IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナイキ イノベイト シーブイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001312
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】履物のための発泡体を伴う板
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/20 20060101AFI20221222BHJP
   A43B 13/18 20060101ALI20221222BHJP
   A43B 13/14 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
A43B13/20 A
A43B13/18
A43B13/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179950
(22)【出願日】2022-11-10
(62)【分割の表示】P 2020180295の分割
【原出願日】2016-08-26
(31)【優先権主張番号】62/236,649
(32)【優先日】2015-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/308,626
(32)【優先日】2016-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/248,059
(32)【優先日】2016-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】リシャ・デュプレ
(72)【発明者】
【氏名】エミリー・ファリーナ
(72)【発明者】
【氏名】リサンドレ・フォレット
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・イー・ゲスト
(72)【発明者】
【氏名】ヘレン・ハッチンソン
(72)【発明者】
【氏名】ゲン・ルオ
(72)【発明者】
【氏名】レイチェル・エム・サヴェジ
(72)【発明者】
【氏名】クリシー・イェットマン
(57)【要約】
【課題】アッパーを有する履物の物品のためのソール構造を提供する。
【解決手段】アッパー100を有する履物の物品のためのソール構造200が、アウトソールと、アウトソールとアッパーとの間に配置される板と、第1の緩衝層とを備える。板は、ソール構造の前足領域に配置される最前方の点と、最前方の点よりソール構造の踵領域の近くに配置される最後方の点と、最前方の点と最後方の点との間で延びる凹部分とを備える。凹部分は、最前方の点からソール構造の中足指節(MTP)点まで一定の曲率半径を含む。MTP点は使用中に足のMTP関節に対向する。第1の緩衝層は、凹部分とアッパーとの間に配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパーを有する履物の物品のためのソール構造であって、前記ソール構造は:
板であって、凹部分を定める第1の面、及び、前記第1の面とは前記板の反対側に配置され凸部分を定める第2の面を含む、板と、
前記板の前記第2の面と前記ソール構造の地上接触面との間に配置される第1の部分を含むミッドソールと、
前記ミッドソール内に配置され且つ前記板の前記第2の面と前記地上接触面との間に位置する流体充填室と、
を有する、
ソール構造。
【請求項2】
前記流体充填室は、前記板の前記第2の面と接触する、
請求項1に記載のソール構造。
【請求項3】
前記流体充填室は、前記ソール構造の踵領域に配置される、
請求項2に記載のソール構造。
【請求項4】
前記ミッドソールの前記第1の部分は、前記流体充填室と前記地上接触面との間に配置される、
請求項3に記載のソール構造。
【請求項5】
前記流体充填室は、前記ソール構造の踵領域に配置される、
請求項1に記載のソール構造。
【請求項6】
前記ミッドソールの前記第1の部分は、前記流体充填室と前記地上接触面との間に配置される、
請求項1に記載のソール構造。
【請求項7】
前記流体充填室は、加圧されている、
請求項1に記載のソール構造。
【請求項8】
前記流体充填室は、前記ソール構造の前足領域から前記ソール構造の踵領域に前記板の長さに沿って延びる、
請求項1に記載のソール構造。
【請求項9】
前記流体充填室は、前記板の前記第2の面と接触する、
請求項8に記載のソール構造。
【請求項10】
前記流体充填室内に配置された引張要素をさらに有する、
請求項8に記載のソール構造。
【請求項11】
前記ミッドソールは、前記板の前記第1の面と前記アッパーとの間に配置された第2の部分を含む、
請求項1に記載のソール構造。
【請求項12】
前記ミッドソールの前記第2の部分は、前記ミッドソールの前記第1の部分とは異なる厚さを含む、
請求項11に記載のソール構造。
【請求項13】
請求項1に記載のソール構造を組み込んだ履物の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年8月26日に出願された米国特許出願第15/248,059号と、2015年10月2日に出願された米国仮特許出願第62/236,649号と、2016年3月15日に出願された米国仮特許出願第62/308,626号とに対する優先権を主張し、これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、ランニング運動中の履物の性能における効率を向上するための、履物板および発泡体を伴うソール構造を含む履物の物品に関する。
【背景技術】
【0003】
本節は、必ずしも先行技術ではない本開示に関する背景情報を提供する。
【0004】
履物の物品は、従来、アッパーとソール構造とを備えている。アッパーは、ソール構造上の足を受け入れて固定して支持するために、任意の適切な材料から形成され得る。アッパーは、足の周りでのアッパーの適合を調節するために、紐、ストラップ、または他の留め具と協働できる。足の底面に近接するアッパーの底部分は、ソール構造に付着する。
【0005】
ソール構造は、地上面とアッパーとの間で延びる積層の構成を概して含む。ソール構造の1層は、耐摩滅性と、地上面との静止摩擦とを提供するアウトソールを含む。アウトソールは、耐久性と耐摩耗性とを付与する他に、地上面との静止摩擦を高めるゴムまたは他の材料から形成されてもよい。ソール構造の別の層は、アウトソールとアッパーとの間に配置されるミッドソールを含む。ミッドソールは緩衝を足に提供し、地面反力を弱めることで足を緩衝するために、加えられた荷重の下で弾性的に圧縮するポリマー発泡材料から概して少なくとも部分的に形成される。ミッドソールは、アウトソールに対向する一方の側に底面を定め、反対の側に、足の底面の輪郭に合致するように輪郭付けられ得る中底を定め得る。ソール構造は、アッパーの底部分に近接して空所内に位置する快適性を高めるインソールまたは中敷も備え得る。
【0006】
足の中足指節(MTP:metatarsophalangeal)関節は、ランニング動作の間、背屈を通じて曲がるときにエネルギーを吸収することが知られている。足が地上面を押し離すまで底屈を通じて移動しないため、MTP関節は、それが吸収するエネルギーのほとんどをランニング動作に戻さず、したがって、ランニング動作の間のエネルギー排出の源になることが知られている。ソール構造内に長手方向の剛性を有する埋め込みの平坦な硬い板が、ソール構造の全体の剛性を増加させるために知られている。平坦な板の使用は、MTP関節が背屈を通じてエネルギーを吸収するのを防止することで、MTP関節におけるエネルギー損失を低減することに向けて、ソール構造を強固にするが、平坦な板の使用は、足の足首の底屈体における機械的要求を逆に増大させ、それによって、特にはより長い距離にわたる場合、ランニング動作の間の足の効率を低減する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに記載した図面は、選択された構成の例示の目的だけのためのものであり、本開示の範囲を限定するように意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の原理による履物の物品の上からの斜視図である。
図2】アウトソールの内面とミッドソールの底面との間の空所内において緩衝部材に配置される履物板を示す図1の履物の物品の分解図である。
図3】アウトソールの内面とミッドソールの底面との間の空所内において緩衝部材に配置される履物板を示す図1の線3-3に沿って切り取られた断面図である。
図4】本開示の原理による履物の物品の上からの斜視図である。
図5】アウトソールの内面とミッドソールの底面との間の空所内において第1の緩衝部材と第2の緩衝部材との間に配置される履物板を示す図4の履物の物品の分解図である。
図6】アウトソールの内面とミッドソールの底面との間の空所内において第1の緩衝部材と第2の緩衝部材との間に配置される履物板を示す図4の線6-6に沿って切り取られた断面図である。
図7】本開示の原理による履物の物品の上からの斜視図である。
図8】アウトソールの内面とミッドソールの底面との間の空所内に受け入れられる緩衝部材と、履物の前足領域において内面上に配置され、履物の踵領域において緩衝部材の中に埋め込まれる履物板とを示す図7の履物の物品の分解図である。
図9】アウトソールの内面とミッドソールの底面との間の空所内に受け入れられる緩衝部材と、履物の前足領域において内面上に配置され、履物の踵領域において緩衝部材の中に埋め込まれる履物板とを示す図7の線9-9に沿って切り取られた断面図である。
図10】本開示の原理による履物の物品の上からの斜視図である。
図11】アウトソールの内面とミッドソールの底面との間の空所内に受け入れられる緩衝部材と、履物の前足領域において緩衝部材内に埋め込まれ、履物の踵領域において緩衝部材とミッドソールの底面との間に配置される履物板とを示す図10の履物の物品の分解図である。
図12】アウトソールの内面とミッドソールの底面との間の空所内に受け入れられる緩衝部材と、履物の前足領域において緩衝部材内に埋め込まれ、履物の踵領域において緩衝部材とミッドソールの底面との間に配置される履物板とを示す図10の線12-12に沿って切り取られた断面図である。
図13】本開示の原理による履物の物品の上からの斜視図である。
図14】アウトソールの内面とミッドソールの底面との間の空所内に受け入れられる緩衝部材と、履物の前足領域において緩衝部材内に埋め込まれ、履物の踵領域において緩衝部材とアウトソールの内面との間に配置される履物板とを示す図13の履物の物品の分解図である。
図15】アウトソールの内面とミッドソールの底面との間の空所内に受け入れられる緩衝部材と、履物の前足領域において緩衝部材内に埋め込まれ、履物の踵領域において緩衝部材とアウトソールの内面との間に配置される履物板とを示す図13の線15-15に沿って切り取られた断面図である。
図16】本開示の原理による履物の物品において使用するための履物板の上からの斜視図である。
図17図16の履物板の側面図である。
図18図16の履物板の上面図である。
図19】本開示の原理による履物の物品において使用するための履物板の上からの斜視図である。
図20図19の履物板の側面図である。
図21図19の履物板の上面図である。
図22】本開示の原理による履物の物品において使用するための履物板の上からの斜視図である。
図23図22の履物板の側面図である。
図24図22の履物板の上面図である。
図25】本開示の原理による履物の物品において使用するための履物板の上面図である。
図26】本開示の原理による履物の物品の前足領域において使用するための履物板の上面図である。
図27】本開示の原理による履物の物品において使用するための履物板の上面図である。
図28】本開示の原理による履物の物品において使用するための履物板の上面図である。
図29】本開示の原理による履物の物品において使用するための履物板の上面図である。
図30】本開示の原理による履物の物品において使用するための履物板の上面図である。
図31】本開示の原理による履物の物品の上からの斜視図である。
図32】履物の前足領域においてアウトソールとミッドソールとの間に配置され、履物の踵領域において緩衝部材とミッドソールとの間に配置される履物板を示す図31の線32-32に沿って切り取られた断面図である。
図33】本開示の原理による履物の物品の上からの斜視図である。
図34】アウトソールと緩衝部材との間に配置される履物板を示す図33の線34-34に沿って切り取られた断面図である。
図35】本開示の原理による履物の物品の上からの斜視図である。
図36】緩衝部材とミッドソールとの間に配置される履物板を露出するために、アウトソールおよび緩衝部材を貫いて形成される複数の開口を示す図35の線36-36に沿って切り取られた断面図である。
図37】本開示の原理による履物の物品の上からの斜視図である。
図38】アウトソールの内面とミッドソールの底面との間の空所内において緩衝部材上に配置される流体充填袋を示す図37の履物の物品の分解図である。
図39】アウトソールの内面とミッドソールの底面との間の空所内において緩衝部材に配置される流体充填袋を示す図37の線39-39に沿って切り取られた断面図である。
図40A】本開示の原理による履物板を形成するときに使用される様々なプリプレグ繊維シートを示す図である。
図40B】本開示の原理による履物板を形成するときに使用される様々なプリプレグ繊維シートを示す図である。
図40C】本開示の原理による履物板を形成するときに使用される様々なプリプレグ繊維シートを示す図である。
図40D】本開示の原理による履物板を形成するときに使用される様々なプリプレグ繊維シートを示す図である。
図40E】本開示の原理による履物板を形成するときに使用される様々なプリプレグ繊維シートを示す図である。
図41】本開示の原理による履物板を形成するために使用されるプリプレグ繊維シートの積み重ねの分解図である。
図42A】本開示の原理による履物板を形成するときに使用される繊維ストランドの様々な層を示す図である。
図42B】本開示の原理による履物板を形成するときに使用される繊維ストランドの様々な層を示す図である。
図42C】本開示の原理による履物板を形成するときに使用される繊維ストランドの様々な層を示す図である。
図42D】本開示の原理による履物板を形成するときに使用される繊維ストランドの様々な層を示す図である。
図42E】本開示の原理による履物板を形成するときに使用される繊維ストランドの様々な層を示す図である。
図43】本開示の原理による履物板を形成するために使用される繊維ストランドの層の分解図である。
図44】本開示の原理による履物板を形成するときに使用するための成形型の、履物板へと形成される前の繊維の積み重ねとの組み合わせで示した斜視図である。
図45】本開示の原理による履物板を形成するときに使用するための成形型の、形成された履物板との組み合わせで示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
対応する符号は、図面を通じて対応する部品を指し示している。
【0010】
ここでは、例の構成は、添付の図面を参照してより完全に記載されている。例の構成は、本開示が完全であって、当業者に本開示の範囲を完全に伝えるように提供されている。具体的な詳細は、本開示の構成の完全な理解を提供するために、具体的な構成要素、装置、および方法の例などで明記されている。具体的な詳細は用いられる必要がないことと、例の構成は多くの異なる形態で具現化できることと、具体的な詳細および例の構成は開示の範囲を限定するように解釈されるべきではないこととは、当業者には明らかである。
【0011】
ここで使用されている専門用語は、具体的な例の構成だけを記載する目的のためであり、限定するように意図されていない。ここで使用されるとき、「1つ(a、an、およびthe)」という単数形のものは、文脈がそうでないことを明確に指示していない場合、複数の形態も含むように意図されてもよい。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、包括的であり、そのため、特徴、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を明示しているが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除することはない。ここに記載した方法のステップ、工程、および動作は、実施の順番として明確に特定されていない場合、記載または図示した具体的な順番でのそれらの実施を必ず要求するとして解釈されるものではない。追加または代替のステップが用いられてもよい。
【0012】
要素または層が別の要素または層に「上に」、「係合される」、「連結される」、「付着される」、または「結合される」と称されるとき、その要素または層は別の要素または層に、直接的にある、直接的に係合される、直接的に連結される、直接的に付着される、もしくは直接的に結合され得るか、または、介在する要素または層が存在してもよい。対照的に、要素が、別の要素または層に「直接的にある」、「直接的に係合される」、「直接的に連結される」、「直接的に付着される」、または「直接的に結合される」と称されるとき、介在する要素または層は存在しない可能性がある。要素間の関係を記載するために使用される他の語は、同様の形で解釈されるべきである(例えば、「~の間」と「~の間で直接的に」、「隣接して」と「直接的に隣接して」など)。ここで使用されるとき、「および/または」の用語は、関連して列記した項目のうちの1つまたは複数のいずれか、および、すべての組み合わせを含む。
【0013】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、および/または区域を記載するためにここで用いられ得る。これらの要素、構成要素、領域、層、および/または区域は、これらの項目によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、または区域を、別の領域、層、または区域から区別するために用いられるだけであり得る。「第1」、「第2」などの用語、および、他の数字上の用語は、文脈によって明確に指示されていない場合、連続性または順番を暗示していない。したがって、後で詳述されている第1の要素、第1の構成要素、第1の領域、第1の層、または第1の区域は、例の構成の教示から逸脱することなく、第2の要素、第2の構成要素、第2の領域、第2の層、または第2の区域と名付けられてもよい。
【0014】
開示の一態様は、ソール構造を、アッパー部分を有する履物の物品に提供する。ソール構造は、アウトソールと、アウトソールとアッパーとの間に配置される板と、凹部分とアッパーとの間に配置される第1の緩衝層とを備える。板は、ソール構造の前足領域に配置される最前方部分と、最前方の点よりソール構造の踵領域の近くに配置される最後方の点とを備える。板は、最前方の点と最後方の点との間で延び、最前方の点からソール構造の中足指節(MTP)点まで一定の曲率半径を含む凹部分も備える。MTP点は使用中に足のMTP関節に対向する。
【0015】
本開示の実施は、以下の任意選択の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。一部の実施では、最前方の点と最後方の点とは同一平面上にある。板は、ソール構造の踵領域内に配置される実質的に平坦な部分を備えてもよい。最後方の点は、実質的に平坦な部分内に位置してもよい。
【0016】
一部の例では、ソール構造は、凹部分と実質的に平坦な部分との間に配置され、凹部分と実質的に平坦な部分とを連結する融合部分を備える。融合部分は実質的に一定の湾曲を含んでもよい。最前方の点および最後方の点は、融合部分と実質的に平坦な部分との結合において同一平面上にあり得る。
【0017】
ソール構造は、実質的に平坦な部分とアッパーとの間に配置される第2の緩衝層を備え得る。第3の緩衝層がアウトソールと板との間に配置されてもよい。一部の例では、第3の緩衝層は踵領域内に配置される。第3の緩衝層は踵領域から前足領域まで延びてもよい。
【0018】
ソール構造は、板とアッパーとの間、および/または、アウトソールと板との間に配置される少なくとも1つの流体充填室を備えてもよい。少なくとも1つの流体充填室は、第2の緩衝層および第3の緩衝層の少なくとも一方内に配置されてもよい。
【0019】
一部の例では、MTP点は、最前方の点からの板の全長のおおよそ30パーセント(30%)に位置する。曲率半径の中心は、MTP点に位置し得る。一定の曲率半径は最前方の点からMTP点を越えて延び得る。一定の曲率半径は、最前方の点からの板の全長の少なくとも40パーセント(40%)で、最前方の点からMTP点を越えて延びてもよい。
【0020】
一部の例では、アウトソールは、地上接触面と、地上接触面とは反対のアウトソールの側に形成される内面とを備える。内面は板に直接的に付着され得る。内面は、凹部分に近接して板に付着されてもよい。
【0021】
開示の別の態様は、アッパーを有する履物の物品のためのソール構造を提供する。ソール構造は、アウトソールと、アウトソールとアッパーとの間に配置される板と、湾曲部分とアッパーとの間に配置される第1の緩衝層とを備える。板は、ソール構造の前足領域に配置される最前方の点と、最前方の点よりソール構造の踵領域の近くに配置される最後方の点とを備える。板は、最前方の点と最後方の点との間で延び、最前方の点と最後方の点とを連結し、最前方の点からソール構造の中足指節(MTP)点まで一定の曲率半径を含む湾曲部分も備える。MTP点は使用中に足のMTP関節に対向する。
【0022】
この態様は、以下の任意選択の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。一部の実施では、最前方の点と最後方の点とは同一平面上にある。板は、ソール構造の踵領域内に配置される実質的に平坦な部分を備えてもよく、最後方の点は、実質的に平坦な部分内に位置する。
【0023】
一部の例では、ソール構造は、湾曲部分と実質的に平坦な部分との間に配置され、湾曲部分と実質的に平坦な部分とを連結する融合部分を備える。融合部分は実質的に一定の湾曲を含んでもよい。最前方の点および最後方の点は、融合部分と実質的に平坦な部分との結合において同一平面上にあり得る。
【0024】
ソール構造は、実質的に平坦な部分とアッパーとの間に配置される第2の緩衝層を備え得る。第3の緩衝層がアウトソールと板との間に配置されてもよい。第3の緩衝層は踵領域内に配置されてもよい。第3の緩衝層は踵領域から前足領域まで延びてもよい。
【0025】
一部の例では、ソール構造は、板とアッパーとの間、および/または、アウトソールと板との間に配置される少なくとも1つの流体充填室を備える。少なくとも1つの流体充填室は、第2の緩衝層および第3の緩衝層の少なくとも一方内に配置されてもよい。
【0026】
一部の例では、MTP点は、最前方の点からの板の全長のおおよそ30パーセント(30%)に位置する。曲率半径の中心は、MTP点に位置し得る。一定の曲率半径は最前方の点からMTP点を越えて延び得る。一定の曲率半径は、最前方の点からの板の全長の少なくとも40パーセント(40%)で、最前方の点からMTP点を越えて延びてもよい。
【0027】
アウトソールは、地上接触面と、地上接触面とは反対のアウトソールの側に形成される内面とを備え得る。内面は板に直接的に付着され得る。内面は、湾曲部分に近接して板に付着されてもよい。
【0028】
開示のなおも別の態様は、アッパーを有する履物の物品のためのソール構造を提供する。ソール構造は、アウトソールと、アウトソールとアッパーとの間に配置される板と、湾曲部分とアッパーとの間に配置される第1の緩衝層とを備える。板は、ソール構造の前足領域に配置される最前方の点と、最前方の点よりソール構造の踵領域の近くに配置される最後方の点とを備える。板は、最前方の点と最後方の点との間で延び、最前方の点と最後方の点とを連結し、最前方の点からソール構造の中足指節(MTP)点まで円形の湾曲を含む湾曲部分も備える。MTP点は使用中に足のMTP関節に対向する。
【0029】
この態様は、以下の任意選択の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。一部の実施では、最前方の点と最後方の点とは同一平面上にある。板は、ソール構造の踵領域内に配置される実質的に平坦な部分を備え得る。最後方の点は、実質的に平坦な部分内に位置してもよい。板は、ソール構造の踵領域内に配置される実質的に平坦な部分を備えてもよい。最後方の点は、実質的に平坦な部分内に位置してもよい。
【0030】
一部の例では、ソール構造は、湾曲部分と実質的に平坦な部分との間に配置され、湾曲部分と実質的に平坦な部分とを連結する融合部分を備える。融合部分は実質的に一定の湾曲を含む。最前方の点および最後方の点は、融合部分と実質的に平坦な部分との結合において同一平面上にあり得る。
【0031】
ソール構造は、実質的に平坦な部分とアッパーとの間に配置される第2の緩衝層を備え得る。第3の緩衝層がアウトソールと板との間に配置されてもよい。第3の緩衝層は踵領域内に配置されてもよい。一部の例では、第3の緩衝層は踵領域から前足領域まで延びる。
【0032】
ソール構造は、板とアッパーとの間、および/または、アウトソールと板との間に配置される少なくとも1つの流体充填室を備え得る。少なくとも1つの流体充填室は、第2の緩衝層および第3の緩衝層の少なくとも一方内に配置されてもよい。
【0033】
一部の例では、MTP点は、最前方の点からの板の全長のおおよそ30パーセント(30%)に位置する。円形の湾曲の中心は、MTP点に位置し得る。円形の湾曲は最前方の点からMTP点を越えて延び得る。円形の湾曲は、最前方の点からの板の全長の少なくとも40パーセント(40%)で、最前方の点からMTP点を越えて延びてもよい。
【0034】
一部の実施では、アウトソールは、地上接触面と、地上接触面とは反対のアウトソールの側に形成される内面とを備える。内面は板に直接的に付着され得る。追加または代替で、内面は、湾曲部分に近接して板に付着されてもよい。一部の例では、ソール構造は、アウトソールの少なくとも一部分を形成するために、第1の緩衝層とは反対の板の側に配置される第2の緩衝層をさらに備える。
【0035】
本開示の1つまたは複数の実施の詳細は、添付の図面および以下の記載において明記されている。他の態様、特徴、および利点は、記載および図面と、特許請求の範囲とから明らかである。
【0036】
ランニング動作の間、地上面から押し離す力を提供する履物の適用点は、履物の前足部分に位置する。履物の適用点は、足の中足指節(MTP)関節と対向する。競技者の足首関節と、押し離す力を提供する適用点の作用線との間の距離は、足首を中心としたレバーアーム距離を定める。足首の底屈体(例えば、腓筋腱一群)への機械的要求は、レバーアームの長さに、競技者によって制御される押し離す力の大きさを乗算することで決定される足首における押し離すモーメントに基づかれ得る。剛体の平坦な履物板は、剛体の平坦な板のため、足首における機械的要求を概して増大させ、地上面との適用点を前方に移動させる。結果として、レバーアーム距離と、押し離すモーメントとは、足首関節において増大する。実施は、ここでは、MTP関節に対向する湾曲部分を含む剛体の履物板を提供することで、足首における押し離すモーメントを低減するために、足首関節からのレバーアームの長さを短縮することに向けられている。
【0037】
図1図3を参照すると、履物10の物品が提供されており、アッパー100と、アッパー100に付着されたソール構造200とを備えている。履物10の物品は1つまたは複数の部分へと分割できる。それらの部分は、前足部分12と、中間足部分14と、踵部分16とを含み得る。前足部分12は、履物10の使用中に、つま先と、中足骨を足の指骨と連結する関節とに一致できる。前足部分12は足のMTP関節に一致できる。中間足部分14は、履物10の物品の使用中、足の土踏まずの領域に一致でき、踵部分16は、踵骨を含む足の後部分に一致できる。履物10は、履物10の両側とそれぞれ一致し、部分12、14、16を通じて延びる外側部18および内側部20を備え得る。
【0038】
アッパー100は、履物10の物品の使用中、ソール構造200における支持のために足を受け入れて固定する内部空所102を定める内部面を備える。踵部分16における足首開放部104は、内部空所102へのアクセスを提供できる。例えば、足首開放部104は、足を空所102内に固定するために足を受け入れることができ、内部空所102への足の進入と、内部空所102からの足の抜き出しとを容易にすることができる。一部の例では、1つまたは複数の留め具106が、足の周りでの内部空所102の適合を調節する一方、足の進入および抜き出しの便宜を図るために、アッパー100に沿って延びる。アッパー100は、留め具106を受け入れる、織物または網目の環体などの小穴および/または他の係合特徴部など、開口を含み得る。留め具106は、紐、ストラップ、コード、面ファスナ、または任意の他の適切な種類の留め具を備え得る。
【0039】
アッパー100は、内部空所102と留め具106との間で延びる舌部分110を備え得る。アッパー100は、内部空所102を形成するために一体に縫い付けまたは接着結合される1つまたは複数の材料から形成され得る。アッパーの適切な材料には、限定されることはないが、布地、発泡体、皮革、および合成皮革がある。材料は、耐久性、通気性、耐摩耗性、柔軟性、および快適性の特徴を付与するように選択され位置し得る。
【0040】
一部の実施では、ソール構造200は、積層の構成で配置されるアウトソール210と、緩衝部材250と、ミッドソール220とを備える。ソール構造200(例えば、アウトソール210、緩衝部材250、およびミッドソール220)は長手方向軸Lを定める。例えば、アウトソール210は、履物10の物品の使用中、地上面と係合し、ミッドソール220はアッパー100に付着し、緩衝部材250は、ミッドソール220をアウトソール210から分離するためにそれらの間に配置される。例えば、緩衝部材250は、アウトソール210と対向する底面252と、底面252とは反対の緩衝部材250の側に配置され、ミッドソール220と対向する上面254とを定める。上面254は、内部空所102内で足の底面(例えば、足底)の輪郭に合致するように形成され得る。一部の例では、ソール構造200は、インソール260(図2および図3)または中敷などの追加の層を組み込んでもよく、インソール260または中敷は、履物10の快適性を高めるために、足の足底面を受け入れるようにアッパー100の内部空所102内に位置できる。一部の例では、側壁230が、緩衝部材250の周辺の少なくとも一部分を包囲し、緩衝部材250とミッドソール220との間に空洞240を定めるために、それらの間を分離する。例えば、緩衝部材250の側壁230および上面254は、内部空所102が足を受け入れるとき、緩衝部材250上に足を保持して支えるために協働し得る。例えば、側壁230は、歩行動作またはランニング動作を実施するとき、履物10の使用中に足を包み込むために、緩衝部材250の輪郭付けられた上面254の周辺の少なくとも一部分の周りに周縁を定めてもよい。周縁は、緩衝部材250がミッドソール220に付着するとき、ミッドソール220の周辺の周りで延び得る。
【0041】
一部の構成では、履物板300が、履物10がランニング運動中に地上面との係合のために回転するとき、MTP関節におけるエネルギー損失を低減する一方で足の回転を高めるために、ミッドソール220の下において緩衝部材250の上面254に配置される。履物板300は、ソール構造200の長さの少なくとも一部分を通じて延びる長さを定めてもよい。一部の例では、板300の長さは、ソール構造200の前足部分12、中間足部分14、および踵部分16を通じて延びる。他の例では、板300の長さは、前足部分12および中間足部分14を通じて延び、踵部分16にはない。
【0042】
一部の例では、履物板300は、板300の全体の表面面積を通じて、均一で局所的な剛性(例えば、引張強度または曲げ強度)を備える。板の剛性は、板にわたるある方向における剛性が他の方向における剛性と異なる異方性であってもよい。例えば、板300にわたって勾配のある剛性と勾配のある荷重経路とを付与するために、互いに対して異方性の少なくとも2つの繊維の層から形成され得る。ある構成では、板300は、(例えば、長手方向軸Lに対して横断する方向での)横断方向の剛性より大きい(例えば、長手方向軸Lに沿う方向での)長手方向の剛性を提供する。一例では、横断方向の剛性は長手方向の剛性より少なくとも10パーセント(10%)小さい。別の例では、横断方向の剛性は長手方向の剛性の約10パーセント(10%)から約20パーセント(20%)までである。一部の構成では、板300は、カーボン繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維、およびポリマー繊維のうちの少なくとも1つを含む繊維および/もしくは繊維の層のトウの1つまたは複数の層から形成される。具体的な構成では、繊維は、カーボン繊維、ガラス繊維、または、カーボン繊維とガラス繊維との両方の組み合わせを含む。繊維のトウは基材に貼り付けられ得る。繊維のトウは、縫い付けによって、または、接着剤を用いて、貼り付けられ得る。追加または代替で、繊維のトウおよび/または繊維の層は、熱硬化性ポリマーおよび/または熱可塑性ポリマーで固められてもよい。したがって、板300は、長手方向軸Lに対して実質的に垂直な横断方向において、引張強度または曲げ強度を有し得る。板300の剛性は、具体的な着用者について、着用者の腱の柔軟性、腓筋の強さ、および/またはMTP関節の柔軟性に基づいて選択されてもよい。さらに、板300の剛性は、競技者のランニング運動に基づいて仕立てられてもよい。別の構成では、板300は、一方向性のテープの1つまたは複数の層/プライから形成される。一部の例では、積み重ねにおける各々の層は、下に配置される層と異なる配向を含む。板は、カーボン繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維、およびポリマー繊維のうちの少なくとも1つを含む一方向性のテープから形成されてもよい。一部の例では、板300を形成する1つまたは複数の材料は、少なくとも70ギガパスカル(GPa)のヤング率を備える。
【0043】
一部の実施では、板300は実質的に均一な厚さを備える。一部の例では、板300の厚さは約0.6ミリメートル(mm)から約3.0mmまでの範囲である。ある例では、板の厚さは実質的に1.0mmに等しい。他の実施では、板300の厚さは、板300が前足部分12および踵部分16における厚さより構造200の中間足部分14において大きい厚さを定め得るように不均一である。
【0044】
アウトソール210は、地上係合面212と、反対の内面214とを備え得る。アウトソール210はアッパー100に付着できる。一部の例では、緩衝部材250の底面252はアウトソールの内面214に貼り付き、側壁230は、緩衝部材250の周辺から延び、ミッドソール220またはアッパー100に付着する。図1の例は、前足部分12の先端に近接するアッパー100に付着するアウトソール210を示している。アウトソール210は、履物10の物品の使用中、耐摩滅性と、地上面との静止摩擦とを概して提供する。アウトソール210は、耐久性と耐摩耗性とを付与する他に、地上面との静止摩擦を高める1つまたは複数の材料から形成され得る。例えば、ゴムがアウトソール210の少なくとも一部分を形成できる。
【0045】
ミッドソール220は、底面222と、底面222とは反対のミッドソール220の側に配置される中底224とを備え得る。縫い付け226または接着剤は、ミッドソール220をアッパー100に固定できる。中底224は、足の底面(例えば、足底)の輪郭に合致するように輪郭付けられ得る。底面222は、アウトソール210の内面214と対向して、それらの間に緩衝部材250を受け入れるための空間を定め得る。
【0046】
図2は、アウトソール210と、アウトソール210の内面214に配置される緩衝部材250と、緩衝部材250の上面254とミッドソール220の底面222との間に配置される実質的に硬い履物板300とを示す履物10の物品の分解図を提供している。緩衝部材250は、アウトソール210とミッドソール220との間の空の空間の少なくとも一部分を占める大きさおよび形とされ得る。ここで、緩衝部材250とミッドソール220の底面222との間の空洞240は、履物板300を受け入れる空の空間の残りの部分を定める。したがって、緩衝部材250および板300は、ミッドソール220の底面222とアウトソール210の内面214との間の空間の全体の容積を実質的に占め得る。緩衝部材250は、ミッドソール220とアウトソール210との間で弾力的に圧縮し得る。一部の構成では、緩衝部材250は、履物板300を上部に受け入れるように構成される表面輪郭を有するポリマー発泡体の平板に対応する。緩衝部材250は、加えられた荷重の下で弾力的に圧縮する任意の適切な材料から形成され得る。発泡材料のための適切なポリマー材料の例には、エチレン酢酸ビニール(EVA)コポリマー、ポリウレタン、ポリエーテル、およびオレフィンブロックコポリマーがある。発泡体は、単一のポリマー材料、または、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)コポリマー、EVAコポリマー、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)、および/またはオレフィンブロックコポリマーを含む2つ以上のポリマー材料の混合物を含み得る。緩衝部材250は、1立方センチメートルあたり約0.05グラム(g/cm3)から約0.20g/cm3までの範囲内の密度を含み得る。一部の例では、緩衝部材250の密度はおおよそ0.1g/cm3である。さらに、緩衝部材250は、約11ショアAから約50ショアAまでの範囲内の硬度を備え得る。緩衝部材250を形成する1つまたは複数の材料は、少なくとも60パーセント(60%)のエネルギーの戻りを提供するのに適切であり得る。
【0047】
一部の例では、流体充填袋400が、地面反力に反応しての履物10の緩衝特性を高めるために、ソール構造200の少なくとも1つの部分12、14、16において、履物板300と緩衝部材250との間に配置される。例えば、流体充填袋400は、加圧された流体を受け入れ、内部に加圧された流体を保持するための耐久性のある封止された境界を提供する内部空所を定め得る。加圧された流体は、空気、窒素、ヘリウム、または、六フッ化硫黄などの濃密ガスであり得る。流体充填袋は、液体またはゲルを追加または代替で収容してもよい。他の例では、流体充填袋400は、緩衝部材250とアウトソール210との間、または、板300とミッドソール220との間に配置される。図2および図3は、踵部分16において起こる地上面との最初の衝突を弱めることを支援するために、ソール構造200の踵部分16にある流体充填袋400を示している。他の構成では、1つまたは複数の流体充填袋400が、追加または代替で、ソール構造200の中間足部分14および/または前足部分12を貫いて延びてもよい。緩衝部材250および流体充填袋400は、ソール構造200が荷重の下にあるとき、機能性と緩衝特性とを増進することで協働できる。
【0048】
履物板300の長さは第1の端301と第2の端302との間で延び得る。第1の端301は、ソール構造200の踵部分16に近接して配置でき、第2の端302は、ソール構造200の前足部分12に近接して配置できる。第1の端301は板300の「最後方の点」と称されることがあり、一方、第2の端302も板の「最前方の点」と称されることがある。一部の例では、履物板300の長さは緩衝部材250の長さより短い。履物板300は、ソール構造200の長手方向軸Lに対して実質的に垂直に延びる厚さと、外側部18と内側部20との間で延びる幅とをも備え得る。したがって、板300の長さ、幅、および厚さは、緩衝部材250の上面254とミッドソールの底面222とによって定められる空洞240を実質的に占めてもよく、ソール構造200の前足部分12、中間足部分14、および踵部分16のそれぞれを通じて延び得る。一部の例では(例えば、図37)、履物板300の周辺の縁は、履物10の外側部18および/または内側部20に沿って見られる。
【0049】
図3を参照すると、図1の線3-3に沿って切り取られた部分断面図が、緩衝部材250とミッドソール220との間に配置される履物板300と、アウトソール210と履物板300との間に配置される緩衝部材250とを示している。インソール260は、足の下で内部空所102内の中底224上に配置され得る。図3は、流体充填袋400を踵領域16内に収容するために、小さくされた厚さを定める緩衝部材250を示している。一部の例では、緩衝部材250は袋400を封入するが、他の例では、緩衝部材250は、袋400を受け入れるための切り欠きを定めるだけである。一部の構成では、板300の一部分は流体充填袋400と直に接触している。緩衝部材250は、前足部分12においてよりも、ソール構造200の踵部分16において大きな厚さを定め得る。別の言い方をすれば、アウトソール210とミッドソール220とを分離する隙間または距離が、ソール構造200の長手方向軸Lに沿って、踵部分16から前足部分12に向かう方向において縮小する。一部の実施では、緩衝部材250の上面254は、滑らかであり、履物板300と緩衝部材250とが互いに対して面一で合致するように、履物板300の表面輪郭に合致するように輪郭付けられた表面輪郭を含む。緩衝部材250は、ソール構造の前足部分12における厚さを、約7ミリメートル(mm)から約20mmまでの範囲内で定め得る。一例では、前足部分12における緩衝部材250の厚さは、約12mmである。
【0050】
例えば、図33および図34の履物10fといった、一部の構成では、トラック競技のためのスパイクを有する履物、つまり、「トラックシューズ」が、板300と、約8mmの小さくされた厚さを有するアウトソール210との間で、前足部分12内に緩衝部材250f(図34)を組み込んでいる。これらの構成では、緩衝部材250は、前足部分12内における板300とアウトソール210との間ではなくてもよい。さらに、同じ緩衝部材250と関連付けられる緩衝材料または異なる緩衝部材が、板300とミッドソール220との間に配置され、前足部分12、中間足部分14、および踵部分16のそれぞれを通じて延びてもよい。
【0051】
履物板300は、ソール構造200の前足部分12および中間足部分14を通って延びる湾曲領域310を備える。「湾曲部分」、「凹部分」、および「円形部分」という用語は、湾曲領域310を記載するために使用されてもよい。履物板300は、湾曲領域310から板300の最後方の点301まで踵部分16を通って延びる実質的に平坦な領域312を任意選択で備え得る。湾曲領域310は、MTP点320の一方の側から延びる前方湾曲部分322と、MTP点320の他方の側から延びる後方湾曲部分324とを定めるために、MTP点320を中心とした曲率半径と関連付けられる。例えば、前方湾曲部分322は、MTP点320と板300の最前方の点(AMP:anterior-most point)302(例えば、第2の端302)との間で延び、一方、後方湾曲部分324は、MTP点320と、湾曲領域310と平坦領域312との結合に配置される後部点326との間で延びる。一部の例では、前方湾曲部分322と後方湾曲部分324とは、MTP点320に関して鏡写しとされる同じ曲率半径で関連付けられる。他の例では、前方湾曲部分322と後方湾曲部分324とは、異なる曲率半径で各々関連付けられる。一部の構成では、後方湾曲部分324の一部分は、前方湾曲部分322と同じ曲率半径に関連付けられる。したがって、湾曲部分322、324は、同じであり得る、または、互いに異なり得る対応する曲率半径を各々備え得る。一部の例では、曲率半径は、少なくとも2パーセント(2%)だけ互いに異なる。湾曲領域322、324についての曲率半径は、200ミリメートル(mm)から約400mmまでの範囲であり得る。一部の構成では、前方湾曲部分322は、湾曲部分322、324が同じ曲率半径を定め、同じ頂点を共有するように後方湾曲部分324の湾曲に続く曲率半径を備える。追加または代替で、板は、後方湾曲部分324を板300の実質的に平坦な領域312に連結する曲率半径を定め得る。ここで用いられるとき、「実質的に平坦」という用語は、水平に対して5度以内、つまり、地上面との平行に対して5度以内の平坦な領域312を参照している。
【0052】
MTP点320は、アウトソール210の内面214に最も近い履物板300の点であり、一方、板300の後部点326およびAMP302は、MTP点320よりアウトソール210から離れて配置される。一部の構成では、最後方の点301とAMP302とは同一平面上にある。一部の例では、板300のMTP点320は、足がアッパー100の内部空所102内に受け入れられるとき、足のMTP関節の直ぐ下方に配置される。他の例では、MTP点320は、MTP関節よりソール構造200のつま先の端から遠くにある場所に配置される。湾曲領域310の前方湾曲部分322および後方湾曲部分324はそれぞれ、足のMTP関節に近接してエネルギー損失を低減する長手方向の剛性を板300に提供すると共に、ランニング運動中に足の回転を高めて、それによってレバーアーム距離を縮小し、足首関節における負担を軽減する。
【0053】
一部の実施では、AMP302および後部点326は、位置高さHに実質的に等しい距離で、MTP点320の上方に位置する。ここで、位置高さHは、ソール構造200の長手方向軸Lに対して実質的に垂直な方向でMTP点320から延びる。高さHは約3ミリメートル(mm)から約28mmまでの範囲である。別の例では、高さHは約3mmから約17mmまでの範囲である。一例では、高さHは約17mmに等しい。したがって、前方湾曲部分322の上方にある足のつま先は、前方湾曲部分322がMTP点320からAMP302に向かってアウトソール210から離れるように延びるため、上向きに付勢され得る。追加または代替で、前方湾曲部分322の長さLAが後方湾曲部分324の長さLPと実質的に等しくてもよい。ここで用いられるとき、LAおよびLPは、MTP点320と、AMP302および後部点326のそれぞれ一方との間で、長手方向軸Lと実質的に平行に延びる線に沿って、各々測定される。別の言い方をすれば、長さLAおよびLPは、MTP点320と、AMP302および後部点326の対応する一方との間の距離と、各々関連付けられる。一部の構成では、LAおよびLPは板300の全長の約30パーセント(30%)に各々等しく、一方、平坦領域312の長さは板300の全長の残りの40パーセント(40%)を占める。別の構成では、LAは板300の全長の約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までに等しく、LPは板300の全長の約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までに等しく、平坦領域312の長さが残りに等しい。他の構成では、LAと、LPと、平坦領域312の長さとは実質的に等しい。湾曲領域310の曲率半径を変えることで、長さLAおよびLPならびに/または最前方の点302および後部点326の高さ(H)をMTP点320に対して変えさせる。例えば、曲率半径を小さくすることで、MTP点320とAMP302との間の角度を大きくさせると共に、MTP点320の上方でのAMP302の高さHも大きくさせる。湾曲部分322、324が異なる曲率半径を各々備える場合の構成では、対応する長さLAおよびLPおよび/またはMTP点320からの高さは異なり得る。したがって、湾曲領域310の曲率半径は、異なる靴の大きさに対して変わってもよく、履物10の意図された使用に応じて変わってもよく、および/または、着用による着用者に基づく足の解剖学的特徴に基づいて変わってもよい。
【0054】
一部の実施では、MTP点320は、AMP302から板の全長のおおよそ30パーセント(30%)に位置する。湾曲領域310の曲率半径の中心は、MTP点320に位置し得る。一部の例では、湾曲領域310(例えば、凹部分)は、AMP302からMTP点320を越えて延びる一定の曲率半径と関連付けられる。これらの例では、一定の曲率半径は、AMP302からの板300の全長の少なくとも40パーセント(40%)で、AMP302からMTP点を越えて延びてもよい。
【0055】
図4図6は、アッパー100と、アッパー100に付着されたソール構造200aとを備える履物10aの物品を提供している。履物10aの物品に関して、履物10の物品と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0056】
ソール構造200aは、積層の構成で配置されるアウトソール210と、第1の緩衝部材250aと、履物板300と、第2の緩衝部材270と、ミッドソール220aとを備え得る。図5は、長手方向軸Lを定めるソール構造200a(例えば、アウトソール210、緩衝部材250a、270、板300、ミッドソール220a)を示す履物10aの物品の分解図を提供している。アウトソール210は、地上係合面212とは反対のアウトソール210の側に配置される内面214を備える。ミッドソール220aは、中底224とは反対のミッドソール220aの側に配置され、アウトソール210の内面214に対向する底面222aを備える。
【0057】
第1の緩衝部材250a、履物板300、および第2の緩衝部材270は、ミッドソール220aをアウトソール210から分離するために、内面214と底面222aとの間に配置される。例えば、第1の緩衝部材250aは、アウトソール210の内面214によって受け入れられる底面252と、底面252とは反対の第1の緩衝部材250aの側に配置され、ミッドソール220aと対向する上面254aとを備えて、その上の履物板300を支える。第2の緩衝部材270は、第1の緩衝部材とは反対の履物板300の側に配置される。例えば、第2の緩衝部材270は、履物板300と対向する底面272と、底面272とは反対の第2の緩衝部材270の側に配置され、ミッドソール220aの底面222aと対向する上面274とを備える。上面274は、内部空所102内で足の底面(例えば、足底)の輪郭に合致するように輪郭付けられ得る。図1図3の緩衝部材250と同様に、第2の緩衝部材270は、第2の緩衝部材270の周辺の少なくとも一部分を包囲する側壁230aを定め得る。側壁230aは、第2の緩衝部材270がミッドソール220aに付着するとき、ミッドソール220aの周辺の周りで延びる周縁を定め得る。
【0058】
一部の構成では、第1の緩衝部材250aおよび第2の緩衝部材270それぞれの全体の厚さは、図1図3の履物10の物品の緩衝部材250の厚さに等しい。第1の緩衝部材250aの厚さは、第2の緩衝部材270の厚さと同じであり得る、または、異なり得る。第1の緩衝部材250aおよび第2の緩衝部材270は、履物板300がアウトソール210の内面214とミッドソール220aの底面222aとの両方から離間されるように、履物板300を間に埋め込むかまたは挟むように機能する。したがって、緩衝部材250a、270、および板300は、ミッドソール220aの底面222aとアウトソール210の内面214との間の空間の全体の容積を実質的に占め得る。
【0059】
緩衝部材250a、270は、ミッドソール220aとアウトソール210との間で弾力的に圧縮し得る。緩衝部材250a、270は、図1図3の緩衝部材250を形成する同じ1つまたは複数の材料から形成され得るポリマー発泡体の平板から各々形成され得る。例えば、緩衝部材250a、270は、EVAコポリマー、ポリウレタン、ポリエーテル、オレフィンブロックコポリマー、PEBAコポリマー、および/またはTPUのうちの1つまたは複数から形成され得る。一部の実施では、緩衝部材250a、270は異なる緩衝特性を提供する。例えば、第1の緩衝部材250aは、板300が地上面と接触することになるのを防止するために、加えられる荷重の下で弾性的に圧縮でき、一方、第2の緩衝部材270は、地面反力を弱め、着用者の足のための快適性を高めるために、足のために柔らかい種類の緩衝のレベルを提供できる。ソール構造200aは、地面反力に反応しての履物10aの緩衝特性を高めるために、ソール構造の少なくとも1つの部分12、14、16において、履物板300と第1の緩衝部材250aとの間に流体充填袋400を組み込んでもよい。例えば、袋400は、空気、窒素、ヘリウム、六フッ化硫黄、または液体/ゲルなどの加圧された流体で充填され得る。したがって、板300と流体充填袋400とによって分離された緩衝部材250a、270は、加えられる荷重の変化によって変わる履物10aの物品への勾配のある緩衝を提供するために協働できる(つまり、荷重がより大きくなると、緩衝部材250a、270はより大きく圧縮、したがって、履物はより素早く反応して振る舞う)。緩衝部材250a、270は、約0.05g/cm3から約0.20g/cm3までの範囲内の密度を含み得る。一部の例では、緩衝部材250a、270の密度はおおよそ0.1g/cm3である。さらに、緩衝部材250a、270は、約11ショアAから約50ショアAまでの範囲内の硬度を備え得る。緩衝部材250a、270を形成する1つまたは複数の材料は、少なくとも60パーセント(60%)のエネルギーの戻りを提供するのに適切であり得る。
【0060】
履物板300は、緩衝部材250a、270の長さと同じであり得る、または、それ未満であり得る、第1の端301と第2の端302(例えば、AMP302)との間で延びる長さを定める。板300の長さ、幅、および厚さは、第1の緩衝部材250aの上面254と第2の緩衝部材270の底面272の間の空間の容積を実質的に占めてもよく、ソール構造200aの前足部分12、中間足部分14、および踵部分16のそれぞれを通じて延び得る。一部の例では、板300は、ソール構造200aの前足部分12および中間足部分14を通じて延びるが、踵部分16にはない。一部の例では、履物板300の周辺の縁は、履物10aの外側部18および/または内側部20に沿って見られる。一部の実施では、第1の緩衝部材250aの上面254と第2の緩衝部材270の底面272とは、滑らかであり、履物板300が緩衝部材250a、270の各々と面一で合致するように、履物板300の両側の表面輪郭に合致するように輪郭付けられた表面輪郭を含む。
【0061】
図1図3を参照して前述したように、履物板300は、異方性であってもなくてもよい均一で局所的な剛性を備え得る。例えば、板300は、カーボン繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維、およびポリマー繊維のうちの少なくとも1つを含む繊維の1つもしくは複数の層および/またはトウから形成され得る。したがって、板300は、長手方向軸Lに対して横断する(例えば、垂直の)方向での剛性より、ソール構造の長手方向に沿ってより大きい厚さを提供し得る。例えば、横断方向における板300の剛性は、長手方向における板300の剛性より少なくとも10パーセント小さくてもよい、または、(例えば、長手方向軸Lと平行な)長手方向に沿う板300の厚さのおおよそ10パーセントから20パーセントであり得る。さらに、板300は、板300にわたって約0.6mmから約3.0mmまでの範囲内の実質的に均一な厚さ、または、例えば、中間足部分14における板300の厚さが前足部分12および踵部分16における厚さより大きいといった、板にわたって変わる不均一の厚さを備え得る。
【0062】
図6は、第1の緩衝部材250aと第2の緩衝部材270との間に配置される履物板300を示す図4の線6-6に沿って切り取られた部分断面図を提供しており、それぞれ第1の緩衝部材250aはアウトソール210と履物板300との間に配置され、第2の緩衝部材270はミッドソール220aと履物板300との間に配置されている。インソール260は、足の下で内部空所102内の中底224上に配置され得る。第1の緩衝部材250aは、袋400を封入し得る、または、袋400を受け入れるための切り欠きを定め得る一方、板300の一部分は、袋400と直に接触し得る。一部の構成では、第1の緩衝部材250aは、ソール構造200aの踵部分16において、前足部分12においてより大きい厚さを定め、上面254は、その上に支持される履物板300の表面輪郭に合致するように輪郭付けられた表面輪郭を備える。第2の緩衝部材270は、第1の緩衝部材250aと協働して、それらの間に履物板300を封入するための空間を定め得る。例えば、第2の緩衝部材270の底面272の一部分と、第1の緩衝部材250aの上面254の一部分とは、履物板300を保持するための空所を定めるために窪まされてもよい。一部の実施では、第2の緩衝部材270の厚さは、前足部分12および中間足部分14のそれぞれにおいて、第1の緩衝部材250aの厚さより大きい。有利には、前足部分12および中間足部分14のそれぞれにおいて第2の緩衝部材270によって提供される厚さの増加は、足のMTP関節と履物板300との間の分離距離を大きくし、したがって、履物10aがランニング動作/運動を実施するとき、地面反力に反応しての履物10aの緩衝特性を高める。一部の構成では、第2の緩衝部材270の厚さは、板300のMTP点320と対向する場所において、第1の緩衝部材250aの厚さより大きい。これらの構成では、第2の緩衝部材270は、板300のMTP点320と対向する場所において、約3.0mmから約13.0mmまでの範囲内の値に等しい最大厚さを定め得る。一例では、最大厚さはおおよそ10.0mmに等しい。第2の緩衝部材270の厚さは、AMP302に近接しての第2の緩衝部材270の厚さがMTP点320に近接しての最大厚さよりおおよそ60パーセント(60%)小さくなるように、MTP点320からAMP302に向かう方向に沿って薄くなってもよい。一方、第1の緩衝部材250aは、約0.5mmから約6.0mmまでの範囲内の値に等しい最小厚さをMTP点320と対向する場所において定めてもよい。一例では、最小厚さはおおよそ3.0mmに等しい。
【0063】
履物板300は、前足部分12と中間足部分14とを通じて延びる湾曲領域310を含み、任意選択で、踵部分16を通じて湾曲領域310における後部点326から板300の最後方の点301まで延びる実質的に平坦な領域312を含んでもよい。湾曲領域310の曲率半径は、MTP点320と、ソール構造200aのつま先の端におけるAMP302との間で延びる前方湾曲部分322と、MTP点320と後部点326との間で延びる後方湾曲部分324とを定める。一部の構成では、前方湾曲部分322と後方湾曲部分324とは、MTP点320に関して鏡写しとされる同じ曲率半径を各々含む。他の構成では、湾曲部分322、324は異なる曲率半径で各々関連付けられる。したがって、湾曲部分322、324は、同じであり得る、または、互いに異なり得る対応する曲率半径を各々備え得る。一部の例では、曲率半径は、少なくとも2パーセント(2%)だけ互いに異なる。湾曲領域322、324についての曲率半径は、約200ミリメートル(mm)から約400mmまでの範囲であり得る。一部の構成では、前方湾曲部分322は、湾曲部分322、324が同じ曲率半径を定め、同じ頂点を共有するように後方湾曲部分324の湾曲に続く曲率半径を備える。追加または代替で、板は、後方湾曲部分324を板300の実質的に平坦な領域312に連結する曲率半径を定め得る。ここで用いられるとき、「実質的に平坦」という用語は、水平に対して5度以内、つまり、地上面との平行に対して5度以内の平坦領域312を参照している。
【0064】
湾曲領域322、324が、板300の全長の約30パーセント(30%)を各々占め得る一方、平坦領域312の長さは板300の長さの残りの40パーセント(40%)を占め得る。湾曲領域310の前方湾曲部分322および後方湾曲部分324はそれぞれ、足のMTP関節に近接してエネルギー損失を低減する長手方向の剛性を板300に提供すると共に、ランニング運動中に足の回転を高めて、それによってレバーアーム距離を縮小し、足首関節における負担を軽減する。AMP302および後部点326は、MTP点320の上方に位置し、位置高さHに実質的に等しい距離で、MTP点320の上方に位置し得る。さらに、前方湾曲部分322の長さLAと後方湾曲部分324の長さLPとは(例えば、MTP点320と、AMP302および後部点326のそれぞれ一方との間で、長手方向軸Lと実質的に平行に延びる線に沿って測定される)、互いに実質的に等しくてもよい、または、異なってもよい。図1図3を参照して前述したように、湾曲領域310の曲率半径を変えることで、長さLAおよびLPならびに/または最前方の点302および後部点326の高さ(H)をMTP点320に対して変えさせる。そのようにするとき、板300の剛性は、着用者の靴の大きさ、履物10の意図される使用、および/または、着用者の足の解剖学的特徴のために仕立てられた特別注文の履物板300を提供するために変わり得る。
【0065】
図7図9は、アッパー100と、アッパー100に付着されたソール構造200bとを備える履物10bの物品を提供している。履物10bの物品に関して、履物10の物品と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0066】
図8は、アウトソール210bと、緩衝部材250bと、積層の構成で配置され、長手方向軸Lを定めるミッドソール220bとを備えるソール構造200bを示す履物10bの物品の分解図を提供している。アウトソール210bは、地上係合面212とは反対のアウトソール210bの側に配置される内面214bを備える。ミッドソール220bは、中底224とは反対のミッドソール220bの側に配置される底面222bを備える。緩衝部材250bは、ミッドソール220bをアウトソール210bから分離するために、内面214bと底面222bとの間に配置される。例えば、緩衝部材250bは、アウトソール210の内面214bと対向する底面252bと、底面252bとは反対の緩衝部材250bの側に配置され、ミッドソール220bと対向する上面254bとを備える。上面254bは、内部空所102内で底面(例えば、足の足底)の輪郭に合致するように輪郭付けられ得る。図1図3の物品の緩衝部材250と同様に、緩衝部材250bは、緩衝部材250bの周辺の少なくとも一部分を包囲する側壁230bを定め得る。側壁230bは、緩衝部材250bがミッドソール220bに付着するとき、ミッドソール220bの周辺の周りで延びる周縁を定め得る。
【0067】
緩衝部材250bは、ミッドソール220bとアウトソール210bとの間で弾力的に圧縮でき、図1図3の緩衝部材250を形成する同じ1つまたは複数の材料から形成され得る。例えば、緩衝部材250bは、EVAコポリマー、ポリウレタン、ポリエーテル、オレフィンブロックコポリマー、PEBAコポリマー、および/またはTPUのうちの1つまたは複数から形成され得る。ソール構造200bは、地面反力に反応しての履物10bの緩衝特性を高めるために、ソール構造の少なくとも1つの部分12、14、16において、履物板300と緩衝部材250bとの間に流体充填袋400を組み込んでもよい。例えば、袋400は、空気、窒素、ヘリウム、六フッ化硫黄、または液体/ゲルなどの加圧された流体で充填され得る。
【0068】
一部の構成では、緩衝部材250bは、ソール構造200bの踵部分16において、上面254bと底面252bとの間の内部部分内に、空洞240b(例えば、スリーブ)を定める。図9は、緩衝部材250bの空洞240b内に受け入れられる履物板300の実質的に平坦な領域312と、緩衝部材250bの底面252bとアウトソール210bの内面214bとの間で空洞240bから露出される湾曲領域310とを示す図7の9-9に沿って切り取られた部分断面図を提供している。図9は、板300の実質的に平坦な部分312を受け入れるための空洞240bへのアクセス開口242を定める緩衝部材250bの底面252bを示している。空洞240bは、流体充填袋400を埋め込むために、緩衝部材250b内に形成される切り欠きと隣接していてもよい。したがって、図7図9の履物10bの物品によって組み込まれるソール構造200bは、踵部分16においてアウトソール210bの内面214bに貼り付く緩衝部材250bの底面252bを備え、一方、アクセス開口242において緩衝部材250bの空洞240bから延び出す板300の湾曲領域310は、前足部分12および中間足部分14のそれぞれにおいて内面214bと直に接触している。したがって、緩衝部材250bによって定められる空洞240bは、板300の少なくとも一部分(例えば、平坦領域312)を中に埋め込む/封入するように機能する。図1図3の緩衝部材250および板300と同様に、緩衝部材250bおよび板300は、ミッドソール220bの底面222bとアウトソール210bの内面214bとの間の空間の全体の容積を実質的に占め得る。
【0069】
インソール260は、足の下で内部空所102内の中底224上に配置され得る。緩衝部材250bは、袋400を封入し得る、または、袋400を受け入れるための切り欠きを定め得る一方、板300の一部分は、袋400と直に接触し得る。袋400を受け入れる切り欠きは、緩衝部材250bを通じて形成される空洞240bと隣接していてもよい。一部の構成では、緩衝部材250bは、前足部分12においてよりも、ソール構造200bの踵部分16において大きな厚さを定める。一部の例では、ミッドソール220bの底面222bと板300とを分離する緩衝部材250bの厚さは、板300の実質的に平坦な領域312に近接する場所においてよりも、板300の湾曲領域310に近接する場所において大きい。これらの例では、緩衝部材250bは、足のMTP関節が、ランニング動作/運動を実施する間、履物10bの使用中に板300と接触することが防止されるように、板300とミッドソール220bとの間の分離距離を増加させるように機能する。緩衝部材250bは、ソール構造200bの前足部分12における厚さを、約7ミリメートル(mm)から約20mmまでの範囲内で定め得る。一例では、前足部分12における緩衝部材250bの厚さは、約12mmである。緩衝部材250bは、1立方センチメートルあたり約0.05グラム(g/cm3)から約0.20g/cm3までの範囲内の密度を含み得る。一部の例では、緩衝部材250bの密度はおおよそ0.1g/cm3である。さらに、緩衝部材250bは、約11ショアAから約50ショアAまでの範囲内の硬度を備え得る。緩衝部材250bを形成する1つまたは複数の材料は、少なくとも60パーセント(60%)のエネルギーの戻りを提供するのに適切であり得る。
【0070】
図1図3を参照して前述したように、履物板300は、異方性であってもなくてもよい均一で局所的な剛性を備え得る。例えば、板300は、カーボン繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維、およびポリマー繊維のうちの少なくとも1つを含む繊維の1つもしくは複数のトウから形成され得る。したがって、板300は、長手方向軸Lに対して横断する(例えば、垂直の)方向での剛性より、ソール構造の長手方向に沿ってより大きい厚さを提供し得る。例えば、横断方向における板300の剛性は、(例えば、長手方向軸Lと平行な)長手方向に沿った板300の厚さのおおよそ10パーセントから20パーセントであり得る。さらに、板300は、板300にわたって約0.6mmから約3.0mmまでの範囲内の実質的に均一な厚さ、または、例えば、中間足部分14における板300の厚さが前足部分12および踵部分16における厚さより大きいといった、板にわたって変わる不均一の厚さを備え得る。一部の例では、板300は約1.0mmに等しい厚さを備える。
【0071】
湾曲領域310の曲率半径は、MTP点320と、ソール構造200bのつま先の端におけるAMP302との間で延びる前方湾曲部分322と、MTP点320と後部点326との間で延びる後方湾曲部分324とを定める。一部の構成では、前方湾曲部分322と後方湾曲部分324とは、MTP点320に関して鏡写しとされる同じ曲率半径を各々含む。他の構成では、湾曲部分322、324は異なる曲率半径で各々関連付けられる。湾曲部分322、324が、板300の全長の約30パーセント(30%)を各々占め得る一方、平坦領域312の長さは板300の長さの残りの40パーセント(40%)を占め得る。湾曲領域310の前方湾曲部分322および後方湾曲部分324はそれぞれ、足のMTP関節に近接してエネルギー損失を低減する長手方向の剛性を板300に提供すると共に、ランニング運動中に足の回転を高めて、それによってレバーアーム距離を縮小し、足首関節における負担を軽減する。AMP302および後部点326は、MTP点320の上方に位置し、位置高さHに実質的に等しい距離で、MTP点320の上方に位置し得る。さらに、前方湾曲部分322の長さLAと後方湾曲部分324の長さLPとは(例えば、MTP点320と、AMP302および後部点326のそれぞれ一方との間で、長手方向軸Lと実質的に平行に延びる線に沿って測定される)、互いに実質的に等しくてもよい、または、異なってもよい。図1図3を参照して前述したように、湾曲領域310の曲率半径を変えることで、長さLAおよびLPならびに/または最前方の点302および後部点326の高さ(H)をMTP点320に対して変えさせる。そのようにするとき、板300の剛性は、着用者の靴の大きさ、履物10の意図される使用、および/または、着用者の足の解剖学的特徴のために仕立てられた特別注文の履物板300を提供するために変わり得る。
【0072】
図10図12は、アッパー100と、アッパー100に付着されたソール構造200cとを備える履物10cの物品を提供している。履物10cの物品に関して、履物10の物品と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0073】
図11は、アウトソール210cと、緩衝部材250cと、積層の構成で配置され、長手方向軸Lを定めるミッドソール220cとを備えるソール構造200cを示す履物10cの物品の分解図を提供している。アウトソール210cは、地上係合面212とは反対のアウトソール210cの側に配置される内面214cを備える。ミッドソール220cは、中底224とは反対のミッドソール220cの側に配置される底面222cを備える。緩衝部材250cは、ミッドソール220cをアウトソール210cから分離するために、内面214cと底面222cとの間に配置される。例えば、緩衝部材250cは、アウトソール210cの内面214cと対向する底面252cと、底面252cとは反対の緩衝部材250cの側に配置され、ミッドソール220cと対向する上面254cとを備える。上面254cは、内部空所102内で足の底面(例えば、足底)の輪郭に合致するように輪郭付けられ得る。図1図3の物品の緩衝部材250と同様に、緩衝部材250cは、緩衝部材250cの周辺の少なくとも一部分を包囲する側壁230cを定め得る。側壁230cは、緩衝部材250cがミッドソール220cに付着するとき、ミッドソール220cの周辺の周りで延びる周縁を定め得る。
【0074】
緩衝部材250cは、ミッドソール220cとアウトソール210cとの間で弾力的に圧縮でき、図1図3の緩衝部材250を形成する同じ1つまたは複数の材料から形成され得る。例えば、緩衝部材250cは、EVAコポリマー、ポリウレタン、ポリエーテル、オレフィンブロックコポリマー、PEBAコポリマー、および/またはTPUのうちの1つまたは複数から形成され得る。ソール構造200cは、地面反力に反応しての履物10cの緩衝特性を高めるために、ソール構造200cの少なくとも1つの部分12、14、16において、履物板300と緩衝部材250cとの間に流体充填袋400を組み込んでもよい。例えば、袋400は、空気、窒素、ヘリウム、六フッ化硫黄、または液体/ゲルなどの加圧された流体で充填され得る。緩衝部材250cは、1立方センチメートルあたり約0.05グラム(g/cm3)から約0.20g/cm3までの範囲内の密度を含み得る。一部の例では、緩衝部材250cの密度はおおよそ0.1g/cm3である。さらに、緩衝部材250cは、約11ショアAから約50ショアAまでの範囲内の硬度を備え得る。緩衝部材250cを形成する1つまたは複数の材料は、少なくとも60パーセント(60%)のエネルギーの戻りを提供するのに適切であり得る。
【0075】
一部の構成では、緩衝部材250cは、ソール構造200cの前足部分12と中間足部分14とのそれぞれにおいて、上面254cと底面252cとの間の内部部分内に、空洞240c(例えば、スリーブ)を定める。図12は、緩衝部材250cの空洞240c内に受け入れられる履物板300の湾曲領域310と、緩衝部材250cの上面254cとミッドソール220cの底面222cとの間で空洞240cから露出される実質的に平坦な領域312とを示す図10の12-12に沿って切り取られた部分断面図を提供している。図12は、板300の湾曲領域310を受け入れるための空洞240cへのアクセス開口242cを定める緩衝部材250cの上面254cを示している。したがって、図10図12の履物10cの物品によって組み込まれるソール構造200cは、前足部分12と中間足部分14とのそれぞれにおいてミッドソール220cの底面222cに貼り付く緩衝部材250cの上面254cを備え、一方、アクセス開口242cにおいて緩衝部材250cの空洞240cから延び出す板300の実質的に平坦な領域312は、踵部分16において底面222cと直に接触している。緩衝部材250cの底面252c全体がアウトソール210cの内面214cに貼り付く。したがって、緩衝部材250cによって定められる空洞240cは、板300の少なくとも一部分(例えば、湾曲領域310)を中に埋め込む/封入するように機能する。別の言い方をすれば、足のMTP関節を支持する板の湾曲領域310は、空洞240cの両側における緩衝部材250cのそれぞれの部分によって、アウトソール210cおよびミッドソール220cから分離される。図1図3の緩衝部材250および板300と同様に、緩衝部材250cおよび板300は、ミッドソール220cの底面222cとアウトソール210cの内面214cとの間の空間の全体の容積を実質的に占め得る。インソール260は、足の下で内部空所102内の中底224上に配置され得る。緩衝部材250cは、袋400を封入し得る、または、袋400を受け入れるための切り欠きを定め得る一方、板300の一部分は、袋400と直に接触し得る。一部の構成では、緩衝部材250cは、前足部分12においてよりも、ソール構造200cの踵部分16において大きな厚さを定める。緩衝部材250cは、ソール構造200cの前足部分12における厚さを、約7ミリメートル(mm)から約20mmまでの範囲内で定め得る。一例では、前足部分12における緩衝部材250cの厚さは、約12mmである。一部の実施では、前足部分12における板300とミッドソール220cの底面222cとの間の緩衝部材250cの厚さは、約3mmから約28mmまでの範囲内である。追加または代替で、前足部分12における板300とアウトソール210cの内面214cとの間の緩衝部材250cの厚さは、約2mmから約13mmまでの範囲内である。
【0076】
図1図3を参照して前述したように、履物板300は、異方性であってもなくてもよい均一で局所的な剛性を備え得る。例えば、板300は、カーボン繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維、およびポリマー繊維のうちの少なくとも1つを含む繊維の1つもしくは複数のトウから形成され得る。したがって、板300は、長手方向軸Lに対して横断する(例えば、垂直の)方向での剛性より、ソール構造の長手方向に沿ってより大きい厚さを提供し得る。例えば、横断方向における板300の剛性は、(例えば、長手方向軸Lと平行な)長手方向に沿った板300の厚さのおおよそ10パーセントから20パーセントであり得る。さらに、板300は、板300にわたって約0.6mmから約3.0mmまでの範囲内の実質的に均一な厚さ、または、例えば、中間足部分14における板300の厚さが前足部分12および踵部分16における厚さより大きいといった、板にわたって変わる不均一の厚さを備え得る。
【0077】
湾曲領域310の曲率半径は、MTP点320と、ソール構造200aのつま先の端におけるAMP302との間で延びる前方湾曲部分322と、MTP点320と後部点326との間で延びる後方湾曲部分324とを定める。一部の構成では、前方湾曲部分322と後方湾曲部分324とは、MTP点320に関して鏡写しとされる同じ曲率半径を各々含む。他の構成では、湾曲部分322、324は異なる曲率半径で各々関連付けられる。湾曲領域322、324が、板300の全長の約30パーセント(30%)を各々占め得る一方、平坦領域312の長さは板300の長さの残りの40パーセント(40%)を占め得る。湾曲領域310の前方湾曲部分322および後方湾曲部分324はそれぞれ、足のMTP関節に近接してエネルギー損失を低減する長手方向の剛性を板300に提供すると共に、ランニング運動中に足の回転を高めて、それによってレバーアーム距離を縮小し、足首関節における負担を軽減する。他の構成では、湾曲部分322、324は、板300の全長の約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までを各々占め得る。AMP302および後部点326は、MTP点320の上方に位置し、位置高さHに実質的に等しい距離で、MTP点320の上方に位置し得る。さらに、前方湾曲部分322の長さLAと後方湾曲部分324の長さLPとは(例えば、MTP点320と、AMP302および後部点326のそれぞれ一方との間で、長手方向軸Lと実質的に平行に延びる線に沿って測定される)、互いに実質的に等しくてもよい、または、異なってもよい。図1図3を参照して前述したように、湾曲領域310の曲率半径を変えることで、長さLAおよびLPならびに/または最前方の点302および後部点326の高さ(H)をMTP点320に対して変えさせる。そのようにするとき、板300の剛性は、着用者の靴の大きさ、履物10の意図される使用、および/または、着用者の足の解剖学的特徴のために仕立てられた特別注文の履物板300を提供するために変わり得る。
【0078】
図13図15は、アッパー100と、アッパー100に付着されたソール構造200dとを備える履物10dの物品を提供している。履物10dの物品に関して、履物10の物品と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0079】
図14は、アウトソール210dと、緩衝部材250dと、積層の構成で配置され、長手方向軸Lを定めるミッドソール220dとを備えるソール構造200dを示す履物10dの物品の分解図を提供している。アウトソール210dは、地上係合面212とは反対のアウトソール210dの側に配置される内面214dを備える。ミッドソール220dは、中底224とは反対のミッドソール220dの側に配置される底面222dを備える。緩衝部材250dは、ミッドソール220dをアウトソール210dから分離するために、内面214dと底面222dとの間に配置される。例えば、緩衝部材250dは、アウトソール210dの内面214dと対向する底面252dと、底面252dとは反対の緩衝部材250dの側に配置され、ミッドソール220dと対向する上面254dとを備える。上面254dは、内部空所102内で足の底面(例えば、足底)の輪郭に合致するように輪郭付けられ得る。図1図3の緩衝部材250と同様に、緩衝部材250dは、緩衝部材250dの周辺の少なくとも一部分を包囲する側壁230dを定め得る。側壁230dは、緩衝部材250dがミッドソール220dに付着するとき、ミッドソール220dの周辺の周りで延びる周縁を定め得る。緩衝部材250dは、ミッドソール220dとアウトソール210dとの間で弾力的に圧縮でき、図1図3の緩衝部材250を形成する同じ1つまたは複数の材料から形成され得る。例えば、緩衝部材250dは、EVAコポリマー、ポリウレタン、ポリエーテル、オレフィンブロックコポリマー、PEBAコポリマー、および/またはTPUのうちの1つまたは複数から形成され得る。緩衝部材250dは、1立方センチメートルあたり約0.05グラム(g/cm3)から約0.20g/cm3までの範囲内の密度を含み得る。一部の例では、緩衝部材250dの密度はおおよそ0.1g/cm3である。さらに、緩衝部材250dは、約11ショアAから約50ショアAまでの範囲内の硬度を備え得る。緩衝部材250dを形成する1つまたは複数の材料は、少なくとも60パーセント(60%)のエネルギーの戻りを提供するのに適切であり得る。
【0080】
一部の構成では、緩衝部材250dは、ソール構造200dの前足部分12と中間足部分14とのそれぞれにおいて、上面254dと底面252dとの間の内部部分内に、空洞240d(例えば、スリーブ)を定める。これの構成において、緩衝部材250dの底面252dは、前足部分12と中間足部分14とのそれぞれにおける厚さと比較して、踵部分16における緩衝部材250dについて小さくされた厚さを定めるために、上面254dに向かって漸次的である。
【0081】
図15は、緩衝部材250dの空洞240d内に受け入れられる履物板300の湾曲領域310と、緩衝部材250dの底面252dとアウトソール210dの内面214dとの間で空洞240dから露出される実質的に平坦な領域312とを示す図13の15-15に沿って切り取られた部分断面図を提供している。図10図12の緩衝部材250cの上面254cは空洞240cへのアクセス開口242cを定めているが、緩衝部材250dの底面252dは、板300の湾曲領域310を受け入れるための空洞240dへのアクセス開口242dを定める。したがって、緩衝部材250dの底面252dは、前足部分12と中間足部分14とのそれぞれにおいてアウトソール210dの内面214dに貼り付き、一方、底面252dを通って形成されるアクセス開口242dにおいて緩衝部材250dの空洞240dから延び出す板300の実質的に平坦な領域312は、踵部分16において内面214dと直に接触している。一部の例では、板300の後部点326は、湾曲領域310と実質的に平坦な領域312との間に配置され、湾曲領域310を実質的に平坦な領域312へと連結する融合部分内に配置され、緩衝部材250dの底面252dは、板300の融合部分に近接する場所において、上面254dに向かって上向きに漸次的である。図15は、緩衝部材250dの底面252dが上面254dに向かって漸次的となるにつれて、アウトソール210dが板300と接触するように漸次的となっていることも示している。例えば、アウトソール210dは、板300がアクセス開口242dを通じて延びる場所に近接する場所において板300の実質的に平坦な領域312と接触するように漸次的となる。したがって、緩衝部材250dによって定められる空洞240dは、板300の少なくとも一部分(例えば、湾曲領域310)を中に埋め込む/封入するように機能する。別の言い方をすれば、足のMTP関節を支持する板の湾曲領域310は、空洞240dの両側における緩衝部材250dのそれぞれの部分によって、アウトソール210dおよびミッドソール220dから分離される。図1図3の緩衝部材250および板300と同様に、緩衝部材250dおよび板300は、ミッドソール220dの底面222dとアウトソール210dの内面214dとの間の空間の全体の容積を実質的に占め得る。インソール260は、足の下で内部空所102内の中底224上に配置され得る。緩衝部材250dは、ソール構造200dの前足部分12における厚さを、約7ミリメートル(mm)から約20mmまでの範囲内で定め得る。一例では、前足部分12における緩衝部材250dの厚さは、約12mmである。一部の実施では、前足部分12における板300とミッドソール220dの底面222dとの間の緩衝部材250dの厚さは、約3mmから約28mmまでの範囲内である。追加または代替で、前足部分12における板300とアウトソール210dの内面214dとの間の緩衝部材250dの厚さは、約2mmから約13mmまでの範囲内である。
【0082】
図16図18は、履物板300の代わりに、図1図15の履物10、10a、10b、10c、および10dの物品のうちのいずれか1つへと組み込まれ得る履物板300aを提供している。履物板300aに関して、履物板300と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0083】
図16は、板300aの最後方の点に対応する第1の端301と、板300aの最前方の点(AMP)に対応する第2の端302との間で延びる長さを定める履物板300aの上からの斜視図を提供している。「第1の端」および「最後方の点」という用語は、ここでは置き換え可能に使用されている。板300aの「第2の端」および「AMP」という用語は、ここでは置き換え可能に使用されている。履物板300aは、つま先区分362と、MTP区分364と、ブリッジ区分366と、踵区分368とを定めるように長さにわたって区分けされ得る。つま先区分362は足のつま先に対応し、MTP区分は、中足骨を足の指骨と連結するMTP関節に対応する。板300aのつま先区分362およびMTP区分364は、図1図15のソール構造200~200dの前足部分12に対応し得る。ブリッジ区分366は、足の土踏まずと一致し、MTP区分364を踵区分368に連結する。板300aが図1図15のソール構造200~200dに組み込まれるとき、ブリッジ区分366は中間足部分14に対応でき、踵区分368は踵部分16に対応できる。図16は、湾曲領域310(区分362、364、366を含む)と、実質的に平坦な領域312(区分368を含む)とを含む履物板300aを示している。
【0084】
図17図16の履物板300aの側面図を提供しており、地上面(図示していない)と実質的に平行に延びる水平の基準平面RPへの履物板300aの最も近い点としてMTP点320を示している。例えば、MTP点320は水平の基準平面RPに接しており、足が履物10~10dの内部空所102によって受け入れられるときに足のMTP関節の直ぐ下に配置され得る。別の構成では、MTP点320は、前方湾曲部分322が足のMTP関節の下となるように、足のMTP関節の下で若干後ろに配置される。湾曲領域310の前方湾曲部分322は、対応する曲率半径と、MTP点320とAMP302との間の長さLAとを定めることができ、一方、湾曲領域310の後方湾曲部分324は、対応する曲率半径と、MTP点320と後部点326との間の長さLPとを定めることができる。ここで用いられるとき、LAおよびLPは、MTP点320と、AMP302および後部点326のそれぞれ一方との間で、水平の基準平面RPに沿って、各々測定される。一部の例では、前方湾曲部分322のLA(つま先区分362とMTP区分364とを含む)は、ソール構造200~200dの長さのおおよそ30パーセント(30%)を占め、後方湾曲部分324のLP(ブリッジ区分366を含む)は、ソール構造200~200dの長さのおおよそ30パーセント(30%)を占め、実質的に平坦な部分312(踵区分368を含む)は、ソール構造200~200dの長さのおおよそ40パーセント(40%)を占める。他の例では、前方湾曲部分322のLAは、ソール構造200~200dの長さの約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までの範囲内であり、後方湾曲部分324のLPは、ソール構造200~200dの長さの約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までの範囲内であり、実質的に平坦な領域312は、ソール構造200~200dの長さの残りの部分を含む。
【0085】
前方湾曲部分322と関連付けられる曲率半径は、水平の基準平面RPに対して角度α1でMTP点320から延びるAMP302をもたらす。したがって、前方湾曲部分322は、板300aのつま先区分362に、足のつま先を地上面から離れる方向に付勢させることができる。角度α1は、約12度から約35度までの範囲内の値を含み得る。一例では、角度α1は、24度におおよそ等しい値を含む。同様に、後方湾曲部分324と関連付けられる曲率半径は、水平の基準平面RPに対して角度β1でMTP点320から延びる後部点326をもたらす。角度β1は、約12度から約35度までの範囲内の値を含み得る。一例では、角度β1は、24度におおよそ等しい値を含む。一部の構成では、角度α1およびβ1は、曲率半径が互いに等しく、同じ頂点を共有するように、互いに実質的に等しい。
【0086】
一部の実施では、後部点326は、後方湾曲部分324における湾曲領域310を実質的に平坦な領域312に結合するように構成される曲率半径を含む板300の湾曲領域310に沿う融合部分328に沿って配置される。したがって、融合部分328は、湾曲領域310の一定の曲率半径と実質的に平坦な領域312との間に配置され、湾曲領域310の一定の曲率半径と実質的に平坦な領域312とを連結するように配置される。一部の例では、融合部分は実質的に一定の曲率半径を含む。融合部分328は、板の実質的に平坦な領域312を、水平の基準平面RPと(同じく地上面と)実質的に平行な方向で、第1の端301(最後方の点)と後部点326との間で延ばすことができる。後方湾曲部分324の曲率半径および融合部分328の曲率半径の結果として、後部点326は、MTP点320の上方での位置高さH1を備え得る。ここで用いられるとき、後部点326の位置高さH1は、後部点326と基準平面RPとの間で水平の基準平面RPに対して実質的に垂直な方向で延びる分離距離に対応する。一部の例では、位置高さH1は約3mmから約28mmまでの範囲内の値を含み得るが、他の例では、位置高さH1は約3mmから約17mmまでの範囲内の値を含み得る。ある例では、位置高さH1は約17mmに等しい。一部の実施では、最後方の点301とAMP302とは、融合部分328と実質的に平坦な領域312との結合において同一平面上にある。
【0087】
図18図16の履物板300aの上面図を提供しており、板300aの長さにわたって定められるつま先区分362と、MTP区分364と、ブリッジ区分366と、踵区分368とを示している。MTP点320は、つま先区分362をブリッジ区分366に結合するMTP区分364内に位置できる。後部点326は、ブリッジ区分366が踵区分368と結合する場所に近接する場所においてブリッジ区分366内に配置され得る。例えば、融合部分328の曲率半径(図17)は、後方湾曲部分324と関連付けられるブリッジ区分366を、板300aの平坦な領域312と関連付けられる踵区分368に継ぎ目なしで結合し得る。
【0088】
図19図21は、履物板300の代わりに、図1図15の履物10、10a、10b、10c、および10dの物品のうちのいずれか1つへと組み込まれ得る履物板300bを提供している。履物板300bに関して、履物板300と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0089】
図19は、板300bの第1の端301とAMP302bとの間で延びる長さを定める履物板300の上からの斜視図である。板300bは、つま先区分362と、MTP区分364と、ブリッジ区分366と、踵区分368とを定めるように長さにわたって区分けされ得る。図19は、湾曲領域310b(区分362、364、366を含む)と、実質的に平坦な領域312(区分368を含む)とを含む履物板300bを示している。
【0090】
図20は、水平の基準平面RPと接し、足が履物10~10dの内部空所102によって受け入れられるときに足のMTP関節の下に配置される履物板300bの湾曲領域310bのMTP点320bを示す図19の履物板300bの側面図を提供している。MTP点320bとAMP302bとの間で延びる前方湾曲部分322bは、図16図18の前方湾曲部分322の曲率半径より小さい曲率半径を含む。したがって、前方湾曲部分322bと関連付けられる曲率半径は、図16図18の前方湾曲部分322と関連付けられる角度α1より大きい水平の基準平面RPに対する角度α2でMTP点320bから延びるAMP302bをもたらす。したがって、前方湾曲部分322bは、図16図18の板300aと比較して、板300bのつま先区分362が足のつま先を地上面からさらに遠くに離すように付勢するように、図16図18の前方湾曲部分322の傾斜より急な傾斜と関連付けられている。他の例では、前方湾曲部分322bのLAは、ソール構造200~200dの長さの約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までの範囲内であり、後方湾曲部分324bのLPは、ソール構造200~200dの長さの約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までの範囲内であり、実質的に平坦な領域312は、ソール構造200~200dの長さの残りの部分を含む。
【0091】
同様に、MTP点320bと後部点326bとの間で延びる後方湾曲部分324bは、図16図18の後方湾曲部分324の曲率半径より小さい曲率半径を含む。したがって、後方湾曲部分324bと関連付けられる曲率半径は、図16図18の後方湾曲部分324と関連付けられる角度β1より大きい水平の基準平面RPに対する角度β2でMTP点320bから延びる後部点326bをもたらす。したがって、後方湾曲部分324bは、図16図18の板300aと比較して、板300bのブリッジ区分366が足のMTP関節を地上面に向かって足の踵からさらに遠くに離すように付勢するように、図16図18の後方湾曲部分324の傾斜より急な傾斜と関連付けられている。角度α2は、約12度から約35度までの範囲内の値を含み得る。一例では、角度α2は、24度におおよそ等しい値を含む。同様に、後方湾曲部分324bと関連付けられる曲率半径は、水平の基準平面RPに対して角度β2でMTP点320bから延びる後部点326bをもたらす。角度β2は、約12度から約35度までの範囲内の値を含み得る。一例では、角度β1は、24度におおよそ等しい値を含む。一部の構成では、角度α2およびβ2は、曲率半径が互いに等しく、同じ頂点を共有するように、互いに実質的に等しい。
【0092】
湾曲部分322b、324bは、同じであり得る、または、互いに異なり得る対応する曲率半径を各々備え得る。一部の例では、曲率半径は、少なくとも2パーセント(2%)だけ互いに異なる。湾曲領域322b、324bについての曲率半径は、約200ミリメートル(mm)から約400mmまでの範囲であり得る。一部の構成では、前方湾曲部分322bは、湾曲部分322b、324bが同じ曲率半径を定め、同じ頂点を共有するように後方湾曲部分324bの湾曲に続く曲率半径を備える。追加または代替で、板は、後方湾曲部分324bを板300bの実質的に平坦な領域312に連結する曲率半径を定め得る。ここで用いられるとき、「実質的に平坦」という用語は、水平に対して5度以内、つまり、地上面との平行に対して5度以内の平坦領域312を参照している。
【0093】
一部の実施では、後部点326は、後方湾曲部分324bにおける湾曲領域310bを実質的に平坦な領域312に結合するように構成される曲率半径を含む板300bの湾曲領域310bに沿う融合部分328bに沿って配置される。したがって、融合部分328bは、湾曲領域310bの一定の曲率半径と実質的に平坦な領域312との間に配置され、湾曲領域310bの一定の曲率半径と実質的に平坦な領域312とを連結するように配置される。一部の例では、融合部分は実質的に一定の曲率半径を含む。図16図18の湾曲領域310の融合部分328と同様に、融合部分328bは、板300bの実質的に平坦な領域312を、水平の基準平面RPと(同じく地上面と)実質的に平行な方向で、第1の端301(最後方の点)と後部点326bとの間で延ばすことができる。後方湾曲部分324bの曲率半径および融合部分328bの曲率半径の結果として、後部点326bは、図16図18のMTP点320の上方での後部点326の位置高さH1より大きいMTP点320の上方での位置高さH2を備え得る。一部の例では、位置高さH2は約3mmから約28mmまでの範囲内の値を含み得るが、他の例では、位置高さH2は約3mmから約17mmまでの範囲内の値を含み得る。ある例では、位置高さH2は約17mmに等しい。一部の実施では、最後方の点301とAMP302bとは、融合部分328bと実質的に平坦な領域312との結合において同一平面上にある。
【0094】
図21図19の履物板300bの上面図を提供しており、板300bの長さにわたって区分けされるつま先区分362と、MTP区分364と、ブリッジ区分366と、踵区分368とを示している。MTP点320bは、つま先区分362をブリッジ区分366に結合するMTP区分364内に位置できる。後部点326bは、ブリッジ区分366が踵区分368と結合する場所に近接する場所においてブリッジ区分366内に配置され得る。例えば、融合部分328bの曲率半径(図20)は、後方湾曲部分324bと関連付けられるブリッジ区分366を、板300bの平坦な領域312と関連付けられる踵区分368に継ぎ目なしで結合し得る。
【0095】
図22図24は、履物板300の代わりに、図1図15の履物10、10a、10b、10c、および10dの物品のうちのいずれか1つへと組み込まれ得る履物板300dを提供している。履物板300cに関して、履物板300と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0096】
図22は、板300cの第1の端301とAMP302cとの間で延びる長さを定める履物板300cの上からの斜視図である。板300cは、つま先区分362と、MTP区分364と、ブリッジ区分366と、踵区分368とを定めるように長さにわたって区分けされ得る。図22は、湾曲領域310c(区分362、364、366を含む)と、実質的に平坦な領域312(区分368を含む)とを含む履物板300cを示している。
【0097】
図23図22の履物板300cの側面図を提供しており、前方湾曲部分322cと後方湾曲部分324cとは、湾曲部分322c、324cがMTP点320cに関して鏡写しとされるように、同じ曲率半径Rと関連付けられ、共通の頂点Vを共有するように、湾曲領域310cは半円であることを示している。一部の構成では、半径Rは、約86mmから約202mmまでの範囲内の値を含む。他の構成では、半径Rは、約140mmから約160mmまでの範囲内の値を含む。半径Rについての例の値には、約87mm、117mm、151mm、または201mmがあり得る。MTP点320cは水平の基準平面RPに接しており、足が履物10~10dの内部空所102によって受け入れられるときに足のMTP関節の下に配置される。したがって、MTP点320cは、湾曲部分322c、324cを含む湾曲領域310cの中心に対応する。前方湾曲部分322cはMTP点320cとAMP302cとの間で延び、一方、後方湾曲部分324cはMTP点320cと後部点326cとの間で延びる。
【0098】
前方湾曲部分322cは、MTP点320cと後部点326cとの間での後方湾曲部分324cの長さLPに実質的に等しい長さLAをMTP点320cとAMP302cとの間で定め得る。ここで用いられるとき、LAおよびLPは、MTP点320cと、AMP302cおよび後部点326cのそれぞれ一方との間で、水平の基準平面RPに沿って、各々測定される。一部の構成では、履物板300cが、男性のサイズ10と関連付けられる履物10~10dの物品によって組み込まれるとき、LAおよびLPは約81mmに各々等しい。一部の例では、前方湾曲部分322cのLA(つま先区分362とMTP区分364とを含む)は、ソール構造200~200dの長さのおおよそ30パーセント(30%)を占め、後方湾曲部分324cのLP(ブリッジ区分366を含む)は、ソール構造200~200dの長さのおおよそ30パーセント(30%)を占め、実質的に平坦な部分312(踵区分368を含む)は、ソール構造200~200dの長さのおおよそ40パーセント(40%)を占める。他の例では、前方湾曲部分322cのLAは、ソール構造200~200dの長さの約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までの範囲内であり、後方湾曲部分324cのLPは、ソール構造200~200dの長さの約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までの範囲内であり、実質的に平坦な領域312は、ソール構造200~200dの長さの残りの部分を含む。
【0099】
AMP302cは、水平の基準平面RPに対して角度α3でMTP点320cから延び、一方、後部点326cは、水平の基準平面RPに対して角度β3でMTP点320cから延びる。湾曲部分322c、324cは、同じ曲率半径Rと関連付けられ、共通の頂点Vを共有するため、角度α3およびβ3は互いに実質的に等しい。角度α3およびβ3の値は、他の例では約11度から約35度までの範囲であり、他の例では約20度から約25度までの範囲である。角度α3およびβ3についての例の値には、約12度、16度、22度、または57度がある。角度α3は、足が履物10~10dの内部空所102によって受け入れられるときに板300cのつま先区分362が足のつま先を上向きに地上面から離すように付勢する角度に対応する。
【0100】
さらに、後部点326cおよびAMP302cは、MTP点320cの上方での同じ位置高さH3を各々備え得る。図16図18の板300aおよび図19図21の板300bと同様に、後部点326cの位置高さH3とMTP点320cとは、MTP点320cと後部点326cおよびAMP302cのそれぞれ一方との間で、水平の基準平面RPに対して実質的に垂直な方向に延びる分離距離に対応する。一部の構成では、位置高さH3は、約17mmから約57mmまでの範囲内の値を含む。位置高さH3についての例の値には、約17mm、24mm、33mm、または57mmがあり得る。
【0101】
一部の実施では、後部点326cは、後方湾曲部分324cにおける湾曲領域310cを実質的に平坦な領域312に結合するように構成される曲率半径を含む板300cの湾曲領域310cに沿う融合部分328cに沿って配置される。したがって、融合部分328cは、湾曲領域310cの一定の曲率半径と実質的に平坦な領域312との間に配置され、湾曲領域310cの一定の曲率半径と実質的に平坦な領域312とを連結するように配置される。一部の例では、融合部分は実質的に一定の曲率半径を含む。融合部分328cは、板300cの実質的に平坦な領域312を、水平の基準平面RPと(同じく地上面と)実質的に平行な方向で、第1の端301(最後方の点)と後部点326cとの間で延ばすことができる。したがって、AMP302cおよび後部点326cは、融合部分328cと実質的に平坦な領域312との間の結合と実質的に同一平面上であり得る。このようにして、板300cの第1の端301と後部点326cとの間で延びる踵区分368とブリッジ区分366の一部分とは、実質的に平坦であり得る。履物板300cが、男性のサイズ10と関連付けられる履物10~10dの物品によって組み込まれるとき、融合部分328cは約133.5mmの曲率半径を備え得る。一部の実施では、最後方の点301およびAMP302cは、融合部分328cと実質的に平坦な領域312との結合において同一平面上にある。
【0102】
図24図22の履物板300cの上面図を提供しており、板300cの長さにわたって区分けされるつま先区分362と、MTP区分364と、ブリッジ区分366と、踵区分368とを示している。MTP点320cは、つま先区分362をブリッジ区分366に結合するMTP区分364内に位置できる。後部点326bは、ブリッジ区分366が踵区分368と結合する場所に近接する場所においてブリッジ区分366内に配置され得る。例えば、融合部分328cの曲率半径(図23)は、後方湾曲部分324cと関連付けられるブリッジ区分366を、板300cの平坦な領域312と関連付けられる踵区分368に継ぎ目なしで結合し得る。前述のことに鑑みて、図22図24の履物板300cでは、以下のパラメータがサイズ10の男性の靴用に指定され得る。
1. R=201mm、α3=12度、H3=17mm、LA=81mm、および、134mmに等しい融合部分328cの曲率半径。
2. R=151mm、α3=16度、H3=24mm、LA=81mm、および、134mmに等しい融合部分328cの曲率半径。
3. R=117mm、α3=22度、H3=33mm、LA=81mm、および、134mmに等しい融合部分328cの曲率半径。
4. R=87mm、α3=35度、H3=57mm、LA=81mm、および、134mmに等しい融合部分328cの曲率半径。
【0103】
図1図24の履物板300~300cを参照すると、湾曲領域322~322cによって、板300~300cの全体の長手方向の剛性は、着用者の足のMTP関節におけるエネルギー損失を低減させることができる一方、歩行運動/ランニング運動中の足の回転を容易にさせ、それによってレバーアーム距離を小さくし、着用者の足首関節における負担を軽減する。前方湾曲部分322~322cと関連付けられる曲率半径は、板300~300cの長手方向の剛性に特に影響すると共に、足が歩行運動/ランニング運動中にどのように回転することになるかに特に影響する。一部の例では、板300~300cは、後部点326~326cとAMP302~302cとの間で延びる長さを定めるために、実質的に平坦な領域312を除外する。MTP点320~320cは、地上面に最も近い(例えば、最も低い)板300~300cの点に対応し、ソール構造200~200dの上部において履物10~10dの内部空所102によって受け入れられるとき、足のMTP関節に、または、足のMTP関節の直ぐ後方に位置し得る。1つまたは複数の緩衝部材250~250c、270はソール構造200~200dによって組み込まれ得る。緩衝部材250~250c、270は、足のMTP関節とMTP点320~320cとの間の距離を最大限にするために、履物板300~300cのMTP点320~320cの上部にわたって最も大きい厚さを定め得る。緩衝部材250~250c、270は、歩行動作/ランニング動作を実施する間、履物10~10dの使用中にエネルギーを戻すのを支援するために、加えられる負荷の下で圧縮されるときに少なくとも60パーセントの弾力性を有する高性能(柔らかくエネルギー損失の小さい)発泡材料を備え得る。履物板300~300cの異なる寸法は、例えばフォアフット着地対踵着地といった、異なるランニングスタイルを有するランナーなど、競技者に異なる機械的利点を付与する。湾曲部分322~322c、324~324cの曲率半径は異なる角度α1~α3を作り出し、そのため位置高さH~H3は異なる靴の大きさに対して異なる。
【0104】
図25は、履物板300の代わりに、図1図15の履物10、10a、10b、10c、および10dの物品のうちのいずれか1つへと組み込まれ得る履物板300dの上面図を提供している。履物板300dに関して、履物板300と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0105】
履物板300dは、第1の端301と第2の端302との間で延びる長さを定め、つま先区分362と、MTP区分364と、ブリッジ区分366dと、踵区分368とを定めるように長さにわたって区分けされる。板300dのブリッジ区分366dは、板300a、300b、300cのブリッジ区分366の幅と比較して踵区分368に近接する場所で、縮小された幅を定める。狭いブリッジ区分366dは、履物板300dの重量を低減しつつ履物板300dの柔軟性を増加させる。MTP区分364は板300dの最も幅広な部分と関連付けられ、つま先区分362は足のつま先を支持するために若干狭い。
【0106】
図26を参照すると、履物板300の代わりに、図1図15の履物10、10a、10b、10c、および10dの物品のうちのいずれか1つへと組み込まれ得る履物板300eの上面図を提供している。履物板300eに関して、履物板300と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0107】
図26は、実質的に平坦な領域312と関連付けられる踵区分368のない履物板300eを示している。板300eは、第1の端301eと第2の端302との間で延びる縮小された長さを定め、つま先区分362と、MTP区分364と、断ち切られたブリッジ区分366eとを定めるように長さにわたって区分けされる。ここで、板300eの第1の端301eは板300~300dの後部点326~326dと関連付けられる。
【0108】
一部の例では、断ち切られたブリッジ区分366eは、足の足根中足関節を支持するのに十分な縮小された長さと関連付けられる。このようにして、板300eは、断ち切られたブリッジ区分366eと、MTP区分364と、つま先区分362とを含む湾曲領域310のみを定め得る。さらに、板300eは、隣接する1つの材料シートから形成され得る。
【0109】
図27は、履物板300の代わりに、図1図15の履物10、10a、10b、10c、および10dの物品のうちのいずれか1つへと組み込まれ得る履物板300fの上面図を提供している。履物板300fに関して、履物板300と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0110】
履物板300fは、第1の端301と第2の端302との間で、その分割前足部分12f、中間足部分14、および踵部分16を通じて延びる長さを定める。板300fは、分割前足部分12fおよび中間足部分14を通って延びる湾曲領域310を備える。板300fは、湾曲領域310から板300fの第1の端301まで踵部分16を通って延びる実質的に平坦な領域312を備え得る。
【0111】
板300fの分割前足部分12fは外側区分371と内側区分372とを備える。一部の例では、外側区分371および内側区分372はそれぞれ板300fのMTP点320から延びる。前足部分12fを外側区分371と内側区分372とに分割することで、板300fのより大きな柔軟性を提供できる。一部の例では、内側区分372は外側区分371より幅広である。一例では、内側区分372は、足の第1のMTP骨(例えば、足の親指)と第一趾とを支持するのに適する幅と関連付けられる。板300fは、隣接する1つの材料シートから形成され得る。
【0112】
図28は、履物板300の代わりに、図1図15の履物10、10a、10b、10c、および10dの物品のうちのいずれか1つへと組み込まれ得る履物板300gの上面図を提供している。履物板300gに関して、履物板300と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0113】
履物板300gは、第1の端301と第2の端302との間で、その指形状前足部分12g、中間足部分14、および踵部分16を通じて延びる長さを定める。板300gは、指形状前足部分12gおよび中間足部分14を通って延びる湾曲領域310を備える。板300gは、湾曲領域310から板300gの第1の端301まで踵部分16を通って延びる実質的に平坦な領域312も備え得る。
【0114】
板300gの指形状前足部分12gは、外側の湾曲374を有する内側区分372gを備える。一部の例では、内側区分372は、板300gのMTP点320から延び、足の第1のMTP骨(例えば、足の親指)を支持するのに適する幅と関連付けられる。外側の湾曲374は、そうでない場合に第2から第5までのMTP骨を支持することになる板300fの部分を除去している。板300gは、隣接する1つの材料シートから形成され得る。
【0115】
図29は、履物板300の代わりに、図1図15の履物10、10a、10b、10c、および10dの物品のうちのいずれか1つへと組み込まれ得る履物板300hの上面図を提供している。履物板300hに関して、履物板300と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0116】
履物板300hは、第1の端301と第2の端302との間で、その輪形状前足部分12h、中間足部分14、および踵部分16を通じて延びる長さを定める。板300hは、輪形状前足部分12hおよび中間足部分14を通って延びる湾曲領域310を備える。板300hは、湾曲領域310から板300hの第1の端301まで踵部分16を通って延びる実質的に平坦な領域312を備え得る。
【0117】
板300hの輪形状前足部分12hは、板300hの前足部分12hを通じて形成された内部切り欠き領域380を備える。切り欠き領域380は、板300hの外側周辺によって境界付けられた周縁382によって包囲される。一部の例では、周縁382は、板300hのMTP点320から延び、内部切り欠き領域380が板300hの重量を低減するために開放領域と関連付けられる一方で足を下で支持するように構成される。板300hは、隣接する1つの材料シートから形成され得る。
【0118】
図30は、履物板300の代わりに、図1図15の履物10、10a、10b、10c、および10dの物品のうちのいずれか1つへと組み込まれ得る履物板300iの上面図を提供している。履物板300iに関して、履物板300と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0119】
履物板300iは、第1の端301と第2の端302との間で、その鉤爪形状前足部分12i、中間足部分14、および踵部分16を通じて延びる長さを定める。板300iは、鉤爪形状前足部分12iおよび中間足部分14を通って延びる湾曲領域310を備える。板300iは、湾曲領域310から板300iの第1の端301まで踵部分16を通って延びる実質的に平坦な領域312を備え得る。
【0120】
板300iの鉤爪形状前足部分12iは、外側区分371iと内側区分372iとを備える。一部の例では、外側区分371iおよび内側区分372iはそれぞれ、板300fのMTP点320から延びる。区分371i、372iは、開口384が区分371i、372iを分離して区分371i、372iを互いに独立して曲げることができることを除いて、図29の板300hの切り欠き領域と同様である内部切り欠き領域380iを定めるように協働できる。したがって、鉤爪形状前足部分12iは、図27の分割前足部分12fを組み込む板300fの重量と比較して、内部切り欠き領域380iが板300iに低減された重量を提供することを除いて、分割前足部分12fの区分371、372と同様に、互いに独立してそれぞれ曲がることができる外側区分371iおよび内側区分372iを提供する。板300iは、隣接する1つの材料シートから形成され得る。
【0121】
図31および図32は、アッパー100と、アッパー100に付着されたソール構造200eとを備える履物10eの物品を提供している。履物10eの物品に関して、履物10の物品と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0122】
ソール構造200eは、積層の構成で配置されるアウトソール210eと、緩衝部材250eと、履物板300と、ミッドソール220eとを備える。図32は、図31の線32-32に沿って切り取られた部分断面図を提供しており、中間足部分14および踵部分16のそれぞれにおいて緩衝部材250eとミッドソール220eとの間に配置され、前足部分12においてアウトソール210eとミッドソール220eとの間に配置される履物板300を示している。緩衝部材250eは、地上面2と対向する底面252eと、底面252eとは反対の緩衝部材250eの側に配置され、板300に固定される上面254eとを備える。アウトソール210eは、緩衝部材250eの底面252eと板300とに固定し得る1つまたは複数の地上接触区分に対応し得る。一部の構成では、アウトソール210eは、緩衝部材250eの底面252eがソール構造200eの中間足部分14および踵部分16のそれぞれにおいて地上面2と接触し、板300が、ソール構造200eの前足部分12、つまり、板300の湾曲領域310において、地上面2に接触するように、省略される。
【0123】
一部の実施では、静止摩擦を提供するために、1つまたは複数の突起800(例えば、トラック用スパイク)が板300およびアウトソール210eから地上面2に向かう方向で延びる。突起800は、板300またはアウトソール210eに直接的に付着できる。図32は、緩衝材料が、MTP点320の上方(例えば、板300とミッドソール220eとの間)、またはMTP点320の下方(例えば、板300とアウトソール210eとの間)に配置されていないことを示している。したがって、緩衝材料250eは、ランニング運動中の地面反力の最初の衝撃を弱めるために、中間足部分14と踵部分16とのそれぞれに設けられ、一方、ソール構造200eの重量を低減するために、緩衝がより必然ではない前足部分12には、緩衝材料250eが設けられていない。ソール構造200eを組み込んでいる例示の履物10eは、より短い距離のトラックの試合のためのトラックシューズと関連付けられ得る。さらに、インソール260は、足の下で内部空所102内のミッドソール220eの中底224上に配置され得る。
【0124】
図33および図34は、アッパー100と、アッパー100に付着されたソール構造200fとを備える履物10fの物品を提供している。履物10fの物品に関して、履物10の物品と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0125】
ソール構造200fは、積層の構成で配置されるアウトソール210fと、緩衝部材250fと、履物板300と、ミッドソール220fとを備え得る。図34は、図33の線34-34に沿って切り取られた部分断面図を提供しており、緩衝部材250fとミッドソール220fとの間に配置される履物板300と、板300とアウトソール210fおよび/または地上面2との間に配置される緩衝部材250fとを示している。緩衝部材250fは、地上面2と対向する底面252fと、底面252fとは反対の緩衝部材250fの側に配置され、板300に固定される上面254fとを備える。アウトソール210fは、緩衝部材250fの底面252fに固定し得る1つまたは複数の地上接触区分に対応し得る。一部の構成では、アウトソール210fは、緩衝部材250fの底面252fが地上面2と接触するように省略される。さらに、インソール260は、足の下で内部空所102内のミッドソール220fの中底224上に配置され得る。
【0126】
緩衝部材250fは、前足部分12においてよりも、ソール構造200fの踵部分16において大きな厚さを定め得る。別の言い方をすれば、アウトソール210fとミッドソール220fとを分離する隙間または距離が、ソール構造200fの長手方向軸Lに沿って、踵部分16から前足部分12に向かう方向において縮小する。一部の実施では、緩衝部材250fの上面254fは、滑らかであり、履物板300と緩衝部材250fとが互いに対して面一で合致するように、履物板300の表面輪郭に合致するように輪郭付けられた表面輪郭を含む。緩衝部材250fは、8mmから約9mmまでの範囲内でソール構造の前足部分12において厚さを定め得る。したがって、板300の湾曲領域310に対向する緩衝部材250fの厚さは、ランニング運動中に板300が地上面2と直に接触するのを防止するのに十分なだけの厚さであり得る。
【0127】
一部の実施では、静止摩擦を提供するために、1つまたは複数の突起800(例えば、トラック用スパイク)が板300およびアウトソール210fから地上面2に向かう方向で延びる。突起800は、板300、緩衝部材250f、またはアウトソール210fに直接的に付着できる。
【0128】
図35および図36は、アッパーと、アッパー100に付着されたソール構造200gとを備える履物10gの物品を提供している。履物10gの物品に関して、履物10の物品と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0129】
図35は、履物10gの物品の上からの斜視図を提供しており、積層の構成で配置されるアウトソール210gと、緩衝部材250gと、履物板300と、ミッドソール220gとを備え、長手方向軸Lを定めるソール構造200gを示している。一部の構成では、履物板300の周辺の縁は、外側部18および内側部20のそれぞれに沿って、履物10gの外部から視認可能である。これらの構成では、履物10gは、歩行の意図されている使用で設計され得る。
【0130】
図36は、図35の線36-36に沿って切り取られた部分断面図を提供しており、緩衝部材250gとミッドソール220gとの間に配置される履物板300と、板300とアウトソール210gとの間に配置される緩衝部材250gとを示している。インソール260は、足の下で内部空所102内の中底224上に配置され得る。図36の構成に含まれていないが、図1図3の流体充填袋400が、追加的な緩衝を提供するためにソール構造200gによって組み込まれてもよい。アウトソール210gは、地上係合面212gと、地上係合面212gとは反対のアウトソール210gの側に配置され、緩衝部材250gの底面252gと対向する内面214gとを備える。緩衝部材250gは、底面252gと、底面252gとは反対の緩衝部材250gの側に配置される上面254gとを備える。
【0131】
ソール構造200gの構成は、履物10gの底から見たときに板300の一部分を露出するためにアウトソール210gおよび緩衝部材250gを貫いて形成された複数の開口255をソール構造200gが備えることを除いて、図1図3のソール構造200と実質的に同一である。図36は、踵部分16と前足部分12とに位置する複数の開口255を示している。他の構成は、踵部分16および/または前足部分12においてより多くの/より少ない開口255を備えてもよく、中間足部分14に開口を備えてもよい。一部の実施では、部分12、14、16のうちの1つだけが開口255を備える。各々の開口255は、アウトソール210gおよび緩衝部材250gを貫いて形成されてもよく、長手方向軸Lに対して実質的に垂直な方向に延び得る。有利には、開口255は、より軽量な履物10gの物品を提供するために、ソール構造200gの全体重量を低減するように機能する。開口255は、図1図15および図33図36のソール構造200~200fのいずれかを貫いて同様に形成されてもよい。
【0132】
図37図39は、アッパー100と、アッパー100に付着されたソール構造200hとを備える履物10hの物品を提供している。履物10hの物品に関して、履物10の物品と関連付けられる構成要素の構造および機能における実質的な類似性に鑑みて、同様の符号が、同様の構成要素を特定するために、以後において、および、図面において使用されており、一方、文字の拡張を含む同様の符号が、変形されている構成要素を特定するために使用されている。
【0133】
ソール構造200hは、積層の構成で配置されるアウトソール210と、第1の緩衝部材250hと、流体充填袋400hから形成された板と、ミッドソール220hとを備える。図38は、長手方向軸Lを定めるソール構造200h(例えば、アウトソール210h、緩衝部材250h、ミッドソール220h)を示す履物10hの物品の分解図を提供している。アウトソール210hは、地上係合面212とは反対のアウトソール210hの側に配置される内面214hを備える。ミッドソール220hは、中底224とは反対のミッドソール220hの側に配置され、アウトソール210hの内面214hに対向する底面222hを備える。
【0134】
緩衝部材250hおよび流体充填袋400hは、ミッドソール220hをアウトソール210hから分離するために、内面214hと底面222hとの間に配置される。例えば、緩衝部材250hは、アウトソール210hの内面214hによって受け入れられる底面252と、底面252とは反対の緩衝部材250hの側に配置され、袋400hを支持するためにミッドソール220hと対向する上面254hとを備える。一部の例では、側壁230hが、緩衝部材250hの周辺の少なくとも一部分を包囲し、緩衝部材250hとミッドソール220hとの間に空洞240hを定めるために、それらの間を分離する。例えば、側壁230hは、歩行動作またはランニング動作を実施するとき、履物10の使用中に足を包み込むために、緩衝部材250の輪郭付けられた上面254hの周辺の少なくとも一部分の周りに周縁を定めてもよい。周縁は、緩衝部材250hがミッドソール220hに付着するとき、ミッドソール220hの周辺の周りで延び得る。
【0135】
一部の構成では、流体充填袋400hは、履物10hがランニング運動中に地上面との係合のために回転するとき、MTP関節におけるエネルギー損失を低減する一方で足の回転を高めるために、ミッドソール220hの下において緩衝部材250hの上面254hに配置される。図1図3の履物板300と同様に、流体充填袋400hは、緩衝部材250hおよびアウトソール210hの剛性より大きい剛性を備える。流体充填袋400hは、ソール構造200hの長さの少なくとも一部分を通じて延びる長さを定めてもよい。一部の例では、袋400hの長さは、ソール構造200hの前足部分12、中間足部分14、および踵部分16を通じて延びる。他の例では、袋400hの長さは、前足部分12および中間足部分14を通じて延び、踵部分16にはない。
【0136】
緩衝部材250hは、ミッドソール220hとアウトソール210hとの間で弾力的に圧縮し得る。緩衝部材250hは、図1図3の緩衝部材250を形成する同じ1つまたは複数の材料から形成され得るポリマー発泡体の平板から形成され得る。例えば、緩衝部材250hは、EVAコポリマー、ポリウレタン、ポリエーテル、オレフィンブロックコポリマー、PEBAコポリマー、および/またはTPUのうちの1つまたは複数から形成され得る。流体充填袋400hは、地面反力に応答しての履物10hの緩衝特性を高めてもよい。例えば、袋400hは、空気、窒素、ヘリウム、六フッ化硫黄、または液体/ゲルなどの加圧された流体で充填され得る。
【0137】
流体充填袋400hの長さは、緩衝部材250hの長さと同じでもよい、または、緩衝部材250hの長さより短くてもよい。袋400hの長さ、幅、および厚さは、緩衝部材250hの上面254hとミッドソール220hの底面222hの間の空間(例えば、空洞240h)の容積を実質的に占めてもよく、ソール構造200hの前足部分12、中間足部分14、および踵部分16のそれぞれを通じて延び得る。一部の例では、袋400hは、ソール構造200hの前足部分12および中間足部分14を通じて延びるが、踵部分16にはない。一部の例では、袋400hの側壁403は、履物10hの外側部18および/または内側部20に沿って見られる。一部の実施では、緩衝部材250hの上面254hとミッドソール220hの底面222hとは、滑らかであり、袋400hが緩衝部材250hおよびミッドソール220hと面一で合致するように、袋400hの両側の表面輪郭に合致するように輪郭付けられた表面輪郭を含む。
【0138】
流体充填袋400hは、加圧された流体を受け入れ、内部に加圧された流体を保持するための耐久性のある封止された境界を提供する内部空所を定める。袋400hは、ミッドソール220hの底面222hと対向する上方境界部分401と、上方境界部分401と反対の袋400hの側に配置され、緩衝部材250hの上面254hに対向する下方境界部分402とを備え得る。側壁403は、袋400hの周辺の周りで延び、上方境界部分401を下方境界部分402に連結する。
【0139】
一部の構成では、流体充填袋400hの内部空所は、上方境界部分401に付着する上方板と、下方境界部分402に付着する下方板と、その上方板と下方板との間で延びる複数のテザー530とを有するテザー要素500も受け入れる。接着結合または熱結合が、テザー要素500を袋400hに固定するために用いられ得る。テザー要素500は、袋400hが、袋400hの内部空所内の流体の圧力のため、外向きに拡がるのを、または、拡張するのを防止するように機能する。つまり、テザー要素500は、境界部分401および402の表面の意図されている形を保持するために、圧力下にあるときに袋400hの膨張を制限できる。
【0140】
図39は、図37の線39-39に沿って切り取られた部分断面図を提供しており、緩衝部材250hとミッドソール220hとの間に配置される流体充填袋400hと、アウトソール210hと袋400hとの間に配置される緩衝部材250hとを示している。インソール260は、足の下で内部空所102内の中底224上に配置され得る。一部の構成では、緩衝部材250hは、ソール構造200hの踵部分において、前足部分12においてより大きい厚さを定め、上面254hは、そこでの袋400hの下方境界部分402の表面輪郭に合致するように輪郭付けられた表面輪郭を備える。緩衝部材250hは、ミッドソール220hと協働して、それらの間に袋400hを封入するための空間を定め得る。
【0141】
履物板300~300iと同様に、袋400hは、前足部分12と中間足部分14とを通じて延びる湾曲領域410を含み、任意選択で、踵部分16を通じて、湾曲領域410における後部点から、ソール構造200hのつま先の端に近接して配置される袋400hのAMPまで延びる実質的に平坦な領域412を含んでもよい。湾曲領域は、図1図3の履物板300の前方湾曲部分322および後方湾曲部分324の対応するものと同様である前方湾曲部分422および後方湾曲部分424を定める曲率半径を有し得る。一部の構成では、湾曲部分422、424は、アウトソール210hの最も近くに配置される袋400hの点と関連付けられるMTP点420に関して鏡写しとされる同じ曲率半径を各々備える。他の構成では、湾曲部分422、424は異なる曲率半径で各々関連付けられる。湾曲部分422、424が、袋400hの全長の約30パーセント(30%)を各々占め得る一方、平坦領域412の長さは袋400hの長さの残りの40パーセント(40%)を占め得る。湾曲領域410の前方湾曲部分422および後方湾曲部分424はそれぞれ、足のMTP関節に近接してエネルギー損失を低減する長手方向の剛性を袋400hに提供すると共に、ランニング運動中に足の回転を高めて、それによってレバーアーム距離を縮小し、足首関節における負担を軽減する。図37図39の例の履物10hは、緩衝部材250hとミッドソール220hとの間で、履物板300の代わりに湾曲した流体充填袋400hを組み込んでいるが、湾曲した流体充填袋400hは、前述した履物10~10gの物品のいずれかにおいて板300を置き換えてもよい。
【0142】
前述の履物板300~300iは、あらかじめ含浸されている(つまり、「プリプレグ」)繊維シートまたは布地を含む、繊維シートまたは布地を用いて製造され得る。代替または追加で、履物板300~300iは、主に所定の角度または所定の位置で配置された繊維のストランドを有する板を製作するために、繊維トウを基材または互いに固定することで、1つまたは複数の種類の繊維(例えば、繊維トウ)の複数のフィラメントから形成されたストランドによって製造されてもよい。繊維のストランドを使用するとき、ストランドに含まれる繊維の種類には、ストランドに存在する他の繊維と、任意選択で、縫い糸もしくは基材、またはそれら両方などの他の構成要素とを固めるために、融解されて再固化され得る合成ポリマー繊維がある。代替または追加で、ストランドの繊維と、任意選択で、縫い糸もしくは基材、またはそれら両方などの他の構成要素とは、繊維のストランドを基材および/または互いに固定した後に樹脂を適用することで固められてもよい。上記の工程は後に記載されている。
【0143】
図40A図40Eおよび図41を参照すると、履物板300~300iは、一連の重ねられたプリプレグ繊維シート600a~600eを用いることで形成されるとして示されている。プリプレグ繊維シート600a~600eは、同じ材料または異なる材料から形成され得る。例えば、シート600a~600eの各々は、樹脂で含浸されている一連の繊維602を有する一方向性のテープまたは多軸の織物であり得る。繊維602は、一方向性のシートまたは多軸の織物を形成するカーボン繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維、および他のポリマー繊維のうちの少なくとも1つを含み得る。カーボン繊維、アラミド繊維、およびボロン繊維などの繊維は、大きなヤング率を提供でき、一方、ガラス繊維(例えば、グラスファイバ)および他のポリマー繊維(例えば、アラミド、ポリエステル、およびポリオレフィン以外のポリアミドなどの合成繊維)は、中程度のヤング率を提供する。代替で、シート600a~600eのうちの一部は一方向性のテープであってもよく、一方、シート600a~600eのうちの他のものは多軸の織物であってもよい。さらに、シート600a~600eの各々は、同じ材料から形成される繊維602を含んでもよく、シート600a~600eのうちの1つまたは複数は、他のシート600a~600eの繊維602と異なる材料から形成される繊維602を含む。
【0144】
板300~300iの製造の間、一方向性のテープまたは多軸の織物が提供され、繊維プライへと切断される。プライは、切断され、互いに対して角度が付けられ、様々なシート600a~600eの形は、重ねられたプライから、図40A図40Eに示した形へと切断される。そのようにするとき、シート600a~600eは、一方向性のテープまたは多軸の織物の繊維602の長手方向の軸が、切断されると各々のシート600a~600eの長手方向軸(L)に対してある角度(Φ)において位置決めされるように、互いに対して異なる角度で形成される繊維602を備える。したがって、シート600a~600eは互いに対して重ねられるとき、繊維602の長手方向の軸は、板300~300iの長手方向軸に対して異なる角度で位置決めされる。
【0145】
位置構成では、図40Aに示した角度(Φ)は0度(0°)であり、図40Bに示した角度(Φ)は-15度(-15°)であり、図40Cに示した角度(Φ)は-30度(-30°)であり、図40Dに示した角度(Φ)は15度(15°)であり、図40Eに示した角度(Φ)は30度(30°)である。板300~300iを製造するとき、プライは、シート600a~600eが重ねられたプライから切断されるとき、シート600a~600eが図40A図40Eに示した形を有し、図41に示した順番で重ねられるように重ねられる。つまり、底のシート600cは、長手方向軸(L)に対して-30°で位置決めされた繊維602を含み、次のシート600dは、長手方向軸(L)に対して15°で位置決めされた繊維を含み、次の2つのシート600aは、長手方向軸(L)に対して0°で位置決めされた繊維を含み、次のシート600bは、長手方向軸(L)に対して-15°で位置決めされた繊維を含み、最も上の最後のシート600eは、長手方向軸(L)に対して30°で位置決めされた繊維602を含む。底のシート600cは、長手方向軸(L)に対して-30°の角度(Φ)で位置決めされるとして記載されており、最も上のシート600eは、長手方向軸(L)に対して30°の角度(Φ)で位置決めされるとして記載されているが、底のシート600cは、代わりに長手方向軸(L)に対して-15°の角度(Φ)で位置決めされてもよく、最も上のシート600eは、代わりに長手方向軸(L)に対して15°の角度(Φ)で位置決めされてもよい。さらに、2枚のシート600aが長手方向軸(L)に対して0°の角度(Φ)で設けられているとして記載されているが、0°の角度(Φ)で3枚以上のシート600aが提供されてもよい。例えば、8枚のシート600aが提供されてもよい。
【0146】
プライが重ねられてシート600a~600eへと切断されると、重なりは、以下において詳細に記載されているように、板300~300iの特定の形を重ねられたシート600a~600eに付与するために熱および圧力に曝される。追加的に、樹脂であらかじめ含浸されている繊維が使用されるとき、重なりを熱および圧力に曝すことで、あらかじめ含浸されている樹脂を融解または軟化し、プライを一体に固定して特定の形で保持できる。代替または追加で、液体樹脂が、板を一体に固定するために、および、一部の場合には繊維を固めるために、プライに適用されてもよく、それによって、樹脂が固化されると板の引張強度を増加させる。
【0147】
図42A図42Eおよび図43を参照すると、履物板300~300iは、繊維のストランドを基材に固定する工程を用いて形成されるとして示されている。つまり、履物板300~300iは、板300~300iのいたるところで異方性の剛性と勾配のある荷重経路とを付与するために選択されたパターンで配置された繊維の1つまたは複数のストランド702から形成される。繊維のストランド702は、同じまたは別体の基材704に固定され、積層の構成で刺繍され得る。繊維のストランド702が基材704を分けるように適用される場合、個々の基材704は、各々の基材704に繊維のストランド702が供給されると、互いの上に重ねられる。他方で、1枚だけの基材704が板300~300iを形成するときに利用される場合、繊維の第1のストランド702は、繊維の追加のストランド702(つまり、層)が第1のストランド702の上に適用されている状態で、基材704に適用される。最後に、繊維の単一の連続したストランド702が板300~300iを形成するために使用されてもよく、それによって、ストランド702は基材704に最初に適用されて固定され、続いて、図43に示した積層の構造を形成するために、それ自体の上に積層される。前述の工程の各々は板300~300iを形成するために用いられ得るが、以下の工程は、図43に示した構造を形成するために適用される繊維の個々のストランド702を伴う単一の基材704を用いるとして記載されており、それによって、個々のストランド702a~702eは、あらかじめ形成された板の層700a~700eをそれぞれ形成する。
【0148】
各々のストランド702は、複数の繊維のトウ、モノフィラメント、糸、またはポリマーのあらかじめ含浸されたトウを参照できる。例えば、ストランド702は、複数のカーボン繊維と、活性化されるときにカーボン繊維を所望の形および互いに対する位置で固化して保持する複数の樹脂繊維とを含むことができる。ここで用いられるとき、「トウ」という用語は、束(つまり、撚られ得る、または、撚られ得ない複数のフィラメント(例えば、繊維))に言及しており、各々のトウは、対応するトウが含む大量の繊維と関連付けられるサイズで指定され得る。例えば、単一のストランド702は、1束あたり約1,000本の繊維から1束あたり約48,000本の繊維までのサイズの範囲であり得る。ここで用いられるとき、基材704は、繊維の少なくとも1つのストランド702が付着されるベール、担体、または裏材料のいずれか1つを参照している。基材704は、熱硬化性樹脂材料または熱可塑性樹脂材料から形成でき、布地(例えば、編物、織物、または不織物)、射出成形品、または熱成形品であり得る。一部の構成では、ストランド702と関連付けられる繊維は、カーボン繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維、およびポリマー繊維のうちの少なくとも1つを含む。カーボン繊維、アラミド繊維、およびボロン繊維などの繊維は、大きなヤング率を提供でき、一方、ガラス繊維(例えば、グラスファイバ)およびポリマー繊維(例えば、合成繊維)は、中程度のヤング率を提供する。
【0149】
板300~300iを形成するとき、第1のストランド702cは基材704に適用され得る。つまり、第1のストランド702cは基材704に直接適用され、第1のストランド702cを所望の場所で保持するために基材704に縫い付けられ得る。位置構成では、第1のストランド702cは、基材704の長手方向軸(L)に対して-30度(-30°)になるとして図42Cに示した角度(Φ)で位置決めされるように基材704に適用される。別のストランド702dまたは第2のストランド702dが、例えば縫い付けを介して、第1のストランド702cに適用でき、基材704の長手方向軸(L)に対して-15度(-15°)になるとして図42Bに示した角度(Φ)で形成され得る。第3のストランド702aが、基材704の長手方向軸(L)に対して0度(0°)になるとして図42Aに示した角度(Φ)で第2のストランドに適用され得る。第4のストランド702bが、基材704の長手方向軸(L)に対して15度(15°)になるとして図42Dに示した角度(Φ)で第3のストランドに適用され得る。第5および最後のストランド702eが、基材704の長手方向軸(L)に対して30度(30°)になるとして図42Eに示した角度(Φ)で第4のストランドに適用され得る。第1のストランド702cが、基材704の長手方向軸(L)に対して-30度(-30°)になるとして図42Cに示した角度(Φ)で適用されるとして図示および記載され、第5ストランド702eが、基材704の長手方向軸(L)に対して30度(30°)になるとして図42Eに示した角度(Φ)で適用されるとして図示および記載されているが、これらの角度(Φ)は、代わりにそれぞれ-15度(-15°)および15度(15°)であってもよい。
【0150】
ストランド702a~702eは、あらかじめ形成された板300~300iの様々な層700a~700eを形成する。層700a~700eは、一度形成されると、後で詳細に記載しているように、様々なストランド702a~702eの含浸された樹脂を活性化させるために、および、さらには板300~300iの特定の形を層700a~700eに付与するために、熱および圧力に曝される。
【0151】
前述したように、積層工程(図43)を用いて形成された板300~300iは、プリプレグ繊維シート(図41)を介して形成された板300~300iより1つ少ない層を含む。つまり、積層工程は、基材704の長手方向軸(L)に対して0度(0°)になるとして図42Aに示した角度(Φ)を有する層700aを1つだけ利用するだけであり得る。積層工程は、板300~300iを形成するときに1つ少ない層を使用するが、結果生じる板300~300iは、プリプレグ繊維シートを用いて形成される板300~300iと実質的に同じ特性(つまり、剛性、厚さなど)を有する。
【0152】
特に図44および図45を参照して、板300~300cの形成は成形型800との組み合わせで説明される。成形型800は第1の成形型半体802と第2の成形型半体804とを備える。成形型半体802、804は、成形型800が、具体的な板300~300iの所望の形を、重ねられたシート600a~600eに、または、層700a~700eに付与できるように、様々な板300~300iのうちの1つの形を有する成形型空洞806を備える。
【0153】
重ねられたシート600a~600eまたは層700a~700eを形成した後、シート600a~600eまたは層700a~700eは、成形型空洞806内で成形型半体802、804の間に挿入される。この時点で、成形型800は、成形型半体802、804を互いに向かって移動することで、または、成形型半体802、804の一方を成形型半体802、804の他方に向かって移動することで、閉じられる。閉じられると、成形型800は、熱および圧力を、成形型空洞806内に配置される重ねられたシート600a~600eまたは層700a~700eに加えて、重ねられたシート600a~600eまたは層700a~700eと関連付けられる樹脂を活性化させる。重ねられたシート600a~600eまたは層700a~700eに加えられる熱および圧力は、成形型空洞806の具体的な形を、重ねられたシート600a~600eまたは層700a~700eに適用させ、一度硬化されると、重ねられたシート600a~600eまたは層700a~700eと関連付けられる樹脂は、重ねられたシート600a~600eまたは層700a~700eを硬くさせて所望の形を保持させる。
【0154】
シート600a~600eおよび層700a~700eは、樹脂材料を含むとして記載されているが、シート600a~600eおよび層700a~700eに、成形型800内に注入される樹脂が追加的に供給されてもよいことは、留意されるべきである。注入された樹脂は、シート600a~600eおよび層700a~700eの含浸された樹脂に加えてであってもよい、または、代替で、含浸される樹脂の代わりに使用されてもよい。
【0155】
前述の工程は、特別注文で作られる履物を製造するために使用され得る履物板および緩衝要素を形成するために用いられてもよい。例えば、足の様々な測定が、履物の物品に組み込まれる履物板および緩衝部材の適切な寸法を決定するために記録され得る。また、足の入口と関連付けられるデータが、足がつま先着地または踵着地を示しているかどうかを決定するために取得されてもよい。足の測定および取得されたデータは、履物板の最適な角度および曲率半径と、緩衝部材の上方もしくは下方に位置決めされる、または、履物板を封入する1つまたは複数の緩衝部材の厚さとを決定するために用いられ得る。さらに、履物板の長さおよび幅は、集められたデータおよび足の測定に基づいて決定され得る。一部の例では、足の測定および集められたデータは、着用者の足にぴったりと合致する履物板および/または緩衝部材を、様々な大きさおよび寸法の複数のあらかじめ製作された履物板および/または緩衝部材から選択するために使用される。
【0156】
特別注文の履物板は、履物の具体的な着用者のために、板の剛性の仕立てをさらに可能にできる。例えば、競技者の腱の硬さおよび腓筋の強さが、競技者による使用のために、板の適切な剛性を決定するために測定され得る。ここで、履物板の剛性は、競技者の強度と共に、または、競技者の腱の大きさ/条件に対して、変わり得る。追加または代替で、板の剛性は、競技者の関節の角度がランニング動作の間にどのように変わるかなど、特定の競技者の生体力学およびランニング力学に基づいて仕立てられてもよい。一部の例では、競技者の力および運動の測定は、競技者のための特別注文の板を製造する前に取得される。他の例では、板は、個々の競技者が適切な剛性を選択できるように、セミオーダーの履物を提供するために、特定の範囲または増分の剛性で製造される。
【0157】
一部の例では、履物板300を製造する方法は、複数の重ねられたプライ(または、トウ)を提供するステップを含み、一体の層を形成するために複数の重ねられたプライを溶解し、板300を形成するために一体の層を熱的に形成する。方法は、内部空所102を定めるアッパー100を提供することと、板を内部空所102内に挿入することとを含んでもよい。方法は、前足部分12から踵部分16へと延びるミッドソール220を提供することと、板300をミッドソール220の上の部分で位置決めすることと、アッパー100をミッドソール220に固定することと、履物の物品を形成するためにアウトソール210をミッドソール220に固定することとを含んでもよい。
【0158】
以下の条項は、前述した履物の物品のための板についての例示の構成を提供している。
【0159】
条項1:アッパーを有する履物の物品のためのソール構造であって、ソール構造は、アウトソールと、アウトソールとアッパーとの間に配置される板とを備える。板は、ソール構造の前足領域に配置される最前方の点と、最前方の点よりソール構造の踵領域の近くに配置される最後方の点と、最前方の点と最後方の点との間で延び、最前方の点からソール構造の中足指節(MTP)点まで一定の曲率半径を含む凹部分であって、MTP点は使用中に足のMTP関節に対向する、凹部分とを備える。第1の緩衝層が、凹部分とアッパーとの間に配置され得る。
【0160】
条項2:最前方の点と最後方の点とは同一平面上にある、条項1に記載のソール構造。
【0161】
条項3:板は、ソール構造の踵領域内に配置される実質的に平坦な部分を備え、最後方の点は、実質的に平坦な部分内に位置する、条項2に記載のソール構造。
【0162】
条項4:板は、ソール構造の踵領域内に配置される実質的に平坦な部分を備え、最後方の点は、実質的に平坦な部分内に位置する、条項1に記載のソール構造。
【0163】
条項5:凹部分と実質的に平坦な部分との間に配置され、凹部分と実質的に平坦な部分とを連結する融合部分をさらに備える、条項4に記載のソール構造。
【0164】
条項6:融合部分は実質的に一定の湾曲を含む、条項5に記載のソール構造。
【0165】
条項7:融合部分は、男性のサイズ10の履物の物品について約134ミリメートル(mm)に等しい曲率半径を備える、条項5に記載のソール構造。
【0166】
条項8:最前方の点および最後方の点は、融合部分と実質的に平坦な部分との結合において同一平面上にある、条項5に記載のソール構造。
【0167】
条項9:実質的に平坦な部分とアッパーとの間に配置される第2の緩衝層をさらに備える、条項3から8のいずれか一項に記載のソール構造。
【0168】
条項10:アウトソールと板との間に配置される第3の緩衝層をさらに備える、条項9に記載のソール構造。
【0169】
条項11:第3の緩衝層は踵領域内に配置される、条項10に記載のソール構造。
【0170】
条項12:第3の緩衝層は踵領域から前足領域まで延びる、条項10に記載のソール構造。
【0171】
条項13:第2の緩衝部材は、MTP点と対向する場所において、約3.0ミリメートル(mm)から約13.0mmまでの厚さを備え、第3の緩衝部材は、MTP点と対向する場所において、約0.5mmから約6.0mmまでの厚さを備える、条項12に記載のソール構造。
【0172】
条項14:第1の緩衝部材、第2の緩衝部材、および第3の緩衝部材のうちの少なくとも1つは、1立方センチメートルあたり約0.05グラム(g/cm3)から約0.20g/cm3までの密度と、約11ショアAから約50ショアAまでの硬度と、少なくとも60パーセント(60%)のエネルギーの戻りとを含む、条項9から12のいずれか一項に記載のソール構造。
【0173】
条項15:板とアッパーとの間、および/または、アウトソールと板との間に配置される少なくとも1つの流体充填室をさらに備える、条項9から12のいずれか一項に記載のソール構造。
【0174】
条項16:少なくとも1つの流体充填室は、第2の緩衝層および第3の緩衝層の少なくとも一方内に配置される、条項15に記載のソール構造。
【0175】
条項17:MTP点は、最前方の点からの板の全長のおおよそ30パーセント(30%)に位置し、最後方の点は、MTP点からの板の全長のおおよそ30パーセント(30%)に位置する、条項1から16のいずれか一項に記載のソール構造。
【0176】
条項18:MTP点は、最前方の点からの板の全長のおおよそ81ミリメートル(81mm)に位置し、最後方の点は、最前方の点からの板の全長のおおよそ81ミリメートル(81mm)に位置する、条項1から17のいずれか一項に記載のソール構造。
【0177】
条項19:MTP点は、最前方の点からの板の全長の約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までに位置し、最後方の点は、MTP点からの板の全長の約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までに位置する、条項1から18のいずれか一項に記載のソール構造。
【0178】
条項20:曲率半径の中心はMTP点に位置する、条項1から19のいずれか一項に記載のソール構造。
【0179】
条項21:一定の曲率半径は最前方の点からMTP点を越えて延びる、条項1から20のいずれか一項に記載のソール構造。
【0180】
条項22:一定の曲率半径は、最前方の点からの板の全長の少なくとも40パーセント(40%)で、最前方の点からMTP点を越えて延びる、条項1に記載のソール構造。
【0181】
条項23:アウトソールは、地上接触面と、地上接触面とは反対のアウトソールの側に形成される内面とを備え、内面は板に直接的に付着される、条項1から22のいずれか一項に記載のソール構造。
【0182】
条項24:内面は、凹部分に近接して板に付着される、条項23に記載のソール構造。
【0183】
条項25:板は約0.6ミリメートル(mm)から約3.0mmまでの厚さを備える、条項1から24のいずれか一項に記載のソール構造。
【0184】
条項26:板は、少なくとも70ギガパスカル(GPa)に等しいヤング率を備える、条項1から25のいずれか一項に記載のソール構造。
【0185】
条項27:板の最前方の点および最後方の点は、約3ミリメートルから約28mmまでに等しいMTPからの位置高さを各々備える、条項1から26のいずれか一項に記載のソール構造。
【0186】
条項28:板の最前方の点および最後方の点は、約17ミリメートル(mm)から約57mmまでに等しいMTPからの位置高さを各々備える、条項1から27のいずれか一項に記載のソール構造。
【0187】
条項29:最前方の点は、水平の基準平面に対して約12度から約35度までの角度でMTP点から延びる、条項1から28のいずれか一項に記載のソール構造。
【0188】
条項30:最後方の点は、水平の基準平面に対して約12度から約35度までの角度でMTP点から延びる、条項1から29のいずれか一項に記載のソール構造。
【0189】
条項31:アッパーを有する履物の物品のためのソール構造であって、ソール構造は、アウトソールと、アウトソールとアッパーとの間に配置される板とを備える。板は、ソール構造の前足領域に配置される最前方の点と、最前方の点よりソール構造の踵領域の近くに配置される最後方の点と、最前方の点と最後方の点との間で延び、最前方の点と最後方の点とを連結し、最前方の点からソール構造の中足指節(MTP)点まで一定の曲率半径を含む湾曲部分であって、MTP点は使用中に足のMTP関節に対向する、湾曲部分とを備える。第1の緩衝層が、湾曲部分とアッパーとの間に配置され得る。
【0190】
条項32:最前方の点と最後方の点とは同一平面上にある、条項31に記載のソール構造。
【0191】
条項33:板は、ソール構造の踵領域内に配置される実質的に平坦な部分を備え、最後方の点は、実質的に平坦な部分内に位置する、条項32に記載のソール構造。
【0192】
条項34:板は、ソール構造の踵領域内に配置される実質的に平坦な部分を備え、最後方の点は、実質的に平坦な部分内に位置する、条項31に記載のソール構造。
【0193】
条項35:凹部分と実質的に平坦な部分との間に配置され、湾曲部分と実質的に平坦な部分とを連結する融合部分をさらに備える、条項34に記載のソール構造。
【0194】
条項36:融合部分は実質的に一定の湾曲を含む、条項35に記載のソール構造。
【0195】
条項37:融合部分は、男性のサイズ10の履物の物品について約134ミリメートル(mm)に等しい曲率半径を備える、条項24に記載のソール構造。
【0196】
条項38:最前方の点および最後方の点は、融合部分と実質的に平坦な部分との結合において同一平面上にある、条項35に記載のソール構造。
【0197】
条項39:実質的に平坦な部分とアッパーとの間に配置される第2の緩衝層をさらに備える、条項33から38のいずれか一項に記載のソール構造。
【0198】
条項40:アウトソールと板との間に配置される第3の緩衝層をさらに備える、条項39に記載のソール構造。
【0199】
条項41:第3の緩衝層は踵領域内に配置される、条項40に記載のソール構造。
【0200】
条項42:第3の緩衝層は踵領域から前足領域まで延びる、条項40に記載のソール構造。
【0201】
条項43:第2の緩衝部材は、MTP点と対向する場所において、約3.0ミリメートル(mm)から約13.0mmまでの厚さを備え、第3の緩衝部材は、MTP点と対向する場所において、約0.5mmから約6.0mmまでの厚さを備える、条項42に記載のソール構造。
【0202】
条項44:第1の緩衝部材、第2の緩衝部材、および第3の緩衝部材のうちの少なくとも1つは、1立方センチメートルあたり約0.05グラム(g/cm3)から約0.20g/cm3までの密度と、約11ショアAから約50ショアAまでの硬度と、少なくとも60パーセント(60%)のエネルギーの戻りとを含む、条項39から43のいずれか一項に記載のソール構造。
【0203】
条項45:板とアッパーとの間、および/または、アウトソールと板との間に配置される少なくとも1つの流体充填室をさらに備える、条項39から42のいずれか一項に記載のソール構造。
【0204】
条項46:少なくとも1つの流体充填室は、第2の緩衝層および第3の緩衝層の少なくとも一方内に配置される、条項45に記載のソール構造。
【0205】
条項47:MTP点は、最前方の点からの板の全長のおおよそ30パーセント(30%)に位置し、最後方の点は、MTP点からの板の全長のおおよそ30パーセント(30%)に位置する、条項31から46のいずれか一項に記載のソール構造。
【0206】
条項48:MTP点は、最前方の点からの板の全長のおおよそ81ミリメートル(81mm)に位置し、最後方の点は、最前方の点からの板の全長のおおよそ81ミリメートル(81mm)に位置する、条項31から47のいずれか一項に記載のソール構造。
【0207】
条項49:MTP点は、最前方の点からの板の全長の約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までに位置し、最後方の点は、MTP点からの板の全長の約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までに位置する、条項31から48のいずれか一項に記載のソール構造。
【0208】
条項50:曲率半径の中心はMTP点に位置する、条項31から49のいずれか一項に記載のソール構造。
【0209】
条項51:一定の曲率半径は最前方の点からMTP点を越えて延びる、条項31から50のいずれか一項に記載のソール構造。
【0210】
条項52:一定の曲率半径は、最前方の点からの板の全長の少なくとも40パーセント(40%)で、最前方の点からMTP点を越えて延びる、条項31に記載のソール構造。
【0211】
条項53:アウトソールは、地上接触面と、地上接触面とは反対のアウトソールの側に形成される内面とを備え、内面は板に直接的に付着される、条項31から52のいずれか一項に記載のソール構造。
【0212】
条項54:内面は、湾曲部分に近接して板に付着される、条項53に記載のソール構造。
【0213】
条項55:板は約0.6ミリメートル(mm)から約3.0mmまでの厚さを備える、条項31から54のいずれか一項に記載のソール構造。
【0214】
条項56:板は、少なくとも70ギガパスカル(GPa)に等しいヤング率を備える、条項31から55のいずれか一項に記載のソール構造。
【0215】
条項57:板の最前方の点および最後方の点は、約3ミリメートルから約28mmまでに等しいMTPからの位置高さを各々備える、条項31から56のいずれか一項に記載のソール構造。
【0216】
条項58:板の最前方の点および最後方の点は、約17ミリメートル(mm)から約57mmまでに等しいMTPからの位置高さを各々備える、条項31から57のいずれか一項に記載のソール構造。
【0217】
条項59:最前方の点は、水平の基準平面に対して約12度から約35度までの角度でMTP点から延びる、条項31から58のいずれか一項に記載のソール構造。
【0218】
条項60:最後方の点は、水平の基準平面に対して約12度から約35度までの角度でMTP点から延びる、条項31から59のいずれか一項に記載のソール構造。
【0219】
条項61:アッパーを有する履物の物品のためのソール構造であって、ソール構造は、アウトソールと、アウトソールとアッパーとの間に配置される板とを備える。板は、ソール構造の前足領域に配置される最前方の点と、最前方の点よりソール構造の踵領域の近くに配置される最後方の点と、最前方の点と最後方の点との間で延び、最前方の点と最後方の点とを連結し、最前方の点からソール構造の中足指節(MTP)点まで円形の湾曲を含む湾曲部分であって、MTP点は使用中に足のMTP関節に対向する、湾曲部分とを備える。第1の緩衝層が、湾曲部分とアッパーとの間に配置され得る。
【0220】
条項62:最前方の点と最後方の点とは同一平面上にある、条項61に記載のソール構造。
【0221】
条項63:板は、ソール構造の踵領域内に配置される実質的に平坦な部分を備え、最後方の点は、実質的に平坦な部分内に位置する、条項62に記載のソール構造。
【0222】
条項64:板は、ソール構造の踵領域内に配置される実質的に平坦な部分を備え、最後方の点は、実質的に平坦な部分内に位置する、条項61に記載のソール構造。
【0223】
条項65:凹部分と実質的に平坦な部分との間に配置され、湾曲部分と実質的に平坦な部分とを連結する融合部分をさらに備える、条項64に記載のソール構造。
【0224】
条項66:融合部分は実質的に一定の湾曲を含む、条項65に記載のソール構造。
【0225】
条項67:融合部分は、男性のサイズ10の履物の物品について約134ミリメートル(mm)に等しい曲率半径を備える、条項65に記載のソール構造。
【0226】
条項68:最前方の点および最後方の点は、融合部分と実質的に平坦な部分との結合において同一平面上にある、条項65に記載のソール構造。
【0227】
条項69:実質的に平坦な部分とアッパーとの間に配置される第2の緩衝層をさらに備える、条項63から68のいずれか一項に記載のソール構造。
【0228】
条項70:アウトソールと板との間に配置される第3の緩衝層をさらに備える、条項69に記載のソール構造。
【0229】
条項71:第3の緩衝層は踵領域内に配置される、条項70に記載のソール構造。
【0230】
条項72:第3の緩衝層は踵領域から前足領域まで延びる、条項70に記載のソール構造。
【0231】
条項73:第2の緩衝部材は、MTP点と対向する場所において、約3.0ミリメートル(mm)から約13.0mmまでの厚さを備え、第3の緩衝部材は、MTP点と対向する場所において、約0.5mmから約6.0mmまでの厚さを備える、条項72に記載のソール構造。
【0232】
条項74:第1の緩衝部材、第2の緩衝部材、および第3の緩衝部材のうちの少なくとも1つは、1立方センチメートルあたり約0.05グラム(g/cm3)から約0.20g/cm3までの密度と、約11ショアAから約50ショアAまでの硬度と、少なくとも60パーセント(60%)のエネルギーの戻りとを含む、条項69から73のいずれか一項に記載のソール構造。
【0233】
条項75:板とアッパーとの間、および/または、アウトソールと板との間に配置される少なくとも1つの流体充填室をさらに備える、条項69から72のいずれか一項に記載のソール構造。
【0234】
条項76:少なくとも1つの流体充填室は、第2の緩衝層および第3の緩衝層の少なくとも一方内に配置される、条項75に記載のソール構造。
【0235】
条項77:MTP点は、最前方の点からの板の全長のおおよそ30パーセント(30%)に位置し、最後方の点は、MTP点からの板の全長のおおよそ30パーセント(30%)に位置する、条項61から76のいずれか一項に記載のソール構造。
【0236】
条項78:MTP点は、最前方の点からの板の全長のおおよそ81ミリメートル(81mm)に位置し、最後方の点は、最前方の点からの板の全長のおおよそ81ミリメートル(81mm)に位置する、条項61から77のいずれか一項に記載のソール構造。
【0237】
条項79:MTP点は、最前方の点からの板の全長の約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までに位置し、最後方の点は、MTP点からの板の全長の約25パーセント(25%)から約35パーセント(35%)までに位置する、条項61から78のいずれか一項に記載のソール構造。
【0238】
条項80:円形の湾曲の中心はMTP点に位置する、条項61から79のいずれか一項に記載のソール構造。
【0239】
条項81:円形の湾曲は最前方の点からMTP点を越えて延びる、条項61から80のいずれか一項に記載のソール構造。
【0240】
条項82:円形の湾曲は、最前方の点からの板の全長の少なくとも40パーセント(40%)で、最前方の点からMTP点を越えて延びる、条項61に記載のソール構造。
【0241】
条項83:アウトソールは、地上接触面と、地上接触面とは反対のアウトソールの側に形成される内面とを備え、内面は板に直接的に付着される、条項61から82のいずれか一項に記載のソール構造。
【0242】
条項84:内面は、湾曲部分に近接して板に付着される、条項83に記載のソール構造。
【0243】
条項85:第1の緩衝層とは反対の板の側に配置され、アウトソールの少なくとも一部分を形成する第2の緩衝層をさらに備える、条項83に記載のソール構造。
【0244】
条項86:板は約0.6ミリメートル(mm)から約3.0mmまでの厚さを備える、条項61から85のいずれか一項に記載のソール構造。
【0245】
条項87:板は、少なくとも70ギガパスカル(GPa)に等しいヤング率を備える、条項61から86のいずれか一項に記載のソール構造。
【0246】
条項88:板の最前方の点および最後方の点は、約3ミリメートルから約28mmまでに等しいMTPからの位置高さを各々備える、条項61から87のいずれか一項に記載のソール構造。
【0247】
条項89:板の最前方の点および最後方の点は、約17ミリメートル(mm)から約57mmまでに等しいMTPからの位置高さを各々備える、条項61から88のいずれか一項に記載のソール構造。
【0248】
条項90:最前方の点は、水平の基準平面に対して約12度から約35度までの角度でMTP点から延びる、条項61から89のいずれか一項に記載のソール構造。
【0249】
条項91:最後方の点は、水平の基準平面に対して約12度から約35度までの角度でMTP点から延びる、条項61から90のいずれか一項に記載のソール構造。
【0250】
条項92:条項1から91のいずれか一項によるソール構造を受け入れることと、履物の物品のためのアッパーを受け入れることと、ソール構造とアッパーとを互いに固定することとを含む、履物の物品を製造する方法。
【0251】
条項93:条項1から91のソール構造のいずれかの板を形成するために、繊維シートを重ねることを含む、条項1から91のソール構造のいずれかを製造する方法。
【0252】
条項94:繊維シートと関連付けられる樹脂を活性化させるために、熱および圧力を重ねられた繊維シートに加えることをさらに含む、条項93に記載の方法。
【0253】
条項95:熱および圧力を加えることは、熱および圧力を成形型内に加えることを含む、条項94に記載の方法。
【0254】
条項96:条項1から91のソール構造のいずれかの板を形成するために、繊維の第1のトウを第1の基材に適用することを含む、条項1から91のソール構造のいずれかを製造する方法。
【0255】
条項97:板を形成するために、繊維の第2のトウを繊維の第1のトウに適用することをさらに含む、条項96に記載の方法。
【0256】
条項98:繊維の第2のトウを第2の基材に適用することと、板を形成するために、第1の基材および第2の基材を、繊維の第1のトウおよび繊維の第2のトウと共に重ねることとをさらに含む、条項96に記載の方法。
【0257】
条項99:繊維シートと関連付けられる樹脂を活性化させるために、熱および圧力を繊維に加えることをさらに含む、条項96に記載の方法。
【0258】
条項100:熱および圧力を加えることは、熱および圧力を成形型内に加えることを含む、条項99に記載の方法。
【0259】
前述の記載は、例示および説明の目的のために提供されている。排他的となること、または、本開示を限定することは、意図されていない。具体的な構成の個々の要素または特徴は、その具体的な構成に概して限定されておらず、適用可能である場合、明確に図示または記載されていないときであっても、互いに置き換え可能であり、選択された構成で使用され得る。同じことは、多くの方法で多様化されてもよい。このような多様化は、本開示からの逸脱として解釈されることはなく、すべてのこのような変形は、本開示の範囲内に含まれるように意図されている。
【符号の説明】
【0260】
2 地上面
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g 履物
12 前足部分
12f 分割前足部分
12g 指形状前足部分
12h 輪形状前足部分
12i 鉤爪形状前足部分
14 中間足部分
16 踵部分
18 外側部
20 内側部
100 アッパー
102 空所
104 足首開放部
106 留め具
110 舌部分
200、200a、200b、200c、200d、200e、200f、200g、200h ソール構造
210、210b、210c、210d、210e、210f、210g、210h アウトソール
212、212g 地上係合面
214、214b、214c、214d、214g 内面
220、220a、220b、220c、220d、220e、220f、220g、220h ミッドソール
222、222a、222b、222c、222d、222h 底面
224 中底
226 縫い付け
230、230a、230b、230c、230d、230h 側壁
240、240b、240c、240d、240h 空洞
242、242c、242d アクセス開口
250、250f、250b、250c、250d、250e、250f、250g、250h 緩衝部材
250a、250h 第1の緩衝部材
252、252b、252c、252d、252e、252f、252g 底面
254、254a、254b、254c、254d、254e、254f、254g、254h 上面
255 開口
260 インソール
270 第2の緩衝部材
272 底面
274 上面
300、300a、300b、300c、300d、300e、300f、300g、300h、300i 履物板
301、301e 第1の端、最後方の点
302、302b、302c 第2の端、最前方の点、AMP
310、310b、310c 湾曲領域
312 実質的に平坦な領域、実質的に平坦な部分
320、320b、320c MTP点
322、322b、322c 前方湾曲部分、湾曲領域
324、324b、324c 後方湾曲部分、湾曲領域
326、326b、326c、326d 後部点
328、328b、328c 融合部分
362 つま先区分
364 MTP区分
366、366d、366e ブリッジ区分
368 踵区分
371、371i 外側区分
372、372g、372i 内側区分
374 外側の湾曲
380、380i 内部切り欠き領域
382 周縁
384 開口
400 流体充填袋
401 上方境界部分
402 下方境界部分
403 側壁
410 湾曲領域
412 実質的に平坦な領域
420 MTP点
422 前方湾曲部分
424 後方湾曲部分
500 テザー要素
530 テザー
600a、600b、600c、600d、600e プリプレグ繊維シート
602 繊維
700a、700b、700c、700d、700e 層
702 ストランド
702a 第3のストランド
702b 第4のストランド
702c 第1のストランド
702d 第2のストランド
702e 第5および第6のストランド
704 基材
800 突起
800 成形型
802 第1の成形型半体
804 第2の成形型半体
806 成形型空洞
H、H1、H2、H3 位置高さ
L 長手方向軸
LA 前方湾曲部分の長さ
LP 後方湾曲部分の長さ
R 曲率半径
RP 水平方向の基準平面
V 頂点
α1、α2、α3 角度
β1、β2、β3 角度
Φ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40A
図40B
図40C
図40D
図40E
図41
図42A
図42B
図42C
図42D
図42E
図43
図44
図45
【外国語明細書】