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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131063
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ロボットの制御方法及びロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
B25J5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035739
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】福井 将司
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS26
3C707CS08
3C707HS09
3C707HS27
3C707KS36
3C707KS39
3C707MT03
3C707WA16
3C707WL07
(57)【要約】
【課題】台車の挙動を考慮したロボットの制御を簡易にするロボットの制御方法等を提供する。
【解決手段】ロボットの制御方法は、移動可能なロボットの制御方法であって、前記ロボットが備える2つのロボットアームに、前記2つのロボットアームが備える2つのエンドエフェクタを第1間隔で、台車の横方向に延びる把持部に配置させることと、前記2つのエンドエフェクタの間隔を前記第1間隔よりも大きい第2間隔に広げるように、前記2つのロボットアームに、前記2つのエンドエフェクタを前記把持部に沿って移動させることと、前記2つのエンドエフェクタの間隔が前記第2間隔である状態で、前記台車と共に前記ロボットに移動させることとを含み、前記台車は、前記把持部上での前記第2間隔を超える前記エンドエフェクタの移動を妨げる支障物を含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能なロボットの制御方法であって、
前記ロボットが備える2つのロボットアームに、前記2つのロボットアームが備える2つのエンドエフェクタを第1間隔で、台車の横方向に延びる把持部に配置させることと、
前記2つのエンドエフェクタの間隔を前記第1間隔よりも大きい第2間隔に広げるように、前記2つのロボットアームに、前記2つのエンドエフェクタを前記把持部に沿って移動させることと、
前記2つのエンドエフェクタの間隔が前記第2間隔である状態で、前記台車と共に前記ロボットに移動させることとを含み、
前記台車は、前記把持部上での前記第2間隔を超える前記エンドエフェクタの移動を妨げる支障物を含む、制御方法。
【請求項2】
前記2つのロボットアームを支持する支持体から前記2つのエンドエフェクタまでの距離が均等になるように、前記2つのロボットアームに、前記2つのエンドエフェクタを前記第1間隔から前記第2間隔へ移動させる
請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記2つのエンドエフェクタに前記把持部を掴ませつつ、前記2つのロボットアームに、前記2つのエンドエフェクタを前記第1間隔から前記第2間隔へ移動させる
請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記2つのエンドエフェクタの間隔が前記第2間隔である状態で、前記2つのロボットアームに、前記台車を前記ロボットに向かって引き寄せさせることと、
前記台車を前記ロボットに引き寄せた状態で、前記台車と共に前記ロボットに移動させることとを含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記2つのロボットアームに、前記台車を前記ロボットに向かって引き寄せさせて、前記ロボットに前記台車を係合させる
請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
前記2つのロボットアームに、前記台車を前記ロボットに向かって引き寄せさせて、前記台車の凹部に前記ロボットの一部をはめ込む
請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項7】
前記2つのロボットアームを支持する支持体から前記2つのエンドエフェクタまでの距離が均等になるように、前記2つのロボットアームに、前記台車を前記支持体に向かって引き寄せさせる
請求項4から6のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項8】
前記ロボットの占有領域と前記台車の占有領域とを合わせた占有領域を用いて、前記台車と共に前記ロボットに移動させる制御を行う
請求項1から7のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項9】
前記ロボットの自動運転プログラムに従って、前記2つのロボットアーム及び前記2つのエンドエフェクタに動作させる
請求項1から8のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項10】
ロボットであって、
移動可能な移動装置と、
前記移動装置に搭載され且つ動作可能である第1ロボットアーム及び第2ロボットアームと、
前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームに取り付けられ且つ把持動作をする第1エンドエフェクタ及び第2エンドエフェクタと、
前記第1ロボットアーム、前記第2ロボットアーム、前記第1エンドエフェクタ、前記第2エンドエフェクタ及び前記移動装置の動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームに、前記第1エンドエフェクタ及び前記第2エンドエフェクタを第1間隔で、台車の横方向に延びる把持部に配置させることと、
前記第1エンドエフェクタ及び前記第2エンドエフェクタの間隔を、前記第1間隔よりも大きい第2間隔に広げるように、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームに、前記第1エンドエフェクタ及び前記第2エンドエフェクタを前記把持部に沿って移動させることと、
前記第1エンドエフェクタ及び前記第2エンドエフェクタの間隔が前記第2間隔である状態で、前記台車と共に前記ロボットに移動させることとを含み、
前記台車は、前記把持部上での前記第2間隔を超える前記第1エンドエフェクタ及び前記第2エンドエフェクタの移動を妨げる支障物を含む
ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットの制御方法及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、手押し台車を移動する搬送ロボットを開示する。ロボットは、3つリンクと3つのリンクの先端に連結された出力部材とを含むパラレルリンク機構と、出力部材と手押し台車の把持部とを連結する把持機構とを含む。ロボットは、3つリンクを駆動して、手押し台車に連結された出力部材の位置及び姿勢を制御することによって、ロボットに対する手押し台車の相対位置及び相対姿勢を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-246596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ロボットと手押し台車との位置関係が、ロボットの動作に応じて変化し得る。このため、手押し台車の挙動を考慮したロボットの制御が複雑になる。本開示は、台車の挙動を考慮したロボットの制御を簡易にするロボットの制御方法及びロボットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るロボットの制御方法は、移動可能なロボットの制御方法であって、前記ロボットが備える2つのロボットアームに、前記2つのロボットアームが備える2つのエンドエフェクタを第1間隔で、台車の横方向に延びる把持部に配置させることと、前記2つのエンドエフェクタの間隔を前記第1間隔よりも大きい第2間隔に広げるように、前記2つのロボットアームに、前記2つのエンドエフェクタを前記把持部に沿って移動させることと、前記2つのエンドエフェクタの間隔が前記第2間隔である状態で、前記台車と共に前記ロボットに移動させることとを含み、前記台車は、前記把持部上での前記第2間隔を超える前記エンドエフェクタの移動を妨げる支障物を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の技術によれば、台車の挙動を考慮したロボットの制御を簡易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態に係るロボットシステムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1の移動装置の側面図である。
図3図3は、実施の形態に係るロボットシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、図1のロボットのエンドエフェクタの一状態の構成の一例を示す側面図である。
図5図5は、図1のロボットのエンドエフェクタの別状態の構成の一例を示す側面図である。
図6図6は、実施の形態に係る台車の構成の一例を示す斜視図である。
図7図7は、実施の形態に係る台車とロボットの移動装置との係合状態の一例を示す斜視図である。
図8図8は、実施の形態に係るロボットシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、図8の動作に含まれるロボットの状態の一例を示す平面図である。
図10図10は、図8の動作に含まれるロボットの状態の一例を示す平面図である。
図11図11は、図8の動作に含まれるロボットの状態の一例を示す平面図である。
図12図12は、図11に示す状態のロボットの正面図である。
図13図13は、図8の動作に含まれるロボットの状態の一例を示す平面図である。
図14図14は、図8の動作に含まれるロボットの状態の一例を示す平面図である。
図15図15は、図8の動作に含まれるロボットの状態の一例を示す平面図である。
図16図16は、図8の動作に含まれるロボットの状態の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、本開示の例示的な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。本明細書及び請求項では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0009】
[ロボットシステムの構成]
図1を参照しつつ、例示的な実施の形態に係るロボットシステムAの構成の一例を説明する。図1は、実施の形態に係るロボットシステムAの構成の一例を示す図である。ロボットシステムAは、ロボット1と入力装置2とを備える。
【0010】
限定されないが、本実施の形態では、入力装置2は、ロボット1から離れた位置に配置される。入力装置2は、ユーザによる指令、情報及びデータ等の入力を受け付け、受け付けた指令、情報及びデータ等をロボット1に送信する。入力装置2は、ロボット1から指令、情報及びデータ等を受信する。例えば、入力装置2を使用するユーザは、ロボットシステムAの管理者、ロボット1の操作者、ロボットシステムAによるサービスの提供者、又は、ロボットシステムAによるサービスの享受者のいずれであってもよい。
【0011】
入力装置2は、ロボット1と通信する通信装置2aと、プロセッサP及びメモリMを含む処理回路とを含む。通信装置2aとロボット1との通信は、無線通信であるが、有線通信、又は、無線通信及び有線通信の組み合わせであってもよい。いかなる有線通信及び無線通信が用いられてもよい。通信装置2aとロボット1とは、直接的に又は間接的に無線通信するように構成されてもよい。間接的な無線通信では、通信装置2aとロボット1とは、有線通信又は無線通信を介して通信ネットワークと接続し、通信ネットワークを介して互いに通信してもよい。
【0012】
通信ネットワークは特に限定されず、例えば、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、インターネット、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含むことができる。通信ネットワークは、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))及びZigBee(登録商標)などの近距離無線通信、ネットワーク専用回線、通信事業者の専用回線、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)、モバイル通信網、インターネット網、衛星通信、又は、これらの2つ以上の組み合わせを用いるように構成され得る。モバイル通信網は、第4世代移動通信システム及び第5世代移動通信システム等を用いるものであってもよい。通信ネットワークは、1つ又は複数のネットワークを含むことができる。
【0013】
入力装置2は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ、スマートフォン及びタブレットなどのスマートデバイス、個人情報端末、ゲーム端末、ロボットへの教示作業に使用されるティーチペンダントなどの既知の教示装置、ロボットの既知の操作装置、その他の操作装置、その他の端末装置、これらを利用する装置、並びに、これらを改良した装置等を含んでもよい。入力装置2は、ロボット1のために考案される専用の装置であってもよいが、一般市場において入手可能な汎用的な装置であってもよい。入力装置2は、汎用的な装置の場合、専用のソフトウェアがインストールされることによって、入力装置2の機能を実現するように構成されてもよい。
【0014】
ロボット1は、ユーザにサービスを提供する動作をするように構成される。ロボット1は、介護、医療、清掃、警備、案内、救助、調理、商品提供、物流等の様々なサービス業で使用されることができる。ロボット1は、移動装置100と、1つ以上のロボットアーム200と、支持体500と、制御装置600とを備える。ロボット1は、二次電池モジュール10と、電源回路20と、通信装置30と、撮像装置40と、センサ50と、提示装置60とを備える。限定されないが、本実施の形態では、ロボットアーム200には、産業用としても機能することができるロボットアームが用いられる。撮像装置40及び提示装置60は、ロボット1の周囲のユーザとコミュニケーションをとるための装置としても機能し得る。
【0015】
図2は、図1の移動装置100の側面図である。図2に示すように、移動装置100は自身で移動可能であり、本実施の形態では、ホイールにより走行する。移動装置100は、本体110と、駆動ホイール121及び122と、補助ホイール131から134と、移動駆動装置141及び142とを含む。駆動ホイール121及び122と、補助ホイール131から134とは、本体110に回転自在に取り付けられる。駆動ホイール121及び122と、補助ホイール131から134とは共に、ロボット1が配置される支持面Sに接触し、本体110及びロボット1を下方から支持する。
【0016】
ここで、上方向D1A、下方向D1B、前方向D2A、後方向D2B、側方向D3A及び側方向D3Bは、ロボット1を基準とする方向である。上方向D1Aは、移動装置100から支持体500に向かう方向であり、支持面Sが水平である場合での支持面Sに垂直な鉛直上方向に一致する。下方向D1Bは、上方向D1Aと反対方向であり、支持面Sが水平である場合での支持面Sに垂直な鉛直下方向に一致する。D2A及びD2Bは、互いに反対方向であり、方向D1A及びD1Bと垂直な方向である。前方向D2Aは、移動装置100の前進方向であり、後方向D2Bは、移動装置100の後進方向である。側方向D3A及びD3Bは、互いに反対方向であり、方向D1A、D1B、D2A及びD2Bと垂直な方向である。方向D2A、D2B、D3A及びD3Bは、支持面Sが水平である場合に支持面Sに沿う。本明細書及び請求項において、「垂直」、「鉛直」、「水平」及び「平行」はそれぞれ、完全に垂直、鉛直、水平及び平行である場合と、完全な垂直、鉛直、水平及び平行の近傍を含む実質的に垂直、鉛直、水平及び平行とみなすことができる場合とを含み得る。
【0017】
限定されないが、本実施の形態では、補助ホイール131及び132は、本体110において駆動ホイール121及び122の周囲に配置される。補助ホイール131から134は、それぞれの回転軸の向きが固定されるように構成されてもよく、自在キャスタのように、それぞれの回転軸の向きを変えることができるように構成されてもよい。駆動ホイール121及び122は、側方向D3Aに延びる同軸上で回転可能であるように、側方向D3Aに並んで配置される。駆動ホイール121及び122の回転軸の向きは、本体110に対して固定される。
【0018】
移動駆動装置141及び142はそれぞれ、本体110に配置され、駆動ホイール121及び122を回転駆動する。例えば、移動駆動装置141及び142はそれぞれ、電力を動力源とし、電動アクチュエータとしてサーボモータを含む。サーボモータは、制御装置600によって制御される。移動駆動装置141及び142は、駆動ホイール121及び122の回転方向及び回転速度を制御することで、移動装置100を前進、後進及び多様な旋回をさせることができる。
【0019】
移動装置100の構成は、上記構成に限定されず、移動装置100を様々な方向に移動できればよい。例えば、移動装置100は、ホイールを用いずに、クローラ等の他の走行手段を用いて移動するように構成されてもよい。
【0020】
図1に示すように、支持体500は、移動装置100上に配置され、移動装置100によって支持される。支持体500は、移動装置100から上方向D1Aに延びる柱状の形状を有する。支持体500は、ロボット1の様々な構成要素を収容及び支持する。支持体500は、支柱510を含む。支柱510は、支持体500から上方向D1Aに延び、提示装置60を支持する。
【0021】
限定されないが、本実施の形態では、ロボット1は、ロボットアーム200として、2つのロボットアーム200A及び200Bを含む。ロボットアーム200A及び200Bは、支持体500の上部に配置され、支持体500によって支持される。ロボット1は、双腕型ロボットである。ロボットアーム200A及び200Bはそれぞれ、2つ以上の関節を含む。
【0022】
限定されないが、本実施の形態では、ロボットアーム200Aは、ベース201Aと、6つのリンクLA1からLA6と、ベース201A及びリンクLA1からLA6を相互に接続する6つの関節JA1からJA6と、関節JA1からJA6を駆動する関節駆動装置MA1からMA6と、第1エンドエフェクタ300とを含む。ロボットアーム200Bは、ベース201Bと、6つのリンクLB1からLB6と、ベース201B及びリンクLB1からLB6を相互に接続する6つの関節JB1からJB6と、関節JB1からJB6を駆動する関節駆動装置MB1からMB6と、第2エンドエフェクタ400とを含む。関節JA1からJA6及びJB1からJB6は、回転関節である。関節駆動装置MA1からMA6及びMB1からMB6は、電力を動力源とし、電動アクチュエータとしてサーボモータを含む。サーボモータは、制御装置600によって制御される。関節駆動装置MA1からMA6及びMB1からMB6は、図3に示される。
【0023】
ベース201A及び201Bは、支持体500の上部に固定される。ベース201A及び201Bはそれぞれ、支柱510の側方向D3A及びD3Bの位置に配置される。ベース201A及び201Bはそれぞれ、関節JA1及びJB1を介してリンクLA1及びLB1と接続される。リンクLA1及びLB1はそれぞれ、関節JA1及びJB1の回動軸に沿う方向に延びる。関節JA1及びJB1の回動軸はそれぞれ、ベース201A及び201Bが延びる方向に延びる。関節JA1の回動軸は、前方向D2Aに沿って延び、例えば、前方向D2Aに進むに従って側方向D3A及び下方向D1Bへ向かうように、前方向D2Aから傾斜する。関節JB1の回動軸は、前方向D2Aに沿って延び、例えば、前方向D2Aに進むに従って側方向D3B及び下方向D1Bへ向かうように、前方向D2Aから傾斜する。
【0024】
リンクLA2及びLB2はそれぞれ、関節JA2及びJB2を介してリンクLA1及びLB1と接続される。リンクLA2及びLB2はそれぞれ、関節JA2及びJB2の回動軸と交差する方向に延び、例えば、関節JA2及びJB2の回動軸と垂直な方向に延びる。関節JA2及びJB2の回動軸はそれぞれ、関節JA1及びJB1の回動軸と交差する方向に延び、例えば、関節JA1及びJB1の回動軸と垂直な方向に延びる。
【0025】
リンクLA3及びLB3はそれぞれ、関節JA3及びJB3を介してリンクLA2及びLB2と接続される。リンクLA3及びLB3はそれぞれ、関節JA3及びJB3の回動軸と交差する方向に延び、例えば、関節JA3及びJB3の回動軸と垂直な方向に延びる。関節JA3及びJB3の回動軸はそれぞれ、関節JA2及びJB2の回動軸に沿う方向に延び、例えば、関節JA2及びJB2の回動軸と平行な方向に延びる。
【0026】
リンクLA4及びLB4はそれぞれ、関節JA4及びJB4を介してリンクLA3及びLB3と接続される。リンクLA4及びLB4はそれぞれ、関節JA4及びJB4の回動軸に沿う方向に延びる。関節JA4及びJB4の回動軸はそれぞれ、関節JA3及びJB3の回動軸と交差する方向に延び、例えば、関節JA3及びJB3の回動軸と垂直な方向に延びる。
【0027】
リンクLA5及びLB5はそれぞれ、関節JA5及びJB5を介してリンクLA4及びLB4と接続される。リンクLA5及びLB5はそれぞれ、関節JA5及びJB5の回動軸と交差する方向に延び、例えば、関節JA5及びJB5の回動軸と垂直な方向に延びる。関節JA5及びJB5の回動軸はそれぞれ、関節JA4及びJB4の回動軸と交差する方向に延び、例えば、関節JA4及びJB4の回動軸と垂直な方向に延びる。
【0028】
リンクLA6及びLB6はそれぞれ、関節JA6及びJB6を介してリンクLA5及びLB5と接続される。リンクLA6及びLB6はそれぞれ、関節JA6及びJB6の回動軸に沿う方向に延びる。関節JA6及びJB6の回動軸はそれぞれ、関節JA5及びJB5の回動軸と交差する方向に延び、例えば、関節JA5及びJB5の回動軸と垂直な方向に延びる。リンクLA6及びLB6はいずれも、先端にメカニカルインタフェースを含み、エンドエフェクタ300又は400と物理的及び電気的に接続される。
【0029】
エンドエフェクタ300及び400はそれぞれ、リンクLA6及びLB6に、着脱可能に取り付けられる。エンドエフェクタ300及び400は、ロボット1が扱う対象物に作用を加えることができるように構成される。エンドエフェクタ300及び400は、「ロボットハンド」及び「ハンド」等とも呼ばれ得る。エンドエフェクタ300及び400はそれぞれ、駆動装置ME1及びME2を含み、駆動装置ME1及びME2の駆動力によって動作する。限定されないが、本実施の形態では、エンドエフェクタ300及び400は、同じ構造を有する。さらに、駆動装置ME1及びME2はそれぞれ、電力を動力源とし、電動アクチュエータとしてサーボモータを含む。駆動装置ME1及びME2は、図3に示される。例えば、エンドエフェクタ300及び400とリンクLA6及びLB6との接続部分に、作用力の方向及び大きさを検出する力センサが配置されてもよい。力センサは、力覚センサであってもよい。エンドエフェクタ300及び400の構造の詳細は後述する。
【0030】
上記のようなロボットアーム200A及び200Bは、垂直多関節式のロボットアームの構造を有するが、いかなる構造を有してもよい。例えば、ロボットアーム200A及び200Bは、水平多関節型、他のタイプの垂直多関節型、極座標型、円筒座標型、直角座標型、又はその他の型式のロボットアームであってもよい。ロボットアーム200の数量は、1つ以上であればよく、2つ以上であることが好ましい。ロボットアーム200の関節の数量は、2つ以上であればよい。ロボットアーム200の関節は、回転関節に限定されず、例えば、直動関節を含んでもよい。
【0031】
提示装置60は、ロボット1の周囲のユーザに様々な情報を提示する。限定されないが、本実施の形態では、提示装置60は、支柱510に取り付けられたディスプレイ61を含む。ディスプレイ61は、制御装置600から送られる画像データの画像を表示する。制御装置600は、ロボット1と対峙するユーザとコミュニケーションをとるための画像、入力装置2から受け取る指令に従った画像、及び、その他の様々な情報をユーザに提供するための画像等をディスプレイ61に表示させてもよい。提示装置60は、音声信号を音波に変換し音声として放射するスピーカ、及び、画像を投影するプロジェクタ等を含んでもよい。スピーカ及びプロジェクタは、制御装置600から送られる音声信号及び画像信号に対応する音声及び画像を出力してもよい。
【0032】
撮像装置40は、撮像装置41aから41fを含み、ロボット1の周囲の様々な情報を検出する。撮像装置41aから41fはそれぞれ、デジタル画像を撮像するカメラを含む。撮像装置41aから41fのうちの1つ以上は、被写体までの距離を検出可能な3次元カメラを含んでもよい。3次元カメラの例は、ステレオカメラ、TОFカメラ(トフカメラ:Time-of-Flight-Camera)、縞投影等のパターン光投影カメラ、又は光切断法を用いたカメラ等である。撮像装置41aから41fはそれぞれ、撮像した画像のデータを制御装置600に出力する。制御装置600は、撮像装置41aから41fによって取得された画像データを、自身が行う制御に使用してもよく、入力装置2に出力してもよい。制御装置600は、画像からの被写体の抽出、及びカメラから当該被写体までの距離の検出等のための画像処理を行ってもよい。
【0033】
撮像装置41a及び41bはそれぞれ、ロボットアーム200A及び200Bに配置され、例えば、リンクLA6及びLB6に配置され、エンドエフェクタ300及び400の処理対象物を撮像する。撮像装置41cは、ディスプレイ61に配置され、ロボット1と対峙するユーザを撮像する。撮像装置41dは、支持体500に配置され、ロボット1の前方を撮像する。撮像装置41eは、移動装置100に配置され、ロボット1の前方の支持面S及びその近傍を撮像する。撮像装置41fは、支持体500に配置され、ロボット1の後方を撮像する。ロボット1は、周囲から音声を取得し当該音声の音声信号を出力するマイクを含んでもよい。マイクは、音声信号を制御装置600に出力してもよい。
【0034】
センサ50は、ロボット1の周囲の様々な情報を検出する。センサ50は、ロボット1の周囲を走査し、走査結果を制御装置600に出力する。制御装置600は、センサ50の走査結果を、自身が行う制御に使用してもよく、入力装置2に出力してもよい。限定されないが、本実施の形態では、センサ50は、移動装置100に配置され、前方向D2Aへ方向付けられる。センサ50は、移動装置100の本体110おける前方向D2Aの端部110aに配置され、具体的には、段状の形状を有する端部110aの段の上に配置される。センサ50は、移動装置100から前方向D2A並びに側方向D3A及びD3Bにわたるような水平方向の範囲を走査するように構成されてもよい。センサ50は、支持面S及びその近傍を含むような鉛直方向の範囲を走査するように構成されてもよい。センサ50は、走査範囲内の支持面S及び物体等の対象物と、当該対象物までの距離とを検出可能であってもよい。このようなセンサ50は、ロボット1の前方の支持面Sの状態及び支持面S上の物体と、支持面S上の様々な位置及び当該物体の位置とを検出できる。
【0035】
センサ50は、光波、レーザ、磁気、電波、電磁波、超音波又はこれらの2つ以上の組み合わせ等を用いて検出を行うように構成され、光電センサ、レーザセンサ、電波式センサ、電磁波式センサ、超音波センサ、各種ライダ(LiDAR)又はこれらの2つ以上の組み合わせ等を含んでもよい。
【0036】
制御装置600、二次電池モジュール10、電源回路20及び通信装置30は、支持体500内に配置される。二次電池モジュール10は、ロボット1の電力源として機能する。二次電池モジュール10は、1つ以上の二次電池を含む。二次電池は、電力の充電及び放電を可能な電池である。二次電池の例は、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、全固体電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池等である。
【0037】
電源回路20は、制御装置600の指令等に従って、二次電池モジュール10への電力の需給を制御する。例えば、電源回路20は、コンバータ、インバータ、トランス及びアンプ等の機器を含んでもよい。電源回路20は、商用電源等の外部電源EPから電力の供給を受け付け、二次電池モジュール10に、当該電力を制御しつつ供給し蓄電させる。電源回路20は、二次電池モジュール10に蓄積される電力を、ロボット1内の電力を消費する構成要素に、制御しつつ供給する。外部電源EPは図3に示される。
【0038】
通信装置30は、入力装置2の通信装置2aと通信する。通信装置30は、使用される通信に適合する構造を有する。
【0039】
制御装置600は、ロボット1全体を制御するように構成される。図3は、実施の形態に係るロボットシステムAの構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、制御装置600は、通信装置30を介して、入力装置2と通信可能に接続される。制御装置600は、入力装置2から受信する指令等に従って、ロボット1の種々の構成要素の動作を制御する。制御装置600は、記憶されている制御プログラムに従って、ロボット1の種々の構成要素の動作を制御する。
【0040】
制御装置600の制御対象の構成要素の例は、移動駆動装置141及び142、関節駆動装置MA1からMA6及びMB1からMB6、エンドエフェクタ300及び400の駆動装置ME1及びME2、電源回路20、通信装置30、撮像装置41aから41f、センサ50並びにディスプレイ61等であるが、全てが必須ではない。
【0041】
制御装置600は、構成要素に供給する電力を制御する場合、電源回路20に電流の指令値等を出力し、電源回路20に二次電池モジュール10の電力を当該構成要素に供給させてもよい。制御装置600は、サーボモータをサーボ制御してもよい。制御装置600は、サーボモータから、当該サーボモータに備えられるエンコーダ等の回転センサの検出結果を取得してもよい。制御装置600は、サーボモータに配置され得る電流センサ又は電源回路20から、サーボモータへの供給電流値を取得してもよい。制御装置600は、回転センサの検出結果と供給電流値とをフィードバック情報として用いて、サーボモータへの電流の指令値を決定してもよい。
【0042】
制御装置600は、手動運転での動作と、自動運転での動作と、手動運転及び自動運転の組み合わせでの動作とのうちの1つ以上を、ロボット1の構成要素に実行させるように構成されてもよい。
【0043】
手動運転では、制御装置600は、入力装置2に入力される操作内容に逐次従って、ロボット1の構成要素に動作させるように制御をしてもよい。制御装置600は、手動運転プログラムに従って制御を行ってもよい。
【0044】
自動運転では、制御装置600は、入力装置2に入力される指令に対応する一連のタスクをロボット1の構成要素に自動で、つまり自律的に動作させるように制御してもよい。制御装置600は、当該タスクに対応する自動運転プログラムに従って制御を行ってもよい。
【0045】
手動運転及び自動運転の組み合わせでは、制御装置600は、入力装置2から受け取る操作内容及び指令に応じて、操作内容に逐次従った動作と、一連のタスクを自動で実行する動作とを適宜、ロボット1の構成要素に実行させるように制御してもよい。制御装置600は、自動運転プログラム及び手動運転プログラムを組み合わせたハイブリッド運転プログラムに従って制御を行ってもよく、自動運転プログラム及び手動運転プログラムに順次従って制御を行ってもよい。
【0046】
制御装置600は、入力装置2と同様に、プロセッサP及びメモリMを含む処理回路を含む。例えば、制御装置600は、電子回路基板、電子制御ユニット、マイクロコンピュータ、及びその他の電子機器等であってもよい。プロセッサPは、他の装置との指令、情報及びデータ等の送受信を行う。プロセッサPは、種々の機器からの信号の入力及び制御対象への制御信号の出力を行う。
【0047】
例えば、メモリMは、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の半導体メモリ、ROM(Read-Only Memory)等の不揮発性の半導体メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。メモリMは、プロセッサPが実行するプログラム、及び種々のデータ等を記憶する。
【0048】
制御装置600及び入力装置2それぞれの複数の機能の少なくとも一部の機能は、プロセッサP及びメモリMの協働により実現されてもよい。プロセッサPと、RAM及びROMを含むメモリMとは、コンピュータシステムを形成する。例えば、コンピュータシステムは、プロセッサPがRAMをワークエリアとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって、上記機能を実現してもよい。
【0049】
制御装置600及び入力装置2それぞれの機能の一部又は全部は、上記コンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。例えば、制御装置600及び入力装置2はそれぞれ、単一のコンピュータによる集中制御により処理を実行してもよく、複数のコンピュータの協働による分散制御により処理を実行してもよい。
【0050】
以下に限定するわけでないが、例えば、プロセッサPは、CPU(中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及びリコンフィギュラブルプロセッサ等を含み得、IC(Integrated Circuit)チップ及びLSI(Large Scale Integration)などの集積回路等に形成されたハードウェア回路である論理回路又は専用回路によって処理を実現してもよい。制御装置600及び入力装置2それぞれの複数の機能は、個別に1チップ化された集積回路によって実現されてもよく、一部又は全てを含むように1チップ化された集積回路によって実現されてもよい。
【0051】
エンドエフェクタ300及び400の詳細を説明する。エンドエフェクタ300及び400は同じ構造を有するため、以下において、エンドエフェクタ300の詳細のみを説明し、エンドエフェクタ400の詳細の説明を省略する。
【0052】
図4及び図5は、図1のロボット1のエンドエフェクタ300の異なる2つの状態の構成の一例を示す側面図である。図4及び図5は、エンドエフェクタ300の本体310の内部を示す。図4に示すように、エンドエフェクタ300は、本体310と、2つの第1保持部320と、1つの第2保持部330と、駆動装置ME1と、駆動軸340と、第1従動軸350と、第2従動軸360とを含む。本体310は、ロボットアーム200A又は200BのリンクLA6又はLB6のメカニカルインタフェースと接続されるメカニカルインタフェースを含む。
【0053】
駆動装置ME1と、駆動軸340と、従動軸350及び360とは、本体310に配置される。駆動軸340は、駆動装置ME1によって回転駆動されるように、駆動装置ME1と接続される。第1従動軸350は、駆動軸340とギヤ係合し、第2従動軸360は、第1従動軸350とギヤ係合する。第1従動軸350と一体に回転する第1従動ギヤ351が、駆動軸340と一体に回転する駆動ギヤ341と係合する。第2従動軸360と一体に回転する第2従動ギヤ361が、第1従動ギヤ351と係合する。駆動装置ME1は、駆動軸340を介して従動軸350及び360を互いに反対方向に回転駆動する。
【0054】
ここで、図4及び図5に示す方向D4A、D4B、D5A、D5B、D6A及びD6Bは、エンドエフェクタ300を基準とする方向である。方向D4Aは、本体310から離れる方向であり、方向D4Bは、方向D4Aと反対方向である。方向D5A及びD5Bは、互いに反対方向であり、方向D4A及びD4Bと垂直な方向である。方向D6A及びD6Bは、互いに反対方向であり、方向D4A及びD4Bと垂直であり且つ方向D5A及びD5Bと交差する方向である。限定されないが、本実施の形態では、方向D6A及びD6Bは、方向D5A及びD5Bと垂直な方向である。
【0055】
保持部320及び330は、方向D4Aでの本体310の端部310aに配置される。2つの第1保持部320は、方向D5Aに並んで配置される。第2保持部330は、2つの第1保持部320に対して方向D6Aに配置され、方向D5Aで2つの第1保持部320の間に配置される。例えば、端部310aは、本体310のメカニカルインタフェースと反対側に位置してもよい。
【0056】
2つの第1保持部320はそれぞれ、第1リンク321と、第2リンク322と、先端リンク323と、中間リンク324とを含む。2つの第1保持部320において、2つの第1リンク321の基端は、第1従動軸350に一体に回動するように接続され、2つの第2リンク322の基端は、第1従動軸350と一体に回動する2つの回動部材352に回動可能に接続される。2つの第1保持部320それぞれにおいて、リンク321及び322は、それぞれの先端で中間リンク324に回動可能に接続され、互いに沿って延びる。図4に示す状態では、第2リンク322は、第1リンク321よりも方向D6Bに位置する。先端リンク323の基端は、リンク321及び322と中間リンク324との接続部分と反対側で、中間リンク324に回動可能に接続される。
【0057】
第2保持部330は、第1保持部320と同様に、第1リンク331と、第2リンク332と、先端リンク333と、中間リンク334とを含む。限定されないが、本実施の形態では、第2保持部330は、第1保持部320と同様の構造を有し、方向D4A及びD4Bに延びる軸に関して第1保持部320と対称な構造を有する。第1リンク331の基端は、第2従動軸360に一体に回動するように接続され、第2リンク332の基端は、第2従動軸360と一体に回動する回動部材362に回動可能に接続される。
【0058】
図4に示す状態のエンドエフェクタ300において、駆動装置ME1が駆動軸340を介して第1従動軸350を方向R1へ回転駆動すると、第1従動軸350は、第2従動軸360を方向R1と反対の方向R2に回転駆動する。エンドエフェクタ300は図5に示す状態になる。第1従動軸350及び回動部材352が方向R1へ回動することによって、2つの第1保持部320は、リンク321及び322が互いに沿って延びる状態を維持しつつ、第1従動軸350を中心に方向R1へ回動する。第2従動軸360及び回動部材362が方向R2へ回動することによって、第2保持部330は、リンク331及び332が互いに沿って延びる状態を維持しつつ、第2従動軸360を中心に方向R2へ回動する。
【0059】
これにより、エンドエフェクタ300は、保持部320及び330の先端リンク323及び333によって対象物を挟んで把持することができるだけでなく、保持部320及び330を本体310内に収納することができる。ロボット1は、エンドエフェクタ300及び400の保持部を用いた動作だけでなく、エンドエフェクタ300及び400本体を用いた動作を行うことができる。
【0060】
エンドエフェクタ300において、第1リンク321及び331はそれぞれ、従動軸350及び360に回動可能に接続されてもよい。エンドエフェクタ300は、従動軸350及び360に対する第1リンク321及び331の回動を停止、制止又は係止する停止機構を含んでもよい。停止機構が第1リンク321及び331に回動させない場合、エンドエフェクタ300は、図4及び図5に示すように動作し得る。停止機構が第1リンク321及び331の回動を許容する場合、エンドエフェクタ300は、第1リンク321及び331に対して中間リンク324及び334を回動するように動作し得る。
【0061】
ロボット1が使用する台車700の構成を説明する。図6は、実施の形態に係る台車700の構成の一例を示す斜視図である。図6に示すように、台車700は、手押し台車の構造を有する。台車700は、第1支持台710と、第2支持台720と、支持枠730と、複数のホイール740と、ハンドル750とを含む。第1支持台710は第1支持体の一例であり、第2支持台720は第2支持体の一例であり、ハンドル750は把持部の一例である。
【0062】
限定されないが、本実施の形態では、第1支持台710は、板状の形状を有し、例えば、矩形板状の形状を有する。第1支持台710は、方向TD2での第1支持台710の端部712に、凹部713を含む。凹部713は、方向TD2と反対の方向TD1へ端部712から窪む。凹部713は、移動装置100の本体110の端部110aを受け入れる形状及びサイズを有する。
【0063】
ここで、方向TD1、TD2、TD3、TD4、TD5及びTD6は、台車700を基準とする方向である。方向TD1、TD2、TD3及びTD4は、板状の第1支持台710が延びる方向、例えば、第1支持台710の表面711に沿う方向である。方向TD1及びTD2は、互いに反対方向である。方向TD3及びTD4は、互いに反対方向であり、方向TD1及びTD2と垂直な方向である。方向T5及びTD6は、互いに反対方向であり、方向TD1、TD2、TD3及びTD4と垂直な方向である。方向TD6は、第1支持台710から複数のホイール740に向かう方向であり、台車700が水平な支持面S上に配置される場合での支持面Sに垂直な鉛直下方向に一致する。
【0064】
本実施の形態では、図7に示すように、凹部713は、方向TD1と方向TD3及びTD4とで端部110aに整合する形状及びサイズを有する。図7は、実施の形態に係る台車700とロボット1の移動装置100との係合状態の一例を示す斜視図である。例えば、凹部713及び端部110aは、方向TD6で見る平面視で矩形状の形状を有する。凹部713は、端部110aにおける上下方向D1A及びD1Bのいかなる部分と整合する形状及びサイズを有してもよい。上下方向D1A及びD1Bは、図2に示される。本実施の形態では、凹部713は、端部110aにおけるセンサ50よりも下方向D1Bの部分と整合する形状及びサイズを有する。
【0065】
図6に示すように、台車700は、凹部713の内面に受け部714から717を含む。受け部714から717は、板状の形状を有する。受け部714及び715は、方向TD1に位置する凹部713の内面に配置される。受け部714及び715は、それぞれの表面を方向TD2に向けて配置される。受け部716は、方向TD3に位置する凹部713の内面に配置される。受け部716は、その表面を方向TD4に向けて配置される。受け部717は、方向TD4に位置する凹部713の内面に配置される。受け部717は、その表面を方向TD3に向けて配置される。受け部714から717の方向TD5での寸法は、第1支持台710の端部712の方向TD5での寸法よりも大きい。
【0066】
移動装置100の端部110aが凹部713にはまったとき、受け部714から717は、端部110aに当接し得る。受け部714から717は、凹部713の内面のみが端部110aと接触する場合よりも、端部110aとの接触面積を増大する。受け部714から717は、第1支持台710と端部110aとの接触時の衝撃を軽減し得る。受け部714から717の1つ以上は、それぞれの表面に、端部110aとの接触時の衝撃を緩衝する緩衝材を含んでもよい。例えば、緩衝材は、ゴム、スポンジ及び他の樹脂等を材料としてもよい。
【0067】
複数のホイール740は、第1支持台710に対して方向TD6に配置され、第1支持台710に取り付けられる。限定されないが、本実施の形態では、台車700は、4つのホイール740を含み、4つのホイール740は、キャスタの構造を有する。4つのホイール740のうちの1つ以上が、自在キャスタの構造を有してもよい。台車700が支持面Sに配置されたとき、ホイール740は、台車700の移動可能に下方から支持する。
【0068】
支持枠730は、第1支持台710の端部712から方向TD5に延びる。限定されないが、本実施の形態では、支持枠730は、上下に反転したU字状の形状を有する。支持枠730は、方向TD5に位置し且つ方向TD3に延びる横材731と、方向TD3に位置し且つ方向TD5に延びる縦材732と、方向TD4に位置し且つ方向TD5に延びる縦材733とを含む。縦材732及び733の方向TD5の端部は、横材731の両端と接続され、縦材732及び733の方向TD6の端部は、第1支持台710と接続される。縦材732及び733は、支障物及び第3支持体の一例である。
【0069】
本実施の形態では、縦材732及び733は、方向TD5及びTD6に伸縮可能である。例えば、縦材732及び733は、入れ子式の構造を有するが、他の構造を有してもよい。ネジ732a及び733aがそれぞれ、縦材732及び733に配置され、ネジ回転されることで縦材732及び733に係合又は係合解除し、縦材732及び733の伸縮を制止又は制止解除する。縦材732及び733の方向TD5の長さは、不変であってもよい。
【0070】
ハンドル750は、横材731に配置され、縦材732及び733に至るように延びる。限定されないが、本実施の形態では、ハンドル750は、横方向に延びるバー状の形状を有する。ハンドル750は、縦材732から縦材733にわたって延びてもよく、2つ以上に分割されてもよい。ハンドル750は、エンドエフェクタ300及び400が把持するのに好適な構造を有し、例えば、エンドエフェクタ300及び400の把持に好適な断面形状、断面寸法、表面摩擦係数、硬度又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む構造を有してもよい。
【0071】
方向TD2での第2支持台720の端部722は、ハンドル750と第1支持台710との間で、縦材732及び733に取り付けられる。第2支持台720は、縦材732及び733の伸縮に合わせて方向TD5及びTD6へ移動するように縦材732及び733に固定されてもよく、縦材732及び733の伸縮に関係なく方向TD5及びTD6の位置を変えないように縦材732及び733に固定されてもよい。
【0072】
第2支持台720は、第1支持台710から方向TD5へ間隔をあけて配置される。本実施の形態では、台車700における方向TD5での第2支持台720の高さ位置は、ロボット1における上方向D1Aでのセンサ50の高さ位置よりも大きい。例えば、台車700における方向TD5での第2支持台720の高さ位置は、ロボット1における上方向D1Aでのセンサ50の上端の高さ位置よりも大きい。さらに、支持台710及び720の間には、縦材732及び733と第2支持台720との接続部材及び接続補強部材と、縦材732及び733とを除き、他の部材が存在しない。これにより、センサ50が受ける走査範囲への干渉が、抑えられる。
【0073】
第2支持台720は、板状の形状を有し、例えば、矩形板状の形状を有する。第2支持台720は、縦材732及び733から方向TD1へ第1支持台710に沿って延びる。限定されないが、本実施の形態では、第2支持台720は、第1支持台710と平行である。方向TD6で見る平面視において、第2支持台720の輪郭は、第1支持台710の輪郭と重なり合う形状及びサイズを有してもよい。これにより、第2支持台720の表面721上に搬送物が載せられた場合でも、台車700が安定する。
【0074】
第2支持台720は、端部722に凹部723を含む。凹部723は、TD1へ端部722から窪む。凹部723は、移動装置100の端部110aを受け入れる形状及びサイズを有してもよい。方向TD6で見る平面視において、凹部723の輪郭は、凹部713の輪郭と重なり合う形状及びサイズを有してもよい。凹部723は、第2支持台720の高さ位置に対応する高さ位置にある端部110aの部分を受け入れる形状及びサイズを有してもよい。
【0075】
[ロボットシステムの動作]
図8を参照しつつ、実施の形態に係るロボットシステムAの動作の一例を説明する。図8は、実施の形態に係るロボットシステムAの動作の一例を示すフローチャートである。図9から図11及び図13から図16は、図8の動作に含まれるロボット1の状態の一例を示す平面図である。図12は、図11に示す状態のロボット1の正面図である。図8に示す動作では、ロボット1が、自動運転により、台車700を用いて物品を移送する。例えば、ロボットシステムAは、商業施設での商品陳列作業、及び倉庫での荷分け作業等に利用可能である。
【0076】
ステップS101において、入力装置2は、パレットPA上の物品W1及びW2を棚RAへ移送する移送指令を受け付ける。入力装置2は、移送指令と、パレットPAの位置情報と、物品W1及びW2の情報と、棚RAの位置情報と、棚RAにおける物品W1及びW2の配置位置の情報とをロボット1に送信する。
【0077】
ステップS102において、制御装置600は、ロボット1の移送動作の自動運転プログラムを起動し、以降のロボット1の制御を自動運転プログラムに従って実行する。この自動運転プログラムは、ロボット1に、起点から目的地まで台車700を用いて対象物を移送させるプログラムである。起点はパレットPAであり、目的地は棚RAであり、対象物は物品W1及びW2である。ロボット1は、自動運転プログラムの起動時、エンドエフェクタ300及び400により台車700のハンドル750を把持している。
【0078】
ステップS103において、制御装置600は、移動装置100を稼働し、撮像装置40に撮像させつつ、ロボット1を台車700と共にパレットPAまで移動する。制御装置600は、メモリMに記憶される地図情報、及び、撮像装置40によって取得される画像データを画像処理した結果等を用いて、障害物を避けつつロボット1を移動する。
【0079】
ステップS104において、図9に示すように、制御装置600は、ロボット1及び台車700がパレットPAの近傍の所定位置に到着すると、ロボット1に、台車700を残置して、単独でパレットPAの前まで移動させる。制御装置600は、ロボット1がパレットPAの前に到着すると、撮像装置40によってパレットPAを撮像する。制御装置600は、撮像装置40によって取得される画像データを画像処理することで、パレットPA上の物品W1及びW2を識別し、物品W1及びW2の位置、形状及びサイズを検出する。さらに、制御装置600は、物品W1及びW2を配置すべき台車700の第2支持台720上の目的位置を決定する。以降の制御において、制御装置600は、撮像装置40に撮像させつつ、ロボット1に動作させる。さらに、制御装置600は、撮像装置40によって取得される画像データの処理結果等を用いて、エンドエフェクタ300及び400並びに台車700の位置及び姿勢を調節する。
【0080】
ステップS105において、制御装置600は、撮像装置40によって取得される画像データを画像処理することで、物品W1におけるエンドエフェクタ300及び400の把持位置と、物品W1を把持するときのロボット1のパレットPA前での位置とを決定する。さらに、図10に示すように、制御装置600は、ロボット1に、物品W1をパレットPAから台車700の第2支持台720上の目的位置に移送させる。このとき、制御装置600は、エンドエフェクタ300及び400に図5に示す状態に動作させ、エンドエフェクタ300及び400の本体で両側から物品W1を挟持するように、ロボットアーム200A及び200Bに物品W1を把持させる。
【0081】
制御装置600は、ロボットアーム200A及び200Bの関節駆動装置の負荷、エンドエフェクタ300及び400とロボットアーム200A及び200Bとの接続部分に配置される力センサの検出結果、又はこれらの2つ以上を用いて、ロボットアーム200A及び200Bが物品W1を把持する力を調節してもよい。
【0082】
ステップS106において、制御装置600は、ステップS105と同様に、ロボット1に、物品W2をパレットPAから台車700の第2支持台720上の目的位置に移送させる。
【0083】
ステップS107において、制御装置600は、ロボット1に台車700のハンドル750の前に移動させる。ロボット1は、台車700に対して方向TD2に位置する。
【0084】
ステップS108において、図11に示すように、制御装置600は、ロボットアーム200A及び200Bにエンドエフェクタ300及び400をハンドル750上に移動させ、エンドエフェクタ300及び400にハンドル750を把持させる。把持状態では、ロボット1の上下方向DA1及びDA2に延びる中心軸からエンドエフェクタ300及び400それぞれまでの距離が等距離である。ロボット1の中心軸は、予めロボット1に設定される軸であり、例えば、支持体500に設定される中心軸であってもよい。
【0085】
このとき、制御装置600は、エンドエフェクタ300及び400に図5に示す状態から図4に示す状態に動作させる。さらに、図12に示すように、制御装置600は、エンドエフェクタ300及び400の間隔がハンドル750の両端間の長さよりも小さい第1間隔S1になるように、ロボットアーム200A及び200Bに、エンドエフェクタ300及び400をハンドル750上に移動させる。エンドエフェクタ300が縦材732の近傍に位置し、エンドエフェクタ400が縦材733の近傍に位置する。ハンドル750の両端間の長さは、方向TD3での長さであってもよい。ハンドル750の両端間の長さは、方向TD3での縦材732及び733の間隙の寸法であってもよい。
【0086】
例えば、制御装置600は、ハンドル750の両端間の長さ及び第1間隔S1のいずれか又は両方をメモリMに予め記憶している。制御装置600は、ハンドル750の両端間の長さに基づき、第1間隔S1を決定して使用してもよく、メモリMに記憶されている第1間隔S1を使用してもよい。
【0087】
制御装置600は、撮像装置40によって撮像された、ハンドル750並びに縦材732及び733を写す画像データの処理結果と、センサによるハンドル750並びに縦材732及び733の検出結果とのいずれか又は両方を用いて、ハンドル750の両端間の長さを検出してもよい。上記センサは、センサ50であってもよく、ロボット1の別の位置に配置されたセンサ50と同様のセンサであってもよい。制御装置600は、検出結果を用いて、第1間隔S1を決定してもよい。
【0088】
エンドエフェクタ300及び400の第1間隔S1は、ハンドル750を把持するエンドエフェクタ300及び400のいずれか又は両方が縦材732及び733と接触しないような間隔であってもよい。エンドエフェクタ300及び400の第1間隔S1は、エンドエフェクタ300と縦材732との間とエンドエフェクタ400と縦材733との間とのいずれか又は両方に間隙が生じるような間隔であってもよい。例えば、エンドエフェクタ300及び400の第1間隔S1は、エンドエフェクタ300及び400の本体の中心間の間隔、エンドエフェクタ300及び400の本体の側方外方の部分間の間隔、又は、エンドエフェクタ300及び400の側方外方の第1保持部間の間隔であってもよい。
【0089】
エンドエフェクタ300の本体310の側方外方の部分は、方向TD3での本体310の側方外方の部分であり、エンドエフェクタ400の本体の側方外方の部分は、方向TD4での本体の側方外方の部分である。エンドエフェクタ300の側方外方の第1保持部320は、2つの第1保持部320のうちの方向TD3に位置する第1保持部320であり、エンドエフェクタ400の側方外方の第1保持部は、2つの第1保持部のうちの方向TD4に位置する第1保持部である。
【0090】
ステップS109において、図12及び図13に示すように、制御装置600は、エンドエフェクタ300及び400間の間隔を第1間隔S1よりも大きい第2間隔S2にするように、ロボットアーム200A及び200Bにエンドエフェクタ300及び400を移動させる。図12では、第2間隔S2のエンドエフェクタ300及び400が破線で描かれている。
【0091】
限定されないが、本実施の形態では、第2間隔S2は、ハンドル750の両端間の長さと同等となるエンドエフェクタ300及び400の間隔である。制御装置600が、エンドエフェクタ300及び400を第2間隔S2へと移動させると、台車700は、縦材732及び733を押すエンドエフェクタ300及び400のいずれか又は両方によって、方向TD3又はTD4に移動され得る。例えば、制御装置600は、メモリMに記憶される第2間隔S2に従って、エンドエフェクタ300及び400を移動してもよい。制御装置600は、エンドエフェクタ300及び400の間隔が第2間隔S2に至るとエンドエフェクタ300及び400の移動を停止してもよい。
【0092】
第2間隔S2は、ハンドル750を把持するエンドエフェクタ300及び400の両方が縦材732及び733と接触するような間隔であってもよい。第2間隔S2は、エンドエフェクタ300と縦材732との間とエンドエフェクタ400と縦材733との間との両方に間隙が生じないような間隔であってもよい。
【0093】
例えば、エンドエフェクタ300及び400が縦材732及び733と接触する場合、エンドエフェクタ300及び400の本体が縦材732及び733と接触してもよく、エンドエフェクタ300及び400の第1保持部が縦材732及び733と接触してもよい。エンドエフェクタ300と縦材732との間隙は、本体310と縦材732との間隙であってもよく、第1保持部320と縦材732との間隙であってもよい。エンドエフェクタ400と縦材733との間隙は、エンドエフェクタ400の本体と縦材732との間隙であってもよく、エンドエフェクタ400の第1保持部と縦材732との間隙であってもよい。
【0094】
制御装置600は、エンドエフェクタ300及び400と縦材732及び733との接触を検出し、両方の接触の検出時にエンドエフェクタ300及び400の移動を停止してもよい。制御装置600は、撮像装置40によって取得される画像データの処理結果、ロボットアーム200A及び200Bの関節駆動装置の負荷、エンドエフェクタ300及び400とロボットアーム200A及び200Bとの接続部分に配置される力センサの検出結果、又はこれらの2つ以上を用いて、接触を検出してもよい。
【0095】
制御装置600は、エンドエフェクタ300及び400の間隔を第2間隔S2へと広くするとき、ロボット1の上下方向DA1及びDA2に延びる中心軸からエンドエフェクタ300及び400それぞれまでの距離が等距離を維持するように、エンドエフェクタ300及び400を移動する。
【0096】
これにより、ロボット1の側方向D3A及びD3Bでのロボット1の中心に台車700が位置決めされる。例えば、ステップS108の動作終了時、図11に示すように、平面視において、側方向D3A及びD3Bでのロボット1の中心軸CRAが、方向TD3及びTD4での台車700の中心軸CTAと位置ずれする場合がある。ステップS109の動作によって、ロボット1の中心軸CRAと台車700の中心軸CTAとが、側方向D3A及びD3Bで一致し得る。
【0097】
第2間隔S2は、ハンドル750の両端間の長さに限定されない。例えば、ハンドル750上に、突出物等のエンドエフェクタ300及び400の方向TD3及びTD4への移動を阻む支障物が存在する場合、第2間隔S2は、支障物間の長さと同等であってもよい。第2間隔S2は、第2間隔S2を超える方向TD3及びTD4へのエンドエフェクタ300及び400の移動が、台車700の構成要素によって物理的に阻止されるような間隔であってもよい。縦材732及び733も、支障物の一例である。
【0098】
ステップS110において、図14に示すように、制御装置600は、台車700をロボット1に引き寄せるように、ロボットアーム200A及び200Bにエンドエフェクタ300及び400を移動させる。具体的には、図7に示すように、制御装置600は、台車700の凹部713に移動装置100の端部110aがはまるまで、ロボットアーム200A及び200Bに台車700を後方向D2Bへ引き寄せさせる。このとき、制御装置600は、ロボット1の上下方向DA1及びDA2に延びる中心軸からエンドエフェクタ300及び400それぞれまでの距離が等距離を維持するように、エンドエフェクタ300及び400を均等に移動する。台車700の支持台710及び720の間にセンサ50が位置するため、支持台710及び720は、センサ50の走査範囲への干渉を低く抑え、第2支持台720上の物品WI及びW2はセンサ50の走査範囲に干渉しない。
【0099】
制御装置600は、凹部713の受け部714及び715が端部110aに当接する位置に到達すると引き寄せを停止してもよく、凹部713が端部110aに対する所定の位置に到達すると引き寄せを停止してもよい。制御装置600は、台車700の引き寄せを停止する位置をメモリMに予め記憶している。制御装置600は、メモリMに記憶されている停止位置に従って、台車700の引き寄せを停止し得る。これにより、台車700は、ロボット1に対して前後方向D2A及びD2Bでの所定の位置に位置決めされる。
【0100】
例えば、ステップS109の動作終了時、図13に示すように、平面視において、移動装置100の端部110aに沿って側方向D3Aに延びる軸CRBが、台車700の凹部713の受け部714及び715に沿って方向TD3に延びる軸CTAから、距離をあけて離れる。当該距離は、ステップS109の動作終了のタイミング毎に異なる可能性がある。ステップS110の動作によって、ロボット1の軸CRBと台車700の軸CTBとが、前後方向D2A及びD2Bで一致する又は一定の間隔をあけて位置し得る。
【0101】
これにより、ロボット1の占有領域と台車700の占有領域とを含むフットプリントが、所定の形状及びサイズを有する一定のフットプリントとして形成される。制御装置600は、ロボット1が台車700を保持していないときは、ロボット1のフットプリントを用いて、ロボット1の位置制御を行うが、ロボット1が台車700を保持しているときは、ロボット1及び台車700を含むフットプリントを用いて、ロボット1の位置制御を行う。ロボット1及び台車700を含むフットプリントが一定であるため、制御装置600は、ロボット1の位置制御を簡易に且つ確実に行うことができる。
【0102】
停止位置が、受け部714及び715が端部110aに当接する位置である場合、台車700は、凹部713と端部110aとの嵌合によって、移動装置100に対する後方向D2B並びに側方向D3A及びD3Bへの移動の拘束を受ける。台車700は、ロボットアーム200A及び200Bの関節駆動装置のブレーキによって、前方向D2Aへの移動の拘束を受ける。
【0103】
停止位置が、受け部714及び715が端部110aに当接しない位置である場合、台車700は、凹部713と端部110aとの係合によって、移動装置100に対する側方向D3A及びD3Bへの移動の拘束を受ける。台車700は、ロボットアーム200A及び200Bの関節駆動装置のブレーキによって、前後方向D2A及びD2Bへの移動の拘束を受ける。
【0104】
いずれの停止位置の場合でも、ロボット1が、エンドエフェクタ300及び400がハンドル750を把持した状態で台車700と共に移動する場合、ロボット1の旋回時に台車700がロボット1に対して側方向D3A及びD3Bに横揺れすることが抑えられ、ロボット1の旋回が円滑になる。さらに、ハンドル750がエンドエフェクタ300及び400の保持部に与える負荷が低減する。
【0105】
制御装置600は、撮像装置40によって撮像された凹部713を写す画像データの処理結果と、センサによる凹部713の検出結果とのいずれか又は両方を用いて、凹部713の形状及びサイズを検出してもよい。上記センサは、センサ50であってもよく、ロボット1の別の位置に配置されたセンサ50と同様のセンサであってもよい。制御装置600は、検出結果を用いて、台車700の停止位置を決定してもよい。
【0106】
制御装置600は、受け部714及び715と端部110aとの接触を検出し、接触の検出時にエンドエフェクタ300及び400の移動を停止してもよい。制御装置600は、撮像装置40によって取得される画像データの処理結果、ロボットアーム200A及び200Bの関節駆動装置の負荷、エンドエフェクタ300及び400とロボットアーム200A及び200Bとの接続部分に配置される力センサの検出結果、凹部713を検出するセンサの検出結果、又はこれらの2つ以上を用いて、接触を検出してもよい。
【0107】
ステップS111において、図15に示すように、制御装置600は、移動装置100を稼働し、撮像装置40に撮像させつつ、ロボット1を台車700と共に棚RAまで移動する。制御装置600は、メモリMに記憶される地図情報、及び、撮像装置40によって取得される画像データを画像処理した結果等を用いて、障害物を避けつつロボット1を移動する。
【0108】
ステップS112において、制御装置600は、ロボット1及び台車700が棚RAの近傍の所定位置に到着すると、ロボット1に、台車700を残置して、単独で棚RAの前まで移動させる。制御装置600は、ロボット1が棚RAの前に到着すると、撮像装置40によって棚RAを撮像する。制御装置600は、撮像装置40によって取得される画像データを画像処理することで、棚RA上における物品W1及びW2を配置すべき目的位置を決定する。
【0109】
ステップS113において、制御装置600は、撮像装置40によって取得される画像データを画像処理することで、物品W1におけるエンドエフェクタ300及び400の把持位置と、物品W1を把持するときのロボット1の台車700前での位置とを決定する。さらに、図16に示すように、制御装置600は、ロボット1に、物品W1を台車700から棚RA上の目的位置に移送させる。このとき、制御装置600は、エンドエフェクタ300及び400に図5に示す状態に動作させ、エンドエフェクタ300及び400の本体を介してロボットアーム200A及び200Bに物品W1を把持させる。制御装置600は、ステップS105と同様に、ロボットアーム200A及び200Bが物品W1を把持する力を調節してもよい。
【0110】
ステップS114において、制御装置600は、ステップS113と同様に、ロボット1に、物品W2を台車700から棚RA上の目的位置に移送させる。
【0111】
ステップS115において、制御装置600は、所定の待機位置、又は、入力装置2を介して指定される場所にロボット1を移動するように、移動装置100を稼働する。
【0112】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の実施の形態の例について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0113】
実施の形態では、ロボット1は、人にサービスを提供するためのロボットとして用いられるが、他の用途に用いられてもよい。例えば、ロボット1は、工場及び倉庫等における作業に用いられるように構成されてもよい。
【0114】
実施の形態に係るロボット1において、支持体500は、ロボットアーム200A及び200Bを上下方向D1A及びD1Bに昇降可能な構造を有してもよい。例えば、支持体500は、入れ子式構造のような伸縮可能な構造を有してもよい。支柱510は、ディスプレイ61を上下方向D1A及びD1Bに昇降可能な構造を有してもよい。例えば、支柱510は、入れ子式構造のような伸縮可能な構造を有してもよく、支柱510自体が上下方向D1A及びD1Bに移動する構造を有してもよい。支持体500及び支柱510の駆動源は、サーボモータ等の電動アクチュエータであってもよく、ガス圧及び液圧等の他の動力源により作動するアクチュエータであってもよい。
【0115】
実施の形態に係るロボット1において、ロボットアーム200A及び200Bは、1つの移動装置100に配置されるが、これに限定されない。例えば、ロボットアーム200A及び200Bは、移動可能でない対象物に配置されてもよい。ロボットアーム200A及び200Bは、異なる対象物に配置されてもよい。
【0116】
実施の形態に係る台車700は、2つの支持台710及び720を含むが、1つの支持台を含んでもよく、3つ以上の支持台を含んでもよい。台車は、いずれの支持台に物体が載置されるように構成されてもよい。台車において、1つ以上の支持台に凹部が形成されてもよい。
【0117】
本開示の技術の各態様例は、以下のように挙げられる。本開示の一態様に係るロボットの制御方法は、移動可能なロボットの制御方法であって、前記ロボットが備える2つのロボットアームに、前記2つのロボットアームが備える2つのエンドエフェクタを第1間隔で、台車の横方向に延びる把持部に配置させることと、前記2つのエンドエフェクタの間隔を前記第1間隔よりも大きい第2間隔に広げるように、前記2つのロボットアームに、前記2つのエンドエフェクタを前記把持部に沿って移動させることと、前記2つのエンドエフェクタの間隔が前記第2間隔である状態で、前記台車と共に前記ロボットに移動させることとを含み、前記台車は、前記把持部上での前記第2間隔を超える前記エンドエフェクタの移動を妨げる支障物を含む。
【0118】
上記態様によると、把持部上の2つのエンドエフェクタは、第2間隔を超えるように移動する場合に支障物から作用を受ける。これにより、2つのエンドエフェクタの間隔が第2間隔である状態の検出が可能である。2つのエンドエフェクタの間隔が第2間隔であるとき、把持部に対する2つのエンドエフェクタの位置を同じ位置にすることが可能である。これにより、ロボットに対して、台車を同じ位置に位置決めすることが可能である。ロボットと共に台車を移動する場合のロボット及び台車の位置の制御が簡易になる。よって、台車の挙動を考慮したロボットの制御が簡易になる。
【0119】
本開示の一態様に係るロボットの制御方法は、前記2つのロボットアームを支持する支持体から前記2つのエンドエフェクタまでの距離が均等になるように、前記2つのロボットアームに、前記2つのエンドエフェクタを前記第1間隔から前記第2間隔へ移動させてもよい。上記態様によると、2つのエンドエフェクタの間隔が第2間隔であるとき、ロボットの中心に台車を位置決めすることができる。よって、台車の挙動を考慮したロボットの制御が簡易になる。
【0120】
本開示の一態様に係るロボットの制御方法は、前記2つのエンドエフェクタに前記把持部を掴ませつつ、前記2つのロボットアームに、前記2つのエンドエフェクタを前記第1間隔から前記第2間隔へ移動させてもよい。上記態様によると、2つのエンドエフェクタを第1間隔から第2間隔へ移動させる過程で、台車が移動して、ロボットに対して台車が位置決めされる。よって、台車の位置決めが容易である。
【0121】
本開示の一態様に係るロボットの制御方法は、前記2つのエンドエフェクタの間隔が前記第2間隔である状態で、前記2つのロボットアームに、前記台車を前記ロボットに向かって引き寄せさせることと、前記台車を前記ロボットに引き寄せた状態で、前記台車と共に前記ロボットに移動させることとを含んでもよい。上記態様によると、ロボットに接近する及び離れる方向でのロボットに対する台車の位置決めが可能である。さらに、台車がロボットに近いため、台車と共にロボットに移動する際に、エンドエフェクタ及びロボットアームが受ける負荷が低減する。
【0122】
本開示の一態様に係るロボットの制御方法は、前記2つのロボットアームに、前記台車を前記ロボットに向かって引き寄せさせて、前記ロボットに前記台車を係合させてもよい。上記態様によると、ロボットと台車との係合が、台車と共にロボットに移動する際の負荷を担い、エンドエフェクタ及びロボットアームが受ける負荷を軽減する。
【0123】
本開示の一態様に係るロボットの制御方法は、前記2つのロボットアームに、前記台車を前記ロボットに向かって引き寄せさせて、前記台車の凹部に前記ロボットの一部をはめ込んでもよい。上記態様によると、台車の凹部とロボットの一部との嵌合は、台車と共にロボットに移動する際の負荷を効果的に担い、エンドエフェクタ及びロボットアームが受ける負荷を大きく軽減する。
【0124】
本開示の一態様に係るロボットの制御方法は、前記2つのロボットアームを支持する支持体から前記2つのエンドエフェクタまでの距離が均等になるように、前記2つのロボットアームに、前記台車を前記支持体に向かって引き寄せさせてもよい。上記態様によると、ロボットに対する台車の姿勢も、同じ姿勢に位置決めされる。
【0125】
本開示の一態様に係るロボットの制御方法は、前記ロボットの占有領域と前記台車の占有領域とを合わせた占有領域を用いて、前記台車と共に前記ロボットに移動させる制御を行ってもよい。上記態様によると、ロボットに対して台車の位置及び姿勢のいずれか又は両方が、同じ位置及び姿勢に位置決めされる。これにより、ロボットの占有領域と台車の占有領域とを合わせた占有領域は、同じ占有領域になる。よって、当該占有領域を用いた台車及びロボットの位置の制御が容易である。
【0126】
本開示の一態様に係るロボットの制御方法は、前記ロボットの自動運転プログラムに従って、前記2つのロボットアーム及び前記2つのエンドエフェクタに動作させてもよい。上記態様によると、ロボットに対して台車の位置決めが、自動運転で実行される。
【0127】
本開示の一態様に係るロボットは、移動可能な移動装置と、前記移動装置に搭載され且つ動作可能である第1ロボットアーム及び第2ロボットアームと、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームに取り付けられ且つ把持動作をする第1エンドエフェクタ及び第2エンドエフェクタと、前記第1ロボットアーム、前記第2ロボットアーム、前記第1エンドエフェクタ、前記第2エンドエフェクタ及び前記移動装置の動作を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームに、前記第1エンドエフェクタ及び前記第2エンドエフェクタを第1間隔で、台車の横方向に延びる把持部に配置させることと、前記第1エンドエフェクタ及び前記第2エンドエフェクタの間隔を、前記第1間隔よりも大きい第2間隔に広げるように、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームに、前記第1エンドエフェクタ及び前記第2エンドエフェクタを前記把持部に沿って移動させることと、前記第1エンドエフェクタ及び前記第2エンドエフェクタの間隔が前記第2間隔である状態で、前記台車と共に前記ロボットに移動させることとを含み、前記台車は、前記把持部上での前記第2間隔を超える前記第1エンドエフェクタ及び前記第2エンドエフェクタの移動を妨げる支障物を含む。上記態様によると、本開示の一態様に係るロボットの制御方法と同様の効果が得られる。
【0128】
本開示の制御方法は、プロセッサ、処理回路、処理回路及び回路の組み合わせ、ICカード又は単体のモジュール等によって、実現されてもよい。本開示の技術は、本開示の制御方法を実行するためのプログラムであってもよく、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0129】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成又はプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせ、を含む回路又は処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、又は手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、又は、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラム又は構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、又はユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
【0130】
上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0131】
本開示は、その本質的な特徴の精神から逸脱することなく、様々なかたちで実施され得るように、本開示の範囲は、明細書の記載よりも添付の請求項によって定義されるため、例示的な実施の形態及び変形例は、例示的なものであって限定的なものではない。請求項及びその範囲内にあるすべての変更、又は、請求項及びその範囲の均等物は、請求項によって包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0132】
1 ロボット
100 移動装置
200A、200B ロボットアーム
300、400 エンドエフェクタ
500 支持体
600 制御装置
700 台車
750 ハンドル(把持部)
713、723 凹部
732、733 縦材(支障物)
740 ホイール
A ロボットシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16