(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013105
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】給電ステーション
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20230119BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20230119BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20230119BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20230119BHJP
B60L 53/36 20190101ALI20230119BHJP
B60L 53/65 20190101ALI20230119BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20230119BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230119BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20230119BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
H02J50/90
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
B60L53/36
B60L53/65
B60L53/66
H02J50/10
H02J50/80
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117050
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【識別番号】100206966
【弁理士】
【氏名又は名称】崎山 翔一
(72)【発明者】
【氏名】新妻 素直
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA10
5G503CB06
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD04
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC04
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC26
5H125DD01
5H125DD02
5H125EE55
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】車両に対して効率的に電力が供給され得る。
【解決手段】給電ステーション3は、少なくとも1つのガイド部材43と、送電装置44と、制御器45とを備えている。少なくとも1つのガイド部材43は、車両2に停止位置を案内する。送電装置44は、上記停止位置に停止した車両2に対して、電力を供給する。制御器45は、車両2の識別情報を取得し、取得された識別情報に基づいて上記少なくとも1つのガイド部材43の動作を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に停止位置を案内する少なくとも1つのガイド部材と、
前記停止位置に停止した前記車両に対して電力を供給する送電装置と、
前記車両の識別情報を取得し、取得された前記識別情報に基づいて前記少なくとも1つのガイド部材の動作を制御する制御器と、を備えている、給電ステーション。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガイド部材は、照明装置を含んでおり、
前記制御器は、取得された前記識別情報に基づいて、前記少なくとも1つのガイド部材における前記照明装置を制御する、請求項1に記載の給電ステーション。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガイド部材は、前記車両への接触によって前記車両に前記停止位置を案内するガイド部材を含んでいる、請求項1又は2に記載の給電ステーション。
【請求項4】
前記少なくとも1つのガイド部材は、前記車両の進行方向において互いに異なる位置に配列されている複数の第一ガイド部材を含んでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載の給電ステーション。
【請求項5】
前記少なくとも1つのガイド部材は、第二ガイド部材をさらに含んでおり、
前記複数の第一ガイド部材の各々は、前記進行方向と交差する方向に延在しており、
前記第二ガイド部材は、前記車両の進行方向に延在している、請求項4に記載の給電ステーション。
【請求項6】
前記送電装置は、送電コイルを含んでおり、
前記送電コイルの中心は、前記車両の進行方向から見て、前記停止位置に停止した前記車両の中心線よりも、当該車両の乗降口から離れている、請求項1から5のいずれか一項に記載の給電ステーション。
【請求項7】
前記送電装置は、送電コイルを含んでおり、
前記送電コイルの中心は、前記車両の進行方向から見て、前記停止位置に停止した前記車両の中心線よりも、当該車両の運転席側に位置するように配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の給電ステーション。
【請求項8】
前記制御器は、前記少なくとも1つのガイド部材によって案内された前記停止位置における前記車両の停止に応じて前記送電装置を制御する、請求項1から7のいずれか一項に記載の給電ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給電ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
給電ステーションに関する技術が知られている(例えば、特許文献1及び2)。これらの給電ステーションは、車両に電力を供給する場所である。給電ステーションには、車両等の車両が停止する。給電ステーションは、例えば、停止した車両に電力を自動で供給する。例えば、給電ステーションに設けられた送電装置から、車両に設けられた受電装置に電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009-512416号公報
【特許文献2】国際公開第2012/074095号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給電ステーションから車両に電力を供給するには、給電ステーションの送電装置の送電接続部と車両の受電装置の受電接続部との位置合わせを要する。引用文献1及び2には、給電ステーションの送電接続部と車両の受電接続部とは可動式のアームによって位置合わせされ、送電装置から受電装置に電力が供給されることが記載されている。この場合、アームの機構の複雑さによって、給電ステーションの保守に手間がかかるおそれがある。
【0005】
非接触給電によれば、給電ステーションの送電装置と車両の受電装置とが離間していても、給電ステーションから車両へ電力が供給され得る。非接触給電においては、送電装置には送電コイルが設けられ、受電装置には受電コイルが設けられる。この場合、送電コイルから受電コイルに電力が供給される。しかし、送電コイルと受電コイルとが位置ズレによって正対しなくなれば、給電ステーションから車両への電力の供給効率が低下する。したがって、非接触給電により電力を供給する場合であっても、給電ステーションの送電装置と車両の受電装置との間において、より正確な位置合わせが期待される。
【0006】
受電装置が車両に設けられる位置は、車両によって異なるおそれもある。この場合、給電ステーションの送電装置と各車両の受電装置との位置合わせは、さらに困難である。
【0007】
本開示は、車両に対して効率的に電力を供給できる給電ステーションを説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の給電ステーションは、少なくとも1つのガイド部材と、送電装置と、制御器とを備えている。少なくとも1つのガイド部材は、車両に停止位置を案内する。送電装置は、上記停止位置に停止した車両に対して電力を供給する。制御器は、車両の識別情報を取得し、取得された識別情報に基づいて上記少なくとも1つのガイド部材の動作を制御する。
【0009】
この給電ステーションにおいて、制御器は、車両の識別情報を取得し、取得された識別情報に基づいて上記少なくとも1つのガイド部材の動作を制御する。この場合、例えば、車両の車種に応じて、車両が適切な停止位置に案内される。この結果、給電ステーションの送電装置と車両の受電装置との位置合わせが容易に行われ、車両に対して、効率的に電力が供給され得る。
【0010】
上記給電ステーションにおいて、少なくとも1つのガイド部材は、照明装置を含んでいてもよい。制御器は、取得された識別情報に基づいて、少なくとも1つのガイド部材における照明装置を制御してもよい。この場合、コストが抑制されながら、車両の識別情報に基づいて、車両が容易かつ適切に停止位置に案内され得る。
【0011】
上記給電ステーションにおいて、少なくとも1つのガイド部材は、車両への接触によって車両に停止位置を案内するガイド部材を含んでいてもよい。この場合、コストが抑制されながら、車両の識別情報に基づいて、車両が容易かつ適切に停止位置に案内され得る。
【0012】
上記給電ステーションにおいて、少なくとも1つのガイド部材は、車両の進行方向において互いに異なる位置に配列されている複数の第一ガイド部材を含んでいてもよい。この場合、互いに車長が異なる複数の車両の各々が、1つの送電装置に対して適切に停止位置に案内され得る。
【0013】
上記給電ステーションにおいて、少なくとも1つのガイド部材は、第二ガイド部材をさらに含んでいてもよい。複数の第一ガイド部材の各々は、進行方向と交差する方向に延在していてもよい。第二ガイド部材は、車両の進行方向に延在していてもよい。この場合、車両の左右方向において、車両が送電装置に対して容易に位置合わせされ得る。
【0014】
上記給電ステーションにおいて、車両の進行方向に沿って配置されており、停止位置に停止した車両に対する乗降を行うための停留所をさらに備えてもよい。
【0015】
上記給電ステーションにおいて、送電装置は、送電コイルを含んでいてもよい。送電コイルの中心は、車両の進行方向から見て、停止位置に停止した車両の中心線よりも、当該車両の乗降口から離れていてもよい。この場合、車両が昇降ステップ、又は、車いす若しくは荷物のリフタなどの設備を備える場合であっても、これらの設備と受電コイルとの干渉を避けて、受電コイルが車両に配置され得る。
【0016】
上記給電ステーションにおいて、送電装置は、送電コイルを含んでいてもよい。送電コイルの中心は、車両の進行方向から見て、停止位置に停止した車両の中心線よりも、当該車両の運転席側に位置するように配置されていてもよい。この場合、車両が昇降ステップ、又は、車いす若しくは荷物のリフタなどの設備を備える場合であっても、これらの設備と受電コイルとの干渉を避けて、受電コイルが車両に配置され得る。
【0017】
上記給電ステーションにおいて、制御器は、少なくとも1つのガイド部材によって案内された停止位置における車両の停止に応じて送電装置を制御してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示の給電ステーションによれば、車両に対して効率的に電力が供給され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本実施形態の給電システムの概略平面図である。
【
図4】
図4は、給電ステーション制御器において行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、車両がそれぞれ対応する停止位置に案内された状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、車両制御器において行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施形態の変形例における給電システムの概略平面図である。
【
図8】
図8は、本実施形態の変形例における給電システムの概略側面図である。
【
図9】
図9は、本実施形態の変形例において、車両がそれぞれ対応する停止位置に案内された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本開示の給電システムを詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
まず、
図1から
図3を参照して、本実施形態における給電システム1の概略構成について説明する。
図1は、給電システムの概略平面図である。
図2は、給電システムの概略側面図である。
図3は、給電システムのブロック図である。
【0022】
給電システム1は、複数種の車両2と給電ステーション3とを含んでいる。給電システム1は、給電ステーション3に停車した車両2に、電力を供給するシステムである。車両2は、電力が供給される電気機器、例えば、充電のために外部からの電力の供給を要するバッテリ、又は、駆動のために電力を要する空調装置などを搭載する。車両2は、電力が供給される複数の電気機器を搭載していてもよい。例えば、車両2は、バッテリと空調装置との双方を搭載してもよい。本明細書において、「送電」は、電力を供給することをいう。車両としては、例えば、バッテリを搭載する電気自動車又はハイブリッド自動車が挙げられる。本実施形態では、車両として電気自動車を例に説明する。
【0023】
車両2は、例えば、特定の一方の側面から人の乗降又は荷物の積み降ろしを行う車両である。車両2は、例えば、バス又はトラックである。本実施形態では、車両2としてバスを例に説明する。例えば、左側通行に対応した車両2は、左側面に乗降口Vを有している。例えば、左側通行に対応した車両2は、左側面から人の乗降又は荷物の積み降ろしを行うように構成されている。左側通行に対応した車両2には、人の乗降又は荷物の積み下ろしを行うのと反対側、すなわち、車両2の右寄りに、運転席Sが設けられている。例えば、右側通行に対応した車両2は、右側面に乗降口Vを有している。例えば、右側通行に対応した車両2は、右側面から人の乗降又は荷物の積み降ろしを行う。右側通行に対応した車両2には、人の乗降又は荷物の積み下ろしを行うのと反対側、すなわち、車両2の左寄りに、運転席Sが設けられている。複数種の車両2は、例えば、車幅及び車長の少なくとも1つが互いに異なる車両を含んでいる。「車幅」は、車両の全幅に相当する。「車長」は、車両の全長に相当する。以下、特に断りのない限り、左側通行の場合を説明する。右側通行の場合には、左右が反転する。
図1には、車両2の中心線A1が示されている。
【0024】
本明細書において、車両2が給電ステーション3から電力を供給される場合に、送電の開始前及び終了後に車両2が移動する方向を「進行方向」という。進行方向は、車両2の前後方向に相当する。鉛直方向および進行方向に交差する方向を「左右方向」という。本実施形態において、進行方向および左右方向は、鉛直方向に直交している。進行方向は、左右方向に直交している。進行方向はD1方向に相当し、左右方向はD2方向に相当する。
【0025】
図3に示されているように、車両2は、駆動操舵機構11と、通信機12と、受電装置13と、車両制御器14とを備えている。駆動操舵機構11は、車両2を可変速で走行させ、操舵させるための機構である。駆動操舵機構11は、例えば、走行モータ、減速機、駆動輪、ブレーキ、及び、ステアリングによって構成される。車両2が手動で運転される場合には、人による駆動操舵機構11の操作によって、車両2の加減速及び進路の選択が行われる。車両2が自動で運転される場合には、不図示の自動運転装置によって駆動操舵機構11が操作され、車両2の加減速及び進路の選択が行われる。
【0026】
通信機12は、無線で給電ステーション3と通信する。通信機12は、例えば、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。通信機12は、例えば、給電ステーション3と直接通信する。通信機12は、例えば、インターネット又はイントラネットなどの通信ネットワークを介して給電ステーション3と通信してもよい。
【0027】
受電装置13は、給電ステーション3から電力を供給される。換言すれば、受電装置13において、給電ステーション3から車両2への送電が行われる。受電装置13は、受電コイル21と、変換回路22とを含んでいる。受電コイル21は、受電接続部に相当する。受電装置13は、バッテリ23と電気的に接続されている。給電ステーション3から受電装置13に供給された電力はバッテリ23に供給され、バッテリ23が充電される。
【0028】
受電コイル21と変換回路22とは、例えば、隣接した状態において一つの筐体に収容される。受電コイル21と変換回路22とは、それぞれ独立した筐体に収容されていてよい。受電コイル21と変換回路22とは、互い離間した異なる筐体に収容され、ケーブルで電気的に互いに接続されていてよい。
【0029】
受電コイル21は、非接触給電の受電コイルである。車両2には、受電コイル21を介して給電ステーション3から非接触給電によって電力が供給される。受電コイル21は、フェライトなどの磁性体と組み合わされていてもよい。
【0030】
受電コイル21は、給電ステーション3と非接触給電を行うため、車両2の底面に設けられている。受電コイル21は、給電ステーション3に含まれる送電コイル51に対して非接触給電に必要な磁気的な結合を行う。車両2には、例えば、昇降ステップ、又は、車いす若しくは荷物のリフタ24など、人の乗降又は荷物の積み降ろしを容易にするための設備が設けられる。この場合、受電コイル21は、これらの設備及びタイヤTなどと物理的に干渉しないように車両2に設けられる。
【0031】
車両2の進行方向から見て、受電コイル21の基準点P1は、車両2の中心線A1よりも乗降口Vから離れている。例えば、運転席Sが右寄りに設けられている車両2の進行方向から見て、受電コイル21の基準点P1は、車両2の中心線A1よりも運転席S側に位置している。例えば、左側通行に対応している車両2において、車両2の進行方向から見て、受電コイル21は、車両2の左側面よりも右側面に近い。例えば、左側通行に対応している車両2において、受電コイル21の基準点P1は進行方向から見て車両2の中心線A1よりも右側面側に位置している。例えば、車両2の進行方向から見て、受電コイル21の中心は、車両2の中心線A1よりも乗降口Vから離れている。
【0032】
受電コイル21の基準点P1は、受電コイル21の位置を示す。受電コイル21の基準点P1は、例えば、受電コイル21の中心に相当する。受電コイル21は、例えば、鉛直方向から見て、前後左右に対称な形状のサーキュラーコイルである。例えば、鉛直方向から見て受電コイル21が1つのサーキュラーコイルからなる場合には、鉛直方向から見て、1つのサーキュラーコイルの軸の位置が受電コイル21の中心に相当する。例えば、鉛直方向から見て受電コイル21が複数のサーキュラーコイルからなる場合には、鉛直方向から見て、複数のサーキュラーコイルの軸の幾何中心が受電コイル21の中心に相当する。受電コイル21は、前後、左右、又は、前後左右のいずれにおいても非対称な形状であってもよいし、サーキュラーコイル以外の形式のコイルであってもよい。この場合、受電コイル21の中心は、コイルの形状の幾何学的な重心である。
【0033】
受電コイル21は、給電ステーション3に対応する車両2の全種において、車両2の乗降口Vが設けられている側面から一定の距離αに受電コイル21の基準点P1が位置するように設けられる。「給電ステーションに対応する車両」とは、給電ステーションに停車して給電を受けることが可能である車両を意味する。給電ステーション3に停車して給電を受けることが可能である車両2は、例えば、車両2の受電装置13が給電ステーション3の送電装置44に互換性のある給電方式を採用しており、後述する給電スペース31の領域内に停車できる車両サイズを有する車両である。受電コイル21は、左側通行に対応した車両2であれば左側面から一定の距離αに受電コイル21の基準点P1が位置するように設けられる。
【0034】
距離αは、例えば、車両2の車幅の半分よりも大きい。距離αは、全種の車両2のうち最も車幅が小さい車両2の車幅の半分よりも大きい。受電コイル21は、受電コイル21の縁が車両2の底面からはみ出ないように配置される。したがって、受電コイル21が鉛直方向から見て車両の幅方向に1m、車両の長さ方向に1.2mの長方形であり、かつ、基準点P1が受電コイル21の中心である場合、距離αは、車幅が2mの車両2において、1.5m以下である。さらに、車体前面から受電コイル21の中心までの距離は、車長が10mの車両において、0.6m以上9.4m以下である。
【0035】
互いに異なる大きさの車両2のいずれにおいても、受電コイル21が車両2の底面に格納されつつ、距離αができるだけ大きく設定される。受電コイル21が車両2の右側面に寄せて配置されれば、車両2の右側面に点検口を設けることによって、点検口から受電コイル21までの距離を小さくすることができる。この場合、点検口を通して、受電コイル21の点検又は交換を容易に行うことができる。点検口は後述する停留所と反対側に位置するので、車両が給電ステーションに停車している場合でも、停留所に邪魔されずに点検口を通して受電コイルを点検又は交換を容易に行うことができる。
【0036】
変換回路22は、受電コイル21から供給された交流電力を直流電力に変換し、バッテリ23に供給する。変換回路22は、例えば、ダイオードブリッジなどの整流回路と、電圧変換が可能なDC-DCコンバータとを含んでいる。変換回路22は、受電コイル21から供給された交流電力を、バッテリ23の充電に適した電圧を有する直流電力に変換する。変換回路22は、例えば、車両2の底面に設けられている。受電コイル21と変換回路22とが離れて設置される場合、変換回路22は車両2の底面に設けられていなくてもよい。この場合、変換回路22は、例えば、車両2の天井に設けられていてもよい。
【0037】
バッテリ23は、受電コイル21から変換回路22を介して供給された電力を蓄電する。バッテリ23は、例えばリチウムイオン電池を含んでいる。バッテリ23は、変換回路22から供給される直流電力により充電される。バッテリ23に蓄電された電力は、例えば、車両2の走行に用いられる。バッテリ23に蓄電された電力は、車両2の空調設備などの電気機器に供給されてもよい。受電コイル21から供給された電力は、必ずしもバッテリ23に供給されなくてもよい。例えば、受電コイル21から供給された電力は、バッテリを介さずに、車両2の空調設備などの電気機器に直接供給されてもよい。
【0038】
車両制御器14は、車両2の非接触給電に関する処理を制御する。車両制御器14は、通信機12と給電ステーション3との通信を介して得られる給電ステーション3からの情報を参照し、非接触給電に関する処理を車両2の各機能部に指示する。車両2が自動で運転される場合、車両制御器14は、通信機12と給電ステーション3との通信結果に基づいて、駆動操舵機構11に指示をしてもよい。
【0039】
車両制御器14は、例えば、1又は複数のコンピュータによって構成されている。車両制御器14は、マイクロプロセッサ、車両制御器14に動作を実行させるプログラムを格納した不揮発性メモリ、演算結果などのデータを格納するメモリ、及び、入出力インタフェース回路を含んでいる。
【0040】
給電ステーション3は、車両2に電力を供給する。給電ステーション3は、複数種の車両2に対応している。給電ステーション3は、例えば、車両2の車種に応じた処理を行い、各車両2に電力を供給する。
【0041】
給電ステーション3は、給電スペース31を含んでいる。給電スペース31は、車両2に送電が行われる際に車両2が停止する領域である。車両2は、鉛直方向から見て給電スペース31の中に停止する。給電スペース31は、路面RS上において車両2の進行方向に延在している。給電スペース31は、例えば、鉛直方向から見て、1台の車両2の大きさ以上の大きさを有している。給電スペース31のD1方向における長さは、全種の車両2のうち最も車長が大きい車両2の車長よりも大きい。給電スペース31のD2方向における長さは、全種の車両2のうち最も車幅が大きい車両2の車幅よりも大きい。左側通行の場合において、給電スペース31の左縁は路面RSの左縁に重なっている。左側通行の場合において、車両2は、鉛直方向から見て、車両2の左側面が給電スペース31の左縁、すなわち路面RSの左縁に重なるように停止する。
【0042】
なお、
図1において、給電スペース31の縁を線で描いているが、
図1において給電スペース31の領域を示すものであり、給電スペース31の実際の外観は異なっていてもよい。たとえば、路面RS上に何も描かれていなくてもよいし、給電スペース31の縁が路面RS上で白く塗られていてもよいし、給電スペース31の内部が路面RS上で白く塗られていてもよい。
【0043】
給電ステーション3は、給電スペース31に隣接する停留所32を備えている。停留所32は、例えば、車両2に対する乗降を行うための段である。車両2は、鉛直方向から見て、停留所32の縁に沿って給電スペース31内に停止する。停留所32は、例えば、鉛直方向において路面RSよりも高い位置に天面32aを有している。この天面32aに、車両2に乗降する人が乗る、又は、車両2に対して積み降ろしされる荷物が載せられる。停留所32と路面RSとの間には、段差が形成されている。停留所32は、車両2の進行方向に沿って配置されている。停留所32は、給電スペース31に沿って、D1方向に延在している。停留所32のD1方向における長さは、例えば、車両2の車長よりも大きい。停留所32は、給電スペース31に停車した車両2の乗降口V側と同じ側に位置している。停留所32は、給電スペース31に停車した車両2の運転席S側と反対側に位置している。左側通行の場合には、停留所32は、給電スペース31及び停車した車両2の左側に位置する。右側通行の場合には、停留所32は、給電スペース31及び停車した車両2の右側に位置する。
【0044】
給電ステーション3は、さらに、検出器41と、通信機42と、複数のガイド部材43と、送電装置44と、給電ステーション制御器45とを備えている。検出器41は、車両2を検出する。検出器41は、例えば、カメラを含んでいる。検出器41は、カメラによって撮像された画像の画像処理によって、車両2を認識する処理部を含んでいてもよい。検出器41は、赤外線センサなどの各種センサを含んでいてもよい。検出器41は、例えば、
図1及び
図2に示されているように、給電ステーション3の給電スペース31の外側に配置され、給電スペース31を検出範囲とするように設けられている。本実施形態において、検出器41は、給電スペース31の全体を検出範囲とするように設けられている。検出器41は、給電スペース31の後端側を検出範囲とし、給電スペース31に入る車両2を検出してもよい。検出器41は、例えば、撮像された画像などに基づいて、給電ステーション3内に車両が存在するかどうかを判定する。
【0045】
通信機42は、無線で車両2の通信機12と通信する。通信機42は、例えば、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。通信機42は、例えば、車両2の通信機12と直接通信する。通信機42は、例えば、インターネット又はイントラネットなどの通信ネットワークを介して車両2の通信機12と通信してもよい。
【0046】
複数のガイド部材43は、互いに異なる位置に配置され、車両2に停止位置を案内する。例えば、車両2がガイド部材43によって案内された停止位置において停止した後に、車両2に対して給電ステーション3から電力が供給される。例えば、複数のガイド部材43は、車両2の運転手によって視認される。例えば、複数のガイド部材43は、車両2のカメラによって自動で認識される。例えば、車両2がガイド部材43によって案内された停止位置に停止した後に、停留所32と車両2との間において乗降又は荷物の積み降ろしが行われる。
【0047】
複数のガイド部材43は、例えば、標識である。
図1及び
図2に示されている構成において、複数のガイド部材43は、停留所32の天面32aに設けられている。したがって、左側通行の場合、複数のガイド部材43は、停止位置の左側に設けられており、右側通行の場合、複数のガイド部材43は、停止位置の右側に設けられている。左側通行及び右側通行のいずれの場合においても、複数のガイド部材43は、停止位置の前側に設けられていてもよい。複数のガイド部材43は、路面RSよりも高い位置に設けられていてもよい。複数のガイド部材43は、柱状を呈しており、停留所32又は路面RSにおいて、鉛直方向に延在するように立設されていてもよい。本実施形態の変形例として、複数のガイド部材43は、例えば、白色又は蛍光色のテープであってもよい。
【0048】
複数のガイド部材43は、複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cと、第二ガイド部材43Dとを含んでいる。
図1及び
図2に示されている構成において、複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cと第二ガイド部材43Dとは、停留所32の天面32aに設けられている。複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cは、車両2の進行方向において互いに異なる位置に配列されている。複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cは、送電コイル51に対して車両2の進行方向において互いに異なる距離に配置されている。各第一ガイド部材43A,43B,43Cは、車両2の進行方向と交差する方向に延在している。例えば、各第一ガイド部材43A,43B,43Cは、D2方向に延在している。第二ガイド部材43Dは、車両2の進行方向に延在している。換言すれば、第二ガイド部材43Dは、D1方向に延在している。第二ガイド部材43Dは、例えば、停留所32の縁のうち路面RSに接する縁に沿って設けられている。本実施形態の変形例として、第二ガイド部材43Dは、センターラインに沿って配置されていてもよい。
【0049】
車両2は、進行方向において、第一ガイド部材43A,43B,43Cの位置に応じて停止する。車両2は、複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cのうち対応する第一ガイド部材に合わせて停止する。例えば、
図1及び
図2に示されている構成において、車両2は、鉛直方向から見て、車両2の車体前面の位置が複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cのうち対応するガイド部材43の位置とD1方向において一致するように停止する。車両2は、鉛直方向から見て、車両2の車体前面の位置が複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cのうち対応するガイド部材43の位置との距離が、ゼロ以外の所定値となるように停止してもよい。たとえば、車両2の車体前面の位置が複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cのうち対応するガイド部材43の0.5m手前で停止してもよい。
【0050】
車両2は、左右方向において、車両2の側面が第二ガイド部材43Dに沿うように給電スペース31内に停止する。左側通行の場合、車両2は、車両2の左側面が第二ガイド部材43Dに沿うように給電スペース31内に停止する。
【0051】
第一ガイド部材43A,43B,43C及び第二ガイド部材43Dの各々は、例えば、照明装置Lを含んでいる。この場合、第一ガイド部材43A,43B,43C及び第二ガイド部材43Dの各々は、照明装置Lの点灯及び消灯、すなわち照明装置Lのオンオフ、によって車両2の停止位置を示すものであってもよい。本実施形態において、第一ガイド部材の動作の制御は、第一ガイド部材に含まれる照明装置Lの点灯状態の制御に相当する。照明装置Lは、例えば、発光体を含んでいる。発光体は、例えば、LEDである。第一ガイド部材43Aの照明装置Lが発する光の色と、第一ガイド部材43Bの照明装置Lが発する光の色と、第一ガイド部材43Cの照明装置Lが発する光の色とは同じあってもよい。この場合に、第一ガイド部材43A,43B,43Cの照明装置Lが発する光の色と第二ガイド部材43Dの照明装置Lが発する光の色とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態の変形例として、第一ガイド部材43A,43B,43C及び第二ガイド部材43Dの各々は、照明装置Lが発する光の色によって車両2の停止位置を示すものであってもよい。
【0052】
送電装置44は、給電スペース31に停止した車両2に対して電力を供給する。送電装置44には、ガイド部材43によって案内された停止位置に停止した車両2に対して、電力を供給する。送電装置44は、送電コイル51と送電回路52とを含んでいる。送電コイル51は、送電接続部に相当する。
【0053】
送電コイル51は、非接触給電の送電コイルである。送電コイル51は、給電スペース31に設けられている。送電コイル51は、例えば、路面RSに設けられている。送電コイル51は、例えば、路面RSに埋没しており、その一部が路面RSから露出している。送電コイル51は、路面RS上に配置されていてもよい。車両2には、送電コイル51から受電コイル21を介して電力が供給される。送電コイル51において発生した高周波交流磁場が受電コイル21に鎖交することにより、受電コイル21から変換回路22へ交流電力が供給される。送電コイル51は、フェライトなどの磁性体と組み合わされていてもよい。
【0054】
送電コイル51は、給電スペース31の左縁、すなわち、路面RSの左縁から上述した距離αの位置に送電コイル51の基準点P2が位置するように設けられている。換言すれば、送電コイル51は、給電スペース31の停留所32に隣接する縁から上述した距離αの位置に送電コイル51の基準点P2が位置するように設けられている。
【0055】
送電コイル51の基準点P2は、送電コイル51の位置を示す。送電コイル51の基準点P2は、例えば、送電コイル51の中心に相当する。送電コイル51は、例えば、鉛直方向から見て、前後左右に対称な形状のサーキュラーコイルである。例えば、鉛直方向から見て送電コイル51が1つのサーキュラーコイルからなる場合には、鉛直方向から見て1つのサーキュラーコイルの軸の位置が送電コイル51の中心に相当する。例えば、鉛直方向から見て送電コイル51が複数のサーキュラーコイルからなる場合には、鉛直方向から見て複数のサーキュラーコイルの軸の幾何中心が送電コイル51の中心に相当する。送電コイル51は、前後、左右、又は、前後左右のいずれにおいても非対称な形状であってもよいし、サーキュラーコイル以外の形式のコイルであってもよい。この場合、送電コイル51の中心は、コイルの形状の幾何学的な重心である。
【0056】
上述したように、車両2は、ガイド部材43によって案内された停止位置に停止する。車両2が第一ガイド部材43A,43B,43Cによって案内された停止位置に停止した状態において、鉛直方向から見て受電コイル21の基準点P1と送電コイル51の基準点P2とが進行方向(D1方向)において一致する。車両2が第二ガイド部材43Dによって案内された停止位置に停止した状態において、鉛直方向から見て受電コイル21の基準点P1と送電コイル51の基準点P2とが進行方向と直交する方向(D2方向)において一致する。車両2がガイド部材43によって案内された停止位置に停止した状態において、鉛直方向から見て受電コイル21の基準点P1が送電コイル51の基準点P2の真上に位置する。例えば、鉛直方向から見て受電コイル21の基準点P1が送電コイル51の基準点P2の真上に位置する場合において、最も効率的に非接触給電が行われ、車両2に対して電力が供給される。例えば、この状態において、受電コイル21の中心と送電コイル51の中心とが鉛直方向から見てD1方向にもD2方向にも一致する。
【0057】
この場合において、送電コイル51は、停止した車両2の側面のうち、停留所32と反対側の側面に寄るように配置されている。車両2の進行方向から見て、送電コイル51の基準点P2は、停止した車両2の中心線A1よりも、当該車両2の乗降口Vから離れている。例えば、運転席Sが右寄りに設けられている車両2の進行方向から見て、送電コイル51の基準点P2は、停止した車両2の中心線A1よりも、当該車両2の運転席S側に位置するように配置されている。例えば、左側通行に対応している車両2において、車両2の進行方向から見て、送電コイル51の基準点P2は、停止した車両2の左側面よりも右側面に近い。例えば、左側通行に対応している車両2において、送電コイル51の基準点P2は、停止した車両2の中心線A1よりも右側面側に位置する。例えば、車両2の進行方向から見て、送電コイル51の中心は、停止した車両2の中心線A1よりも乗降口Vから離れている。
【0058】
受電コイル21の基準点P1が送電コイル51の基準点P2の真上に位置する場合、受電コイル21の基準点P1が送電コイル51の基準点P2からズレている場合に比べて、非接触給電の効率が向上する。鉛直方向から見て、受電コイル21の軸が送電コイル51の軸と重なっている場合、受電コイル21の軸が送電コイル51の軸からズレている場合に比べて、非接触給電の効率が向上する。
【0059】
送電コイル51の基準点P2から給電スペース31の前端までの距離は、全種の車両2における車体前面から受電コイル21の基準点P1までの距離よりも大きい。送電コイル51の基準点P2から給電スペース31の後端までの距離は、全種の車両2における車体後面から受電コイル21の基準点P1までの距離よりも大きい。受電コイル21の基準点P1が送電コイル51の基準点P2の真上に位置するように車両2が停止した状態において、車両2の車種によらず、鉛直方向から見て、車両2の全体が給電スペース31内に位置する。車両2は、ガイド部材43によって案内された停止位置に停止する。車両2の停止位置には、例えば数cmから10数cmの位置のばらつきが生じ得る。停止位置のばらつきは、ブレーキ力の制御誤差、運転手の認識誤差、及び、自動運転装置のセンサの検出誤差などに起因して生じる。停止位置のばらつきが生じても車両2の全体が給電スペース31内に位置するように、給電スペース31の広さが設定されていてもよい。
【0060】
送電回路52は、不図示の外部電源から供給される電力を高周波交流電力に変換し、送電コイル51へ供給する。外部電源は、例えば、商用電源などである。送電回路52が送電コイル51へ供給する交流電力の周波数は、例えば、100kHzである。送電回路52は、例えば、整流回路とインバータとから構成される。整流回路は、例えば、ダイオードブリッジである。インバータは、例えば、半導体電力制御素子から構成される。半導体電力制御素子は、例えば、パワーMOSFETである。
【0061】
送電回路52と送電コイル51とは、それぞれ独立した筐体に収容されている。送電回路52と送電コイル51とは、互いに離間した異なる筐体に収容され、ケーブルで電気的に互いに接続されている。この場合、例えば、送電回路52は停留所32の天面32aの下方に設けられている。送電回路52と送電コイル51とは、例えば、隣接した状態において一つの筐体に収容されていてもよい。この場合、送電回路52が送電コイル51の下に位置していてもよい。
【0062】
給電ステーション制御器45は、給電ステーション3における非接触給電に関する処理を制御する。給電ステーション制御器45は、通信機42と車両2の通信機12との通信を介して得られる車両2からの情報、及び、検出器41における検出結果に基づいて、非接触給電に関する処理を給電ステーション3の各機能部に指示する。給電ステーション制御器45は、例えば、停留所32に設けられている。給電ステーション制御器45は、例えば、停留所32の天面32aの下方に設けられている。給電ステーション制御器45は、例えば、地下に配置された配線Wを介して、検出器41、通信機42、複数のガイド部材43、及び、送電装置44に接続されている。
【0063】
給電ステーション制御器45は、通信機42及び検出器41から車両2の識別情報を取得し、取得された識別情報に基づいて複数のガイド部材43の少なくとも1つの動作を制御する。識別情報は、例えば、車両2の車種を示す情報である。識別情報は、例えば、車両2の車種情報である。識別情報は、車両2の個々を識別する情報であってもよい。識別情報は、車両2の車体番号、又は、自動車登録番号であってもよい。給電ステーション制御器45は、検出器41の検出結果に基づいて、車両2が給電スペース31に存在するか否かを判断する。給電ステーション制御器45は、例えば、鉛直方向から見て受電コイル21の基準点P1が送電コイル51の基準点P2の真上に位置する停止位置に車両2を案内するように、複数のガイド部材43の少なくとも1つの動作を制御する。
【0064】
給電ステーション制御器45は、例えば、取得された識別情報に基づいて、複数のガイド部材43の少なくとも1つにおける照明装置Lのオンオフを制御する。給電ステーション制御器45は、例えば、車両2の識別情報に応じて、この車両2を停止させる停止位置に対応するガイド部材43の照明装置Lをオンとし、車両2を停止させる停止位置に対応しないガイド部材43の照明装置Lをオフとする。
【0065】
給電ステーション制御器45は、送電装置44を制御する。給電ステーション制御器45は、ガイド部材43によって案内された停止位置における車両2の停止に応じて送電装置44を制御する。給電ステーション制御器45は、例えば、通信機42又は検出器41から取得した情報に基づいて、車両2が停止したか否かを判断する。給電ステーション制御器45は、例えば、車両2が停止したと判断した場合に、車両2への電力の供給を送電装置44に指示する。給電ステーション制御器45は、例えば、ガイド部材43によって案内した停止位置に車両2が停止したと判断した場合に、車両2への電力の供給を送電装置44に指示する。給電ステーション制御器45は、例えば、送電回路52に対して、送電の開始及び終了を指示する。
【0066】
給電ステーション制御器45は、例えば、1又は複数のコンピュータによって構成されている。給電ステーション制御器45は、マイクロプロセッサ、給電ステーション制御器45に動作を実行させるプログラムを格納した不揮発性メモリ、演算結果などのデータを格納するメモリ、及び、入出力インタフェース回路を含んでいる。
【0067】
次に、
図4を参照して、給電ステーション3の給電ステーション制御器45において行われる処理の流れについて一例を説明する。
図4は、給電ステーション制御器45において行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、給電ステーション制御器45は、車両2から要求を取得したか否かを判断する(処理S1)。車両2からの要求は、例えば、車両2が電力の供給を求めることを示す要求であり、通信機42において取得される。給電ステーション制御器45は、車両2から要求を取得したと判断しない場合(処理S1のNO)には、再び処理S1を行う。給電ステーション制御器45は、車両2から要求を取得したと判断した場合(処理S1のYES)には、処理を処理S2に進める。
【0069】
給電ステーション制御器45は、車両2から要求を取得したと判断した場合(処理S1のYES)に、車両2の識別情報を取得する(処理S2)。車両2の識別情報は、例えば、通信機42によって取得される。通信機42において、車両2から送信された車種情報を取得し、取得した車種情報を識別情報として取得する。車両2の識別情報は、給電スペース31の手前の領域に存在する車両2を撮像するカメラによって取得されてもよい。この場合、このカメラによって、撮像された画像からナンバープレートを識別し、自動車登録番号を識別情報として取得する。
【0070】
給電ステーション制御器45は、処理S2の後に、識別情報が給電ステーション3に対応しているか否かを判断する(処理S3)。例えば、給電ステーション制御器45は、識別情報が示す車両2に対して給電ステーション3が電力を供給できない場合に、識別情報が給電ステーション3に対応していないと判断する。給電ステーション制御器45は、識別情報が示す車両2に対して給電ステーション3が電力を供給できる場合に、識別情報が給電ステーション3に対応していると判断する。給電ステーション制御器45は、識別情報が給電ステーション3に対応していない場合には(処理S3のNO)、処理を処理S4に進める。給電ステーション制御器45は、識別情報が給電ステーション3に対応している場合には(処理S3のYES)、処理を処理S5に進める。
【0071】
給電ステーション制御器45は、識別情報が給電ステーション3に対応していないと判断した場合(処理S3のNO)、車両2の電力供給の非対応を示す情報を車両2に送信する(処理S4)。給電ステーション制御器45は、処理S4の後に、処理を処理S1に戻す。
【0072】
給電ステーション制御器45は、識別情報が給電ステーション3に対応していると判断した場合(処理S3のYES)、給電スペース31が空いているか否かを判断する(処理S5)。例えば、給電ステーション制御器45は、検出器41によって給電スペース31において車両が検出された場合に、給電スペース31が空いていないと判断する。給電スペース31に別の車両が停止している場合に、検出器41によって給電スペース31に車両が検出される。給電ステーション制御器45は、検出器41によって給電スペース31において車両が検出されない場合に、給電スペース31が空いていると判断する。給電ステーション制御器45は、給電スペース31が空いていないと判断する場合(処理S5のNO)には、処理を処理S6に進める。給電ステーション制御器45は、給電スペース31が空いていると判断する場合(処理S5のYES)には、処理を処理S7に進める。
【0073】
給電ステーション制御器45は、給電スペース31が空いていないと判断した場合(処理S5のNO)、給電スペース31が空きなしを示す情報を車両2に送信する(処理S6)。給電ステーション制御器45は、処理S6の後に、処理を処理S1に戻す。
【0074】
給電ステーション制御器45は、給電スペース31が空いていると判断した場合(処理S5のYES)、電力の供給可能を示す情報を車両2に送信する(処理S7)。給電ステーション制御器45は、処理S7の後に、処理を処理S8に進める。
【0075】
給電ステーション制御器45は、処理S7の後に、車両2の識別情報に応じてガイド部材43に第一動作を指示する(処理S8)。第一動作は、鉛直方向から見て受電コイル21の基準点P1が送電コイル51の基準点P2の真上に位置する停止位置に、車両2を案内する動作である。
【0076】
例えば、
図5には、左側通行の場合において、車幅及び車長が互いに異なる3種の車両2A,2B,2Cがそれぞれ対応する停止位置に案内された状態が示されている。車両2A,2B,2Cは、全て車両2に含まれている。車両2A,2B,2Cの全種において、各車両2A,2B,2Cの左側面から一定の距離αに受電コイル21の基準点P1が位置するように設けられる。車両2A,2B,2Cの車長はそれぞれLA,LB,LCであり、車体前面から受電コイル21の基準点P1までの距離はそれぞれDA,DB,DCである。例えば、DC>DB>DAが成り立っている。本実施形態では、LB>LC>LAが成り立っているが、LA、LB、LCの大小関係は、これに限定されない。LA、LB、LCは、これと異なる大小関係を有していてもよいし、互いに同一であってもよい。
【0077】
左側通行の場合、各車両2A,2B,2Cは、鉛直方向から見て、第二ガイド部材43Dと各車両2A,2B,2Cの左側面が一致するように停止する。具体的には、車両が手動で運転される場合には、人が、第二ガイド部材43Dを目視により認識する。人が、第二ガイド部材43Dと車両の左側面との距離を目測しつつ、駆動操舵機構11を操作する。車両が自動で運転される場合には、車両制御器14が、不図示のカメラで撮影した画像から画像処理により第二ガイド部材2Dを認識する。このカメラは、例えば、車両の左前部に搭載され、車両の左前方から左側方を含む視野を有している。車両制御器14は、第二ガイド部材2Dと車両の左側面との距離を計算し、自動運転装置に駆動操舵機構11を操作させる。
【0078】
車両2の識別情報が車両2Aである場合には、給電ステーション制御器45は、車両2Aが第一ガイド部材43Cに対応する停止位置に停止するように、第一ガイド部材43Cを動作させる。この結果、
図5に示されている構成において、車両2Aは、車両2Aの車体前面の位置が第一ガイド部材43Cの位置とD1方向において一致するように停止する。車両2の識別情報が車両2Bである場合には、給電ステーション制御器45は、車両2Bが第一ガイド部材43Bに対応する停止位置に停止するように、ガイド部材43を動作させる。この結果、
図5に示されている構成において、車両2Bは、車両2Bの車体前面の位置が第一ガイド部材43Bの位置とD1方向において一致するように停止する。車両2の識別情報が車両2Cである場合には、給電ステーション制御器45は、車両2Cが第一ガイド部材43Aに対応する停止位置に停止するように、ガイド部材43を動作させる。この結果、
図5に示されている構成において、車両2Cは、車両2Cの車体前面の位置が第一ガイド部材43Aの位置とD1方向において一致するように停止する。これらの場合、鉛直方向から見て、各車両2A,2B,2Cの受電コイル21の基準点P1が送電コイル51の基準点P2の真上に位置する。
【0079】
給電ステーション制御器45は、処理S8において、例えば、車両2の識別情報に応じて、この車両2を停止させる停止位置に対応するガイド部材43の照明装置Lをオンとし、車両2を停止させる停止位置に対応しないガイド部材43の照明装置Lをオフとするように制御を行う。例えば、
図1に示されている構成において、給電ステーション制御器45は、車両2の識別情報として、車両2Aであることを示す識別情報を取得する。この場合において、給電ステーション制御器45は、車両2の識別情報に対応する第一ガイド部材43Cの照明装置Lと第二ガイド部材43Dの照明装置Lをオンとし、第一ガイド部材43A,43Bの照明装置Lをオフとする。
【0080】
例えば、車両2Aが手動で運転され、かつ、人が第一ガイド部材を目視で認識する場合、第一ガイド部材43Cの照明装置Lがオンとされ、第一ガイド部材43Cが人により認識される。この場合、第一ガイド部材43Cの前面と車両の前面とが一致するように人が車両を停止させる。車両2Aが自動で運転され、かつ、車両制御器14が不図示のカメラで撮影した画像から画像処理で第一ガイド部材を認識する場合において、照明装置Lがオンになっている第一ガイド部材43Cが画像処理により認識される。例えば、照明装置Lがオフになっている第一ガイド部材43A,43Bは、画像処理により認識されない。この場合、第一ガイド部材43Cの前面と車両の前面とが一致するように、車両制御器14が車両を停止させる。
【0081】
図5に示されているように、第一ガイド部材43Cと送電コイル51の基準点P2との間の距離と、車両2Aの前面と受電コイル21の基準点P1との間の距離DAとが等しい。したがって、受電コイル21の基準点P1が送電コイル51の基準点P2の真上に位置する。この結果、送電コイル51から受電コイル21への非接触給電の効率が向上し得る。
【0082】
給電ステーション制御器45は、処理S8の後に、車両2が停止したか否かを判断する(処理S9)。車両2の停止は、検出器41又は通信機42から取得された情報に基づいて判断される。例えば、検出器41に撮像された複数の画像において、車両2の位置が変化していない場合に、給電ステーション制御器45は、車両2が停止したと判断する。検出器41は、例えば、0.1秒の時間間隔で複数の画像を撮像する。例えば、通信機42が車両2から停止を示す情報を取得し、給電ステーション制御器45は、通信機42において取得された情報に応じて車両2が停止したと判断してもよい。給電ステーション制御器45は、車両2が停止したと判断しない場合(処理S9のNO)には、再び処理S9を行う。給電ステーション制御器45は、車両2が停止したと判断した場合(処理S9のYES)には、処理を処理S10に進める。
【0083】
給電ステーション制御器45は、車両2が停止したと判断した場合(処理S9のYES)、車両2への送電を送電装置44に開始させる(処理S10)。送電装置44は、給電ステーション制御器45からの指示に基づいて、車両2への電力の供給を開始する。
【0084】
給電ステーション制御器45は、処理S10の後に、車両2への送電を停止するか否かを判断する(処理S11)。送電の停止は、例えば、通信機42から取得された情報、又は、給電ステーション3内の情報に基づいて判断される。給電ステーション制御器45は、例えば、車両2の走行再開情報を通信機42から取得し、取得された情報に基づいて車両2への送電を停止するか否かを判断する。通信機42は、通信機12との無線通信によって、車両2の走行再開情報を取得する。車両制御器14は、例えば、車両2が走行を再開する場合に、通信機12を介して通信機42に走行再開情報を送信する。
【0085】
給電ステーション制御器45は、例えば、バッテリ23の残量、送電した電力量、送電した時間、予め決められた送電時間、又は、車両2の停止時間を、給電ステーション3の内部又は通信機42から取得してもよい。バッテリ23の残量は、充電量に相当する。通信機42は、通信機12との無線通信によって、これらの情報を取得する。給電ステーション制御器45は、上記取得された情報に基づいて車両2への送電を停止するか否かを判断する。給電ステーション制御器45は、上述した情報のいずれか又はそれらの組み合わせに基づいて車両2への送電を停止するか否かを判断する。例えば、給電ステーション制御器45は、バッテリ23の残量が閾値を超えている場合に、車両2への送電を停止すると判断する。この閾値は、例えば、バッテリ23が車両2の走行に十分なバッテリ23の残量に相当する。給電ステーション制御器45は、車両2への送電を停止すると判断しない場合(処理S11のNO)には、再び処理S11を行う。給電ステーション制御器45は、車両2への送電を停止すると判断した場合(処理S11のYES)には、処理を処理S12に進める。
【0086】
給電ステーション制御器45は、車両2への送電を停止すると判断した場合(処理S11のYES)に、車両2への送電を送電装置44に終了させる(処理S12)。送電装置44は、給電ステーション制御器45からの指示に基づいて、車両2への電力の供給を終了する。以上、給電ステーション制御器45において行われる処理の流れの一例について説明した。
【0087】
次に、
図6を参照して、車両2の車両制御器14において行われる処理の流れについて一例を説明する。
図6は、車両制御器14において行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0088】
まず、車両制御器14は、給電ステーション3に要求及び識別情報を送信する(処理S21)。処理S21において送信する要求は、例えば、車両2が電力の供給を求めることを示す要求であり、通信機12において送信される。処理S21において送信する識別情報は、車両2の識別情報である。電力の供給を受けようとする車両2の車両制御器14は、給電ステーション3に接近した時点で、給電ステーション3に上記要求を送信する。
【0089】
次に、車両制御器14は、電力供給の非対応を受信したか否かを判断する(処理S22)。車両制御器14は、給電ステーション3から電力供給が非対応であることを受信したと判断した場合(処理S22のYES)、一連の処理を終了する。車両制御器14は、給電ステーション3から電力供給が非対応であることを受信したと判断しない場合(処理S22のNO)、処理を処理S23に進める。
【0090】
車両制御器14は、給電ステーション3から電力供給が非対応であることを受信したと判断しない場合(処理S22のNO)に、給電スペース31の空きなしを示す情報を受信したか否かを判断する(処理S23)。車両制御器14は、給電スペース31の空きなしを示す情報を受信したと判断した場合(処理S23のYES)、処理を処理S24に進める。車両制御器14は、給電スペース31の空きなしを示す情報を受信したと判断しない場合(処理S23のNO)、処理を処理S25に進める。車両制御器14は、電力の供給可能を示す情報を受信した場合、処理を処理S25に進めてもよい。
【0091】
車両制御器14は、給電スペース31の空きなしを示す情報を受信したと判断した場合(処理S23のYES)に、所定時間待機する(処理S24)。処理S24において、車両制御器14は、給電スペースに進入せず、その手前で停車又は徐行する。車両制御器14は、処理S24が終了すると、処理を処理S21に戻す。処理S21から処理S24のループによって、車両制御器14は、給電スペース31が空くのを待つ。
【0092】
車両制御器14は、給電スペース31の空きなしを示す情報を受信したと判断しない場合(処理S23のNO)に、ガイド部材43にしたがって給電スペース31へ走行及び停止する(処理S25)。例えば、車両制御器14は、車両2が自動で運転される場合に、ガイド部材43にしたがって走行及び停止するように駆動操舵機構11を制御する。車両制御器14は、不図示のカメラで撮影した画像から画像処理でガイド部材43を認識する。例えば、照明装置Lがオンになっているガイド部材43が画像処理により認識される。例えば、照明装置Lがオフになっているガイド部材43は、画像処理により認識されない。例えば、車両制御器14は、駆動操舵機構11を制御し、車両2の左側面が第二ガイド部材43Dに沿い、停止位置に対応する第一ガイド部材43Cと車両2の前面が揃うように、車両2Aを走行及び停止させる。車両制御器14は、車両2を手動運転とする場合に、ガイド部材43にしたがって走行及び停止するべきという表示を行ってもよい。この結果、車両2は、ガイド部材43に案内され、給電スペース31内に停止する。車両制御器14は、通信機12によって、停止完了を給電ステーション3に送信する。
【0093】
処理S25が終了すると、車両制御器14は、給電ステーション3に停止完了を示す情報を送信する(処理S26)。処理S26において、車両制御器14は、給電スペース31内に車両2を停止させたままとする。
【0094】
処理S26が終了すると、車両制御器14は、給電ステーション3から電力を供給される(処理S27)。この場合、給電ステーション3の送電装置44から受電装置13に電力の供給が開始される。
【0095】
処理S27が終了すると、車両制御器14は、車両2の走行を再開するか否かを判断する(処理S28)。車両制御器14は、例えば、車両2に乗車している人からの指示に基づいて、車両2の走行を再開するか否かを判断する。走行の再開は、通信機12から取得された情報、又は、車両2内の情報に基づいて判断されてもよい。
【0096】
車両制御器14は、バッテリ23の残量、受電した電力量、受電した時間、予め決められた受電時間、又は、車両2の停止時間を、車両2の内部又は通信機12から取得してもよい。バッテリ23の残量は、充電量に相当する。この場合も、車両制御器14は、取得された情報に基づいて車両2の走行を再開するか否かを判断する。
【0097】
車両制御器14は、車両2の走行を再開すると判断しない場合(処理S28のNO)には、再び処理S28を行う。車両制御器14は、車両2の走行を開始すると判断した場合(処理S28のYES)には、処理を処理S29に進める。
【0098】
車両制御器14は、車両2の走行を開始すると判断した場合(処理S28のYES)に、車両2の走行を再開するための処理を実行する(処理S29)。例えば、車両制御器14は、自動運転の場合に、走行を再開するように駆動操舵機構11を制御する。車両制御器14は、車両2を手動運転とする場合に、走行を再開可能であるという表示を行ってもよい。この結果、車両2は、走行を再開し、給電スペース31の外に出る。以上、車両制御器14において行われる処理の流れの一例について説明した。
【0099】
次に、
図7から
図9を参照して、本実施形態の変形例における給電システムについて説明する。
図7は、給電システムの概略平面図である。
図8は、給電システムの概略側面図である。
図9は、車両がそれぞれ対応する停止位置に案内された状態を示す平面図である。本変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じである。本変形例は、ガイド部材43の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と変形例との相違点を主として説明する。
【0100】
本変形例において、複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cは、
図7から
図9に示されているように、給電スペース31に設けられていている。例えば、複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cは、車両2への接触によって車両2に停止位置を示す。換言すれば、複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cは、車両2への接触によって車両2に停止位置を案内する。
【0101】
本変形例において、複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cは、機械式で稼働する。例えば、複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cは、空気圧によって伸縮する空気圧シリンダと、空気圧シリンダに接続されたロック板とを含んでいる。例えば、ロック板は、空気圧シリンダが延びることによって、路面RSに接する軸を中心にして回転し、路面RSに対して持ち上がる。この結果、ロック板は、路面RSに対して傾斜し、車両2のタイヤTとの接触によって車両2の移動を制限する。複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cは、路面RSに対して傾斜したロック板と車両2のタイヤTとの接触によって車両2に停止位置を示す。ロック板は、空気圧シリンダが延びた状態から縮まることによって、路面RSに接する軸を中心にして回転し、路面RSに対して下降する。この結果、ロック板は、路面RSに対して平行に接し、車両2の移動を許容する。このように、本変形例において、第一ガイド部材の動作の制御は、ロック板が路面RSに対して傾斜する状態と、ロック板が路面RSと平行な状態との切り換え制御に相当する。
【0102】
本変形例において、給電ステーション制御器45は、例えば、取得された識別情報に基づいて、複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cの少なくとも1つのロック板について、ロック板が路面RSに対して傾斜する状態と、ロック板が路面RSと平行な状態とを切り換える。給電ステーション制御器45は、例えば、車両2の識別情報に応じて、この車両2を停止させる停止位置に対応する第一ガイド部材43A,43B,43Cのロック板を路面RSに対して傾斜させる。給電ステーション制御器45は、例えば、車両2の識別情報に応じて、車両2を停止させる停止位置に対応しない第一ガイド部材43A,43B,43Cのロック板を路面RSと平行にさせる。
【0103】
本変形例の給電ステーション制御器45は、
図4に示される処理S8において、例えば、車両2を停止させる停止位置に対応する第一ガイド部材43A,43B,43Cのロック板を路面RSに対して傾斜させ、車両2を停止させる停止位置に対応しない第一ガイド部材43A,43B,43Cのロック板を路面RSと平行にさせる。
【0104】
例えば、
図9には、
図5と同様に、左側通行の場合において、車幅及び車長が互いに異なる3種の車両2A,2B,2Cがそれぞれ対応する停止位置に案内された状態が示されている。車両2A,2B,2Cの全種において、各車両2A,2B,2Cの左側面から一定の距離αに受電コイル21の基準点P1が位置するように設けられる。車両2A,2B,2Cの車長は、それぞれLA,LB,LCである。車両2Aの前輪タイヤTAと路面RSとの接触位置から受電コイル21の基準点P1までの距離は、EAである。車両2Bの前輪タイヤTBと路面RSとの接触位置から受電コイル21の基準点P1までの距離は、EBである。車両2Cの前輪タイヤTCと路面RSとの接触位置から受電コイル21の基準点P1までの距離は、ECである。例えば、EC>EB>EAが成り立っている。本変形例においても、LB>LC>LAが成り立っているが、LA、LB、LCの大小関係は、これに限定されない。LA、LB、LCは、これと異なる大小関係を有していてもよいし、互いに同一であってもよい。
【0105】
本変形例において、給電ステーション制御器45は、
図4に示される処理S8において、例えば、車両2の識別情報に応じて、この車両2を停止させる停止位置に対応するガイド部材43のロック板を路面RSに対して傾斜させ、車両2を停止させる停止位置に対応しないガイド部材43のロック板を路面RSと平行にさせるように制御を行う。例えば、給電ステーション制御器45は、車両2の識別情報として、車両2Aであることを示す識別情報を取得する。この場合において、給電ステーション制御器45は、車両2の識別情報に対応する第一ガイド部材43Cのロック板を路面RSに対して傾斜させ、第一ガイド部材43A,43Bのロック板を路面RSと平行にさせる。
【0106】
例えば、車両2Aが手動で運転され、かつ、人が第一ガイド部材を目視で認識する場合、第一ガイド部材43Cのロック板が路面RSに対して傾斜され、第一ガイド部材43Cが人により認識される。車両2Aが自動で運転され、かつ、車両制御器14が不図示のカメラで撮影した画像から画像処理で第一ガイド部材を認識する場合において、路面RSに対して傾斜されている第一ガイド部材43Cが画像処理により認識される。車両2Aが手動で運転される場合と自動で運転される場合のいずれにおいても、車両2Aが第一ガイド部材43Cに向かって進行し第一ガイド部材43Cと車両2Aの前輪タイヤTAとが接触し、車両2Aが停止する。
【0107】
図9に示されているように、第一ガイド部材43Cと送電コイル51の基準点P2との間の距離と、車両2Aの前輪タイヤTAと路面RSとの接触位置から受電コイル21の基準点P1までの距離EAとが等しい。より厳密には、第一ガイド部材43Cと前輪タイヤTAとの接触位置と、車両2Aの前輪タイヤTAと路面RSとの接触位置との間には数センチメートルから十数センチメートルのオフセットがありえる。この場合、第一ガイド部材43Cと送電コイル51の基準点P2との間の距離と車両2Aの前輪タイヤTAと路面RSとの接触位置から受電コイル21の基準点P1までの距離EAとは、上記オフセットの分だけずらして配置される。この結果、受電コイル21の基準点P1が送電コイル51の基準点P2の真上に位置し、送電コイル51から受電コイル21への非接触給電の効率が向上し得る。
【0108】
本変形例のさらなる変形例として、各第一ガイド部材43A,43B,43Cは、昇降式の停止ブロックであってもよい。この場合、各第一ガイド部材43A,43B,43Cは、電動ジャッキ機構により昇降する。停止ブロックは、電動ジャッキ機構によって持ち上げられ路面RSから突出し、車両2のタイヤTとの接触によって車両2の移動を制限する。複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cは、路面RSから突出した停止ブロックと車両2のタイヤTとの接触によって車両2に停止位置を示す。停止ブロックは、電動ジャッキ機構によって下降し路面RSと面一になり、車両2の移動を許容する。この場合、第一ガイド部材の動作の制御は、停止ブロックが路面RSから突出する状態と、停止ブロックが路面RSに埋没して路面RSと面一になる状態との切り換え制御に相当する。
【0109】
本変形例のさらなる変形例として、各第一ガイド部材43A,43B,43Cは、遮断機などであってもよい。この場合、車両2の前面に遮断機を下ろすことにより、車両2に停止位置を示す。車両2は、カメラによって撮像された画像から遮断機を認識してもよいし、遮断機との接触によって遮断機を認識してもよい。この場合、第一ガイド部材の動作の制御は、遮断機の上げ下げの制御に相当する。
【0110】
次に、本開示の給電システム1、及び、給電ステーション3の作用効果について説明する。
【0111】
本開示の給電ステーション3において、給電ステーション制御器45は、車両2の識別情報を取得し、取得された識別情報に基づいて上記少なくとも1つのガイド部材43の動作を制御する。この場合、例えば、車両2の車種に応じて、車両2が適切な停止位置に案内される。このため、異なる大きさを有する車両2に対して、アームのような可動機構を用いることなく、送電装置44と受電装置13とが位置合わせされる。例えば、停止した車両2の受電コイル21の基準点P1が、送電コイル51の基準点P2の真上に位置する。この場合、効率よく車両2への送電が行われ得る。この結果、給電ステーション3の送電コイル51と車両2の受電コイル21との位置合わせが容易に行われ、車両2に対して、効率的に電力が供給され得る。
【0112】
給電ステーション3において、少なくとも1つのガイド部材43は、照明装置Lを含んでいる。給電ステーション制御器45は、取得された識別情報に基づいて、少なくとも1つのガイド部材43における照明装置Lを制御する。この場合、コストが抑制されながら、車両2の識別情報に基づいて、車両2が容易かつ適切に停止位置に案内され得る。
【0113】
図7から
図9に示されている給電ステーション3の構成において、少なくとも1つのガイド部材43は、車両2への接触によって車両2に停止位置を案内するガイド部材43を含んでいる。この場合、コストが抑制されながら、車両2の識別情報に基づいて、車両2が容易かつ適切に停止位置に案内され得る。
【0114】
給電ステーション3において、少なくとも1つのガイド部材43は、車両2の進行方向において互いに異なる位置に配列されている複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cを含んでいる。この場合、互いに車長が異なる複数の車両2の各々が、1つの送電装置44に対して適切に停止位置に案内され得る。
【0115】
給電ステーション3において、少なくとも1つのガイド部材43は、第二ガイド部材43Dをさらに含んでいる。複数の第一ガイド部材43A,43B,43Cの各々は、進行方向と交差する方向に延在している。第二ガイド部材43Dは、車両2の進行方向に延在している。この場合、車両2の左右方向において、車両2が送電装置44に対して容易に位置合わせされ得る。
【0116】
給電ステーション3において、車両2の進行方向に沿って配置されており、停止位置に停止した車両2に対する乗降を行うための停留所32をさらに備えている。この場合、停留所32への人の乗降又は荷物の積み降ろしを送電と同時に行うことができるため、車両2の稼働率が向上する。
【0117】
上記給電ステーション3において、送電装置44は、送電コイル51を含んでいる。送電コイル51の中心は、車両2の進行方向から見て、停止位置に停止した車両2の中心線よりも、当該車両2の乗降口から離れている。例えば、車両2Aにおいて、送電コイル51の中心は、車両2Aの進行方向から見て、停止位置に停止した車両2Aの中心線A1よりも、当該車両2Aの乗降口から離れている。この場合、車両2が昇降ステップ、又は、車いす若しくは荷物のリフタなどの設備を備える場合であっても、これらの設備と受電コイル21との干渉を避けて、受電コイル21が車両2に配置され得る。
【0118】
上記給電ステーション3において、送電装置44は、送電コイル51を含んでいる。送電コイル51の中心は、車両2の進行方向から見て、停止位置に停止した車両2の中心線よりも、当該車両2の運転席S側に位置するように配置されている。この場合、車両2が昇降ステップ、又は、車いす若しくは荷物のリフタなどの設備を備える場合であっても、これらの設備と受電コイル21との干渉を避けて、受電コイル21が車両2に配置され得る。
【0119】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0120】
例えば、上述した実施形態及び変形例において、受電装置13の受電接続部が受電コイル21であり、送電装置44の送電接続部が送電コイル51であり、受電コイル21と送電コイル51とが非接触給電方式である場合について説明した。しかしながら、受電接続部は、有線で送電接続部から電力を供給されてもよい。有線で送電接続部から電力を供給される場合、受電接続部と送電接続部とは、停止位置における送電において、プラグを介して物理的に接触してもよい。
【0121】
例えば、受電装置13の下面に、車両2の底面から露出して、下からプラグが差し込まれるソケットが設けられ、送電装置44の天面のうち路面上に位置する箇所に上向きに昇降式のプラグが設けられてもよい。この場合、車両2が停止位置に停車したときに、プラグが上昇してソケットに差し込まれる。この結果、送電装置44と受電装置13の間において有線で電力が供給され得る。
【0122】
図7から
図9に示されている構成においても、各第一ガイド部材43A,43B,43Cは、照明装置Lを含んでいてもよい。例えば、照明装置Lは、ロック板の先端に設けられ、照明装置Lの点灯及び消灯によって車両2の停止位置を示す。例えば、給電ステーション制御器45は、ロック板が路面RSに対して傾斜する状態とロック板が路面RSと平行な状態との切り換え制御と共に、第一ガイド部材に含まれる照明装置Lの点灯状態の制御を行う。
【0123】
各第一ガイド部材43A,43B,43Cが照明装置Lを含んでいる場合、各第一ガイド部材43A,43B,43Cは、路面RSに埋没して路面RSと面一に形成され、照明装置Lのオンオフによって車両2の停止位置を示してもよい。
【0124】
[付記]
【0125】
本開示の給電システム及び給電ステーションは、公共交通機関の充実を図ることができるので、都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にすることに資する。従って、本開示の給電システム及び給電ステーションは、国際連合が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標11「住み続けられるまちづくり」に貢献するものである。
【符号の説明】
【0126】
2,2A,2B,2C 車両
3 給電ステーション
32 停留所
43 ガイド部材
43A,43B,43C 第一ガイド部材
43D 第二ガイド部材
44 送電装置
51 送電コイル
L 照明装置
S 運転席
V 乗降口