(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130963
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
A63F7/02 322
A63F7/02 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035581
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 雄太
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 朋也
(72)【発明者】
【氏名】小林 和広
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀治
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA71
2C088DA09
2C088DA23
2C088EA02
(57)【要約】
【課題】ファール球を回収し易くすることができる遊技機を提供する。
【解決手段】ファール球回収ユニット(ファール球回収手段)80は、カバー部材(第1カバー部)81と、カバー部材81と対面するベース部材(第2カバー部)82と、カバー部材81とベース部材82との間に設けられ、ファール球が衝突することで当該ファール球を減勢する緩衝部材(減勢部)83と、を備える。カバー部材81は、緩衝部材83を保持する軸部(保持部)81cを有する。軸部81cの寸法D1は、カバー部材81からベース部材82までの寸法D2よりも短く、カバー部材81から緩衝部材83と衝突したファール球の中心点Cまでの寸法D3よりも長い。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射手段により発射された遊技球のうち遊技領域に到達できなかったファール球を回収するファール球回収手段を備えた遊技機であって、
前記ファール球回収手段は、第1カバー部と、前記第1カバー部と対面する第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間に設けられ、ファール球が衝突することで当該ファール球を減勢する減勢部と、を備え、
前記第1カバー部または前記第2カバー部の何れか一方は、前記減勢部を保持する保持部を有し、
前記保持部の寸法は、前記第1カバー部から前記第2カバー部までの寸法よりも短く、前記第1カバー部または前記第2カバー部から前記減勢部と衝突したファール球の中心点までの寸法よりも長いことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
発射手段により発射された遊技球のうち遊技領域に到達できなかったファール球を回収するファール球回収手段を備えた遊技機であって、
前記ファール球回収手段は、第1カバー部と、前記第1カバー部と対面する第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間に設けられ、ファール球が衝突することで当該ファール球を減勢する減勢部と、を備え、
前記第1カバー部または前記第2カバー部の何れか一方は、前記減勢部を保持する保持部を有し、
前記第1カバー部から前記第2カバー部までの寸法は、前記減勢部の寸法よりも長く、
前記第1カバー部と前記減勢部との間、または前記第2カバー部と前記減勢部との間には、所定の隙間が形成され、
前記所定の隙間は、遊技球の半径以下であることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機として、遊技媒体である遊技球を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技球が入賞すると、所定個数の賞球が遊技者に払い出され、識別情報の変動表示(「変動」ともいう。)の表示結果が特定表示結果となった場合に、遊技状態を変更する遊技機(いわゆる、パチンコ機)が知られている。
【0003】
また、1ゲームに対して所定数の賭数を設定した後、遊技者がスタートレバーを操作することにより識別情報の変動表示を開始し、遊技者がストップスイッチを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で識別情報の変動表示を停止し、全ての変動表示を停止したときに導出された表示結果に従って入賞が発生し、入賞に応じて予め定められた所定の遊技媒体が払い出され、特定入賞が発生した場合に、遊技状態を変更する遊技機(いわゆる、スロットマシン)が知られている。
【0004】
そのような遊技機において、発射装置により発射された遊技球のうち遊技領域に到達できなかった遊技球(所謂ファール球)を回収するファール球回収ユニットを備えた遊技機(パチンコ機)が知られている(例えば特許文献1参照)。このファール球回収ユニットは、中枠において遊技盤の下方に配置されており、ゴム等の弾性材料からなる緩衝部材(減勢部)、を有する。緩衝部材は、ファール球が衝突することで当該ファール球を減勢する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の遊技機では、ファール球と緩衝部材との衝突態様よっては、ファール球を十分に減勢できず、ファール球を回収し難かった。
【0007】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ファール球を回収し易くすることができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の発明は、発射手段により発射された遊技球のうち遊技領域に到達できなかったファール球を回収するファール球回収手段を備えた遊技機であって、前記ファール球回収手段は、第1カバー部と、前記第1カバー部と対面する第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間に設けられ、ファール球が衝突することで当該ファール球を減勢する減勢部と、を備え、前記第1カバー部または前記第2カバー部の何れか一方は、前記減勢部を保持する保持部を有し、前記保持部の寸法は、前記第1カバー部から前記第2カバー部までの寸法よりも短く、前記第1カバー部または前記第2カバー部から前記減勢部と衝突したファール球の中心点までの寸法よりも長いことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため、第2の発明は、発射手段により発射された遊技球のうち遊技領域に到達できなかったファール球を回収するファール球回収手段を備えた遊技機であって、前記ファール球回収手段は、第1カバー部と、前記第1カバー部と対面する第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間に設けられ、ファール球が衝突することで当該ファール球を減勢する減勢部と、を備え、前記第1カバー部または前記第2カバー部の何れか一方は、前記減勢部を保持する保持部を有し、前記第1カバー部から前記第2カバー部までの寸法は、前記減勢部の寸法よりも長く、前記第1カバー部と前記減勢部との間、または前記第2カバー部と前記減勢部との間には、所定の隙間が形成され、前記所定の隙間は、遊技球の半径以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明および第2の発明によると、ファール球を回収し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るパチンコ機の外観を示す正面図である。
【
図4】同パチンコ機に設けられた遊技盤を示す正面図である。
【
図5】
図4に示す遊技盤に取り付けられた内ガイドレールの斜視図である。
【
図6】
図5に示す内ガイドレールに設けられた球戻り防止機構の前面斜視図である。
【
図9】同球戻り防止機構に設けられた球戻り防止部材が閉状態にあるときの正面図である。
【
図10】同球戻り防止部材が開状態にあるときの正面図である。
【
図11】同球戻り防止部材が閉状態から開状態に変位している途中の状態において、遊技領域に進入した遊技球が境界領域に戻ろうとしている様子を示す図である。
【
図14】遊技領域から境界領域に戻ってきた遊技球が球戻り防止部材と衝突している状態を示す図である。
【
図15】ファール球回収ユニットおよび遊技盤を前面側から視たときの平面図である。
【
図16】ファール球回収ユニットおよび遊技盤を背面側から視たときの平面図である。
【
図17】ファール球回収ユニットを前面側から視たときの斜視図である。
【
図18】ファール球回収ユニットを背面側から視たときの斜視図である。
【
図19】ファール球回収ユニットを前面側から視たときの分解斜視図である。
【
図20】ファール球回収ユニットを背面側から視たときの分解斜視図である。
【
図21】
図16に示すファール球回収ユニットのA-A線断面図である。
【
図22】
図16に示すファール球回収ユニットのA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は本実施形態に係るパチンコ機(遊技機)の外観を示す正面図、
図2は同パチンコ機を示す斜視図である。なお、本実施形態では、遊技盤の遊技領域に発射させ、遊技に使用された遊技球を再び遊技領域に発射可能に循環させる所謂管理遊技機を例に挙げて説明する。
【0014】
図1および
図2に示すように、本実施形態例に係るパチンコ機(遊技機)Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の外枠1と、外枠1にヒンジ機構Hを介して扉状に開閉自在に取り付けられる内枠2と、内枠2にヒンジ機構Hを介して扉状に開閉自在に取り付けられる前扉3等を備えている。外枠1および内枠2によって本体枠4が構成されており、この本体枠4によって遊技盤(
図4参照)が保持されている。前扉3には、ガラスやプラスチック等からなる透明板3aが取り付けられている。内枠2および前扉3が外枠1に対して閉じられた状態になると、遊技盤の正面に前扉3の透明板3aが対向するように配置され、遊技者はこの透明板3aを介して遊技盤を視認可能になる。
【0015】
前扉3は、意匠ユニット90を有している。意匠ユニット90は、パチンコ機Pに正対する遊技者から見た場合、透明板3aの上方に配設される上意匠部材90aと、透明板3aの下方に配設される下意匠部材90bと、透明板3aの左方に配設される左意匠部材90cと、透明板3aの右方に配設される右意匠部材90dと、を有している。そして、これらの意匠部材90a~90dが組み合わされることにより、1つの意匠ユニット90が構成されるようになっている。なお、各意匠部材90a~90dの前扉3への取り付けは、フック等の周知の取付手段によって簡単に行うことができるようになっている。なお、上意匠部材90aの両端部には、一対のスピーカ31aが設けられている。
【0016】
また、前扉3は、下意匠部材90bの右下方に操作ハンドル15を有している。操作ハンドル15は遊技者が所定方向へ向けて回転操作できるように形成されている。遊技者が操作ハンドル15を回転操作すると、パチンコ機P内に収容されている遊技球が遊技盤の下方に配設された発射装置16(
図15,16参照)に送られる。そして、この発射装置16により操作ハンドル15の回転角度に応じた強度で遊技球が発射されるようになっている。
【0017】
また、詳細は後述するが、内枠2の下部には、大当たり遊技等の実行に基づいて遊技者に付与された遊技球や、遊技領域に向けて発射される遊技球をパチンコ機P内で循環させる不図示の循環通路等が設けられている。このように、このパチンコ機Pにおいては、遊技球がパチンコ機P内に封入されており、遊技者は遊技球に直接触れることなく遊技を行うようになっている。
【0018】
図3はパチンコ機Pの背面図である。
図3に示すように、パチンコ機Pは、その背面側に、主制御基板18と、副制御基板19と、賞球払出装置20と、払出制御基板21と、発射制御基板22と、外部端子基板23と、を備える。
【0019】
主制御基板18は、遊技に関する主要な処理を行う。副制御基板19は、主制御基板18からの指令を受けて各種演出ユニットを制御する。なお、主制御基板18および副制御基板19は背面カバー部材によって覆われている。
【0020】
賞球払出装置20は、遊技球が遊技盤5の遊技領域に設けられた所定の入賞口に入球したことに基づいて賞球を払い出す。払出制御基板21は、主制御基板18からの指令を受けて賞球払出装置20を制御する。
【0021】
発射制御基板22は、操作ハンドル15の回転角度に応じて発射装置16の作動を制御する。外部端子基板23は、大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する。
【0022】
このように、パチンコ機Pはその背面側に遊技を進行する際の制御を行う各種基板等を備えており、これらの制御等によって遊技を円滑に進めることができる。
【0023】
次に、
図4を参照して遊技盤5について説明する。
図4は遊技盤5を示す正面図である。
【0024】
図4に示すように、遊技盤5は、略矩形状のアクリル板5aと、レールベース26と、外ガイドレール27と、内ガイドレール28と、を有する。レールベース26は、アクリル板5aの前面に固定されており、正面視で円弧状の内周面を有する。外ガイドレール27は、レールベース26の内周面に沿って取り付けられており、遊技盤5の中央下部から離れた左側位置から左端部、上端部および右上端部近傍に亘って円弧状に配置される。内ガイドレール28は、アクリル板5aの前面における外ガイドレール27の内側に取り付けられており、遊技盤5の中央下部よりもやや左側位置から遊技盤5の左端部近傍および左上端部近傍に亘って円弧状に配置される。これら外ガイドレール27と内ガイドレール28との間の湾曲形状の領域が、案内通路29となっている。案内通路29は、発射装置16(
図2参照)により発射された遊技球を遊技領域30に案内する。案内通路29と遊技領域30との間には境界領域70が設けられている。境界領域70の出口は遊技領域30と連通しており、境界領域70の入口は案内通路29と連通している。詳細は後述するが、内ガイドレール28の先端部には、球戻り防止機構(
図5の符号50)が設けられており、この球戻り防止機構は境界領域70に配置されている。
【0025】
レールベース26の左下部分26aおよび内ガイドレール28の下端部28aは、互いに離れて配置されている。そして、これらレールベース26の左下部分26aと、内ガイドレール28の下端部28aとの間には、発射装置16により発射された遊技球が通過する発射口71が形成されている。発射口71を通過した遊技球は案内通路29を通った後に遊技領域30へと進入することになる。発射口71の下方には、発射装置16により発射された遊技球のうち遊技領域に到達できなかった遊技球(所謂ファール球)を回収するファール球回収ユニット80(
図15,16参照)が設けられている。本実施形態では、前扉3の開閉状態に応じて2種類のファール球が存在する。具体的には、前扉3が閉された状態では、発射装置16により発射された後に発射口71を通過して案内通路29に進入したものの遊技領域30に到達できなかった遊技球がファール球となる。一方、前扉3が開放された状態では、発射装置16により発射された後に後述するシャッター85(
図19,20参照)に衝突して発射口71を通過できなかった遊技球がファール球となる。なお、ファール球回収ユニット80の詳細については後述する。
【0026】
遊技領域30は、外ガイドレール27および内ガイドレール28よりも内側の領域であり、発射装置16の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする左打ち領域30aおよび右打ち領域30bを含む。左打ち領域30aは、パチンコ機Pに正対した遊技者から見て遊技盤5の左側に位置する。一方、右打ち領域30bは、同遊技者から見て遊技盤5の右側に位置する。
【0027】
遊技領域30には、各種の入賞口等が設けられる。例えば遊技領域30の中央下方には、第1始動入賞口31およびアウト口32が設けられる。また、遊技領域30の左打ち領域30aには、一般入賞口33、ワープ通路34、風車35、複数の遊技釘36等が設けられる。さらに、遊技領域30の右打ち領域30bには、ゲート37、第2始動入賞口38および大入賞口39等が設けられる。また、右打ち領域30bにおける第2始動入賞口38と大入賞口39との間には、非電動役物入賞装置60が設けられている。非電動役物入賞装置60は、後述する非電動役物ユニット600に配設されている。
【0028】
遊技盤5のアクリル板5aの略中央には、所定形状に切り抜かれた開口40が形成されている。アクリル板5aの背面側であって、遊技者が開口40を通して臨める位置に、遊技に関する各種演出を表示する演出表示装置41、および遊技の進行に合わせて昇降動作する可動役物42等が設けられている。また、図示は省略するが、遊技盤5は、遊技領域30の外方であって、かつ遊技者が視認可能な位置に第1特別図柄表示器、第2特別図柄表示器、第1特別図柄保留表示器、第2特別図柄保留表示器、普通図柄表示器、普通図柄保留表示器、および右打ち報知表示器を有する。これらの表示器は遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
【0029】
遊技者が操作ハンドル15(
図1および
図2参照)を任意角度に回転操作すると、遊技球が発射装置16により遊技領域30に向かって連続的に打ち出される。通常、遊技者は、遊技開始時において、左打ち領域30aに向かって遊技球を打ち出す。そして、打ち出された遊技球は、風車35や複数の遊技釘36に衝突して流下方向を不規則に変えながら左打ち領域30aを流下する。その結果、流下した遊技球が第1始動入賞口31に入球した場合には、特別遊技を実行させるか否かを決定する大当たりの電子抽選が行われるとともに、所定個数(例えば3個)の賞球が付与される。なお、流下した遊技球が、一般入賞口33に入球した場合には所定個数(例えば3個)の賞球が付与され、第1始動入賞口31または一般入賞口33のいずれにも入球しなかった場合には、アウト口32を通って遊技盤5の背面側に排出される。
【0030】
一方、上記した大当たりの電子抽選に当選した場合には、特別遊技に移行する。特別遊技おいては、遊技者は右打ち領域30bに向かって遊技球を打ち出す。そして、打ち出された遊技球は右打ち領域30bを流下して、大入賞口39に入球可能となる。大入賞口39には前後方向にスライド可能な大入賞口用スライド板39aが設けられている。大入賞口用スライド板39aが、前方にスライドすると大入賞口39を閉鎖する一方、後方にスライドすると大入賞口39を開放する。特別遊技において、大入賞口用スライド板39aは、所定のタイミングで複数回、大入賞口39を開放する。特別遊技の開始から終了までの間に開放した大入賞口39に遊技球を入球させることにより、多数個(例えば2000個)の賞球が遊技者に付与される。
【0031】
また、上記した特別遊技が終了した場合には、時短遊技に移行する。時短遊技においては、遊技者は右打ち領域30bに向かって遊技球を打ち出す。そして、打ち出された遊技球がゲート37を通過すると、普通図柄の電子抽選が実行される。普通図柄の電子抽選に当選すると、第2始動入賞口38に遊技球が入球可能となる。第2始動入賞口38には前後方向にスライド可能な第2始動入賞口用スライド板38aが設けられている。第2始動入賞口用スライド板38aが、前方にスライドすると第2始動入賞口38を閉鎖する一方、後方にスライドすると第2始動入賞口38を開放する。普通図柄の電子抽選に当選すると、第2始動入賞口用スライド板38aが所定のタイミングで複数回、第2始動入賞口38を開放する。遊技球が第2始動入賞口38に入球した場合には、再び大当たりの電子抽選が行われるとともに、所定個数(例えば1個)の賞球が付与される。なお、第2始動入賞口38の入球を契機として大当たりの電子抽選が行われる回数は、予め定められた規定回数(例えば100回)に設定されている。規定回数以内に大当たりの電子抽選に当選しなかった場合には、時短遊技を終了させて遊技者は再び左打ち領域30aに向かって遊技球を打ち出すことになる。
【0032】
次に、
図5を参照して、内ガイドレール28の先端部に設けられた球戻り防止機構の概観構成について説明する。
図5は内ガイドレール28の斜視図である。
【0033】
図5に示すように、内ガイドレール28の先端部には、遊技領域30に進入した遊技球が案内通路29に戻ることを防止する球戻り防止機構50が設けられている。球戻り防止機構50は、本体ケース52と、カバー53と、球戻り防止部材(変位部材)54と、を備える。本体ケース52、カバー53、および球戻り防止部材54はいずれも合成樹脂材料から成る成形品である。これら本体ケース52、カバー53および球戻り防止部材54が組み合わされることで球戻り防止機構50が形成される。上述したように、球戻り防止機構50は、内ガイドレール28がアクリル板5aに取り付けられた状態では、境界領域70に配置される。
【0034】
次に、
図6~
図8を参照して、球戻り防止機構50の詳細な構成について説明する。
図6は球戻り防止機構50の前面斜視図、
図7は球戻り防止機構50の背面斜視図、
図8は球戻り防止機構50の分解斜視図である。
【0035】
図6~
図8に示すように、本体ケース52は、内ガイドレール28の上端部に一体形成されており、底面部52aと、底面部52aの一端から立設された側面部52bと、を有する。底面部52aおよび側面部52bによって囲まれた空間が、切欠部Sとなっている。切欠部Sは、透明板3aと対向する前面側、および境界領域70と対向する上面側を開放している(
図8参照)。切欠部Sの上部開口端は、ストッパ壁52cとなっている。ストッパ壁52cは、遊技領域30の近傍に位置する側面部52bの上端部に形成されており、その上端部を幅方向に横切る円柱状の壁面となっている。
【0036】
本体ケース52の底面部52aには、第1軸受部52d、およびガイド溝52eが形成されている。ガイド溝52eは、第1軸受部52dを中心とする仮想円に沿って略円弧状に延びている。また、底面部52aには、第1ネジ孔52fおよび第1位置決めピン52gが設けられている(
図8参照)。底面部52aの背面側には、第2位置決めピン52hが設けられており(
図7参照)、この第2位置決めピン52hがアクリル板5aの孔部(図示せず)に挿入されることで球戻り防止機構50がアクリル板5aに位置決めされる。
【0037】
カバー53は、板状に形成されており、第2ネジ孔53aおよび位置決め孔53bを有する。また、カバー53の背面側には、第2軸受部53cが形成されている。底面部52aの第1位置決めピン52gを位置決め孔53bに挿入するとともに、ネジ55を第2ネジ孔53aおよび底面部52aの第1ネジ孔52fに挿入することで、カバー53が切欠部Sの前面側を塞いだ状態で本体ケース52に取り付けられる。
【0038】
球戻り防止部材54は、軸孔54aと、開閉弁54bと、錘部54cと、を有する。開閉弁54bおよび錘部54cは、軸孔54aを境にくの字状に屈曲するように形成されている。軸孔54aには支軸56が挿通されており、この支軸56の一端部が底面部52aの第1軸受部52dに係止され、他端部がカバー53の第2軸受部53cに係止されている。これにより、球戻り防止部材54は、本体ケース52およびカバー53に回動可能に支持される。
【0039】
開閉弁54bは略矩形板状に形成されており、その長手方向(鉛直方向)の長さは、遊技領域30から境界領域70に戻ってきた遊技球が衝突するのに十分な長さとなっている。開閉弁54bは、案内通路29と対向する第1側面部540bと、第1側面部540bと反対側であって遊技領域30(左打ち領域30a)と対向する第2側面部541bと、を有する(
図9参照)。第1側面部540bは、発射装置16から発射され、案内通路29を通過した遊技球と衝突する部分である。第2側面部541bは、遊技領域30から案内通路29に戻ろうとする遊技球と衝突する部分である。
【0040】
開閉弁54bの先端部は先細に形成されている。具体的には、第1側面部540bの鉛直方向の長さは、第2側面部541bの鉛直方向の長さよりも長くなっており、第1側面部540bの先端部から第2側面部541bの先端部に向かって下方傾斜している。また、第2側面部541bの中央部には、遊技領域30に向かって突出する突出部541cが形成されている。
【0041】
錘部54cは開閉弁54bよりも肉厚であって重量が大きい。錘部54cの背面側には、係合ピン54dが突設されており、この係合ピン54dが底面部52aのガイド溝52eに挿入されている(
図7参照)。球戻り防止部材54は、上述したように本体ケース52およびカバー53に回動可能に支持されており、開状態と閉状態との間で変位可能となっている。常態では、球戻り防止部材54は、錘部54cの自重によって支軸56を中心にして一方向(反時計回り)に回動するように付勢されており、係合ピン54dがガイド溝52eの一端部に当接している。これにより、球戻り防止部材54は、それ以上回動できず、閉状態を維持している。一方で、球戻り防止部材54は、発射装置16から発射された遊技球と接触することで、その接触力により支軸56を中心にして他方向(時計回り)に回動して、上述したストッパ壁52cに当接することで開状態となる。
【0042】
次に、
図9および
図10を参照して、球戻り防止部材54が、閉状態(第1状態)にあるときの球戻り防止機構50と、開状態(第2状態)にあるときの球戻り防止機構50について説明する。
図9は球戻り防止部材54が閉状態にあるときの球戻り防止機構50の正面図、
図10は球戻り防止部材54が開状態にあるときの球戻り防止機構50の正面図である。
【0043】
図9に示すように、球戻り防止部材54が閉状態(第1状態)にあるとき、開閉弁54bが切欠部Sの上面開口から境界領域70の出口に向かって略垂直な姿勢で突出している。この状態においては、球戻り防止部材54(開閉弁54b)の先端部から外ガイドレール27までの距離(特定距離)は、遊技球Bの直径よりも短く、かつ、最短となっている。なお、この距離は、球戻り防止部材54の開閉弁54b(第1側面部540b)の先端部から外ガイドレール27までの最短の距離を意味する。そのため、一旦遊技領域30に進入した遊技球が、遊技釘36等に衝突して境界領域70に向かって跳ね戻されても、球戻り防止部材54に衝突することになる。また、球戻り防止部材54は、遊技球に衝突されても閉状態を維持するため、反時計回りに回動することもない。よって、球戻り防止部材54は、閉状態にあるとき、遊技領域30に進入した遊技球が案内通路29に戻ることを防止する。
【0044】
図9に示した状態で発射装置16から遊技領域30に向かって発射された遊技球Bが案内通路29を上昇し、境界領域70に侵入して開閉弁54bに接触すると、その接触力で球戻り防止部材54は閉状態から開状態に変位可能となる。そして、
図10に示すように、球戻り防止部材54は、境界領域70の出口を開放する方向へ回動していき、ストッパ壁52cに衝突すると、それ以上の回動が規制されて開状態(第2状態)となる。この状態においては、開閉弁54b(第1側面部540b)の先端部から外ガイドレール27までの距離(特定距離)は、遊技球Bの直径よりも長く、かつ、最長となっている。よって、球戻り防止部材54は、開状態にあるとき、発射装置16により発射された遊技球が境界領域70から遊技領域30に進入することを許容する。なお、球戻り防止部材54は、開状態に変位した後、錘部54cの付勢力を受けて逆方向(反時計周り)へ瞬時に回動して再び
図9に示した閉状態に変位する。
【0045】
上述したように、球戻り防止機構50は、球戻り防止部材54が閉状態にあるときに遊技領域30に進入した遊技球が案内通路29に戻ることを防止するように構成されているが、本実施形態では、さらに、球戻り防止部材54が閉状態から開状態に変位する途中の状態(第3状態)でも遊技球の案内通路(案内領域)29への戻りを防止できるようになっている。
【0046】
図11は、球戻り防止部材54が閉状態から開状態に変位している途中の状態において、遊技領域30(左打ち領域30a)に進入した遊技球が境界領域70に戻ろうとしている様子を示す図、
図12および
図13は
図11に示す点線で囲まれた領域の拡大図である。
【0047】
図11では、発射装置16から遊技領域30に向けて発射された一の遊技球(第1遊技球)B1が、案内通路29から境界領域70に進入し、球戻り防止部材54(開閉弁54b)、外ガイドレール27および他の遊技球(第2遊技球)B2に接している。
図12では、一の遊技球B1と開閉弁54bの第1側面部540bとの接点を符号P1、外ガイドレール27との接点を符号P2、他の遊技球B2との接点を符号P3で示している。
【0048】
また、他の遊技球B2は、遊技領域30から境界領域70に進入し、球戻り防止部材54の先端部、外ガイドレール27および一の遊技球B1に接している。
図12では、他の遊技球B2と開閉弁54bの先端部との接点を符号P4、外ガイドレール27との接点を符号P5、他の遊技球B2の最下点を符号P6で示している。
【0049】
図12に示す状態では、球戻り防止部材54の先端部から外ガイドレール27までの距離(特定距離)は、閉状態(
図9参照)のときよりも長く開状態(
図10参照)のときよりも短くなっている。換言すれば、閉状態と開状態との間の距離になっている。しかも、球戻り防止部材54(開閉弁54b)の先端部から外ガイドレール27までの距離H1は、他の遊技球B2の最下点P6から外ガイドレール27までの距離H2よりも短い。換言すれば、他の遊技球B2と球戻り防止部材54の先端部との接点P4から外ガイドレール27までの距離H1は、他の遊技球B2の最下点P6から外ガイドレール27までの距離H2よりも短い。つまり、球戻り防止部材54の先端部から外ガイドレール27に下した垂線L1の長さH1は、他の遊技球B2の最下点P6から外ガイドレール27に下した垂線L2の長さH2よりも短くなっている。
【0050】
また、
図13に示すように、球戻り防止部材54が上記した途中の状態にあるとき、他の遊技球B2と球戻り防止部材54(開閉弁54b)の先端部との接点P4から他の遊技球B2と一の遊技球B1との接点P3までの距離H3が、他の遊技球の最下点P6から接点P3までの距離H4よりも短い。つまり、接点P4と接点P3とを結ぶ線分L3の長さは、最下点P6と接点P3とを結ぶ線分L4の長さよりも短くなっている。
【0051】
また、
図12および
図13に示すように、球戻り防止部材54が上記した途中の状態にあるとき、球戻り防止部材54は、その先端部が他の遊技球B2の最下点P6に至るほど回動していない。具体的には、球戻り防止部材54の先端部は、鉛直方向において遊技球B2の最下点P6よりも高い位置にあり、水平方向において遊技球B2の最下点P6よりも左側(案内通路29側)に位置している。つまり、球戻り防止部材54の先端部は、最下点P6に対して左上に位置している。
【0052】
上記のような遊技球B1と遊技球B2との衝突後に、遊技球B2が、案内通路29に戻ろうとしても、球戻り防止部材54(開閉弁54b)の先端部に遊技領域30側から接触することになる。そのため、球戻り防止部材54は、遊技領域30側から案内通路29側に向かう接触力を付与されて反時計回りに回動する可能性が高くなる。したがって、球戻り防止部材54は遊技球B1と遊技球B2との衝突時よりも境界領域70の出口を塞いでいき、遊技球B2が案内通路29に戻ることは困難となる。その結果、
図11に示すような遊技球B1と遊技球B2との衝突時でも、遊技球B2が案内通路29に戻ることを抑制できる。つまり、遊技球が2球連続して案内通路29に戻ることを抑制できる。
【0053】
なお、
図11に示すような遊技球B1と遊技球B2との衝突時において、球戻り防止部材54(開閉弁54b)の先端部から外ガイドレール27までの距離(特定距離)H1が、他の遊技球B2の最下点P6から外ガイドレール27までの距離H2よりもよりも長くなっていると、その衝突後に遊技球B2が、球戻り防止部材54の先端部と外ガイドレール27との間に入り込むことが可能になる。そうすると、遊技球B2は、球戻り防止部材54の先端部にその上方から接触することが可能になるため、球戻り防止部材54は時計回りに回動する可能性が高くなる。よって、球戻り防止部材54は遊技球B1と遊技球B2との衝突時よりも境界領域70の出口を開いていき、遊技球B2が案内通路29に戻ることを抑制できない。
【0054】
このように、本実施形態に係るパチンコ機Pは、従来のパチンコ機に比べて、遊技領域30に進入した遊技球の案内通路(案内領域)29への戻り防止について十分な改善が行われているが、以下に示すように、球戻り防止機構50と遊技球との引っ掛かりを防止することで更なる戻り防止の改善を図っている。そこで、
図14を参照して、球戻り防止機構50と遊技球との引っ掛かりを防止について説明する。
図14は、遊技領域30から境界領域70に戻ってきた遊技球Bが球戻り防止部材54と衝突している状態を示す図である。
【0055】
図14に示すように、遊技球Bが、遊技領域30から境界領域70に戻ってきて球戻り防止部材54の開閉弁54bおよび本体ケース52と接している。具体的には、遊技球Bは、閉状態にある開閉弁54bの突出部541cと接し、かつ、本体ケース52の上端部(ストッパ壁52c)と接している。
図14では、遊技球Bと、開閉弁54bの突出部541cとの接点を符号P7、本体ケース52の上端部との接点をP8で示し、遊技球Bの最左点をP9で示している。
【0056】
このような状態において、遊技球Bと開閉弁54bの突出部541cとの接点P7は、鉛直方向において遊技球Bの最左点P9よりも下方に位置している。また、遊技球Bと本体ケース52の上端部との接点P8は、水平方向において遊技球Bの最下点P6よりも左側に位置しており、鉛直方向において遊技球Bの最下点P6よりも上方に位置している。つまり、接点P8は、最下点P6に対して左上に位置している。そして、接点P7から接点P8までの距離H5は、遊技球Bの最左点P9から最下点P6までの距離H6よりも短くなっている。そのため、遊技球Bは、本体ケース52における境界領域70と対向する上面側の開口(
図8参照)と、開閉弁54bの第2側面部541bにおける突出部541cよりも基端部側の部分と、の間の隙間領域SPに入り込めないようになっている。しかも、
図14の点線矢印で示すように、遊技球Bは、球戻り防止部材54との衝突時に、開閉弁54bの突出部541cから右方に力を付与され、本体ケース52の上端部から右斜め上方に力を付与されることで、遊技領域30に跳ね返る。そのため、遊技球Bが隙間領域SP内に入り込むことで球戻り防止機構50の開閉弁54bと本体ケース52との間に引っ掛かかることを防止できる。よって、そのような遊技球Bの引っ掛かりに起因する球戻り防止機構50の戻り防止が損なわれることがない。したがって、球戻り防止機構50の戻り防止を安定して確保できるので、遊技領域30に進入した遊技球の案内通路(案内領域)29への戻り防止をさらに向上させることができる。
【0057】
このように構成された本実施形態に係るパチンコ機Pによれば、以下の効果を奏することができる。
【0058】
本実施形態に係るパチンコ機Pは、外ガイドレール(外レール)27と内ガイドレール(内レール)28との間の領域であって、発射された遊技球を遊技領域30に案内する案内通路(案内領域)29と、遊技球が遊技領域30から案内通路29に戻ることを防止する球戻り防止機構50と、を備え、球戻り防止機構50は、閉状態(第1状態)と、開状態(第2状態)と、閉状態から開状態に変位する途中の状態(第3状態)と、に変位可能な開閉弁(変位部材)54bを有し、開閉弁54bは、外ガイドレール27と対向する側面部と、側面部の先端側の先端部と、を有し、先端部から外ガイドレール27までの距離を特定距離H1とし、案内通路29から遊技領域30に案内される遊技球を一の遊技球B1とし、遊技領域30から案内通路29に戻ろうとする遊技球を他の遊技球B2とすると、閉状態は、特定距離が開状態より短い状態であり、開状態は、特定距離が閉状態より長い状態であり、閉状態から開状態に変位する途中の状態は、一の遊技球B1が側面部と外ガイドレール27と他の遊技球B2と接し、他の遊技球B2が先端部と外ガイドレール27と一の遊技球B1と接することで、特定距離H1が開状態より長く閉状態より短く、かつ、他の遊技球B2の最下点から外ガイドレール27までの距離H2より短い状態であることを特徴とする。そのため、球戻り防止機構50は、球戻り防止部材54(開閉弁54b)が閉状態にあるときに遊技領域30に進入した遊技球が戻ることを防止するだけでなく、球戻り防止部材54が閉状態から開状態に変位している途中でも、遊技領域30に進入した遊技球が案内通路29に戻ることを抑制できる。したがって、遊技領域30に進入した遊技球の案内通路(案内領域)29への戻り防止を向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態に係るパチンコ機Pは、外ガイドレール(外レール)27と内ガイドレール(内レール)28との間の領域であって、発射された遊技球を遊技領域30に案内する案内通路(案内領域)29と、遊技球が遊技領域30から案内通路29に戻ることを防止する球戻り防止機構50と、を備え、球戻り防止機構50は、閉状態(第1状態)と、開状態(第2状態)と、に変位可能な開閉弁(変位部材)54bと、開閉弁54bを保持可能な本体ケース(保持部材)52と、を有し、開閉弁54bは、遊技領域30と対向する第2側面部(側面部)541bと、第2側面部541bの先端側の先端部と、を有し、先端部から外ガイドレール27までの距離を特定距離とすると、閉状態は、特定距離が開状態よりも短い状態であり、開状態は、特定距離が閉状態よりも長い状態であり、本体ケース52は、開状態において開閉弁54bの第2側面部541bと当接するストッパ壁(当接部)52cを有し、遊技球は、閉状態においてストッパ壁52cと第2側面部541b(の突出部541c)に接する場合があり、閉状態において、遊技球とストッパ壁52cの接点P8から遊技球と第2側面部541b(の突出部541c)の接点P7までの距離を第1距離H5とし、遊技球の最下点P6から最左点P9までの距離を第2距離H6とすると、第1距離H5は、第2距離H6よりも短いことを特徴とする。したがって、遊技領域30に進入した遊技球の案内通路(案内領域)29への戻り防止をさらに向上させることができる。
【0060】
[ファール球回収ユニットについて]
図15および
図16を参照して、ファール球回収ユニット80と遊技盤5等の他の部材との位置関係について説明する。
図15はファール球回収ユニット80および遊技盤5を前面側から視たときの平面図、
図16はファール球回収ユニット80および遊技盤5を背面側から視たときの平面図である。なお、
図15および
図16では、前扉3が開放されたことに基づいて発射口71の一部が閉鎖されている場合を示している。また、
図16では、説明の便宜上、ファール球回収ユニット80の一部を透明化している。
【0061】
図15および
図16に示すように、ファール球回収ユニット(ファール球回収手段)80は、内枠2(
図2参照)において遊技盤5の下方に配置されている。具体的には、ファール球回収ユニット80は、遊技盤5に設けられた発射口71の直下に配置されている。
【0062】
また、
図15および
図16に示すように、ファール球回収ユニット80の右斜め下方には、発射ユニット160が配置されている。発射ユニット160は、上述した発射装置(発射手段)16を有している。発射装置16は、操作ハンドル15の回転角度に応じた強度で遊技球を打ち出す打球機構16aを含む。
【0063】
さらに、
図15および
図16に示すように、ファール球回収ユニット80の右側前方には、整流器ユニット150が配置されている。整流器ユニット150は、発射ユニット160の発射装置16に遊技球を供給する。
【0064】
なお、図示は省略しているが、ファール球回収ユニット80の下方には、ファール球回収ユニット80の後述する球回収通路T(
図16参照)を通過した遊技球を貯留する球タンクが配置されている。球タンクに貯留された遊技球は、パチンコ機Pの循環通路を通った後に整流器ユニット150に送られる。
【0065】
このように、このパチンコ機Pにおいては、ファール球回収ユニット80に回収された遊技球は、従来のパチンコ機のように前扉3の前面に設けられた上皿や下皿に送られることなく、球タンク→パチンコ機Pの循環通路→整流器ユニット150→発射ユニット160(発射装置16)の順に送られるようになっている。
【0066】
次に、
図17~
図20を参照して、ファール球回収ユニット80の詳細について説明する。
図17はファール球回収ユニット80を前面側から視たときの斜視図、
図18はファール球回収ユニット80を背面側から視たときの斜視図、
図19はファール球回収ユニット80を前面側から視たときの分解斜視図、
図20はファール球回収ユニット80を背面側から視たときの分解斜視図である。なお、以下においては図中に示した矢印の向きを左右方向に規定する。
【0067】
図17~
図20に示すように、ファール球回収ユニット80は、カバー部材(第1カバー部)81と、ベース部材(第2カバー部)82と、緩衝部材(減勢部)83と、を備えている。カバー部材81は、ベース部材82と対面するようにベース部材82の前面側に取り付けられており、両者の間には緩衝部材83が設けられている。緩衝部材83は、例えばブタジエンゴム等から成り、ファール球が衝突することで当該ファール球を減勢する。
【0068】
カバー部材81は、略矩形平板状の第1本体部81aを有する(
図19,20参照)。第1本体部81aの上部中央には、略矩形状の第1開口部81bが形成されている。
【0069】
また、第1本体部81aの前面上部には、シャッター機構84が取り付けられている。シャッター機構84は、シャッター85と、シャッターカバー86と、を有する。シャッター85は、長尺状に延びるように形成されており、その一端部側には上下方向に延びる回転軸87が設けられている。この回転軸87の両端部(上端部および下端部)はシャッターカバー86に軸支されており、シャッター85は回転軸87を中心として回動可能となっている。また、この回転軸87にはバネ88(
図20参照)が巻回されており、シャッター85は回転軸87を真上から視たときに反時計回りに付勢されている。
【0070】
シャッターカバー86は、カバー部材81の第1本体部81aと協働してシャッター85を収納可能とする。シャッターカバー86の前面左側には、略矩形状の第2開口部86aが形成されている(
図17,19参照)。前扉3が開放された状態では、シャッター85の一部は上記した第1開口部81bおよび第2開口部86aから突出する一方、前扉3が閉鎖された状態では、シャッター85の一部は上記した第1開口部81bおよび第2開口部86aから突出しないようになっている。
【0071】
具体的には、前扉3が開放された状態では、シャッター85はバネ88の付勢力によって反時計回り回動する。そのため、シャッター85の一端部は、カバー部材81の第1開口部81bから突出し、シャッター85の他端部は、シャッターカバー86の第2開口部86aから突出する。そして、このシャッター85の一端部は、上述した発射口71の一部を閉鎖して、発射装置16により発射された遊技球が発射口71を通過することを阻止する。
【0072】
一方で、前扉3が閉鎖された状態では、ファール球回収ユニット80のシャッターカバー86は前扉3の背面と近接しており、この前扉3の背面は上記した第2開口部86aから突出するシャッター85の他端部を押圧している。そのため、シャッター85はバネ88の付勢力に抗して時計回りに回動する。よって、シャッター85は、シャッターカバー86の内側に収まっている。つまり、シャッター85の一端部は第1開口部81bから突出せず、また、他端部も第2開口部86aから突出しない。これにより、シャッター85の一端部は、上述した発射口71の一部を閉鎖することなく、発射装置16により発射された遊技球が発射口71を通過することを許容する。
【0073】
カバー部材81の第1本体部81aの背面側には、ベース部材82に向かって突出する軸部(保持軸)81cが形成されている。具体的には、軸部81cは、第1本体部81aの背面において、上記した第1開口部81bの左斜め下方に形成されている(
図20参照)。軸部81cは、例えば円柱形状に形成されており、緩衝部材83に形成された挿入孔83aに挿入されることで緩衝部材83を保持する。軸部81cの寸法の詳細について後述する。
【0074】
なお、カバー部材81は、ネジ81dによってベース部材82の前面に固定されている。また、シャッターカバー86は、その内側にシャッター85を収納した状態で、ネジ86cによってカバー部材81の前面に固定されている。
【0075】
ベース部材82は、カバー部材81の第1本体部81aと対向する略平板状の第2本体部82aと、第2本体部82aの下端部に繋がるように設けられたR形状の底面部82bと、を有する。これら第1本体部81a、第2本体部82a、および底面部82bによってファール球を回収する球回収通路T(
図16,18,21参照)が形成されている。
【0076】
緩衝部材83は、例えば多角柱形状に形成されており、上述したように軸部81cに保持されることで第1開口部81bの左斜め下方に配置されている(
図16,20参照)。また、緩衝部材83は、第1衝突面83bと、この第1衝突面83bと反対側に位置する第2衝突面83cと、を有する。第1衝突面83bは、緩衝部材83の左側に位置する面であって、右側から左側に向かって下方傾斜している(
図16,19,20参照)。そして、この第1衝突面83bは、案内通路29を流下したファール球が衝突する面となっている。一方、第2衝突面83cは、緩衝部材83の右側に位置する面であって、左側から右側に向かって下方傾斜している(同図参照)。そして、この第2衝突面83cは、第1開口部81bから突出したシャッター85の一端部と衝突したファール球がその後に衝突する面となっている。
【0077】
次に、
図21を参照して、カバー部材81の軸部81cの寸法について説明する。
図21および
図22は、
図16に示すファール球回収ユニット80のA-A線断面図である。なお、
図21および
図22において、説明の便宜上、緩衝部材83上に遊技球を描いているが、実際には遊技球(ファール球)は緩衝部材83に対して紙面の前面側または背面側で衝突する。また、以下においては図中に示した矢印の向きを前後方向に規定する。
【0078】
図21に示すように、軸部81cの寸法D1は、カバー部材81(第1本体部81a)の背面からベース部材82(第2本体部82a)の前面までの寸法D2よりも短く、カバー部材81の背面から遊技球(ファール球)Bの中心点Cまでの寸法D3よりも長い。すなわち、寸法D1,D2,D3との間には、D3<D1<D2の関係式が成立する。そのため、遊技球Bが緩衝部材83と衝突した場合には、その衝突方向の延長線上には必ず軸部81cが存在することになる。よって、遊技球Bが緩衝部材83と衝突する際に、緩衝部材83は遊技球Bと軸部81cとによって挟まれることで弾性力を十分に発揮できるので、遊技球を十分に減勢できる。なお、上記の「軸部81cの寸法D1」とは、軸部81cの基端から先端までの長さD1をいう。
【0079】
また、カバー部材81(第1本体部81a)の背面からベース部材82(第2本体部82a)の前面までの寸法D2は、緩衝部材83の寸法D4よりも長い。すなわち、寸法D2,D4との間には、D4<D2の関係式が成立する。そのため、
図21においては、緩衝部材83の前面とカバー部材81の背面との間に隙間SPが形成されている。そして、この隙間SPは、遊技球の半径(5.5mm)以下の値になっており、例えば2.0mmある。よって、遊技球Bが隙間SPを通過することはできず、上記したようにシャッター85の一端部に衝突した遊技球(ファール球)は、必ず、その後緩衝部材83に衝突するようになっている。
【0080】
なお、
図21においては、一例として遊技球B(ファール球)の前端がカバー部材81の背面に当接した状態を示しているが、遊技球Bが緩衝部材83と如何なる態様で衝突しても、上記D1,D2,D3に関する寸法関係は成立する。具体的には、遊技球Bはカバー部材81とベース部材82との間で前後方向に変位できるため、
図22に示すように、遊技球Bの後端がベース部材82の前面と当接した状態も生じ得る。この状態では、カバー部材81の背面から遊技球Bの中心点Cまでの寸法D3´は、上記した寸法D3よりも大きくなるが、寸法D1,D2,D3´の間には、D3´<D1<D2の関係式が成立する。そのため、
図22に示す状態であっても、遊技球Bが緩衝部材83と衝突した場合には、その衝突方向の延長線上には必ず軸部81cが存在することになるので、遊技球を十分に減勢できる。なお、詳細な説明は省略するが、遊技球Bが
図21の状態と
図22に示す状態の間の状態であっても、上記の寸法関係は成立し、遊技球を十分に減勢できるようになっている。
【0081】
このように構成されたファール球回収ユニット80がファール球を回収する仕方について先に示した
図16を参照して説明する。
【0082】
図16に示すように、前扉3が開放している状態で、発射装置16の打球機構16aが遊技球Bを打ち出すと、この遊技球Bは発射口71に向かって発射される。しかしながら、ファール球回収ユニット80のシャッター85の一端部が発射口71の一部を閉鎖しているため、発射された遊技球Bはシャッター85の一端部に衝突する。その後、この衝突した遊技球(ファール球)Bは、ファール球回収ユニット80の緩衝部材83の第2衝突面83cと衝突して減勢した後に、ファール球回収ユニット80の球回収通路Tを通って図示せぬ球タンクに送られる。
【0083】
一方、図示は省略するが、前扉が閉じられている状態では、上述したように発射装置16により発射された遊技球のうち遊技領域30に到達できなかった遊技球がファール球となり、このファール球は案内通路29を流下して発射口71へと向かう。この際に、ファール球回収ユニット80のシャッター85の一端部は発射口71を開放しているため、このファール球は発射口71を通過する。その後、ファール球はファール球回収ユニット80の緩衝部材83の第1衝突面83bと衝突して減勢した後に、ファール球回収ユニット80の球回収通路Tを通って図示せぬ球タンクに送られる。
【0084】
このように構成されたパチンコ機Pにおいては以下の効果を奏することができる。
【0085】
発射手段(本例では、発射装置16)により発射された遊技球のうち遊技領域(本例では、遊技領域30)に到達できなかったファール球を回収するファール球回収手段(本例では、ファール球回収ユニット80)を備えた遊技機(本例では、パチンコ機P)であって、前記ファール球回収手段は、第1カバー部(本例では、カバー部材81)と、前記第1カバー部と対面する第2カバー部(本例では、ベース部材82)と、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間に設けられ、ファール球が衝突することで当該ファール球を減勢する減勢部(本例では、緩衝部材83)と、を備え、前記第1カバー部または前記第2カバー部の何れか一方は、前記減勢部を保持する保持部(本例では、軸部81c)を有し、前記保持部の寸法(本例では、寸法D1)は、前記第1カバー部から前記第2カバー部までの寸法(本例では、寸法D2)よりも短く、前記第1カバー部または前記第2カバー部から前記減勢部と衝突したファール球の中心点(本例では、中心点C)までの寸法(本例では、寸法D3,D3´)よりも長いことを特徴とする。そのため、ファール球が減勢部と衝突した場合には、その衝突方向の延長線上には必ず保持部が存在することになる。よって、ファール球が減勢部と衝突する際に、減勢部はファール球と保持部とによって挟まれることで弾性力を十分に発揮できるので、ファール球を十分に減勢できる。したがって、ファール球を回収し易くすることができる。
【0086】
また、発射手段(本例では、発射装置16)により発射された遊技球のうち遊技領域(本例では、遊技領域30)に到達できなかったファール球を回収するファール球回収手段(本例では、ファール球回収ユニット80)を備えた遊技機(本例では、パチンコ機P)であって、前記ファール球回収手段は、第1カバー部(本例では、カバー部材81)と、前記第1カバー部と対面する第2カバー部(本例では、ベース部材82)と、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間に設けられ、ファール球が衝突することで当該ファール球を減勢する減勢部(本例では、緩衝部材83)と、を備え、前記第1カバー部または前記第2カバー部の何れか一方は、前記減勢部を保持する保持部(本例では、軸部81c)を有し、前記第1カバー部から前記第2カバー部までの寸法(本例では、寸法D2)は、前記減勢部の寸法(本例では、寸法D4)よりも長く、前記第1カバー部と前記減勢部との間、または前記第2カバー部と前記減勢部との間には、所定の隙間(本例では、隙間SP)が形成され、前記所定の隙間は、遊技球の半径以下であることを特徴とする。そのため、ファール球は、所定の隙間を通過することはできず、必ず、減勢部と衝突するようになっている。よって、ファール球を十分に減勢できるので、ファール球を回収し易くすることができる。
【0087】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0088】
例えば上記実施形態では、本発明を構成する「保持部」は、カバー部材81に設けられていたが、この構成に限定されることなく、ベース部材82に設けられてもよい。この場合でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0089】
また、上記実施形態では、
図21において、緩衝部材83の前面とカバー部材81の背面との間に所定の隙間SPが形成されていたが、緩衝部材83の背面とベース部材82との間に所定の隙間が形成されても良い。この場合でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0090】
また、上記実施形態では、
図21において、カバー部材81から緩衝部材83と衝突したファール球の中心点Cまでの距離を寸法D3としていたが、これに限定されることなく、ベース部材82から緩衝部材83と衝突したファール球の中心点Cまでの距離を寸法D3としても良い。この場合でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0091】
また、上記実施形態では、ファール球回収ユニットは、管理遊技機に適用されていたが、これに限定されることなく、前扉3に遊技球を貯留させる上皿が設けられており、この上皿から遊技球が発射装置に送られるとともに、遊技者が獲得した遊技球が上皿に払い出されるような周知の遊技機にも適用できる。
【0092】
さらに、上記実施形態において、カバー部材81は本発明を構成する「第1カバー部」に相当し、ベース部材82は本発明を構成する「第2カバー部」に相当する。
【0093】
また、上記実施形態では、
図11において球戻り防止部材54が閉状態と開状態との間の概ね中間の状態まで変位したときを示しているが、この状態に限られず、閉状態と開状態との間の任意の状態に変位したときについても本発明を適用可能である。
【0094】
また、上記実施形態では、
図11において、球戻り防止部材54によって遊技球B2が案内通路29に戻ることを抑制できることを示したが、仮に遊技領域30から境界領域70に戻ってきた遊技球B2に連続して、もう1球別の遊技球Cが境界領域70に戻ってきた場合でも、勿論、球戻り防止部材54によって2球の遊技球(遊技球B2と遊技球C)が案内通路29に戻ることを抑制できる。
【0095】
また、上記実施形態では、球戻り防止機構50は、内ガイドレール28の上端部に一体形成されていたが、この構成に限定されることなく、内ガイドレール28と別個に形成されても良い。
【0096】
また、上記実施形態では、案内通路29と遊技領域30との間に境界領域70が設けられていたが、この構成に限定されることなく、境界領域70は案内通路29に含まれても良い。
【0097】
また、上記実施形態では、開閉弁54bの第2側面部541bには、突出部541cが形成されていたが、この構成に限定されることなく、突出部541cが形成されることなく、第2側面部541bの表面を平坦状にしても良い。
【符号の説明】
【0098】
P パチンコ機(遊技機)
16 発射装置(発射手段)
80 ファール回収ユニット(ファール球回収手段)
81 カバー部材(第1カバー部)
82 ベース部材(第2カバー部)
83 緩衝部材(減勢部)
81c 軸部(保持部)
D1 軸部の寸法
D2 カバー部材からベース部材までの寸法
D3,D3´ カバー部材から緩衝部材と衝突したファール球の中心点までの寸法
D4 緩衝部材の寸法
SP 隙間(所定の隙間)