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  • 特開-貴金属の回収方法及び分析方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131128
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】貴金属の回収方法及び分析方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 11/00 20060101AFI20230913BHJP
   C22B 3/44 20060101ALI20230913BHJP
   C22B 3/22 20060101ALI20230913BHJP
   C22B 3/04 20060101ALI20230913BHJP
   G01N 31/00 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
C22B11/00 101
C22B3/44 101A
C22B3/22
C22B3/04
C22B3/44
G01N31/00 S
G01N31/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030959
(22)【出願日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2022035248
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500240357
【氏名又は名称】住鉱テクノリサーチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185018
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐美 亜矢
(74)【代理人】
【識別番号】100134441
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 由利
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 俊昭
【テーマコード(参考)】
2G042
4K001
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BC09
2G042BC10
2G042CB03
2G042DA01
2G042DA03
2G042EA01
2G042FA01
2G042FA02
2G042GA05
4K001AA01
4K001AA04
4K001AA07
4K001AA09
4K001AA10
4K001AA19
4K001AA39
4K001AA40
4K001AA41
4K001BA19
4K001DB02
4K001DB06
4K001DB08
4K001DB16
4K001DB17
4K001DB23
4K001HA10
4K001HA11
4K001HA12
(57)【要約】
【課題】微量の貴金属を還元分離して回収すること。
【解決手段】貴金属の回収方法は、貴金属を含む溶液から、還元剤を用いて貴金属を還元して分離し回収する方法であって、貴金属を含む溶液に、貴金属以外であり且つ水酸化物を形成可能な金属を添加した後に、還元剤を用いて貴金属を還元分離する還元分離工程と、還元分離された貴金属を溶解する工程と、を有し、前記還元分離工程において、pHを10以上13未満とすることを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貴金属を含む溶液から、還元剤を用いて貴金属を還元して分離し回収する方法であって、
貴金属を含む溶液に、貴金属以外であり且つ水酸化物を形成可能な金属を添加した後に、還元剤を用いて貴金属を還元分離する還元分離工程と、
還元分離された貴金属を溶解する工程と、を有し、
前記還元分離工程において、pHを10以上13未満とすることを含む、貴金属の回収方法。
【請求項2】
前記貴金属は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及びイリジウムからなる群より選択された1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の貴金属の回収方法。
【請求項3】
前記還元剤は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、シュウ酸、アスコルビン酸、ギ酸、亜硫酸、ヒドラジン、ヒドラジニウム、ヒドロキシルアミン、テトラヒドロホウ酸、及びそれらの塩からなる群より選択された1種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の貴金属の回収方法。
【請求項4】
前記還元分離工程において添加される金属は、銅、鉄、ニッケル、コバルト、ランタン、イットリウム、それらの塩からなる群より選択された1種以上含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の貴金属の回収方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の貴金属の回収方法と、
回収した貴金属を分析する工程と、を備える貴金属の分析方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貴金属イオンを含む溶液中の貴金属の回収方法及び分析方法に関する。さらに詳しくは、溶液中の貴金属イオンを還元し、金属状として分離して回収し、回収した貴金属を定量する分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウムは高価な有価金属であり、鉱石、精鉱、電子部材、製造中間物等にこれらの貴金属が含まれる場合には、その含有量を極微量まで評価することが取引上重要となる。この貴金属の分離分析方法としては、還元剤にアルコールやヒドラジンなどを用いて溶液を直接還元し、貴金属を分離し分析する方法や、有機抽出剤を用いた貴金属抽出法を用いて貴金属を分離し分析する方法が知られている。
【0003】
前者の方法としては、例えば下記の特許文献1には、貴金属の分析方法ではなく無電解めっきの方法として、白金族金属およびそれらの合金の、めっき浴から基材上への無電解析出方法であって、1以上の白金族金属前駆体の還元剤による還元工程を含み、前記還元剤は、第一級もしくは第二級モノヒドロキシアルコールまたは第一級もしくは第二級モノヒドロキシアルコールの混合物である方法が記載されており、ロジウム、ルテニウム、イリジウムの還元方法としてアルコールを用いることが記載されている。特許文献1は無電解メッキの方法のため、めっき液において、貴金属元素の濃度が1mMから1Mについて開示され、その際の溶液は酸性である。この方法を応用すれば、1mM(数100mg/L)までの濃度の貴金属の分離には適用可能と思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2020-530526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、取引の対象となる鉱石、精鉱、電子部材、製造中間物等に含まれる貴金属は数100ppmから数ppmであり、塩酸、硝酸、硫酸などの酸で溶解した場合にはμMレベルからnMレベルとなり、上記特許文献1の方法の適用範囲外となる。また、特許文献1のように酸性下で還元する場合、還元力は弱く、強力な還元剤であるヒドラジンを用いても、ロジウム、ルテニウム、イリジウムなどは定量的に還元することが難しい。すなわち、従来の方法では、微量の貴金属の還元分離及び分析は困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、微量の貴金属を還元分離して回収する方法及び分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る貴金属の回収方法は、貴金属を含む溶液から、還元剤を用いて貴金属を還元して分離し回収する方法であって、貴金属を含む溶液に、貴金属以外であり且つ水酸化物を形成可能な金属を添加した後に、還元剤を用いて貴金属を還元分離する工程と、還元分離された貴金属を溶解する工程と、を有し、前記還元分離工程のpHを10以上13未満とすることを含む。
【0008】
貴金属の回収方法において、貴金属は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムのいずれか1以上の化合物を含む構成でもよい。また、貴金属は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及びイリジウムからなる群より選択された1種以上を含む構成が好ましい。還元剤は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、シュウ酸、アスコルビン酸、ギ酸、亜硫酸、ヒドラジン、ヒドラジニウム、ヒドロキシルアミン、テトラヒドロホウ酸、及びそれらの塩からなる群より選択された1種以上を含む構成が好ましい。還元分離工程において添加される金属は、銅、鉄、ニッケル、コバルト、ランタン、イットリウム、それらの塩からなる群より選択された1種以上含む構成が好ましい。このようにすれば、還元反応および分離がより好適となり、貴金属の回収率を低下させることなく高回収率とすることがさらに可能となる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る貴金属の分析方法は、上記態様の貴金属の回収方法と、回収した貴金属を分析する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、微量の貴金属を還元分離して回収することができ、分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る貴金属の回収方法及び分析方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0013】
本発明の一実施形態に係る貴金属の回収方法について順に説明する。図1は、実施形態に係る貴金属の回収方法及び分析方法の一例を示す図である。
【0014】
本実施形態の貴金属の回収方法は、貴金属を含む溶液から、還元剤を用いて貴金属を還元して分離し回収する方法であって、貴金属を含む溶液に、貴金属以外であり且つ水酸化物を形成可能な金属を添加した後に、還元剤を用いて貴金属を還元分離する還元分離工程と、還元分離された貴金属を溶解する工程と、を有し、前記還元分離工程のpHを10以上13未満とすることを含む。
【0015】
(還元分離工程)
試料は、固体、液体が想定されるが、本発明を実施するにあたり、固体試料では溶液化が必要となる。固体試料の溶液化の方法は、特に限定はなく、例えば塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、フッ化水素酸といった無機酸を試料に加え溶解するか、難分解試料についてはアルカリ融解法を用いて分解し、溶融塩を無機酸で溶解し溶液化する。なお、試料については、貴金属を含むものであれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、特に限定はない。
【0016】
上記溶液化により溶液となった試料において、貴金属はイオンあるいは錯イオンとなって存在する。この溶液に貴金属以外であり且つ水酸化物を形成可能な金属(以下、「貴金属以外の金属」と略して称す場合もある。)を添加する。貴金属以外の金属は、貴金属以外であり且つ水酸化物を形成可能な金属であれば特に限定されない。添加する際の貴金属以外の金属の状態は、特に限定されず、例えば固体でもよいし、溶液でもよいが、溶液として、イオンの形態として添加することが、本実施形態の方法を容易に実施する等の観点から、好ましい。本実施形態の貴金属の回収方法では、上記のように、貴金属を含む溶液に、貴金属以外の金属を添加した後に、還元剤を用いて貴金属を還元し分離する。
【0017】
例えば上記貴金属以外の金属として銅イオンを添加する場合、銅イオンは酸性では2価イオンであるが、pHをアルカリ性にすると不溶性の水酸化銅を形成する。
【0018】
一方、金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムはアルカリ性にすると不溶性の水酸化物あるいは酸化物を生成することとなる。ここに還元剤、例えばエタノールを加えると100mV台に酸化還元電位が下がり、金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムは金属状に還元されるが、銅は還元されないので水酸化物の状態で保持される。この水酸化物の銅が金属状の貴金属に吸着して捕集剤となって分離時に捕集効率を上げる役割を果たすことになる。
【0019】
もしここで上記貴金属以外の金属として添加した銅が還元されると、特にロジウム、ルテニウム、イリジウムとは銅と合金を形成しないので、別々の金属状固体となり、捕集剤の役割を果たせなくなり、捕集効率の向上には寄与しない。つまり、還元反応の際において、貴金属は金属状である一方で、捕集剤は水酸化物のように金属状ではないことが捕集効率の向上に重要となる。なお、上述の貴金属以外の金属による上記捕集効率の向上のメカニズムは、上述の説明に限定されず、他のメカニズムを含んでもよい。
【0020】
このような条件を満たすため、上記溶液のpHは10以上13未満とするのが好ましく、10.5以上11.5以下がより好ましい。上記のpHの範囲の場合、上記貴金属以外の金属の捕集効率が上昇し、他の貴金属よりも捕集分離をしにくいイリジウムまで高回収率とすることができる。なお、pHの調整方法は、特に限定されない。
【0021】
上記貴金属以外の金属は、前述の条件を満たす元素であれば特に限定されないが、例えば、銅、鉄、ニッケル、コバルト、ランタン、イットリウムからなる群より選択された1種以上が好ましく、中でも銅が好ましい。なお、貴金属以外の金属は、塩などの化合物として試料に添加されてもよい。貴金属以外の金属(その塩)の添加量は、金属の重量として、貴金属の重量の10倍量以上あれば好ましく、多いほど貴金属の高回収が見込まれるが、後述する分析操作において例えばICP質量分析法では装置内に貴金属以外の金属が多くなり、測定への妨害や装置内を汚染するおそれがあるので貴金属の重量の1000倍以下であるのが好ましい。ただしICP発光分光法ではそのような影響は少ないので制約は受けにくい。例えば、上記添加量は、金属の重量として50mg以上が好ましく、100mg以上がより好ましいが、ICP質量分析法を用いるならば、10g以下であるのが測定への影響の観点から好ましい。上記添加量や添加する濃度は、量が既知の貴金属を用いてその回収率を調べる予備実験により、求めることができ、上記添加量が多いほど貴金属が高回収となり、ある添加量以上で回収率は飽和する。なお、上記貴金属以外の金属を添加する濃度については、本発明の趣旨を逸脱しなければ、特に限定されない。
【0022】
なお、本実施形態の貴金属の回収方法に適用できる貴金属以外の金属は、電位-pH特性などの公知の技術情報により選択することができる。
【0023】
上記のように、貴金属を含む溶液に、貴金属以外の金属を添加した後に、還元剤を用いて貴金属を還元し分離する。還元剤は、本実施形態の趣旨を満たすものであれば特に限定されない。このような還元剤は、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、シュウ酸、アスコルビン酸、ギ酸、亜硫酸、ヒドラジン、ヒドラジニウム、ヒドロキシルアミン、及びそれらの塩からなる群より選択された1種以上を含むものでもよい。また、還元剤は、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、シュウ酸、アスコルビン酸、ギ酸、亜硫酸、ヒドラジン、ヒドラジニウム、ヒドロキシルアミン、テトラヒドロホウ酸、及びそれらの塩からなる群より選択された1種以上を含むのが好ましい。還元剤による貴金属の還元反応の条件(濃度、温度、時間)は、例えば、通常の当該分野で用いられる条件を用いることができる。
【0024】
なお、上記還元反応においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他の物質が添加されていてもよい。
【0025】
分離工程は、貴金属を分離することが可能であれば、方法は限定されない。分離工程は、分離の目的として試料由来あるいは薬剤由来などの共存成分から貴金属を分離することにある。分離工程は、例えば、ろ過分離、遠心分離などである。ろ過分離の場合、一般的に捕集量が少ないほどろ過材の孔径は小さいほどよい。
【0026】
(回収工程)
回収工程は、上記の還元分離工程により、還元分離された貴金属を溶解する工程である。本工程により、貴金属は回収される。回収工程では、上述の説明の通り、還元分離された微量の貴金属を回収することができる。分離された貴金属は、捕集剤として添加した上記貴金属以外の金属ごと、無機酸に溶解させる。この際に用いる無機酸は、本発明の趣旨を逸脱しなければ特に限定されず、例えば貴金属の特性により適宜決定されるものである。無機酸は、例えばイリジウムでは硝酸および塩酸の混酸を用いると効果的である。回収された貴金属は、次に説明する貴金属の分析方法により、定量的に分析することができる。
【0027】
(分析方法)
次に、本実施形態の貴金属の分析方法について説明する。本実施形態の貴金属の分析方法は、上記本実施形態の貴金属の回収方法と、回収した貴金属を分析する工程と、を備える。本実施形態の貴金属の分析方法は、上記本実施形態の貴金属の回収方法により回収した貴金属を分析する方法であれば特に制限されない。例えば、本実施形態の貴金属の分析方法において、回収した貴金属を分析する工程は、例えば上記回収工程により分離された貴金属を溶解した溶解液を一定の容積に定容し、その液における貴金属の濃度をICP発光分光分析法やICP質量分析法にて定量的に測定することにより実施する。これらの分析方法は、一般的に、測定する目的元素の濃度によって使い分ける。なお、ICP質量分析法で分析する場合、必要に応じて、コリジョン・リアクションセルモードなどのような質量スペクトルの干渉を抑制する方法を用いることにより、上記貴金属以外の金属と貴金属のスペクトルの干渉を抑制して、貴金属の定量分析をすることもできる。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る貴金属の回収方法は、貴金属を含む溶液から、還元剤を用いて貴金属を還元して分離し回収する方法であって、貴金属を含む溶液に、貴金属以外であり且つ水酸化物を形成可能な金属を添加した後に、還元剤を用いて貴金属を還元分離する還元分離工程と、還元分離された貴金属を溶解する工程と、を有し、前記還元分離工程において、pHを10以上13未満とすることを含む。なお、本実施形態の貴金属の回収方法において、上記以外の構成は、任意の構成である。本実施形態に係る貴金属の回収方法は、微量の貴金属を還元分離して回収することができる。
【0029】
また、本実施形態に係る貴金属の分析方法は、上記本実施形態の貴金属の回収方法と、回収した貴金属を分析する工程と、を備える。本実施形態に係る貴金属の分析方法は、上記本実施形態の貴金属の回収方法を備えるので、微量の貴金属を分析することができる。
【実施例0030】
次に、本発明の一実施形態に係る貴金属の還元分離および分析方法について、実施例により詳しく説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
銅を含まない試料A 0.2gを硫酸2mlおよび純水で溶解させ、銅溶液を銅量が200mgとなるように添加し、NaOH溶液でpHを11.0に調整し、エタノールを4体積%となるように添加して常温で還元させた。その後ろ過を行い、捕集物を王水20mlにて溶解し、定容および希釈後、ICP質量分析法にてイリジウムを分析した。その結果イリジウムの含有量は4ppmであった。なお、ICP質量分析法は、一般的な方法を用いた。
【0032】
(比較例1)
比較例1では、銅を添加しなかった。それ以外は実施例1と同様とした。
【0033】
(比較例2)
比較例2では、pHを13に調整した。それ以外は実施例1と同様とした。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示すように、比較例では実施例よりも低値との測定結果であった。比較例1ではppmオーダーの貴金属を回収することはできなかった。比較例2はppmオーダーの貴金属を回収することができていたが、実施例1では、還元反応時のpHを所定の範囲に調整したことにより、この比較例2よりもさらに貴金属の回収率が向上した。これらの結果から、実施例1では、従来方法の比較例1よりも顕著な効果を示すことが判る。以上のように、実施例及び比較例の結果により、本実施形態の貴金属の回収方法及び分析方法によれば、ppmオーダーの微量の貴金属を還元分離して回収することができ、分析することができることが確認される。
【0036】
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態等で説明した態様に限定されない。上述の実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態等で引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
図1