(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131147
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】クッション体及びクッション体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47C 27/14 20060101AFI20230913BHJP
A47C 27/15 20060101ALI20230913BHJP
A47G 9/10 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
A47C27/14 B
A47C27/15 A
A47C27/15 B
A47C27/14 A
A47G9/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034856
(22)【出願日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2022034935
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】茂木 秀暁
(72)【発明者】
【氏名】諏佐 賢
(72)【発明者】
【氏名】和田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 奨
(72)【発明者】
【氏名】富下 瞳
【テーマコード(参考)】
3B096
3B102
【Fターム(参考)】
3B096AB02
3B096AB07
3B096AD07
3B102AB07
3B102AB10
(57)【要約】
【課題】通気性を確保しつつ、体圧分散性に優れると共に良好な寝姿勢を実現できるクッション体及びクッション体の製造方法を提供する。
【解決手段】クッション体1は、使用者の身体が載せられると共に第1凹部21及び第1凸部22を含む波形形状を呈する表面2と、表面2の裏側に位置すると共に第2凹部31及び第2凸部32を含む波形形状を呈する裏面3と、を有する。表面2には、第1凹部21及び第1凸部22のそれぞれが第1方向D1に沿って延在すると共に、第1方向D1と交差する第2方向D2に沿って第1凹部21及び第1凸部22が交互に並んでいる。裏面3には、第2凹部31及び第2凸部32のそれぞれが第1方向D1とは異なる第3方向D3に沿って延在すると共に、第3方向D3と交差する第4方向D4に沿って第2凹部31及び第2凸部32が交互に並んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体が載せられると共に第1凹部及び第1凸部を含む波形形状を呈する表面と、前記表面の裏側に位置すると共に第2凹部及び第2凸部を含む波形形状を呈する裏面と、を有し、
前記表面には、前記第1凹部及び前記第1凸部のそれぞれが第1方向に沿って延在すると共に、前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記第1凹部及び前記第1凸部が交互に並んでおり、
前記裏面には、前記第2凹部及び前記第2凸部のそれぞれが前記第1方向とは異なる第3方向に沿って延在すると共に、前記第3方向と交差する第4方向に沿って前記第2凹部及び前記第2凸部が交互に並んでいる、
クッション体。
【請求項2】
前記表面及び前記裏面は、長方形状を呈し、
前記第1方向は、前記表面の短手方向であり、
前記第3方向は、前記裏面の長手方向である、
請求項1記載のクッション体。
【請求項3】
前記第1方向及び前記第3方向の双方と交差する厚さ方向に沿って見たときに、前記クッション体は長方形状を呈し、
前記クッション体の長手方向に沿って配列される第1領域及び第2領域を有し、
前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれは、前記表面に形成された前記第1凹部及び前記第1凸部の配列パターンである第1凹凸パターンと、前記裏面に形成された前記第2凹部及び前記第2凸部の配列パターンである第2凹凸パターンとを有し、
前記第2領域における前記第1凹凸パターン及び前記第2凹凸パターンの少なくともいずれかが、前記第1領域における前記第1凹凸パターン及び前記第2凹凸パターンの少なくともいずれかと異なっている、
請求項1又は2記載のクッション体。
【請求項4】
前記第1凹部及び前記第1凸部の1周期分の長さは、1cm以上且つ10cm以下であり、
前記第2凹部及び前記第2凸部の1周期分の長さは、1cm以上且つ10cm以下である、
請求項1又は2に記載のクッション体。
【請求項5】
前記第1方向及び前記第3方向の双方と交差する厚さ方向の長さが最も長い最厚部における前記厚さ方向の長さに対する前記第1凹部の深さの割合は、0.1以上且つ0.6以下であり、
前記最厚部における前記厚さ方向の長さに対する前記第2凹部の深さの割合は、0.1以上且つ0.6以下である、
請求項1又は2に記載のクッション体。
【請求項6】
少なくとも前記第1凸部を含む第1層と、
前記第1層よりも前記裏面側に位置する第2層と、を有し、
前記第1層及び前記第2層の一方は軟質層であり、前記第1層及び前記第2層の他方は前記軟質層よりも硬い硬質層である、
請求項1又は2に記載のクッション体。
【請求項7】
少なくとも前記第2凸部を含む第3層と、
前記第3層よりも前記表面側に位置する第4層と、を有し、
前記第3層及び前記第4層の一方は軟質層であり、前記第3層及び前記第4層の他方は前記軟質層よりも硬い硬質層である、
請求項1又は2に記載のクッション体。
【請求項8】
前記第1領域が前記表面の前記第2方向の中央に配置されており、
前記第2領域が前記表面における前記第1領域の前記第2方向の両側のそれぞれに配置されており、
前記第1領域における前記第1凹部及び前記第1凸部の1周期分の長さである第1長さが、前記第2領域における前記第1凹部及び前記第1凸部の1周期分の長さである第2長さよりも短い、
請求項3に記載のクッション体。
【請求項9】
前記表面における前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第3領域を備え、
前記第3領域における前記第1凹部及び前記第1凸部の1周期分の長さである第3長さは、前記第1長さより長く、且つ前記第2長さより短い、
請求項8に記載のクッション体。
【請求項10】
複数の前記第1凸部のそれぞれの頂面から窪む複数の第3凹部を有し、
複数の前記第3凹部が前記第2方向に沿って並んでいる、
請求項8又は9に記載のクッション体。
【請求項11】
前記第2方向に沿って並ぶ複数の前記第3凹部を含む複数の組を備え、
複数の前記組が前記第1方向に沿って並んでいる、
請求項10に記載のクッション体。
【請求項12】
前記裏面における前記第4方向の中央に配置されている第4領域と、
前記裏面における前記第4領域の前記第4方向の両側のそれぞれに配置された第5領域とを備え、
前記第4領域における前記第2凹部及び前記第2凸部の1周期分の長さである第4長さが、前記第5領域における前記第2凹部及び前記第2凸部の1周期分の長さである第5長さよりも短い、
請求項3に記載のクッション体。
【請求項13】
使用者の身体が載せられると共に第1凹部及び第1凸部を含む波形形状を呈する表面と、前記表面の裏側に位置すると共に第2凹部及び第2凸部を含む波形形状を呈する裏面と、を有するクッション体の製造方法であって、
前記クッション体の構成材料からなるブロック体を準備する工程と、
前記ブロック体をカットすることで、第1方向に沿って延在すると共に前記第1方向と交差する第2方向に沿って交互に並ぶ前記第1凹部及び前記第1凸部を前記表面に形成する工程と、
前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する回転軸周りに前記ブロック体を回転させる工程と、
前記回転軸周りに回転させた前記ブロック体をカットすることで、前記第1方向とは異なる第3方向に沿って延在すると共に、前記第3方向と交差する第4方向に沿って交互に並ぶ前記第2凹部及び前記第2凸部を前記裏面に形成する工程と、を備える、
クッション体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クッション体及びクッション体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-215003号公報には、凸部及び凹部を有する上層部及び中層部と、直方体形状の下層部と、の3層で構成されたマットレスが記載されている。このマットレスでは、上層部及び中層部に対していわゆるプロファイル加工が行われる。上層部では、上面側に複数の凸部及び凹部が平面視で市松模様を構成するように配置されている。中層部の上面側には、複数の四角錐台形状の切頭凸部、及び逆四角錐状の凹部が平面視で市松模様を構成するように形成されている。このマットレスでは、中層部の複数の四角錐台形状の切頭凸部の切断面が上層部の底面側に貼り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したマットレスでは、上層部の凸部が四角錘形状を呈しており、隣り合う凸部の頂部同士が互いに離間するように形成されている。上層部において、複数の凸部は市松模様を構成するように配置されている。このような上層部にマットレスの使用者の身体が載せられた場合、凸部が潰れることで使用者の身体が凹部の底部に接することが想定される。この場合、マットレスと使用者の身体との間に空間が形成されにくくなり、マットレスの上面と身体との間における空気流通がスムーズになされないので、通気性の低下を招来しうる。
【0005】
また、このマットレスでは、床側となる下層部が直方体形状を呈するため、下層部において床に接する下面が平面状を呈する。この場合、下層部側における反発弾性がマットレスの全体に亘って均等となるため、マットレスに使用者の身体を載置したときにおける沈み込みの量が部分的に不十分となりうる。これにより、マットレスに加わる体圧が不均一となることで体圧分散性が不十分となりうる。さらに、使用者の身体を載せる寝具では、使用者の寝姿勢を良好なものとすることが求められる。
【0006】
本開示は、通気性を確保でき、体圧分散性に優れると共に良好な寝姿勢を実現できるクッション体及びクッション体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るクッション体は、(1)使用者の身体が載せられると共に第1凹部及び第1凸部を含む波形形状を呈する表面と、表面の裏側に位置すると共に第2凹部及び第2凸部を含む波形形状を呈する裏面とを有する。表面には、第1凹部及び第1凸部のそれぞれが第1方向に沿って延在すると共に、第1方向と交差する第2方向に沿って第1凹部及び第1凸部が交互に並んでいる。裏面には、第2凹部及び第2凸部のそれぞれが第1方向とは異なる第3方向に沿って延在すると共に、第3方向と交差する第4方向に沿って第2凹部及び第2凸部が交互に並んでいる。
【0008】
本開示に係るクッション体では、使用者の身体が載せられる表面は、第1凹部及び第1凸部を含む波形形状を呈する。この表面には、第1凹部及び第1凸部のそれぞれが第1方向に沿って延在すると共に、第1方向と交差する第2方向に沿って第1凹部及び第1凸部が交互に並んでいる。このクッション体では、第1凹部及び第1凸部のそれぞれは、表面において第1方向に沿って延在している。第1凸部が第1方向に沿って延びていることにより、使用者の身体が表面に載せられたときに、第1凸部が潰れても使用者の身体を第1凹部の底部に接しにくくすることができる。したがって、クッション体と使用者の身体との間に第1方向に延びる空間を形成することができるため、通気性が確保される。また、このクッション体では、表面の裏側に位置する裏面には、第2凹部及び第2凸部のそれぞれが第1方向とは異なる第3方向に沿って延在すると共に、第3方向と交差する第4方向に沿って第2凹部及び第2凸部が交互に並んでいる。この場合、第1凸部の直下に第2凸部が位置してクッション体が厚く反発弾性が大きい部分、及び第1凹部の直下に第2凹部が位置してクッション体が薄く反発弾性が小さい部分の双方が形成される。これにより、クッション体の反発弾性が大きい部分と小さい部分とを形成できるので、クッション体に使用者の身体が載せられたときに、使用者の身体の形状に合わせてクッション体がより柔軟に変形する。クッション体がより柔軟に変形することによって、クッション体に加わる体圧を均等に近づけることができるので、体圧分散性が向上すると共に、寝姿勢を良好なものとすることができる。
【0009】
(2)上記(1)において、表面及び裏面は、長方形状を呈していてもよい。第1方向は、表面の短手方向であってもよく、第3方向は、裏面の長手方向であってもよい。例えば、使用者の身体が表面に載せられるときに、表面の長手方向に沿って使用者の身体が載せられる。仮に、第1凹部及び第1凸部が延在する第1方向が表面の長手方向である場合あってもよく、第1凹部及び第1凸部により使用者の寝返りがスムーズにいかないことが考えられる。これに対し、このクッション体では、第1凹部及び第1凸部が延在する第1方向が表面の短手方向であるため、使用者の寝返りを第1方向に沿ってよりスムーズにすることができる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)において、第1方向及び第3方向の双方と交差する厚さ方向に沿って見たときに、クッション体は長方形状を呈し、クッション体の長手方向に沿って配列される第1領域及び第2領域を有していてもよい。第1領域及び第2領域のそれぞれは、表面に形成された第1凹部及び第1凸部の配列パターンである第1凹凸パターンと、裏面に形成された第2凹部及び第2凸部の配列パターンである第2凹凸パターンとを有していてもよい。第2領域における第1凹凸パターン及び第2凹凸パターンの少なくともいずれかが、第1領域における第1凹凸パターン及び第2凹凸パターンの少なくともいずれかと異なっていてもよい。この場合、第1領域及び第2領域の入れ替え等を行うことにより、使用者の身体、又は使用者のニーズに応じてクッション体の硬さ及び沈み込み量を部分的に変更できるので、使用者により適したクッション体を提案できる。
【0011】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、第1凹部及び第1凸部の1周期分の長さは、1cm以上且つ10cm以下であってもよい。第2凹部及び第2凸部の1周期分の長さは、1cm以上且つ10cm以下であってもよい。仮に、第1凹部及び第1凸部の1周期分の長さ、又は、第2凹部及び第2凸部の1周期分の長さが1cm未満である場合、第1凸部又は第2凸部の数が多すぎることによってクッション体の沈み込み量が過大となりうる。一方、第1凹部及び第1凸部の1周期分の長さ、又は、第2凹部及び第2凸部の1周期分の長さが10cmより長い場合、第1凸部又は第2凸部が潰れにくいため、クッション体の沈み込み量が過少となりうる。前述したように、第1凹部及び第1凸部の1周期分の長さ、及び、第2凹部及び第2凸部の1周期分の長さが1cm以上且つ10cm以下である場合、クッション体に使用者の身体が載置されたときの沈み込み量を適度にすることができる。
【0012】
(5)上記(1)~(4)のいずれかにおいて、第1方向及び第3方向の双方と交差する厚さ方向の長さが最も長い最厚部における厚さ方向の長さに対する第1凹部の深さの割合は、0.1以上且つ0.6以下であってもよい。最厚部における厚さ方向の長さに対する第2凹部の深さの割合は、0.1以上且つ0.6以下であってもよい。仮に、最厚部における厚さ方向の長さに対する第1凹部の深さの割合、又は、最厚部における厚さ方向の長さに対する第2凹部の深さの割合が0.1未満である場合、第1凹部又は第2凹部における深さが過少となる結果、クッション体の沈み込み量が過少となりうる。一方、最厚部における厚さ方向の長さに対する第1凹部の深さの割合、又は、最厚部における厚さ方向の長さに対する第2凹部の深さの割合が0.6より大きい場合、第1凹部又は第2凹部における深さが過大となる結果、クッション体の沈み込み量が過大となりうる。前述したように、最厚部における厚さ方向の長さに対する第1凹部の深さの割合が0.1以上且つ0.6以下であり、最厚部における厚さ方向の長さに対する第2凹部の深さの割合が0.1以上且つ0.6以下である場合、クッション体に使用者の身体が載置されたときの沈み込み量を適度にすることができる。
【0013】
(6)上記(1)~(5)のいずれかにおいて、本開示に係るクッション体は、少なくとも第1凸部を含む第1層と、第1層よりも裏面側に位置する第2層とを有してもよい。第1層及び第2層の一方は軟質層であり、第1層及び第2層の他方は軟質層よりも硬い硬質層であってもよい。第1層が軟質層であり、第2層が硬質層である場合、第1層は、使用者の身体の体圧を分散する体圧分散層として機能し、第2層は、使用者の寝姿勢を良好に保持する寝姿勢保持層として機能する。第1層が硬質層であり、第2層が軟質層である場合、第1層は、使用者の身体に接触すると共に使用者の身体を支える支持層として機能し、第2層は、使用者の身体の体圧を分散する体圧分散層として機能する。これにより、使用者がクッション体の上に長時間横たわっても、良好なフィット感を使用者に与え続けることが可能となる。
【0014】
(7)上記(1)~(6)のいずれかにおいて、本開示に係るクッション体は、少なくとも第2凸部を含む第3層と、第3層よりも表面側に位置する第4層とを有してもよい。第3層及び第4層の一方は軟質層であり、第3層及び第4層の他方は軟質層よりも硬い硬質層であってもよい。第3層が軟質層であり、第4層が硬質層である場合、第3層は、使用者の身体の体圧を分散する体圧分散層として機能し、第4層は、使用者の身体を支える支持層として機能する。第3層が硬質層であり、第4層が軟質層である場合、第3層は、使用者の寝姿勢を良好に保持する寝姿勢保持層として機能し、第4層は、使用者の身体の体圧を分散する体圧分散層として機能する。これにより、使用者がクッション体の上に長時間横たわっても、良好なフィット感を使用者に与え続けることが可能となる。
【0015】
(8)上記(3)において、第1領域が表面の第2方向の中央に配置されており、第2領域が表面における第1領域の第2方向の両側のそれぞれに配置されていてもよい。第1領域における第1凹部及び第1凸部の1周期分の長さである第1長さが、第2領域における第1凹部及び第1凸部の1周期分の長さである第2長さよりも短くてもよい。この場合、第2方向の中央における第1凹部及び第1凸部のピッチが、第2方向の端部における第1凹部及び第1凸部のピッチよりも短い。クッション体の面に形成された凹凸構造では、凹凸構造のピッチが長いほど沈み込みやすく、凹凸構造のピッチが短いほど沈み込みにくい。クッション体の表面における第2方向の端部には使用者の頭部又は脚部が載せられ、クッション体の表面における第2方向の中央には使用者の臀部が載せられる。一般的に、クッション体に対する臀部の荷重は、クッション体に対する頭部又は脚部の荷重よりも大きい。このクッション体では、荷重が大きい臀部においてクッション体の沈み込みを抑えると共に、荷重が小さい頭部及び脚部においてクッション体の沈み込みを大きくすることができる。従って、使用者の寝姿勢を良好にできると共に体圧分散性を良好にできるので、更なる寝心地の向上に寄与する。
【0016】
(9)上記(8)において、クッション体は、表面における第1領域と第2領域との間に位置する第3領域を備えてもよい。第3領域における第1凹部及び第1凸部の1周期分の長さである第3長さは、第1長さより長く、且つ第2長さより短くてもよい。この場合、第3領域における第1凹部及び第1凸部のピッチは、第1領域における第1凹部及び第1凸部のピッチより長く、且つ、第2領域における第1凹部及び第1凸部のピッチより短い。この第3領域が第1領域と第2領域との間に配置されることによって寝姿勢を更に良好にできると共に体圧分散をよりきめ細かく制御できる。従って、更なる体圧分散性の向上に寄与する。
【0017】
(10)上記(1)~(9)のいずれかにおいて、クッション体は、複数の第1凸部のそれぞれの頂面から窪む複数の第3凹部を有してもよい。複数の第3凹部が第2方向に沿って並んでいてもよい。この場合、表面に形成された複数の第1凸部において第3凹部が第2方向に延在するように形成されている。この第3凹部を有することによって表面における体圧分散性を更に良好にできる。
【0018】
(11)上記(10)において、クッション体は、第2方向に沿って並ぶ複数の第3凹部を含む複数の組を備えてもよい。複数の組が第1方向に沿って並んでいてもよい。この場合、複数の第3凹部からなる複数の組が第1方向に沿って並んでいるので、表面の第1方向における体圧分散性を更に良好にすることができる。
【0019】
(12)上記(3)において、クッション体は、裏面における第4方向の中央に配置されている第4領域と、裏面における第4領域の第4方向の両側のそれぞれに配置された第5領域とを備えてもよい。第4領域における第2凹部及び第2凸部の1周期分の長さである第4長さが、第5領域における第2凹部及び第2凸部の1周期分の長さである第5長さよりも短くてもよい。この場合、裏面の第4方向の中央に位置する第4領域における第2凹部及び第2凸部のピッチが、裏面の第4方向の端部に位置する第5領域における第2凹部及び第2凸部のピッチよりも短い。クッション体では、仰向けのときに第4方向の中央に使用者の身体の荷重がかかることが多く、横向き寝のときに第4方向の端部に使用者の身体の荷重がかかることが多い。横向き寝のときは、肩及び腸骨等、凹凸が大きい部分がクッション体に当接するため、仰向き寝のときよりも沈み込ませることが望ましい。すなわち、クッション体の第4方向の端部は、クッション体の第4方向の中央よりも沈みやすいことが望ましい。従って、第4方向の中央に位置する第4領域のピッチが第4方向の端部に位置する第5領域のピッチよりも短いことにより、仰向けのときよりも横向き寝のときによりクッション体を沈み込ませることができる。従って、横向き寝時における体圧分散性を更に良好にできるので、更なる寝心地の向上に寄与する。
【0020】
本開示に係るクッション体の製造方法は、(13)使用者の身体が載せられると共に第1凹部及び第1凸部を含む波形形状を呈する表面と、表面の裏側に位置すると共に第2凹部及び第2凸部を含む波形形状を呈する裏面と、を有するクッション体の製造方法である。この製造方法は、クッション体の構成材料からなるブロック体を準備する工程と、ブロック体をカットすることで、第1方向に延在すると共に第1方向と交差する第2方向に沿って交互に並ぶ第1凹部及び第1凸部を表面に形成する工程と、第1方向及び第2方向の双方に直交する回転軸周りにブロック体を回転させる工程と、回転軸周りに回転させたブロック体をカットすることで、第1方向とは異なる第3方向に延在すると共に、第3方向と交差する第4方向に沿って交互に並ぶ第2凹部及び第2凸部を裏面に形成する工程と、を備える。
【0021】
本開示に係るクッション体の製造方法では、使用者の身体が載せられる表面が波形形状を呈するクッション体を製造する。この表面には、第1方向に沿って延在すると共に第1方向と交差する第2方向に沿って交互に並ぶ第1凹部及び第1凸部が形成される。このクッション体の製造方法では、第1凸部及び第1凹部のそれぞれが、表面において第1方向に沿って延在するように形成される。第1凸部が第1方向に沿って延びていることにより、使用者の身体が表面に載せられたときに、第1凸部が潰れても使用者の身体を第1凹部の底部に接しにくくすることができる。したがって、前述したクッション体と同様、第1方向に延びる空間を形成できるので、通気性が確保される。また、このクッション体の製造方法では、表面の裏側に位置する裏面が波形形状を呈するクッション体が製造される。この裏面には、第1方向とは異なる第3方向に沿って延在すると共に、第3方向と交差する第4方向に沿って交互に並ぶ第2凹部及び第2凸部が形成される。この場合、第1凸部の直下に第2凸部が位置してクッション体が厚く反発弾性が大きい部分、及び第1凹部の直下に第2凹部が位置してクッション体が薄く反発弾性が小さい部分の双方を形成することができる。よって、前述したクッション体と同様、クッション体に使用者の身体が載せられたときに、使用者の身体の形状に合わせてクッション体が柔軟に変形する。クッション体がより柔軟に変形することによって、クッション体に加わる体圧を均等に近づけることができるので、体圧分散性を向上させることができると共に、寝姿勢を良好なものとすることができる。
【0022】
さらに、このクッション体の製造方法では、クッション体の構成材料からなるブロック体がカットされることで、第1凹部及び第1凸部が表面に形成される。続いて、第1方向及び第2方向の双方に直交する回転軸周りにブロック体が回転する。そして、回転軸周りに回転したブロック体がカットされることで、第2凹部及び第2凸部が裏面に形成される。よって、例えばプロファイル加工によりクッション体に凹部及び凸部を形成する場合に比べ、加工方法が簡単であるため、加工に要する時間を短縮できる。また、ブロック体の端材の量を削減することができ、製造コストを抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、通気性を確保でき、体圧分散性に優れると共に良好な寝姿勢を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るクッション体の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるクッション体をクッション体の短手方向から見た側面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示されるクッション体をクッション体の長手方向から見た側面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るクッション体の製造方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るクッション体の製造方法に用いられるブロック体の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5のブロック体をカットした状態を示す側面図である。
【
図7】
図7は、
図6のブロック体を回転した状態を示す側面図である。
【
図8】
図8は、
図7のブロック体をカットした状態を示す側面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るクッション体の模式的な側面図である。
【
図10】
図10は、変形例に係るクッション体をクッション体の短手方向から見た側面図である。
【
図11】
図11は、
図10とは別の変形例に係るクッション体をクッション体の短手方向から見た側面図である。
【
図14】
図14(a)及び
図14(b)は、体圧分散性に関する評価試験結果を示すグラフである。
【
図15】
図15は、第3実施形態に係るクッション体の表面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るクッション体及びクッション体の製造方法の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0026】
まず、本開示に係るクッション体について説明する。「クッション体」とは、例えば、寝具に用いられるものを示している。「クッション体」は、使用者の身体が載せられたときに変形する程度の柔軟性を有する。一例として、「寝具」は、袋体にクッション体が収容されて構成される。「寝具」とは、使用者が身体を休めたり睡眠をとったりするときに使用者の身体が当てられるものを示している。「寝具」は、典型的には、マットレス若しくは敷き布団等の敷き寝具、クッション、ベッドパッド、座布団又は枕である。
【0027】
「使用者」は、自らの身体を寝具に接触させて寝具を使用する者である。「使用者」は、例えば、寝具が敷き寝具である場合には、寝具に自らの身体を載せる者である。この場合、具体例として、「使用者」は、購入した寝具の上に横たわる者、又は購入のために寝具の上に横たわる者である。
【0028】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係るクッション体1について説明する。
図1は、第1実施形態に係るクッション体1の模式的な斜視図である。クッション体1は、マットレスとして用いられるクッション体である。
図1に示されるように、クッション体1は、平面視において長方形状を呈する。クッション体1は、柔軟性素材によって構成されている。「柔軟性素材」とは、身体の載置によって変形する柔らかさを備えた素材を示している。クッション体1の材料は、例えば、ウレタン等の発泡体であってもよく、軟質発泡性樹脂素材(低反発フォーム、ポリエチレンフォーム、無膜フォーム、若しくはラテックス(天然ゴム)等)、ポリエステル固綿素材等、又は2次元加工機でカッティングできるものであってもよい。クッション体1は、使用者の身体が載せられる表面2と、表面2の裏側に位置する裏面3とを有する。
【0029】
表面2は、平面視において長方形状を呈する。表面2は、長辺2a,2bと、短辺2c,2dとを有する。以下では、長辺2a,2bが延びる方向を「表面2の長手方向」と称し、短辺2c,2dが延びる方向を「表面2の短手方向」と称する。表面2は、第1凹部21及び第1凸部22を含む波形形状を呈する。
【0030】
表面2には、第1凹部21及び第1凸部22のそれぞれが第1方向D1に沿って延在する。本実施形態では、第1方向D1は、表面2の短手方向と一致している。例えば、第1凹部21及び第1凸部22のそれぞれは、表面2における一方の長辺2aから他方の長辺2bまで延在している。
【0031】
表面2には、第1方向D1と交差(一例として直交)する第2方向D2に沿って第1凹部21及び第1凸部22が交互に並んでいる。本実施形態において、第2方向D2は、表面2の長手方向と一致している。例えば、第1凹部21及び第1凸部22のそれぞれは、表面2における一方の短辺2cから他方の短辺2dまで交互に配列されている。
【0032】
裏面3は、平面視において長方形状を呈する。裏面3は、長辺3a,3bと、短辺3c,3dとを有する。以下では、長辺3a,3bが延びる方向を「裏面3の長手方向」と称し、短辺3c,3dが延びる方向を「裏面3の短手方向」と称する。裏面3は、第2凹部31及び第2凸部32を含む波形形状を呈する。
【0033】
裏面3には、第2凹部31及び第2凸部32のそれぞれが第1方向D1とは異なる第3方向D3に沿って延在する。例えば、第3方向D3は第2方向D2と同一である。しかしながら、第3方向D3は第2方向D2とは異なる方向であってもよい。本実施形態において、第3方向D3は、裏面3の長手方向と一致している。例えば、第2凹部31及び第2凸部32のそれぞれは、裏面3における一方の短辺3cから他方の短辺3dまで延在している。
【0034】
裏面3には、第3方向D3と交差(一例として直交)する第4方向D4に沿って第2凹部31及び第2凸部32が交互に並んでいる。例えば、第4方向D4は第1方向D1と同一である。しかしながら、第4方向D4は第1方向D1とは異なる方向であってもよい。本実施形態において、第4方向D4は、裏面3の短手方向と一致している。例えば、第2凹部31及び第2凸部32のそれぞれは、裏面3における一方の長辺3aから他方の長辺3bまで交互に配列されている。
【0035】
図2は、
図1に示されるクッション体1をクッション体1の短手方向から見た(第1方向D1に沿って見た)側面図である。
図2に示されるように、表面2の波形形状は、曲線状に湾曲した形状である。第1凹部21は、第1凹部21の深さA1が最も深くなる底部23を含む。第1凸部22は、第1凸部22の高さA2が最も高くなる頂部24を含む。深さA1は頂部24に対する底部23の深さであり、高さA2は底部23に対する頂部24の高さである。第1凹部21の深さA1は、第1凸部22の高さA2と等しい。本実施形態では、第1凹部21の底部23及び第1凸部22の頂部24は、側面視において、湾曲した曲線により互いに連続している。
【0036】
例えば、側面視において第1凹部21は底部23を含む半円状を呈し、側面視において第1凸部22は頂部24を含む半円状を呈する。しかしながら、第2方向D2に沿って並ぶ第1凹部21及び第1凸部22の形状は、上記に限られず、例えば、正弦波状、矩形状、又は放物線状であってもよい。
【0037】
第1凹部21及び第1凸部22は、第2方向D2に沿って一定の第1凹凸パターンで配列されている。第1凹凸パターンとは、表面2に形成された第1凹部21及び第1凸部22の配列パターンを言う。より具体的には、第1凹凸パターンは、第1凹部21及び第1凸部22の1周期分の長さA3(波長)と、第1凹部21及び第1凸部22の振幅(第1凹部21と第1凸部22との境界部から頂部24(又は底部23)までの距離)とを含む。第1凹部21及び第1凸部22の振幅は、例えば、第1凹部21の深さA1の半分に等しい。
【0038】
第1凹部21及び第1凸部22の1周期分の長さA3は、例えば、一の第1凸部22の頂部24から、当該一の第1凸部22と隣り合う他の第1凸部22の頂部24までの第2方向D2への長さを示している。第1凹部21及び第1凸部22の1周期分の長さA3は、例えば、1cm以上且つ10cm以下である。第1凹部21及び第1凸部22の1周期分の長さA3は、一例として、5cmである。第1凹部21の深さA1は、例えば、1cm以上且つ3cm以下である。深さA1は、一例として、2cmであってもよい。
【0039】
図3は、
図1に示されるクッション体1をクッション体1の長手方向から見た(第2方向D2に沿って見た)側面図である。
図3に示されるように、裏面3の波形形状は、曲線状に湾曲した形状である。第2凹部31は、第2凹部31の深さB1が最も深くなる底部33を含む。第2凸部32は、第2凸部32の高さB2が最も高くなる頂部34を含む。深さB1は頂部34に対する底部33の深さであり、高さB2は底部33に対する頂部34の高さである。第2凹部31の深さB1は、第2凸部32の高さB2と等しい。本実施形態では、第2凹部31の底部33及び第2凸部32の頂部34は、側面視において、湾曲した曲線により互いに連続している。
【0040】
例えば、第4方向D4に沿って並ぶ第2凹部31及び第2凸部32の形状は、第2方向D2に沿って並ぶ第1凹部21及び第1凸部22の形状と同一である。しかしながら、第4方向D4に沿って並ぶ第2凹部31及び第2凸部32の形状は、第2方向D2に沿って並ぶ第1凹部21及び第1凸部22の形状と異なっていてもよい。
【0041】
第2凹部31及び第2凸部32は、第4方向D4に沿って一定の第2凹凸パターンで配列されている。第2凹凸パターンとは、裏面3に形成された第2凹部31及び第2凸部32の配列パターンを言う。より具体的には、第2凹凸パターンは、第2凹部31及び第2凸部32の1周期分の長さB3(波長)と、第2凹部31及び第2凸部32の振幅(第2凹部31と第2凸部32との境界部から頂部34(又は底部33)までの距離)とを含む。
【0042】
第2凹部31及び第2凸部32の1周期分の長さB3は、例えば、一の第2凸部32の頂部34から、当該一の第2凸部32と隣り合う他の第2凸部32の頂部34までの第4方向D4への長さである。第2凹部31及び第2凸部32の1周期分の長さB3は、例えば、1cm以上且つ10cm以下である。第2凹部31及び第2凸部32の1周期分の長さB3は、一例として、5cmであってもよい。第2凹部31の深さB1は、一例として、4cmであってもよい。
【0043】
図2及び
図3に示されるように、表面2には、第1方向D1に延在する第1凹部21及び第1凸部22が形成されており、裏面3には、第3方向D3に延在する第2凹部31及び第2凸部32が形成されている。第1凸部22の直下に第2凸部32が位置する部分は、クッション体1の最厚部41である。最厚部41は、第1方向D1及び第3方向D3の双方に交差する厚さ方向D5の長さC1が最も長い部分である。第1凹部21の直下に第2凹部31が位置する部分は、クッション体1の最薄部42である。最薄部42は、厚さ方向D5の長さが最も短い部分である。
【0044】
クッション体1は、複数の最厚部41、及び複数の最薄部42を有する。クッション体1を厚さ方向D5に沿って見た場合に、最厚部41及び最薄部42は、離散的に形成されている。最厚部41及び最薄部42は、第1方向D1及び第3方向D3のそれぞれに沿って並んでいる。最厚部41及び最薄部42は第1方向D1及び第3方向のそれぞれに沿って交互に並んでおり、一例として、最厚部41及び最薄部42は等間隔で並んでいる。
【0045】
最厚部41における厚さ方向D5の長さC1に対する第1凹部21の深さA1の割合は、0.1以上且つ0.6以下である。長さC1に対する深さA1の割合は、一例として、0.25である。また、最厚部41における厚さ方向D5の長さC1に対する第2凹部31の深さB1の割合は、0.1以上且つ0.6以下である。長さC1に対する深さB1の割合は、一例として、0.15である。なお、沈み込み量が過大とならないようにする観点では、長さC1に対する深さA1の割合、及び、長さC1に対する深さB1の割合は、0.30以下であることが好ましい。
【0046】
続いて、
図4~
図8を用いて、第1実施形態に係るクッション体1の製造方法について説明する。
図4は、第1実施形態に係るクッション体1の製造方法のフローチャートである。
図5は、第1実施形態に係るクッション体1の製造方法に用いられるブロック体Bの斜視図である。
図4及び
図5に示されるように、まず、クッション体1の構成材料からなるブロック体Bを準備する(工程S1)。本実施形態では、ブロック体Bは、直方体形状を呈する。
【0047】
ブロック体Bの材料は、例えば、ウレタン等の発泡体であってもよく、軟質発泡性樹脂素材(低反発フォーム、ポリエチレンフォーム、無膜フォーム、若しくはラテックス(天然ゴム)等)、ポリエステル固綿素材等、又は2次元加工機でカッティングできるものであってもよい。ブロック体Bの縦寸法(第1方向D1の長さ)は、ブロック体Bからクッション体1を形成したときにおける表面2及び裏面3の短手方向の長さと等しい。ブロック体Bの横寸法(第3方向D3の長さ)は、ブロック体Bからクッション体1を形成したときにおける表面2及び裏面3の長手方向の長さと等しい。ブロック体Bの高さ寸法(厚さ方向D5の長さ)は、例えば、0.2m以上且つ1.5m以下である。
【0048】
続いて、使用者の身体が載せられる表面2を形成する。より具体的には、
図4及び
図6に示されるように、ブロック体Bを波形状にカットすることで、第1方向D1に沿って延在すると共に第1方向D1と交差する第2方向D2に沿って交互に並ぶ第1凹部21及び第1凸部22を表面2に形成する(工程S2)。この工程では、例えば、糸鋸を用いて、ブロック体Bを第2方向D2に沿うと共に厚さ方向D5に波打った曲線状にカットする。この工程により、第1凹部21及び第1凸部22を含む波形形状を呈する表面2を形成する。
【0049】
続いて、
図4及び
図7に示されるように、第1方向D1及び第2方向D2の双方に直交する回転軸AX周りにブロック体Bを回転させる(工程S3)。例えば、ブロック体Bを回転軸AX周りに一定角度回転させる。これにより、ブロック体Bをカットする方向であるカット方向を一定角度変更する。一例として、当該一定角度は90度である。
【0050】
続いて、表面2の裏側に位置する裏面3を形成する。より具体的には、
図4及び
図8に示されるように、回転軸AX周りに回転させたブロック体Bを波形状にカットすることで、第3方向D3に沿って延在すると共に第4方向D4に沿って交互に並ぶ第2凹部31及び第2凸部32を裏面3に形成する(工程S4)。この工程では、ブロック体Bを第4方向D4に沿うと共に厚さ方向D5に波打った曲線状にカットする。この工程により、第2凹部31及び第2凸部32を含む波形形状を呈する裏面3を形成する。以上の工程を経て、前述したクッション体1が製造される。
【0051】
以上、本実施形態に係るクッション体1の製造方法について説明した。しかしながら、クッション体1の製造方法の各工程の内容及び順序は、前述の実施形態に限られず、適宜変更可能である。
【0052】
続いて、本実施形態に係るクッション体1及びクッション体1の製造方法の作用効果について説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係るクッション体1では、使用者の身体が載せられる表面2は、第1凹部21及び第1凸部22を含む波形形状を呈する。この表面2には、第1凹部21及び第1凸部22のそれぞれが第1方向D1に沿って延在すると共に、第1方向D1と交差する第2方向D2に沿って第1凹部21及び第1凸部22が交互に並んでいる。このクッション体1では、第1凹部21及び第1凸部22のそれぞれは、表面2において第1方向D1に沿って延在している。第1凸部22が第1方向D1に沿って延びていることにより、使用者の身体が表面2に載せられたときに、第1凸部22が潰れても使用者の身体を第1凹部21の底部23に接しにくくすることができる。したがって、クッション体1と使用者の身体との間に第1方向D1に延びる空間を形成することができるため、通気性が確保される。
【0053】
さらに、このクッション体1では、表面2の裏側に位置する裏面3は、第2凹部31及び第2凸部32を含む波形形状を呈する。これにより、裏面3における第2凹部31及び第2凸部32は、いわゆるすのこの役割を果たす。すなわち、使用者の身体が表面2に載せられたときに、第2凸部32が潰れてもクッション体1が載せられる載置面を第2凹部31の底部33に接しにくくすることができる。したがって、クッション体1と当該載置面との間に第3方向D3に延びる空間を形成することができるため、通気性が確保される。
【0054】
また、このクッション体1では、表面2の裏側に位置する裏面3には、第2凹部31及び第2凸部32のそれぞれが第1方向D1とは異なる第3方向D3に沿って延在すると共に、第3方向D3と交差する第4方向D4に沿って第2凹部31及び第2凸部32が交互に並んでいる。よって、
図2及び
図3に示されるように、第1凸部22の直下に第2凸部32が位置してクッション体1が厚く反発弾性が大きい最厚部41、及び第1凹部21の直下に第2凹部31が位置してクッション体1が薄く反発弾性が小さい最薄部42の双方が形成される。これにより、クッション体1の反発弾性が大きい部分と小さい部分を形成できるので、クッション体1に使用者の身体が載せられたときに、使用者の身体の形状に合わせてクッション体1がより柔軟に変形する。クッション体1がより柔軟に変形することによって、クッション体1に加わる体圧を均等に近づけることができるので、体圧分散性が向上すると共に、寝姿勢を良好なものとすることができる。
【0055】
本実施形態において、表面2及び裏面3は、長方形状を呈している。例えば、第1方向D1は、表面2の短手方向であり、第3方向D3は、裏面3の長手方向である。例えば、使用者の身体が表面2に載せられるときに、表面2の長手方向に沿って使用者の身体が載せられる。仮に、本実施形態とは異なり、第1凹部21及び第1凸部22が延在する第1方向D1が表面2の長手方向である場合、第1凹部21及び第1凸部22により使用者の寝返りがスムーズにいかないことが考えられる。これに対し、本実施形態に係るクッション体1では、第1凹部21及び第1凸部22が延在する第1方向D1が表面2の短手方向であるため、使用者の寝返りを第1方向D1に沿ってよりスムーズにすることができる。
【0056】
本実施形態において、第1凹部21及び第1凸部22の1周期分の長さA3は、1cm以上且つ10cm以下である。例えば、第2凹部31及び第2凸部32の1周期分の長さB3は、1cm以上且つ10cm以下である。仮に、第1凹部21及び第1凸部22の1周期分の長さA3、又は、第2凹部31及び第2凸部32の1周期分の長さB3が1cm未満である場合、第1凸部22又は第2凸部32の数が多すぎることによってクッション体1の沈み込み量が過大となりうる。一方、第1凹部21及び第1凸部22の1周期分の長さA3、又は、第2凹部31及び第2凸部32の1周期分の長さB3が10cmより長い場合、第1凸部22又は第2凸部32が潰れにくいため、クッション体1の沈み込み量が過少となりうる。前述したように、第1凹部21及び第1凸部22の1周期分の長さA3、及び、第2凹部31及び第2凸部32の1周期分の長さB3が1cm以上且つ10cm以下である場合、クッション体1に使用者の身体が載置されたときの沈み込み量を適度にすることができる。
【0057】
本実施形態において、第1方向D1及び第3方向D3の双方と交差する厚さ方向D5の長さが最も長い最厚部41における厚さ方向D5の長さC1に対する第1凹部21の深さA1の割合は、0.1以上且つ0.6以下である。長さC1に対する第2凹部31の深さB1の割合は、0.1以上且つ0.6以下である。仮に、長さC1に対する深さA1の割合、又は、長さC1に対する深さB1の割合が0.1未満である場合、深さA1,B1が過少となる結果、クッション体1の沈み込み量が過少となりうる。一方、長さC1に対する深さA1の割合、又は、長さC1に対する深さB1の割合が0.6より大きい場合、深さA1,B1が過大となる結果、クッション体1の沈み込み量が過大となりうる。前述したように、長さC1に対する深さA1の割合が0.1以上且つ0.6以下であり、長さC1に対する深さB1の割合が0.1以上且つ0.6以下である場合、クッション体1に使用者の身体が載置されたときの沈み込み量を適度にすることができる。
【0058】
本実施形態に係るクッション体1の製造方法では、使用者の身体が載せられる表面2が波形形状を呈するクッション体1を製造する。この表面2には、第1方向D1に沿って延在すると共に第1方向D1と交差する第2方向D2に沿って交互に並ぶ第1凹部21及び第1凸部22が形成される。第1凸部22が第1方向D1に沿って延びていることにより、使用者の身体が表面2に載せられたときに、第1凸部22が潰れても使用者の身体を第1凹部21の底部23に接しにくくすることができる。さらに、このクッション体1では、表面2の裏側に位置する裏面3は、第2凹部31及び第2凸部32を含む波形形状を呈する。これにより、裏面3における第2凹部31及び第2凸部32は、いわゆるすのこの役割を果たす。すなわち、使用者の身体が表面2に載せられたときに、第2凸部32が潰れてもクッション体1が載せられる載置面を第2凹部31の底部33と接しにくくすることができる。したがって、前述したクッション体1と同様、第1方向D1に延びる空間を形成できるので、通気性が確保される。
【0059】
また、このクッション体1の製造方法では、表面2の裏側に位置する裏面3が波形形状を呈するクッション体1が製造される。この裏面3には、第1方向D1とは異なる第3方向D3に沿って延在すると共に、第3方向D3と交差する第4方向D4に沿って交互に並ぶ第2凹部31及び第2凸部32が形成される。この場合、前述したように、厚く反発弾性が大きい最厚部41、及び薄く反発弾性が小さい最薄部42の双方がクッション体1に形成される。よって、使用者の身体の形状に合わせてクッション体1が柔軟に変形するので、クッション体1に加わる体圧を均等に近づけることができる。その結果、体圧分散性を向上させることができると共に、寝姿勢を良好なものとすることができる。
【0060】
さらに、このクッション体1の製造方法では、
図5~
図8に示されるように、クッション体1の構成材料からなるブロック体Bがカットされることで、第1凹部21及び第1凸部22が表面2に形成される。続いて、第1方向D1及び第2方向D2の双方に直交する回転軸AX周りにブロック体Bが回転する。そして、回転軸AX周りに回転したブロック体Bがカットされることで、第2凹部31及び第2凸部32が裏面3に形成される。よって、例えばプロファイル加工によりクッション体1に凹部及び凸部を形成する場合に比べ、加工方法が簡単であるため、加工に要する時間を短縮できる。また、ブロック体Bの端材の量を削減することができ、製造コストを抑制できる。
【0061】
[第2実施形態]
続いて、
図9を用いて、第2実施形態に係るクッション体1Aについて説明する。クッション体1Aは、互いに異なる凹凸パターンを有する第1領域R1及び第2領域R2を有する点で第1実施形態に係るクッション体1とは相違する。以下では、第1実施形態のクッション体1と重複する説明を適宜省略する。
図9は、第2実施形態に係るクッション体1Aの模式的な側面図である。
【0062】
クッション体1Aは、クッション体1と同様、厚さ方向D5に沿って見たときに、長方形状を呈する。
図9に示されるように、クッション体1Aは、クッション体1の長手方向(第2方向D2)に沿って配列される第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3を有する。第1領域R1、第3領域R3、及び第2領域R2(以下、単に「領域」と称することがある)は、この順に第2方向D2に沿って配列されている。本実施形態では、クッション体1Aにおける領域を有する部分のそれぞれは、互いに一体に形成されている。
【0063】
第1領域R1は、例えば、使用者の頭部が載せられる領域である。第1領域R1は、表面2に形成された第1凹部21及び第1凸部22の配列パターンである第1凹凸パターンと、裏面3に形成された第2凹部31及び第2凸部32の配列パターンである第2凹凸パターンとを有する。
【0064】
第1領域R1における第1凹凸パターンでは、第1凹部21及び第1凸部22の1周期分の長さA31は、例えば、1cm以上且つ5cm以下である。第1凹部21の深さA11及び第1凸部22の高さA21(以下では、「凹凸の高さ」と称することがある)は、一例として、2cmであってもよい。第1領域R1における第2凹凸パターンでは、第2凹部31及び第2凸部32の1周期分の長さは、例えば、1cm以上且つ5cm以下である。第2凹部31の深さ及び第2凸部32の高さは、一例として、2cmであってもよい。
【0065】
第2領域R2は、例えば、使用者の脚部が載せられる領域である。第2領域R2は、表面2に形成された第1凹部21及び第1凸部22の配列パターンである第1凹凸パターンと、裏面3に形成された第2凹部31及び第2凸部32の配列パターンである第2凹凸パターンと、を有する。
【0066】
本実施形態では、第2領域R2における第1凹凸パターンは、第1領域R1における第1凹凸パターンと異なっている。一例として、第2領域R2における第1凹凸パターンの1周期分の長さA32は、第1領域R1における第1凹凸パターンの1周期分の長さA31よりも長い。第2領域R2における第1凹凸パターンの凹凸の高さは、例えば、第1領域R1における第1凹凸パターンの凹凸の高さよりも高い。しかしながら、第1領域R1における第1凹凸パターンと第2領域R2における第1凹凸パターンとの関係は、上記の例に限定されない。
【0067】
第2領域R2における第1凹凸パターンでは、第1凹部21及び第1凸部22の1周期分の長さA32は、例えば、5cm以上且つ10cm以下である。また、第1凹部21の深さA12及び第1凸部22の高さA22は、一例として、3cmであってもよい。また、本実施形態では、第2領域R2における第2凹凸パターンは、第1領域R1における第2凹凸パターンと同一である。第2領域R2における第2凹凸パターンでは、第2凹部31及び第2凸部32の1周期分の長さは、例えば、5cm以上且つ10cm以下である。また、第2凹部31の深さ及び第2凸部32の高さは、一例として、3cmであってもよい。
【0068】
第3領域R3は、例えば、使用者の臀部が載せられる領域である。第3領域R3では、表面2に第1凹部21及び第1凸部22が形成されていない。つまり、第3領域R3には、平坦な表面2が形成されている。第3領域R3は、裏面3に形成された第2凹部31及び第2凸部32の配列パターンである第2凹凸パターンを有する。
【0069】
本実施形態では、第3領域R3における第2凹凸パターンは、第1領域R1及び第2領域R2における第2凹凸パターンと同一である。一例として、第3領域R3における第1凹凸パターンとしては、平坦面が形成されていてもよいし、第1領域R1の第1凹凸パターン、及び第2領域R2の第1凹凸パターンよりも低い凹凸が形成されていてもよい。第3領域R3における第2凹凸パターンでは、第2凹部31及び第2凸部32の1周期分の長さは、例えば、1cm以上且つ5cm以下である。また、第2凹部31の深さ及び第2凸部32の高さは、一例として、2cmであってもよい。
【0070】
続いて、第2実施形態に係るクッション体1Aの作用効果について説明する。第2実施形態では、第1方向D1及び第3方向D3の双方と交差する厚さ方向D5に沿って見たときに、クッション体1Aは長方形状を呈し、クッション体1Aの長手方向に沿って配列される第1領域R1及び第2領域R2を有している。第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれは、表面2に形成された第1凹部21及び第1凸部22の配列パターンである第1凹凸パターンと、裏面3に形成された第2凹部31及び第2凸部32の配列パターンである第2凹凸パターンとを有している。第2領域R2における第1凹凸パターンは、第1領域R1における第1凹凸パターンと異なっている。この場合、第1領域R1及び第2領域R2の入れ替え等を行うことにより、使用者の身体、又は使用者のニーズに応じてクッション体1Aの硬さ及び沈み込み量を部分的に変更できるので、使用者により適したクッション体1Aを提案できる。
【0071】
例えば、使用者の身体が表面2に載せられたときに、体圧が最も大きくなる臀部が載せられる領域である第3領域R3に平坦な形状を呈する表面2を形成することができる。これにより、第3領域R3におけるクッション体1Aの沈み込み量を小さくすることができる。また、第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれに波形形状を呈する表面2を形成することができる。これにより、頭部及び脚部が載せられる領域の沈み込み量を体圧に合わせて適宜変更することができる。
【0072】
なお、第3領域R3における第2凹凸パターンは、第1領域R1における第2凹凸パターン、及び第2領域R2における第2凹凸パターンとは異なっていてもよい。一例として、第3領域R3における第2凹凸パターンとして平坦面が形成されていてもよい。この場合、クッション体1Aの沈み込み量を一層小さくすることができる。
【0073】
[実施例]
以下では、本開示に係るクッション体の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例の内容に限定されない。以下では、
図13及び
図14を用いて、第1実施形態に係るクッション体1の評価試験結果について説明する。本評価試験では、まず、実施例のマットレスと、比較例1である固綿敷布団と、比較例2であるフラットマットレスとを用意した。実施例のマットレスは、クッション材として前述したクッション体1を用いたものである。比較例1に係る固綿敷布団は、クッション材として固綿を用いたものである。比較例2に係るフラットマットレスは、クッション材としてウレタンを用いたものである。当該フラットマットレスに用いられるウレタンは、クッション体1とは異なり、平坦な形状を呈する表面及び裏面を有する。
【0074】
本評価試験では、実施例に係るマットレス、比較例1に係る固綿敷布団、及び比較例2に係るフラットマットレスのそれぞれの上に体圧センサシートを敷いた。当該体圧センサシート上に被験者の身体を載せて最大体圧、平均体圧、及び接地面積のそれぞれを測定した。被験者は、40代女性(被験者A)及び50代男性(被験者B)の2人とした。また、各被験者の仰臥位及び側臥位のそれぞれについて測定を実施した。さらに、測定の試行回数は、3回とした。
【0075】
評価試験結果の一例として、被験者Aの仰臥位における最大体圧について説明する。
図13(a)及び
図13(b)は、体圧分散性に関する評価試験結果を示す表である。
図13(a)に示されるように、実施例に係るマットレスでは、最大体圧は、1回目の試行では36.9mmHgであり、2回目の試行では35.5mmHgであり、3回目の試行では33.5mmHgであった。比較例1に係る固綿敷布団では、最大体圧は、1回目の試行では60.1mmHgであり、2回目の試行では49.5mmHgであり、3回目の試行では49.1mmHgであった。比較例2に係るフラットマットレスでは、最大体圧は、1回目の試行では37.3mmHgであり、2回目の試行では38.7mmHgであり、3回目の試行では40.7mmHgであった。他の評価試験結果については、
図13の通りであり、説明を省略する。
【0076】
図13(a)及び
図13(b)に示されるように、実施例に係るマットレスでは、仰臥位において、比較例1に係る固綿敷布団、及び、比較例2に係るフラットマットレスよりも平均体圧が低く、体圧分散性に優れることが確認された。特に、
図13(b)に示されるように、被験者Bを対象とした測定では、仰臥位及び側臥位の両方において、実施例に係るマットレスでは、比較例1に係る固綿敷布団及び比較例2に係るフラットマットレスよりも平均体圧が低いことが確認された。
【0077】
図13(a)に示されるように、実施例に係るマットレスでは、仰臥位において、比較例1に係る固綿敷布団、及び、比較例2に係るフラットマットレスよりも接地面積が大きく、体圧分散性に優れることが確認された。
【0078】
図14(a)及び
図14(b)は、体圧分散性に関する評価試験結果を示すグラフである。
図14(a)及び
図14(b)は、仰臥位及び側臥位のそれぞれにおける最大体圧の平均値を示している。
図14(a)及び
図14(b)に示されるように、実施例に係るマットレスでは、仰臥位及び側臥位の両方において、比較例1に係る固綿敷布団、及び、比較例2に係るフラットマットレスよりも最大体圧が低く、体圧分散性に優れることが確認された。
【0079】
[変形例]
続いて、本開示に係るクッション体、及びクッション体の製造方法の変形例について説明する。例えば、前述の各実施形態では、第1凹部21及び第1凸部22の形状、及び第2凹部31及び第2凸部32の形状について説明した。しかしながら、これらの凹部及び凸部の形状は、前述した各実施形態に限定されない。前述した実施形態では、表面2の波形形状が曲線状に湾曲した形状であり、第1凹部21の底部23及び第1凸部22の頂部24が側面視において、湾曲した曲線により互いに連続している例について説明した。しかしながら、
図10に示されるように、表面2の波形形状は、直線状に折れ曲がった形状であってもよい。すなわち、表面2の波形形状は、鋸歯状(三角歯状)であってもよい。この場合、第1凹部21の底部23、及び第1凸部22の頂部24は、側面視において、第2方向D2及び厚さ方向D5の双方に対して傾斜する2つの線分の交点である。
【0080】
図10の例では、側面視において第1凹部21は底部23を含む三角形状を呈し、側面視において第1凸部22は頂部24を含む三角形状を呈する。第1凹部21の深さA1は、第2方向D2に沿って直線的に漸増又は漸減する。また、第1凸部22の高さA2は、第2方向D2に沿って直線的に漸増又は漸減する。
【0081】
図11は、
図10とは異なる変形例に係る表面2の波形形状を示す図である。
図11に示されるように、表面2の波形形状は、段差状をなす形状であってもよい。すなわち、表面2の波形形状は、矩形波状であってもよい。この場合、第1凹部21の底部23、及び第1凸部22の頂部24は、側面視において、厚さ方向D5に延びる直線により互いに連続している。
【0082】
図11の例では、側面視において第1凹部21は底部23を含む矩形状を呈し、側面視において第1凸部22は頂部24を含む矩形状を呈する。第1凹部21の深さA1は、第2方向D2に沿って段差状に(段差的に)変化する。また、第1凸部22の高さA2は、第2方向D2に沿って段差状に(段差的に)変化する。
【0083】
また、
図12(a)、
図12(b)、
図12(c)及び
図12(d)に示されるように、クッション体1は、互いに異なる硬さを有する複数の層により構成されてもよい。
図12(a)、
図12(b)、
図12(c)及び
図12(d)では、クッション体1の表面2側のみが図示されており、クッション体1の裏面3側の図示は省略されている。以下では、クッション体1の表面2側の層構造について説明する。以下で説明する表面2側の層構造は、裏面3側の層構造に適用することも可能である。
【0084】
図12(a)に示されるように、クッション体1は、第1凸部22を含む第1硬質層(第1層)71と、第1硬質層71よりも裏面3側に位置する軟質層(第2層)72と、軟質層72よりも裏面3側に位置する第2硬質層73とを有してもよい。この場合、クッション体1は、第1硬質層71、軟質層72、及び第2硬質層73を備えた三層構造となっている。本変形例では、第1硬質層71は第1凸部22の頂部24を含んでおり、第2硬質層73は第1凹部21の底部23を含んでいる。なお、第1硬質層71の硬さ及び第2硬質層73の硬さは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0085】
図12(b)に示されるように、クッション体1は、第1凸部22を含む第1硬質層(第1層)71と、第1硬質層71よりも裏面3側に位置する軟質層(第2層)72とを有してもよい。この場合、クッション体1は、第1硬質層71及び軟質層72を備えた二層構造となっている。本変形例では、第1硬質層71は、第1凸部22の頂部24と、第1凹部21の底部23とを含んでいる。
【0086】
図12(c)に示されるように、クッション体1は、第1凸部22を含む軟質層(第1層)72と、軟質層72よりも裏面3側に位置する第2硬質層(第2層)73とを有してもよい。この場合、クッション体1は、軟質層72及び第2硬質層73を備えた二層構造となっている。本変形例では、軟質層72は、第1凸部22の頂部24と、第1凹部21の底部23とを含んでいる。
【0087】
図12(d)に示されるように、クッション体1は、第1凸部22を含む第1硬質層(第1層)71と、第1硬質層71よりも裏面3側に位置する第1軟質層(第2層)74と、第1軟質層74よりも裏面3側に位置する第2軟質層75と、第2軟質層75よりも裏面3側に位置する第2硬質層73とを有してもよい。この場合、クッション体1は、第1硬質層71、第1軟質層74、第2軟質層75、及び第2硬質層73を備えた四層構造となっている。本変形例では、第1硬質層71は第1凸部22の頂部24を含んでおり、第2軟質層75は第1凹部21の底部23を含んでいる。なお、第1軟質層74の硬さ及び第2軟質層75の硬さは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0088】
以上、クッション体1が互いに異なる硬さを有する複数の層を備えた例について説明した。但し、クッション体1の層構造は、前述した変形例に限定されない。例えば、前述の変形例では、クッション体1の表面2側の層構造について説明した。しかしながら、前述したように、クッション体1の裏面3側が同様の層構造を有してもよい。一例として、クッション体1は、第2凸部32を含む第3硬質層(第3層)と、第3硬質層よりも表面2側に位置する軟質層(第4層)と、軟質層よりも表面2側に位置する第4硬質層とを有してもよい。第3硬質層の硬さ及び第4硬質層の硬さは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0089】
なお、クッション体1の表面2側において、第1硬質層71、軟質層72、及び第2硬質層73の位置関係は、適宜変更されてもよい。また、クッション体1の裏面3側において、第3硬質層、軟質層、及び第4硬質層の位置関係は、適宜変更されてもよい。
【0090】
本変形例において、クッション体1は、第1凸部22を含む第1硬質層71と、第1硬質層71よりも裏面3側に位置する軟質層72とを有する。第1硬質層71は、軟質層72よりも硬い。軟質層72は使用者の身体の体圧を分散する体圧分散層として機能し、第1硬質層71は使用者の身体に接触すると共に使用者の身体を支える支持層として機能する。これにより、使用者がクッション体の上に長時間横たわっても、良好なフィット感を使用者に与え続けることが可能となる。
【0091】
本変形例において、クッション体1は、第2凸部32を含む第3硬質層と、第3硬質層よりも表面2側に位置する軟質層とを有する。第3硬質層は軟質層よりも硬い。軟質層は使用者の身体の体圧を分散する体圧分散層として機能し、第3硬質層は使用者の身体を支持する支持層として機能する。これにより、使用者がクッション体の上に長時間横たわっても、良好なフィット感を使用者に与え続けることが可能となる。
【0092】
[第3実施形態]
続いて、
図15~
図17を参照しながら第3実施形態に係るクッション体1Bについて説明する。クッション体1Bの一部の構成は、前述したクッション体1の一部の構成と同一である。従って、以降の説明でも、クッション体1の構成と重複する説明を適宜省略する。クッション体1Bは、例えば、ウレタンフォームによって構成されている。例えば、クッション体1Bは1種類の材料によって構成されている。クッション体1Bは、鉛直上方に向けられる表面2Bと、表面2Bとは反対を向く裏面3Bとを有する。
【0093】
図15は、クッション体1Bの表面2Bを示す斜視図である。表面2Bは、第1凹部21b及び第1凸部22bを含む波形形状を呈する。表面2Bには、第1凹部21b及び第1凸部22bのそれぞれがクッション体1Bの短手方向(幅方向)である第1方向D1に沿って延在する。表面2Bには、クッション体1Bの長手方向である第2方向D2に沿って第1凹部21b及び第1凸部22bが交互に並んでいる。
【0094】
クッション体1Bは、表面2Bにおいて互いに異なる凹凸パターンを有する第1領域R11、第2領域R12及び第3領域R13を有する。第2領域R12、第3領域R13、第1領域R11及び第2領域R12がこの順で第2方向D2に沿って並んでいる。第1領域R11は、例えば、使用者の臀部が載せられる領域である。第2領域R12は、例えば、使用者の頭部(枕)又は脚部が載せられる領域である。第3領域R13は、例えば、使用者の肩が載せられる領域である。
【0095】
例えば、第1領域R11は、表面2Bの第2方向D2の中央を含む領域に配置されている。第2領域R12は、表面2Bにおける第2方向D2の両端部のそれぞれに配置されている。第3領域R13は、第2方向D2の一端部に位置する第2領域R12と第1領域R11との間に配置されている。例えば、第2方向D2の一端部に位置する第2領域R12には使用者の頭部が載せられ、第2方向D2の他端部に位置する第2領域R12には使用者の脚部が載せられる。
【0096】
例えば、第2方向D2の一端部(頭部側)に位置する第2領域R12の第2方向D2の長さF1は、第2方向D2の他端部(脚部側)に位置する第2領域R12の第2方向D2の長さF2よりも短い。長さF1は、例えば、20cm以上且つ50cm以下(一例として30cm)である。長さF2は、例えば、30cm以上且つ100cm以下(一例として65cm)である。
【0097】
例えば、第1領域R11の第2方向D2の長さF3は、長さF1より長く、且つ長さF2と同程度である。長さF3は、例えば、30cm以上100cm以下(一例として65cm)である。第3領域R13の第2方向D2の長さF4は、例えば、長さF3より短く、且つ長さF1より長い。例えば、長さF4は、25cm以上且つ60cm以下(一例として35cm)である。
【0098】
第1領域R11における第1凹部21b及び第1凸部22bの1周期分の長さである第1長さE1は、第2領域R12における第1凹部21b及び第1凸部22bの1周期分の長さである第2長さE2より短く、且つ、第3領域R13における第1凹部21b及び第1凸部22bの1周期分の長さである第3長さE3より短い。第2長さE2は、第3長さE3よりも長い。例えば、第1長さE1は1cm以上且つ3cm以下(一例として2cm)であり、第2長さE2は3cm以上且つ10cm以下(一例として4cm)である。第3長さE3は、例えば、2cm以上且つ7cm以下(一例として3cm)である。
【0099】
第1長さE1、第2長さE2及び第3長さE3が上記の関係となっていることにより、第1領域R11は第2領域R12及び第3領域R13よりも硬く、且つ、第2領域R12は第3領域R13よりも柔らかくなっている。すなわち、同一の荷重が付与されたときに、第2領域R12が最も沈み込みやすく、第3領域R13が次に沈み込みやすく、第1領域R11が最も沈み込みにくい。
【0100】
クッション体1Bは、第1凸部22bの頂面から窪む第3凹部23bを有する。第3凹部23bの深さは、第1凹部21bの深さよりも浅い。第3凹部23bの第1方向D1の長さ(幅)は、例えば、0.5cm以上且つ3cm以下(一例として1cm)である。例えば、クッション体1Bは複数の第3凹部23bを有し、複数の第3凹部23bは第1方向D1に沿って並んでいる。第1方向D1に互いに隣り合う2つの第3凹部23bの間隔は、例えば、1cm以上且つ10cm以下(一例として4cm)である。
【0101】
例えば、複数の第3凹部23bが第2方向D2に沿って並んでいる。クッション体1Bは、第2方向D2に沿って並ぶ複数の第3凹部23bを含む複数の組Kを有する。複数の組Kは、例えば、第1方向D1に沿って並んでいる。一例として、表面2Bの中心を通ると共に第2方向D2に沿って延びる基準線Xから見て、第1方向D1の一方側及び他方側のそれぞれに複数の組Kが配置されている。一例として、基準線Xの第1方向D1の一方側及び他方側のそれぞれに4つの組Kが配置されている。以上、第3凹部23bの大きさ及び配置の例について説明した。しかしながら、第3凹部23bの大きさ及び配置は、上記の例に限られず、適宜変更可能である。
【0102】
図16は、クッション体1Bの裏面3Bを示す斜視図である。裏面3Bは、第2凹部31b及び第2凸部32bのそれぞれがクッション体1Bの長手方向である第3方向D3に沿って延在する。裏面3Bには、クッション体1Bの短手方向である第4方向D4に沿って第2凹部31b及び第2凸部32bが交互に並んでいる。
【0103】
クッション体1Bは、裏面3Bにおいて互いに異なる凹凸パターンを有する第4領域R14及び第5領域R15を有する。第5領域R15、第4領域R14及び第5領域R15がこの順で第4方向D4に沿って並んでいる。第4領域R14は、例えば、仰向け時における使用者の身体が載せられる領域である。第5領域R15は、例えば、横向き寝時における使用者の身体が載せられる領域である。
【0104】
例えば、第4領域R14は、裏面3Bの第4方向D4の中央を含む領域に配置されている。第5領域R15は、裏面3Bにおける第4方向D4の両端部のそれぞれに配置されている。第4領域R14における第2凹部31b及び第2凸部32bの1周期分の長さである第4長さE4は、第5領域R15における第2凹部31b及び第2凸部32bの1周期分の長さである第5長さE5よりも短い。例えば、第4長さE4は1cm以上且つ5cm以下(一例として2.5cm)であり、第5長さE5は2cm以上且つ10cm以下(一例として4cm)である。
【0105】
第4長さE4及び第5長さE5が上記の関係となっていることにより、第4領域R14は、第5領域R15よりも硬くなっている。すなわち、同一の荷重が付与されたときに、第4領域R14は第5領域R15よりも沈み込みにくい。
【0106】
第2凹部31b及び第2凸部32bは、例えば、正弦波状を呈する。しかしながら、第2凹部31b及び第2凸部32bは、U字状の波が連続する態様で形成されていてもよいし、放物線状の波が連続する態様で形成されていてもよい。このように、第2凹部31b及び第2凸部32bの形状は適宜変更可能である。第2凹部31b及び第2凸部32bの振幅は、例えば、0.5cm以上且つ3cm以下(一例として1cm)である。
【0107】
図17は、クッション体1Bの表面2Bの第1領域R11、第2領域R12及び第3領域R13における第1凹部21b及び第1凸部22bの態様を示す図である。
図17に示されるように、例えば、第1領域R11において第1凹部21b及び第1凸部22bは正弦波状を呈し、第2領域R12において第1凹部21b及び第1凸部22bは台形状を呈する。
【0108】
例えば、第2領域R12において台形として形成される第1凸部22bの上底の第2方向D2の長さG1は、1cm以上且つ3cm以下(一例として2cm)である。当該第1凸部22bの下底の第2方向D2の長さG2は、2cm以上且つ6cm以下(一例として4cm)である。
【0109】
第2領域R12において、第1凹部21bの底面(下底)に対する第1凸部22bの頂面(上底)の高さH1は、例えば、1cm以上且つ5cm以下(一例として2cm)である。第1領域R11において第1凹部21bの底面に対する第1凸部22bの頂面の高さは、高さH1と同一である。
【0110】
例えば、第3領域R13において第1凹部21b及び第1凸部22bは正弦波状を呈する。第3領域R13において第1凹部21bの底面に対する第1凸部22bの頂面の高さは、例えば、高さH1と同一である。以上、第1領域R11、第2領域R12及び第3領域R13のそれぞれにおける第1凹部21b及び第1凸部22bの形状、大きさ及び配置について説明した。しかしながら、第1凹部21b及び第1凸部22bの形状、大きさ及び配置は、上記の例に限られず、適宜変更可能である。
【0111】
次に、第3実施形態に係るクッション体1Bから得られる作用効果について説明する。
図15~
図17に示されるように、クッション体1Bでは、第1領域R11が表面2Bの第2方向D2の中央に配置されており、第2領域R12が表面2Bにおける第1領域R11の第2方向D2の両側のそれぞれに配置されている。第1領域R11における第1凹部21b及び第1凸部22bの1周期分の長さである第1長さE1が、第2領域R12における第1凹部21b及び第1凸部22bの1周期分の長さである第2長さE2よりも短い。すなわち、第2方向D2の中央における第1凹部21b及び第1凸部22bのピッチが、第2方向D2の端部における第1凹部21b及び第1凸部22bのピッチよりも短い。
【0112】
一般的に、クッション体の面に形成された凹凸構造では、凹凸構造のピッチが長いほど沈み込みやすく、凹凸構造のピッチが短いほど沈み込みにくい。クッション体1Bの表面2Bにおける第2方向D2の端部には使用者の頭部又は脚部が載せられ、クッション体1Bの表面2Bにおける第2方向D2の中央には使用者の臀部が載せられる。一般的に、クッション体に対する臀部の荷重は、クッション体に対する頭部又は脚部の荷重よりも大きい。クッション体1Bでは、荷重が大きい臀部においてクッション体1Bの沈み込みを抑えると共に、荷重が小さい頭部及び脚部においてクッション体1Bの沈み込みを大きくすることができる。従って、使用者の寝心地を良好にできると共に体圧分散性を良好にできるので、更なる寝心地の向上に寄与する。
【0113】
第3実施形態において、クッション体1Bは、表面2Bにおける第1領域R11と第2領域R12との間に位置する第3領域R13を備える。第3領域R13における第1凹部21b及び第1凸部22bの1周期分の長さである第3長さE3は、第1長さE1より長く、且つ第2長さE2より短い。この場合、第3領域R13における第1凹部21b及び第1凸部22bのピッチは、第1領域R11における第1凹部21b及び第1凸部22bのピッチより長く、且つ、第2領域R12における第1凹部21b及び第1凸部22bのピッチより短い。第3領域R13が第1領域R11と第2領域R12との間に配置されることによって寝姿勢を更に良好にできると共に体圧分散をよりきめ細かく制御できる。従って、更なる体圧分散性の向上に寄与する。
【0114】
第3実施形態において、クッション体1Bは、複数の第1凸部22bのそれぞれの頂面から窪む複数の第3凹部23bを有する。複数の第3凹部23bが第2方向D2に沿って並んでいる。よって、表面2Bに形成された複数の第1凸部22bにおいて第3凹部23bが第2方向D2に延在するように形成されている。第3凹部23bを有することによって表面2Bにおける体圧分散性を更に良好にできる。
【0115】
第3実施形態において、クッション体1Bは、第2方向D2に沿って並ぶ複数の第3凹部23bを含む複数の組Kを備える。複数の組Kは第1方向D1に沿って並んでいる。よって、複数の第3凹部23bからなる複数の組Kが第1方向D1に沿って並んでいるので、表面2Bの第1方向D1における体圧分散性を更に良好にすることができる。
【0116】
第3実施形態において、クッション体1Bは、裏面3Bにおける第4方向D4の中央に配置されている第4領域R14と、裏面3Bにおける第4領域R14の第4方向D4の両側のそれぞれに配置された第5領域R15とを備える。第4領域R14における第2凹部31b及び第2凸部32bの1周期分の長さである第4長さE4が、第5領域R15における第2凹部31b及び第2凸部32bの1周期分の長さである第5長さE5よりも短い。よって、裏面3Bの第4方向D4の中央に位置する第4領域R14における第2凹部31b及び第2凸部32bのピッチが、裏面3Bの第4方向D4の端部に位置する第5領域R15における第2凹部31b及び第2凸部32bのピッチよりも短い。
【0117】
クッション体1Bでは、仰向けのときに第4方向D4の中央に使用者の身体の荷重がかかることが多く、横向き寝のときに第4方向D4の端部に使用者の身体の荷重がかかることが多い。横向き寝のときは、肩及び腸骨等、凹凸が大きい部分がクッション体1Bに当接するため、仰向き寝のときよりも沈み込ませることが望ましい。すなわち、クッション体1Bの第4方向D4の端部は、クッション体1Bの第4方向D4の中央よりも沈みやすいことが望ましい。従って、第4方向D4の中央に位置する第4領域R14のピッチが第4方向D4の端部に位置する第5領域R15のピッチよりも短いことにより、仰向けのときよりも横向き寝のときによりクッション体1Bを沈み込ませることができる。よって、横向き寝時における体圧分散性を更に良好にできるので、更なる寝心地の向上に寄与する。
【0118】
以上、本開示のクッション、及びクッションの製造方法に係る種々の実施形態、実施例、及び変形例について説明した。しかしながら、本開示は、前述した種々の実施形態、実施例、又は変形例に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、本開示は、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能であり、クッション体の各部の構成、機能、形状、大きさ、数、材料及び配置態様、並びに、クッション体の製造方法の各工程の内容及び順序は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。本開示に係るクッション、及びクッションの製造方法は、前述した第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態及び変形例のうちの一部と、前述した第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態及び変形例のうちの他の部分とが組み合わされたものであってもよい。
【0119】
例えば、前述の実施形態では、表面2の短手方向(第1方向D1)に延在する第1凹部21及び第1凸部22が形成された表面2に使用者の身体が載せられる例について説明した。しかしながら、クッション体1は、いわゆる両面使いが可能である。すなわち、裏面3の長手方向(第3方向D3)に延在する第2凹部31及び第2凸部32が形成された裏面3に使用者の身体が載せられてもよい。
【0120】
表面2及び裏面3における波形形状の各寸法は、前述したものに限定されない。表面2における第1凹部21及び第1凸部22の1周期分の長さA3、振幅、及び最厚部41における厚さ方向D5の長さC1に対する第1凹部21の深さA1の割合は、適宜変更可能である。裏面3における第2凹部31及び第2凸部32の各寸法についても、同様に適宜変更可能である。
【0121】
前述の第2実施形態では、クッション体1Aにおける領域を有する部分のそれぞれは、互いに一体に形成されている例について説明した。しかしながら、当該領域を有する部分のそれぞれが別体として形成されていてもよい。すなわち、
図9に例示される第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3が別体とされていて、第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3が袋体(側地)に収容されて一体の敷き寝具とされてもよい。
【0122】
また、第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3を互いに第2方向D2に沿って、例えば接着剤等を用いて接合することでクッション体1Aが構成されてもよい。この場合、多様な波形形状を呈する領域を有する部分を組み合わせることで、多様なクッション体1Aを形成することができる。また、前述の第2実施形態では、クッション体1Aが第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3に3分割されている例について説明した。しかしながら、クッション体の分割数は、2又は4以上であってもよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0123】
1,1A,1B…クッション体、2,2B…表面、2a,2b,3a,3b…長辺、2c,2d,3c,3d…短辺、3,3B…裏面、21,21b…第1凹部、22,22b…第1凸部、23,33…底部、23b…第3凹部、24,34…頂部、31,31b…第2凹部、32,32b…第2凸部、41…最厚部、42…最薄部、71…第1硬質層(第1層)、72…軟質層(第1層、第2層)、73…第2硬質層(第2層)、74…第1軟質層(第2層)、75…第2軟質層、A1,A11,A12,B1…深さ、A2,A21,A22,B2…高さ、A3,A31,A32,B3…1周期分の長さ、AX…回転軸、B…ブロック体、C1…長さ、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、D4…第4方向、D5…厚さ方向、E1…第1長さ、E2…第2長さ、E3…第3長さ、E4…第4長さ、E5…第5長さ、F1,F2,F3,F4…長さ、K…組、R1,R11…第1領域、R2,R12…第2領域、R3,R13…第3領域、R14…第4領域、R15…第5領域、X…基準線。