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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131104
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
H01G4/30 201L
H01G4/30 201M
H01G4/30 515
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210581
(22)【出願日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0029557
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェオン ボン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ハン ボク
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AE02
5E001AE03
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐湿信頼性及び高温信頼性に優れたセラミック電子部品を提供する。
【解決手段】セラミック電子部品は、容量形成部Ac及び容量形成部の第1方向の両端面に配置されるカバー部112、113を含む。形成部の誘電体層111は、BaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含む。カバー部は、BaTiOを含む。本体の第1方向及び第3方向の断面において、カバー部のうち気孔が占める面積割合をS1、容量形成部の誘電体層のうち気孔が占める面積割合をS2とするとき、S1<S2を満たす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで互いに第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記第3面に配置され、前記第1内部電極と連結される第1外部電極と、
前記第4面に配置され、前記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、
前記本体は、前記第1内部電極及び前記第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部、及び前記容量形成部の第1方向の両端面に配置されるカバー部を含み、
前記容量形成部の誘電体層は、BaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含み、前記カバー部はBaTiOを含み、
前記本体の第1方向及び第3方向の断面において、前記カバー部のうち気孔が占める面積割合をS1、前記容量形成部の誘電体層のうち気孔が占める面積割合をS2とするとき、S1<S2を満たす、セラミック電子部品。
【請求項2】
前記S1は0.2面積%以下であり、
前記S2は0.2面積%超過0.4面積%以下である、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項3】
前記カバー部は(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含まない、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項4】
前記容量形成部の誘電体層は、(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)をBaTiO100モルに対して30モル以上300モル以下含む、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項5】
(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を主成分とする結晶粒を第1結晶粒、BaTiOを主成分とする結晶粒を第2結晶粒とするとき、前記容量形成部の誘電体層は第1結晶粒及び第2結晶粒を含み、
前記カバー部は第2結晶粒を含む、請求項1から4の何れか1つに記載のセラミック電子部品。
【請求項6】
前記第1結晶粒の平均サイズは、前記第2結晶粒の平均サイズより大きい、請求項5に記載のセラミック電子部品。
【請求項7】
前記第1結晶粒の平均サイズは210~340nmであり、前記第2結晶粒の平均サイズは160~290nmである、請求項6に記載のセラミック電子部品。
【請求項8】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで互いに第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記第3面に配置され、前記第1内部電極と連結される第1外部電極と、
前記第4面に配置され、前記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、
前記本体は、前記第1内部電極及び前記第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部、前記容量形成部の第1方向の両端面に配置されるカバー部、及び前記容量形成部の第3方向の両端面に配置されるマージン部を含み、
前記容量形成部の誘電体層はBaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含み、前記マージン部はBaTiOを含み、
前記本体の第1方向及び第3方向の断面において、前記マージン部のうち気孔が占める面積割合をS3、前記容量形成部の誘電体層のうち気孔が占める面積割合をS2とするとき、S3<S2を満たす、セラミック電子部品。
【請求項9】
前記S3は0.2面積%以下であり、
前記S2は0.2面積%超過0.4面積%以下である、請求項8に記載のセラミック電子部品。
【請求項10】
前記マージン部は(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含まない、請求項8に記載のセラミック電子部品。
【請求項11】
前記容量形成部の誘電体層は、(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)をBaTiO100モルに対して30モル以上300モル以下含む、請求項8に記載のセラミック電子部品。
【請求項12】
(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を主成分とする結晶粒を第1結晶粒、BaTiOを主成分とする結晶粒を第2結晶粒とするとき、
前記容量形成部の誘電体層は第1結晶粒及び第2結晶粒を含み、
前記マージン部は第2結晶粒を含む、請求項8から11の何れか1つに記載のセラミック電子部品。
【請求項13】
前記第1結晶粒の平均サイズは、前記第2結晶粒の平均サイズより大きい、請求項12に記載のセラミック電子部品。
【請求項14】
前記第1結晶粒の平均サイズは210~340nmであり、前記第2結晶粒の平均サイズは160~290nmである、請求項13に記載のセラミック電子部品。
【請求項15】
前記カバー部はBaTiOを含み、
前記本体の第1方向及び第3方向の断面において、前記カバー部のうち気孔が占める面積割合をS1とするとき、S1<S2を満たす、請求項8に記載のセラミック電子部品。
【請求項16】
前記S1及びS3は0.2面積%以下であり、
前記S2は0.2面積%超過0.4面積%以下である、請求項15に記載のセラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミック電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
一般的に、積層セラミック高容量キャパシタなどに用いられる誘電体材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)に基づく強誘電体材料であって、常温で高い誘電率を有しながらも損失率(Dissipation Factor)が比較的小さく、絶縁抵抗特性に優れる特徴がある。最近、電装産業の発達により、耐電圧及び高温での容量温度特性と信頼性に優れたセラミック電子部品の需要が急増している。これにより、EIA規格で85℃まで保証される一般の高容量セラミック電子部品以外に、125℃まで保証されるX7R、150℃まで保証されるX8R、さらには200℃まで保証されるX9Mセラミック電子部品が求められている。
【0004】
しかし、チタン酸バリウム(BT、BaTiO)はキュリー温度が125℃に過ぎず、上記温度以上では誘電率が急激に低くなるという限界が存在する。これを解決するために、母材粉末としてCaが固溶したチタン酸バリウム(BCT、(Ba1-xCa)TiO)とチタン酸バリウム(BT、BaTiO)とを混合した母材粉末を適用し、高温静電容量変化率(temperature coefficient of capacitance、TCC)を改善する方案が研究されている。
【0005】
しかし、BCTとBTとを混合した母材粉末を使用する場合、TCCは改善できるものの、耐湿信頼性は低下することがあり、これを解決するための方案が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】KR10-2006-0110603A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明のいくつかの目的の一つは、耐湿信頼性に優れたセラミック電子部品を提供することである。
【0008】
本発明のいくつかの目的の一つは、高温信頼性に優れたセラミック電子部品を提供することである。
【0009】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によるセラミック電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで互いに第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記第3面に配置され、上記第1内部電極と連結される第1外部電極と、上記第4面に配置され、上記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記第1内部電極及び上記第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部、及び上記容量形成部の第1方向の両端面に配置されるカバー部を含み、上記容量形成部の誘電体層はBaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含み、上記カバー部はBaTiOを含み、上記本体の第1方向及び第3方向の断面において、上記カバー部のうち気孔が占める面積割合をS1、上記容量形成部の誘電体層のうち気孔が占める面積割合をS2とするとき、S1<S2を満たすことができる。
【0011】
本発明の一実施形態によるセラミック電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで互いに第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面~上記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記第3面に配置され、上記第1内部電極と連結される第1外部電極と、上記第4面に配置され、上記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記第1内部電極及び上記第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部、上記容量形成部の第1方向の両端面に配置されるカバー部、及び上記容量形成部の第3方向の両端面に配置されるマージン部を含み、上記容量形成部の誘電体層はBaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含み、上記マージン部はBaTiOを含み、上記本体の第1方向及び第3方向の断面において、上記マージン部のうち気孔が占める面積割合をS3、上記容量形成部の誘電体層のうち気孔が占める面積割合をS2とするとき、S3<S2を満たすことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のいくつかの効果のうち一効果は、容量形成部の誘電体層にBaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含ませることにより、高温信頼性を向上させたことである。
【0013】
本発明のいくつかの効果のうち一効果は、カバー部及び/またはマージン部にBaTiOを含ませて気孔率を下げることにより、耐湿信頼性を向上させたことである。
【0014】
但し、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態によるセラミック電子部品の斜視図を概略的に示す図である。
図2図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示す図である。
図3図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示す図である。
図4図2のK1領域を拡大した拡大図である。
図5図2のK2領域を拡大した拡大図である。
図6】本発明の一実施形態によるセラミック電子部品の斜視図を概略的に示す図である。
図7図6のIII-III'線に沿った断面図を概略的に示す図である。
図8】本発明の一実施形態によるセラミック電子部品の斜視図を概略的に示す図である。
図9図8のIV-IV'線に沿った断面図を概略的に示す図である。
図10】BaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含むカバー部の断面を走査電子顕微鏡でスキャンしたイメージである。
図11】BaTiOを含むカバー部の断面を走査電子顕微鏡でスキャンしたイメージである。
図12図10のイメージをイメージ分析プログラムを用いて気孔の割合を分析したものである。
図13図11のイメージをイメージ分析プログラムを用いて気孔の割合を分析したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張されてもよく、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0017】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0018】
図面において、第1方向は積層方向または厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0019】
セラミック電子部品
図1は、本発明の一実施形態によるセラミック電子部品の斜視図を概略的に示す図であり、図2は、図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示す図であり、図3は、図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示す図であり、図4は、図2のK1領域を拡大した拡大図であり、図5は、図2のK2領域を拡大した拡大図である。
【0020】
以下、図1図5を参照して本発明の一実施形態によるセラミック電子部品100について詳細に説明する。また、セラミック電子部品の一例として積層セラミックキャパシタ(Multi-layered Ceramic Capacitor、以下「MLCC」という)について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、セラミック材料を使用する各種のセラミック電子部品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどにも適用することができる。
【0021】
本発明の一実施形態によるセラミック電子部品100は、誘電体層111及び上記誘電体層を間に挟んで互いに第1方向に交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含み、上記第1方向に対向する第1面1及び第2面2、上記第1面及び上記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面3及び第4面4、上記第1面~上記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面5及び第6面6を含む本体110と、上記第3面に配置され、上記第1内部電極と連結される第1外部電極131と、上記第4面に配置され、上記第2内部電極と連結される第2外部電極132と、を含み、上記本体は、上記第1内部電極及び上記第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部Ac、及び上記容量形成部の第1方向の両端面に配置されるカバー部112、113を含み、上記容量形成部の誘電体層111は、BaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含み、上記カバー部112、113はBaTiOを含み、上記本体の第1方向及び第3方向の断面において、上記カバー部112、113のうち気孔Pが占める面積割合をS1、上記容量形成部の誘電体層のうち気孔が占める面積割合をS2とするとき、S1<S2を満たすことができる。
【0022】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていてもよい。
【0023】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程において本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0024】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1面1及び第2面2、上記第1面及び第2面2と連結され、第2方向に互いに対向する第3面3及び第4面4、第1面1及び第2面2と連結され、第3面及び第4面4と連結され、第3方向に互いに対向する第5面5及び第6面6を有することができる。
【0025】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難いほど一体化することができる。誘電体層の積層数は特に制限する必要はなく、セラミック電子部品のサイズを考慮して決定することができる。例えば、誘電体層を400層以上積層して本体を形成することができる。
【0026】
本体110は、本体110の内部に配置され、第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、上記容量形成部Acの第1方向の両端面に配置されるカバー部112、113とを含むことができる。
【0027】
また、上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1内部電極121及び第2内部電極122を繰り返し積層して形成されることができる。容量形成部Acの誘電体層111は、BaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含むことができる。容量形成部Acの誘電体層111は、BaTiO粉末及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)粉末を混合した母材粉末に様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤等を添加した原料を使用して形成したものであってもよい。
【0028】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112、及び上記容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。カバー部112、113はチタン酸バリウム(BaTiO)を含むことができる。また、カバー部112、113は、(Ba1-xCa)TiOを含まなくてもよい。カバー部112、113は、BaTiO粉末に様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤等を添加した原料を使用して形成したものであってもよい。
【0029】
チタン酸バリウム(BT、BaTiO)はキュリー温度が125℃に過ぎず、上記温度以上では誘電率が急激に低くなるという限界が存在する。これを解決するために、母材粉末として、Caが固溶したチタン酸バリウム(BCT(Ba1-xCa)TiO)とチタン酸バリウム(BT、BaTiO)とを混合した母材粉末を適用し、高温静電容量変化率(temperature coefficient of capacitance、TCC)を改善する方案が研究されている。
【0030】
但し、本体の外部を構成するカバー部をCaが固溶したチタン酸バリウム(BCT、(Ba1-xCa)TiO)とチタン酸バリウム(BT、BaTiO)とを混合した母材粉末を適用して形成する場合、カバー部に気孔が発生して緻密度が低下することがあり、カバー部の気孔が水分の浸透経路として作用して耐湿信頼性が低下する可能性があった。
【0031】
すなわち、本体110の全体を、Caが固溶したチタン酸バリウム(BCT、(Ba1-xCa)TiO)とチタン酸バリウム(BT、BaTiO)とを混合した母材粉末を適用して形成する場合、TCCは改善できるものの、耐湿信頼性は低下する可能性があった。
【0032】
そこで、本発明の一実施形態では、カバー部112、113にはBaTiOを含ませてカバー部112、113の気孔率を下げ、容量形成部Acの誘電体層111にはBaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含ませることにより、高温信頼性を確保するとともに耐湿信頼性を確保している。
【0033】
カバー部112、113は、BaTiOを主成分として含むことができ、副成分としては、Mg、Dy、Y、Mn、Cr、V、Si、Al、Zrなどを含むことができる。容量形成部Acの誘電体層111は、BaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を主成分として含むことができ、副成分としてはMg、Dy、Y、Mn、Cr、V、Si、Al、Zrなどを含むことができる。ここで、主成分の意味は、主成分100モルに対して、主成分を除いた残りの成分のモル数が30モル以下であることを意味することができる。本発明において、(Ba1-xCa)TiOは、Caの変性量xが0.01~0.15の範囲であることが好ましいと言える。
【0034】
BaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)は、水熱合成法、固相法、共沈法、ゾル-ゲル法などの方法により製造することができるが、これらに制限されるものではない。
【0035】
一方、カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。但し、1608(長さ×幅、1.6mm×0.8mm)以上のサイズを有するセラミック電子部品において、一般的にカバー部112、113の厚さtcは100μm以上であってもよい。
【0036】
カバー部112、113の平均厚さtcは第1方向のサイズを意味することができ、容量形成部Acの上部または下部において、等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向のサイズを平均した値であることができる。
【0037】
また、上記容量形成部Acの側面にはマージン部114、115が配置されることができる。
【0038】
マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1マージン部114と、第6面6に配置された第2マージン部115とを含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向の両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0039】
マージン部114、115は、図3に示すように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面(cross-section)において、第1内部電極121及び第2内部電極122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0040】
マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0041】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される箇所を除き、導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであってもよい。
【0042】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極が本体の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0043】
マージン部114、115は、BaTiOを含むか、又はBaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)の両方を含むこともできる。マージン部114、115は、カバー部112、113と実質的に同じ組成からなるか、又は容量形成部Acと実質的に同じ組成からなることができる。マージン部114、115がBaTiOを主成分として含む場合、耐湿信頼性をより向上させることができる。
【0044】
本体110の第1方向及び第3方向の断面において、カバー部112、113のうち気孔Pが占める面積割合をS1、容量形成部Acの誘電体層111のうち気孔Pが占める面積割合をS2とするとき、S1<S2を満たすことができる。 S1<S2を満たすことによって、カバー部112、113の緻密度を向上させて水分の浸透経路を遮断し、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0045】
一実施形態において、上記S1は0.2面積%以下であり、上記S2は0.2面積%超過0.4面積%以下であることができる。S1が0.2面積%を超える場合には、耐湿信頼性の向上効果が不十分である可能性がある。S2が0.2面積%以下である場合には、高温信頼性の向上効果が不十分である可能性があり、S4が0.4面積%を超える場合には、誘電率が低下したり、破壊電圧が低下する可能性がある。
【0046】
図10は、BaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含むカバー部の断面を走査電子顕微鏡でスキャンしたイメージであり、図11は、BaTiOを含むカバー部の断面を走査電子顕微鏡でスキャンしたイメージである。図10及び図11のサンプルチップのサイズは2012(長さ×幅、2.0mm×1.2mm)で作製し、サンプルチップの厚さは1.2mmで作製した。図10及び図11を比較してみると、BaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)をいずれも含む図10図11に比べて多くの気孔が存在することが確認できる。
【0047】
S1及びS2は、図10及び図11のようなイメージを得た後、上記イメージをイメージ分析プログラムを用いて気孔の割合を分析することができる。例えば、ImageJプログラムを用いて気孔の割合を分析することができる。図12及び図13は、それぞれ図10及び図11のイメージをImageJプログラムを用いて気孔の割合を分析したものである。図12及び図13のように、気孔は黒色で表され、黒色が占める面積割合を測定することにより気孔の割合を確認することができる。図12の場合、気孔の割合が0.38面積%と測定され、図13の場合、気孔の割合が0.09面積%と測定された。
【0048】
また、図10のサンプルチップ、図11のサンプルチップに対する高温信頼性及び耐湿信頼性を評価した結果、高温信頼性は類似のレベルであったが、耐湿信頼性は図11のサンプルチップが優れていることを確認した。
【0049】
耐湿信頼性は、温度85℃、相対湿度85%において、4Vの電圧を12時間印加して絶縁抵抗値が初期の数値に比べて1/10以下に低くなったサンプルチップを「不良」と判断し、図10のサンプルチップは、総400個のうち10個のサンプルチップが耐湿信頼性が「不良」と判別されたが、図11のサンプルチップは総400個のうち0個のサンプルチップが「不良」と判別された。
【0050】
一実施形態において、容量形成部Acの誘電体層111は、(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)をBaTiO100モルに対して30モル以上300モル以下含むことができる。
【0051】
(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)が BaTiO100モルに対して30モル未満である場合には、高温信頼性の向上効果が不十分であるおそれがあり、300モルを超える場合には、誘電率が低下するおそれがある。より好ましくは、容量形成部Acの誘電体層111は、(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)をBaTiO100モルに対して80モル以上220モル以下含むことができ、さらに好ましくは、BaTiO100モルに対して100モル以上150モル以下含むことができる。
【0052】
一実施形態において、(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を主成分とする結晶粒を第1結晶粒G1、BaTiOを主成分とする結晶粒を第2結晶粒G2とするとき、上記容量形成部の誘電体層111は第1結晶粒G1及び第2結晶粒G2を含み、上記カバー部112、113は第2結晶粒G2を含むことができる。ここで、カバー部112、113は、(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含まないため、第1結晶粒G1を含まないことができる。ここで、主成分とは、主成分100モルに対して主成分を除いた残りの成分のモル数が30モル以下であることを意味することができる。
【0053】
一実施形態において、第1結晶粒G1の平均サイズは、第2結晶粒G2の平均サイズより大きいことができる。BCT粉末がBT粉末よりも大きいため、焼結後にも(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を主成分とする結晶粒である第1結晶粒G1のサイズが第2結晶粒G2のサイズより大きいことができ、このようなサイズの差により気孔Pが形成されることができる。
【0054】
一実施形態において、第1結晶粒G1の平均サイズは210~340nmであり、第2結晶粒G2の平均サイズは160~290nmであることができる。
【0055】
第1結晶粒G1及び第2結晶粒G2のサイズ(Grain size)は、結晶粒の結晶粒界の或る地点から他の地点に直線を引いたとき、最大値を有する線を長軸、上記長軸に直交する直線のうち最大値を有するものを短軸とし、上記長軸と短軸の平均値を結晶粒のサイズとすることができる。500個以上の結晶粒のサイズを平均した値を誘電体結晶粒の平均粒径とすることができる。
【0056】
第1結晶粒G1及び第2結晶粒G2のサイズ(Grain size)は、本体110の幅及び厚さ方向(W-T)の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンして得られた画像イメージから測定することができる。このとき、倍率は結晶粒のサイズに応じて異ならせることができ、500個以上の結晶粒のサイズが測定可能なように倍率を調節することができる。但し、一つの画像イメージに500個以上の結晶粒が含まれるように倍率を調節して測定する必要はなく、複数の画像イメージに含まれた結晶粒の総個数が500個以上になるように倍率を調節し、複数の画像イメージから測定することができる。
【0057】
誘電体層の平均厚さtdは特に限定する必要はない。例えば、誘電体層の平均厚さtdは0.5~3μmであってもよい。
【0058】
誘電体層111の平均厚さtdは、上記第1内部電極121及び第2内部電極122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味することができる。
【0059】
誘電体層111の平均厚さtdは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの誘電体層を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0060】
内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。第1内部電極121及び第2内部電極122は、本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ露出することができる。
【0061】
図3を参照すると、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0062】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4において一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3において一定距離離隔して形成されることができる。また、第1内部電極121及び第2内部電極122は、本体110の第5面及び第6面と離隔して配置されることができる。
【0063】
このとき、第1内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離することができる。
【0064】
本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0065】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0066】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを使用することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
内部電極121、122の平均厚さteは特に限定する必要はない。例えば、内部電極121、122の平均厚さteは、0.6μm以上2.0μm以下であってもよい。
【0068】
内部電極121、122の平均厚さteは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの内部電極を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0069】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されることができる。
【0070】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ配置され、第1内部電極121及び第2内部電極122とそれぞれ連結された第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。
【0071】
図1を参照すると、外部電極131、132は、サイドマージン部114、115の第2方向の両端面を覆うように配置されることができる。
【0072】
本実施形態では、セラミック電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0073】
一方、外部電極131、132は、金属などのように、電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに多層構造を有してもよい。
【0074】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a及び電極層131a、132a上に形成されためっき層131b、132bを含むことができる。
【0075】
電極層131a、132aに対するより具体的な例を挙げると、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極であってもよく、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。
【0076】
また、電極層131a、132aは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次に形成された形態であってもよい。なお、電極層131a、132aは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。
【0077】
電極層131a、132aに含まれる導電性金属として、電気伝導性に優れた材料を使用することができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びそれらの合金のうち一つ以上であってもよい。
【0078】
めっき層131b、132bは実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0079】
めっき層131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bはNiめっき層またはSnめっき層であってもよく、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0080】
セラミック電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。
【0081】
但し、本発明は、高温信頼性が特に要求される製品のサイズである1608(長さ×幅、1.6mm×0.8mm)以上のサイズを有するセラミック電子部品100に好適に適用することができる。
【0082】
製造誤差、外部電極のサイズ等を考慮すると、セラミック電子部品100の長さが1.54mm以上、幅が0.72mm以上である場合に好適に適用することができる。ここで、セラミック電子部品100の長さはセラミック電子部品100の第2方向の最大サイズを意味し、セラミック電子部品100の幅はセラミック電子部品100の第3方向の最大サイズを意味することができる。
【0083】
図6は、本発明の一実施形態によるセラミック電子部品100'の斜視図を概略的に示す図であり、図7は、図6のIII-III'線に沿った断面図を概略的に示す図である。
【0084】
以下、図6及び図7を参照して、本発明の一実施形態によるセラミック電子部品100'について詳細に説明する。但し、上述した説明と重複する内容は省略する。
【0085】
本発明の一実施形態によるセラミック電子部品100'は、誘電体層111及び上記誘電体層を間に挟んで互いに第1方向に交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含み、上記第1方向に対向する第1面1及び第2面2、上記第1面及び上記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面3及び第4面4、上記第1面~上記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面5及び第6面6を含む本体110'と、上記第3面に配置され、上記第1内部電極と連結される第1外部電極131と、上記第4面に配置され、上記第2内部電極と連結される第2外部電極132と、を含み、上記本体は、上記第1内部電極及び上記第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部Ac、上記容量形成部の第1方向の両端面に配置されるカバー部112'、113'、及び上記容量形成部の第3方向の両端面に配置されるマージン部114'、115'を含み、上記容量形成部の誘電体層111はBaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含み、上記マージン部114'、115'はBaTiOを含み、上記本体の第1及び第3方向の断面において、上記マージン部114'、115'のうち気孔Pが占める面積割合をS3、上記容量形成部Acの誘電体層111のうち気孔Pが占める面積割合をS2とするとき、S3<S2を満たすことができる。
【0086】
本体の外部を構成するマージン部114',115'を、Caが固溶したチタン酸バリウム(BCT、(Ba1-xCa)TiO)とチタン酸バリウム(BT、BaTiO)とを混合した母材粉末を適用して形成する場合、マージン部114'、115'に気孔が多くなり緻密度が低下する可能性があり、マージン部114'、115'の気孔が水分の浸透経路として作用して耐湿信頼性が低下する可能性がある。
【0087】
すなわち、本体110'の全体を、Caが固溶したチタン酸バリウム(BCT、(Ba1-xCa)TiO)とチタン酸バリウム(BT、BaTiO)とを混合した母材粉末を適用して形成する場合、TCCは改善できるものの、耐湿信頼性は低下する可能性がある。
【0088】
したがって、本発明の一実施形態では、マージン部114'、115'にはBaTiOを含ませてマージン部114'、115'の気孔率を下げ、容量形成部Acの誘電体層111にはBaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含ませることにより、高温信頼性を確保するとともに耐湿信頼性を確保している。
【0089】
このとき、マージン部114'、115'はBaTiOを含み、且つ(Ba1-xCa)TiOは含まなくてもよい。マージン部114'、115'は、BaTiOを主成分として含むことができ、容量形成部Acの誘電体層111は、BaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を主成分として含むことができる。
【0090】
本体110'の第1方向及び第3方向の断面において、マージン部114',115'のうち気孔Pが占める面積割合をS3、上記容量形成部の誘電体層のうち気孔が占める面積割合をS2とするとき、S3<S2を満たすことができる。 S3<S2を満たすことによって、マージン部114'、115'の緻密度を向上させて水分の浸透経路を遮断し、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0091】
一実施形態において、上記S3は0.2面積%以下であり、上記S2は0.2面積%超過0.4面積%以下であることができる。S3が0.2面積%を超える場合には、耐湿信頼性の向上効果が不十分である可能性があり、S2が0.2面積%以下である場合には、高温信頼性の向上効果が不十分である可能性がある。S3は、上述したS1及びS2と同様の方法で測定することができる。
【0092】
一実施形態において、(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を主成分とする結晶粒を第1結晶粒G1、BaTiOを主成分とする結晶粒を第2結晶粒G2とするとき、容量形成部の誘電体層111は第1結晶粒G1及び第2結晶粒G2を含み、マージン部114'、115'は第2結晶粒G2を含むことができる。すなわち、容量形成部Acの誘電体層111は、図4に示す誘電体結晶粒の形態を有することができ、マージン部114'、115'は、図5に示す誘電体結晶粒の形態を有することができる。
【0093】
図8は、本発明の一実施形態によるセラミック電子部品100''の斜視図を概略的に示す図であり、図9は、図8のIV-IV'線に沿った断面図を概略的に示す図である。
【0094】
図8及び図9に示すように、本発明の一実施形態によると、容量形成部の誘電体層111は、BaTiO及び(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)を含み、カバー部112''、113''及びマージン部114''、115''は、BaTiOを含むことができる。
【0095】
本体110''の外部を構成するカバー部112''、113''及びマージン部114''、115''がいずれもBaTiOを含むことにより、カバー部 112''、113''及びマージン部114''、115''の気孔率を下げて、耐湿信頼性をより向上させることができる。カバー部112''、113''及びマージン部114''、115''は、BaTiOを主成分として含むことができるが、(Ba1-xCa)TiO(0.01≦x≦0.15)は含まなくてもよい。このとき、容量形成部Acの誘電体層111は、図4に示す誘電体結晶粒の形態を有することができ、カバー部112''、113''及びマージン部114''、115''は、図5に示す誘電体結晶粒の形態を有することができる。
【0096】
一実施形態において、本体110''の第1及び第3方向の断面において、カバー部112''、113''のうち気孔が占める面積割合をS1とするとき、S1<S2を満たすことができる。このとき、上記S1及びS3は0.2面積%以下であり、上記S2は0.2面積%超過0.4面積%以下であることができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0098】
また、本発明で使用される「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態で説明した事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に係る説明と理解することができる。
【0099】
本発明で使用される用語は、単に一実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0100】
100:セラミック電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:マージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極
131a、132a:電極層
131b、132b:めっき層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13