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  • 特開-ロータリーアクチュエータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131138
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ロータリーアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20230913BHJP
   F16H 35/10 20060101ALI20230913BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
H02P29/00
F16H35/10 A
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023034207
(22)【出願日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】10 2022 105 417.9
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518201739
【氏名又は名称】メソード・エレクトロニクス・マルタ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】METHODE ELECTRONICS MALTA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100087815
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 昭二
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー・ガレア
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・スピテリ
【テーマコード(参考)】
3J062
5H501
5H607
【Fターム(参考)】
3J062AB01
3J062AC01
3J062BA16
3J062CF12
3J062CF33
3J062CF42
5H501AA30
5H501EE08
5H501JJ03
5H501LL36
5H501PP01
5H501PP02
5H607BB01
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE02
5H607EE31
5H607FF00
5H607HH01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ロータリーアクチュエータが意図せずに動かされ、開始位置から外れた時に、ロータリーアクチュエータを開始位置に戻す。
【解決手段】ロータリーアクチュエータとは無関係に装置に運動が加えられると、ロジックはロータリーアクチュエータを作動させて装置を少なくとも一つの作動位置に移動させるか、またはロジックはロータリーアクチュエータを作動させて装置を開始位置に移動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(8)に接続され、この装置(8)を運動させるロータリーアクチュエータ(7)であって、
ロータリーアクチュエーション装置(9)と
ロジック(12)を有し、
ここで、前記ロータリーアクチュエータ(7)とは無関係に前記装置(8)に運動が加えられた場合、 前記ロジック(12)が前記ロータリーアクチュエータ(7)を作動させて前記装置(8)を少なくとも一つの作動位置に移動させるか、前記ロジック(12)が前記ロータリーアクチュエータ(7)を作動させて前記装置(8)を開始位置(13)に移動させるかのいずれかである
ロータリーアクチュエータ(7)。
【請求項2】
前記装置(8)を少なくとも2つの作動位置のうちの1つに移動させることを特徴とする請求項1記載のロータリーアクチュエータ(7)。
【請求項3】
前記ロータリーアクチュエーション装置(9)が、少なくとも1つのバネ(4)または少なくとも1つのバレル(6)からなることを特徴とする請求項1記載のロータリーアクチュエータ(7)。
【請求項4】
前記ロータリーアクチュエーション装置(9)は、ロータリーセンサー(5)を動かすことができることを特徴とする請求項1に記載のロータリーアクチュエータ(7)。
【請求項5】
バレル(6)が少なくとも1つのバネ(4)を収容し、および/または装置(8)を歯車列(2)および/またはロータリーセンサー(5)に接続することを特徴とする請求項1記載のロータリーアクチュエータ(7)。
【請求項6】
少なくとも2つのバレル(6)が、バネ(4)の1つを作動させるために、回転方向に応じて互いにロックすることを特徴とする請求項1に記載のロータリーアクチュエータ(7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置に接続され、その装置を運動させるロータリーアクチュエータ(回転型アクチュエータ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
EP 3 094 840 B1には、調整システムを有するロータリーバルブ装置が開示されている。この調整システムは、駆動輪の歯止めが設けられた駆動輪を含んでいる。駆動輪は、従動輪を駆動するために、第1の回転軸の周りに回転可能である。従動輪には、従動輪用歯型が設けられている。駆動輪の回転により、従動輪は、第1の回転位置から停止位置に調整されることができる。停止位置では、駆動輪がさらに回転した場合に従動輪が保持される。
【0003】
従来知られているロータリーアクチュエータは、ロータリーアクチュエータやロータリーアクチュエータの内部に配置された部品への損傷を防ぐことができないことが多い。このような損傷は、装置が意図しない使用や動作をされた場合に起こる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP 3 094 840 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この問題は、請求項1の特徴に従ったロータリーアクチュエータによって解決される。
【0006】
このロータリーアクチュエータは、ロータリーアクチュエーション(回転型駆動)装置を含んでいる。ロータリーアクチュエータは、さらに、ロジックを備える。ロータリーアクチュエータとは無関係に装置に運動が加えられると、ロジックは、ロータリーアクチュエータを作動させて装置を作動的な位置に移動させるかのいずれかである。あるいは、ロジックは、ロータリーアクチュエータを作動させて、装置を開始位置に移動させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[ロータリーアクチュエータ]
【0008】
本発明は、ロータリーアクチュエータを機械の一部と理解する。このロータリーアクチュエータは、装置またはアームに物理的な動きを行わせる。
【0009】
装置またはアームの物理的な動きは、エネルギーを機械的な力に変換することによって行われる。変換されるエネルギーは、電気エネルギーであってもよいし、空気や油圧のエネルギーであってもよい。
【0010】
つまり、ロータリーアクチュエータは、機械の動きを可能にする機械の構成要素である。
【0011】
ロータリーアクチュエータには、エネルギー源と制御信号が必要である。ロータリーアクチュエータが制御信号を受信すると、ロータリーアクチュエータは、エネルギー源から供給されるエネルギーを機械的運動に変換することによって、制御信号に応答する。
【0012】
好ましくは、エネルギー源は、ロータリーアクチュエータに電流または油圧または空気圧を供給する。
【0013】
アクチュエータは、少なくとも1つの回転軸を中心とした物体、好ましくは装置またはアームの円運動を起こさせるので、ロータリーアクチュエータと呼ばれる。
【0014】
ロータリーアクチュエータは、装置やアームを回転させるために使用される。回転させられるはずの装置やアームは、バルブやルーバーやフラップを開閉するために使用することができる。もちろん、その他の対象物もロータリーアクチュエータで動かすことができ、開閉できることは言うまでもない。
【0015】
例として、ロータリーアクチュエータによって回転される対象は、装置またはアームであると仮定するが、決してこれに限定されない。
【0016】
ロータリーアクチュエータは、任意の技術的方法で、装置及び/又はアームに連結又は接続することができる。
【0017】
また、ロータリーアクチュエータと装置またはアームとの間には、クラッチが装着されていることもある。
【0018】
本発明では、装置またはアームは、ロータリーアクチュエータが回転する、またはその周りを回るモータまたは発電機の少なくとも1つの静止部分を含む機械装置を意味すると理解する。
【0019】
[不安定なロータリーアクチュエーション装置]
【0020】
ロータリーアクチュエーション装置は、システムが常に所定の状態に戻るか、またはその近くにとどまる場合、安定と呼ばれることがある。
【0021】
ロータリーアクチュエーション装置は、システムが上記の安定した状態から離れ続ける場合、不安定であると呼ばれる。
【0022】
また、ロータリーアクチュエーション装置は、制御装置の要素から構成される。制御装置の要素は、制御装置の出力を機械または装置に対する制御作用に変換する役割を果たす。
【0023】
言い換えれば、ロータリーアクチュエータは、操作またはタスクを実行するために制御装置によって作用される機構である。
【0024】
ロータリーアクチュエータの制御装置は、ソフトウェアベースであってもよい。また、制御装置は、固定された機械的なシステムであってもよいし、電子的なシステムであってもよい。ロータリーアクチュエータの制御装置は、代替的に、自動制御装置であってもよい。ロータリーアクチュエータの制御装置は、他の任意の技術的方法で設計できることは言うまでもない。
【0025】
[装置やアームの意図しない操作]
【0026】
本発明では、いわゆる意図しない使用とは、ロータリーアクチュエータによって動作が設定されなかった装置の使用を意味すると理解する。また、意図しない使用は、装置に加えられた意図しない動きであってもよい。簡単のため、以下では意図しない使用を想定している。
【0027】
意図しない操作が行われた場合、ロータリーアクチュエータやロータリーアクチュエータ内の機構が破損する可能性がある。これは、ロータリーアクチュエータが装置に直接固定されている場合である。
【0028】
ロータリーアクチュエータと装置との間にクラッチ機構を設けた場合、このクラッチ機構によりロータリーアクチュエータが破損することはない。以下では、クラッチ機構をクラッチと称する。
【0029】
しかし、クラッチが配置され、装置が操作された場合、この装置は、ロータリーアクチュエータが装置を設定した開始位置から回転することになる。
【0030】
以下に詳述するように、ロータリーアクチュエータによって回転させられる装置は、意図せずして操作されることがある。
【0031】
装置またはアームは、ロータリーアクチュエータによって回転される。
【0032】
装置又はアームの回転を可能にするために、装置又はアームは、ロータリーアクチュエータに接続されるか、又は取り付けられている。
【0033】
あるいは、装置またはアームとロータリーアクチュエータとの間にクラッチを設けてもよい。
【0034】
装置またはアームがロータリーアクチュエータとの接続において意図せず動かされると、そのようなロータリーアクチュエータが損傷する可能性がある。
【0035】
しかし、クラッチが装置またはアームとロータリーアクチュエータの間に配置されている場合、クラッチ自体が損傷する可能性がある。万が一、装置やアームが不用意に動いたとしても、ロータリーアクチュエータは、介在するクラッチによって、それ以上の機械的損傷から保護されている。
【0036】
しかし、装置またはアームとロータリーアクチュエータとの間にクラッチが配置されているため、装置またはアームが意図せずに移動または使用された場合、装置またはアームがロータリーアクチュエータに対して開始位置から外れることになる。
【0037】
言い換えれば、装置またはアームの意図しない使用または意図しない移動は、装置またはアームに使用または移動が加えられたとき、ロータリーアクチュエータとは無関係に行われる。装置やアームの意図しない使用や移動は、ロータリーアクチュエータによって引き起こされたわけではない。
【0038】
ロジックは、ロータリーアクチュエータを作動させて、装置を機能的な位置に移動させることができる。あるいは、ロジックがロータリーアクチュエータを作動させて、装置を開始位置に移動させる。
【0039】
開始位置とは、装置又はアームを作動位置に移動させる前に装置又はアームがとる位置のことである。
【0040】
作動位置は、装置またはアームがいくつかの機能のうちの1つを実行するいくつかの位置のうちの1つである。
【0041】
装置又はアームの開始位置は、装置又はアームを作動位置に移すために必要な、ロータリーアクチュエータに対する装置又はアームの位置である。
【0042】
したがって、ロータリーアクチュエータに対する装置又はアームの意図しない移動又は使用は、装置又はアームを開始位置の外側及び/又は作動位置の外側に移動させる装置又はアームの移動又は使用となる。
【0043】
また、意図せずに移動または使用された場合、装置またはアームは、開始位置でも作動位置でもない位置に移動される。意図しない使用や意図しない移動は、ロータリーアクチュエータから切り離された形で、装置やアームに作用している。
【0044】
[クラッチ]
【0045】
本発明によれば、クラッチは、動力伝達を係合および解除する機械装置である。動力の係合および係合解除は、駆動軸および/または駆動軸から従動軸に行われることがある。
【0046】
前記したように、クラッチは、装置またはアームに意図しない使用または動作が加えられた場合に、ロータリーアクチュエータの機械的損傷を防止する。
【0047】
この損傷は、装置またはアームがロータリーアクチュエータに機械的および/または作動的に接続されると同時に、装置またはアームがロータリーアクチュエータに対して意図しない使用または移動が行われた場合に防止される。
【0048】
クラッチが設けられている場合、装置またはアームのロータリーアクチュエータに対する意図しない移動は、装置またはアームの対応する開始位置からの変位を引き起こす。
【0049】
[ロータリーセンシング装置]
【0050】
本発明では、センシング装置という用語は、センサを意味すると理解している。
【0051】
センサは、物理的な刺激に反応する。センサは、物理的刺激を別の物体に伝達するための信号に変換する。
【0052】
[バネとバレル]
【0053】
本発明では、バネという用語は、機械的エネルギーを蓄えることができる弾性体を意味すると理解する。
【0054】
バネは、バネ鋼から製造することができる。バネは、他の材料から製造することも可能であることは言うまでもない。
【0055】
バネのデザインは様々である。日常的には、バネといえばコイルバネを指すことが多い。
【0056】
例として、以下では、本発明はトーションバネに関するものである。トーションバネは、軸に沿ってバネの端部をねじることによって機能するバネである。
【0057】
トーションバネは、トーションバネがねじられたときに機械的エネルギーを蓄える柔軟な弾性体である。
【0058】
トーションバネがねじられると、トーションバネは、トーションバネがねじられた量に比例して、および/またはトーションバネがねじられた角度に比例して、反対方向のトルクを発揮する。
【0059】
トーションバネは、反対方向に捩られることもあれば、同方向に捩られることもある。すなわち、トーションバネは、時計回りまたは反時計回りに捩じられることができる。
【0060】
不安定なロータリー装置は、少なくとも1つのトーションバネと、1組のバレル(円筒などの胴)とから構成される。
【0061】
少なくとも1つのバレルは、少なくとも1つのトーショバネを収容する。
【0062】
少なくとも2つのバレルは、少なくとも1つのトーションバネを作動させるのに必要な回転方向に応じて、ロータリーアクチュエーション装置が本発明の意図するように働くように、互いに対してロックする。
【0063】
以下、添付の図面に基づいて本発明のさらなる実施例や実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】ロータリーアクチュエータの側面図を示す。
図2】装置またはアームに接続されたロータリーアクチュエータを示す。
図3】クラッチからなるロータリーアクチュエータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、筐体3内に配置された歯車列2からなる不安定なロータリーアクチュエーション装置1を示す図である。
【0066】
図1は、筐体3内に不安定なロータリーアクチュエーション装置9、4、6を構成するロータリーアクチュエータ7の側面図である。
【0067】
ロータリーアクチュエータ7の筐体3内には、モータ1および歯車列2が見える。
【0068】
モータ1は、ロータリーアクチュエータ7の歯車列2と相互作用する。
【0069】
不安定なロータリーアクチュエーション装置9は、少なくとも1つのトーションバネ4から構成されている。不安定なロータリーアクチュエーション装置9は、少なくとも1つのバレル6をさらに含んでいる。
【0070】
トーションバネ4とバレル6の両方は、ロータリーアクチュエータ7の筐体3内に配置される。
【0071】
少なくとも1つのトーションバネ4とバレル6を提供することで、不安定なロータリーアクチュエーション装置9は、ロータリーアクチュエータ7に対する損傷の発生を防止する。
【0072】
ロータリーアクチュエータ7に取り付けられているロータリーアクチュエーション装置9、6、4は、装置またはアーム8(図示せず)が意図しない使用にさらされる場合、ロータリーアクチュエータ7への損傷を防ぐことができる。
【0073】
フランジ11を介してロータリーアクチュエータ7に取り付けられている装置またはアーム8(図1には示されていない)が意図しない使用または移動を受ける場合、不安定なロータリーアクチュエーション装置9、6、4は、モータ1および/または歯車列2に過剰なおよび/または損傷する力を及ぼすことなくロータリー検出装置5を動かす。
【0074】
ロータリーアクチュエータ7は、さらに、ロジック12を備える。ロータリーアクチュエータ7とは無関係に、装置またはアーム8に動きが加えられると、ロジック12は、ロータリーアクチュエータ7を作動させて装置8を作動位置(図示せず)に移動させるか、あるいは、ロジック12は、ロータリーアクチュエータ7を作動させて、装置またはアーム8を開始位置13に移動させる。
【0075】
不安定なロータリーアクチュエーション装置9は、時計回り方向と反時計回り方向の両方で動作する。
【0076】
不安定なロータリーアクチュエーション装置9は、トーションバネ4から構成される。
【0077】
不安定なロータリーアクチュエーション装置9はまた、バレル6を含んで構成される。
【0078】
2つのバレル6は、トーションバネ4の少なくとも1つを作動させるために、互いに対してロックする。
【0079】
図2は、ロータリーアクチュエータ7を示す。フランチ11を介して、装置またはアーム8がロータリーアクチュエータ7に取り付けられる。装置またはアーム8は、開始位置13にあることが示されている。
【0080】
図3は、図1に示したロータリーアクチュエータ7と同様のロータリーアクチュエータ7を示す。しかし、ロータリーアクチュエータ7の内部には、クラッチ10が示されている。
【符号の説明】
【0081】
1 モータ
2 歯車列
3 筐体
4 トーションバネ
5 ロータリーセンサ
6 バレル
7 ロータリーアクチュエータ
8 装置/アーム
9 ロータリーアクチュエーション装置
10 クラッチ
11 フランチ
12 ロジック
13 スタート位置

図1
図2
図3
【外国語明細書】