(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131206
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】工事用足プロテクター
(51)【国際特許分類】
A43B 3/20 20220101AFI20230914BHJP
【FI】
A43B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035803
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】592091529
【氏名又は名称】東光電気工事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119943
【弁理士】
【氏名又は名称】南 敦
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河内 洋紀
(72)【発明者】
【氏名】手塚 利充
(72)【発明者】
【氏名】土佐 竜矢
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康弘
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA28
4F050FA27
4F050HA55
4F050HA82
4F050JA23
(57)【要約】
【課題】ブレーカー等を使用してコンクリートを壊す工事等における作業を行う際においても、足を負傷する災害の発生を防止することのできる工事用足プロテクターを提供する。
【解決手段】板状体から構成された工事用足プロテクターであって、中央部分に形成された尾根部から両側に向けて傾斜する傾斜面を有し、かつ、先端側から後端側に向けて徐々に高くなる形状とされ、足の爪先部分及び甲部分を覆う爪先及び甲保護部と、前記爪先及び甲保護部の後端側に位置し、断面形状が半円弧状で、かつ、前記爪先及び甲保護部側から上方に向けて延在するように設けられ、足の足首部分及び脛部分を覆う足首及び脛保護部と、前記足首及び脛保護部の両側端部から後方に向けて延在する締結用ベルトと、を具備している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体から構成された工事用足プロテクターであって、
中央部分に形成された尾根部から両側に向けて傾斜する傾斜面を有し、かつ、先端側から後端側に向けて徐々に高くなる形状とされ、足の爪先部分及び甲部分を覆う爪先及び甲保護部と、
前記爪先及び甲保護部の後端側に位置し、断面形状が半円弧状で、かつ、前記爪先及び甲保護部側から上方に向けて延在するように設けられ、足の足首部分及び脛部分を覆う足首及び脛保護部と、
前記足首及び脛保護部の両側端部から後方に向けて延在する締結用ベルトと、
を具備したことを特徴とする工事用足プロテクター。
【請求項2】
前記板状体が樹脂から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の工事用足プロテクター。
【請求項3】
前記樹脂がポリカーボネートであることを特徴とする請求項2に記載の工事用足プロテクター。
【請求項4】
前記足首及び脛保護部の上側端部に、柔軟性を有する部材からなるクッションを具備したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の工事用足プロテクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事用足プロテクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば工場内等で重量の重い機材等を扱う際に、これらを落下させた際に足の爪先や足の甲を保護する目的で、所謂安全靴及び甲プロテクター等と呼ばれている製品が使用されている。
【0003】
上記の安全靴は、靴のつま先部分に先しん等と呼ばれる保護具を設けて落下物からつま先部分を保護する。また、甲プロテクター等と呼ばれている製品では、足の甲部分の形状に合わせて湾曲させた板状のプロテクターを、安全靴の上から取り付けて、足の甲部分を保護するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の技術では、安全靴と甲プロテクターとを組み合わせて使用することにより、重量物の落下等から、足のつま先及び甲部分を保護することを想定している。このため、例えば、ブレーカー等を使用してコンクリートを壊す工事等における作業を行う際には、甲プロテクター等を装着していたとしても、ブレーカーの刃先が甲プロテクターを貫通して或いは甲プロテクターによって覆われていない足首部分等に当たり、足を負傷する災害が発生する恐れがある、という課題があった。
【0006】
本発明の目的は、ブレーカー等を使用してコンクリートを壊す工事等における作業を行う際においても、足を負傷する災害が発生することを防止することのできる工事用足プロテクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の工事用足プロテクターは、板状体から構成された工事用足プロテクターであって、中央部分に形成された尾根部から両側に向けて傾斜する傾斜面を有し、かつ、先端側から後端側に向けて徐々に高くなる形状とされ、足の爪先部分及び甲部分を覆う爪先及び甲保護部と、前記爪先及び甲保護部の後端側に位置し、断面形状が半円弧状で、かつ、前記爪先及び甲保護部側から上方に向けて延在するように設けられ、足の足首部分及び脛部分を覆う足首及び脛保護部と、前記足首及び脛保護部の両側端部から後方に向けて延在する締結用ベルトと、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の工事用足プロテクターによれば、ブレーカー等を使用してコンクリートを壊す工事等における作業を行う際においても、足を負傷する災害が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る工事用足プロテクターの全体構成を模式的に示す斜視図。
【
図2】
図1の工事用足プロテクターの全体構成を模式的に示す側面図。
【
図3】
図1の工事用足プロテクターの全体構成を模式的に示す正面図。
【
図4】
図1の工事用足プロテクターの全体構成を模式的に示す底面図及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の詳細を実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る工事用足プロテクターの全体構成を模式的に示す斜視図、
図2は側面図、
図3は正面図、
図4は底面図であり、これらの図において、工事用足プロテクターの曲面形状を表すために、曲線が示されている。なお、
図2~4では、
図1に示す後述する固定ベルト130の図示が省略されている。
【0012】
図1に示す工事用足プロテクター100は、例えば、ブレーカー等を使用してコンクリートを壊す工事等における作業を行う際に使用されることを想定しており、工事用足プロテクター100の表面にブレーカーの刃先が当たった際に、刃先が表面を滑り、工事用足プロテクター100に刺さることがなく、刃先が貫通して作業者の足が負傷することのない構成となっている。
【0013】
工事用足プロテクター100は、樹脂、例えば透明なポリカーボネート等の板状体(厚さ例えば5mm程度)を所定形状に成形して構成されており、足の爪先、甲、足首、脛の部分を覆う形状とされている。すなわち、
図2にも示すように、先端側に設けられ、足の爪先及び甲部分を覆う爪先及び甲保護部110と、この爪先及び甲保護部110の後端側に連続的に設けられ、足首及び脛の前側半部を覆う足首及び脛保護部120とを具備した構造とされている。なお、爪先及び甲保護部110は、従来の甲プロテクター等と異なり、足の甲部分だけでなく、爪先部分まで覆う構成となっており、必ずしも安全靴と組み合わせて使用する必要はない。
【0014】
図4は、工事用足プロテクター100の底面図であり、右側には、それぞれA-A断面、B-B断面、C-C断面の断面構成が示されている。この
図4にも示すように、爪先及び甲保護部110は、その略中央部に後端側から先端側に沿って設けられた高さの高い部分である尾根部111(
図1参照。)から両側下方に向けて傾斜する傾斜面112a、傾斜面112bを有する構造とされている。また、尾根部111は、
図2に示すように、後端側が高く先端側が低くなるよう傾斜した形状となっている。
【0015】
爪先及び甲保護部110における後端側が高く先端側が低くなる傾斜(
図2に示すされる角度α)については、例えば、35°~45°の範囲内とすることが好まく、本実施形態では40°程度となっている。また、
図4に示される尾根部111を中心として傾斜面112aと傾斜面112bとがなす角度βについては、例えば、一番角度のきつい部分(
図4の例ではA-A断面付近)の角度βが例えば、60°~70°の範囲内となるように設定することが好ましく、本実施形態では65°程度となっている。本実施形態では、A-A断面付近の角度βが一番きつく、その次に後端側のB-B断面付近の角度、その次に先端側のC-C断面付近の角度の順に角度が緩くなる曲面形状とされている。
【0016】
また、足首及び脛保護部120は、
図2に示すように、爪先及び甲保護部110の後端側から上方に向けて略垂直に延在する形状とされており、
図4に示すように、その断面形状は、略半円弧状とされている。この足首及び脛保護部120には、
図1に示すように、固定ベルト130が設けられている。固定ベルト130は、足首及び脛保護部120の両側端部に設けられた透孔に挿入されて係止されている。
【0017】
また、足首及び脛保護部120の上端部には、クッション140が設けられている。このクッション140は、足首及び脛保護部120の上側端部が脛に当たって痛みを感じることを防止するためのものである。クッション140は、足首及び脛保護部120の上側側に設けられた透孔に、組ネジ121等によって固定されている。クッション140は、柔軟性を有するNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)等のクッション材と、このクッション材の表面を覆うカバー等から構成されている。
【0018】
なお、
図3に示す工事用足プロテクター100の全体の高さh2、及びプロテクター部分の高さh1については、以下の範囲とすることが好ましい。すなわち、高さh1については、160mm~210mm程度とすることが好ましく、高さh2については、180~230mm程度とすることが好ましい。この範囲とすることによって、足首及び脛を含めた足の保護ができ、かつ、工事用足プロテクター100の装着によって歩行に支障が生じることもない。すなわち、上記の寸法が短すぎると足の保護が十分でなくなる可能性があり、長くし過ぎると歩行に支障が生じる場合がある。
【0019】
上記構成の本実施形態の工事用足プロテクター100は、例えば、ブレーカー等を使用してコンクリートを壊す工事等における作業を行う際に、靴、長靴等の上に被せ、足首の後ろ側(脹脛の部分)に固定ベルト130を回して足に装着する。これによって、爪先及び甲保護部110により、足の爪先及び甲の部分が覆われて保護され、足首及び脛保護部120により、足首及び脛の前及び横の部分が覆われて保護される。
【0020】
この状態で、ブレーカー等を使用すれば、ブレーカーの刃が工事用足プロテクター100に当たった場合に、その材質と表面の曲面形状によって刃が工事用足プロテクター100の表面を滑り、刃が工事用足プロテクター100に噛み込むことがないので、工事用足プロテクター100を貫通することがなく、足が傷つくことを防止することができる。なお、材質がアルミニウム板等からなる従来の甲プロテクターの場合、ブレーカーの刃がこれに当たった場合、刃が噛み込んで甲プロテクターを貫通し、足を傷つけてしまう恐れがあった。
【0021】
また、従来の甲プロテクターでは、甲プロテクター部分に当たったブレーカーの刃が、甲プロテクターに覆われていない足首部分から足に当たり、足が傷つくことがあったが、本実施形態の工事用足プロテクター100では、爪先及び甲保護部110の後端側から上方に向けて略垂直に延在する形状とされた足首及び脛保護部120によって、ブレーカーの刃が足首部分等に当たることを確実に防止することができ、足が傷つくことを防止することができる。
【0022】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として示したものであり、この他の様々な形態で実施が可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0023】
100……工事用足プロテクター、110……爪先及び甲保護部、111……尾根部、112a……傾斜面、112b……傾斜面、120……足首及び脛保護部、121……組ネジ、130……固定ベルト、140……クッション。