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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131240
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】染毛剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20230914BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61K8/46
A61Q5/10
A61K8/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035851
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】516326380
【氏名又は名称】株式会社NIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸蔵
(72)【発明者】
【氏名】タンヤナン チャオチャイパット
(72)【発明者】
【氏名】岡田 久
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC302
4C083AC491
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD282
4C083AD352
4C083CC36
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE10
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】優れた染毛性を有するとともに、使用法が簡便で、短時間で染毛でき、毛髪や頭皮に対する安全性にも優れた染毛剤を提供する。
【解決手段】ゲニピンとアミノアルカンスルホン酸類を反応させて得られる、スルホン酸基を有する青色色素を含有する染毛剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲニピンとアミノアルカンスルホン酸類を反応させて得られる青色色素を含有する染毛剤。
【請求項2】
ゲニピンを、アミノアルカンスルホン酸類とアミノ酸の混合物と反応させて得られる青色色素を含有する染毛剤。
【請求項3】
ヒドロキシナフトキノン系植物色素をさらに含有する、請求項1または2記載の染毛剤。
【請求項4】
前記ヒドロキシナフトキノン系植物色素が、シコニン、アルカニン、ナフタザリン、ジュグロン、及びローソンからなる群から選ばれた1種又は2種以上の天然由来色素を含む、請求項3記載の染毛剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪や頭皮に対する安全性に優れ、高い染毛性と利便性を有する新規な染毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パラフェニレンジアミン類を用いる酸化染毛剤が広く用いられている。この染毛剤は、パラフェニレンジアミン、2,5-ジアミノトルエンなどの酸化染料中間体とアンモニア、エタノールアミンなどのアルカリ剤を含有する第1液と、過酸化水素などの酸化剤を含有する第2液とからなる。酸化染毛剤を用いた染毛剤は、酸化染料中間体が毛髪のキューティクル内部にまで浸透し、そこで酸化カップリングして色素を形成することにより毛髪を染めることから、染毛力が高く、しかもシャンプーやリンスによる色落ちが少ないという利点を有している。また、過酸化水素の作用によりメラニンの脱色と染毛を同時に行なうことも可能であり、明るい色調にも染毛できるという特徴がある。
【0003】
しかしながら、上記のような酸化染毛剤を用いた染毛剤では、染毛処理に用いられるアルカリ剤や過酸化水素により、毛髪や頭皮に損傷が生じるという深刻な問題があった。また、パラフェニレンジアミン、2,5-ジアミノトルエンなどの酸化染料中間体は、皮膚アレルギーを引き起こすことが指摘されており、変異原性のリスクも有している。
【0004】
一方、使用法が簡便な染毛剤として、酸性染料、塩基性染料、HC染料等を用いて毛髪の表面に吸着させるカラートリートメントやヘアマニキュアが提案されている。しかしこれらを用いて染毛した場合、染着性とシャンプー耐性が十分でないため、染毛処理を頻繁に行う必要があった。さらに、塩基性染料およびHC染料に起因するアレルギーや発ガン性のリスクもあった。
【0005】
染毛剤の安全性改良については、これまでに様々な提案がなされている。例えば古くから、天然由来の植物色素であるローソン(2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)やインジゴが染毛に用いられてきた。しかし、染毛性が低く、効果的な染毛には長時間の染毛条件が必要であり、色調もごく限られていた。また、古くから草木染めに使用される多くの植物色素が染毛に利用されてきた。しかし、これらの色素は一般に染毛性が著しく劣り、実用性に乏しかった。よって、これを改良する技術として、金属イオン系媒染剤を併用したり、チオール基を有する還元剤とアルカリ剤を併用したりする方法が知られている(特許文献1、2)。
また、加水分解クチナシエキス(ゲニピン含有)とタンパク質分解物またはアミノ酸を反応させて得られるクチナシ青色素を染毛に利用することも知られている(特許文献3、4、5)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-138024号公報
【特許文献2】特開2013-133320号公報
【特許文献3】特開平05-339134号公報
【特許文献4】特開平06-56638号公報
【特許文献5】特開平08-208448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の金属イオン系媒染剤によれば、鉄イオンの場合、色相が黒系に限られ彩度が低い、といった問題があった。また、錫イオン、ニッケルイオン、鉛イオン、クロムイオン等の場合、人体への安全性に懸念があり、染毛性も依然として不十分であり、シャンプー耐性にも改善の余地があった。また、特許文献2に記載されているようなチオール基を有する還元剤とアルカリ剤を併用する方法は、染毛性は向上するが染毛工程が煩雑となり、また、アルカリ剤による毛髪と頭皮へのダメージが避けられない、といった問題があった。一方、特許文献3、4、5にはクチナシ青色素を染毛剤に利用する旨が記載されているが、毛髪に対する染毛性が低く、実用にはほど遠いものである。
【0008】
上記従来技術に鑑み、本発明の目的は、優れた染毛性を有するとともに利便性に優れ、かつ、毛髪や頭皮に対する安全性にも優れた染毛剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決する手段として、イリドイド化合物の一種であるゲニピンとアミノアルカンスルホン酸類を反応させて得られる青色色素を用いる染色方法を見出すに至った。
【0010】
すなわち本発明は、ゲニピンとアミノアルカンスルホン酸類を反応させて得られる青色色素を含む染毛剤を提供するものである。
【0011】
ゲニピンは、クチナシ(Gardenia jasminoides)の果実エキスやゲニカアメリカーナ(Huito)のエキス等に含まれるイリドイド配糖体(ゲニポシド)をβ-グルコシダーゼにより加水分解して得られる化合物であり、本発明は、それとアミノアルカンスルホン酸類(または、任意にアミノアルカンスルホン酸類とアミノ酸の混合物)を反応させて得られる、スルホン酸基を有する青色色素を含む染毛剤を提供するものである。
【0012】
本発明の染毛剤においては、色調調節のために、前記青色色素とともに黄色から赤色のヒドロキシナフトキノン系植物色素を併用することができる。ヒドロキシナフトキノン系植物色素としては、例えば、シコニン、アルカニン、ナフタザリン、ジュグロン、及びローソンからなる群から選ばれた1種又は2種以上の天然由来色素を含むものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ゲニピンとアミノアルカンスルホン酸類、またはアミノアルカンスルホン酸類とアミノ酸の混合物との反応で得られる青色色素を利用して、優れた染毛剤を提供することができる。この染毛剤は、使用法が簡便で、短時間で高濃度に染毛でき、毛髪や頭皮に対する安全性にも優れている。さらに、ヒドロキシナフトキノン系植物色素を組み合わせることで、染毛性が顕著に向上したあらゆる色調の染毛剤が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ゲニピンを、アミノアルカンスルホン酸類、またはアミノアルカンスルホン酸類とアミノ酸の混合物を反応させて得られる青色色素から構成される。
【0015】
本発明で有用なゲニピンは、イリドイド配糖体をβ-グルコシダーゼで加水分解することで得られる。イリドイド配糖体はイソプレンから生合成されるモノテルペンで、様々なものが知られている。具体的には、アウクビン、ゲニポシド、ゲニポシド酸、モロニシド、ロガニン、オレウロペイン、ゲンチオピクロシド等が知られているが、ゲニピン前駆体としては、ゲニポシドとゲニポシド酸が有用である。これらは単独で用いてもよく、2種を併用してもよい。
【0016】
イリドイド配糖体を植物資源から得る方法としては、一般的には当該植物資源を乾燥、粉砕し、水単独もしくは、水とエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール等の水混和性溶媒の混合物を用いて抽出する方法が用いられる。
【0017】
本発明に有用なゲニピンは、例えば、イリドイド配糖体をβ-グルコシダーゼにより加水分解して得られる。β-グルコシダーゼはセロビアーゼともよばれ,1分子のセロビオースを2分子のグルコースに加水分解する酵素で、セルラーゼとして汎用されている。
【0018】
本発明で有用なアミノアルカンスルホン酸類は、分子中に第一級のアミノ基とスルホン酸を含む化合物で、具体的には、アミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸、アミノブタンスルホン酸等を挙げることができる。これらは遊離酸もしくはナトリウム塩、カリウム塩あるいはアンモニウム塩等として使用することができる。
【0019】
本発明においてアミノアルカンスルホン酸類は、種々のアミノ酸と併用することができる。具体的には、グリシン、アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、グルタミン、システイン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン等を挙げることができる。これらの1種をアミノアルカンスルホン酸類と併用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
本発明により提供される青色色素は、ゲニピンとアミノアルカンスルホン酸類、またはアミノアルカンスルホン酸類とアミノ酸の混合物を、水または水混和性溶媒と水の混合溶媒中で反応させて得られる。
【0021】
上記反応は、弱酸性から弱アルカリ性の条件下、30℃から100℃の範囲、好ましくは40℃から80℃で加熱撹拌することで進行する。反応の様式は、1)イリドイド配糖体をアミノアルカンスルホン酸類、またはアミノアルカンスルホン酸類とアミノ酸の混合物およびβ-グルコシダーゼの混合物に加え、配糖体を加水分解させながら反応させても良く、2)水中で予め、配糖体をβ-グルコシダーゼにより40℃から50℃で加水分解反応させた後、アミノアルカンスルホン酸類と反応させることでもよい。さらに、3)配糖体をβ-グルコシダーゼにより加水分解して得られるアグリコンのゲニピンを単離し、アミノアルカンスルホン酸類、またはアミノアルカンスルホン酸類とアミノ酸の混合物と反応させることでももちろんよい。
【0022】
イリドイド配糖体をβ-グルコシダーゼで加水分解させる場合、β-グルコシダーゼの使用量は、イリドイド配糖体の種類、反応のスケール、酵素活性等により変動するが、通常は100~100,000ユニット使用するのが好ましい。
【0023】
イリドイド配糖体のゲニポシドを加水分解して得られるゲニピンとアミノアルカンスルホン酸類との反応において適用されるモル比は、0.5~2.0、より好ましくは0.8~1.2である。併用するアミノ酸の対アグリコンのモル比は、0~0.8,より好ましくは0~0.5である。
【0024】
本発明において任意に選択される好ましい態様においては、上記した青色色素は、ヒドロキシナフトキノン系植物色素と併用して染毛剤とすることができる。この態様によれば、本発明により提供される青色色素と、黄色、橙色ないし赤色のヒドロキシナフトキノン系植物色素を組み合わせることで、染毛性が良好な種々の色調の染毛剤が得られる。すなわち、一般的な黄色、橙色ないし赤色の酸性染料では、競争的な染毛が起こり、本発明により提供される青色色素の染毛性が低下するが、ヒドロキシナフトキノン系植物色素ではそのような染毛阻害が抑えられる。ヒドロキシナフトキノン系植物色素としては1,4-ナフトキノン構造の2,3,5および8位のいずれかに少なくとも1個以上のヒドロキシル基を有するヒドロキシナフトキノン系植物色素を挙げることができ、具体的には、シコニン、アルカニン、ナフタザリン、ローソン、ジュグロンを挙げることができる。あるいは、それらを含む紫根、ヘンナ、クロクルミ等の抽出物を挙げることができる。
【0025】
本発明において、上記した青色色素を含有してなる染毛剤組成物を調製する場合、その形態に特に制限はなく、毛髪への適用し易さの観点からは、溶液状、懸濁液状、乳液状、クリーム状、フォーム状、ゲル状、ペースト状等の形態を好ましく例示することができる。それらの形態を提供するための溶媒の種類に特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、へキシレングリコール、エチルカルビトール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを用いることができる。これらの溶媒を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。水を単独で用いるか、又は水と上記有機溶媒との混合物を用いることが好ましい。
【0026】
本発明において、上記した青色色素を含有してなる染毛剤組成物を調製する場合、その青色色素の使用量は特に限定されないが、例えば、溶液状の組成物を調製する場合には、該組成物中に0.01質量%~3質量%程度含まれることが好ましく、0.03質量%~2質量%程度含まれることが特に好ましい。そして、本発明により提供される青色色素の濃度を変えたり、ヒドロキシナフトキノン系植物色素以外の他の色素を混合することにより、染毛時の色調をさらに幅広く変化させることができる。
【0027】
本発明において、上記した青色色素を含有してなる染毛剤組成物を調製する場合、その染毛剤組成物のpHは特に限定されないが、染毛性の観点からは、pHが2~8の範囲であることが好ましく、3~7の範囲であることが特に好ましい。
【0028】
上記pHは、適宜、酸又は塩基からなるpH調節剤等を用いて調節してもよい。
pH調節剤として用いられる酸としては、例えば、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、ピロリドンカルボン酸、レブリン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マレイン酸、マンデル酸、アスパラギン酸、アジピン酸、ニコチン酸等の有機酸、リン酸等が挙げられる。これらのうち、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸等の有機酸を用いることが好ましい。また、これらの酸の塩類(ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩等)をpH調節剤として用いてもよい。
【0029】
pH調節剤として用いられる塩基としては、例えば、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうち、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を用いることが好ましい。
【0030】
上記pH調節剤は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、pH調節剤の配合量は特に限定されないが、例えば染毛剤の用時の全質量に対して0.01質量%~10質量%の範囲で用いることが好ましく、0.1質量%~5質量%の範囲で用いることがより好ましい。
【0031】
一方、pHの調節のためにはpH緩衝液が好ましく用いられる。pH緩衝液としては、例えば、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス緩衝液等が挙げられる。特には、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸リン酸緩衝液等を用いることが好ましい。
【0032】
本発明において、上記した青色色素を含有してなる染毛剤組成物を調製する場合、界面活性剤を配合することが望ましい。界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0033】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0034】
カチオン性界面活性剤としては、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアラミドプロピルジメチルアミン等が挙げられる。
【0035】
非イオン性界面活性剤としては、脂肪酸アルカノールアミド類、ポリビニルピロリドン類、ポリエチレンオキシド類、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル類、ポリエチレンオキシドジアルキルエーテル類、ポリエチレンオキシドモノフェニルエーテル類、ポリプロピレンオキシド類、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル類、ポリプロピレンオキシドジアルキルエーテル類、ポリエチレンオキシド脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、グリセリンモノエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。
【0036】
両性界面活性剤としては、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン等を挙げることができる。
【0037】
上記界面活性剤は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、界面活性剤の配合量は特に限定されないが、例えば染毛剤の用時の全質量に対して0.01質量%~10質量%の範囲で用いることが好ましく、0.05質量%~5質量%の範囲で用いることがより好ましい。
【0038】
本発明において、上記した青色色素を含有してなる染毛剤組成物を調製する場合、必要に応じて油性成分を配合してもよい。油性成分としては、染毛剤組成物中に溶解又は分散できるものであれば特に限定されない。油性成分を配合することにより、染毛後の毛髪のダメージを抑制することができ、艶や潤いを持たせることが可能となる。油性成分としては、例えば、シリコーン類、炭化水素、油脂、ロウおよびワックス類、高級脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0039】
上記油性成分は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。油性成分の配合量は特に限定されないが、例えば染毛剤の用時の全質量に対して0.01質量%~5質量%の範囲で用いることが好ましく、0.05質量%~3質量%の範囲で用いることがより好ましい。
【0040】
本発明において、上記した青色色素を含有してなる染毛剤組成物を調製する場合、必要に応じて高級アルコールを配合してもよい。高級アルコールとしては、染毛剤組成物中に溶解又は分散できるものであれば特に限定されない。例えば、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セタノール、セテアリルアルコール、オレイルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。これらの高級アルコールは単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。高級アルコールの配合量は特に限定されないが、例えば染毛剤の用時の全質量に対して好ましくは0.01質量%~15質量%の範囲で用いることが好ましく、0.05質量%~10質量%の範囲で用いることがより好ましい。
【0041】
本発明において、上記した青色色素を含有してなる染毛剤組成物を調製する場合、必要に応じて高分子化合物を配合してもよい。高分子化合物としては染毛剤組成物中に溶解又は分散できるものであれば特に限定されない。例えば、カチオン性高分子化合物、アニオン性高分子化合物、非イオン性高分子化合物、両性高分子化合物等が挙げられる。
【0042】
カチオン性高分子化合物としては、例えば、カチオン化セルロース(例えば、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース)、カチオン性デンプン、カチオン化グアーガム、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0043】
アニオン性高分子化合物としては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸とその他ビニルモノマーとの共重合高分子、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0044】
非イオン性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザール、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリル化セルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、寒天、デンプン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0045】
その他、有用な高分子化合物としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、シロキクラゲ多糖体、ガラクタン、クインスシードガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、デキストラン、カードラン、ジェランガム、サクシノグルカン、ゼラチン、タマリンドガム、カゼイン等の天然高分子化合物が挙げられる。
【0046】
上記高分子化合物は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。高分子化合物の配合量は特に限定されないが、例えば染毛剤の用時の全質量に対して0.01質量%~5質量%の範囲で用いることが好ましく、0.03質量%~4質量%の範囲で用いることがより好ましい。
【0047】
本発明において、上記した青色色素を含有してなる染毛剤組成物を調製する場合、必要に応じて増粘剤を配合してもよい。増粘剤としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、アクリル酸誘導体ポリマー、セルロース誘導体、グアーガム、キサンタンガム、タラガムおよびそれらのヒドロキシアルキル化誘導体等が挙げられる。これらの増粘剤は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。増粘剤の配合量は特に限定されないが、例えば染毛剤の用時の全質量に対して0.01質量%~5質量%の範囲で用いることが好ましく、0.03質量%~3質量%の範囲で用いることがより好ましい。なお、上記した高分子化合物のうち増粘機能を有するものは、このような増粘剤の目的で配合してもよいことは勿論である。
【0048】
本発明において、上記した青色色素を含有してなる染毛剤組成物を調製する場合、必要に応じて香料を配合してもよい。香料としては、合成品でも天然品でも任意に用いられるが、特に精油(エッセンシャルオイル)が好ましく用いられる。
【0049】
本発明において、上記した青色色素を含有してなる染毛剤組成物を調製する場合、毛髪への栄養成分として、アミノ酸(例えば、グリシン、α-アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、メチオニン、トリメチルグリシン、アミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸等)や加水分解ケラチン等のオリゴペプチドを添加することができる。
【0050】
本発明において、上記した青色色素を含有してなる染毛剤組成物を調製する場合、必要に応じて、色調を整える目的で公知の色素・染料を添加することができる。公知の色素・染料としては、例えば、HC黄1、HC黄2、HC黄3、HC黄4、HC橙1、HC赤1、HC赤2、HC赤3、HC青1、HC青2、分散紫1、分散青3等、直接染料として、黒色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色403号、青色404号、紫色201号、紫色401号、赤色102号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、橙色201号、橙色203号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、黄色201号、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色401号、黄色402号、黄色403号、天然色素として、クルクミン、クロロフィル色素、スピルリナ色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸塩等が挙げられる。
【0051】
本発明において、上記した青色色素を含有してなる染毛剤組成物を調製する場合、さらにその他の物質を添加することができる。その他の物質としては染毛性を低下させず、染毛剤組成物に溶解又は分散できるものであれば特に限定されない。好ましい例としては、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、コンキオリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ソルビトール、ヒアルロン酸、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、ベンジルオキシエタノール、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、尿素、ヒドロキシエチル尿素、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、パラベン、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0052】
本発明にかかる、上記の構成よりなる染毛剤は、ヒトまたは動物の毛、例えば毛髪や体毛、動物の体毛などの染毛のために使用することができ、好ましくはヒトの毛髪の染毛や犬又は猫などのペットの体毛の染毛、特に好ましくはヒトの毛髪の染毛に使用することができる。
【実施例0053】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例により何ら限定されることはない。
【0054】
(青色色素液の調製)
20mmоl相当のゲニポシドを含むクチナシ果実水性抽出液(クロシンを除去したもの)200mlとβ-グルコシダーゼ換算で1000ユニットのセルラーゼの混合物を50℃で8時間加熱撹拌した。次いで、タウリン(2-アミノエタンスルホン酸)2.5gおよび炭酸水素ナトリウム0.84gを加え、80~85℃で6時間、激しく加熱撹拌して青色色素液1を調製した。
【0055】
水200mlに、ゲニピン4.52g、タウリン(2-アミノエタンスルホン酸)2.5gおよび炭酸水素ナトリウム0.84gを加え、80℃で6時間、激しく加熱撹拌して青色色素液2を調製した。
【0056】
水200mlに、ゲニピン4.52g、3-アミノプロパンスルホン酸2.78gおよび炭酸水素ナトリウム0.84gを加え、80℃で6時間、激しく加熱撹拌して青色色素液3を調製した。
【0057】
水200mlに、ゲニピン4.52g、4-アミノブタンスルホン酸3.06gおよび炭酸水素ナトリウム0.84gを加え、80℃で6時間、激しく加熱撹拌して青色色素液4を調製した。
【0058】
水200mlに、ゲニピン4.52g、タウリン(2-アミノエタンスルホン酸)1.25g、β-アラニン0.89gおよび炭酸水素ナトリウム0.84gを加え、80℃で6時間、激しく加熱撹拌して青色色素液5を調製した。
【0059】
水200mlに、ゲニピン4.52g、タウリン(2-アミノエタンスルホン酸)1.25g、グリシン0.38g、β-アラニン0.45gおよび炭酸水素ナトリウム0.84gを加え、80℃で6時間、激しく加熱撹拌して青色色素液6を調製した。
【0060】
(試験液1の調製)
1mlの上記青色色素液1に水15mlを加え、そこにキサンタンガム200mgおよびヒドロキシエチルセルロース80mgを加えて室温で3時間撹拌し、完全に溶解させた。次いで、乳酸100mgを加えて試験液1とした。
【0061】
[実施例1](ヘアマニキュアへの適用)
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記試験液1の10gを刷毛で塗り付け、室温で30分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、シャンプーおよびリンスを行い、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は赤青色に染毛されていた。染毛後の毛束を、色彩色差計(コニカミノルタセンシング製CR-400)を用いて染毛濃度(△E:染毛前と比較した色差)を測定したところ、△Eは43.0であった。
【0062】
(試験液2の調製)
上記青色色素液2に水15mlを加え、そこにキサンタンガム200mgおよびヒドロキシエチルセルロース80mgを加えて室温で3時間撹拌して溶解させ、次いで、乳酸100mgを加えて試験液2とした。
【0063】
[実施例2](ヘアマニキュアへの適用)
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記試験液2の10gを刷毛で塗り付け、室温で30分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、シャンプーおよびリンスを行い、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は青色に染毛されていた。染毛後の毛束を、色彩色差計(コニカミノルタセンシング製CR-400)を用いて染毛濃度(△E:染毛前と比較した色差)を測定したところ、△Eは47.5であった。
【0064】
(試験液3の調製)
上記青色色素液3に水15mlを加え、そこにキサンタンガム200mgおよびヒドロキシエチルセルロース80mgを加えて室温で3時間撹拌して溶解させ、次いで、乳酸100mgを加えて試験液3とした。
【0065】
[実施例3](ヘアマニキュアへの適用)
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記試験液3の10gを刷毛で塗り付け、室温で30分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、シャンプーおよびリンスを行い、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は青色に染毛されていた。染毛後の毛束を、色彩色差計(コニカミノルタセンシング製CR-400)を用いて染毛濃度(△E:染毛前と比較した色差)を測定したところ、△Eは45.5であった。
【0066】
(試験液4の調製)
上記青色色素液4に水15mlを加え、そこにキサンタンガム200mgおよびヒドロキシエチルセルロース80mgを加えて室温で3時間撹拌して溶解させ、次いで、乳酸100mgを加えて試験液4とした。
【0067】
[実施例4](ヘアマニキュアへの適用)
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記試験液4の10gを刷毛で塗り付け、室温で30分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、シャンプーおよびリンスを行い、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は紫青色に染毛されていた。染毛後の毛束を、色彩色差計(コニカミノルタセンシング製CR-400)を用いて染毛濃度(△E:染毛前と比較した色差)を測定したところ、△Eは47.9であった。
【0068】
(試験液5の調製)
上記青色色素液4に水15mlを加え、そこにキサンタンガム200mgおよびヒドロキシエチルセルロース80mgを加えて室温で3時間撹拌して溶解させ、次いで、乳酸100mgを加えて試験液5とした。
【0069】
[実施例5](ヘアマニキュアへの適用)
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記試験液5の10gを刷毛で塗り付け、室温で30分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、シャンプーおよびリンスを行い、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は紫青色に染毛されていた。染毛後の毛束を、色彩色差計(コニカミノルタセンシング製CR-400)を用いて染毛濃度(△E:染毛前と比較した色差)を測定したところ、△Eは44.9であった。
【0070】
(試験液6の調製)
上記青色色素液6に水15mlを加え、そこにキサンタンガム200mgおよびヒドロキシエチルセルロース80mgを加えて室温で3時間撹拌して溶解させ、次いで、乳酸100mgを加えて試験液6とした。
【0071】
[実施例6](ヘアマニキュアへの適用)
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記試験液6の10gを刷毛で塗り付け、室温で30分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、シャンプーおよびリンスを行い、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は紫青色に染毛されていた。染毛後の毛束を、色彩色差計(コニカミノルタセンシング製CR-400)を用いて染毛濃度(△E:染毛前と比較した色差)を測定したところ、△Eは47.3であった。
【0072】
(比較液1)
クチナシ青色素(ダイワ化成製)30mgに水15mlを加え、そこにキサンタンガム200mgおよびヒドロキシエチルセルロース80mgを加えて室温で3時間撹拌して溶解させ、次いで、乳酸100mgを加えて比較液1とした。
【0073】
[比較例1](ヘアマニキュアへの適用)
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記比較液1の10gを刷毛で塗り付け、室温で30分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、シャンプーおよびリンスを行い、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は淡緑青色に染毛されていた。染毛後の毛束を、色彩色差計(コニカミノルタセンシング製CR-400)を用いて染毛濃度(△E:染毛前と比較した色差)を測定したところ、△Eは12.8であった。この結果、通常のクチナシ青色素を用いた比較例1では、実施例1~実施例6に比して染毛濃度が著しく低いことがわかる。
【0074】
(試験液7の調製)
上記青色色素液2に水10mlおよびエタノール10mlを加え、そこにキサンタンガム200mgおよびヒドロキシエチルセルロース80mgを加えて室温で5時間撹拌して溶解させた。次いで、乳酸100mgおよびローソン(2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)30mgを加え、50℃で1時間加熱撹拌して試験液7とした。
【0075】
[実施例7](ヘアマニキュアへの適用)
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記試験液7の10gを刷毛で塗り付け、室温で30分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、シャンプーおよびリンスを行い、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は暗褐色に染毛されていた。染毛後の毛束を、色彩色差計(コニカミノルタセンシング製CR-400)を用いて染毛濃度(△E:染毛前と比較した色差)を測定したところ、△Eは47.3であった。
【0076】
(試験液8の調製)
上記青色色素液2に水10mlおよびエタノール10mlを加え、そこにキサンタンガム200mgおよびヒドロキシエチルセルロース80mgを加えて室温で5時間撹拌して溶解させた。次いで、乳酸100mg、ローソン(2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)15mg、ナフタザリン(5,8-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)5mgおよびエトキシジグリコール3mlを加え、50℃で1時間加熱撹拌して試験液8とした。
【0077】
[実施例8](ヘアマニキュアへの適用)
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記試験液8の10gを刷毛で塗り付け、室温で30分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、シャンプーおよびリンスを行い、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は黒色に染毛されていた。染毛後の毛束を、色彩色差計(コニカミノルタセンシング製CR-400)を用いて染毛濃度(△E:染毛前と比較した色差)を測定したところ、△Eは48.1であった。
【0078】
(比較液2)
クチナシ青色素(ダイワ化成製)30mgに水10mlおよびエタノール10mlを加え、そこにキサンタンガム200mgおよびヒドロキシエチルセルロース80mgを加えて室温で5時間撹拌して溶解させた。次いで、乳酸100mgとローソン(2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)30mgを加え、50℃で1時間加熱撹拌して比較液2とした。
【0079】
[比較例2](ヘアマニキュアへの適用)
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記比較液2の10gを刷毛で塗り付け、室温で30分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、シャンプーおよびリンスを行い、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は橙色に染毛されていた。この結果、ヒドロキシナフトキノン系色素との併用においても、クチナシ青色素の染毛性が低いことがわかる。
【0080】
(比較液3)
2mlの上記青色色素液2、および橙色205号(酸性染料)20mgを水15mlに加え、そこにキサンタンガム200mgおよびヒドロキシエチルセルロース80mgを加えて室温で5時間撹拌して溶解させた。次いで、乳酸100mgを加えて比較液3とした。
【0081】
[比較例3](ヘアマニキュアへの適用)
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記比較液3の10gを刷毛で塗り付け、室温で30分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、シャンプーおよびリンスを行い、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は橙褐色に染毛され、青味が乏しかった。この結果、上記青色色素を酸性染料の橙色205号と組み合わせると、その青色色素の染毛性が低下することがわかる。
【0082】
[実施例9](カラートリートメントへの適用)
青色色素液1を2.5ml、ローソン(2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)30mg、水5ml、エタノール10mlおよびエトキシジグリコール5mlの混合物を50℃で1時間撹拌した(溶液1)。別途、水15mlに乳酸100mg、キサンタンガム120mgおよびヒドロキシエチルセルロース60mgを加えて室温で3時間撹拌して溶解させた(溶液2)。溶液1と溶液2を混合し、そこにセタノール2.0g、ベヘニルアルコール0.5g、コカミドプロピルベタイン30%水溶液300mg及び水50mlを高速撹拌下、70℃で少量ずつ加え、70℃で30分間撹拌し、その後、室温まで徐冷してカラートリートメント液1を調製した。
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記カラートリートメント液1の十分な量を刷毛で塗り付け、室温で15分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は濃い褐色に染毛されていた。この結果より、本発明はカラートリートメント組成物として適用できることがわかる。
【0083】
[実施例10](カラートリートメントへの適用)
実施例9において、青色色素液1を2.5ml、ローソン(2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)20mg、ナフタザリン(5,8-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)5mgを加え、水5ml、エタノール5mlおよびエトキシジグリコール10mlの混合物を60℃で1時間撹拌した(溶液3)。別途、水15mlに乳酸100mg、キサンタンガム120mgおよびヒドロキシエチルセルロース60mgを加えて室温で3時間撹拌して溶解させた(溶液2)。溶液3と溶液2を混合し、そこにセタノール2.0g、ベヘニルアルコール0.5g、コカミドプロピルベタイン30%水溶液300mg及び水50mlを高速撹拌下、70℃で少量ずつ加え、70℃で30分間撹拌し、その後、室温まで徐冷してカラートリートメント液2を調製した。
人毛白髪(100%)束(ビューラックス製)1gに、上記カラートリートメント液2の十分な量を刷毛で塗り付け、室温で15分間放置した。毛束を温水で十分に洗浄し、ドライヤーを用いて乾燥した。毛束は濃い黒褐色に染毛されていた。この結果より、本発明はカラートリートメント組成物として適用できることがわかる。
【0084】
[頭皮への刺激性試験]
実施例9および10で作製したカラートリートメント液1および2を、p-フェニレンジアミン類を含有する酸化染毛剤に対し頭皮アレルギーを惹起する各10人のヒトモニターの染毛に適用した。その結果、アレルギーが惹起したモニターは皆無であった。また、1週間後および2週間後に同じモニターに対し、繰り返し2回の染毛試験を行ったが、同様にアレルギーの発生は見られなかった。この結果から、本発明の染毛剤は頭皮アレルギーを引き起こさないことがわかる。