(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131176
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】クリーンルームシステム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20230914BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20230914BHJP
F24F 13/068 20060101ALI20230914BHJP
F24F 3/167 20210101ALI20230914BHJP
【FI】
F24F7/06 C
F24F13/02 C
F24F13/068 A
F24F3/167
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035746
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】522093306
【氏名又は名称】北越商工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 勉
【テーマコード(参考)】
3L053
3L058
3L080
【Fターム(参考)】
3L053BD00
3L058BF02
3L058BG01
3L080AC03
3L080BB02
(57)【要約】
【課題】一様空気流により室内清浄度を維持しつつ、室内の温調が容易なクリーンシステムの提供を目的とする。
【解決手段】クリーンルームと、当該クリーンルーム内にその一方上流側から清浄化された一様空気流を吹き出すプッシュフードと、前記クリーンルームの他方下流側に設けた前記一様空気流の空気衝突壁とを備え、前記空気衝突壁に当たった空気流をその空気衝突壁の周囲から取り込むための排気室を有し、前記プッシュフードの後面側であって、当該プッシュフードに空気を供給するための空気供給室を有し、前記排気室から前記空気供給室に向けて空気をリターンさせるためのダクトを有していることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンルームと、当該クリーンルーム内にその一方上流側から清浄化された一様空気流を吹き出すプッシュフードと、前記クリーンルームの他方下流側に設けた前記一様空気流の空気衝突壁とを備え、
前記空気衝突壁に当たった空気流をその空気衝突壁の周囲から取り込むための排気室を有し、
前記プッシュフードの後面側であって、当該プッシュフードに空気を供給するための空気供給室を有し、
前記排気室から前記空気供給室に向けて空気をリターンさせるためのダクトを有していることを特徴とするクリーンルームシステム。
【請求項2】
前記排気室又は空気供給室の少なくとも一方に温調装置を有していることを特徴とする請求項1記載のクリーンルムームシステム。
【請求項3】
前記クリーンルームは、前記一様空気流と直交する方向の開口断面形状が上流側から下流側に向けて同一形状になっていることを特徴とする請求項1又は2記載のクリーンルームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は室内の清浄度と、温度調節が可能なクリーンルームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気を空気清浄装置に取り込み、その室内に向けて吹き出すタイプの、いわゆる循環型のクリーンルームはいろいろ提案されている。
例えば特許文献1には、インバータ付き空気清浄装置と室内から空気を取り込み、側方から空気を吹き出す熱交換装置とを備えた清浄化空調システムを開示する。
しかし、このようなクリーンルームは室内に吹き出される空気の流れが乱流になるために室内のいたるところに渦ができ、この渦流によって微粒子が滞留することになり、室内の清浄度が充分に確保できない技術的課題があった。
【0003】
そこで例えば特許文献2には、一様空気流を用いた局所空気清浄化装置を開示する。
しかし、同公報に開示する局所空気清浄化装置は、空気の温度をコントロールするための空調(温調)機能を有していない。
このようなクリーンルーム内に温調装置を設置すると、一様空気流に乱れが生じ、清浄度が低下することになるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-214915号公報
【特許文献2】特許第5568620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一様空気流により室内清浄度を維持しつつ、室内の温調が容易なクリーンシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るクリーンルームシステムは、クリーンルームと、当該クリーンルーム内にその一方上流側から清浄化された一様空気流を吹き出すプッシュフードと、前記クリーンルームの他方下流側に設けた前記一様空気流の空気衝突壁とを備え、前記空気衝突壁に当たった空気流をその空気衝突壁の周囲から取り込むための排気室を有し、前記プッシュフードの後面側であって、当該プッシュフードに空気を供給するための空気供給室を有し、前記排気室から前記空気供給室に向けて空気をリターンさせるためのダクトを有していることを特徴とする。
【0007】
ここでプッシュフードとは、清浄化された一様空気流を吹き出す機構を有するものをいい、例えば公知の清浄用フィルタを内設したプッシュプル型換気装置を用いることができる。
また、一様空気流とは一様に連続し、大きな渦部の生じない微風速の流れをいう。
【0008】
本発明において排気室とは、清浄化された一様空気流が空気衝突壁に衝突して、この空気衝突壁の周囲の開放領域に流出した空気を取り込むための開放空間を形成するための機能を有している。
また空気供給室は、上記排気室に排出された空気をダクトによりリターンさせるための空間部としての機能を有するとともに、プッシュフードの後面側から空気を供給するための空気取り込み空間としての機能を有する。
したがって、プッシュフードを複数個を複数段に配置した場合にあっては、それらに一様に空気を供給できるだけの容量を備えた室となる。
【0009】
本発明に係るクリーンルームシステムでは、クリーンルーム内の温度調節が可能なように、前記排気室又は空気供給室の少なくとも一方に温調装置を有しているのが好ましく、クリーンルーム内の空気の流れが一様になるように、前記クリーンルームは、前記一様空気流と直交する方向の開口断面形状が上流側から下流側に向けて同一形状になっているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、クリーンルーム内を一様空気流になるようにしつつ、このクリーンルーム内に供給する空気をこのクリーンルームの外側に一体的に設けた排気室又は空気供給室にて温度調節が可能になっているので、従来の温調された広い領域内に局所空気浄化装置を設置するのと比較して、全体としてコンパクトであり安価に設置できる。
また、空調エネルギーの省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るクリーンルームシステムの構成例を示す。(a)はクリーンルームを上側から見た平面図、(b)はクリーンルームの側面図を示す。
【
図2】クリーンルームシステム斜視図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るクリーンルームシステムの構造を以下、図に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。
図1(a)平面図、(b)に側面図を示すとともに、
図2に斜視図を示す。
【0013】
クリーンルーム10の一方の上流側に複数個のプッシュフード11を上下、左右方向に配置されている。
本実施例では
図2に点線で示すように、左右方向に5列、上下方向に3段に配置した例になっている。
クリーンルーム10の他方の下流側には、プッシュフード11から吹き出される一様空気流が衝突する空気衝突壁12を有し、この左右及び上部は開放された開放領域12a,12b,12cとなっている。
この開放領域に向けて流出した空気は、空気衝突壁12の裏側に廻り込むことで排気室13に取り込まれる。
排気室13は、空気衝突室12の周囲の開放領域から流出する空気を取り込むための空間をいい、その構造に制限はない。
本実施例では、左右の開放領域12a,12bから流出した空気をそれぞれ取り込むためのサイド空間領域13a,13bと、空気衝突壁12の上部側の開放領域12cから流出した空気を取り込むためのアッパー空間領域13cを有し、それぞれ必要に応じて開閉可能な扉を設けてあってもよい。
排気室13は、開放領域から空気が流れ込みやすいようにクリーンルーム内の空気圧に比較して、それよりも同等か低い負圧になっているのが好ましい。
本実施例では、排気室13内に温調装置16を設置し、周囲から空気を取り込み、熱交換器により温度制御するとともに、ダクト15を介して上流側のプッシュフード11の背面側に設けた空気供給室14にリターンさせている。
これにより、左右の開放領域12a,12b上部開放領域12cが確保される。
【0014】
空気供給室14は、プッシュフード11の背面側に設けた空間領域であり、ダクト15を介して排気室13からリターン供給された空気により、クリーンルーム10内の空気圧と比較して同等あるいはやや高い陽圧になっているのが好ましい。
本実施例では、クリーンルーム10の上流側の開口断面積に対応して、プッシュフード11が左右方向に5列、上下方向に3段に配置した例になっていて、ダクト15を介してリターンされる空気が天井側に設けた5ヶ所の開口部15aからそれぞれ下側に向けて流出するようになっている。
【0015】
クリーンルーム10は、一様空気流が流れるように上流側から下流側に向けて左右の側壁部、床部及び天井部とで仕切られた略長方形の室内になっている。
したがって、クリーンルーム10の一様空気流と直交する断面形状は、上流側から下流側に向けて同じ断面形状になっているのが好ましい。
クリーンルーム10の側壁部等には必要に応じて出入りするためのドアや、透視可能な窓部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0016】
10 クリーンルーム
11 プッシュフード
12 空気衝突壁
13 排気室
14 空気供給室
15 ダクト
16 温調装置