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  • 特開-回収装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131186
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】回収装置
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/00 20060101AFI20230914BHJP
   B63C 11/48 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B63C11/00 B
B63C11/48 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035761
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】517142820
【氏名又は名称】三井造船特機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】小池 敏和
(57)【要約】
【課題】水中物を効率よく回収できる回収装置を提供する。
【解決手段】水中を移動可能に構成される水中ロボットに設置されて水中物を回収する回収装置1であり、両端を開口する水平部分3aとこの水平部分3aの途中から下方に延設される鉛直部分3bとを有するT字管3と、水平部分3aの一端に配置されるプロペラ6と、水平部分3aの他端に配置されて水中物を収容する収容部4と、鉛直部分3bの下端に配置されて水中物を吸い込む吸込み部5とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中を移動可能に構成される水中ロボットに設置されて水中物を回収する回収装置において、
両端を開口する水平部分とこの水平部分の途中から下方に延設される鉛直部分とを有するT字管と、前記水平部分の一端に配置されるプロペラと、前記水平部分の他端に配置されて水中物を収容する収容部と、前記鉛直部分の下端に配置されて水中物を吸い込む吸込み部とを備えることを特徴とする回収装置。
【請求項2】
前記鉛直部分の上端から前記収容部までの距離に比べて、前記鉛直部分の上端から前記プロペラまでの距離の方が小さく設定される請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記水平部分の中心軸に対する前記鉛直部分の上端近傍における中心軸の傾きが90°より小さく設定される請求項1に記載の回収装置。
【請求項4】
前記吸込み部が、前記鉛直部分の下端近傍の中心軸に対して30°以上90°以下となる範囲に中心軸を設定される請求項1に記載の回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中ロボットに設置されて水中物を回収する回収装置に関するものであり、詳しくは水中物を効率よく回収できる回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水中生物を回収する水中ロボットが種々提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には吸込口の下流に回収かごが配置されて、この回収かごの下流側にポンプが配置された構成が開示されている。
【0003】
吸込口からポンプまでの流路が長いため、圧力損失が比較的大きかった。またこの流路の途中に回収かごが配置されていたため、圧力損失は更に大きくなっていた。出力の大きなポンプを水中ロボットに設置する必要があった。
【0004】
出力の大きなポンプを配置すると、水中ロボットの後方に排出される水の流量が多くなるため、水中ロボットが意図せず前進してしまう不具合があった。水中ロボットの姿勢制御が困難であった。水中ロボットの姿勢が不安定となり水中生物を回収する効率が低下する不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開平10-007085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は水中物を効率よく回収できる回収装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための回収装置は、水中を移動可能に構成される水中ロボットに設置されて水中物を回収する回収装置において、両端を開口する水平部分とこの水平部分の途中から下方に延設される鉛直部分とを有するT字管と、前記水平部分の一端に配置されるプロペラと、前記水平部分の他端に配置されて水中物を収容する収容部と、前記鉛直部分の下端に配置されて水中物を吸い込む吸込み部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プロペラから鉛直部分の上端までの距離が比較的近いため圧力損失を抑制できる。出力の比較的小さいプロペラを使用できる。水中ロボットの姿勢制御を精度良くおこなえるため水中物を効率よく回収するには有利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】水中ロボットに設置される回収装置を例示する説明図である。
図2図1の回収装置を例示する説明図である。
図3図2の回収装置の上面を例示する説明図である。
図4図3のA-A断面およびB-B断面を例示する説明図である。
図5図2の回収装置における流体の流れを例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、回収装置を図に示した実施形態に基づいて説明する。図中では水中ロボットの前後方向を矢印y、この前後方向yを直角に横断する幅方向を矢印x、上下方向を矢印zで示している。
【0011】
図1に例示するように回収装置1は、水中ロボット2に設置して使用される。回収装置1は、水中ロボット2の上面側および前面側を部分的に覆う状態で水中ロボット2に固定される。水中ロボット2は、例えば遠隔操作型水中ロボット(Remotely operated vehicle、ROV)や自律型水中ロボット(Autonomousunderwater vehicle、AUV)で構成される。以下、遠隔操作型水中ロボットを例に説明する。水中ロボット2は、水中を移動するための例えばスタスターなどの推進機構2aを備えている。また水中ロボット2の周囲の画像を取得するためのカメラ2bを備えている。操作者は、カメラ2bの画像を確認しながらコントローラにより遠隔で水中ロボット2を操作する。
【0012】
図2に例示するように回収装置1は、円筒形状のパイプを組み合わせて構成されるT字管3と、水中物を収容する収容部4とを備えている。T字管3は、両端を開口する水平部分3aと、この水平部分3aの途中となる位置から下方に延設される鉛直部分3bとを有している。水平部分3aは前後方向yに沿って延在していて、鉛直部分3bは全体として上下方向zに沿って延在している。水中物は鉛直部分3bの下端側から吸い込まれて、水平部分3aを経由して収容部4に回収される。T字管3は例えば塩化ビニル管など、合成樹脂製のパイプで構成される。T字管3は合成樹脂製に限らず、金属パイプで構成されてもよい。また水平部分3aおよび鉛直部分3bは湾曲したパイプで構成されてもよい。
【0013】
T字管3の内径は例えば150mmまたは125mmに設定される。T字管3の内径は上記に限定されず、回収対象である水中物の大きさに応じて適宜設定することができる。T字管3の内径は小さすぎると水中物が通過できない。またT字管3の内径は大きすぎると水中物を吸い上げにくくなる。よってT字管3の内径は、水中物の大きさとほぼ同等の大きさに設定されることが望ましい。
【0014】
鉛直部分3bの下端には吸込み部5が配置されている。吸込み部5は、T字管3を構成する円筒形状のパイプと同様のパイプで構成することができる。鉛直部分3bの下端近傍の中心軸c1に対する吸込み部5の中心軸c2の傾きθ1が、45°となる状態で吸込み部5と鉛直部分3bとが連結されている。図2では説明のため鉛直部分3bの中心軸c1と、吸込み部5の中心軸c2とを一点鎖線で図示している。この実施形態では鉛直部分3bの下端近傍の中心軸c1は上下方向zと平行となる状態に設定されている。
【0015】
鉛直部分3bは、透明な合成樹脂製のパイプで構成されることが望ましい。鉛直部分3bの外径が比較的大きい場合であっても水中ロボット2のカメラ2bの視界を遮りにくくなるためである。同様に吸込み部5も透明な合成樹脂製のパイプで構成されることが望ましい。水中ロボット2が自律型水中ロボットAUVで構成される場合であっても、画像認識のためのカメラ2bやその他のセンサ等の動作を妨げにくくなる。そのため鉛直部分3b等が透明な合成樹脂製のパイプで構成される方が望ましいことがある。
【0016】
図2および図3に例示するようにT字管3の水平部分3aの一端にはプロペラ6が配置されている。プロペラ6は水中モータから動力を受けて回転する構成を有している。外部から水平部分3aの内部に流体を送り込む構成をプロペラ6は有している。プロペラ6はポンプで構成されてもよい。本明細書におけるプロペラ6とは、ポンプを含む概念である。この実施形態ではプロペラ6を保護するための保護ネット7が、プロペラ6に設置されている。図3では説明のため保護ネット7をプロペラ6から取り外した状態を図示している。
【0017】
水平部分3aの他端には収容部4が連結されている。収容部4は、流体を通過させて水中物を通過させない構成を有している。壁面の少なくとも一部が金網などの網状部材で形成される箱体で収容部4を構成できる。この実施形態では周面および底面が流体の通過しない板状部材で構成されて、上面が流体の通過する網状部材4aで構成されている。収容部4は箱体に限らず、少なくとも一部が繊維質の網などの網状部材で構成される袋体で構成されてもよい。
【0018】
図3および4に例示するように、プロペラ6から送り込まれる流体の進行方向である前後方向yに直交する断面において、水平部分3aの断面積よりも収容部4の断面積の方が大きくなる状態に形成されている。つまり流体が通過する流路の面積が、水平部分3aよりも収容部4の方が大きく設定されている。この実施形態では収容部4は少なくとも幅方向xにおいて、水平部分3aよりも大きく形成されている。
【0019】
回収装置1を設置された水中ロボット2は海や湖や水槽などの水中で使用される。水中ロボット2は、例えば磯焼けの原因であるウニ等の水中物を海底から回収する際に使用される。また水中ロボット2は、例えば養殖用いけすの底に沈んだ魚(へい死魚)の回収に使用される。水中ロボット2は、例えば海中を浮遊したり海底に沈んだゴミ等の水中物を回収する際に使用される。本明細書において水中物とは、水中生物および水中のゴミを含む概念である。回収装置1を設置された水中ロボット2は、まず水中に沈められる。
【0020】
図5に例示するようにプロペラ6を作動させるとT字管3に海水等の流体の流れが発生する。図5では説明のため流体の流れる方向を矢印で示している。プロペラ6の作動にともない水平部分3aにおいてプロペラ6から収容部4に向かう流れが発生する。水平部分3aの流れにより鉛直部分3bの上端側の圧力が低下する。この圧力の低下にともない鉛直部分3bの内部で上昇流が発生する。この上昇流により水中物mが吸込み部5から吸い込まれる。水中物mは、鉛直部分3bおよび水平部分3aを経由して収容部4に移動する。収容部4に流れ込んだ流体は、収容部4の網状部材4aを通過して回収装置1の外部に放出される。
【0021】
プロペラ6から鉛直部分3bの上端までの距離が比較的短いため圧力損失を抑制できる。出力の比較的小さいプロペラ6を使用できる。プロペラ6により発生する水流を小さく抑制できるので、プロペラ6により水中ロボット2の姿勢が崩れることを抑制できる。水中ロボット2の姿勢制御を精度良く行えるため、水中物mを効率よく回収するには有利である。
【0022】
図2に例示するように水平部分3aにおいて、鉛直部分3bの上端pから収容部4側の端部までの距離L1に比べて、上端pからプロペラ6側の端部までの距離L2の方が小さく設定されることが望ましい。プロペラ6で発生した流れにより鉛直部分3bの上端pの圧力を効率よく低下させることができる。ここで鉛直部分3bの上端pとは、回収装置1を幅方向xに見通したときに鉛直部分3bの上端近傍における中心軸c3と水平部分3aの壁面とが交わる点をいう。図2では説明のため中心軸c3を一点鎖線で示している。
【0023】
図5に例示するようにプロペラ6から回収装置1の内部に送られる流体は、収容部4を経由して外部に排出される。T字管3よりも収容部4の方が流体の流路は広くなる。図4に例示するように流体の進行方向(前後方向y)に直交する断面積がT字管3の水平部分3aよりも収容部4の方が大きくなるとも言える。そのためT字管3から収容部4に流れ込んだ流体は流速が大きく低下する。また収容部4の壁面や水中物mに衝突して流速が低下する。収容部4の内部において流体の流れる方向が分散するため、流体が水中ロボット2に及ぼす力は小さくなる。つまり回収装置1で発生する流体の流れが水中ロボット2に与える影響を抑制できる。水中ロボット2が意図せず特定の方向の力を受けて姿勢を崩す不具合を回避できる。水中物mを効率よく回収するには有利である。
【0024】
図2に例示するように水平部分3aの中心軸c4に対する鉛直部分3bの上端近傍における中心軸c3の傾きθ2が、90°より小さくなる状態で水平部分3aと鉛直部分3bが連結されてもよい。傾きθ2は、例えば90°より小さく30°以上の範囲で適宜設定することができる。このとき鉛直部分3bの上端は収容部4に接近する方向に傾斜している。図2では説明のため中心軸c4を一点鎖線で示している。
【0025】
この構成により水平部分3aと鉛直部分3bとの合流部分で、水中物mが流路内で引っかかったりする不具合を回避しやすくなる。プロペラ6により発生する流れの流速が比較的小さくても、鉛直部分3bから水平部分3aの収容部4側に効率よく流体が流れる。プロペラ6の小型化には有利である。
【0026】
水平部分3aの中心軸c4に対する鉛直部分3bの上端近傍における中心軸c3の傾きθ2が、90°に設定されることを除外するものではない。
【0027】
水平部分3aの内部であり且つ鉛直部分3bの上端pとプロペラ6との間となる位置における流体の流速が0.5m/sec以上1.5m/sec以下に設定されることが望ましい。T字管3内の流速が比較的小さく設定されるため、水中物mを傷つけずに回収するには有利である。流速は上記に限定されず、水中物mの大きさおよび水中質量に応じて設定される。流速は水中物mを回収可能であり且つ破壊しない範囲で設定されることが望ましい。つまり水中物mが回収可能となる流速以上であり、且つ水中物mが破壊される流速よりも小さい範囲で流速が設定される。
【0028】
水中物mの回収状況に応じてプロペラ6の回転速度を制御する制御機構を回収装置1が備えていてもよい。水中物mの回収状況とは、水中物mの回収の可否に関する情報や、水中物mの破壊の有無の情報をいう。
【0029】
制御機構は、水中ロボット2のカメラ2bで取得される情報に基づきプロペラ6の回転速度を制御する構成を有していてもよい。例えば吸込み部5の近傍に水中物mが存在しているにも関わらず、吸込み部5に吸い込まれていかない場合、制御機構はプロペラ6の回転速度を増加させる。吸込み部5の近傍において水中物mが例えば3秒などの所定時間停止している状態のとき、制御機構がプロペラ6の回転速度を増加させる。
【0030】
制御機構は、収容部4を撮影するカメラで取得される情報に基づきプロペラ6の回転速度を制御する構成を有していてもよい。例えば収容部4の中で水中物mが破壊されていたり水中物mの断片等が複数確認されたりする状態のとき、制御機構がプロペラ6の回転速度を減少させる。
【0031】
水中ロボット2がROVで構成される場合は、コントローラからの信号に基づき制御機構がプロペラ6の回転速度を制御する構成としてもよい。操作者が水中物mの回収状況を判断して、この判断結果をコントローラに入力することで、水中物mの回収状況に基づきプロペラ6の回転速度が制御される。
【0032】
水中物mとして例えばウニを破壊せずに回収できるので、食用として利用可能となる。また水中物mとして例えばへい死魚を破壊せずに回収できるので、へい死魚の断片等が収容部4から水中に分散して収容部4の外部の水を汚染する不具合を回避できる。
【0033】
回収対象の水中物mの大きさに応じてプロペラ6の回転速度を制御する構成を制御機構が有していてもよい。このときプロペラ6により発生する流速は、回収対象の大きさの水中物mが回収可能となる流速以上であり、且つ回収対象よりも小さい水中物mは回収不可能となる流速以下となる範囲で流速が設定される。回収対象としている水中物mよりも小さい水中物mが回収されることを回避できる。回収装置1は、成長が未熟な小さなウニの回収を避けつつ、十分に成長した大きなウニのみを回収することが可能となる。回収装置1によるウニの乱獲を防止できる。大きなウニの方が小さなウニよりも得られる浮力が大きいため、流速が小さくても回収装置1で回収しやすくなる。
【0034】
回収対象よりも小さい水中物mが回収不可能となる流速が、水中物mが破壊される流速より小さい場合は、流速の上限は想定よりも小さい水中物mが回収不可能となる流速に設定される。水中物mが破壊される流速の方が小さい場合は、流速の上限は水中物mが破壊される流速より小さい値に設定される。いずれの場合であっても、想定よりも小さい水中物mの回収を回避しつつ、水中物mの破壊を回避できる。
【0035】
水平部分3aおよび鉛直部分3bの内径は同一の大きさに設定されることが望ましい。水平部分3aおよび鉛直部分3bにおいて内径を一定とすることで、流体の流速を安定させることができる。T字管3の内部において流速が急激に変化したりしないので、水中物mが破壊されたり流路の途中で詰まったりする不具合を回避するには有利である。
【0036】
鉛直部分3bの上端pとプロペラ6との間における流体の流速は、上記に限定されない。T字管3の内径や、回収する水中物mの種別や大きさ、回収の目的に応じて適宜変更できる。
【0037】
図2に例示する中心軸c1に対する中心軸c2の傾きθ1は、30°以上90°以下の範囲で設定することが望ましい。傾きθ1を90°に近い角度とすると吸込み部5の前方に位置する水中物mを吸込み部5の内部に吸込みやすくなる。水中物mが部分的にでも吸込み部5の内部に入り込むと、その後、水中物mは水平部分3aまで容易に吸い上げられる。傾きθ1を30°に近い角度とすると体長の比較的大きいへい死魚などが吸込み部5で詰まる等の不具合を回避しやすくなる。
【0038】
異なる傾きθ1を有する複数の吸込み部5を予め準備しておき、T字管3に対して吸込み部5を切替可能としてもよい。水中物mの回収状況に応じて適切な吸込み部5に交換することで、作業効率を向上できる。鉛直部分3bの下端を吸込み部5として利用してもよい。このとき傾きθ1は0°となる。
【0039】
内径の大きさの異なる複数のT字管3を予め準備しておき、水中ロボット2に対してT字管3を切替可能としてもよい。回収対象の水中物mの大きさに合わせて適切な内径の大きさを有するT字管3に交換することで、作業効率を向上できる。
【0040】
収容部4は、周面と底面と上面とが網状部材4aで構成されてもよい。また周面の一部または底面の一部のみが網状部材4aで構成されてもよい。図3に例示するように収容部4の上面のみが網状部材4aで構成されてもよい。この場合は収容部4の上面からのみ流体が排出されることになる。収容部4から排出される流体の流速はそもそも小さくなっているため、水中ロボット2には排出される流体から受ける力がほとんど発生しない。仮に排出される流体から受ける力が水中ロボット2に発生する場合であっても、水中ロボット2に対して下向きの力が発生する。例えば水底で水中ロボット2が作業を行う場合、水中ロボット2に下向きの力が発生しても作業にほとんど影響がない。水中物mを効率よく回収するには有利である。
【0041】
また収容部4の周面と底面とは流体が通過できない構成であるため、収容部4の一方から他方に向かって流体が通過するようなことがない。水中ロボット2の移動時に網状部材4aを通過した流体により水中物mが力を受けて破壊されることを回避できる。水中ロボット2の移動速度を向上できるので、水中物mの回収作業における作業効率を向上するには有利である。
【0042】
網状部材4aの近傍に流体の流れを阻害する消波板を配置してもよい。消波板は収容部4の内側または外側またはその両方に配置することができる。収容部4から外部に排出される流体の流速を抑制できる。水中物mを効率よく回収するには有利である。また収容部4の一方から他方に向かって流体が通過することを抑制できる。水中物mが破壊されることを抑制しつつ、水中ロボット2の移動速度を向上できる。
【符号の説明】
【0043】
1 回収装置
2 水中ロボット
2a 推進機構
2b カメラ
3 T字管
3a 水平部分
3b 鉛直部分
4 収容部
4a 網状部材
5 吸込み部
6 プロペラ
7 保護ネット
x 幅方向
y 前後方向
z 上下方向
c1-4 中心軸
θ1-2 傾き
m 水中物
p (鉛直部分の)上端
L1-2 距離
図1
図2
図3
図4
図5