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特開2023-131237特徴抽出装置、レーダー受信機、特徴抽出方法、レーダー受信方法、特徴抽出プログラム、レーダー受信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131237
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】特徴抽出装置、レーダー受信機、特徴抽出方法、レーダー受信方法、特徴抽出プログラム、レーダー受信プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/937 20200101AFI20230914BHJP
【FI】
G01S13/937
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035848
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】314012087
【氏名又は名称】株式会社光電製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】林 大介
(72)【発明者】
【氏名】西原 幸伸
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC02
5J070AC13
5J070AE02
5J070AE07
5J070AE08
5J070AF05
5J070AH12
5J070AH14
5J070AK17
(57)【要約】
【課題】リアルタイム性を維持しつつ、レーダーのみで、適正な海面反射抑圧量を得るための特徴抽出技術を提供する。
【解決手段】本発明の特徴抽出装置は、マスク生成部、マスク内代表特徴算出部、マスク内代表特徴記録部、方位角範囲内特徴算出部、特徴データ抽出部を備える。マスク生成部は、受信信号の強度が高い範囲を1つのマスクとしてマスクを生成する。マスク内代表特徴算出部は、距離を示す1つの代表距離と強度を示す1つの代表強度を組とする代表特徴量を算出する。マスク内代表特徴記録部は、代表特徴量を方位ごとに記録する。方位角範囲内特徴算出部は、方位ごとに角度の範囲内の距離の代表値である方位角範囲内代表距離を算出する。特徴データ抽出部は、代表距離が方位角範囲内代表距離以下の代表特徴量を抽出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上で受信したレーダーの受信信号から海面での反射信号の特徴を抽出する特徴抽出装置であって、
受信信号は、あらかじめ定めた方位ごとに受信し、あらかじめ定めた距離分解能での強度を示す信号であり、
受信信号の強度が連続してあらかじめ定めた値より高い範囲を1つのマスクとしてマスクを生成するマスク生成部と、
マスクごとに、距離を示す1つの代表距離と強度を示す1つの代表強度を組とする代表特徴量を算出するマスク内代表特徴算出部と、
代表特徴量を、方位ごとに記録するマスク内代表特徴記録部と、
あらかじめ定めた方位の範囲の代表距離に基づいて、方位ごとに角度の範囲内の距離の代表値である方位角範囲内代表距離を算出する方位角範囲内特徴算出部と、
前記あらかじめ定めた方位の範囲で、代表距離が前記方位角範囲内代表距離以下の代表特徴量を抽出する特徴データ抽出部と、
を備える特徴抽出装置。
【請求項2】
請求項1記載の特徴抽出装置であって、
前記マスク内代表特徴算出部は、代表距離をマスクに含まれている距離の中からあらかじめ定めた方法で求め、代表強度をあらかじめ定めた方法でマスク内の強度に基づいて求める
ことを特徴とする特徴抽出装置。
【請求項3】
請求項1記載の特徴抽出装置であって、
前記方位角範囲内特徴算出部は、前記あらかじめ定めた方位の範囲の代表距離の平均の距離を方位角範囲内代表距離とする
ことを特徴とする特徴抽出装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の特徴抽出装置を含み、
さらに、
前記特徴データ抽出部が抽出したデータに基づいて海面反射を抑圧する抑圧量を決定する海面反射抑圧量決定部と、
前記抑圧量にしたがって、受信信号を抑圧する海面反射抑圧部と
を備えるレーダー受信機。
【請求項5】
海上で受信したレーダーの受信信号から海面での反射信号の特徴を抽出する特徴抽出方法であって、
受信信号は、あらかじめ定めた方位ごとに受信し、あらかじめ定めた距離分解能での強度を示す信号であり、
受信信号の強度が連続してあらかじめ定めた値より高い範囲を1つのマスクとしてマスクを生成するマスク生成ステップと、
マスクごとに、距離を示す1つの代表距離と強度を示す1つの代表強度を組とする代表特徴量を算出するマスク内代表特徴算出ステップと、
代表特徴量を、方位ごとに記録するマスク内代表特徴記録ステップと、
あらかじめ定めた方位の範囲の代表距離に基づいて、方位ごとに角度の範囲内の距離の代表値である方位角範囲内代表距離を算出する方位角範囲内特徴算出ステップと、
前記あらかじめ定めた方位の範囲で、代表距離が前記方位角範囲内代表距離以下の代表特徴量を抽出する特徴データ抽出ステップと、
を実行する特徴抽出方法。
【請求項6】
請求項5記載の特徴抽出方法を含み、
さらに、
前記特徴データ抽出ステップで抽出したデータに基づいて海面反射を抑圧する抑圧量を決定する海面反射抑圧量決定ステップと、
前記抑圧量にしたがって、受信信号を抑圧する海面反射抑圧ステップと
を実行するレーダー受信方法。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかに記載の特徴抽出装置としてコンピュータを機能させるための特徴抽出プログラム。
【請求項8】
請求項4記載のレーダー受信機としてコンピュータを機能させるためのレーダー受信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上で受信したレーダーの受信信号から海面での反射信号の特徴を抽出する特徴抽出装置、特徴抽出方法、特徴抽出プログラム、および抽出した特徴を用いて海面での反射信号を抑圧するレーダー受信機、レーダー受信方法、レーダー受信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶に搭載するマリンレーダーでは、航行の安全のために、周囲の船や陸地、航路標識などの障害物を監視する。使用するアンテナは水平方向に狭く、垂直方向に比較的広い指向性をもつファンビームパターンが一般的であり、これを水平方向に回転させながら電波を発射し、周辺物体からの反射波を受信することで物体の距離と方位を把握する。しかし、受信信号には安全航行のために必要な物体(目標物標)からの反射波だけではなく、主に自船近傍に出現する波からの反射波(海面反射)も含まれるため、これが目標物標の識別を妨げる。
【0003】
海面反射は風向・風速など海況によって変化し、概ね近距離では距離の三乗、遠距離では七乗に比例して減衰するとされる(非特許文献1)。海面反射を抑圧する手法としては、従来からSTC(Sensitivity Time Control)が広く利用されている。これは距離によって減衰する海面反射の特徴に合わせ、受信信号に距離のべき乗に反比例した減衰を与えて海面反射を抑圧する処理である。
【0004】
しかし前述のとおり海面反射は風向・風速に影響されるため、レーダーに対する方位によってその挙動が異なる。そのため全方位に一様な減衰を与えた場合には、目標物標の消失、もしくは海面反射の残存といった事象が生じる。この解決策として非特許文献1がある。非特許文献1では、所定の方位角範囲で取得した受信信号から方位角範囲ごとの海面反射強度を推定して、それに応じた抑圧を受信信号に与える。特許文献1では方位角範囲ごとの特徴抽出に加え、距離に応じた各サンプリングポイントで減衰量を決定することによりCFAR(Constant False Alarm Rate)処理で抑圧しきれない海面反射の抑圧を行っている。
【0005】
一方、海面反射抑圧にはスキャン間相関という処理も広く用いられる。これは過去に取得したスキャンデータ(=アンテナ1周分のデータ)を複数保持し、その統計処理によって現在データの海面反射を抑圧する手法である。一般に海面反射は自船近傍に点在し、その出現位置・数は不規則に変化する特徴を有することから、複数スキャンを平均化することで大きな海面反射抑圧効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-25916号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】韮沢富次,岡田洋、“レーダの自動化STC(日本航海学会第51回講演会にて講演)”、日本航海学会論文集、52号,pp.101~108、1974年12月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1では、受信信号には目標物標からの反射波も含まれることから適正な抑圧量の決定には課題が残る。特許文献1の場合も、やはり受信信号に含まれる反射波の要否判定に課題がある。また、スキャン間相関という処理の場合は、十分な抑圧を得るためには多くのスキャン数が必要であることから、リアルタイム性に乏しく、かつ高速で移動する目標物標を消失しやすいといった課題がある。さらに、レーダーとは別にスキャンごとの絶対方位を把握するための方位センサーが必要になる。
本発明は、リアルタイム性を維持しつつ、レーダーのみで、適正な海面反射抑圧量を得るための特徴抽出技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴抽出装置は、海上で受信したレーダーの受信信号から海面での反射信号の特徴を抽出する。受信信号は、あらかじめ定めた方位ごとに受信する、あらかじめ定めた距離分解能での強度を示す信号である。特徴抽出装置は、マスク生成部、マスク内代表特徴算出部、マスク内代表特徴記録部、方位角範囲内特徴算出部、特徴データ抽出部を備える。マスク生成部は、受信信号の強度が連続してあらかじめ定めた値より高い範囲を1つのマスクとしてマスクを生成する。マスク内代表特徴算出部は、マスクごとに、距離を示す1つの代表距離と強度を示す1つの代表強度を組とする代表特徴量を算出する。マスク内代表特徴記録部は、代表特徴量を方位ごとに記録する。方位角範囲内特徴算出部は、あらかじめ定めた方位の範囲の代表距離に基づいて、方位ごとに角度の範囲内の距離の代表値である方位角範囲内代表距離を算出する。特徴データ抽出部は、あらかじめ定めた方位の範囲で、代表距離が方位角範囲内代表距離以下の代表特徴量を抽出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、海面での反射は強度が連続してあらかじめ定めた値より高くなることが少ないことを利用し、海面での反射が多い距離に多くのマスクを生成する。そして、マスクの幅(強度が連続して高い幅)に関係なく、マスクごとに代表特徴量を求める。したがって、海面での反射に起因する代表特徴量が多くなる。さらに、それらの代表特徴量の中で距離がレーダーに近い代表特徴量のみを抽出する。したがって、本発明の特徴抽出装置によれば、リアルタイム性を維持しつつ、レーダーのみで、適正な海面反射抑圧量を得るための特徴を抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の特徴抽出装置100を有するレーダー受信機200の機能構成例を示す図。
図2】特徴抽出方法を含むレーダー受信方法の処理フローを示す図。
図3】レーダーから取得される受信信号の例を示す図。
図4】すべての番号(Index)に対して100dB以上を「あらかじめ定めた値より高い」としてマスクを生成し、生成したマスクを図3に追記した例を示す図。
図5】マスク内の中心の距離を代表距離とし、マスク内の平均強度を代表強度とした代表特徴量を図4に追記した例を示す図。
図6】方位角範囲内代表距離を図5に追記した例を示す図。
図7】コンピュータの機能構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例0013】
図1に本発明の特徴抽出装置100を有するレーダー受信機200の機能構成例を示す。図2に特徴抽出方法を含むレーダー受信方法の処理フローを示す。図3は、レーダーから取得される受信信号の例である。図3の横軸は、レーダーの反射信号の番号(Index)を示している。距離分解能の設定によって番号が示す距離は決まる。例えば、距離分解能が20mであれば、番号の1000はレーダーから20kmの距離である。また、距離分解能が0.5mであれば、番号の1000はレーダーから500mの距離である。図3の縦軸は、受信信号の強度(Level)を示している。縦軸の単位はdBである。
【0014】
図3の受信信号の例では、番号が550より遠い距離に陸地があり、番号が550より近い距離には海面での反射(海面反射)がある。図3から分かるように、海面での反射は陸地からの反射よりも弱い。また、非特許文献1などに示されているとおり、距離が遠くなるほど強度は低くなっている。そして、海面反射が存在する範囲では、受信信号の強度が短い距離の間隔で変化している。本発明では、この海面反射は短い距離間隔で変化する性質を利用して、計測している方位の受信信号に含まれている海面からの反射の特徴を抽出する。
【0015】
特徴抽出装置100は、海上で受信したレーダーの受信信号から海面での反射信号の特徴を抽出する。特徴抽出装置100は、マスク生成部110、マスク内代表特徴算出部120、マスク内代表特徴記録部130、方位角範囲内特徴算出部140、特徴データ抽出部150を備える。レーダー受信機200は、特徴抽出装置100を含み、さらに、海面反射抑圧量決定部260と海面反射抑圧部270を備える。「受信信号」は、あらかじめ定めた方位ごとに受信する、あらかじめ定めた距離分解能での強度を示す信号である。あらかじめ定めた方位は、例えば、1度ごと、0.25度ごととすればよい。あらかじめ定めた距離分解能は、0.5m程度から30m程度の間から選べばよく、特に計測したい距離を考慮して選べばよい。例えば、番号が1000まで測定できるとき、距離分解能を0.5mに設定すると計測できる距離は500mである。距離分解能を30mに設定すると計測できる距離は30kmである。
【0016】
マスク生成部110は、受信信号の強度が連続してあらかじめ定めた値より高い範囲を1つのマスクとしてマスクを生成する(S110)。「あらかじめ定めた値より高い」とは、すべての番号(Index)に対して設定したしきい値以上としてもよいし、距離を考慮して定めた値(距離が遠い番号ほど小さい値)に対して設定したしきい値よりも高いとしてもよい。図4は、すべての番号(Index)に対して100dB以上を「あらかじめ定めた値より高い」としてマスクを生成し、生成したマスクを図3に追記した例である。図3に「陸地などからの反射」と示した付近のマスクは幅(強度が連続して高い幅)が広いこと、「海面反射」と示した付近のマスクは幅が狭いことが分かる。言い換えると、「海面反射」と示した付近では多くのマスクが生成されている。
【0017】
マスク内代表特徴算出部120は、マスクごとに、距離を示す1つの代表距離と強度を示す1つの代表強度を組とする代表特徴量を算出する(S120)。「代表距離」は、マスクに含まれている距離の範囲内であれば、あらかじめ定めた方法で適宜求めればよい。例えば、マスク内の中心の距離としてもよいし、マスク内の最も強度が高い距離としてもよい。「代表強度」は、あらかじめ定めた方法でマスク内の強度に基づいて求めればよい。例えば、マスク内の平均強度としてもよいし、マスク内で最も高い強度としてもよい。図5は、マスク内の中心の距離を代表距離とし、マスク内の平均強度を代表強度とした代表特徴量を図4に追記した例である。ただし、視覚できるように表示できないので、幅が狭いマスクには追記できていない。視認できる程度に広い幅のマスクにのみ追記している。実際には、すべてのマスクに対してそれぞれ、代表特徴量が算出される。
【0018】
マスク内代表特徴記録部130は、代表特徴量を方位ごとに記録する(S130)。後述する方位角範囲内特徴算出部140、特徴データ抽出部150の処理で使用するために、あらかじめ定めた過去分の代表特徴量を方位ごと記録する。
【0019】
方位角範囲内特徴算出部140は、あらかじめ定めた方位の範囲の代表距離に基づいて、方位ごとに角度の範囲内の距離の代表値である方位角範囲内代表距離を算出する(S140)。「あらかじめ定めた方位の範囲」とは、処理対象となっている受信信号よりも過去の受信信号を含めた範囲を意味している。例えば、方位角1度ごとに受信信号を受信する場合に、「あらかじめ定めた方位の範囲」を10度分とするのであれば、処理対象の受信信号に過去の9個分の受信信号を加えればよい。ある程度の方位の範囲では、海面反射は似た性質を有するからである。「あらかじめ定めた方位の範囲」は45度としてもよいし、90度としてもよい。レーダー(船舶)の近傍に海面での反射が多いことを考慮すると、高い確率で海面での反射が存在する距離までを、「方位角範囲内代表距離」として、あらかじめ定めた方法で適宜求めればよい。例えば、あらかじめ定めた方位の範囲の代表距離の平均の距離を方位角範囲内代表距離とすればよい。上述のとおり、マスクは、海面反射が存在するレーダー(船舶)の近傍に多く生成されている。したがって、代表距離の平均の距離以内の代表特徴量は、海面反射により生じた代表特徴量である可能性が高い。代表距離の平均の距離を方位角範囲内代表距離とすれば、海面反射により生じた代表特徴量を高い確率で選択できる。図6は、方位角範囲内代表距離を図5に追記した例である。
【0020】
特徴データ抽出部150は、あらかじめ定めた方位の範囲で、代表距離が方位角範囲内代表距離以下の代表特徴量を抽出する(S150)。上述のように、高い確率で海面での反射が存在する距離までを、「方位角範囲内代表距離」として求めるので、代表距離が方位角範囲内代表距離以下の代表特徴量を抽出すれば、海面反射により生じた代表特徴量を高い確率で選択できる。
【0021】
本発明では、海面での反射は強度が連続してあらかじめ定めた値より高くなることが少ないことを利用し、海面での反射が多い距離に多くのマスクを生成する。そして、マスクの幅(強度が連続して高い幅)に関係なく、マスクごとに代表特徴量を求める。したがって、海面での反射に起因する代表特徴量が多くなる。さらに、それらの代表特徴量の中で距離がレーダーに近い代表特徴量のみを抽出する。したがって、本発明の特徴抽出装置によれば、リアルタイム性を維持しつつ、レーダーのみで、適正な海面反射抑圧量を得るための特徴を抽出できる。
【0022】
海面反射抑圧量決定部260は、特徴データ抽出部が抽出したデータに基づいて海面反射を抑圧する抑圧量を決定する(S260)。海面反射抑圧部270は、抑圧量にしたがって受信信号を抑圧する(S270)。海面反射抑圧量決定部260と海面反射抑圧部270には、非特許文献1などに示された既存技術を用いればよい。例えば、海面反射による受信信号の強度は、非特許文献1の式(4)で表現される。例えば、海面反射抑圧量決定部260は、海面反射による受信信号の強度を特徴データ抽出部が出力したデータに基づいて推定し、推定した強度に基づいて抑圧量を決定すればよい。
【0023】
本発明では、ある方位角範囲分のデータを用いて海面反射の特徴を把握することから、方位角範囲ごとの海面反射の挙動に応じた抑圧が可能となる。また、受信信号は波からの反射波が支配的であること、海面反射は比較的近距離に、離散的かつ密集して存在する海面反射の特徴を利用して特徴を抽出することで、海面反射の抑圧量をより適正に決定することができる。加えて抑圧に複数のスキャンデータを必要としないことから、リアルタイム性の欠如や高速移動物体の消失を防ぐことができ、絶対方位を必要としないことからレーダーとは別の方位センサーも必要としない。
【0024】
[プログラム、記録媒体]
上述の各種の処理は、図7に示すコンピュータ2000の記録部2020に、上記方法の各ステップを実行させるプログラムを読み込ませ、制御部2010、入力部2030、出力部2040、表示部2050などに動作させることで実施できる。
【0025】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
【0026】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0027】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0028】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
100 特徴抽出装置
110 マスク生成部
120 マスク内代表特徴算出部
130 マスク内代表特徴記録部
140 方位角範囲内特徴算出部
150 特徴データ抽出部
200 レーダー受信機
260 海面反射抑圧量決定部
270 海面反射抑圧部
2000 コンピュータ
2010 制御部
2020 記録部
2030 入力部
2040 出力部
2050 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7