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特開2023-131141電気的に連結された医療システムにおける電力線ノイズの低減
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  • 特開-電気的に連結された医療システムにおける電力線ノイズの低減 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131141
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】電気的に連結された医療システムにおける電力線ノイズの低減
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/301 20210101AFI20230913BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20230913BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20230913BHJP
【FI】
A61B5/301
A61B18/12
A61B5/287 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023034349
(22)【出願日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】63/317,651
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/104,481
(32)【優先日】2023-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー・ボニャック
(72)【発明者】
【氏名】ローマン・インゼルブ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・レビン
(72)【発明者】
【氏名】エリア・ワッサーマン
(72)【発明者】
【氏名】オメル・オヴァディア・フーリー・ドロール
(72)【発明者】
【氏名】ペサハ・スセル
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127CC04
4C127LL08
4C160KK17
4C160KK29
4C160KK36
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】2つ以上の医療システムが患者の身体組織等の媒体を介して電気的に結合されるときに発生する電力線ノイズを抑制するための装置及び方法を提供すること。
【解決手段】装置は、2つ以上の医療システムと、低インピーダンス経路とを含む。2つ以上の医療システムは、それぞれの電気出力と、電力線及び接地からそれぞれが絶縁されたそれぞれの別々の絶縁接地とを有し、2つ以上の医療システムは、患者を介して互いに電気的に連結されている。低インピーダンス経路は、医療システムの別々の絶縁接地を互いに接続し、1つ以上の漏れ電流が、患者を経由する代わりに低インピーダンス経路を経由して流れるようにする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
それぞれの電気出力と、電力線及び接地からそれぞれが絶縁されたそれぞれの別々の絶縁接地とを有する、2つ以上の医療システムであって、患者の身体を介して互いに電気的に連結されている、2つ以上の医療システムと、
前記医療システムの前記別々の絶縁接地を互いに接続する低インピーダンス経路であって、1つ以上の漏れ電流が前記患者を経由する代わりに前記低インピーダンス経路を経由して流れるようにする、低インピーダンス経路と、を備える、装置。
【請求項2】
前記低インピーダンス経路は、直流電流(DC)が前記経路内を流れるのを阻止するように構成されたコンデンサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コンデンサがY2コンデンサである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記低インピーダンス経路は、無線周波数(RF)電流が前記経路内を流れるのを阻止するように構成されたRFチョークを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記2つ以上の医療システムのうちの1つは、患者の身体内のカテーテルの電極と、前記患者の皮膚に取り付けられた表面電極から配置されるウィルソン結合電極(WCT)との間の、心内心電図(IC-ECG)電位を取得するように構成された電気生理学的(EP)感知システムであり、
前記2つ以上の医療システムのうちの別の1つは、前記患者の前記身体内の前記カテーテルの電極と、前記患者の前記皮膚に取り付けられた不関電極との間に、RF信号を印加するように構成されたRFアブレーションシステムであり、
前記低インピーダンス電気経路が、前記WCTを前記不関電極と接続する、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年3月8日に出願された「POWER LINE NOISE REDUCTION IN ELECTRICALLY COUPLED MEDICAL SYSTEMS」と題する米国仮特許出願第63/317651号の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、医療信号の取得中の電気ノイズの低減に関し、特に、心内心電図(intra-cardiac electrocardiogram、IC-ECG)信号の取得中の電力線干渉の低減に関する。
【背景技術】
【0003】
医療システムにおける電気ノイズを低減するための様々な技術が特許文献において提案されている。例えば、米国特許第9,876,470号は、絶縁バリアを横切るノイズのための低インピーダンス経路によって提供される医療用増幅器のための絶縁について記載している。低インピーダンス経路は、制御回路から絶縁されている患者接地と、接地から絶縁されている絶縁システムの機能接地との間の、容量結合を含むことができる。低インピーダンス経路は、患者回路の増幅器の入力からノイズ電流を引き込む可能性がある。
【0004】
以下の本開示の実施例の詳細な説明を図面と一緒に読むことで、本開示のより完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の一実施例による、カテーテルベースの電気生理学的(electrophysiological、EP)感知及びアブレーションシステムの概略描写図である。
図2】本開示の一実施例による、カテーテルに連結されたシステムのアブレーションサブシステムからの電力線ノイズを抑制することによって、その同じカテーテルを用いてEP信号を測定するための、図1のシステムの描写図及び電気回路図である。
図3】本開示の一実施例による、図1のシステム内の電力線ノイズを低減する方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
概要
侵襲性心臓診断及び心不整脈の治療のための医療システムは、心内心電図(IC-ECG)などの電気生理学的(EP)データを取得して、心不整脈原性組織を特定することができる。不整脈原性組織が検出されると、システムを使用する医師は、高周波(radiofrequency、RF)アブレーションなどの電気的アブレーションを使用して、その組織をアブレーションすることができる。
【0007】
心臓組織を特徴付けるために、EPマッピングシステムは、以下で説明するように、患者の皮膚に取り付けられた3つの体表面電極から形成されるウィルソン結合電極(Wilson Central Terminal、WCT)基準信号に対して、カテーテルの電極によって取得された、単極IC-ECG信号を測定することができる。取得されたIC-ECG信号は、電力線ノイズ(電力線干渉(Power Line interference)、PLIとも呼ばれる)によって歪められている場合があり得る。
【0008】
カテーテルの同じ電極又は他の電極に接続されたRF発生器を備え、皮膚上の外部不関電極を使用して回路を閉じるシステムなどの、1つ以上の追加のシステムは、より多くの電力線ノイズを測定値に加える可能性がある。この電気ノイズの典型的な発生源は、異なるシステムの絶縁バリアを通る異なる回路(例えば、変圧器)における漏れ電流の差(例えば、同じカテーテルを使用する、又は患者の体内に同時に配置される異なるカテーテルを使用する、EP感知サブシステム及びアブレーションサブシステムにおける異なる漏れ電流)である。例えば、体内電極及び体表面接続が接地に直接接続されていない場合、上記の漏れの不均衡は、相当の量の電力線ノイズを残すことになる。
【0009】
したがって、漏れの不均衡によって、例えば、基準測定値の使用(例えば、WCT基準信号からの読み取り値の使用)により除去することができないカテーテル電極上の局所電位が生成する。
【0010】
電気的心臓刺激装置のような、身体と電気的に接触する電気医療器具に接続された任意の追加のシステムは、電力線ノイズ源、特に漏れの不均衡源を追加する可能性がある。
【0011】
以下に説明される本開示の実施例は、2つ以上の医療システムが、患者の身体組織等の媒体を介して電気的に結合されるときに発生する電力線ノイズを抑制するための装置及び方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施例では、システム接地を互いに直接接続するために追加の低インピーダンス経路が使用されるので、漏れはこの経路を通過し、身体を通過しない。結果として、複数のシステムが接続される(例えば、RFアブレーション発生器が接続される)場合に、例えば、IC-ECGなどのEP測定において、追加の電力線ノイズは観察されない。
【0013】
具体的には、IC-ECGマッピングシステム及びRFアブレーション発生器の場合、低インピーダンス経路は、アブレーション電極と不関電極、例えば、アブレーション信号発生器(RF又はIRE)に接続されたパッチの形態のリターン電極との間の第1の患者回路を、IC-ECG電極と増幅回路に接続されたWCTとの間の第2の患者回路に接続する。
【0014】
別の実施例では、複数のカテーテルが同時に心臓の内部に配置される。その場合、1つのカテーテルを使用してアブレーションを行い、別のカテーテルを使用して信号を感知することができる。カテーテルは、組織及び血液の導電性によって電気的に連結され、漏れの不均衡の問題は、複数のカテーテルについて当てはまり、開示された解決策も適用可能である。
【0015】
典型的には、安全コンデンサが低インピーダンス経路に挿入されるが、これは、システム間の流電結合を遮断することによって医療機器を保護するために必要とされる。このような安全コンデンサに加えて、RF発生器が含まれる場合にRF漏れを防止するために、任意のRFチョークを追加することができる。
【0016】
システムの絶縁を通る漏れ電流の差のために、患者に適用される各部分は、それ自体の電位である、電力線周波数の電位を有する。1つのシステムの患者適用部分が別のシステム(RF発生器)の電極に接触するとき、例えば、IC電極の部分に接触するとき、この接触は、上記の電位の変化を引き起こし、かつWCTに対するこれらの電極の測定値によって観察される、追加の電力線ノイズを引き起こすことになる。
【0017】
開示される技術は、電力線ノイズを抑制し、それによってECGなどのEP診断信号の品質を改善するための、シンプルで効果的な手段を提供する。
【0018】
システム概要
図1は、本開示の一実施例による、カテーテルベースの電気生理学的感知及びアブレーションシステム20の概略描写図である。システム20は、例えば、Biosense-Webster社(Irvine,California)によって作製されたCARTO(登録商標)3システムであり得る。図示されているように、システム20は、医師30によって操縦されて患者28の心臓26内に案内されるシャフト22を有する、カテーテル21を備える。図に描かれた例では、医師30は、カテーテルの近位端の近くのマニピュレータ32を使用してシャフト22を操作しながら、シース23を通してシャフト22を挿入する。
【0019】
本明細書に記載の実施例では、カテーテル21は、心臓26の電気生理学的マッピングなど、任意の好適な診断目的のために使用され得る。ECG記録器具35は、プロセス中にシステム20によって感知された、様々なタイプのECG信号を受信することができる。更に、カテーテル21は、例えば心臓26の不整脈原性組織の高周波(RF)アブレーション及び/又は不可逆的エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)のために使用されてもよい。
【0020】
図示された実施例内の挿入図25に示されるように、カテーテル21のシャフト22の遠位端には多電極バスケットカテーテル40が装着されている。挿入図45は、バスケットカテーテル40の複数の電極48の配列を示し、それらの電極48のサブセットは、アブレーションのために使用され得る(例えば、遠位部分の電極48を使用して肺静脈隔離術を行うことができる)。任意の他の好適なカテーテルもまた、アブレーションのために使用され得る。カテーテル21の近位端は、制御コンソール24に接続(51)されるが、その目的は、例えば、IC-ECGを取得し、アブレーション信号、例えば、RF信号を、同一の又は異なる電極48を介して印加することであり、そのために、例えば、コンソール24内のスイッチング回路(図示せず)を使用して、感知のため及びアブレーションのための電極が選択される。
【0021】
コンソール24は、プロセッサ41、典型的には汎用コンピュータを備え、プロセッサ41は、フロントエンド及びインターフェース回路38を有する。これらのフロントエンド及びインターフェース回路38は、心臓の内部又は近くに配設されたカテーテル21の電極48からIC-ECG信号及び非ECG信号(例えば位置信号など)を受信するために、かつ/又はアブレーション信号発生器71から1つ以上の電極48にアブレーション信号を印加するために、好適なものである。これらの目的のために、インターフェース回路38及び/又は発生器71は、シャフト22内を走るケーブル232を介して、電極48に接続される。インターフェース回路38は更に、体表面電極49を使用して、体表面ECG信号を取得するように構成される。典型的には、電極49は、患者28の胸部及び脚の周囲の皮膚に取り付けられる。プロセッサ41は、インターフェース回路38を介して、電極48及び電極49から信号を受信する。
【0022】
体表面電極49のうちの4つは、標準ECGプロトコルに従って、RA(右腕)、LA(左腕)、RL(右脚)、及びLL(左脚)と命名されている。ウィルソン結合電極(WCT)は、4つの名前が付けられた体表面電極49のうちの3つによって形成することができ、結果として生じるECG信号VWCTは、インターフェース回路38によって受信される。具体的には、WCTは、不関電極79に対して測定された、3つの外部の、活性四肢電極電圧を平均することによって得られる。
【0023】
図示の例では、カテーテル21は、例えば患者28の背中に取り付けられた不関電極79に対し、電極48を使用して、RFアブレーションを適用することができるが、電極48及び不関電極79の電気リード線は、それぞれケーブル232及びケーブル75を使用して発生器71に繋がれている。
【0024】
プロセッサ41は、典型的には、本明細書に記載の機能を実施するようにソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でプロセッサにダウンロードされてもよく、あるいは、ソフトウェアは、代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、又は電子メモリなどの非一時的な有形媒体上に提供及び/又は記憶されてもよい。
【0025】
カテーテルベースの心臓システムのECG取得能力の拡張
図2は、本開示の一実施例による、異なる回路、例えば、同じカテーテル21に連結された発生器71及び/又はインターフェース回路38からの、電力線ノイズを抑制することによって、カテーテル21を用いてEP信号を測定するための、図1のシステム20の描写図及び電気回路図である。カテーテル21は、インターフェース回路38に対して近位方向に差し込まれる(51)。
【0026】
インターフェース回路38は、電気信号52を、電極48に接続されたケーブル232から受信する。ケーブル232は、複数のチャネル、例えば電極ごとに1つのチャネルを含むことができる。信号52は、ケーブル39から決定された体表面基準(WCT)に対して測定される。体表面電極49は、典型的には、患者28の腕及び脚に、並びに胸部(図示せず)にも取り付けられる。電極49のうちの4つ:RA(右腕)、LA(左腕)、RL(右脚)、LL(左脚)が示されている。
【0027】
同時に、発生器71(例えば、RF発生器)は、1つ以上の電極48と、ケーブル75で繋がれた不関電極79との間のアブレーション電流として、RF波形54を、ケーブル232を介して出力することができる。プロセッサ41は、EP感知機能とRFアブレーション機能との間で電極48(カテーテル21のe1~eN)のいずれかの切り替えに関与してもよい。
【0028】
図2の電気回路図が示すように、上記の設定は、患者の体内の2つの電位に相当する。矢印212として概略的に示される第1の電位は、電極48と不関電極79との間の、発生器71のRF電位であり得る。矢印210として概略的に示される第2の電位は、WCTに対する電極48上の感知されたIC波形電位であり、インターフェース回路38によって増幅されたIC波形電位である。発生器71に接続された電極48は、カテーテル21上の第1のグループの電極48を含み得るが、この第1のグループは、上記のIC波形電位を感知するためのインターフェース回路38内のEP感知回路58に接続されたカテーテル21上の第2のグループの電極48以外のものである。代替的又は追加的に、電極48のうちの1つ以上は、発生器71からアブレーション信号を受信することと、感知回路58によって増幅されたIC波形電位を感知することとを交互に行ってもよい。いくつかの例示的な実施形態では、第1の電極48を有する第1のカテーテル21が、発生器71に接続され、第2の電極48を有する第2のカテーテル21が、IC波形電位を感知するように構成される。
【0029】
いくつかの例示的実施形態によると、低インピーダンス経路、例えば、経路303、304、306、及び/又は308は、発生器71の絶縁接地のうちの1つを感知回路58の絶縁接地のうちの1つと直接接続するために使用され、漏れは、その経路を通過し、患者28を通過しない。いくつかの例示的な実施形態によると、低インピーダンス経路は、Y2安全コンデンサ333を含む。任意選択で、低インピーダンス経路はまた、RFチョーク334を含んでもよい。
【0030】
アブレーション回路78を有する発生器71は、ケーブル232を介して、電極48のうちの1つ以上に接続され、ケーブル75を介して、不関電極79に接続され、アブレーション電流、例えばRF電流を心臓組織に印加する。アブレーション回路78は、安全基準要件によって要求される電気絶縁バリアを含む。いくつかの実施例では、漏れは、例えば、発生器71の電源72と第1の絶縁接地73との間のインターフェース67において、及び/又は第1の絶縁接地73と第2の絶縁接地74との間のインターフェース69において発生し得る。
【0031】
EP感知回路58を有するインターフェース回路38は、ケーブル232を介して電極48のいくつかに接続され、ケーブル39を介して体表面電極49に接続されて、心臓組織からEP信号を取得する。感知回路58は、電気絶縁バリアを含む。漏れは、例えば、感知回路58の電源77と第1の絶縁接地76との間のインターフェース57において、及び/又は第1の絶縁接地76と第2の絶縁接地75との間のインターフェース59において発生し得る。
【0032】
したがって、示された実施例は、原則として、患者28の身体をバイパスする低インピーダンス線(LIL)を提供するための4つの選択肢を有する。
・LIL(303):患者RF接地#1(73)-患者EP接地#1(76)
・LIL(308):患者RF接地#1(73)-患者EP接地#2(75)
・LIL(304):患者RF接地#2(74)-患者EP接地#1(76)
・LIL(306):患者RF接地#2(74)-患者EP接地#2(75)
【0033】
他の接続は、信号接地(305、307、306、308)を使用し得る。異なるそのような接続が必要とされ得るのは、各デバイスの分離バリアがそれ自体のインピーダンス及び寄生漏れ電流を有するからである。その結果、各デバイスは、ECGにおいて干渉ノイズとして見ることができる、それ自体の寄生電位を身体上に引き起こす。したがって、低インピーダンス線を介して患者の体内で起こり得る電位勾配を、解消する必要があり得る。
【0034】
最後に、図からわかるように、安全コンデンサ333が、典型的には、低インピーダンス経路(例えば、303、304、306、及び/又は308)内の装置20内に含まれ、コンデンサ333は、医療機器を保護するために必要とされる。安全コンデンサ333に加えて、任意のRFチョーク334が、RF漏れを防止するために追加されてもよい。
【0035】
図2の電気回路は、例として示したものであり、明確にするために簡略化されている。実際には、追加の又は代替のサブシステムを連結することができ、経路303などの経路を使用することができる。
【0036】
図3は、本開示の一実施例による、図1のシステム20における電力線ノイズを低減する方法を概略的に示すフローチャートである。プロセスは、2つ以上の医療システム(例えば、RF発生器及びEP取得回路)が提供され、それらのシステムは、それぞれの電気出力と、電力線及び接地からそれぞれが絶縁されたそれぞれの別々の電気接地を有する暫定ステップ402で始まる。
【0037】
次に、連結ステップ404において、上記の2つ以上の医療システムが、患者28の身体を介して、互いに電気的に連結される。
【0038】
最後に、接地連結ステップ404において、患者28の身体を介して1つのシステムから他のシステムに漏れ電流が流れることを回避するために、低インピーダンス経路(例えば、経路303、304、306、及び/又は308)が使用される。
【0039】
図に示される構成例は、あくまで概念を明確化する目的で選択されたものである。代替的な実施例では、開示された技術は、他の配線スキーム、異なるスタンドアローンインターフェース、及びバスケットカテーテル以外の他の種類のカテーテルを含む、他の好適な構成を使用してもよい。
【0040】
実施例1:装置は、それぞれの電気出力と、電力線及び接地からそれぞれが絶縁されたそれぞれの別々の絶縁接地とを有する、2つ以上の医療システム(38、71)であって、患者(28)を介して互いに電気的に連結されている、2つ以上の医療システム(38、71)を備える。医療システム(38、71)の別々の絶縁接地を互いに接続する低インピーダンス経路(303、304、306及び/又は308)であって、1つ以上の漏れ電流が、患者(28)を経由する代わりに低インピーダンス経路を経由して流れるようにする、低インピーダンス経路。
【0041】
実施例2:低インピーダンス経路(303、304、306及び/又は308)は、直流(DC)が経路(202)内を流れるのを阻止するように構成されたコンデンサ(333)を備える、実施例1に記載の装置。
【0042】
実施例3:コンデンサ(333)がY2コンデンサである、実施例2に記載の装置。
【0043】
実施例4:低インピーダンス経路(303、304、306及び/又は308)は、無線周波数(RF)電流が経路内を流れるのを阻止するように構成されたRFチョーク(334)を更に備える、実施例1~3のいずれか1つに記載の装置。
【0044】
実施例4:2つ以上の医療システムのうちの1つは、患者(28)の身体内のカテーテル(21)の電極(48)と、患者の皮膚に取り付けられた表面電極(49)から配置されるウィルソン結合電極(WCT)(61)との間の、心内心電図(IC-ECG)電位を取得するように構成された電気生理学的(EP)感知システムであり、2つ以上の医療システムのうちの別の1つは、患者(28)の身体内のカテーテル(21)の電極(48)と患者の皮膚に取り付けられた不関電極(79)との間に、RF信号を印加するように構成されたRFアブレーションシステムであり、低インピーダンス電気経路(202)が、WCT(61)を不関電極(79)と接続する、実施例1~3のいずれか1つに記載の装置。
【0045】
実施例5:方法は、それぞれの電気出力と、電力線及び接地からそれぞれが絶縁されたそれぞれの別々絵の絶縁接地とを有する、2つ以上の医療システムを提供すること、を含む。2つ以上の医療システムは、患者の身体を介して互いに電気的に連結される。医療システムの別々の電気接地を、低インピーダンス経路を介して互いに接続し、それによって、1つ以上の漏れ電流が、患者を介する代わりに低インピーダンス経路を介して流れるようにする。
【0046】
上に記載される実施例は例として挙げたものであり、本開示は本明細書の上記で具体的に図示及び記載されるものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書の上記に記載されている様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの双方、並びに前述の記載を一読すると当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び変更例を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0047】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
それぞれの電気出力と、電力線及び接地からそれぞれが絶縁されたそれぞれの別々の絶縁接地とを有する、2つ以上の医療システムであって、患者の身体を介して互いに電気的に連結されている、2つ以上の医療システムと、
前記医療システムの前記別々の絶縁接地を互いに接続する低インピーダンス経路であって、1つ以上の漏れ電流が前記患者を経由する代わりに前記低インピーダンス経路を経由して流れるようにする、低インピーダンス経路と、を備える、装置。
(2) 前記低インピーダンス経路は、直流電流(DC)が前記経路内を流れるのを阻止するように構成されたコンデンサを備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記コンデンサがY2コンデンサである、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記低インピーダンス経路は、無線周波数(RF)電流が前記経路内を流れるのを阻止するように構成されたRFチョークを更に備える、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記2つ以上の医療システムのうちの1つは、患者の身体内のカテーテルの電極と、前記患者の皮膚に取り付けられた表面電極から配置されるウィルソン結合電極(WCT)との間の、心内心電図(IC-ECG)電位を取得するように構成された電気生理学的(EP)感知システムであり、
前記2つ以上の医療システムのうちの別の1つは、前記患者の前記身体内の前記カテーテルの電極と、前記患者の前記皮膚に取り付けられた不関電極との間に、RF信号を印加するように構成されたRFアブレーションシステムであり、
前記低インピーダンス電気経路が、前記WCTを前記不関電極と接続する、実施態様1に記載の装置。
【0048】
(6) 方法であって、
それぞれの電気出力と、電力線及び接地からそれぞれが絶縁されたそれぞれの別々の絶縁接地とを有する、2つ以上の医療システムを提供することと、
患者の身体を介して、前記2つ以上の医療システムを互いに電気的に連結することと、
前記医療システムの前記別々の絶縁接地を、低インピーダンス経路を介して互いに接続し、それによって、1つ以上の漏れ電流が、前記患者を介する代わりに前記低インピーダンス経路を介して流れるようにすることと、を含む、方法。
(7) 前記低インピーダンス経路は、直流電流(DC)が前記経路内を流れるのを阻止するように構成されたコンデンサを備える、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記低インピーダンス経路は、無線周波数(RF)電流が前記経路内を流れるのを阻止するように構成されたRFチョークを更に備える、実施態様6に記載の方法。
(9) 前記2つ以上の医療システムのうちの1つは、患者の身体内のカテーテルの電極と、前記患者の皮膚に取り付けられた表面電極から配置されるウィルソン結合電極(WCT)との間の、心内心電図(IC-ECG)電位を取得するように構成された電気生理学的(EP)感知システムであり、
前記2つ以上の医療システムのうちの別の1つは、前記患者の前記身体内の前記カテーテルの電極と、前記患者の前記皮膚に取り付けられた不関電極との間に、RF信号を印加するように構成されたRFアブレーションシステムであり、
前記低インピーダンス電気経路が、前記WCTを前記不関電極と接続する、実施態様6に記載の方法。
図1
図2
図3
【外国語明細書】