(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130992
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】位置検出装置およびツースブレーキ/クラッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 3/16 20060101AFI20230913BHJP
F16D 27/118 20060101ALI20230913BHJP
F16D 27/14 20060101ALI20230913BHJP
F16D 11/00 20060101ALI20230913BHJP
F16D 63/00 20060101ALI20230913BHJP
H01H 3/28 20060101ALI20230913BHJP
H01H 19/18 20060101ALI20230913BHJP
F16D 55/06 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
H01H3/16 B
F16D27/118
F16D27/14 A
F16D11/00 Z
F16D63/00 H
H01H3/28 A
H01H19/18 Z
F16D55/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035623
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】武石 隆聖
【テーマコード(参考)】
3J056
3J058
5G025
5G219
【Fターム(参考)】
3J056AA03
3J056BD15
3J056BD34
3J058AB21
3J058BA44
3J058CC13
3J058CC76
3J058FA49
5G025AA19
5G025BA06
5G025CA05
5G219FU13
5G219HT08
5G219JU03
5G219KS02
(57)【要約】
【課題】2つの部材の位置関係を検出するための位置検出装置にかかる負担を小さくする。
【解決手段】位置検出装置9は、左側に付勢され右側に押し込むことが可能なマイクロスイッチ31aと、マイクロスイッチ31aを押圧するための押圧部材32と、押圧部材32を左側に付勢するバネ35とを有する。押圧部材32は、上下方向に沿って延び、前後方向と平行なピン43を中心に揺動可能に支持されている。押圧部材32は、左側からマイクロスイッチ31aに接触する第1接触部41aと、前後方向において第1接触部41aとピン43との間に位置し、左側からアーマチュアに設けられたカバーが接触する第2接触部41bとを有する。ピン43は左右方向に移動可能に支持されている。バネ35は、ピン43を左側に付勢している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、前記第1部材よりも第1方向の一方側に配置され、前記第1部材と前記第1方向に相対移動可能な第2部材とが、前記第1方向に離れた離間状態にあるか、前記離間状態よりも前記第1方向に近接した近接状態にあるかを検出する、前記第2部材に設けられる位置検出装置であって、
前記第1方向の他方側に付勢されており、前記第1方向の前記一方側に押し込むことが可能なスイッチと、
前記スイッチを押圧するための押圧部材と、
前記押圧部材を前記第1方向の前記他方側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記押圧部材は、
前記第1方向と直交する第2方向に沿って延び、前記第1方向および前記第2方向のいずれとも直交する第3方向と平行な揺動軸を中心に揺動可能に支持され、
前記第1方向の前記他方側から前記スイッチに接触する第1接触部と、
前記第2方向において前記第1接触部と前記揺動軸との間に位置し、前記第1部材、または、前記第1部材と一体的に前記第2部材と相対移動可能な部材が、前記第1方向の前記他方側から接触する第2接触部と、を有し、
前記揺動軸が、前記第1方向に移動可能に支持され、
前記付勢部材が、前記押圧部材の前記第2方向において前記第2接触部よりも前記第1接触部から離れた部分を付勢することを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記押圧部材の前記揺動軸と前記第1方向に重なる部分を付勢することを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記第1接触部が前記スイッチに接触した状態で、前記スイッチと前記第2方向に摺動可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記第1接触部によって前記スイッチが所定量以上押し込まれないように前記第1接触部の前記第1方向の前記一方側への移動を規制するストッパー、を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項5】
磁性材料によって形成され、第1方向に延びた回転軸を中心に回転可能で、かつ、前記第1方向に移動可能なアーマチュアと、
前記アーマチュアよりも前記第1方向の一方側に配置されたヨークと、
前記ヨークに磁界を発生させるコイルと、
前記アーマチュアに設けられ、前記アーマチュアの周方向に並んだ複数の第1係合歯を有する第1係合部材と、
前記第1方向において、前記第1係合部材と前記ヨークとの間に位置し、前記ヨークの周方向に並んで前記複数の第1係合歯と前記第1方向に対向する複数の第2係合歯を有する第2係合部材と、
前記ヨークに設けられ、前記第1係合部材と前記第2係合部材とが、前記第1方向に離れて前記複数の第1係合歯と前記複数の第2係合歯とが接触しない離間状態にあるか、前記離間状態よりも前記第1方向に近接して前記複数の第1係合歯と前記複数の第2係合歯とが接触する近接状態にあるかを検出する位置検出装置と、を備え、
前記位置検出装置は、
前記第1方向の他方側に付勢されており、前記第1方向の前記一方側に押し込むことが可能なスイッチと、
前記スイッチを押圧するための押圧部材と、
前記押圧部材を前記第1方向の前記他方側に付勢する付勢部材と、を有し、
前記押圧部材は、
前記第1方向と直交する第2方向に沿って延び、前記第1方向および前記第2方向のいずれとも直交する第3方向と平行な揺動軸を中心に揺動可能に支持され、
前記第1方向の前記他方側から前記スイッチに接触する第1接触部と、
前記第2方向において前記第1接触部と前記揺動軸との間に位置し、前記アーマチュア、または、前記アーマチュアと一体的に前記第1方向に移動可能な部材が、前記第1方向の前記他方側から接触する第2接触部と、を有し、
前記揺動軸が、前記第1方向に移動可能に支持され、
前記付勢部材が、前記押圧部材の前記第2方向において前記第2接触部よりも前記第1接触部から離れた部分を付勢することを特徴とするツースブレーキ/クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材の位置関係を検出するための位置検出装置、および、位置検出装置を備えたツースブレーキ/クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの部材の位置関係を検出するための位置検出装置として、特許文献1には、ドアカバーの開閉を検知するためのインタロックスイッチ機構が記載されている。特許文献1のインタロックスイッチ機構では、前ドアカバーの開閉方向に回動自在に支持されたブラケットにインタロックスイッチが設けられ、インタロックスイッチにアクチュエータが設けられている。左ドアカバーおよび前ドアカバーのいずれかが開放されている状態では、インタロックスイッチがアクチュエータによって押圧されない。すなわち、インタロックスイッチがオフの状態になっている。左ドアカバーが閉じられた状態で前ドアカバーが閉じられると、ブラケットが押圧部材に押圧されることによって回動し、これに伴って、アクチュエータが上記押圧部材とは別の押圧部材に押し付けられる。これにより、アクチュエータが上記別の押圧部材に押圧されて変形してインタロックスイッチを押圧する。すなわち、インタロックスイッチがオンの状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1では、上述したようにアクチュエータが変形してインタロックスイッチを押圧するが、このときのアクチュエータの変形量には、装置を構成する各部材の寸法誤差、部材同士を組み付ける際の組付け誤差などの影響によってばらつきが生じる。そして、このばらつきの影響によってアクチュエータの変形量が大きくなる場合には、アクチュエータの負担が大きくなり、アクチュエータが破損してしまう虞がある。あるいは、ドアカバーが繰り返し開閉されることによってアクチュエータに繰り返し大きな負担がかかり、最終的にアクチュエータが疲労破壊により破損してしまう虞がある。
【0005】
また、後述するようなツースブレーキ/クラッチに特許文献1の機構を適用して、アーマチュアに設けられ複数の第1係合歯を有する第1係合部材と、ヨークに設けられ複数の第2係合歯を有する第2係合部材との位置関係を検出することを考える。ツースブレーキ/クラッチでは、釈放状態と歯先連結状態と完全連結状態とを取り得る。釈放状態とは、第1係合歯と第2係合歯とが離れた状態である。歯先連結状態とは、釈放状態よりも第1係合部材と第2係合部材とが近付いて、第1係合歯の歯先と第2係合歯の歯先とが接触した状態である。完全連結状態とは、歯先連結状態よりも第1係合部材と第2係合部材とが近付いて、第1係合歯と第2係合歯とが係合した状態である。
【0006】
そして、釈放状態においてスイッチがオフ状態となり、歯先連結状態および完全連結状態においてスイッチがオンの状態になるように構成する場合、釈放状態から歯先連結状態に切り換わるときに、アクチュエータが変形してスイッチを押圧することにより、スイッチをオフの状態からオンの状態に切り換える。また、この場合には、歯先連結状態から完全連結状態に切り換わるときに、アクチュエータがさらに変形する。そのため、この場合にも、アクチュエータの負担が大きくなり、アクチュエータが破損してしまう虞がある。あるいは、ツースブレーキ/クラッチにおいて、歯先連結状態と完全連結状態との切り換えが繰り返し行われることで、アクチュエータに繰り返し大きな負担がかかり、最終的にアクチュエータが疲労破壊により破損してしまう虞がある。
【0007】
本発明の目的は、大きな負担がかかることない位置検出装置、および、このような位置検出装置を備えたツースブレーキ/クラッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る位置検出装置は、第1部材と、前記第1部材よりも第1方向の一方側に配置され、前記第1部材と前記第1方向に相対移動可能な第2部材とが、前記第1方向に離れた離間状態にあるか、前記離間状態よりも前記第1方向に近接した近接状態にあるかを検出する、前記第2部材に設けられる位置検出装置であって、前記第1方向の他方側に付勢されており、前記第1方向の前記一方側に押し込むことが可能なスイッチと、前記スイッチを押圧するための押圧部材と、前記押圧部材を前記第1方向の前記他方側に付勢する付勢部材と、を備え、前記押圧部材は、前記第1方向と直交する第2方向に沿って延び、前記第1方向および前記第2方向のいずれとも直交する第3方向と平行な揺動軸を中心に揺動可能に支持され、前記第1方向の前記他方側から前記スイッチに接触する第1接触部と、前記第2方向において前記第1接触部と前記揺動軸との間に位置し、前記第1部材、または、前記第1部材と一体的に前記第2部材と相対移動可能な部材が、前記第1方向の前記他方側から接触する第2接触部と、を有し、前記揺動軸が、前記第1方向に移動可能に支持され、前記付勢部材が、前記押圧部材の前記第2方向において前記第2接触部よりも前記第1接触部から離れた部分を付勢する。
【0009】
本発明によると、第1部材と第2部材が近づいて離間状態から近接状態に切り換わるときに、押圧部材の第2接触部が押圧されることによって、押圧部材が揺動軸を中心に揺動する。これにより、スイッチが押圧部材によって押圧されてオフの状態からオンの状態に切り換わる。この状態から第1部材と第2部材がさらに近づくと、揺動軸が付勢部材の付勢力に逆らって第1方向の一方側に移動し、押圧部材がスイッチを中心に揺動する。これにより、押圧部材の負担が大きくならないようにすることができる。
【0010】
第2の発明に係る位置検出装置は、第1の発明に係る位置検知出装置において、前記付勢部材は、前記第1方向から見て前記押圧部材の前記揺動軸と重なる部分を付勢する。
【0011】
本発明では、付勢部材が前記第1方向から見て前記押圧部材の前記揺動軸と重なる部分を第1方向の他方側に付勢しているため、上記のように、スイッチが押圧部材によって押圧されてオフの状態からオンの状態に切り換わった状態から第1部材と第2部材がさらに近づいたときに、揺動軸が付勢部材の付勢力に逆らって第1方向の一方側に移動し、押圧部材がスイッチを中心に揺動する。これにより、押圧部材の負担が大きくならないようにすることができる。
【0012】
第3の発明に係る位置検出装置は、第1または第2の発明に係る位置検出装置において、前記押圧部材は、前記第1接触部が前記スイッチに接触した状態で、前記スイッチと前記第2方向に摺動可能に構成されている。
【0013】
本発明では、押圧部材がスイッチを中心に揺動する際に、押圧部材がスイッチと第2方向に摺動することによって第2方向にずれる。これにより、押圧部材をスムーズに揺動させることができる。
【0014】
第4の発明に係る位置検出装置は、第1~第3のいずれかの発明に係る位置検出装置において、前記第1接触部によって前記スイッチが所定量以上押し込まれないように前記第1接触部の前記第1方向の前記一方側への移動を規制するストッパー、を有する。
【0015】
本発明によると、押圧部材がスイッチを中心に揺動する際に、スイッチが過剰に押し込まれて破損してしまうのを防止することができる。
【0016】
第5の発明に係るツースブレーキ/クラッチは、磁性材料によって形成され、第1方向に延びた回転軸を中心に回転可能で、かつ、前記第1方向に移動可能なアーマチュアと、前記アーマチュアよりも前記第1方向の一方側に配置されたヨークと、前記ヨークに磁界を発生させるコイルと、前記アーマチュアに設けられ、前記アーマチュアの周方向に並んだ複数の第1係合歯を有する第1係合部材と、前記第1方向において、前記第1係合部材と前記ヨークとの間に位置し、前記ヨークの周方向に並んで前記複数の第1係合歯と前記第1方向に対向する複数の第2係合歯を有する第2係合部材と、前記ヨークに設けられ、前記第1係合部材と前記第2係合部材とが、前記第1方向に離れて前記複数の第1係合歯と前記複数の第2係合歯とが接触しない離間状態にあるか、前記離間状態よりも前記第1方向に近接して前記複数の第1係合歯と前記複数の第2係合歯とが接触する近接状態にあるかを検出する位置検出装置と、を備え、前記位置検出装置は、前記第1方向の他方側に付勢されており、前記第1方向の前記一方側に押し込むことが可能なスイッチと、前記スイッチを押圧するための押圧部材と、前記押圧部材を前記第1方向の前記他方側に付勢する付勢部材と、を有し、前記押圧部材は、前記第1方向と直交する第2方向に沿って延び、前記第1方向および前記第2方向のいずれとも直交する第3方向と平行な揺動軸を中心に揺動可能に支持され、前記第1方向の前記他方側から前記スイッチに接触する第1接触部と、前記第2方向において前記第1接触部と前記揺動軸との間に位置し、前記アーマチュア、または、前記アーマチュアと一体的に前記第1方向に移動可能な部材が、前記第1方向の前記他方側から接触する第2接触部と、を有し、前記揺動軸が、前記第1方向に移動可能に支持され、前記付勢部材が、前記押圧部材の前記第2方向において前記第2接触部よりも前記第1接触部から離れた部分を付勢する。
【0017】
本発明によると、第1係合部材と第2係合部材とが近づくと、第1係合部材と第2係合部材とは、離間状態から、複数の第1係合歯の歯先と複数の第2係合歯の歯先とが接触した歯先連結状態に切り換わる。第1係合部材と第2係合部材とがさらに近づくと、歯先連結状態から、複数の第1係合歯の歯先と複数の第2係合歯の歯先とが係合した完全連結状態に切り換わる。なお、歯先連結状態および完全連結状態が本発明の近接状態である。このとき、第1係合部材と第2係合部材とが近付くと、押圧部材の第2接触部が押圧されることによって、押圧部材が揺動軸を中心に揺動する。これにより、スイッチが押圧部材によって押圧されてオフの状態からオンの状態に切り換わる。この状態から第1係合部材と第2係合部材とがさらに近づくと、揺動軸が付勢部材の付勢力に逆らって第1方向の一方側に移動し、押圧部材がスイッチを中心に揺動する。これにより、押圧部材の負担が大きくならないようにすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、第1部材と第2部材(第1係合部材と第2係合部材)が近づいて離間状態から近接状態に切り換わるときに、押圧部材の第2接触部が押圧されることによって、押圧部材が揺動軸を中心に揺動する。これにより、スイッチが押圧部材によって押圧されてオフの状態からオンの状態に切り換わる。この状態から第1部材と第2部材(第1係合部材と第2係合部材)がさらに近づくと、揺動軸が付勢部材の付勢力に逆らって第1方向の一方側に移動し、押圧部材がスイッチを中心に揺動する。これにより、押圧部材の負担が大きくならないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)は本発明の実施形態に係るツースブレーキ/クラッチの概略構成図であり、(b)は(a)のシャフトの中心軸を通り且つこの中心軸と平行な断面の断面図である。
【
図2】(a)は
図1の板バネユニットを左側から見た図であり、(b)は(a)のIIB-IIB線断面図であり、(c)はアーマチュアがプーリから離れた状態での(b)に対応する図である。
【
図3】(a)はアーマチュア、カバーおよび第1係合部材を左側から見た図であり、(b)はヨークおよび第2係合部材を左側から見た図であり、(c)は、(a)、(b)のIIIC-IIIC線断面図である。
【
図4】(a)は
図1(a)の位置検出装置の拡大図であり、(b)は(a)を図の矢印IVBの方向から見た図であり、(c)は(a)を図の矢印IVCの方向から見た図である。
【
図5】(a)は歯先連結状態であるときの
図1(b)に対応する図であり、(b)は歯先連結状態であるときの
図3(c)に対応する図である。
【
図6】(a)は歯先連結状態であるときの
図1(a)に対応する図であり、(b)は歯先連結状態であるときの
図4(a)に対応する図である。
【
図7】(a)は完全連結状態であるときの
図1(b)に対応する図であり、(b)は完全連結状態であるときの
図3(c)に対応する図である。
【
図8】(a)は完全連結状態であるときの
図1(a)に対応する図であり、(b)は完全連結状態であるときの
図4(a)に対応する図である。
【
図9】(a)はレバーの先端部が湾曲している例の
図6(b)に対応する図であり、(b)はレバーの先端部が湾曲しておらず、歯先連結状態でレバーの先端部がスイッチユニットの表面に接触する場合を示す図である。
【
図10】(a)はスイッチユニットの表面にストッパーを設けた例の
図4(a)に対応する図であり、(b)はスイッチユニットの表面にストッパーを設けた例の
図4(b)に対応する図であり、(c)は押圧部材の移動がストッパーにより規制されている状態を説明するための(a)に対応する図である。
【
図11】(a)は板状の部材を折り曲げて揺動支持部材を形成した場合の
図4(b)に対応する図であり、(b)は板状の部材を折り曲げて揺動支持部材を形成した場合の
図4(c)に対応する図である。
【
図12】(a)はツースクラッチの
図1(a)に対応する図であり、(b)はツースクラッチの
図1(b)に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ここで、以下に説明するツースブレーキ1は任意の向きに配置され得る。しかしながら、便宜上、以下では、
図1(a)、(b)の左右方向を左右方向とし、
図1(a)、(b)の上下方向を上下方向とし、
図1の紙面垂直方向を前後方向として説明を行う。また、以下では、
図1(a)、(b)の左側および右側をそれぞれ左側および右側とし、
図1(a)、(b)の上側および下側をそれぞれ上側および下側とし、
図1(a)、(b)の紙面直交方向の手前側および奥側をそれぞれ前側および後側として説明を行う。なお、本実施形態では、左右方向が本発明の「第1方向」に相当し、右側および左側が、それぞれ、本発明の「第1方向の一方側」および「第1方向の他方側」に相当する。また、本実施形態では、上下方向が本発明の「第2方向」に相当する。また、本実施形態では、前後方向が本発明の「第3方向」に相当する。
【0021】
<ツースブレーキの構造>
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態のツースブレーキ1は、シャフト2、プーリ3と、アーマチュア4と、ヨーク5と、コイル6と、第1係合部材7(本発明の「第1部材」)と、第2係合部材8(本発明の「第2部材」)と、位置検出装置9とを備えている。
【0022】
シャフト2は、左右方向に延びている。プーリ3は、左右方向に間隔を空けて並んだ2つのベアリング11a、11bを介してシャフト2に連結されており、シャフト2に回転自在に支持されている。これにより、プーリ3は、シャフト2の中心軸2a(本発明の「回転軸」)を中心に回転可能である。
【0023】
アーマチュア4は、プーリ3の右側に配置されている。アーマチュア4は金属などの磁性材料からなり、左右方向を軸方向とする円柱状に形成されている。また、アーマチュア4の中央部には、左右方向にアーマチュア4を貫通する貫通孔4aが形成されており、シャフト2が貫通孔4aに挿通されている。また、アーマチュア4の外周面にはその全周にわたって延びたカバー13が取り付けられている。また、カバー13は、アーマチュア4よりも右側まで延びている。
【0024】
また、プーリ3とアーマチュア4とは板バネユニット12を介して連結されている。板バネユニット12は、
図1(a)、(b)および
図2(a)~(c)に示すように、複数の板バネ15と、複数の第1ピン16と、複数の第2ピン17とを有する。
【0025】
複数の板バネ15は、左右方向から見て円形に構成され、左右方向に並んでいる。各板バネ15は、シャフト2が挿通される1つの貫通孔15aと、周方向に交互に並んだ複数の貫通孔15bと複数の貫通孔15cとを有する。なお、板バネユニット12を形成する板バネ15の数は複数であることに限られず1つであってもよい。
【0026】
複数の第1ピン16は、複数の貫通孔15bに対して設けられ、左端部がプーリ3に固定されている。各第1ピン16は、複数の板バネ15の対応する貫通孔15bに挿通されている。複数の板バネ15は、2つのカラー18、あるいは、1つのカラー18と第1ピン16の左端部に設けられた段差部16aとによって左右方向から挟まれている。また、最も右側に位置するカラー18が、第1ピン16の右端部にカシメなどによって固定されていることにより、複数の板バネ15が第1ピン16に固定されている。
【0027】
複数の第2ピン17は、複数の貫通孔15cに対して設けられ、右端部がアーマチュア4に固定されている。各第2ピン17は、複数の板バネ15の対応する貫通孔15cに挿通されている。複数の板バネ15は、2つのカラー19、あるいは、1つのカラー19と、第2ピン17の右端部に設けられた段差部17aとによって左右方向から挟まれている。そして、最も左側に位置するカラー19が第2ピン17の左端部にカシメなどによって固定されていることにより、複数の板バネ15が第2ピン17に固定されている。
【0028】
なお、第1ピン16の右端部にカラー18を固定し、第2ピン17の左端部にカラー19を固定することによって、複数の板バネ15をプーリ3およびアーマチュア4に固定する代わりに、プーリ3に固定される複数のボルトと、アーマチュア4に固定される複数のボルトとによって、複数の板バネ15をプーリ3およびアーマチュア4に固定してもよい。
【0029】
そして、プーリ3とアーマチュア4とが板バネユニット12を介して連結されていることにより、アーマチュア4は、プーリ3と一体的にシャフト2の中心軸2aを中心に回転可能となっているとともに、左右方向に移動可能となっている。また、アーマチュア4が中心軸2aを中心に回転するときには、アーマチュア4とカバー13とが一体的に回転する。また、アーマチュア4が左右方向に移動するときには、アーマチュア4とカバー13とが一体的に左右方向に移動する。
【0030】
また、後述する釈放状態となっていて、プーリ3とアーマチュア4とが近接しているときには、
図2(b)に示すように、板バネユニット12において、複数の板バネ15が弾性変形していない。一方、後述する歯先連結状態または完全連結状態となり、アーマチュア4がプーリ3から離れているときには、
図2(c)に示すように、板バネユニット12において、複数の板バネ15が、複数の第2ピン17に固定された部分が複数の第1ピン16に固定された部分よりも右側に位置するように弾性変形する。これにより、複数の板バネ15には
図2(b)の状態に戻ろうとする力が生じる。その結果、アーマチュア4は、複数の板バネ15により左側に引っ張られる。
【0031】
なお、プーリ3とアーマチュア4とを連結する構造は上記のものには限られない。例えば、プーリ3とアーマチュア4とが、これらの周方向に並んだ複数のコイルバネを介して連結されていてもよい。
【0032】
ヨーク5は、アーマチュア4の右側に配置され、左右方向から見てアーマチュア4と重なっている。ヨーク5は、金属などの磁性材料からなり、左右方向を軸方向とする円柱状に構成されている。ヨーク5の中央部には、ヨーク5を左右方向に貫通する貫通孔5aが形成され、シャフト2が貫通孔5aに挿通されている。
【0033】
また、ヨーク5は、シャフト2に固定されており、シャフト2に沿って左右方向に移動することもなく、シャフト2の中心軸2aを中心に回転することもない。
【0034】
コイル6は、ヨーク5内に設けられており、ヨーク5の周方向の全周にわたって延びている。コイル6は、図示しない配線を介して図示しない電源などに接続されており、電流が流れている状態と電流が流れていない状態とを切り換えることができる。コイル6に電流が流れているときにはコイル6の周囲に磁界が発生する。ここで、本実施形態のツースブレーキ1では、コイル6の周囲に発生した磁界が、主に、後述する
図5(a)、
図7(a)に矢印Mで示すように、アーマチュア4とヨーク5とにわたって形成される磁路を通る。そして、この磁路を通る磁界によって、アーマチュア4が右側(ヨーク5側)に引っ張られる。一方、コイル6に電流が流れていないときにはコイル6の周囲に上記磁界が発生しない。また、上述の磁路は、例えば、シャフト2の少なくとも一部およびヨーク5の一部を非磁性材料で形成することによって形成することができる。あるいは、上記磁路は、例えば、シャフト2の少なくとも一部を非磁性材料で形成し、ヨーク5の一部に空間を形成することによって形成することができる。ただし、上述の磁路を形成するための構成は従来と同様であるので、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0035】
第1係合部材7は、アーマチュア4の右側の表面の外周部に設けられ、アーマチュア4の全周にわたって延びている。
図3(a)、(c)に示すように、第1係合部材7は、その周方向に並んだ複数の第1係合歯21を有する。第2係合部材8は、ヨーク5の左側の表面の外周部に設けられ、ヨーク5の全周にわたって延び、左右方向から見て第1係合部材7と重なっている。これにより、第2係合部材8が、左右方向において、第1係合部材7とヨーク5との間に位置している。
図3(b)、(c)に示すように、第2係合部材8は、その周方向に並んだ複数の第2係合歯22を有する。また、第1係合部材7および第2係合部材8は、カバー13によって覆われている。
【0036】
位置検出装置9は、ヨーク5の前側に配置されている。
図1(a)、
図4(a)~(c)に示すように、位置検出装置9は、スイッチユニット31と、押圧部材32と、支持部材33、34と、バネ35(本発明の「付勢部材」)とを有する。
【0037】
スイッチユニット31は、略直方体状に構成されている。スイッチユニット31は、マイクロスイッチ31a(本発明の「スイッチ」)を有する。マイクロスイッチ31aは、スイッチユニット31の左側の表面31bから左側に突出している。マイクロスイッチ31aは、図示しないバネなどにより、左側に付勢されている。マイクロスイッチ31aは、右側に押圧することにより、上記バネ等の付勢力に逆らって右側に押し込むことができるようになっている。マイクロスイッチ31aは、押し込まれていないときにオフの状態となり、押し込まれたときにオンの状態になる。
【0038】
押圧部材32は、レバー41と、揺動支持部材42と、ピン43(本発明の「揺動軸」)とを有する。ここで、押圧部材32を構成する各部材(レバー41、揺動支持部材42、ピン43)の材質は特に限定されないが、押圧部材32がコイル6の周囲に発生した磁界の影響を受けないようにするために、押圧部材32を構成する各部材を非磁性材料によって形成してもよい。
【0039】
レバー41は、上下方向に沿って延びた板状の部材であり、カバー13よりも右側に位置し、左右方向から見てカバー13と重なっている。レバー41の下端部は、左右方向から見てマイクロスイッチ31aと重なっており、左側からマイクロスイッチ31aに接触する第1接触部41aとなっている。また、レバー41は、上端部において左側に折れ曲がっている。そして、このように折れ曲がったレバー41の上端部が、後述するようにカバー13が左側から接触する第2接触部41bとなっている。
【0040】
揺動支持部材42は、略直方体のブロック状の部材である。レバー41の上側の部分が、図示しないネジなどによって揺動支持部材42に固定されている。揺動支持部材42の第2接触部41bよりも上側に位置する部分には、揺動支持部材42を前後方向に貫通する貫通孔42aが形成されている。貫通孔42aには前後方向に延びるピン43が圧入されている。ピン43は、前後方向の両側に揺動支持部材42よりも外側まで延びている。また、揺動支持部材42の右側の面の、左右方向から見てピン43と重なる部分には凹部42bが形成されている。
【0041】
支持部材33は、2つの第1部分33aと1つの第2部分33bとを有する。2つの第1部分33aは、左右方向に延び、前後方向の両側から揺動支持部材42を挟むように配置されている。1つの第2部分33bは、前後方向に延びて2つの第1部分33aの右端部同士を接続する。2つの第1部分33aには、それぞれ、第1部分33aを前後方向に貫通しているとともに、左右方向に延びたガイド孔33cが形成されている。ピン43の揺動支持部材42よりも前側および後側に位置する部分が、それぞれ、前側および後側の第1部分のガイド孔33cに挿通されている。そして、ピン43は、ガイド孔33c内で回転可能となっている。これにより、押圧部材32は、支持部材33により、ピン43を中心に揺動可能に支持されている。また、ピン43は、ガイド孔33cに沿って左右方向に移動可能なっている。すなわち、ピン43は、支持部材33により、左右方向に移動可能に支持されている。
【0042】
なお、
図4(a)~(c)では、ピン43が、前後方向の両側に、支持部材33よりも外側まで飛び出しているが、これには限られない。前後方向において、ピン43の前端の位置と、前側の第1部分33aの前端の位置とが同じであってもよい。同様に、前後方向において、ピン43の後端の位置と、後側の第1部分33aの後端の位置とが同じであってもよい。また、ピン43の前端が、前側の第1部分33aのガイド孔33cの内部に位置していてもよい。同様に、ピン43の後端が、後側の第1部分33aのガイド孔33cの内部に位置していてもよい。
【0043】
バネ35は、揺動支持部材42と第2部分33bとの間に設けられており、左右方向に延びている。バネ35は、揺動支持部材42のピン43と左右方向に重なる部分を左側に付勢する。
【0044】
また、揺動支持部材42の右側の面に凹部42bが設けられ、バネ35の左端部が凹部42bにはめ込まれることによって、バネ35の左端部が揺動支持部材42に支持されている。あるいは、揺動支持部材42の右側の面に、左右方向に延びた図示しないピンが設けられ、バネ35の左端部にこのピンが挿通されることによって、バネ35の左端部が揺動支持部材42に支持されていてもよい。
【0045】
また、支持部材33の第2部分33bの左側の面に凹部33b1が設けられ、バネ35の右端部が凹部33b1にはめ込まれることによって、バネ35の右端部が第2部分33bに支持されている。あるいは、例えば、第2部分33bの左側の面に、左右方向に延びた図示しないピンが設けられ、バネ35の右端部にこのピンが挿通されることによって、バネ35の右端部が第2部分33bに支持されていてもよい。
【0046】
支持部材34には、図示しないネジなどによって、スイッチユニット31および支持部材33が固定されている。これにより、スイッチユニット31と支持部材33との位置関係が維持される。
【0047】
<ツースブレーキの動作>
次に、ツースブレーキ1の動作について説明する。コイル6に電流が流れていない状態では、ヨーク5に磁界が発生しておらず、
図1(a)、(b)に示すようにアーマチュア4とヨーク5とが左右方向に離れている。これにより、
図1(b)、
図3(c)に示すように、第1係合部材7と第2係合部材8も左右方向に離れており、第1係合部材7と第2係合部材8とは、複数の第1係合歯21と複数の第2係合歯22とが接触しない釈放状態(本発明の「離間状態」)となっている。また、この状態では、
図1(a)、
図4(a)に示すように、マイクロスイッチ31aは、押し込まれておらず、オフの状態である。
【0048】
コイル6に電流を流すと、ヨーク5に磁界が発生し、この磁界によってアーマチュア4が右側に移動してヨーク5に近づく。これにより、まず、
図5(a)、(b)に示すように、第1係合部材7と第2係合部材8とは、複数の第1係合歯21の歯先と複数の第2係合歯22の歯先とが接触した歯先連結状態となる。
【0049】
また、このとき、
図6(a)、(b)に示すように、レバー41の第2接触部41bがカバー13によって右側に押圧される。一方で、上述したように、ピン43がバネ35によって左側に付勢されている。そのため、押圧部材32がピン43を中心に揺動する。これにより、レバー41の第1接触部41aが右側に移動し、マイクロスイッチ31aがレバー41によって押し込まれる。その結果、マイクロスイッチ31aがオフの状態からオンの状態に切り換わる。なお、このとき、ピン43の左右方向の位置はほとんど変化しない。
【0050】
アーマチュア4は、歯先連結状態となっているときの位置からさらに右側に移動してヨーク5により近づく。これにより、
図7(a)、(b)に示すように、第1係合部材7が歯先連結状態のときよりも第2係合部材8に近づいて、第1係合部材7と第2係合部材8とは、複数の第1係合歯21と複数の第2係合歯22とが係合した完全連結状態となる。また、ツースブレーキ1では、歯先連結状態および完全連結状態において、アーマチュア4とヨーク5とが、第1係合部材7と第2係合部材8とを介して連結される。これにより、プーリ3およびアーマチュア4がヨーク5に保持される。なお、本実施形態では歯先連結状態および完全連結状態が、本発明の「近接状態」に相当する。
【0051】
また、このとき、
図8(a)~(c)に示すように、レバー41の第2接触部41bがカバー13によって押圧されることによって、押圧部材32において、レバー41の第1接触部41aがマイクロスイッチ31aを押圧した状態を維持しつつ、ピン43がバネ35の付勢力に逆らって右側に移動する。これにより、押圧部材32は、マイクロスイッチ31aの左端を中心に揺動する。また、本実施形態では、第1接触部41aはマイクロスイッチ31aに固定されておらず、第1接触部41aがマイクロスイッチ31aと上下方向に摺動可能である。そして、押圧部材32は、マイクロスイッチ31aの左端を中心に揺動するときには、レバー41がマイクロスイッチ31aと摺動して下側にずれる。
【0052】
また、アーマチュア4が右側に移動してヨーク5に近づくときには、アーマチュア4がプーリ3から離れる。したがって、上述したように、アーマチュア4には、複数の板バネ15により左側に引っ張られる。すなわち、アーマチュア4が右側に移動してヨーク5に近づくときには、アーマチュア4は、板バネ15により引っ張られる力に逆らって移動する。
【0053】
アーマチュア4がプーリ3から離れた状態でコイル6に電流が流れないようにすると、ヨーク5の磁界が消失し、アーマチュア4は、複数の板バネ15に引っ張られることによって左側に移動し、
図1(a)、(b)の位置まで戻る。また、このとき、第1係合部材7および第2係合部材8は、
図3(c)に示す釈放状態となる。また、このとき、押圧部材32がカバー13に押圧されなくなり、マイクロスイッチ31aおよびバネ35の付勢力によって
図1(a)、
図4(a)の位置に戻る。
【0054】
<効果>
本実施形態では、釈放状態となっているときにマイクロスイッチ31aがオフの状態となり、歯先連結状態および完全連結状態となっているときにマイクロスイッチ31aがオンの状態となるようにしている。これにより、第1係合部材7と第2係合部材8とが、互いに連結されていない釈放状態にあるか、互いに連結された歯先連結状態または完全連結状態にあるかを検出することができる。一方で、完全連結状態では、歯先連結状態よりも、第1係合部材7が第2係合部材8に近い位置に位置する。
【0055】
ここで、本実施形態と異なり、押圧部材32において、ピン43が左右方向に移動可能となっていない、すなわち、ピン43の左右方向の位置が固定されている場合を考える。この場合、第1係合部材7が釈放状態となるときの位置から歯先連結状態となるときの位置まで移動するときには、本実施形態と同様に、押圧部材32がピン43を中心に揺動する。
【0056】
しかしながら、この場合には、第1係合部材7が、歯先連結状態となるときの位置から完全連結状態となるときの位置まで移動するときに、カバー13が右側に移動して、レバー41の第2接触部41bを押圧して右側に移動させる。一方で、このとき、レバー41の第1接触部41aはスイッチユニット31に押し付けられるが、第1接触部41a左右方向の位置はほとんど変化しない。これらのことから、レバー41が大きく弾性変形され、レバー41の負担が大きくなり、レバー41が破損してしまう虞がある。あるいは、ツースブレーキ1において、歯先連結状態と完全連結状態との切り換えが繰り返し行われることで、レバー41に繰り返し大きな負担がかかり、最終的にレバー41が疲労破壊により破損してしまう虞がある。
【0057】
これに対して、本実施形態では、ピン43が、ガイド孔33cに沿って左右方向に移動可能となっているとともに、バネ35により左側に付勢されている。したがって、上述したように、第1係合部材7が釈放状態となるときの位置から歯先連結状態となるときの位置まで移動するときには、押圧部材32がピン43を中心に揺動する。さらに、第1係合部材7が、歯先連結状態となるときの位置から完全連結状態となるときの位置まで移動するときに、ピン43がバネ35の付勢力に逆らって右側に移動する。すなわち、押圧部材32がマイクロスイッチ31aの左端を中心として揺動する。これにより、レバー41が大きく弾性変形することがなく、レバー41の負担を低減してレバー41が破損してしまうのを防止することができる。
【0058】
また、本実施形態では、第1接触部41aがマイクロスイッチ31aに対して上下方向に摺動可能である。したがって、押圧部材32がマイクロスイッチ31aの左端を中心として揺動する際に、第1接触部41aがマイクロスイッチ31aと摺動して下側にずれる。これにより、押圧部材32をマイクロスイッチ31aの左端を中心としてスムーズに揺動させることができる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載の限りにおいて、さまざまな変更が可能である。
【0060】
変形例1では、
図9(a)に示すように、レバー41の下端部(第2接触部41bよりも第1接触部41aに近い先端部)に、先端に向かうほど左側に向かうように湾曲した湾曲部101が設けられている。これにより、レバー41の湾曲部101によって形成される先端部の右側の面が、右側(スイッチユニット31側)に凸となるように湾曲した曲面となっている。
【0061】
ここで、レバー41のサイズなどによっては、歯先連結状態となっているときに、レバー41の下端部がスイッチユニット31の表面31bに接触することがある。この場合、押圧部材32がマイクロスイッチ31aの左端を中心に揺動し、レバー41がマイクロスイッチ31aと摺動して押圧部材32下側にずれるときに、レバー41の下端部がスイッチユニット31の表面31bに押し付けられた状態で下側に移動する。
【0062】
このとき、変形例1と異なり、
図9(b)に示すように、レバー41の下端部に湾曲部が設けられていないと、レバー41の下端部の角の部分が、スイッチユニット31の表面31bに押し付けられた状態で下側に移動することになる。そのため、レバー41の下端部の角の部分が、スイッチユニット31の表面31bに引っかかってレバー41の負担が大きくなる虞がある。ここで、板状のレバー41が板金をプレス加工で切断して形成した場合、上記角の部分にダレやバリが存在するため、スイッチユニット31の表面31bに引っかかりやすく、レバー41の負担が特に大きくなる虞がある。
【0063】
これに対して、変形例1では、上述したように、レバー41の下端部に湾曲部101が設けられている。そして、レバー41の下端部がスイッチユニット31の表面31bに接触するときには、レバー41の湾曲部101によって形成される曲面がスイッチユニット31の表面31bに接触する。したがって、レバー41の下端部がスイッチユニット31の表面31bに押し付けられた状態で上下方向に移動しても、レバー41の先端部がスイッチユニット31の表面31bに引っかかりにくく、レバー41の負担を低減することができる。
【0064】
変形例2では、
図10(a)、(b)に示すように、スイッチユニット31の表面31bのマイクロスイッチ31aを取り囲む部分に、表面31bから左側に突出したストッパー102が設けられている。ストッパー102の表面31bからの突出量は、マイクロスイッチ31aがオンの状態とオフの状態とが切り換わる位置に位置しているときの、スイッチユニット31の表面31bからの突出量よりも小さい。そして、ストッパー102により、押圧部材32が、
図10(c)に示すようにレバー41の第1接触部41aがストッパー102と接触するときの位置よりも右側に移動することが規制されている。
【0065】
変形例2では、上記のようにストッパー102によってレバー41の第1接触部41aの右側への移動が規制される。これにより、押圧部材32がマイクロスイッチ31aの左端を中心に揺動する際に、マイクロスイッチ31aが過剰に押し込まれてスイッチユニット31が破損してしまうのを防止することができる。
【0066】
また、上述の実施形態では、第1接触部41aがマイクロスイッチ31aと上下方向に摺動可能であったが、これには限られない。例えば、釈放状態から歯先連結状態に切り換わった後の、マイクロスイッチ31aと第1接触部41aとの摩擦力が大きいなど、釈放状態から歯先連結状態に切り換わった後に、マイクロスイッチ31aと第1接触部41aとが上下方向に摺動しないようになっていてもよい。この場合、例えば、ガイド孔33cを右側に向かうほど上側に向かうように左右方向に対して傾いた方向に延びたものとすればよい。このようにすれば、押圧部材32がマイクロスイッチ31aの左端を中心に揺動する際に、ピン43が上側にずれることによって、押圧部材32をスムーズに揺動させることができる。また、この場合、ガイド孔33cと同様に、バネ35を右側に向かうほど上側に向かうように左右方向に対して傾いた方向に延びたものとしてもよい。
【0067】
また、上述の実施形態では、第1係合部材7が釈放状態となるときの位置から歯先連結状態となるときの位置まで移動するときに、押圧部材32がピン43を中心に揺動する。さらに、第1係合部材7が歯先連結状態となるときの位置から完全連結状態となるときの位置まで移動するときに、ピン43がバネ35の付勢力に逆らって右側に移動する。しかしながら、これには限られない。
【0068】
例えば、第1係合部材7が釈放状態となるときの位置から歯先連結状態となるときの位置まで移動するときに、押圧部材32がピン43を中心に揺動し、その後、ピン43がバネ35の付勢力に逆らってさらに右側に移動するように構成されていてもよい。なお、この場合、第1係合部材7が歯先連結状態となるときの位置から完全連結状態となるときの位置まで移動するときには、ピン43がバネ35の付勢力に逆らってさらに右側に移動する。
【0069】
あるいは、例えば、第1係合部材7が歯先連結状態となるときの位置から、この位置と完全連結状態となるときの位置との間の途中位置まで移動するときに、押圧部材32がピン43を中心に揺動し、第1係合部材7が上記途中位置から完全連結状態となるときの位置まで移動するときに、ピン43がバネ35の付勢力に逆らって右側に移動するように構成されていてもよい。なお、この場合、第1係合部材7が釈放状態となるときの位置から歯先連結状態となるときの位置まで移動するときに、上述の実施形態と同様、押圧部材32がピン43を中心に揺動する。
【0070】
また、上述の実施形態では、アーマチュア4に設けられたカバー13がレバー41の第2接触部41bに接触して押圧部材32を押圧したが、これには限られない。カバー13とは別の、アーマチュア4と一体的に左右方向に移動可能な部材が、レバー41の第2接触部41bに接触して押圧部材32を押圧してもよい。あるいは、アーマチュア4がレバー41の第2接触部41bに接触して押圧部材32を押圧してもよい。
【0071】
また、上述の実施形態では、揺動支持部材42がブロック状の部材であったが、これには限られない。変形例3では、
図11(a)、(b)に示すように、揺動支持部材103は板状の部材が折り曲げられることによって形成されており、レバー固定部103aと、2つの対向部103bとを有する。レバー固定部103aには、レバー41の上側の部分が図示しないネジなどによって固定されている。2つの対向部103bは、レバー固定部103aの前端部および後端部に設けられ、レバー固定部103aから右側に延びている。また2つの対向部103bは、前後方向に対向している。また、各対向部103bの、第2接触部41bよりも上側に位置する部分には、対向部103bを前後方向に貫通する貫通孔103cが形成されている。ピン43は、2つの対向部103bの貫通孔103cに挿通されているとともに、2つの対向部103bよりも前後方向の外側にはみ出している。
【0072】
また、上述の実施形態では、押圧部材32が、レバー41と揺動支持部材42とピン43の3つの部材によって形成されていたが、これには限られない。押圧部材は、1つの部材によって形成されていてもよいし、3つ以上の部材によって形成されていてもよい。
【0073】
また、上述の実施形態では、バネ35が押圧部材32の左右方向から見てピン43と重なる部分を付勢していたが、これには限られない。バネ35は、押圧部材32の第2接触部41bよりも上側の別の部分(第2接触部41bよりも第1接触部41aから離れた部分)を付勢するものであってもよい。具体的には、バネ35は、揺動支持部材42の上下方向において第2接触部41bとピン43との間に位置する部分を付勢するものであってもよい。あるいは、バネ35は、揺動支持部材42のピン43よりも上側の部分を付勢するものであってもよい。
【0074】
また、上述の実施形態では、板状のレバー41によって形成される第2接触部41bがカバー13と接触するように構成されていたが、これには限られない。例えば、レバー41の折り曲げられた上端部に、前後方向に延びた軸を中心に回転可能に支持されたローラを設け、カバー13がこのローラに接触するように構成してもよい。アーマチュア4が右側に移動してカバー13が押圧部材32に接触するときに、カバー13はアーマチュア4とともに回転しつつ押圧部材32に接触する。レバー41に上記のようなローラを設けた場合には、回転しつつ押圧部材32に接触するカバー13がこのローラに接触し、このローラが回転する。これにより、カバー13およびレバー41の摩耗を抑えることができる。なお、この場合には、ローラが本発明の「第2接触部」に相当する。
【0075】
また、以上では、位置検出装置を備えたツースブレーキの例について説明したが、これには限られない。変形例3では、
図12(a)、(b)に示すように、ツースクラッチ110が、上述の実施形態のツースブレーキ1と同様の、シャフト2、プーリ3と、アーマチュア4と、第1係合部材7と、第2係合部材8と、位置検出装置9とを備えている。また、ツースクラッチ110は、ヨーク111、およびロータ112を備えている。
【0076】
ヨーク111は、アーマチュア4の右側に配置され、左右方向から見てアーマチュア4と重なっている。ヨーク111は、金属などの磁性材料からなり、左右方向を軸方向とする円柱状に構成されている。ヨーク111の中央部には、ヨーク111を左右方向に貫通する貫通孔111aが形成され、シャフト2が貫通孔111aに挿通されている。なお、貫通孔111aは、上述の実施形態のヨーク5に形成された貫通孔5aよりも径が大きい。また、ヨーク111内には、上述の実施形態で説明したのと同様のコイル6が設けられている。なお、ヨーク111も、ヨーク5と同様、シャフト2に沿って左右方向に移動することはなく、シャフト2の中心軸2aを中心に回転することもない。
【0077】
ロータ112は、挿通部112aと対向部112bとを有する。挿通部112aは、左右方向に延びた円柱状の部分であり、貫通孔111aに挿通されている。また、挿通部112aは、シャフト2に固定されているとともに、ベアリング113を介してヨーク111に連結されている。これにより、シャフト2とロータ112とが、シャフト2の中心軸2aを中心に一体的に回転可能となっている。対向部112bは、挿通部112aと左端部とつながった、左右方向から見て挿通部112aよりも径の大きい円形の部分である。対向部112bは、ヨーク111の左側に位置し、アーマチュア4と対向している。そして、対向部112bの左側の表面に、第1係合部材7と対向する第2係合部材8が配置されている。これにより、第2係合部材8が、左右方向において、第1係合部材7とヨーク111との間に位置している。
【0078】
ツースクラッチ110においても、上述の実施形態のツースブレーキ1と同様、コイル6に電流を流すと、アーマチュア4が右側に移動することにより、第1係合部材7と第2係合部材8とが、釈放状態から歯先連結状態に切り換わり、さらにその後、歯先連結状態から完全連結状態に切り換わる。また、このとき、位置検出装置9が上述の実施形態と同様に動作する。
【0079】
ただし、ツースクラッチ110においては、スーツブレーキ1と異なり、歯先連結状態および完全連結状態において、アーマチュア4とロータ112とが、第1係合部材7および第2係合部材8を介して連結されることにより、プーリ3およびアーマチュア4と、シャフト2およびロータ112との間での動力の伝達が可能となる。
【0080】
さらには、ツースブレーキ/クラッチの以外の装置において第1部材と第2部材との位置関係を検出するための装置として、本発明の位置検出装置を採用してもよい。
【0081】
例えば、建造物または各種装置が備える扉の開閉を検出するための装置、各種装置が備えるカバーの開閉を検出するための装置として、本発明の位置検出装置を採用してもよい。扉の開閉を検出するための装置として本発明の位置検出装置を採用する場合には、例えば、扉が本発明の「第1部材」に相当し、扉が設けられる建造物または装置本体が、本発明の「第2部材」に相当する。各種装置が備えるカバーの開閉を検出するための装置として、本発明の位置検出装置を採用する場合、例えば、カバーが本発明の「第1部材」に相当し、カバーが設けられる装置本体が本発明の「第2部材」に相当する。
【0082】
扉あるいはカバーの開閉状態を検出するための装置として本発明の位置検出装置を採用する場合、例えば、扉あるいはカバーが開いているときにマイクロスイッチがオフの状態となり、扉あるいはカバーが閉じているときにマイクロスイッチがオンの状態となるように構成することにより、扉あるいはカバーの開閉状態を検出することができる。
【0083】
また、上述の実施形態のようにツースブレーキ/クラッチに本発明の位置検出装置を設けた場合には、歯先連結状態、および、歯先連結状態よりも第1係合部材が第2係合部材に近づいた完全連結状態の2つの状態においてマイクロスイッチをオンの状態とする必要がある。これに対して、ツースブレーキ/クラッチ以外の装置等において本発明の位置検出装置を採用する場合、第1部材と第2部材とが近接する1つの近接状態であるときにのみマイクロスイッチをオンの状態とすればよい場合がある。そして、この場合には、上記近接状態となったマイクロスイッチがオンの状態となった後、さらに第2接触部が移動されてレバーの負担が大きくなることがない。
【0084】
ただし、この場合でも、本発明と異なり、押圧部材がピンを中心に揺動するだけで、ピンが移動しないものであると、第1部材、第2部材の寸法誤差、第1部材と第2部材との組付誤差などによって、上記近接状態となってマイクロスイッチがオンの状態となっているときに押圧部材の負担が大きくなることがあり得る。したがって、このような装置においても、本発明の位置検出装置を採用することにより、マイクロスイッチがオンの状態となっているときの押圧部材の負担を低減することができる。
【0085】
また、ツースブレーキ/クラッチの以外の装置において第1部材と第2部材との位置関係を検出するための装置として、本発明の位置検出装置を採用する場合、第2部材の位置が固定され、第1部材が移動可能なっていることによって、第1部材と第2部材とが相対移動可能となっていることにも限られない。例えば、第1部材の位置が固定されており、第2部材が移動可能となっていることによって、第1部材と第2部材とが相対移動可能となっていてもよい。あるいは、第1部材および第2部材の両方が移動可能となっていることによって、第1部材と第2部材とが相対移動可能となっていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 ツースブレーキ
4 アーマチュア
5 ヨーク
6 コイル
7 第1係合部材
8 第2係合部材
9 位置検出装置
31aマイクロスイッチ
32 押圧部材
35 バネ
41a 第1接触部
41b 第2接触部
43 ピン
101 湾曲部
102 ストッパー
103 揺動支持部材
110 ツースクラッチ
111 ヨーク