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特開2023-131097情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131097
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/24 20120101AFI20230913BHJP
   G06Q 20/18 20120101ALI20230913BHJP
   G06Q 20/36 20120101ALI20230913BHJP
【FI】
G06Q20/24
G06Q20/18
G06Q20/36
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177169
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2022035321の分割
【原出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】森川 晶代
(72)【発明者】
【氏名】泉山 真輝
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA39
5L055AA52
5L055AA68
(57)【要約】
【課題】後払い利用額の返済に係る利便性を高めることができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】電子決済サービスにおける後払い決済の実行によって発生した後払い利用額のうちの少なくとも一部の金額を返済するための入金金額の指定を、前記電子決済サービスと連携する金融機関を介して受け付ける返済受付部と、前記入金金額の指定を受け付けたことに応じて、前記少なくとも一部の金額を清算するとともに、前記入金金額から前記少なくとも一部の金額を減算した余剰金額を、前記電子決済サービスにおける決済に利用可能なチャージ残高に加算する返済処理部と、を備える、情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子決済サービスにおける後払い決済の実行によって発生した後払い利用額のうちの少なくとも一部の金額を返済するための入金金額の指定および紙幣による支払いを、前記電子決済サービスと連携する金融機関のATM(Automatic Teller Machine)を介して受け付ける返済受付部と、
前記ATMを介して前記入金金額の指定および紙幣による支払いを受け付けたことに応じて、前記少なくとも一部の金額を清算するとともに、前記入金金額から前記少なくとも一部の金額を減算した余剰金額を、前記電子決済サービスにおける決済に利用可能なチャージ残高に加算する返済処理部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記返済受付部は、利用者が利用者端末装置を用いて前記少なくとも一部の金額の返済を実行する際に、前記利用者の本人認証が完了していないと判定した場合、前記利用者端末装置に、前記本人認証の実行を提案する提案情報を表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
コンピュータが、
電子決済サービスにおける後払い決済の実行によって発生した後払い利用額のうちの少なくとも一部の金額を返済するための入金金額の指定および紙幣による支払いを、前記電子決済サービスと連携する金融機関のATM(Automatic Teller Machine)を介して受け付け、
前記ATMを介して、前記入金金額の指定および紙幣による支払いを受け付けたことに応じて、前記少なくとも一部の金額を清算するとともに、前記入金金額から前記少なくとも一部の金額を減算した余剰金額を、前記電子決済サービスにおける決済に利用可能なチャージ残高に加算する、
情報処理方法。
【請求項4】
コンピュータに、
電子決済サービスにおける後払い決済の実行によって発生した後払い利用額のうちの少なくとも一部の金額を返済するための入金金額の指定および紙幣による支払いを、前記電子決済サービスと連携する金融機関のATM(Automatic Teller Machine)を介して受け付けさせ、
前記ATMを介して、前記入金金額の指定および紙幣による支払いを受け付けたことに応じて、前記少なくとも一部の金額を清算するとともに、前記入金金額から前記少なくとも一部の金額を減算した余剰金額を、前記電子決済サービスにおける決済に利用可能なチャージ残高に加算させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子決済サービスにおける後払い決済を実現する技術が知られている。例えば、特許文献1には、利用者による電子決済サービスの利用履歴に基づいて後払い決済の限度額を決定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6951602号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、後払い決済によって発生した後払い利用額の返済に係る利便性を高めるものではなかった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、後払い利用額の返済に係る利便性を高めることができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、電子決済サービスにおける後払い決済の実行によって発生した後払い利用額のうちの少なくとも一部の金額を返済するための入金金額の指定を、前記電子決済サービスと連携する金融機関を介して受け付ける返済受付部と、前記入金金額の指定を受け付けたことに応じて、前記少なくとも一部の金額を清算するとともに、前記入金金額から前記少なくとも一部の金額を減算した余剰金額を、前記電子決済サービスにおける決済に利用可能なチャージ残高に加算する返済処理部と、を備える、情報処理装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、後払い利用額の返済に係る利便性を高めることができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。
図2】電子決済の大まかな流れを例示した図である。
図3】第1実施形態に係る決済サーバ100の構成図である。
図4】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
図5】BNPL設定情報176の内容の一例を示す図である。
図6】ATMにてBNPL決済の利用残高を返済する流れの一例を示す図である。
図7】決済サーバ100によって実行される処理の流れの一例を示す図である。
図8】決済サーバ100によって実行される処理の流れの別の例を示す図である。
図9】返済受付部126によって提案される情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムについて説明する。情報処理装置は、一以上のプロセッサにより実現される。情報処理装置は、電子決済サービスなどのサービスを提供する装置であり、以下の説明では、「決済サーバ」と称して説明する。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)である。
【0010】
図1は、第1実施形態に係る電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済サーバ100を中心として実現される。決済サーバ100は、例えば、一以上の利用者端末装置10、一以上の店舗端末装置50、および銀行サーバ70のそれぞれとネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。
【0011】
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。以下の説明において、利用者端末装置10を主語として実行される処理は、決済アプリ20を主語として実行される処理として読み替えることもできる。
【0012】
店舗端末装置50は、例えば、店舗に設置される。店舗端末装置50は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。店舗端末装置50は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像60は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像60は、店舗に置かれたディスプレイによって表示されてもよい。
【0013】
決済サーバ100は、利用者端末装置10または店舗端末装置50から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。決済サーバ100は、例えば、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を増減させる(換言すると、電子マネーを入出金する)ことで、電子決済を行う。決済サーバ100は、さらに、電子決済を実行する際に、利用者による代金の支払いを所定期間(例えば、1ヶ月)猶予し、所定期間後に、利用者から決済金額の支払いを受けることによって清算を行う後払い決済(BNPL; Buy Now Pay Later、以下「BNPL決済」と称する場合がある)機能を利用者端末装置10に提供する。この場合、電子決済サービスの運営者は、電子決済が実行された店舗に対して決済金額を立て替えて支払い、所定期間後に、チャージ残高からの引き落とし、口座振替、請求書払いなどの方法によって利用者から決済金額の支払いを受けることによって、最終的な清算を行う。また、例えば、利用者は、電子決済サービスと提携する銀行のATM(Automatic Teller Machine)にて、電子決済サービスの運営者の企業番号を入力し、利用残高に相当する金額を振り込むことによって清算を行うこともできる。この場合、決済サーバ100は、当該銀行が運営するサーバから利用者による振り込み情報を受信することによって、BNPL決済の清算を行うことができる。BNPL決済は、例えば、クレジットカード決済などの従来の後払い決済手段に比して、利用にあたっての本人確認や審査手続きが簡略化されたものである。例えば、外部信用機関による与信調査が必須となるクレジットカード決済とは異なり、BNPL決済では、与信調査を実施することなく、ユーザに与信が提供されてもよい。本実施形態におけるBNPL決済は、利用にあたって本人確認が必須とされないものとする。
【0014】
図2は、電子決済の大まかな流れを例示した図である。電子決済には、パターン1とパターン2の二つが存在してよい。パターン1の場合、まず利用者端末装置10において決済アプリ20が起動し、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する。利用者は利用者端末装置10の表示面を店舗端末装置50に翳す(提示する)。店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、アカウントID等の情報を取得する。そして、店舗端末装置50は、アカウントID、決済金額、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて、ユーザの電子決済口座から店舗の電子決済口座に決済金額を移動させて決済処理を完了させる。
【0015】
パターン2の場合、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードする。店舗コード画像60には、店舗名等の情報が含まれている。利用者は、店舗名等が表示された画面において、決済金額と支払い方法(例えば、チャージ残高決済又はBNPL決済)を利用者端末装置10に入力する。決済金額と支払い方法が入力された状態で、利用者が支払いボタンを押下すると、利用者端末装置10は、アカウントID、決済金額、支払い方法、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて決済処理を行う。本実施形態では、少なくともパターン2の方法で電子決済が行われるものとする。また、図2で説明する「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば電話番号)であってもよい。
【0016】
[決済サーバ]
図3は、第1実施形態に係る決済サーバ100の構成図である。決済サーバ100は、例えば、通信部110と、決済コンテンツ提供部120と、決済処理部122と、BNPL処理部124、返済受付部126と、返済処理部128と、記憶部170とを備える。決済コンテンツ提供部120と、決済処理部122と、BNPL処理部124、返済受付部126と、返済処理部128とは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0017】
記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、決済コンテンツ情報174、BNPL設定情報176などの情報が格納される。
【0018】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0019】
決済コンテンツ提供部120は、例えば、Webサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。決済コンテンツ提供部120は、決済コンテンツ情報174から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、決済アプリ20によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ100に送信する。なお、決済コンテンツ情報174に基づくコンテンツには、電子決済サービスへのログイン状態で提供されるコンテンツと、非ログイン状態で提供されるコンテンツがある。非ログイン状態のコンテンツにおいて、決済サーバ100は、各種案内情報を提供したり、新規登録や電話番号の変更申し込みを受け付けたりする。
【0020】
決済処理部122は、利用者端末装置10または店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。決済処理部122は、以下で説明する利用者情報172およびBNPL設定情報176を参照しながら決済処理を行う。
【0021】
図4は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、例えば、アカウントIDに対して、電子決済サービスへの新規登録時に最低限必要な電話番号およびパスワードの他、メールアドレス、氏名・住所・生年月日、登録日、第1チャージ残高、第2チャージ残高、銀行口座、クレジットカード番号、本人確認の有無、チャージ履歴情報、決済履歴情報などの情報が対応付けられたものである。電話番号、パスワード、登録日、第2チャージ残高、チャージ履歴情報、決済履歴情報以外の情報は任意設定情報である。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス(電子決済口座)のことをアカウントと称する。なお登録日とは利用者が電子決済サービスに登録した日(アカウントを作成した日)である。
【0022】
第1チャージ残高および第2チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。第1チャージ残高は、電子決済サービスにおいて利用者による本人認証が完了し、銀行口座を登録したことによって利用が許可されるチャージ残高であり、第2チャージ残高は、電子決済サービスにおいて利用者による本人認証の完了に依らず利用が許可されるチャージ残高である。すなわち、第1チャージ残高にチャージされた残高金額は、利用者の希望に応じて銀行口座に出金することが可能である一方、第2チャージ残高にチャージされた残高金額は、電子決済サービスにおける決済にのみ利用されるものである。第2チャージ残高は、電子決済サービスへの登録時に全ての利用者に利用が許可されるものである。
【0023】
送金の手段としては、指定業者(銀行)のATMからの送金、登録された銀行口座からの送金(第1チャージ残高の場合)などがある。銀行口座とクレジットカード番号のそれぞれは、電子決済サービスに入金可能な銀行口座またはクレジットカード番号の情報(口座番号、カード番号)である。本人確認の有無は、利用者が、例えば、運転免許証などの本人確認書類の画像を電子決済サービスにアップロードすることによって、当該利用者本人であることの確認を実施したか否かを示す情報である。チャージ履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金して第1チャージ残高又は第2チャージ残高を増加させた履歴である。決済履歴情報は、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、決済金額等)を、決済ごとに示す情報である。
【0024】
BNPL処理部124は、電子決済サービスにおけるBNPL決済を実現するために必要な様々なサーバサイド処理を実行する。BNPL処理部124は、例えば、決済アプリ20からの依頼に応じて、BNPL決済の利用設定を行ったり、決済アプリ20の起動に応じて(又はBNPL決済の選択に応じて)、利用者がBNPL決済を行うことができる利用可能額を通知したりする。BNPL処理部124は、以下で説明するBNPL設定情報176を参照しながら、このようなBNPL決済に係るサーバサイド処理を実行する。
【0025】
図5は、BNPL設定情報176の内容の一例を示す図である。BNPL設定情報176は、例えば、アカウントIDに対して、BNPL決済の利用設定、利用上限額、利用残高、返済設定、返済履歴情報などの情報が対応付けられたものである。BNPL決済の利用設定は、電子決済サービスの利用者がBNPL決済の利用申し込みを行った結果、BNPL決済の利用が有効化された否かを示す情報である。
【0026】
利用上限額は、所定期間(例えば、一ヵ月)ごとに利用者がBNPL決済を利用することが可能な上限金額を示す情報である。利用残高は、所定期間中に、利用者がBNPL決済を利用した(未返済の)後払い利用額を示す情報である。利用可能額は、利用上限額から利用残高を減算した金額を示す情報であり、利用者が、現在の期間中に、BNPL決済を利用することができる金額を意味する。
【0027】
返済設定は、利用者がBNPL決済を利用した利用残高の返済方法を示す情報である。返済設定には、例えば、毎月の所定日(例えば、毎月27日)にチャージ残高から利用残高分の金額を引き落とす残高清算、利用者情報172に登録された銀行口座から利用残高分の金額を引き落とす口座振替、利用者情報172に登録された住所に送付された請求書に記載された利用残高分の金額を、例えば、コンビニエンスストアで支払う請求書払いなどが含まれる。さらに、本実施形態において、利用者は、電子決済サービスと提携する銀行のATMにて、電子決済サービスの運営者の企業番号を入力し、利用残高に相当する金額を振り込むことによって清算を行うこともできる。返済履歴情報は、利用者が所定期間ごとに利用残高を返済したか否か(及び/又はその返済金額)を示す情報である。これに加えて、返済履歴情報は、利用者が、ある期間分のBNPL決済の利用残高を期限内に返済しなかった場合、期限内に返済しなかった旨の情報を合わせて格納してもよい。
【0028】
図6は、ATMにてBNPL決済の利用残高を返済する流れの一例を示す図である。まず、利用者は、第1のステップにおいて、電子決済サービスと提携する銀行のATMを訪問し、スマートフォンで取引(入金)を行うことを示す情報を入力する。次に、第2のステップにおいて、利用者は決済アプリ20を起動し、決済アプリ20の画面に表示された返済ボタンを押下する。次に、第3のステップにおいて、利用者は、返済ボタンを押下した後に遷移した決済アプリ20の画面上で、ATM返済を実行する旨を示すボタンを押下し、同時に、今回返済する返済金額を入力する。このとき入力される返済金額は、決済アプリ20の仕組み上、常に、BNPL決済の利用残高の全額が設定されることとしてもよいし、利用者が、利用残高の範囲内で任意の金額を入力可能であってもよい。決済アプリ20は、入力された返済金額をアカウントIDに紐づけて決済サーバ100に送信し、返済受付部126は、受信したアカウントIDと返済金額とを相互に紐づけて一時的に記憶する。返済金額は、「後払い利用額のうちの少なくとも一部の金額」の一例である。
【0029】
次に、第4のステップにおいて、利用者は、ATMに表示されたコード画像を決済アプリ20のスキャナーで読み取る。次に、第5のステップにおいて、利用者は、ATMに表示された企業番号の入力画面において、電子決済サービスの運営者の企業番号を入力する。これにより、利用残高を返済する利用者と、電子決済サービスの運営者との紐づけが行われる。次に、第6のステップにおいて、利用者は、第3のステップにおいて入力された返済金額(より厳密には、返済金額以上の金額)をATMに入金する。銀行は、返済金額がATMに入金されると、当該返済金額が入金された旨の情報を決済サーバ100に通知する。なお、一般的なATMの仕組み上、入金される金額は紙幣(例えば、1000円、5000円、10000円)単位であることに注意されたい。さらに、返済金額は、銀行が利用者に請求する入金手数料を含んでも良い。
【0030】
返済受付部126は、利用者がATMに入金を行った旨の情報(入金金額を含む。以下、「入金情報」と称する場合がある)を、銀行を介して受け付ける。返済処理部128は、返済受付部126によって当該情報が受け付けられると、返済金額に相当する金額分、BNPL決済によって発生した利用残高を清算する(すなわち、減算する)。同時に、返済受付部126は、入金金額から返済金額を減算した端数分の金額を、第2チャージ残高に加算する。上述した通り、第2チャージ残高は、電子決済サービスへの登録時に、全ての利用者に利用が許可されるものである。すなわち、以上の処理により、BNPL決済の利用残高の返済時に端数が発生した場合であっても、当該端数に相当する金額分、電子決済の利用を可能にすることができる。これにより、後払い利用額の返済に係る利便性を高めることができる。
【0031】
また、別の態様として、返済処理部128は、返済受付部126によって入金情報が受け付けられると、利用者情報172を参照して、当該入金情報が受け付けられた利用者に第1チャージ残高の利用が許可されているか否かを判定し、第1チャージ残高の利用が許可されている利用者については、端数に相当する金額分、第1チャージ残高を加算しても良い。これにより、第1チャージ残高の利用が許可されている利用者には、端数に相当する金額分を銀行口座に出金させることを可能にさせ、後払い利用額の返済に係る利便性を更に高めることができる。
【0032】
図7は、決済サーバ100によって実行される処理の流れの一例を示す図である。まず、返済受付部126は、電子決済サービスが連携する銀行から、入金金額を含む入金情報を受信したか否かを判定する(ステップS100)。入金情報が受信されたと判定された場合、返済処理部128は、返済金額に相当する金額分、BNPL設定情報176の利用残高を減算する(ステップS102)。次に、返済処理部128は、入金金額から返済金額を減算した端数分の金額を、第2チャージ残高に加算する(ステップS104)。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0033】
図8は、決済サーバ100によって実行される処理の流れの別の例を示す図である。まず、返済受付部126は、電子決済サービスが連携する銀行から、入金金額を含む入金情報を受信したか否かを判定する(ステップS200)。入金情報が受信されたと判定された場合、返済処理部128は、返済金額に相当する金額分、BNPL設定情報176の利用残高を減算する(ステップS202)。
【0034】
次に、返済処理部128は、返済を行った利用者に第1チャージ残高の利用が許可されているか否かを判定する(ステップS204)。返済を行った利用者に第1チャージ残高の利用が許可されていると判定された場合、返済処理部128は、入金金額から返済金額を減算した端数分の金額を、第1チャージ残高に加算する(ステップS206)。一方、返済を行った利用者に第1チャージ残高の利用が許可されていないと判定された場合、返済処理部128は、入金金額から返済金額を減算した端数分の金額を、第2チャージ残高に加算する(ステップS208)これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0035】
以上の通り説明したフローチャートの処理により、BNPL決済の利用残高の返済時に端数が発生した場合であっても、当該端数に相当する金額分、電子決済の利用を可能にすることができる。これにより、後払い利用額の返済に係る利便性を高めることができる。
【0036】
上述した通り、BNPL決済の利用残高を返済する際、第1チャージ残高の利用が許可されている利用者は、許可されていない利用者よりも、高い利便性を享受することになる。そのため、返済受付部126は、第1チャージ残高の利用が許可されていない利用者がATMにてBNPL決済の利用残高を返済する際、本人認証の実行および銀行口座の登録を提案しても良い。
【0037】
図9は、返済受付部126によって提案される情報の一例を示す図である。図9は、図6に示される第3のステップの状況を表している。返済受付部126は、図6に示される第2のステップにおいて、利用者が返済ボタンを押下すると、利用者が返済ボタンを押下した旨を示す情報を決済アプリ20から受信し、当該利用者に第1チャージ残高の利用が許可されているか否かを判定する。返済受付部126は、利用者に第1チャージ残高の利用が許可されていないと判定した場合、決済アプリ20に、本人認証の実行および銀行口座の登録を薦める情報を表示させる。
【0038】
一例として、図9において、メッセージM1は、銀行口座の登録によって、端数が出金可能となる旨の提案情報を表している。このとき、利用者が本人認証ボタンB1を押下した場合、決済アプリ20は、通常の本人認証手続きを進める。なお、別の態様として、返済受付部126は、利用者が本人認証を完了済みで、かつ銀行口座を登録していない場合、銀行口座を登録する旨の提案情報を決済アプリ20に表示させても良い。
【0039】
以上の通り説明した本実施形態によれば、BNPL決済の利用残高の返済時に端数が発生した場合であっても、当該端数に相当する金額分、電子決済の利用を可能にすることができる。これにより、後払い利用額の返済に係る利便性を高めることができる。
【0040】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 利用者端末装置
20 決済アプリ
22 表示制御機能
24 後払い判定機能
26 返済受付機能
50 店舗端末装置
60 店舗コード画像
100 決済サーバ
110 通信部
120 決済コンテンツ提供部
122 決済処理部
124 BNPL処理部
126 返済受付部
128 返済処理部
170 記憶部
172 利用者情報
174 決済コンテンツ情報
176 BNPL設定情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子決済サービスにおける後払い決済の実行によって発生した後払い利用額のうちの少なくとも一部の金額を返済するための入金金額の指定および紙幣による支払いを、前記電子決済サービスと連携する金融機関のATM(Automatic Teller Machine)を介して受け付けるともに、前記返済を行う前記電子決済サービスの利用者のアカウント情報を前記利用者の利用者端末装置から前記支払い前に受け付ける返済受付部と、
前記ATMを介して前記入金金額の指定および紙幣による支払いを受け付けたことに応じて、前記少なくとも一部の金額を清算するとともに、前記入金金額から前記少なくとも一部の金額を減算した余剰金額を、前記電子決済サービスにおける決済に利用可能であり、かつ前記アカウント情報に紐づくチャージ残高に加算する返済処理部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記返済受付部は、利用者が利用者端末装置を用いて前記少なくとも一部の金額の返済を実行する際に、前記利用者の本人認証が完了していないと判定した場合、前記利用者端末装置に、前記本人認証の実行を提案する提案情報を表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
コンピュータが、
電子決済サービスにおける後払い決済の実行によって発生した後払い利用額のうちの少なくとも一部の金額を返済するための入金金額の指定および紙幣による支払いを、前記電子決済サービスと連携する金融機関のATM(Automatic Teller Machine)を介して受け付けるとともに、前記返済を行う前記電子決済サービスの利用者のアカウント情報を前記利用者の利用者端末装置から前記支払い前に受け付け
前記ATMを介して、前記入金金額の指定および紙幣による支払いを受け付けたことに応じて、前記少なくとも一部の金額を清算するとともに、前記入金金額から前記少なくとも一部の金額を減算した余剰金額を、前記電子決済サービスにおける決済に利用可能であり、かつ前記アカウント情報に紐づくチャージ残高に加算する、
情報処理方法。
【請求項4】
コンピュータに、
電子決済サービスにおける後払い決済の実行によって発生した後払い利用額のうちの少なくとも一部の金額を返済するための入金金額の指定および紙幣による支払いを、前記電子決済サービスと連携する金融機関のATM(Automatic Teller Machine)を介して受け付けさせるとともに、前記返済を行う前記電子決済サービスの利用者のアカウント情報を前記利用者の利用者端末装置から前記支払い前に受け付けさせ
前記ATMを介して、前記入金金額の指定および紙幣による支払いを受け付けたことに応じて、前記少なくとも一部の金額を清算するとともに、前記入金金額から前記少なくとも一部の金額を減算した余剰金額を、前記電子決済サービスにおける決済に利用可能であり、かつ前記アカウント情報に紐づくチャージ残高に加算させる、
プログラム。