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特開2023-131023シリンドリカル凹レンズを具備するレーザ付着物除去装置及びこれを用いたレーザ付着物除去方法
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  • 特開-シリンドリカル凹レンズを具備するレーザ付着物除去装置及びこれを用いたレーザ付着物除去方法 図1
  • 特開-シリンドリカル凹レンズを具備するレーザ付着物除去装置及びこれを用いたレーザ付着物除去方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131023
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】シリンドリカル凹レンズを具備するレーザ付着物除去装置及びこれを用いたレーザ付着物除去方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 7/00 20060101AFI20230913BHJP
   B23K 26/36 20140101ALI20230913BHJP
   B23K 26/073 20060101ALI20230913BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20230913BHJP
【FI】
B08B7/00
B23K26/36
B23K26/073
B23K26/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035667
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松永 隆太郎
【テーマコード(参考)】
3B116
4E168
【Fターム(参考)】
3B116AA12
3B116AB52
3B116BC01
4E168AD00
4E168CA06
4E168CA07
4E168CA13
4E168CB03
4E168DA34
4E168EA13
4E168EA14
4E168EA17
4E168EA24
4E168KA05
(57)【要約】
【課題】管の内面において線状レーザ光を走査することにより、管内面の付着物除去効率を向上させた付着物除去装置と付着物除去方法を提供する。
【解決手段】レーザ付着物除去装置1は、付着物を除去すべき管Pの内部に挿入して管軸線方向に移動可能な本体2と、レーザ発振器から出射されるレーザ光を管軸線方向に本体2へ導く光学系3と、管軸線を中心に回動し得るように本体2に取り付けられ且つ光学系3から出射されるレーザ光を屈折させて管Pの内面へ向けるプリズム5と、当該プリズム5を回転駆動するように本体に取り付けられる中空モータ7と、プリズム5と一体回転するように本体2に取り付けられ且つプリズム5を透過したレーザ光Lを管軸線方向の線状レーザ光L1に収束させて管Pの内面へ照射するシリンドリカル凹レンズ6とを具備する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付着物を除去すべき管内部に挿入して管軸線方向に移動可能な本体と、レーザ発振器から出射されるレーザ光を管軸線方向に前記本体へ導く光学系と、当該レーザ光を収束させる集光レンズと、管軸線を中心に回動し得るように前記本体に取り付けられ且つ前記光学系から出射されるレーザ光を屈折させて管内面へ向けるプリズムと、当該プリズムを回転駆動するように前記本体に取り付けられる中空モータと、前記プリズムと一体回転するように前記本体に取り付けられ且つ前記プリズムを透過したレーザ光を管軸線方向に長い線状レーザ光に収束させて管内面へ照射するシリンドリカル凹レンズとを具備することを特徴とするレーザ付着物除去装置。
【請求項2】
前記シリンドリカル凹レンズからのレーザ光を透過させ且つ前記プリズム及び前記シリンドリカル凹レンズを覆うように前記本体の移動方向先端側に取り付けられる保護部材をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のレーザ付着物除去装置。
【請求項3】
管内面へのレーザ光の投光部を挟んで前記本体の移動方向の前方と後方に設けられ当該投光部が前記管の内部に位置することを検知するセンサと、当該センサからの位置情報に基づき前記レーザ光が管内においてのみ照射されるように前記レーザ発振器を制御する制御装置とをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のレーザ付着物除去装置。
【請求項4】
請求項1に記載のレーザ付着物除去装置を管の内部に挿入して管軸線方向に移動させながら、管軸線方向の線状レーザ光を管内面へ照射することにより、管内面の付着物を除去することを特徴とするレーザ付着物除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の内面に発生した錆等の付着物をレーザ光照射により除去する装置とこれを用いた付着物除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、除染すべき管内部を自走可能な移動体と、レーザ発振器から出射されるレーザ光を移動体へ導く光ファイバと、管軸線を中心に回動し得るように移動体に取り付けられ且つ光ファイバから出射されるレーザ光を管内面へ照射し得るミラーと、管内部に連通可能な除塵手段と、該除塵手段を介して管内部の空気を吸引し得る吸気手段とを備えたレーザ除染装置が特許文献1に記載されている。
また、レーザ発振器と、このレーザ発振器から出力されるレーザ光を伝送するファイバと、このファイバを介して伝送されるレーザ光を集束させて構造物の表面に照射するための可搬性のあるレーザヘッドとを含むレーザ照射装置が特許文献2に記載されている。このレーザヘッドは、レーザ光を照射する光学系と、レーザ光の照射点から生じる除去物から光学系を防護する遮蔽部材とを備える。光学系は、レーザ光の光軸に対して略垂直な表面において、光軸を中心とする半径の円の軌跡を描くように、レーザ光の照射点を走査することにより、当該表面に付着した塗膜等を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-59892号公報
【特許文献2】WO2013/133415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の装置は、いずれもレーザ光の照射点のスポット径が小さく、付着物除去の効率性に欠けるという問題点がある。
従って、本発明は、管の内面において線状レーザ光を走査することにより、管内面の付着物除去効率を向上させた付着物除去装置及びこれを用いた付着物除去方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の説明において添付図面の符号を参照するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明のレーザ付着物除去装置1は、付着物を除去すべき管Pの内部に挿入して管軸線方向に移動可能な本体2と、レーザ発振器から出射されるレーザ光を管軸線方向に本体2へ導く光学系3と、レーザ光Lを収束させる集光レンズ4と、管軸線を中心に回動し得るように本体2に取り付けられ且つ光学系3から出射されるレーザ光を屈折させて管Pの内面へ向けるプリズム5と、当該プリズム5とシリンドリカル凹レンズ6を回転駆動するように本体に取り付けられる中空モータ7とを具備する。したがって、プリズム5とシリンドリカル凹レンズ6は、一体回転する。シリンドリカル凹レンズ6は、プリズム5を透過したレーザ光Lを管軸線方向に長い線状レーザ光L1に収束拡散させて管Pの内面へ照射する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のレーザ付着物除去装置によれば、管の内面において管軸線方向の線状レーザ光を走査させることにより、管内面の付着物除去効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のレーザ付着物除去装置の正面図である。
図2図1のレーザ付着物除去装置の側面図である。
図3図2のレーザ付着物除去装置のIII-III断面図である。
図4図2のレーザ付着物除去装置のIV-IV断面図である。
図5】本発明の他の実施形態のレーザ付着物除去装置の正面図である。
図6図5のレーザ付着物除去装置の側面図である。
図7図5のレーザ付着物除去装置におけるロ-ラ脚の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
レーザ付着物除去装置1は、内周面に錆などの付着物がある管Pの内部を管軸線方向に移動しながら、管内周面にレーザ光を照射し、アブレーションにより付着物を除去する装置である。
【0009】
レーザ付着物除去装置1は、概略円筒状の本体2と、レーザ発振器から出射されるレーザ光を管Pの軸線方向に本体2内へ導く光学系3と、本体2内でレーザ光を収束させる集光レンズ4と、収束されたレーザ光を屈折させるプリズム5と、プリズム5とシリンドリカル凹レンズ6を回転駆動する中空モータ7とを具備する。
【0010】
本体2は、管Pの内部に挿入して管軸線方向に移動可能であり、外周にセンタリングばね8を具備する。センタリングばね8は、本体2が管P内を移動中に、管Pの内周に摺接しながら、本体2の軸線を管Pの軸線に一致させるようにガイドする。
【0011】
図5,6,7の他の実施形態では、センタリングばね8に代え、センタリングローラ機構13が設けられる。センタリングローラ機構13は、本体2の外周に固着されたブラケット14と、これに基端が軸支され、ばね16で本体2の半径方向外側へ開くように付勢されたローラ脚15と、それの先端部に軸支されたローラ17とを具備する。センタリング機構13は、本体2が管P内を移動中に、ローラ17を管Pの内周に圧接、転動させながら、本体2の軸線を管Pの軸線に一致させるようにガイドする。
【0012】
中空モータ7は、本体2内の先端側に取り付けられ、プリズム5とシリンドリカル凹レンズ6を本体2の軸線(管軸線)を中心に回動し得るように支持する。
【0013】
プリズム5は、集光レンズ4により本体2の軸線に沿って収束されたレーザ光Lを直交方向に屈折させる。
【0014】
シリンドリカル凹レンズ6は、プリズム5からのレーザ光Lを本体2の軸線(管軸線)方向に延びる線状レーザ光L1に集光して管Pの内周面に照射する。
【0015】
プリズム5とシリンドリカル凹レンズ6は、本体2の先端に取り付けられ、先端側が保護蓋10で閉じられた透明ガラス製の保護筒9内に配置され、管Pの内周から剥離した粉塵等が本体2の内部に侵入しないように保護される。保護蓋10の外周縁には、後記レーザセンサ11からのレーザ光L3を直角に反射する反射鏡部10aが設けられる。
【0016】
保護筒9におけるレーザ光L1の透過部を挟んで本体2の移動方向の前方と後方の2つの所定位置が管Pの内部に位置することを検知する2つのレーザセンサ11,12が本体2の先端部に設けられる。レーザセンサ11,12は、図3に示すように、それぞれ管Pの内面に向かって投射されたレーザ光L2,L3の反射光により、それぞれ管P内にあるか否かを検知する。レーザセンサ11,12の位置情報は、図示しない制御装置に送出され、レーザ光L2,L3の透過部が管P内にあるときにのみレーザ光Lが照射されるようにレーザ発振器が制御される。
【0017】
管Pの除錆作業は、レーザ付着物除去装置1を管Pの内部に挿入し、レーザセンサ11,12がいずれも管P内にあることを検知した状態で、レーザ発信器を及び中空モータ7を始動させ、手動で管軸線方向に移動させて行う。これにより、管Pの内面において、管軸線方向の線状レーザ光を走査させ、管Pの内面の付着物を効率的に除去することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 レーザ付着物除去装置
2 本体
3 光学系
4 集光レンズ
5 プリズム
6 シリンドリカル凹レンズ
7 中空モータ
8 ガイドばね
9 保護筒
10 保護蓋
10a 反射鏡部
11 レーザセンサ
12 レーザセンサ
13 センタリングローラ機構
14 ブラケット
15 ロ-ラ脚
16 ばね
17 ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7