を実行するといったように、いずれの装置にて異常判定処理を実行しても良い。
【0075】
なお、図3では累計値を示しているが、遊技者の交代を検知し、遊技者単位で異常判定処理を実行することも良い。更に計数誤差としては、理論持玉(セーフ+売上玉+再プレイ玉+持玉付与-アウト)と、実持玉(計数玉-遊技玉)と、を特定した上で(理論持玉-実持玉)と、基準値と、を比較する構成も想定できるが、いずれにしても上記の演算式により示される判定となる。なお、理論持玉は、遊技を通じて獲得された遊技価値を示す理論上の値の一例である。実持玉は、遊技を通じて獲得された遊技価値を示す実際の値の一例である。
【0076】
ここで、本願発明が解決するべき課題を、図4に例示するデータ送信タイムチャートを参照して説明する。同図は、遊技機3や遊技装置2から管理装置10に送信される情報の送信状況を示すタイムチャートである。なお、例えばスタートや大当り数等も送信対象に含まれるが、図4では、適宜省略している。
【0077】
遊技機3の遊技状況を表す情報は、遊技機3から遊技装置2や中継装置54を介して管理装置10に送信される。遊技機3は、所定期間(例えば300ミリ秒)周期で遊技情報を送信する。以下、所定期間周期で送信される情報を以下では周期情報とする。周期情報のうち、アウトやセーフは差分が送信対象となる一方、遊技玉(遊技玉ポイント)は、現在値(現在の累計値)がそのまま送信対象となる。遊技機3が出力する周期情報は、一旦、遊技装置2に入力される。
【0078】
遊技装置2は、貸出処理や再プレイ等(以下、対応処理という。)による貸出玉のポイント(対価付与価値)の情報を、対応処理の実行を条件として送信する。一方、遊技機2から受信した遊技情報には、遊技玉と、別途管理する持玉と、の合計である保有玉を管理したり、遊技機3と遊技装置2とで管理する双方の遊技玉を照合したり、という遊技装置2での利用に関する処理である利用処理や、通信負荷、等を考慮して送信する必要がある情報が含まれている。
【0079】
遊技装置2は、遊技機3から受信した遊技情報のうち、遊技玉以外のアウトやセーフ等については、受信に応じて随時、送信するが、遊技玉については、遊技装置2における処理負担を考慮してアウトやセーフ等とは異なり受信に応じて随時、送信しない。遊技装置2は、(1)前回送信時から、遊技玉、計数玉、持玉が所定数(例えば60玉)以上変化した場合、(2)前回送信時から所定期間(例えば5秒)経過した場合、のいずれかという送信条件が成立したとき、遊技玉を送信する。
【0080】
図4のごとく遊技機3は所定期間周期にて周期情報を送信するため、丸囲み数字1の送信時点にてアウトや遊技玉等が遊技装置2へ送信された場合、丸囲み数字2及び3のようにアウトやセーフ等が送信されるが、この時点では、遊技玉は、上記送信条件が成立しない限り更新されない。
【0081】
例えば、図示しない前回の遊技玉の送信時(遊技玉30玉とする。)からマイナス20玉の更新が実際にはあったとすると、その未更新分が計数誤差として演算される。しかしながら、異常判定処理の基準値(±100玉)の範囲内であるため、異常検出はされない。
【0082】
このような状況で遊技装置2にて対応処理が行われた場合、遊技装置2から対応分の売上玉や再プレイ玉等の貸出玉(対価付与価値)を示す情報が、丸囲み数字4のように遊技機3へ送信されると共に、丸囲み数字5及び6のように中継装置54を介して管理装置10にも送信される。
【0083】
遊技機3の周期情報は、前回の丸囲み数字1の送信時点から所定期間が経過した丸囲み数字7の時点で送信され、上記と同様に遊技玉以外は、丸囲み数字8及び9のように送信される。遊技玉も送信条件が満たされた(60玉の更新)ことで送信対象となるが、遊技装置2による上記の利用処理の処理時間に起因し、丸囲み数字10及び11の通り、丸囲み数字8あるいは9よりも少し遅れたタイミングで送信される。
【0084】
つまり、丸囲み数字11での遊技玉の更新前の丸囲み数字6あるいは9の時点では、遊技玉の未更新分が丸囲み数字3の時点と同様に計数誤差の対象となるが、丸囲み数字3の時点とは異なり、貸出玉分が未更新分に含まれ、そのため、異常判定処理の基準値の範囲を逸脱するおそれがある。しかしながら、この計数誤差は、丸囲み数字11のように遊技玉が前回の30玉から134玉に更新される遊技玉の更新により解消され、ゼロになり得ることから、本来、異常検出されるべきではない。
【0085】
このように、遊技機3からは所定周期で周期情報が送信される一方、遊技装置2にて前記対応処理が行われたとき、周期情報により遊技玉が更新されるまでのタイムラグにより、意図しない計数誤差が生じる可能性がある。例えば管理装置10における情報更新に応じてリアルタイムに検知処理を行うと、遊技機3からの周期情報の送信間における遊技装置2からの情報送信により生じる上記の計数誤差により、異常判定処理の基準値の範囲を逸脱して異常検出が発生するおそれがある。このような誤検出の回避が、本願発明が解決するべき課題となっている。
【0086】
本願発明の技術的特徴のひとつは、遊技装置2での処理に基づく遊技情報の更新に応じた異常検出を抑制する一方、遊技機3での処理に基づき遊技情報が更新された場合には、そのような抑制を行うことなく異常検出する、という点にある。具体的には、図5のデータ送信タイムチャートに例示する通り、遊技装置2での処理に基づく情報更新に応じた異常判定処理を、情報更新後、例えば5秒などの所定期間に亘る抑制期間の間、実行しない点にある。なお、同図も、図4と同様、図示しない前回の遊技玉送信時の遊技玉ポイント数が30玉であった場合の例示である。
【0087】
この場合、遊技機3での処理に基づき情報更新されても抑制期間中では、異常判定処理が実行されない。つまり、丸囲み数字6のような対応処理(貸出処理や再プレイなど)時だけでなく、対応処理に応じた更新が遅れる場合を考慮し、丸囲み数字9のような遊技機3での処理に基づき遊技情報が更新された場合でも抑制期間中は異常判定処理を実行しないようにしている。ここで、抑制期間となる所定期間は、遊技玉の送信条件に関する期間に対応する期間が望ましい。例えば、例示した5秒のように、遊技玉の送信条件に関する期間と比較して、同じ期間あるいは長い期間を、上記の遊技玉の送信条件に関する期間に対応する期間として設定することが望ましい。
【0088】
次に、上記の抑制期間について補足説明する。遊技装置2では、通常の貸出単位(例えば125玉)よりも少量の貸出(例えば50玉)が行われることがあり、対応処理を行っても遊技玉の送信条件(60玉の変化)を満たさない場合がある。つまり、送信条件が遊技玉の更新ではなく期間経過により成立するまで、理論上、計数誤差が、貸出分の誤差が生じた状態のままになる。そこで、本例の構成では、送信条件に関する期間に対応する期間を抑制期間として異常判定処理を抑制し、このように生じた誤差により不適切な異常検出が発生するおそれを低減している。
【0089】
上記抑制期間中に周期情報により遊技玉を更新した場合も抑制対象とする理由を補足説明する。図5中の丸囲み数字7のように前記対応処理後に貸出玉を反映した遊技玉が必ず送信されれば問題ないが、例えば対応処理と同時期に入違いで周期情報が送信され、貸出玉の反映前に周期情報が送信される一方、対応処理後に周期情報を受信する場合が起こり得る。この場合、貸出玉分の遊技玉が未更新であることから誤検出が発生するおそれがある。そこで、本例の構成では、このような誤検出を低減させるために周期情報により遊技玉を更新した場合も抑制処理の対象としている。
【0090】
なお、図5中の丸囲み数字11のような対応処理に基づく情報更新により更新された遊技玉(以下、更新遊技玉という。)を、例えば更新済である旨を示すフラグを付けることにより特定可能とすれば、抑制期間中であっても当該情報更新に応じて異常判定処理を実行しても良い。同様に、例えば発行処理を行う場合、送信条件に関わらず更新遊技玉を特定すれば、当該発行処理に応じた異常判定処理を、抑制期間において実行しても良い。このように更新遊技玉分が更新されることを示す所定の除外条件が成立すれば抑制期間を終了、あるいは抑制期間中に異常判定処理を実行しても良い。
【0091】
なお、抑制処理は、例えば抑制期間の終了後に、遅延した異常判定処理を実行する処理であっても良い。即ち、抑制処理としては、異常判定処理を禁止する処理だけでなく、異常判定処理を遅延させるような他の処理であっても良い。遅延する場合、例えば遊技機3での処理に応じた場合と比較して遊技装置2での処理に応じた場合に遅延して異常検知すれば良い。また、上記のような貸出玉を反映しない周期情報が送信されることは稀であることから、前記対応処理に応じた異常判定処理を禁止するように抑制期間を設けず簡易的に抑制処理を行っても良い。
【0092】
本例では、管理装置10が異常判定処理を実行する構成を例示したが、中継装置54など、他の装置にて異常判定処理を実行する場合についても同様である。
また、遊技装置2にて異常判定処理を実行する構成も想定できるが、この場合、対応処理時に遊技機3からの遊技玉の情報が直ぐに送信されないため、抑制期間を遊技機3の情報送信間隔(例えば300ミリ秒)を考慮した同じ期間や長い期間とすることが望ましい。
【0093】
次に、大当り時の異常判定処理について、図6に例示するデータ送信タイムチャートを参照して説明する。
遊技機3による丸囲み数字1のような情報送信に応じて、遊技装置2及び中継装置54が、丸囲み数字2あるいは3のようにアウト、セーフを管理装置10に送信すると、前回送信時からの遊技玉の更新分が65玉に達する。これにより遊技玉の送信条件が満たされるので、丸囲み数字4及び5の通り、遊技装置2での前記利用処理後に、遊技玉が送信される。
【0094】
その後の周期情報として遊技機3から丸囲み数字6のように送信が行われると、遊技装置2及び中継装置54が、丸囲み数字7あるいは8のようにアウト、セーフを送信する一方、遊技玉の更新は前回送信時から29玉だけで遊技玉は送信条件を満たさず送信されない。この場合、計数誤差が異常判定処理の基準値の範囲内となるため、異常判定処理が実行されても異常検出はされない。
【0095】
一方で、遊技機3が丸囲み数字9の送信を実行し、遊技装置2及び中継装置54が丸囲み数字10あるいは11のようにアウト、セーフを送信する際には、丸囲み数字4及び5と同様に遊技玉の送信条件が成立するので、遊技装置2及び中継装置54は、丸囲み数字12あるいは13の通り遊技玉も送信する。このように遊技玉が送信されることで、計数誤差が解消される。大当り中では、このような処理が繰り返されるが、送信周期(上記300ミリ秒)と、遊技玉が所定数(上記60玉)以上変化という上記の送信条件と、を考慮すれば、送信条件を満たしてから前記利用処理後の遊技玉送信までの期間(例えば丸囲み数字1~丸囲み数字5までの期間)の方が、当該送信条件を満たす周期情報送信から次回以降の周期情報により遊技玉の送信条件(例えば60玉)分の誤差が基準値(上記100玉)を逸脱する程に更新するまでの期間(例えば丸囲み数字5~13までの期間でも逸脱しないので複数回分の送信周期)より、相当短くなる。そのため、計数誤差が基準値の範囲を逸脱するおそれは低く、前記対応処理の場合のような抑制処理を行う必要性が低い。
【0096】
次に、遊技装置2による計数時の異常判定処理について、図7に例示するデータ送信タイムチャートを参照して説明する。
丸囲み数字1の周期情報の送信時に遊技玉の送信条件が成立すれば、遊技装置2及び中継装置54は、丸囲み数字2あるいは3のアウト、セーフだけでなく、遊技装置2による前記利用処理後、丸囲み数字4及び5のように管理装置10へ遊技玉が送信される。
【0097】
遊技装置2による計数開始後、その計数処理中に次の周期情報として遊技機3が丸囲み数字6の送信を実行すると、丸囲み数字7及び8のようにアウト、セーフが送信される。一方、遊技玉や計数玉についても、計数に応じて送信条件を満たす程度更新されれば(計数玉も遊技玉と同様の送信条件が設けられる)、丸囲み数字9及び10のように送信されるが、この場合、計数玉はアウト、セーフと共に送信されず遊技玉と共に送信されるので、計数処理により誤差が生じるおそれが大きく低減される。
【0098】
そのまま計数が進み計数処理終了後の周期情報として丸囲み数字11の送信が実行されると、丸囲み数字12及び13のように遊技玉が計数玉と共に更新された上で送信されるので、計数誤差が生じ難い。
このように遊技玉が大きく変動する計数処理を行う場合は、送信条件に応じて計数玉を遊技玉と共に送信するので、計数処理に応じた計数誤差が生じるおそれが大きく低減している。
【0099】
ここで、本例では、図3を参照して説明した通り、持玉付与と計数玉とを演算対象、及び送信対象としている。これに代えて、あるいは加えて、例えば計数玉-持玉付与を示す変化分の持玉を遊技装置2にて特定して送信対象としても良い。さらに、演算対象についても、計数玉と持玉付与とに代えて変化分の持玉とするといったように、演算対象を適宜まとめても良い。
【0100】
以上のように、本例の遊技場用システム1は、いわゆる封入式の遊技機3について、精度の高い計数誤差監視(価値誤差監視)を実現するシステムである。この遊技場用システム1は、遊技の対価としてのアウト(消費価値)およびセーフ(入賞付与価値)により更新される遊技玉ポイント(第1獲得価値)を示す情報を遊技玉として記憶していると共に、アウト、セーフおよび遊技玉を特定可能な遊技情報を、時間的な間隔を空けて出力する遊技機3が設置された遊技場向けのシステムである。
【0101】
本例の遊技場用システムでは、第1獲得価値の一例である遊技玉ポイントとは区分される持玉(第2獲得価値)を示す情報が遊技機単位で記憶される。遊技玉ポイントは、対価付与価値の一例である貸出玉(売上玉、持玉付与、再プレイ玉)を提供することにより更新される。遊技玉ポイントは、計数処理により、その全部又は一部が持玉へ移行される。
【0102】
本例の遊技場用システム1は、アウト、貸出玉、セーフ、及び遊技玉ポイントを利用し、遊技価値を示す理論上の値と実際の値との誤差に関する異常を判定する判定処理を実行可能な誤差監視手段としての管理装置10を含んで構成されている。誤差監視手段としての管理装置10は、貸出玉が更新された場合に判定処理の実行を抑制するための抑制処理を実行する一方、遊技機3から遊技情報を取得した場合には、抑制処理を実行することなく判定処理を実行するように構成されている。
【0103】
本例の遊技場用システム1は、対価付与価値が更新された場合に判定処理の実行を抑制する一方、遊技機3から遊技情報を取得した場合には判定処理を抑制することなく実行する。つまり、このシステムは、計数誤差監視する場合に前記対応処理に応じた異常判定処理を抑制し、遊技機3からの周期情報に応じて遊技情報が更新された場合には、そのような抑制を行うことなく異常判定処理を実行するので、対応処理後に遊技玉の更新が行われるまでのタイムラグ中に不適切な異常検出が発生するおそれを低減できる。これにより、この遊技場用システム1では、計数誤差監視の検出精度が高く設定された場合であっても、遊技情報の取得タイミングのズレ等に起因する誤検出のおそれが少なくなっている。
【0104】
このように本例の遊技場用システム1は、所謂封入式の遊技機に対応した計数誤差監視の検出精度を向上させることで生じる不適切な異常検出を抑制可能な優れた特性のシステムとなっている。
【0105】
遊技場用システム1では、遊技価値提供手段としての遊技装置2が、遊技機3に個別に対応して設けられていると共に、提供する貸出玉(対価付与価値)を示す対価付与情報を、誤差監視手段としての管理装置10に向けて出力する。誤差監視手段としての管理装置10は、遊技価値提供手段としての遊技装置2から取得した対価付与情報によって示される貸出玉を利用して異常を判定する。
【0106】
管理装置10が異常の判定を実行すれば、遊技装置2が異常の判定を実行する場合と比べて、遊技装置2に処理負担が集中することを回避できる。なお、管理装置10に代えて、中継装置54が異常の判定を実行しても良く、この場合にも、遊技装置2の処理負担を軽減できるという同様の効果を実現できる。
【0107】
誤差監視手段としての管理装置10は、対価付与価値の一例である貸出玉が更新された時点を起点とした期間であって、判定処理の抑制対象となる抑制期間を設けることで上記の抑制処理を実行する。この抑制期間においては、遊技機3から遊技情報を取得した場合であっても判定処理を抑制する。
【0108】
判定処理が抑制対象となる抑制期間を設け、抑制期間中に遊技機3からの周期情報に応じて遊技情報が更新されても判定処理の実行を抑制すれば、誤検出のおそれを低減できる。例えば対応処理と同時期に入違いで周期情報が送信され、貸出玉の反映前に周期情報が送信される一方、対応処理後に周期情報を受信する場合に、貸出玉分の遊技玉が未更新であることから抑制処理を実行でき、誤検出するおそれを低減できる。
【0109】
遊技価値提供手段としての遊技装置2が、誤差監視手段としての管理装置10に向けて対価付与情報を出力する条件には、直前の対価付与情報の出力時点から所定期間が経過したこと、が含まれている。抑制期間は、所定期間と同じ期間あるいは所定期間よりも長い期間となっている。
【0110】
遊技装置2から管理装置10へ、対価付与価値の一例をなす貸出玉を示す対価付与情報を送信する条件として、前回の情報送信時から所定期間が経過することを含めれば、この所定期間に対応する期間を抑制期間にでき、無用な異常判定処理(異常を判定する判定処理)の実行を抑制可能になる。例えば遊技装置2にて通常の貸出単位よりも少量の貸出(例えば50玉)を行う場合、対応処理を行っても遊技玉の送信条件を満たさない場合がある。この場合、送信条件が遊技玉の更新ではなく期間経過により成立するまで、理論上、計数誤差が貸出玉分生じた状態になり、誤検出が発生するおそれがある。これに対して、対価付与情報を送信する条件として、前回の情報送信時から所定期間が経過することを含めれば、このような誤検出を未然に回避できる。
【0111】
本例の遊技場用システム1では、前記抑制期間であっても異常の判定を実行するための所定の除外条件が設定されている。誤差監視手段としての管理装置10は、所定の除外条件が成立した場合には、抑制期間において異常を判定する。
【0112】
本例では、遊技装置2による対応処理に基づく情報更新により更新された更新遊技玉分が、管理装置10において更新されることが除外条件として設定されている。そして、抑制期間中に、この除外条件が成立した場合には異常の判定が実行されるので、抑制期間中に対応処理分の遊技玉の更新があった場合に異常の判定が抑制されてしまうおそれを低減できる。例えば遊技カードの発行処理は、遊技玉の更新を確認した上で行なわれるが、遊技玉が更新されていれば抑制処理を行う必要性が低く、無用な抑制となるおそれがあるが、上記のような除外条件の設定により、このようなおそれを低減できる。
【0113】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組合わせて採用することも良い。
基準値として±100玉のように、プラスとマイナスとで同値を例示したが、実施例として示したように、通信上、プラス誤差は生じ易いがマイナス誤差は生じ難い。よって、マイナスよりもプラスの基準値を甘くする(大きな絶対値の基準値を設定する)といったように、基準値としてプラスとマイナスとで異なる値(絶対値)を採用しても良い。
【0114】
本例では、遊技機単位と遊技者単位との異常検出とで、同じ基準値を採用することを例示したが、両者を異なる基準値にて行っても良い。例えば遊技機単位の方が各値が大きくなるので、甘めの基準値とすることが望ましい。
【0115】
記録媒体としてはカードを想定できるが、コインや携帯メモリー、或いは紙等、どのような記録媒体を採用しても良い。また、遊技価値の対応付けとしては記録媒体に直接記録しても良いし、管理装置10にて記録媒体のIDと対応する遊技価値とを対応付ける等しても良く、記録媒体は対応する遊技価値を特定可能な情報が記録されていれば、どのような構成を採用しても良い。
【0116】
異常判定処理の基準値などの各設定値は、管理者が任意に操作入力により設定しても、予め管理装置の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)のサーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。なお、この場合もサーバにて操作入力により入力された設定値となる。また、過去の遊技情報に基づいて基準値等を設定しても勿論良い。
【0117】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定しても良い。また、遊技信号としてパルス信号やシリアル通信による電文情報等を例示したがどのような遊技信号を対象としても良い。
【0118】
数値、桁数、項目等はすべて例示であり、どのような数値を採用しても良い。また、識別出力についても例示した以外に記号を付ける等、どのような出力態様としても良く、出力としては印字、表示出力が少なくとも想定される。
【0119】
基準値の範囲として、最小値と最大値との双方を設定しても良いし、各範囲の最小値のみを設定し、最大値については次の範囲の最小値を参照して特定する等、最小値と最大値との一方のみを設定しても良い。また、以上と超過についてはどちらを採用しても良く、「達した」等の表現は、以上となった、あるいは超過した、のいずれにも対応する表現となる。以下と未満についても同様で、「達していない」等の表現は双方に対応する表現となる。
【0120】
対象となる遊技機としては例示したパチンコ遊技機以外のパチンコ遊技機や、スロットマシン等にも採用できる。なお、スロットマシンに適用した場合、基準値や送信条件等を例えば送信条件として、第1獲得価値に当たる遊技メダル15枚の更新といったように適宜変更することが望ましい。
【0121】
遊技状態の判定処理を管理装置10が行う構成を例示したが、遊技装置2や中継装置54等が行っても良く、例示した処理は遊技装置2、中継装置54、表示装置51、或いは管理装置10等どの装置で行っても良く、どのように構成しても良い。更に例示した構成は変形例も含めて、どのように組合わせても良いし、適宜、採用しない構成を設けても良い。
【0122】
本例では、遊技装置2から中継装置54を経由して管理装置10にデータ送信する構成を例示したが、遊技装置2から直接管理装置10にデータ送信する構成を本例に採用しても良い。
【0123】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0124】
1 遊技場用システム
10 管理装置(受信手段、遊技データ生成手段、価値記憶手段、誤差監視手段)
2 遊技装置(情報取得手段、価値記憶手段、遊技価値提供手段、情報送信手段、計数手段、交替特定手段)
3 パチンコ遊技機(遊技機、遊技価値記憶手段、遊技実行手段、遊技価値付与手段、遊技情報出力手段)
330 盤面(遊技領域)
357 計数ボタン
500 場内ネットワーク
51 表示装置
53 遊技カード(記憶媒体)
54 中継装置
55 POS端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7