(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130924
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ロボットハンドおよびピッキングロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
B25J15/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035515
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】尾坂 忠史
(72)【発明者】
【氏名】西垣戸 貴臣
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS12
3C707CS04
3C707FT08
3C707FT11
3C707KS07
3C707KS08
3C707KS09
3C707KT03
3C707KT06
3C707NS02
(57)【要約】
【課題】柔らかい袋物の物品および重量のある物品をともに把持可能なロボットハンド及びピッキングシステムを提供する。
【解決手段】本発明のロボットハンド1は、物品100を吸着把持する吸着部13A・13B、14と、吸着部13A・13B、14の動作を制御する吸着制御部57とを備え、前記吸着部13A・13B、14は、硬さの異なる2種類以上の吸着パッド13A・13B、14を有し、前記吸着制御部58は、物品100を把持した際の硬さの異なる吸着パッド13A・13B、14からの空気漏れ量に応じて、硬さの異なる吸着パッド13A・13B、14毎に、異なる吸着制御を適用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を吸着把持する吸着部と、前記吸着部の動作を制御する吸着制御部とを備え、
前記吸着部は、硬さの異なる2種類以上の吸着パッドを有し、
前記吸着制御部は、物品を把持した際の硬さの異なる前記吸着パッドからの空気漏れ量に応じて、硬さの異なる前記吸着パッド毎に、異なる吸着制御を適用する
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記吸着部は、流量または真空圧を検出する空気漏れ検出部を有し、
前記吸着制御部は、物品を把持した際の前記空気漏れ検出部の検出結果に応じて、硬さの異なる前記吸着パッド毎に、異なる吸着制御を適用する
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項3】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
物品を撮像する撮像装置を備え、
前記吸着制御部は、前記撮像装置による前記物品の撮像結果から、硬さの異なる前記吸着パッドで把持をした際の空気漏れ度合いを推定し、
推定した前記空気漏れ度合いに応じて、硬さの異なる前記吸着パッド毎に、異なる吸着制御を適用する
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項4】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記吸着制御部は、真空を発生させる真空発生器と、前記真空発生器と前記吸着パッドとの流路の開放と遮断を切替える複数の電磁弁とを有し、
前記電磁弁の切替によって、前記吸着パッド毎に異なる吸着制御を適用する
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項5】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
物品を把持する指部と、前記指部を駆動する指駆動部とを備え、
前記吸着部によって把持をする第一の把持方法と、
前記指部によって把持をする第二の把持方法と、
前記吸着部と前記指部との両方を用いる第三の把持方法のうち、少なくとも2つ以上を備え、
前記吸着制御部は、
前記物品に応じて、前記第一の把持方法と、前記第二の把持方法と、前記第三の把持方法とを切り替える
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項6】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記吸着部の位置をある方向に変更する吸着伸縮部を備えている
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項7】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記吸着部からの空気漏れを阻止する非常時停止装置を備えていることを特徴とするロボットハンド。
【請求項8】
物品を搬送する搬送ロボットを備え、
前記搬送ロボットの手先に、請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の前記ロボットハンドを備えている
ことを特徴とするピッキングロボットシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のピッキングロボットシステムにおいて、
前記物品を把持し、前記物品の位置または姿勢を異なる状態に再配置する第一のステップと、
前記吸着制御部は、前記第一のステップとは異なる前記吸着制御によって、把持、搬送する第二のステップとを備えている
ことを特徴とするピッキングロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンドおよびピッキングロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場、倉庫などで、上流の工程から搬入された物品を搬送ロボットにより保持して、所定の場所まで搬出するピッキングシステムが知られている。そこで、搬出ロボットには、物品を把持するロボットハンドが設けられている。
【0003】
物品の種類は多種多様であり、例えば2kg程度の重量物、柔軟な袋物の物品等の様々な物品を把持する必要がある。
袋物の物品を把持するロボットハンドに関する技術としては、例えば、特許文献1に記載がある。
【0004】
特許文献1には、物品から反射した光を分光して分光情報を取得する分光情報取得部と、認識部が取得する認識情報と、分光情報取得部が取得する分光情報とに基づいて物品把持機構を制御する制御部と、を具備する物品移送装置が記載されている。
そして、前記制御部は、前記分光情報取得部によって取得された前記分光情報、及び、分光情報記憶部に記憶されている前記分光情報に基づいて、前記物品の材質を決定する。
【0005】
そして、厚紙製の物品であれば、通常の吸着把持動作が行われ、ビニール製の物品であれば、吸着力や挟持力などの把持力を通常よりも弱め、物品のビニールを破かないように物品を把持することができる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ビニールのような、柔らかい物品に対して吸着力を弱めると、物品を落下させてしまう危険性が高まる。また、柔らかい表面材質の物品に対しては、変形に馴染みやすい柔らかい吸着パッドが有効であるが、柔らかい吸着パッドは可搬重量が小さく、重量物の搬送に適さない課題がある。
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、柔らかい袋物の物品および重量のある物品をともに把持可能なロボットハンド及びピッキングロボットシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明のロボットハンドは、物品を吸着把持する吸着部と、前記吸着部の動作を制御する吸着制御部とを備え、前記吸着部は、硬さの異なる2種類以上の吸着パッドを有し、前記吸着制御部は、物品を把持した際の硬さの異なる前記吸着パッドからの空気漏れ量に応じて、硬さの異なる前記吸着パッド毎に、異なる吸着制御を適用している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、柔らかい袋物の物品および重量のある物品をともに把持可能なロボットハンド及びピッキングロボットシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係るピッキングシステム全体の構成を表す正面図。
【
図2A】ロボットハンドで袋物を吸着した例を示す図。
【
図2B】ロボットハンドで非袋物を吸着した例を示す図。
【
図3B】実施形態1の重量物用吸着パッドの斜視図。
【
図4】重量物用吸着パッドで袋物物品を把持しようとしたときに起こる状況の一例の概略図。
【
図5A】重量物用吸着パッドによって、上面球状物品を把持した状態の概略図。
【
図5B】袋物用吸着パッドによって、上面球状物品の把持を試みる様子の概略図。
【
図6】実施形態1におけるロボットハンドの空気圧構成の概略図。
【
図7】把持制御を決定するための空気漏れ量を推定する流れの一例を示すフローチャート。
【
図8A】収納段ボールに収納された物品を取り出す様子の概略正面図。
【
図8B】収納段ボールに収納された物品を取り出す様子の概略正面図。
【
図8C】収納段ボールに収納された物品を取り出す様子の概略正面図。
【
図8D】収納段ボールに収納された物品を取り出す様子の概略正面図。
【
図8E】収納段ボールに収納された物品を取り出す様子の概略正面図。
【
図8F】収納段ボールに収納された物品を取り出す様子の概略正面図。
【
図8G】収納段ボールに収納された物品を取り出す様子の概略正面図。
【
図8H】収納段ボールに収納された物品を取り出す様子の概略正面図。
【
図10】実施形態2に係るロボットハンドの指部が閉じ、吸着伸縮部が縮んだ状態の正面図。
【
図11】実施形態2に係るロボットハンドの指部が開き、吸着駆動部が伸びた状態の正面図。
【
図12】ロボットハンドを用いてボトル物品を把持する様子の概略正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態のロボットハンド1およびピッキングシステム5について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0012】
<<実施形態1>>
図1に、本発明の実施形態1に係るピッキングシステム5全体の構成を表す正面図を示す。
【0013】
<ピッキングシステム5全体の構成>
実施形態1のピッキングシステム5は、搬送ロボット51と、搬送ロボット51に対して物品100を搬入する搬入コンベア52と、移動機構53と、搬出コンベア54と、撮像装置55とを、備えている。
搬送ロボット51は、収納段ダンボール200内の物品100を搬出コンテナ56内に移す。搬送ロボット51は、移動機構53により1軸方向(
図1の紙面左右方向)に移動可能に支持されている。
【0014】
搬送ロボット51は、例えば、6軸の関節を有する垂直多関節ロボットである。搬送ロボット51のアーム51aには、物品100を把持するロボットハンド1が設けられている。
搬入コンベア52は、複数の物品100を収納した収納段ダンボール200をピッキングシステム5の上流側の工程から所定の搬送ロボット51の可動域まで搬送する。搬入コンベア52は、収納段ダンボール200内の物品100を搬送ロボット51の近くに運ぶ。
【0015】
移動機構53は物品100を把持した搬送ロボット51を搬出コンテナ56まで運ぶ。移動機構53は、搬入コンベア52と搬出コンベア54の間に配置されている。そして、移動機構53の移動方向の一方側には、搬入コンベア52が配置され、移動機構53の移動方向の他方側には、搬出コンベア54が配置されている。
搬出コンベア54に設けた搬出コンテナ56には、搬送ロボット51およびロボットハンド1により搬出された物品100が収納される。
【0016】
搬出コンベア54は、物品100が入れられた搬出コンテナ56を所定箇所まで搬出する。つまり、搬出コンベア54は、物品100が収納された搬出コンテナ56をピッキングシステム50の下流側の工程の所定の位置まで搬送する。
撮像装置55は、例えば三次元カメラであり、搬送ロボット51がロボットハンド1を用いて物品100を把持する位置の上方に配置されている。撮像装置55は、収納段ダンボール200内の物品100を搬送ロボット51で運ぶためにどのような物品であるか撮影する。
【0017】
<ピッキングシステム5の動作>
上記構成のピッキングシステム5は、搬入コンベア52によって搬送された収納段ダンボール200の中の物品100を、搬送ロボット51を用いて搬出コンベア54上の搬出コンテナ56に搬送する。
ピッキングシステム5は、上述の搬送ロボット51、搬入コンベア52、移動機構53、撮像装置55を制御する制御装置57、および情報記憶装置58を備えている。
【0018】
情報記憶装置58は、制御装置57に接続されている。
情報記憶装置58には、取り扱う物品100の材質、形状、大きさ、模様や、収納段ダンボール200に載置されている姿勢等の物品100に関する情報が格納される。ただし、物品100の一部の情報、あるいは全ての情報が欠けていてもよい。また、物品100は、複数種類あってもよい。
撮像装置55は、搬入コンベア52から搬入された物品100を撮影する。そして、撮像装置55は、撮影した情報を制御装置57に出力する。制御装置57は、撮像装置55から取得した物品100の情報(物品100の模様や形状などの情報)に基づき、情報記憶装置58に格納された物品の大きさや種別等に関する情報と照合し、物品100の種別を特定する。
【0019】
物品100の種別が特定できた場合、制御装置57は、物品100の位置や姿勢、材質、把持をした際の空気漏れなどの情報を判別する。そして、制御装置57は、判別した物品100に関する情報に基づいて、搬送ロボット51及びロボットハンド1の動作を制御する。この制御装置57による動作制御は一例であり、詳細については後述する。
なお、ピッキングシステム5では、撮像装置55を、物品100を把持する位置の上方に設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、撮像装置55を搬送ロボット51やロボットハンド1に設けてもよく、あるいは物品100を把持する位置の側方等に配置してよい。あるいは、撮像装置55の位置が動的に変わる構成としてもよい。
【0020】
<ピッキングシステム5の様々な例>
収納段ダンボール200に収納された物品100は、すべて同一の物品であってもよいし、複数種類の物品が混載されていてもよい。また、収納段ボール200毎に、収納されている物品100が異なっていてもよい。
搬送ロボット51を移動機構53により移動させる例を説明したが、これに限定されるものではなく、搬送ロボット51自体に移動機構を設けてもよく、あるいは搬送ロボット51を固定してもよい。
【0021】
なお、ピッキングシステム5として、物品100を搬出コンテナ56に収納する例を説明したが、これに限定されるものではない。ピッキングシステム5としては、例えば、搬送ロボット51のロボットハンド1により把持された物品100を搬出コンベア54上に搬送したり、図示しない収納棚に収納したりしてもよく、その他各種のピッキングシステム5が適用されるものである。
また、搬送ロボット51として、6軸の関節を有する垂直多関節ロボットを適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。搬送ロボット51としては、水平方向の回転と、鉛直方向への移動を行う2軸のロボットを適用してもよく、その他各種のロボットが適用できるものである。
【0022】
<ロボットハンド1>
次に、ピッキングシステム1におけるロボットハンド1の構成について、説明する。
図2に、実施形態1に係るロボットハンド1およびピッキングシステム5の一部の概略構成図を示す。
図2Aに、ロボットハンド1で袋物物品2を吸着した例を示す。
図2Bは、ロボットハンド1で非袋物物品3を吸着した例を示す。
ロボットハンド1は、基部12と、基部12に接続された柔らかい袋物用吸着パッド13A、13Bと、硬い重量物用吸着パッド14とを備える。袋物用吸着パッド13A、13Bおよび重量物用吸着パッド14は、真空圧を用いて物品100を吸着し、把持する。物品100を把持した際の空気漏れに応じて二種類の吸着パッド13A、13B、14の制御方法を変更することで、様々な物品を安定的に搬送することができる。
【0023】
<袋物用吸着パッド13A>
図3Aに、実施形態1の袋物用吸着パッド13Aの斜視図を示す。
袋物用吸着パッド13Aは、例えばその直径13Acが30mmで、シリコン製である。なお、袋物用吸着パッド13Aの材質は、袋物を吸着するのに適した柔軟な性質等を有すればゴム、エラストマ等の他の材質でもよい。
袋物用吸着パッド13Aは、ベローズ部13A1と、物品100と接するリップ部13A2と、吸込ガード部13A3と、エア漏れを小さくするリップ突起部13A4とを備えている。
【0024】
ベローズ部13A1は、物品100を吸着する際に、真空圧により受動的に伸縮する。
吸込ガード部13A3は、物品100を吸着するに際してリップ部13A2の内部に袋物の物品100の侵入を防ぐ。吸込みガード部13A3のみ硬いプラスチック製である。
リップ突起部13A4は、物品100を吸着するに際してエア漏れを小さくする。
【0025】
図2Aに示す袋物用吸着パッド13Bは、袋物用吸着パッド13Aと同様の構成をもつ。
袋物用吸着パッド13Bは、ベローズ部13B1、リップ部13B2、吸込ガード部13B3、リップ突起部13B4を備える。このうち、吸込みガード部13B3のみ硬いプラスチック製である。
【0026】
図2Aに示す袋物用吸着パッド13A、重量物用吸着パッド14、袋物用吸着パッド13Bのそれぞれの間隔は、50mmである。物品100の置き具合により、当該間隔は任意に調整される。
【0027】
<重量物用吸着パッド14>
図3Bに、実施形態1の重量物用吸着パッド14の斜視図を示す。
重量物用吸着パッド14は、市販される一般的なベローズ型吸着パッドである。重量物用吸着パッド14は、袋物用吸着パッド13A、13Bとは適する把持対象物品が異なっている。例えば、
図2Bに示す非袋物物品3は、上面が平面で、変形せず、その重量が約2kgの重量物である。
【0028】
重量物用吸着パッド14は、袋物用吸着パッド13A、13Bが備えるような吸込ガード部13A3、13B3、リップ突起部13A4、13B4が存在しない。重量物用吸着パッド14は、ベローズ部141、リップ部142のみを備える。
例えば、リップ部142の直径14cは32mmであり、材料はNBR製で、袋物用吸着パッド13A、13Bと比較して、全体的に分厚く、硬くなっている。なお、全体が硬いのではなく、一部のみ硬い構成とすることもできる。例えば、伸縮するベローズ部141は袋物用吸着パッド13A、13Bと同じ硬さで、物品100と接するリップ部142のみが袋物用吸着パッド13A、13Bより硬い構成等にできる。
【0029】
リップ部142が硬いことから、多少の外力に対してもリップ部142と物品100との間に隙間が空かない。つまり、リップ部142は、物品100である非袋物物品3(
図2B)に隙間なく接触している。
そのため、リップ部142と物品100との間から空気が漏れることはなく、安定した把持が可能である。非袋物物品3は重量が重いため、重力や、搬送中の慣性によって重量物用吸着パッド14に変形する外力が加わるが、重量物用吸着パッド14はある程度硬いため、問題なく搬送することができる。
【0030】
<袋物物品2の把持>
図2Aに示す袋物物品2は表面が柔らかく、容易に変形する物品である。そのため、重量物用吸着パッド14で袋物物品2の吸着把持を試みると、袋物物品2が変形し、リップ部142と袋物物品2との間に隙間が空いてしまい、大きな空気漏れが発生する。そのため、重量物用吸着パッド14で袋物物品2を吸着把持することは困難である。
【0031】
図4に、重量物用吸着パッド14で袋物物品2を把持しようとしたときに起こる状況の一例の概略図を示す。
重量物用吸着パッド14で、袋物物品2を持ち上げようとすると、袋物物品2の上面が変形して山形となり、随所に皺2sが発生する。リップ部142は硬く、袋物物品2の変形や皺2sに完全に追従することが困難であり、重量物用吸着パッド14と袋物物品2との間から空気漏れが発生する。空気が漏れると、重量物用吸着パッド14内の真空圧が低下し、重量物用吸着パッド14による把持力は大幅に減少する。従って、袋物物品2の重量や、搬送ロボット51(
図1参照)による搬送時の慣性力で、袋物物品2が、重量物用吸着パッド14から落下してしまう危険性が高い。
【0032】
一方、重量物用吸着パッド14と比較して、
図2Aに示す袋物用吸着パッド13A、13Bは、袋物物品2を安定的に把持することができる。
図3Aに示す袋物用吸着パッド13Aは、リップ部13A2が柔らかいため、
図4に示すように袋物物品2の上面が山形になり、皺2sが発生したとしても、袋物物品2の変形に倣うようにリップ部13A2側も変形して密着することで、空気漏れが抑えられる。
ここで、リップ部13A2も変形することで袋物物品2との間に隙間が発生する。しかし、リップ部13A2にリップ突起部13A4があることで、リップ部13A2側に大きな1つの隙間が発生するのではなく、リップ突起部13A4のリップ部13A2内の分割(区分け)により変形が分割される。そのため、リップ部13A2と袋物物品2との間からの空気漏れが、内部空間が分割されることで抑えられ、袋物物品2を安定的な把持を継続できる。
【0033】
また、
図3Aに示す吸込ガード部13A3が無い場合、袋物用吸着パッド13Aの内部に袋物物品2が吸い込まれ、袋物物品2に深く大きな皺2sが発生して空気漏れが激しくなり、吸着できない。しかし、吸込ガード部13A3が、袋物用吸着パッド13Aの内部深くまでの吸込みを防止している。そのため、吸込ガード部13A3があることで、袋物物品2の皺2sの発生を抑制して袋物物品2の安定把持を行うことが可能である。
【0034】
<非袋物物品3の把持>
図3Aに示す袋物用吸着パッド13A、13Bは、硬く重量のある非袋物物品3(
図2B参照)の把持には、重量物用吸着パッド14と比較して不適である。
図3Bに示す重量物用吸着パッド14は、リップ部142が硬いため、非袋物物品3に密着し、リップ部142と非袋物物品3との間からの空気漏れが殆ど発生しない。一方、
図3Aに示す袋物用吸着パッド13A、13Bは、リップ部13A2、13B2が柔らかいため、硬く重量のある非袋物物品3を把持すると、リップ部13A2、13B2側に皺が発生し、リップ部13A2、13B2と非袋物物品3との間に隙間が空きやすい。すると、リップ部13A2、13B2と非袋物物品3との間で空気漏れを起こして真空圧が低下する。従って、リップ部13A2、13B2の可搬重量が重量物用吸着パッド14よりも劣ることなる。
【0035】
さらに、袋物用吸着パッド13Aの吸込ガード部13A3や、リップ突起部13A4の存在によって、把持が不可能な物品も存在する。
図5A、
図5Bに、上面4uが球状である上面球状物品4の把持の様子の概略図を示す。
図5Aに、重量物用吸着パッド14によって、上面球状物品4を把持した状態の概略図を示す
【0036】
例えば上面球状物品4は、例えば上面4uが球状の蓋のついた容器であり、蓋は硬くて変形しない。重量物用吸着パッド14のリップ部142は密着していないが、ベローズ部141の内側に上面球状物品4が入り込んで密着するため、上面球状物品4を安定的に把持することが可能である。
【0037】
図5Bに、袋物用吸着パッド13Aによって、上面球状物品4の把持を試みる様子の概略図を示す。
上面球状物品4の上面4uに、袋物用吸着パッド13Aの硬い吸込ガード部13A3が当たってしまうため、袋物用吸着パッド13Aと上面球状物品4の上面4uとの間に大きな隙間が空き、空気漏れが発生する。そのため、袋物用吸着パッド13Aでは、上面球状物品4を把持をすることができない。
【0038】
このように、重量物用吸着パッド14と袋物用吸着パッド13A、13Bとには、トレードオフが存在し、単体では把持可能な物品種類が限られる。この二種類の吸着部、即ち袋物用吸着パッド13A、13Bと重量物用吸着パッド14とを使い分けることで、重量物の非袋物物品3と袋物の袋物物品2との両方の把持が可能となっている。
【0039】
<袋物用吸着パッド13A、重量物用吸着パッド14、袋物用吸着パッド13Bの各間隔>
図2Aに示す袋物用吸着パッド13A、重量物用吸着パッド14、袋物用吸着パッド13Bの間隔は、50mmである例を説明したが、これに限定されるものではない。
袋物用吸着パッド13A、重量物用吸着パッド14、袋物用吸着パッド13Bの間隔は、例えば把持を行う物品のサイズによって決定する。
【0040】
間隔が狭い場合は、小さな物品100を扱いやすく、例えば本実施形態1の場合、上面が30mm×130mm以上の物品を全ての吸着パッド(13A、13B、14)で把持可能である。
一方、間隔が広い場合は、大きな物品100を扱いやすい。例えば間隔150mmとした場合、上面が30mm×330mm以上の物品を全ての吸着パッドで吸着可能であり、これより小さい物品100を把持する場合は、使用するパッド数を減らす必要がある。
【0041】
大きな物品100を扱う場合は、間隔が広いことでウデの長さが長くなり、モーメントに対して吸着パッド(13A、14、13B)が剥がれづらくなることから、安定的な把持が可能となる。
【0042】
図2A、
図2Bに示すように、重量物用吸着パッド14を真ん中に一つ、袋物用吸着パッド13A、13Bを端に配置する例を説明したが、これに限定されるものではない。この例は対称配置であるため、物品100のモーメントに対して把持が安定しており、制御も平易なことが可能な利点がある。
配置が異なる例としては、例えば、真ん中に袋物用吸着パッド13Aを配置し、片端に重量物用吸着パッド14、もう片端に袋物用吸着パッド13Bを配置することもできる。
【0043】
対称配置でなくなる一方で、より様々なバリエーションの把持制御を行うことができる。例えば片端のみを使用する際に、袋物用吸着パッド13Bか重量物用吸着パッド14か、の二通りの制御が可能である。
あるいは、配置が異なる他例として、4つの吸着パッドを四角形に配置し、対角に2つの重量物用吸着パッド14、もう一つの対角に袋物用吸着パッド13A、13Bを配置することもできる。これにより大きな物品、例えば畳まれて袋に収納された服などを、より安定的に把持することができる。
【0044】
図3Aに示すように、袋物用吸着パッド13A、13Bの特徴として、吸込ガード部13A3、13B3、リップ突起部13A4、13B4を備える例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、吸込ガード部13A3、13B3、リップ突起部13A4、13B4は無くてもよい。これにより、袋物物品2に対する性能は低下するが、上述の
図5Bに示す袋物用吸着パッド13A、13Bで上面球状物品4が把持できないデメリットが解消される。
【0045】
<ロボットハンド1の空気圧構成>
図6に、実施形態1におけるロボットハンド1の空気圧構成の概略図を示す。
図1に示す搬送ロボット51の根本51nには、真空発生器18が配置されている。
真空発生器18に続いて、電磁弁17A、17B、17Cが、搬送ロボット51の根本51nに配置されている。
【0046】
<真空発生器18>
真空発生器18の内部には、真空用電磁弁181と、ブロー用電磁弁182と、ノズル184とを備える。
真空用電磁弁181を作動させると、圧縮空気がノズル184に高速に流れ、出力ポート183に負圧を発生させる。
ブロー用電磁弁182を作動させると、出力ポート183に圧縮空気を吹き出す。
真空発生器18の出力ポート183からはエアチューブが三本に分岐し、電磁弁17A、17B、17Cの入力ポート17A1、17B1、17C1に接続されている。
【0047】
<電磁弁17A、17B、17C>
電磁弁17A、17B、17Cの出力ポート17A2、17B2、17C2は、それぞれ袋物用吸着パッド13A、13B、重量物用吸着パッド14に接続されている。
電磁弁17A、17B、17Cの排気ポート17A3、17B3、17C3には、非常時用電磁弁19が接続されている。非常時用電磁弁19は、2ポート電磁弁であり、通電時は大気開放し、非通電時には遮断する。
【0048】
電磁弁17A、17B、17Cはノーマリーオープンの3ポートソレノイドバルブである。
すなわち、電磁弁17A、17B、17Cは、非通電時には電磁弁17A、17B、17Cの入力ポート17A1、17B1、17C1(真空発生器18側)と、出力ポート17A2、17B2、17C2(吸着パッド側)を接続する。電磁弁17A、17B、17Cの通電時には、通電時には出力ポート17A2、17B2、17C2(吸着パッド側)と、排気ポート17A3、17B3、17C3を接続する。電磁弁17A、17B、17Cを設けることで、袋物用吸着パッド13A、13Bや重量物用吸着パッド14を何れを使用するか切り換えられる。
【0049】
<圧力センサ16A、16B、16C>
電磁弁17A、17B、17Cと袋物用吸着パッド13A、13B、重量物用吸着パッド14との間に、圧力センサ16A、16B、16Cが並列に接続されている。
圧力センサ16A、16B、16Cが真空圧を計測することで、吸着把持をした際の空気漏れを測定することができる。
なお、本実施形態では、圧力センサ16A、16B、16Cは各吸着パッド(13A、13B、14)の近くに置く例を説明したが、
図1に示す搬送ロボット51の根本51nに配置したり、
図6に示す真空発生器18の出力ポート183に一つだけ配置したりすることもできる。
【0050】
また、圧力センサ16A、16B、16Cで空気漏れを測定する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、圧力センサ16A、16B、16Cではなく流量センサ16a、16b、16c(
図6参照)を用いて、空気漏れを測定することもできる。
【0051】
つまり、電磁弁17A、17B、17Cと袋物用吸着パッド13A、13Bおよび重量物用吸着パッド14との間に流量センサ16a、16b、16cを配置して、流れる空気の流量を測ることで空気漏れ量を測定できる。
【0052】
圧力センサ16A、16B、16Cで空気漏れ量を測定したり、流量センサ16a、16b、16cで空気の流量を測定することで、袋物物品2または非袋物物品3であることを判別できる。
【0053】
<真空発生器18、電磁弁17A、17B、17C、非常時用電磁弁19の配置>
また、真空発生器18、電磁弁17A、17B、17C、非常時用電磁弁19を配置する場所は、搬送ロボット51の根本51nである例を説明したが、これに限定されるものではない。搬送ロボット51から離れた場所や、搬送ロボット51上に配置してもよい。これにより、吸着パッド(13A、13B、14)との距離が縮まり、吸引流量を高めることができる。
【0054】
<ロボットハンド1で物品を把持する際の動作手順>
次に、ロボットハンド1で物品を把持する際の動作手順例を説明する。
実施形態1では例えば、
図6に示すように、袋物用吸着パッド13A、13Bで、袋物物品2A、2Bを各1つずつ把持する例を説明する。
非常時用電磁弁19は、基本的に常に通電し、開放しておく。そして使用する袋物用吸着パッド13A、13Bに対応する電磁弁17A、17Bを非通電(袋物用吸着パッド13A、13Bと真空発生器18を接続)とし、使用しない重量物用吸着パッド14に対応する電磁弁17Cは通電(大気開放)する。
【0055】
真空発生器18を作動させると、袋物用吸着パッド13A、13Bは真空発生器18と接続されて負圧となり、物品100(
図1参照)を把持することができる。一方、通電した電磁弁17Cにより、重量物用吸着パッド14と真空発生器18の流路は遮断される。真空発生器18で発生した空気が重量物用吸着パッド14を介して大気へと漏れることはなく、袋物用吸着パッド13A、13Bで物品100を強力に把持することができる。
【0056】
把持した袋物物品2A、2Bを両方離したいときは、ブロー用電磁弁182を作動して真空発生器18から圧縮空気を吹き出す。どちらか一方のみを離したい場合、例えば袋物物品2Aのみを離したい場合、電磁弁17Aに通電する。すると、袋物用吸着パッド13Aの流路が電磁弁17A、非常時用電磁弁19を介して大気開放され、真空圧が低下することで、袋物物品2Bを袋物用吸着パッド13Bで把持したまま、袋物用吸着パッド13Aから袋物物品2Aを離すことができる。
【0057】
停電や非常停止などによって、ロボットハンド1へのすべての電気が遮断された場合も、ロボットハンド1は、物品をある程度の時間は保持し続けることができる。
電気が遮断され、電磁弁17A、17B、17C、および非常時用電磁弁19が非通電状態となると、袋物用吸着パッド13A、13B、重量物用吸着パッド14の出力ポート17A2、17B2、17C2は、非常時用電磁弁19へと接続される。一方、非常時用電磁弁19は、非通電となることで、流路を遮断する。よって、袋物用吸着パッド13A、13Bの真空状態が保持される。そのため、
図1に示す搬送ロボット51が高速に搬送中に突然電気が遮断されて停止した場合も、慣性で袋物物品2A、2Bを飛ばす(投げ出す)ことはなく、物品100を把持し続けることができる。
【0058】
吸着パッド(13A、13B、14)からの空気漏れが多少あるため、一定時間経過後には物品100は落下してしまうが、搬送ロボット51の停止の瞬間に離してしまう場合と比較すれば安全である。
【0059】
<ロボットハンド1の他例>
なお、真空発生器18を一つ、電磁弁17A、17B、17Cを複数個とする例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、それぞれの吸着パッド(13A、13B、14)に対して真空発生器を一つずつ接続することもできる。電磁弁が高価で、真空発生器が安価な場合は、この構成により、安価なピッキングシステム5(
図1参照)を構成することができる。
【0060】
しかし、電磁弁が安価で、真空発生器が高価である場合、本実施形態1のように真空発生器1つと電磁弁を複数個とした方が、安価なピッキングシステム5を構成することができる。
さらに、使用する吸着パッド(13A、13B、14)を限定するとき、複数の真空発生器を使用する例では、使用しない吸着パッドに対応する真空発生器は動作を停止することになる。一方、一つの真空発生器を用いる場合、真空発生器による吸込を、限定した吸着パッドに集中させることができる。従って、高い吸引流量を発揮し、空気漏れがある場合でも真空圧の減少を抑え、高い吸着力を発揮することができる。
【0061】
また、各吸着パッド(13A、13B、14)に対して1つの電磁弁17A、17B、17Cを用いる例を説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、袋物用吸着パッド13A、13Bに対して、一つの電磁弁を用いるなど、複数の吸着パッド(13A、13B、14)の流路を共用とすることもできる。これにより、電磁弁の数を減らし、安価なピッキングシステム5(
図1参照)を構成することができる。
【0062】
また、電磁弁17A、17B、17Cはオン/オフの電磁弁を用いる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、圧力や流量を制御する電磁弁を用いることもできる。これにより、吸着のオンオフのみならず、圧力や流量を連続的に制御可能である。これにより、吸着パッド(13A、13B、14)毎に吸着力を弱める制御をすることも可能である。
【0063】
<吸着パッド(13A、13B、14)での様々な種類の物品に対する把持可否>
袋物用吸着パッド13A、13B、重量物用吸着パッド14での様々な種類の物品に対する把持可否を例示したが、例示した把持可否は、物品100の重量と、吸着パッド(13A、13B、14)と物品100の間の空気漏れの程度とで決まる。例えば、
図2Aに示すような袋物物品2に対し重量物用吸着パッド14のみを使用して把持を試みた場合、空気漏れが激しく真空圧が低下する。そのため、重量物用吸着パッド14による吸着力が発揮できず、把持をすることができない。
【0064】
また、袋物用吸着パッド13A、13B、重量物用吸着パッド14の全ての吸着制御をオンにした場合も、重量物用吸着パッド14から空気漏れし、袋物用吸着パッド13A、13Bの真空圧も低下してしまうため、把持をすることができない。このとき、空気漏れの大きな重量物用吸着パッド14をオフにする制御を適用することで、把持が可能となる。このように、物品100を把持した際の空気漏れ量に応じて、袋物用吸着パッド13A、13B、重量物用吸着パッド14の制御を切り替えることが有用である。
【0065】
直接的に空気漏れ量を計測する方法としては、圧力センサ16A、16B、16Cを用いる方法がある。空気漏れがある場合には真空圧が低下するため、圧力センサ16A、16B、16Cによる真空圧の測定により空気漏れを推定することができる。吸着を試行し、各袋物用吸着パッド13A、13B、重量物用吸着パッド14の真空圧からの空気漏れの程度によって、袋物用吸着パッド13A、13B、重量物用吸着パッド14の制御を切り替えることで、適切な把持制御を行うことができる。
【0066】
例えば、袋物物品2に対して重量物用吸着パッド14のみで把持を試みた場合は、空気漏れが激しく、真空圧が正常時ほども上昇しないことが検出される。そこで、重量物用吸着パッド14をオフにする制御を行い、袋物用吸着パッド13A、13Bによって把持をし直すことで、把持が可能となる。
【0067】
また、把持を試行せずとも、予め制御装置57のプログラムに組んでおき、撮像装置55(
図1参照)で撮像した情報から、空気漏れ量をプログラムで推定して制御を切り替えることもできる。例えば、
図5Aに示す上面球状物体4を撮像装置55で撮像し、上面が球状であることから、袋物用吸着パッド13A、13Bで把持を行うと空気漏れ量が大きく、重量物用吸着パッド14では空気漏れ量が少ないことが推定可能である。空気漏れ量の推定結果に応じて、袋物用吸着パッド13A、13Bではなく、重量物用吸着パッド14を用いて把持制御を行うことで、上面球状物品4の把持が可能である。
【0068】
あるいは、撮像装置55で物品100の種別を特定し、情報記憶装置58に予め格納しておいた物品100の情報から、空気漏れ量を推定して制御を切り替えることもできる。例えば、情報記憶装置58に幾つかの物品100の模様、形状、大きさと、「袋物」、「上面球状物品」のようなカテゴリを予め登録しておく。
【0069】
そして、撮像装置55(
図1参照)により、物品100の模様、形状、大きさなどを撮像し、撮像情報を情報記憶装置58に格納した情報と照合すれば、物品100の種別を特定できる。例えば、情報記憶装置58に格納された、物品カテゴリが「袋物」であれば、重量物用吸着パッド14では空気漏れ量が大きいことが推定可能である。
【0070】
<空気漏れ量の推定>
図7に、上述した把持制御を決定するための空気漏れ量を推定する流れの一例を示すフローチャート図を示す。
制御装置57は、
図7に示すようにして、把持制御を決定するための空気漏れ量を推定する。
まず、物品100を撮像装置55(
図1参照)で撮影する(
図7のS11)。
【0071】
撮影結果から、制御装置57は、物品100の上面が球状かなどの情報を取得し、情報記憶装置58にある情報と照合することで、物品の種別の特定を取得する(
図7のS12)。
ここで、物品100の種別や、物品100の形状が得られた場合には、把持を試行する前に、制御装置57が情報記憶装置58にある情報と照合して、物品100の空気漏れ量をある程度推定できる。
【0072】
物品100が袋物物品2(
図2A参照)か否か判定する(
図7のS13)。
例えば物品100が袋物物品2という情報が得られた場合には、重量物用吸着パッド14は空気漏れが大と判断する(
図7のS14)。
物品100が袋物物品2(
図2A参照)でないと判定した場合には(
図7のS13でNo)、袋物物品2は上面が球状か判定する(
図7のS15)。
物品100が上面球状物品という情報が得られた場合(
図7のS15でYes)には、袋物用吸着パッド13A、13Bの空気漏れ量が大と判断する(
図7のS16)。
【0073】
物品100が上面球状物品でない情報が得られた場合(
図7のS15でNo)には、物品100に凹凸があるがあるか判定する(
図7のS17)。
物品100に凹凸がある場合(
図7のS17でNo)は、重量物用吸着パッド14は空気漏れ量が大と判断する(
図7のS18)等、幾つかの基準によって各吸着パッド(13A、13B、14)の空気漏れ量を推定できる。
そして、空気漏れ量が大きい吸着パッド(13A、13B、14)は使用しないことにする(
図7のS19)。
【0074】
ただし、全吸着パッド(13A、13B、14)が使用不可と推定された際には、一旦全ての吸着パッド(13A、13B、14)を使用可能とし、次の圧力センサ16A、16B、16C(
図6参照)による空気漏れの計測によって吸着制御を決定する(
図7のS110)。
【0075】
さらに、圧力センサ16A、16B、16C(
図6参照)による計測もしくは情報記憶装置58(
図1参照)の格納情報から得られた物品100のサイズ等も考慮し、使用する吸着パッド(13A、13B、14)を仮決定する(S111)。例えば、小さい物品100であれば吸着パッド(13A、13B、14)が一つしか使用できない、収納段ボール200(
図8A)内の壁際にある物品であれば、端の吸着パッド(13A、13B)しか使用できない、といった制約を満たすように、使用する吸着パッド(13A、13B、14)を選択する。
【0076】
その後、選択した吸着パッド(13A、13B、14)による吸着を試行(
図7のS112)する。このときに、実際に圧力センサ16A、16B、16C(
図6参照)によって空気漏れを測定する(S113)。そして、空気漏れが大きい吸着パッド(13A、13B、14)は使用しないことにする(
図7のS114)。これにより、物品100が未知であったとしても、吸着パッド(13A、13B、14)によって把持を行うことができる。その後、移動機構53による搬送を行う。
【0077】
なお、念のため空気漏れの大きい吸着パッド(13A、13B、14)をオフにした後に、再度、圧力センサ16A、16B、16C(
図6参照)によって空気漏れを測定し、空気漏れが少なくなることを確認するステップを入れることもできる。空気漏れの減少を確認するこれにより、より確実に搬送を行うこともできる。
なお、情報記憶装置58(
図8A参照)に空気漏れに関する十分な情報が格納されている場合、空気漏れ量を測定するステップS113、S114は省略することもできる。これにより、搬送時間の短縮が可能である。
【0078】
なお、「袋物」、「上面球状」、「凹凸」の情報から空気漏れを推定する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、各吸着パッド(13A、13B、14)の空気漏れ量を、物品種別ごとに直接情報記憶装置58に格納することもできる。
また、形状の程度から各吸着パッド(13A、13B、14)の使用を切り替えることもできる。例えば、「凹凸」について、搬送する物品100に段差が1mm以上ある場合は、重量物パッド14は空気漏れが大であると判断することもできる。
【0079】
なお、測定または情報記憶装置58の記憶情報による空気漏れのみに応じて吸着制御を変更する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、空気漏れがあって真空圧が低下し、吸着パッド(13A、13B、14)による吸着力が低下したとしても、物品100の重量が十分軽く、空気漏れ状態における吸着力でも把持可能であれば、搬送を行うことができる。
【0080】
従って、空気漏れと、物品の重量との両方の情報を用いて、吸着制御を変更することもできる。換言すれば、吸着パッド(13A、13B、14)の空気漏れ時の吸着力と、物品100の重量との両方の情報を用いて、吸着制御を変更することもできる。つまり。軽い物品100ならば、空気漏れがある真空圧が低下した状態でも吸着パッド(13A、13B、14)での物品100の吸着を継続して運ぶ制御も行える。
【0081】
<収納段ボール200に収納された物品100を把持する流れ>
次に、実際に収納段ボール200に収納された物品100を把持する流れを、
図7から
図8を用いて説明する。
【0082】
図8A、
図8B、
図8C、
図8D、
図8E、
図8F、
図8Hに、収納段ボール200に収納された物品100を取り出す様子の概略正面図を示す。
図8Aに示す収納段ボール200には、上述してきた袋物物品2A、2B、非袋物物品3の重量物品3A、3B、上面球状物品4など、様々な物品が収納されている。
【0083】
袋物物品2A、2Bのように、縦方向に積まれている場合や、直立した重量物品3Bや横向きの重量物品3Aのように、様々な状態で収納されている。ロボットハンド1は、これらの物品100を全て収納段ボール200から取り出し、搬出コンテナ56(
図1参照)へ移載することができる。
【0084】
本実施形態では、袋物物品2A、重量物品3Bの情報が既知で、他の物品100の情報は未知であるとする。
まず、撮像装置55を用いて、収納段ボール200の中を撮影する(
図7のS11)。制御装置57は、撮影した情報を基に、どの物品100を把持するかを決定する。把持する物品100を決定する方法は省略するが、例えば上面が広いものや、収納段ボール200の真ん中にあるものなど、取り易い物品を優先するとよい。
【0085】
<重量物品3Aの把持>
本実施形態1では、まず、
図8Aに示す収納段ボール200内の横たわった重量物品3Aの把持を行うとする。
このとき、上述した
図7のフローによって、吸着パッド(13A、13B、14)で把持した際の空気漏れ量を推定する。重量物品3Aの情報は、情報格納装置58に記憶されておらず、物品100の種別は特定できない。
【0086】
撮像情報からは、袋物2か?(
図7のS13)、上面球状か?(
図7のS15)、凹凸ありか?(
図7のS17)という条件は全てNOであることから、全ての吸着パッド(13A、13B、14)を使用して(
図7のS111)吸着を試行し(
図7のS112)、空気漏れを測定する(
図7のS113)。
図8A、
図8Bに示すように、重量物品3Aの上面は硬い平面であることから、空気漏れは検出されない。従って、吸着パッド(13A、13B、14)を使用して、そのまま搬送を行うことができる。
【0087】
<袋物物品2Aの把持>
次に、
図8Aに示す袋物物品2Aの把持を試行する。
袋物物品2Aの情報は情報記憶装置58に記憶されている。そこで、撮像装置55による撮像情報から袋物物品2Aの物品種別が特定可能である(
図7のS12)。すると、制御装置57は、情報記憶装置58の情報から袋物物品2Aは「袋物」であると判断できるため、重量物用吸着パッド14では空気漏れが大きいと推定できる(
図7のS13、S14)。
【0088】
従って、制御装置57は、重量物用吸着パッド14は用いず、袋物用吸着パッド13A、13Bを用いて把持を行う(
図7のS19)。さらに、撮像装置55で得られた袋物物品2Aのサイズ情報を用いると、両方の吸着パッド(13A、13B)は使用できないと判断できるため、
図8Cに示すように、袋物用吸着パッド13Bのみを用いて搬送することができる(
図7のS111,S114)。
【0089】
<袋物物品2Bの把持>
次に、袋物物品2Bの搬送を試みるが、こちらは袋物物品2Aとは異なり、情報記憶装置58に物品情報が格納されておらず、物品100の種別を特定することができない(
図7のS12)。袋物2か否かについては、撮像装置55(
図8A参照)の情報からのみで特定することも困難である。そこで、
図8Dに示すように、まずは袋物用吸着パッド13Bと重量物用吸着パッド14で把持を試行する(
図7のS111、S112)。
【0090】
しかし、袋物物品2Bに対して重量物用吸着パッド14は、空気漏れをしてしまうことが測定される(
図7のS113)。そのため、重量物用吸着パッド14はオフにし(
図7のS114)、
図8Eに示すように、袋物用吸着パッド13Bのみで袋物物品2Bの把持をし直すことで、袋物物品2Bを搬送することができる。
【0091】
<上面球状物品4の把持>
次に、
図8Eに示す上面球状物品4の搬送を試みる。
撮像装置55によって上面球状物品4を撮影する(
図7のS11)。
撮像装置55によって物品100の種別は特定できないが、上面球状物品4の上面が球状であることは判別可能である(
図7のS12)。そこで、袋物用吸着パッド13A、13Bでの把持は空気漏れが大きいと推定できる(
図7のS15、S16)。
【0092】
従って、
図8Fに示すように、重量物用吸着パッド14のみを用いる判断を行い(
図7のS111)、無事搬送が可能である。
<重量物品3Bの把持>
最後に、
図8Gに示す縦置きされた重量物品3Bの把持を試みる。重量物品3Bの情報は情報記憶装置58に格納されている。
撮像装置55で重量物品3Bを撮影する(
図7のS11)。
【0093】
そこで、制御装置57は、撮像装置55で撮像した情報から重量物品3Bの重量等を特定可能である(
図7のS12)。
図8Gに示す重量物品3Bの上面の把持部は硬い平面であるため、どの吸着パッド(13A、13B、14)を用いても空気漏れは無いが、重量物品3Bは壁際にあることから、袋物用吸着パッド13A、13Bのどちらかでのみしか把持することができないと判断できる(
図7のS111)。
【0094】
ただし、制御装置57は、情報記憶装置58の情報から、重量物品3Bは重いため、袋物用吸着パッド13A、13Bの可搬重量を超えており、安全に運搬をすることはできないと判断される。このときには、
図8Hに示すように、袋物用吸着パッド13Bを用いて重量物品3Bを、収納段ボール200内の中央へ引きずる。その後、袋物用吸着パッド13Bを一度離した後に、重量物吸着パッド14で重量物品3Bを再把持することで、安全に重量物品3Bを運搬をする戦略を取ることもできる。
【0095】
もし、中央に別の物品100があって、重量物品3Bを引きずり出せない場合は、低速で袋物用吸着パッド13Bで重量物品3Bを持ち上げて空いている箇所に置き直す。或いは、別の物品100を把持・搬送した後に、再び重量物品3Bの把持および搬送を試みることもできる。
【0096】
<吸着パッド(13A、13B、14)の劣化への対応>
また、本実施形態1の制御によって、吸着パッド(13A、13B、14)の劣化等に対応することもできる。
例えば、吸着パッド(13A、13B、14)が劣化すると、ゴムが柔らかくなったり、吸着パッド(13A、13B、14)にゴミが付着してしまったりする。これにより、吸着パッド(13A、13B、14)の空気漏れが起こりやすくなることで真空圧が低下してしまう場合がある。このとき、上述した実施形態1の制御を適用すると、劣化した吸着パッド(13A、13B、14)を使用せず、代わりに劣化していない吸着パッド(13A、13B、14)を使用することになる。
【0097】
従って、吸着パッド(13A、13B、14)が劣化した場合でも安定的な物品100の把持が可能である。また、同じ物品100を把持した場合に、真空圧が低下している状態が継続する場合、劣化したと判断し、システムの管理者に吸着パッド(13A、13B、14)の交換を、音声、ランプ点灯、電子メール、FAX等で促すこともできる。
【0098】
このように、複数種類の吸着パッド(13A、13B、14)を搭載したロボットハンド1で材質、形状等によって使用する吸着パッド(13A、13B、14)を切り替えることで、収納段ボール200に入った様々な物品100を把持して搬送することができる。
上記構成によれば、柔らかい袋物の物品(袋物物品2)および重量のある物品(非袋物物品3)をともに把持可能なロボットハンド1及びピッキングシステム5を実現できる。
【0099】
<<実施形態2>>
図9~
図12を参照して、本発明の実施形態2によるロボットハンド6を説明する。実施形態2によるロボットハンド6について、実施形態1によるロボットハンド1と異なる点を主に説明する。
【0100】
図9に、実施形態2に係るロボットハンド6の斜視図を示す。
実施形態2のロボットハンド6は、
図9に示すように、実施形態1によるロボットハンド1に、指部63A、63Bを搭載した構成である。
ロボットハンド6は、基部61と、基部61に接続された指起動部62と、指部63A、63Bと、吸着伸縮部64とを備える。
基部61は複数の部品で構成されるが、
図9~12においてはいくつかの部品を省略している。
【0101】
指起動部62は電動モータである。電動モータの出力軸に駆動歯車部621を備えている。
指部63Aは、指歯車部63A1と、指リンク部63A2、63A3、63A4とを備えている。
指リンク部63A2、63A3、63A4は、平行駆動リンクを構成している。、指リンク部63A4は常に同じ姿勢で動作する。
【0102】
指リンク部63A2、63A3は、片端が基部61と回転自由に接続され、もう片端は指リンク部63A4と回転自由に接続されている。
指リンク部63A2は、指歯車部63A1と固定接続されており、指歯車部63A1と一体に回転する。
【0103】
指部63Bも、指部63Aと同様に、指歯車部63B1と、指リンク部63B2、63B3、63B4とを備えている。指部63Bは、指部63Aと対称に配置されている。
指リンク部63B2は、指歯車部63B1と固定接続されており、指歯車部63B1と一体に回転する。
吸着伸縮部64はエアシリンダである。
【0104】
図9に示す吸着伸縮部64の先端にはロボットハンド1の基部12(
図1参照)が接続されている。吸着伸縮部64の駆動により、ロボットハンド1(
図1参照)を上下に駆動することができる。
【0105】
図9に示すように、ロボットハンド1の袋物用吸着パッド13A、13B、重量物用吸着パッド14は、指部63A、63Bの駆動方向(
図9の矢印α1方向)と略垂直または略直角となるように、一列に配置されている。これにより、指部63A、63Bとロボットハンド1を、ロボットハンド6にコンパクトに配置することができる。そのため、ロボットハンド6を小型化することができる。
【0106】
図10に、実施形態2に係るロボットハンド6の指部63A、63Bが閉じ、吸着伸縮部64が縮んだ状態の正面図を示す。
図11に、本実施形態2に係るロボットハンド6の指部63A、63Bが開き、吸着駆動部64が伸びた状態の正面図を示す。
【0107】
図10、
図11に示すように、指起動部62の回転駆動によって指部63A、63Bは開閉する(
図10の矢印α11、
図11の矢印α12)。
例えば、
図11の状態から、指起動部62が反時計まわりに回転すると(
図11の矢印β11)、駆動歯車部621、指歯車部63A1を介して、指リンク部63A3を時計周り回転させる(
図11の矢印β12)。
【0108】
さらに、これと同期して駆動歯車部63B2を介して、指駆動部63B3を反時計周り(
図11のβ13)に回転させる。これにより、
図10に示すように、指部63A、63Bが閉じられる。このとき、吸着伸縮部64が収縮して(
図10の矢印γ11)ロボットハンド1は指リンク部63A4、63B4の内側に入り、指部63A、63Bとは干渉しない構成となっている。
【0109】
また、
図10の状態から、指起動部62を時計周りに回転させると(
図10の矢印β21)、先ほどとは逆に、駆動歯車部621、指歯車部63A1を介して、指リンク部63A3を反時計周り回転させる(
図10の矢印β22)。さらに、これと同期して駆動歯車部63B2を介して、指駆動部63B3を時計周り(
図10のβ23)に回転させる。こうして、
図11に示すように、指部63A、63Bは開く。
【0110】
さらに、
図11に示すように、吸着伸縮部64を駆動させると、ロボットハンド1を下方へ伸ばす(
図11の矢印γ21)ことができる。この状態で、実施形態1のように、袋物物品2(
図2A参照)、重量物品等の非袋物物品3(
図2B参照)、上面球状物品4(
図5A、
図5B参照)など、さまざまな物品を把持することができる。
【0111】
<ロボットハンド6を用いた物品100の把持>
図12に、ロボットハンド6を用いてボトル物品7を把持する様子の概略正面図を示す。
次に、ロボットハンド6を用いた物品100の把持について、
図12を用いて説明する。なお、ピッキングシステム5に関しては、実施形態1と同様である。
【0112】
図1に示す収納段ボール200には様々な物品100が収納されている。
本実施形態2では、
図12に示すように、ボトル物品7が収納されている。ボトル物品7は、重量が重いが、上部に備えた蓋7cは小さく、吸着可能な面積が小さい。そのため、吸着パッド(13A、14、13B)は吸着力を発揮できず、ロボットハンド1による吸着では把持することが難しい。このとき、ロボットハンド6の指部63A、63Bによって挟みこむことで、ボトル物品7を把持することができる。
【0113】
このように、実施形態1で説明した吸着技術と、指部63A、63Bとを組み合わせ、使い分けることで、ロボットハンド1を含む一つのロボットハンド6で様々な物品を把持することができる。
【0114】
<<その他の実施形態>>
1.上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
すなわち、前記した実施形態1、2の構成に限られることなく、添付の特許請求の範囲内で様々な変形形態、具体的形態が可能である。
【符号の説明】
【0115】
1、6 ロボットハンド
2、2A、2B 袋物物品(物品)
3 非袋物物品(物品)
3A、3B 重量物品(物品)
4 上面球状物品(物品)
17A、17B、17C 電磁弁(吸着制御部)
18 真空発生器(吸着制御部)
19 非常時用電磁弁(非常時停止装置)
7 ボトル物品(物品)
5 ピッキングシステム(ピッキングロボットシステム)
13A、13B 袋物用吸着パッド(吸着パッド、吸着部)
14 重量物用吸着パッド(吸着パッド、吸着部)
16A、16B、16C 圧力センサ(空気漏れ検出部、吸着部)
16a、16b、16c 流量センサ(空気漏れ検出部、吸着部)
51 搬送ロボット
55 撮像装置
57…制御装置、空気漏れ判別部(吸着制御部)
58 情報記憶装置(吸着制御部)
62 指起動部(指駆動部)
63A、63B 指部
63A1、63B1 指歯車部(指駆動部)
63A2、63A3、63A4、63B2、63B3、63B4 指リンク部(指駆動部)
64 吸着伸縮部
7 ボトル物品(物品)
100 物品