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特開2023-131265情報処理方法および情報処理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131265
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】情報処理方法および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 11/00 20060101AFI20230914BHJP
   H04L 67/59 20220101ALI20230914BHJP
   H04L 67/562 20220101ALI20230914BHJP
   G10K 15/02 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H04B11/00
H04L67/59
H04L67/562
G10K15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035900
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 優樹
(72)【発明者】
【氏名】岩田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】井本 智大
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208BC01
(57)【要約】
【課題】施設の音響システムを用いたサービスの利用を容易にする。
【解決手段】情報処理システム1は、音響設備20-1と、音響サービスサーバ10と、中継機器30-1とを備える。音響設備20-1は、A駅S1に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能である。音響サービスサーバ10は、音響設備20-1を利用する複数のサービスのうちA駅S1に提供可能な有効サービスを指定する設定データを参照可能である。中継機器30-1は、音響設備20-1と音響サービスサーバ10との間において、有効サービスの利用に必要な情報の授受を中継する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な音響システムと、前記音響システムを利用する複数のサービスのうち当該施設に提供可能な有効サービスを指定する設定データを参照可能な制御システムと、の間において、中継機器が、前記有効サービスの利用に必要な情報の授受を中継する
情報処理方法。
【請求項2】
前記複数のサービスは、前記施設の関係者が操作する関係者端末から案内音声の出力要求を受け付けた場合に、前記音響システムから当該案内音声を出力する第1サービスを含み、
前記第1サービスにおいては、前記案内音声を表す音響信号と、当該案内音声の出力指示とを含む前記情報が、前記制御システムから前記中継機器を中継して前記音響システムに送信される
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記音響信号は、前記案内音声の音響成分と、当該案内音声の識別情報の音響成分とを含み、
前記第1サービスにおいては、前記音響システムによる音響出力により前記識別情報を受信した端末装置からの情報要求に応じて、前記制御システムが、前記識別情報に対応する第1関連情報を当該端末装置に提供する
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記複数のサービスは、前記音響入力により取得された入力音響信号に基づいて生成された第2関連情報を、前記施設に位置するユーザ端末に送信する第2サービスを含み、
前記第2サービスにおいては、前記音響システムから前記中継機器を中継して前記制御システムに前記入力音響信号が送信され、前記制御システムにより前記入力音響信号に基づく前記第2関連情報が取得され、前記制御システムから前記中継機器を中継して前記ユーザ端末に前記第2関連情報が送信される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記複数のサービスは、前記音響システムから背景音を出力する第3サービスを含み、
前記第3サービスにおいては、前記背景音を表す音響信号と、当該背景音の出力指示とを含む前記情報が、前記制御システムから前記中継機器を中継して前記音響システムに送信される
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
第1施設および第2施設を含む複数の施設の各々について、音響システムを利用する複数のサービスのうち当該施設に提供可能な有効サービスを指定する設定データを参照可能な制御システムが、
前記第1施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な第1音響システムとの間において、前記第1施設における前記有効サービスの利用に必要な情報を、第1中継機器を介して授受し、
前記第2施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な第2音響システムとの間において、前記第2施設における前記有効サービスの利用に必要な情報を、第2中継機器を介して授受する
情報処理方法。
【請求項7】
施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な音響システムと、
前記音響システムを利用する複数のサービスのうち当該施設に提供可能な有効サービスを指定する設定データを参照可能な制御システムと、
前記音響システムと前記制御システムとの間において、前記有効サービスの利用に必要な情報の授受を中継する中継機器と
を備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザが携帯するユーザ端末と施設の関係者が保持する関係者端末とを接続する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを介して端末装置に音響信号を提供するサービスが知られている。例えば、下記特許文献1には、所望の音響信号を要求するサービス要求信号に応じて音響信号を無線で送信する音楽提供サービスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-333525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば駅やコンサートホール等の施設の音響システムでは、例えばBGM(background music)や館内アナウンス等、様々な種類の音が出力されている。これらの音に対応する音響信号をネットワークを介して提供するサービスも存在するが、施設の音響システムの中には、通信機能を有していないものもあり、サービスの利用が難しい場合がある。
【0005】
本開示の一つの態様は、施設の音響システムを用いたサービスの利用を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本開示のひとつの態様に係る情報処理方法は、施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な音響システムと、前記音響システムを利用する複数のサービスのうち当該施設に提供可能な有効サービスを指定する設定データを参照可能な制御システムと、の間において、中継機器が、前記設定データが指定する有効サービスの利用に必要な情報の授受を中継する。
【0007】
また、本開示のひとつの態様に係る情報処理方法は、第1施設および第2施設を含む複数の施設の各々について、音響システムを利用する複数のサービスのうち当該施設に提供可能な有効サービスを指定する設定データを参照可能な制御システムが、前記第1施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な第1音響システムとの間において、前記第1施設における前記有効サービスの利用に必要な情報を、第1中継機器を介して授受し、前記第2施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な第2音響システムとの間において、前記第2施設における前記有効サービスの利用に必要な情報を、第2中継機器を介して授受する。
【0008】
また、本開示のひとつの態様に係る情報処理システムは、施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な音響システムと、前記音響システムを利用する複数のサービスのうち当該施設に提供可能な有効サービスを指定する設定データを参照可能な制御システムと、前記音響システムと前記制御システムとの間において、前記設定データが指定する有 効サービスの利用に必要な情報の授受を中継する中継機器とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る情報処理システム1の構成を例示する図である。
図2】音響設備20-1の構成を示すブロック図である。
図3】音響サービスサーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】音響サービスサーバ10の機能的な構成を示すブロック図である。
図5】中継機器30-1のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】中継機器30-1の機能的な構成を示すブロック図である。
図7】関係者端末40-1のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8】関係者端末40-1の機能的な構成を示すブロック図である。
図9】ユーザ端末50-1のハードウェア構成を示すブロック図である。
図10】ユーザ端末50-1の機能的な構成を示すブロック図である。
図11A】登録情報データベースDBを例示する図である。
図11B】有効サービスデータベースDSを例示する図である。
図12】業務支援ツールの表示画面を例示する図である。
図13】業務支援ツールの表示画面を例示する図である。
図14】業務支援ツールの表示画面を例示する図である。
図15】遠隔アナウンスサービスにおけるデータの流れを模式的示す図である。
図16】リモート接客サービスにおけるデータの流れを模式的示す図である。
図17】通訳音声配信サービスの概要を模式的に示す図である。
図18】BGM配信サービスにおけるデータの流れを模式的示す図である。
図19A】認証情報データベースDNの一例を示す図である。
図19B】通訳者端末データベースDTの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A:実施形態
A-1:システム構成
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の構成を例示する図である。情報処理システム1は、音響サービスサーバ10と、音響設備20-1,20-2と、中継機器30-1,30-2と、関係者端末40-1,40-2と、ユーザ端末50-1,50-2とを備える。音響サービスサーバ10と、音響設備20-1,20-2と、中継機器30-1,30-2と、関係者端末40-1,40-2と、ユーザ端末50-1,50-2とは、それぞれ通信網Nに接続されている。通信網Nは、インターネット等の広域網であってもよいし、施設の構内網(LAN:Local Area Network)であってもよい。
【0011】
情報処理システム1は、施設(例えばA駅S1およびBホールS2)に設けられた音響設備20-1,20-2を利用したサービス(以下、「音響サービス」という)を提供するためのシステムである。本実施形態では、情報処理システム1は、複数の音響サービスを提供可能であるものとする。詳細は後述するが、音響サービスは、遠隔アナウンスサービス、リモート接客サービス、通訳音声配信サービス、BGM配信サービスを含む。遠隔アナウンスサービスは、遠隔地にいる関係者C1が発話した音声を、音響設備20-1を用いて施設内に放音するサービスである。リモート接客サービスは、施設内にいるユーザU1のユーザ端末50-1と関係者端末40-1とを接続して、ユーザU1と関係者C1とのコミュニケーションを可能とするサービスである。通訳音声配信サービスは、施設内で収音した音声を他の言語に翻訳してユーザ端末50-2に配信するサービスである。BGM配信サービスは、季節や流行に合わせたBGMを、音響設備20-2を用いて施設内に放音するサービスである。
【0012】
音響サービスサーバ10は、有効サービスデータベースDS(図11B参照)を有する。有効サービスデータベースDSは、各施設(A駅S1およびBホールS2)に対して提供可能な音響サービス(以下、「有効サービス」という)を指定する設定データを含む。すなわち、音響サービスサーバ10は、複数の音響サービスのうち、A駅S1またはBホールS2に提供可能な有効サービスを指定する設定データを参照可能な制御システムの一例である。本実施形態では、音響サービスサーバ10は、A駅S1およびBホールS2を含む複数の施設の各々について、音響設備20-1,20-2を利用する複数のサービスのうち当該施設に提供可能な有効サービスを指定する設定データを参照可能である。本実施形態では、有効サービスとは、施設の関係者C1,C2によって有効化された音響サービスである。以下、複数の音響サービスの中から有効化する音響サービスを指定することを、「有効サービスを指定する」という。
【0013】
また、音響サービスサーバ10は、有効サービスの利用に必要な情報を、中継機器30-1,30-2を介して音響設備20-1,20-2に供給する。音響サービスサーバ10は、音響サービスを運営するサービス運営事業者の配下にあってもよい。また、例えば複数の音響サービスのサービス運営事業者がそれぞれ異なる場合、音響サービスサーバ10は、複数の音響サービスのサービス運営事業者と契約したサービス管理事業者の配下にあってもよい。
【0014】
A駅S1には、音響設備20-1が設けられており、BホールS2には、音響設備20-2が設けられている。A駅S1は鉄道の駅である。BホールS2はコンサートや講演会等が行われる集会所である。A駅S1およびBホールS2は、施設の一例である。より詳細には、A駅S1は第1施設の一例であり、BホールS2は第2施設の一例である。施設は、ユーザU1,U2が何らかの目的を持って滞在する場所である。施設は、例えばショッピングモール、デパート、コンビニエンスストア等、商品を販売する販売施設であってもよいし、遊園地、駅、劇場、病院等、商用サービスを提供するサービス施設であってもよいし、役所、図書館、公園等の公共サービスを提供する公共施設であってもよい。施設は、建屋を有していてもよいし、建屋を有していなくてもよい。
【0015】
図2は、音響設備20-1の構成を示すブロック図である。音響設備20-2も同様の構成を有する。音響設備20-1は、施設内の相異なる場所に設置された複数の放音装置(例えばスピーカ装置)EAと、施設内の少なくとも1か所に設けられた収音装置(例えばマイクロフォン)EBと、放音装置EAから出力する音を再生する音響機器ECとを備える。音響設備20-1,20-2は、施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な音響システムの一例である。より詳細には、音響設備20-1は、A駅S1に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な第1音響システムの一例である。また、音響設備20-2は、BホールS2に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な第2音響システムの一例である。なお、音響設備20-1,20-2は、放音装置EAまたは収音装置EBのいずれかと、音響機器ECとを備えてもよい。
【0016】
音響設備20-1の音響機器ECには、図1に示すように中継機器30-1が接続されている。同様に、音響設備20-2の音響機器ECには、中継機器30-2が接続されている。中継機器30-1,中継機器30-2は、通信網Nに接続されている。中継機器30-1,中継機器30-2は、音響設備20-1,20-2と音響サービスサーバ10との間において、有効サービスの利用に必要な情報の授受を中継する。中継機器30-1は第1中継機器の一例であり、中継機器30-2は第2中継機器の一例である。音響サービスサーバ10は、音響設備20-1との間において、A駅S1における有効サービスの利用に必要な情報を、中継機器30-1を介して授受する。また、音響サービスサーバ10は、音響設備20-2との間において、BホールS2における有効サービスの利用に必要な情報を、中継機器30-2を介して授受する。
【0017】
A駅S1には、ユーザU1が位置する。ユーザU1はユーザ端末50-1を携帯する。ユーザ端末50-1の位置と、ユーザU1の位置とは、同一視できるものとする。また、BホールS2には、ユーザU2が位置する。ユーザU2は、ユーザ端末50-2を携帯する。ユーザ端末50-2の位置と、ユーザU2の位置とは、同一視できるものとする。ユーザ端末50-1,50-2は、情報処理端末の一例であり、例えばスマートフォン、タブレット、ノートパソコン等である。本実施形態では、ユーザ端末50-1,50-2はスマートフォンであるものとする。
【0018】
関係者端末40-1は、A駅S1の関係者C1が保持する情報処理端末である。関係者端末40-1は、第1関係者拠点K1に配置されている。第1関係者拠点K1は、A駅S1から離れた遠隔地に設けられていてもよいし、A駅S1内に設けられていてもよい。例えば、第1関係者拠点K1が、A駅S1内の駅員室であってもよい。また、関係者端末40-2は、BホールS2の関係者C2が保持する情報処理端末である。関係者端末40-2は、第2関係者拠点K2に配置されている。第2関係者拠点K2は、BホールS2から離れた遠隔地に設けられていてもよいし、BホールS2内に設けられていてもよい。例えば、第2関係者拠点K2が、BホールS2内のバックヤードであってもよい。関係者端末40-1,40-2は、例えばスマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップパソコン、電話機等である。本実施形態では、関係者端末40-1,40-2はタブレットであるものとする。
【0019】
関係者C1は、A駅S1に関係する人物である。関係者C1は、例えばA駅S1の駅員、A駅S1内の店舗の従業員、A駅S1の管理者、A駅S1の管理者から委託を受けた者、鉄道事業者の職員等である。本実施形態では、関係者C1は、A駅S1の駅員であるものとする。同様に、関係者C2は、BホールS2に関係する人物である。本実施形態では、関係者C2は、BホールS2の音響担当者であるものとする。
【0020】
A-2:機器の構成
次に、情報処理システム1を構成する各機器の構成について説明する。図3は、音響サービスサーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。音響サービスサーバ10は、制御装置11と、記憶装置12と、通信装置13とを備える。
【0021】
制御装置11は、音響サービスサーバ10の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。例えば、制御装置51は、CPU(Central Processing Unit)、SPU(Sound Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の1種類以上のプロセッサにより構成される。
【0022】
記憶装置12は、制御装置11が実行するプログラムを記憶する、単数または複数のメモリである。記憶装置12は、例えば磁気記録媒体もしくは半導体記録媒体等の公知の記録媒体、または、複数種の記録媒体の組合せで構成される。なお、音響サービスサーバ10に対して着脱される可搬型の記録媒体、または通信網Nを介して制御装置11が書込または読出を実行可能な記録媒体(例えばクラウドストレージ)を、記憶装置12として利用してもよい。
【0023】
通信装置13は、通信網Nを介して他の機器と通信する。
【0024】
図4は、制御装置11の機能的な構成を例示するブロック図である。制御装置11は、上記プログラムを実行することにより、サービス管理部110およびサービス提供部112として機能する。
【0025】
サービス管理部110は、施設毎の有効サービスの設定を管理する。より詳細には、サービス管理部110は、関係者C1,C2からの有効サービスの指定に基づいて、図11に示す有効サービスデータベースDSの書き換えを行う。サービス提供部112は、情報処理システム1で提供される複数の音響サービスに関する処理を実行する。サービス提供部112は、遠隔アナウンス部112A、リモート接客部112B、通訳音声配信部112CおよびBGM配信部112Dを含む。遠隔アナウンス部112Aは、遠隔アナウンスサービスに関する処理を実行する。リモート接客部112Bは、リモート接客サービスに関する処理を実行する。通訳音声配信部112Cは、通訳音声配信サービスに関する処理を実行する。BGM配信部112Dは、BGM配信サービスに関する処理を実行する。なお、サービス提供部112は、音響サービスサーバ10とは異なるサーバに設けられていてもよい。また、サービス提供部112の各構成部(遠隔アナウンス部112A、リモート接客部112B、通訳音声配信部112CおよびBGM配信部112D)は、音響サービス毎に異なるサーバに設けられていてもよい。
【0026】
図5は、中継機器30-1のハードウェア構成を示すブロック図である。中継機器30-2も、同様の構成を有する。中継機器30-1は、制御装置31と、記憶装置32と、通信装置33とを備える。
【0027】
制御装置31は、中継機器30-1の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。例えば、制御装置31は、CPU、SPU、DSP、FPGA、またはASIC等の1種類以上のプロセッサにより構成される。
【0028】
記憶装置32は、制御装置31が実行するプログラムと、制御装置31が使用する各種のデータとを記憶する単数または複数のメモリである。記憶装置32は、例えば磁気記録媒体もしくは半導体記録媒体等の公知の記録媒体、または、複数種の記録媒体の組合せで構成される。なお、中継機器30-1に対して着脱される可搬型の記録媒体、または通信網Nを介して制御装置31が書込または読出を実行可能な記録媒体(例えばクラウドストレージ)を、記憶装置32として利用してもよい。
【0029】
通信装置33は、通信網Nを介して他の機器と通信する。
【0030】
図6は、制御装置31の機能的な構成を例示するブロック図である。制御装置31は、上記プログラムを実行することにより、データ中継部310として機能する。
【0031】
データ中継部310は、音響サービスサーバ10から送信されたデータを音響設備20-1に送信する。また、データ中継部310は、音響設備20-1から送信されたデータを音響サービスサーバ10に送信する。
【0032】
図7は、関係者端末40-1のハードウェア構成を示すブロック図である。関係者端末40-2も、同様の構成を有する。関係者端末40-1は、制御装置41と、記憶装置42と、収音装置43と、放音装置44と、操作装置45と、表示装置46と、通信装置47と、撮像装置48とを備える。
【0033】
制御装置41は、関係者端末40-1の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。例えば、制御装置41は、CPU、SPU、DSP、FPGA、またはASIC等の1種類以上のプロセッサにより構成される。
【0034】
記憶装置42は、制御装置41が実行するプログラムと、制御装置41が使用する各種のデータとを記憶する単数または複数のメモリである。記憶装置42は、例えば磁気記録媒体もしくは半導体記録媒体等の公知の記録媒体、または、複数種の記録媒体の組合せで構成される。なお、関係者端末40-1に対して着脱される可搬型の記録媒体、または通信網Nを介して制御装置41が書込または読出を実行可能な記録媒体(例えばクラウドストレージ)を、記憶装置42として利用してもよい。
【0035】
本実施形態では、記憶装置42が記憶するプログラムは、施設における音響サービスの管理および利用を行うための業務支援ツールを提供するためのプログラム(業務支援プログラム)を含む。
【0036】
収音装置43は、周囲の音(空気振動)を検出して音響信号として出力する。収音装置43は、例えばマイクロホンである。なお、関係者端末40-1とは別体の収音装置43を、関係者端末40-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0037】
放音装置44は、音響信号が表す音を再生する。放音装置44は、例えばスピーカまたはヘッドホンである。なお、音響信号をデジタルからアナログに変換するD/A変換器と、音響信号を増幅する増幅器とは、便宜的に図示が省略されている。また、関係者端末40-1とは別体の放音装置44を、関係者端末40-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0038】
操作装置45は、関係者C1からの指示を受け付ける入力機器である。操作装置45は、例えば、関係者C1が操作する操作子、または、関係者C1による接触を検知するタッチパネルである。本実施形態では、操作装置45としてタッチパネルT1(図12等参照)を用いるものとする。この場合、タッチパネルT1は、操作装置45と後述する表示装置46を兼ねている。なお、関係者端末40-1とは別体の操作装置45(例えばマウスまたはキーボード)を、関係者端末40-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0039】
表示装置46は、制御装置41による制御のもとで画像を表示する。例えば液晶表示パネルまたは有機ELパネル等の各種の表示パネルが表示装置46として利用される。なお、関係者端末40-1とは別体の表示装置46を、関係者端末40-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0040】
通信装置47は、通信網Nを介して他の機器と通信する。撮像装置48は、レンズ等の受光光学系と、受光光学系で集光される光を電気信号に変換する撮像素子等を含み、関係者端末40-1の周辺を撮像した撮像画像を生成する。
【0041】
図8は、制御装置41の機能的な構成を例示するブロック図である。制御装置41は、上記プログラムを実行することにより、サービス設定部410およびサービス利用部412として機能する。
【0042】
サービス設定部410は、A駅S1における有効サービスの指定を関係者C1から受け付ける。また、サービス設定部410は、関係者C1から受け付けた有効サービスの指定に関する情報を音響サービスサーバ10に送信する。サービス利用部412は、有効サービスの利用に関する処理を実行する。説明の便宜上、サービス利用部412は、遠隔アナウンス部412A、リモート接客部412B、通訳音声配信部412CおよびBGM配信部412Dを含むものとする。実際には、サービス利用部412は、関係者C1により指定された有効サービスに対応する機能部のみが有効となる。または、関係者C1が有効サービスを指定する都度、有効サービスとして指定された音響サービスに対応する機能部が、関係者端末40-1にインストールされてもよい。遠隔アナウンス部412Aは、遠隔アナウンスサービスに関する処理を実行する。リモート接客部412Bは、リモート接客サービスに関する処理を実行する。通訳音声配信部412Cは、通訳音声配信サービスに関する処理を実行する。BGM配信部412Dは、BGM配信サービスに関する処理を実行する。
【0043】
図9は、ユーザ端末50-1のハードウェア構成を示すブロック図である。ユーザ端末50-2も、同様の構成を有する。ユーザ端末50-1は、制御装置51と、記憶装置52と、収音装置53と、放音装置54と、操作装置55と、表示装置56と、通信装置57と、撮像装置58とを備える。
【0044】
制御装置51は、ユーザ端末50-1の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。例えば、制御装置51は、CPU、SPU、DSP、FPGA、またはASIC等の1種類以上のプロセッサにより構成される。
【0045】
記憶装置52は、制御装置51が実行するプログラムを記憶する、単数または複数のメモリである。記憶装置52は、例えば磁気記録媒体もしくは半導体記録媒体等の公知の記録媒体、または、複数種の記録媒体の組合せで構成される。なお、ユーザ端末50-1に対して着脱される可搬型の記録媒体、または通信網Nを介して制御装置51が書込または読出を実行可能な記録媒体(例えばクラウドストレージ)を、記憶装置52として利用してもよい。
【0046】
本実施形態では、記憶装置52が記憶するプログラムは、リモート接客プログラムおよび通訳音声受信プログラムを含む。リモート接客プログラムは、ユーザ端末50-1が施設内に位置している場合に、当該施設の関係者とコミュニケーションを取るためのプログラムである。また、通訳音声受信プログラムは、ユーザ端末50-1が施設内に位置している場合に、当該施設で収音された音声を通訳した通訳音声を受信するためのプログラムである。
【0047】
収音装置53は、周囲の音(空気振動)を検出して音響信号として出力する。収音装置53は、例えばマイクロホンである。なお、ユーザ端末50-1とは別体の収音装置53を、ユーザ端末50-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0048】
放音装置54は、音響信号が表す音を再生する。放音装置54は、例えばスピーカまたはヘッドホンである。なお、音響信号をデジタルからアナログに変換するD/A変換器と、音響信号を増幅する増幅器とは、便宜的に図示が省略されている。また、ユーザ端末50-1とは別体の放音装置54を、ユーザ端末50-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0049】
操作装置55は、ユーザU1からの指示を受け付ける入力機器である。操作装置55は、例えば、ユーザU1が操作する操作子、または、ユーザU1による接触を検知するタッチパネルである。本実施形態では、操作装置55としてタッチパネルを用いるものとする。この場合、タッチパネルは、操作装置55と後述する表示装置56を兼ねている。なお、ユーザ端末50-1とは別体の操作装置55(例えばマウスまたはキーボード)を、ユーザ端末50-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0050】
表示装置56は、制御装置51による制御のもとで画像を表示する。例えば液晶表示パネルまたは有機ELパネル等の各種の表示パネルが表示装置56として利用される。なお、ユーザ端末50-1とは別体の表示装置56を、ユーザ端末50-1に対して有線または無線により接続してもよい。
【0051】
通信装置57は、通信網Nを介して他の機器と通信する。撮像装置58は、レンズ等の受光光学系と、受光光学系で集光される光を電気信号に変換する撮像素子等を含み、ユーザ端末50-1周辺を撮像した撮像画像を生成する。
【0052】
図10は、制御装置51の機能的な構成を例示するブロック図である。制御装置51は、上記プログラムを実行することにより、サービス利用部512として機能する。
【0053】
サービス利用部512は、施設における音響サービスの利用に関する処理を実行する。説明の便宜上、サービス利用部512は、リモート接客部512Bおよび通訳音声配信部512Cを含むものとする。実際には、サービス利用部512は、ユーザ端末50-1が位置する施設における有効サービスに対応する機能部のみが有効となる。リモート接客部512Bは、リモート接客サービスに関する処理を実行する。通訳音声配信部512Cは、通訳音声配信サービスに関する処理を実行する。
【0054】
A-3:音響サービスの具体例
以下、情報処理システム1における音響サービスの提供の具体例について説明する。以下では、[1]音響サービスの初期設定、[2]有効サービスの指定、および[3]各音響サービスの詳細に分けて説明する。以下の説明に先立って、音響サービスサーバ10が記憶するデータベースについて説明する。
【0055】
図11Aは、登録情報データベースDBを例示する図である。登録情報データベースDBは、音響サービスサーバ10の記憶装置12に記憶されている。登録情報データベースDBは、施設名D11と、中継機器識別情報D12と、IPアドレスD13と、パスワードD14とを含んだレコードR11,R12を含む。
【0056】
施設名D11は、施設を識別するための施設識別情報の一例である。施設名D11は、例えば各施設に割り当てられたコードであってもよい。本実施形態では、施設名D11を、音響サービスを利用する際のユーザIDとして用いる。
【0057】
中継機器識別情報D12は、中継機器30-1,30-2を識別する識別情報である。中継機器識別情報D12は、例えば各中継機器30-1,30-2に割り当てられたコードであってもよい。中継機器識別情報D12は、中継機器30-1,30-2の記憶装置32に記憶されている。IPアドレスD13は、中継機器30-1,30-2を通信網N上で識別するためのアドレスの一例である。以下、本実施形態では、機器を通信網N上で識別するためのアドレスがIPアドレスであるものとする。IPアドレスD13は、中継機器30-1,30-2が施設において通信網Nに接続された際に決定される。
【0058】
パスワードD14は、関係者C1,C2が関係者端末40-1,40-2を用いて音響サービスサーバ10に接続し、有効サービスの指定および有効サービスの利用を行う際に用いる情報である。パスワードD14は、関係者C1,C2によって決定される。
【0059】
図11Bは、有効サービスデータベースDSを例示する図である。有効サービスデータベースDSは、音響サービスサーバ10の記憶装置12に記憶されている。有効サービスデータベースDSは、施設名D1と、設定データD2(D2-1~D2-4)とを含んだレコードR(R1,R2)を含む。レコードR1はA駅S1に対応するレコードであり、レコードR2はBホールS2に対応するレコードである。
【0060】
施設名D1は、施設を識別するための識別情報である。設定データD2(D2-1~D2-4)は、施設名D1で識別される施設における音響サービスの提供状態を示す。なお、「1」は当該音響サービスが有効である(提供可能である)ことを示し、「0」は当該音響サービスが無効である(提供可能でない)ことを示す。1が表記された音響サービスが、有効サービスに対応する。より詳細には、設定データD2-1は、遠隔アナウンスサービスが有効であるか否かを示す。図11Bでは、遠隔アナウンスサービスは、A駅S1およびBホールS2の両方で有効となっている。以下同様に、設定データD2-2は、リモート接客サービスが有効であるか否かを示す。設定データD2-3は、通訳音声配信サービスが有効であるか否かを示す。設定データD2-4は、BGM配信サービスが有効であるか否かを示す。各サービスの内容の詳細については[3]で説明する。
【0061】
音響サービスの初期設定
以下、A駅S1において音響サービスの初期設定を行う場合を例にして説明する。情報処理システム1では、施設に中継機器30-1を導入することにより、音響サービスの利用が可能となる。まず、関係者C1は、中継機器30-1と音響設備20-1とをライン接続する。また、関係者C1は、中継機器30-1の通信装置33を通信網Nに接続する。また、本実施形態では、中継機器30-1は、操作装置および表示装置を備えていない。よって、中継機器30-1と関係者端末40-1とを、USB(Universal Serial Bus)等の有線通信、またはBluetooth,Wi-Fi(Bluetooth,Wi-Fiは、いずれも登録商標)等の近距離無線通信により接続する。関係者C1は、関係者端末40-1の操作装置45および表示装置46を用いて登録情報の入力等を行う。なお、本実施形態では、関係者端末40-1を用いて初期設定を行うものとするが、通信網Nに接続可能な情報処理端末であれば、他の端末から初期設定を行うことも可能である。
【0062】
中継機器30-1の記憶装置32には、音響サービスサーバ10を通信網N上で識別するためのアドレスが記憶されている。以下、本実施形態では、機器を通信網N上で識別するためのアドレスがIPアドレスであるものとする。中継機器30-1には、中継機器30-1を識別する中継機器識別情報が記憶されている。中継機器30-1は、通信網Nを介して音響サービスサーバ10に接続し、中継機器識別情報および中継機器30-1のIPアドレスを送信する。
【0063】
また、中継機器30-1の記憶装置32には、関係者端末40-1で音響サービスの初期設定を行うためのプログラムが記憶されている。中継機器30-1と関係者端末40-1とを接続すると、上記プログラムが起動し、関係者端末40-1の操作装置45および表示装置46を用いて登録情報の入力等が行えるようになる。
【0064】
音響サービスサーバ10は、中継機器識別情報およびIPアドレスを受信すると、図11Aに示す登録情報データベースDBに中継機器30-1の中継機器識別情報が記憶されているか判断する。中継機器30-1の中継機器識別情報が記憶されていない場合には、中継機器30-1が新たに情報処理システム1に接続された機器と判断する。音響サービスサーバ10は、情報処理システム1への初期登録を行うための初期登録画面を表示させるための情報を中継機器30-1に送信する。上記情報は、中継機器30-1に接続された関係者端末40-1に転送される。
【0065】
関係者端末40-1は、上記情報に基づいて表示装置46に初期登録画面を表示させる。関係者C1は、初期登録画面に各種の登録情報を入力する。登録情報は、中継機器30-1が設置される施設の施設名、関係者C1が音響サービスサーバ10に接続するためのパスワード等が含まれる。また、音響サービスに有料のサービスが含まれる場合には、登録情報は、支払い方法の情報を含んでもよい。関係者が登録情報の入力を完了すると、登録情報は音響サービスサーバ10に送信される。音響サービスサーバ10は、図11Aに示す登録情報データベースDBに、中継機器識別情報、IPアドレス、施設名、パスワードを関連付けて記憶する。以上の初期登録が完了すると、有効サービスの指定が可能となる。
【0066】
有効サービスの指定
次に、各施設における有効サービスの指定について説明する。本実施形態では、有効サービスの指定は、音響サービスサーバ10が配布する業務支援ツールを用いて行う。音響サービスサーバ10は、[1]の初期登録が完了すると、関係者端末40-1に対して業務支援ツールを実行するためのプログラムを配布する。なお、中継機器30-1の記憶装置32に、業務支援ツールを実行するためのプログラムが記憶されていてもよい。業務支援ツールを用いることで、音響サービスの利用を容易にすることができる。また、業務支援ツールを実行するためのプログラムは、例えば関係者端末40-1をはじめとする情報処理端末に向けたプログラムを配布または販売する外部のアプリケーションストアで配布または販売されてもよい。
【0067】
図12図14は、業務支援ツールの表示画面を例示する図である。関係者C1は、関係者端末40-1上で業務支援ツールを起動させ、初期登録時に指定した施設名およびパスワードを入力する。音響サービスサーバ10は、施設名およびパスワードを認証すると、A駅S1における有効サービスの設定情報を関係者端末40-1に送信する。
【0068】
関係者端末40-1のサービス設定部410は、音響サービスサーバ10から受信した設定情報に基づいて、図12に示す表示画面SC1をタッチパネルT1に表示する。表示画面SC1は、サービス設定ボタンBT1と、複数の音響サービスに対応するメニューボタンME1~ME4とを含む。メニューボタンME1は、遠隔アナウンスサービスに対応する。メニューボタンME2は、リモート接客サービスに対応する。メニューボタンME3は、通訳音声配信サービスに対応する。メニューボタンME4は、BGM配信サービスに対応する。
【0069】
メニューボタンME1~ME4のうち、有効となっている音響サービス(有効サービス)に対応するボタンはカラーで表示され、有効となっていない音響サービス(無効サービス)に対応するボタンはグレーアウトして表示される。初期登録の直後は、全ての音響サービスは無効となっている。よって、図12では、全てのメニューボタンME1~ME4がグレーアウトして表示されている。
【0070】
関係者C1がサービス設定ボタンBT1にタッチすると、サービス設定部410は、上記設定情報に基づいて、図13に示す表示画面SC2をタッチパネルT1に表示する。表示画面SC2は、複数の音響サービスに対応する設定表示MD1~MD4を含む。設定表示MD1~MD4は、音響サービスの名称表示NE1と、音響サービスの利用料金NE2と、有効ボタンBA1と、無効ボタンBA2とを含む。
【0071】
設定表示MD1は、遠隔アナウンスサービスが有効サービスとして指定されているか否かを示す。設定表示MD2は、リモート接客サービスが有効サービスとして指定されているか否かを示す。設定表示MD3は、通訳配信サービスが有効サービスとして指定されているか否かを示す。設定表示MD4は、BGM配信サービスが有効サービスとして指定されているか否かを示す。これら複数の音響サービスのうち、有効となっている音響サービス(有効サービス)に対応する有効ボタンBA1はカラーで表示され、無効ボタンBA2はグレーアウトして表示される。また、無効となっている音響サービス(無効サービス)に対応する有効ボタンBA1はグレーアウトして表示され、無効ボタンBA2はカラーで表示される。
【0072】
関係者C1は、各サービスに対応する有効ボタンBA1または無効ボタンBA2を操作することにより、音響サービスの有効または無効を切り替えることができる。例えば、図13に示す表示画面SC2において、関係者C1が遠隔アナウンスサービスに対応する設定表示MD1の有効ボタンBA1をタッチすると、有効ボタンBA1がカラーで表示され、無効ボタンBA2はグレーアウトして表示される。サービス設定部410は、音響サービスサーバ10に、遠隔アナウンスサービスを有効化することを要求する有効化要求を送信する。音響サービスサーバ10のサービス管理部110は、有効化要求を受信すると、図11Bに示す有効サービスデータベースDSのうち、A駅S1に対応するレコードR1の設定データD2-1を「1(有効)」に変更する。また、サービス管理部110は、サービス提供部112のうち遠隔アナウンス部112Aについて、A駅S1へのサービス提供を有効にする。
【0073】
本実施形態では、関係者C1は、遠隔アナウンスサービスおよびリモート接客サービスを有効サービスとして指定したものとする。これにより、有効サービスデータベースDSは、図11BのレコードR1の設定データD2-1~D2-4のように書き換えられる。また、設定後のメニューボタンME1~M4は、図14に示す表示画面SC3に示すように、メニューボタンME1およびME2はカラーで表示され、メニューボタンME3およびメニューボタンME4はグレーアウトして表示される。
【0074】
このように、A駅S1における有効サービスは、関係者C1が関係者端末40-1を用いて設定可能である。同様に、BホールS2における有効サービスは、関係者C2が関係者端末40-2を用いて設定可能である。図11BのレコードR2に示すように、BホールS2では、遠隔アナウンスサービス、通訳音声配信サービスおよびBGM配信サービスが有効サービスとして指定されているものとする。
【0075】
各音響サービスの詳細
[2-1]遠隔アナウンスサービス
つぎに、各音響サービスの詳細について説明する。遠隔アナウンスサービスは、関係者C1,C2が、施設から離れた遠隔地から施設内に案内音声の出力を行うサービスである。すなわち、遠隔アナウンスサービスは、施設の関係者C1,C2が操作する関係者端末40-1,40-2から案内音声の出力要求を受け付けた場合に、音響設備20-1,20-2から当該案内音声を出力する第1サービスの一例である。以下では、A駅S1において遠隔アナウンスサービスを利用する場合を例にして説明する。
【0076】
図15は、遠隔アナウンスサービスにおけるデータの流れを模式的示す図である。なお、図15図18では、通信網Nの図示を省略している。関係者C1が、関係者端末40-1で業務支援ツールを起動すると、関係者端末40-1と音響サービスサーバ10とが接続される(S101)。業務支援ツールの起動時には、施設名およびパスワードが、音響サービスサーバ10に送信される。音響サービスサーバ10は、施設名およびパスワードを登録情報データベースDBに照合し、関係者端末40-1を認証する(S102)。また、音響サービスサーバ10は、登録情報データベースDBに基づいて、施設名に対応付けられた中継機器30-1を特定する。
【0077】
関係者C1がメニューボタンME1をタッチすると、遠隔アナウンスサービスの利用が可能となる。すなわち、関係者端末40-1の遠隔アナウンス部412Aが機能する。遠隔アナウンスサービスの利用形態としては、[A1]関係者C1が案内音声を発話する場合と、[A2]予め収音された案内音声を再生する場合、とが想定される。遠隔アナウンス部412Aは、上記[A1]または[A2]を選択するための選択画面をタッチパネルT1に表示する。関係者C1は、選択画面において、上記[A1]または[A2]のいずれかを選択する。
【0078】
[A1]が選択された場合、遠隔アナウンス部412Aは、案内音声の発話を促す表示画面をタッチパネルT1に表示する。関係者C1は、関係者端末40-1に向かって案内音声を発話する(図中符号V)。収音装置43は、案内音声を音響信号に変換する。遠隔アナウンス部412Aは、案内音声の音響信号とともに、当該音響信号の出力要求を音響サービスサーバ10に送信する(S103)。音響サービスサーバ10は、上記特定した中継機器30-1に、音響信号と出力要求とを送信する(S104)。中継機器30-1は、音響サービスサーバ10から送信された音響信号と出力指示とを音響設備20-1に出力する(S105)。音響設備20-1は、音響信号を再生し、案内音声を放音装置EAから出力する(S106)。
【0079】
[A2]が選択された場合、遠隔アナウンス部412Aは、予め収音された案内音声の一覧を示す表示画面をタッチパネルT1に表示する。案内音声の一覧は、例えば関係者端末40-1の記憶装置42に記憶されている。案内音声の一覧には、例えば案内音声の発話内容の全文が表示されていてもよい。各案内音声には、案内音声を識別する音声識別情報(番号など)と対応付けられている。案内音声は、同じ内容を多言語(例えば日本語と英語)で読み上げた音声を含んでもよい。関係者C1は、案内音声の一覧から再生したい案内音声を選択する。遠隔アナウンス部412Aは、関係者C1が選択した案内音声に対応する音声識別情報と、当該案内音声の出力要求を音響サービスサーバ10に送信する(S103)。
【0080】
音響サービスサーバ10は、予め収音された案内音声の音響信号を記憶装置12に記憶している。音響信号は、人が案内音声を読み上げた音声を録音したものであってもよいし、合成音声により案内音声を読み上げた音を記憶したものであってもよい。音響サービスサーバ10は、音声識別情報で識別される案内音声の音響信号と、出力要求とを、上記特定した中継機器30-1に送信する(S104)。中継機器30-1は、音響サービスサーバ10から送信された音響信号と出力指示とを音響設備20-1に出力する(S105)。音響設備20-1は、音響信号を再生し、案内音声を放音装置EAから出力する(S106)。
【0081】
すなわち、遠隔アナウンスサービスにおいては、案内音声を表す音響信号と、当該案内音声の出力指示とを含む情報が、音響サービスサーバ10から中継機器30-1を中継して音響設備20-1に送信される。
【0082】
なお、音響信号は、中継機器30-1の記憶装置32または音響機器ECの記憶装置(図示なし)に記憶されていてもよい。例えば音響信号が中継機器30-1の記憶装置32に記憶されている場合、音響サービスサーバ10は、関係者端末40-1から送信された音声識別情報と出力指示とを、そのまま中継機器30-1に転送する(S104)。中継機器30-1は、記憶装置32に記憶された音響信号から、音声識別情報に対応する音響信号を選択し、音響信号と出力指示とを音響設備20-1に出力する(S105)。音響設備20-1は、音響信号を再生し、案内音声を放音装置EAから出力する。
【0083】
また、上述のように、施設内には複数の放音装置EAが設けられている。複数の放音装置EAの中から、案内音声を出力する放音装置EAを、関係者C1が選択できるようにしてもよい。例えばA駅S1の1番線ホームに設置された放音装置EAから案内音声を出力する、等を指定できるようにしてもよい。
【0084】
また、例えば関係者C1から案内音声を出力する日時の指定を受け付けるようにしてもよい。この場合、音響サービスサーバ10は、関係者C1から指定された日時に、上記音響信号と出力指示とを中継機器30-1に送信する(S104)。中継機器30-1は、音響信号および出力指示を音響設備20-1に出力する(S105)。音響設備20-1は、音響信号を再生し、案内音声を放音装置EAから出力する。
【0085】
また、[A1]が選択された場合において、遠隔アナウンス部412Aは、関係者C1からのテキスト入力を受け付けてもよい。この場合、遠隔アナウンス部412Aは、関係者C1から入力されたテキストのテキストデータと、当該テキストの読み上げ指示と、当該テキストを読み上げた音響信号の出力指示とを音響サービスサーバ10に送信する(S103)。音響サービスサーバ10の遠隔アナウンス部112Aは、合成音声によりテキストの読み上げた音響信号を生成し、当該音響信号と、音響信号の出力指示とを中継機器30-1に送信する(S104)。中継機器30-1は、音響信号と出力指示とを音響設備20-1に出力する(S105)。音響設備20-1は、音響信号を再生し、案内音声を放音装置EAから出力する。
【0086】
このように、遠隔アナウンスサービスを利用することによって、関係者C1は、A駅S1から離れた遠隔地にいる場合でも、A駅S1内に案内音声を出力することができる。よって、A駅S1に緊急のアナウンスを行う必要がある場合や、人員が不足してA駅S1に関係者C1を配置できない場合でも、A駅S1内に案内音声を出力することができ、利便性を向上させることができる。
【0087】
[2-2]リモート接客サービス
リモート接客サービスは、施設から離れた遠隔地に位置する関係者C1が、施設内に位置するユーザU1,U2と会話することを可能とするサービスである。以下では、A駅S1に位置するユーザ端末50-1と、関係者端末40-1との間の通信を例にして説明する。
【0088】
リモート接客サービスの利用に先立って、ユーザU1は、上述したリモート接客プログラムをユーザ端末50-1にインストールし、リモート接客サービスを利用可能としておく。リモート接客プログラムは、例えば音響サービスサーバ10が配布する。制御装置51がリモート接客プログラムを実行することにより、図10に示すリモート接客部512Bとして機能する。
【0089】
図19Aは、認証情報データベースDNの一例を示す図である。認証情報データベースDNは、リモート接客プログラムのインストールと同時に、ユーザ端末50-1の記憶装置52に記憶される。認証情報データベースDNは、施設名D31と、認証情報D32と、接続先情報D33とを含んだレコードR(R31,R32)を含む。施設名D31は、施設の識別情報である施設名を示す。認証情報D32は、施設毎に定められたコードである。接続先情報D33は、各施設の関係者端末40-1,40-2を通信網N上で識別するためのアドレスであり、例えばIPアドレスである。
【0090】
図19Aに示すように、認証情報D32は、当該認証情報が送信される施設ごとに異なる。また、関係者端末は各施設に対応して設けられており、それぞれ接続先情報D33が異なる。ユーザ端末50-1は、認証情報を受信することにより、複数の関係者端末40-1,40-2の中から、A駅S1に対応する関係者端末40-1を特定することができる。
【0091】
図16は、リモート接客サービスにおけるデータの流れを模式的示す図である。関係者C1が、関係者端末40-1で業務支援ツールを起動すると、関係者端末40-1と音響サービスサーバ10とが接続される(S201)。業務支援ツールの起動時には、関係者C1が設定した施設名およびパスワードが音響サービスサーバ10に送信される。音響サービスサーバ10は、施設名およびパスワードを登録情報データベースDBに照合し、関係者端末40-1を認証する(S202)。また、音響サービスサーバ10は、登録情報データベースDBに基づいて、施設名に対応付けられた中継機器30-1を特定する。
【0092】
関係者C1がメニューボタンME2をタッチすると、リモート接客サービスが起動する。すなわち、関係者端末40-1のリモート接客部412Bが機能する。音響サービスサーバ10のリモート接客部112Bは、中継機器30-1に、A駅S1に割り当てられた認証情報を音響通信で送信するための音響信号と、当該音響通信の出力要求を送信する(S204)。認証情報は、例えば施設毎に定められたコード等である。本実施形態では、認証情報は、空気振動としての音波を伝送媒体とした音響通信で施設内に送信される。中継機器30-1のデータ中継部310は、音響信号および出力要求を音響設備20-1に出力する(S205)。音響設備20-1は、音響信号を再生し、認証情報に対応する音を放音装置EAから出力する(S206)。
【0093】
音響通信を用いることによって、認証情報は特定の範囲に限定的に送信される。例えばA駅S1の認証情報は、A駅S1の構内のみに送信される。したがって、例えばA駅S1の認証情報を受信できたユーザ端末50-1は、A駅S1の近傍に位置することが保証される。すなわち、認証情報は、当該認証情報が送信される場所を識別するための情報である。
【0094】
認証情報の音響成分は、可聴帯域外の成分である。音響設備20-1は、例えば関係者C1によるアナウンス音声とともに認証情報を送信する。また、音響設備20-1は、周期的に認証情報を送信する。音響設備20-1が有する複数の放音装置EAからは、共通の認証情報が送信されてもよいし、別個の認証情報が送信されてもよい。例えば、A駅S1の1番線ホームに設置された放音装置EAから送信する認証情報と、A駅S1の2番線ホームに設置された放音装置EAから送信する認証情報とが異なってもよい。この場合、ユーザ端末50-1がA駅S1内のどのホームに位置するかを、認証情報を用いて識別することができる。
【0095】
リモート接客部512Bは、音響設備20-1から音響通信により送信される認証情報を受信する。より詳細には、リモート接客部512Bは、収音装置53で収音されたユーザ端末50-1の周囲の音を示す音響信号を取得する。リモート接客部512Bは、音響信号に音響通信の成分が含まれている場合、当該音響信号に対する所定の信号処理により認証情報を抽出する。抽出した認証情報がA駅S1の認証情報と一致する場合、リモート接客部512Bは、ユーザ端末50-1がA駅S1に位置すると判断する。
【0096】
音響通信を用いて認証情報を送信することにより、ユーザU1は自発的に認証情報を取得する必要がなく、ユーザU1の利便性を向上させることができる。特に、例えばユーザU1がユーザ端末50-1の操作に不慣れな場合や、施設内でのスムーズな移動が困難な場合等に有効である。なお、ユーザU1が自発的に認証情報を取得する例としては、例えばA駅S1に表示された情報コードをユーザ端末50-1の撮像装置58で読み取る等が挙げられる。
【0097】
また、音響通信を用いることにより、例えばGPS(Global Positioning System)の位置情報を用いるのと比較して、より高精度にユーザ端末10-1がA駅S1に位置するのを検出できる。例えば、一般に、駅のホームは線路の延在方向に数十メートルの長さを有する。よって、A駅S1の代表地点の位置情報と、A駅S1のホームの端部の位置情報とが一致せず、ホームの端部にいるユーザ端末10-1がA駅S1に位置すると認識できない場合がある。これに対して、A駅S1のホームの各所に配置された放音装置EAから認証情報を送信すれば、ホームに位置する端に位置するユーザ端末10-1でも認証情報を受信することができ、ユーザ端末10-1がA駅に位置するのを検出できる。
【0098】
リモート接客部512Bは、ユーザ端末50-1でA駅S1の認証情報を受信している場合、ユーザ端末50-1のタッチパネルに、関係者端末40-1との通話を開始するための通話開始ボタンを表示する。ユーザU1が通話開始ボタンをタッチすると、リモート接客部512Bは、通信網Nを介して関係者端末40-1に通話要求を送信する(S207)。関係者端末40-1のIPアドレスは、図19Aに示す認証情報データベースDNでA駅S1の認証情報D32に対応付けられている。
【0099】
関係者端末40-1のリモート接客部412Bは、通話要求を受信すると、タッチパネルT1に応答ボタンを表示する。関係者C1が、応答ボタンをタッチすると、関係者端末40-1とユーザ端末50-1とが接続され、関係者C1とユーザU1との通話が可能となる(S208)。関係者C1とユーザU1との通話は、関係者端末40-1の収音装置43で収音された発話音声をユーザ端末50-1の放音装置54から放音し、ユーザ端末50-1の収音装置53で収音された発話音声を関係者端末40-1の放音装置44から放音することによって行われる。この時、ユーザ端末50-1の撮像装置58で撮像した画像を、関係者端末40-1の表示装置46に表示し、関係者端末40-1の撮像装置48で撮像した画像を、ユーザ端末50-1の表示装置56に表示し、テレビ通話を行ってもよい。
【0100】
このように、リモート接客サービスを用いることによって、例えばA駅S1内でユーザU1にトラブルが生じた場合等に、A駅S1の窓口に移動することなく、その場で関係者C1との通話を発信することができる。これにより、ユーザU1の利便性を向上させることができる。また、A駅S1に関係者C1がいない場合でもユーザU1からの問い合わせに対応することができ、施設の運営を効率化することができる。また、認証情報を用いて、ユーザ端末50-1がA駅S1に位置する場合のみリモート接客サービスを有効にすることによって、例えばいたずらや誤操作での呼び出しを防止することができ、関係者C1の業務効率を向上させることができる。
【0101】
[2-3]通訳音声配信サービス
通訳音声配信サービスは、施設内で収音した音声を他の言語に翻訳してユーザ端末50-1,50-2に配信するサービスである。通訳音声配信サービスは、音響入力により取得された入力音響信号に基づいて生成された関連情報を、施設に位置するユーザ端末50-1,50-2に送信する第2サービスの一例である。以下では、BホールS2において、講演者SPが外国語(例えば英語)により講演を行う際に、通訳音声配信サービスを利用する場合を例にして説明する。講演者SPの講演に参加するユーザU2は、日本語を使用言語とする。
【0102】
通訳音声配信サービスの利用に先立って、ユーザU2は、上述した通訳音声配信プログラムをユーザ端末50-2にインストールし、通訳音声配信サービスを利用可能としておく。通訳音声配信プログラムは、例えば音響サービスサーバ10が配布する。制御装置51が通訳音声配信プログラムを実行することにより、図10に示す通訳音声配信部512Cとして機能する。
【0103】
図19Bは、通訳者端末データベースDTの一例を示す図である。通訳者端末データベースDTは、通訳音声配信プログラムのインストールと同時に、ユーザ端末50-2の記憶装置52に記憶される。また、通訳者端末データベースDTは、音響サービスサーバ10の記憶装置12にも記憶される。通訳者端末データベースDTは、施設名D41と、認証情報D42と、接続先情報D43とを含んだレコードR(R41,R42)を含む。施設名D41は、施設の識別情報である施設名を示す。認証情報D42は、施設毎に定められたコードである。接続先情報D43は、図17に示す通訳者端末TDを通信網N上で識別するためのアドレスであり、例えばIPアドレスである。
【0104】
図19Bに示すように、認証情報D42は、当該認証情報が送信される施設ごとに異なる。また、通訳者端末TDは各施設に対応して設けられており、それぞれ接続先情報D43が異なる。ユーザ端末50-2は、認証情報を受信することにより、複数の通訳者端末TDの中から、BホールS2に対応する通訳者端末TDを特定することができる。
【0105】
図17は、通訳音声配信サービスの概要を模式的に示す図である。関係者C2が、関係者端末40-2で業務支援ツールを起動すると、関係者端末40-2と音響サービスサーバ10とが接続される(S301)。業務支援ツールの起動時には、関係者C2が設定した施設名およびパスワードが音響サービスサーバ10に送信される。音響サービスサーバ10は、施設名およびパスワードを登録情報データベースDBに照合し、関係者端末40-2を認証する(S302)。また、音響サービスサーバ10は、登録情報データベースDBに基づいて、施設名に対応付けられた中継機器30-2を特定する。
【0106】
関係者C2がメニューボタンME3をタッチすると、通訳音声配信サービスが起動する。すなわち、関係者端末40-2の通訳音声配信部412Cが機能する。音響サービスサーバ10の通訳音声配信部112Cは、中継機器30-2に、BホールS2に割り当てられた認証情報を音響通信で送信するための音響信号と、当該音響通信の出力要求を送信する(S304)。中継機器30-2のデータ中継部310は、音響信号および出力要求を音響設備20-2に出力する(S305)。音響設備20-2は、音響信号を再生し、認証情報に対応する音を放音装置EAから出力する(S306)。なお、認証情報に対応する音を出力する放音装置EAを、講演が行われている部屋に設置された放音装置EAに限定してもよい。これにより、BホールS2にいるユーザのうち、講演に参加しているユーザのみが認証情報を受信可能となる。
【0107】
ユーザ端末50-2の通訳音声配信部512Cは、ユーザ端末50-2でBホールS2の認証情報を受信している場合、タッチパネルに、通訳者端末TDからの音声配信の受信を開始するための受信開始ボタンを表示する。ユーザU2が受信開始ボタンをタッチすると、通訳音声配信部512Cは、通信網Nを介して通訳者端末TDに接続し、音声配信要求を送信する(S307)。通訳者端末TDのIPアドレスは、図19Bに示す通訳者端末データベースDTでBホールS2の認証情報D22に対応付けられている。
【0108】
講演が始まると、講演者SPの発話音声V1は、BホールS2の収音装置EBにより収音され(S308)、音響信号に変換される。この音響信号が入力音響信号である。入力音響信号は、音響機器ECから中継機器30-2に出力される(S309)。中継機器30-2のデータ中継部310は、入力音響信号を音響サービスサーバ10に送信する(S310)。
【0109】
音響サービスサーバ10の通訳音声配信部112Cは、英語と日本語の同時通訳が可能な通訳者TPの通訳者端末TDに、入力音響信号を送信する(S311)。通訳者端末TDは、入力音響信号が示す講演者SPの発話音声を出力する。通訳者TPは、発話音声の内容を日本語に翻訳した通訳音声V2を発話する。通訳者端末TDは、通訳者TPが発話した通訳音声を音響信号に変換する。この音響信号を通訳音響信号という。通訳音響信号は、入力音響信号に基づいて生成された関連情報である。通訳者端末TDは、音声配信要求を送信したユーザ端末50-2に通訳音響信号を送信する(S312)。
【0110】
通訳音声配信部512Cは、認証情報に対応する通訳者端末TDから送信された通訳音響信号を、放音装置54により放音する。これにより、ユーザU2は、外国語で行われている講演の内容を、日本語で把握することができる。
【0111】
以上のように、通訳音声配信サービスにおいては、音響設備20-2から中継機器30-2を中継して音響サービスサーバ10に入力音響信号が送信される。また、音響サービスサーバ10により入力音響信号に基づく通訳音響信号が取得され、音響サービスサーバ10から中継機器30-2を中継してユーザ端末50-2に通訳音響信号が送信される。
【0112】
通訳音声配信サービスを利用することによって、ユーザU2は、外国語で行われている講演の内容を、日本語で把握することができ、ユーザU2の利便性を向上することができる。また、ユーザ端末50-2に通訳音声を送信することができ、例えば通訳音声配信のヘッドセットを施設で用意して講演の参加者に貸し出すのと比較して、施設の業務負担を軽減することができる。また、認証情報を用いて、ユーザ端末50-2がBホールS2に位置する場合のみ通訳音声配信サービスを有効にすることによって、例えば講演会参加者以外が通訳音声を聞くのを防止することができる。また、ユーザU2が、自身が参加する講演とは異なる講演の通訳音声を聞いてしまうのを防止することができる。
【0113】
[2-4]BGM配信サービス
BGM配信サービスは、季節や流行に合わせたBGMを、音響設備20-2を用いて施設内に放音するサービスである。BGM配信サービスは、音響設備20-2からBGMを出力する第3サービスの一例である。BGMは、背景音の一例である。背景音は、楽曲であってもよいし、川のせせらぎ等の環境音であってもよい。以下では、BホールS2においてBGM配信サービスを利用する場合について説明する。また、本実施形態では、音響サービスサーバ10の記憶装置12に、BGM用に用いる楽曲の音響信号が記憶されているものとする。
【0114】
図18は、BGM配信サービスにおけるデータの流れを模式的示す図である。関係者C2が、関係者端末40-2で業務支援ツールを起動すると、関係者端末40-2と音響サービスサーバ10とが接続される(S401)。業務支援ツールの起動時には、関係者C2が設定した施設名およびパスワードが音響サービスサーバ10に送信される。音響サービスサーバ10は、施設名およびパスワードを登録情報データベースDBに照合し、関係者端末40-2を認証する(S402)。また、音響サービスサーバ10は、登録情報データベースDBに基づいて、施設名に対応付けられた中継機器30-2を特定する。
【0115】
関係者C1がメニューボタンME4(図12参照)をタッチすると、BGM配信サービスが起動する。すなわち、関係者端末40-2のBGM配信部412Dが機能する。BGM配信サービスの利用形態としては、[B1]関係者C2がBGMとして用いる曲を指定する曲指定モードと、[B2]BGMとして用いる曲を自動的に選択するおまかせモードとが想定される。BGM配信部412Dは、上記[B1]または[B2]を選択するための選択画面を表示する。関係者C2は、選択画面において、上記[B1]または[B2]のいずれかを選択する。
【0116】
[B1]が選択された場合、BGM配信部412Dは、BGM用楽曲データの一覧を取得する。BGM用楽曲データの一覧は、関係者端末40-2の記憶装置42に記憶されていてもよい。BGM用楽曲データの一覧は、楽曲を識別する楽曲識別情報の他、例えば楽曲のジャンル、作成者、発表年代等の分類情報を含む。楽曲のジャンルとは、クラシック、ポップス、ロック等の分類の他、歌詞の有無、楽曲に関連する季節やイベント等であってもよい。関係者C2は、分類情報に基づいて、一覧のソートや検索を行うことができる。関係者C2による曲の指定が終了すると、BGM配信部412Dは、関係者C2により指定された楽曲識別情報と、楽曲の出力指示とを音響サービスサーバ10に送信する(S403)。
【0117】
音響サービスサーバ10のBGM配信部412Dは、楽曲識別情報で識別される楽曲の音響信号と、当該楽曲の出力要求とを、上記特定した中継機器30-2に送信する(S404)。中継機器30-2のデータ中継部310は、音響サービスサーバ10から送信された音響信号と出力指示とを音響設備20-2に出力する(S405)。音響設備20-2は、音響信号を再生し、BGM用の楽曲を放音装置EAから出力する(S406)。
【0118】
[B2]が選択された場合、BGM配信部412Dは、BGMとして用いる曲のジャンル、作成者、発表年代等の分類情報の指定を受け付ける。関係者C2による分類情報の指定が終了すると、BGM配信部412Dは、関係者C2により指定された分類情報と、楽曲の出力指示とを音響サービスサーバ10に送信する(S403)。
【0119】
音響サービスサーバ10のBGM配信部112Dは、分類情報に基づいて、記憶装置12に記憶されたBGM用の楽曲の中から、BホールS2に配信する楽曲を選択する。BGM配信部112Dは、選択した楽曲の音響信号と、当該楽曲の出力要求とを、上記特定した中継機器30-2に送信する(S404)。中継機器30-2は、音響サービスサーバ10から送信された音響信号と出力指示とを音響設備20-2に出力する(S405)。音響設備20-2は、音響信号を再生し、BGM用の楽曲を放音装置EAから出力する(S406)。
【0120】
以上のように、BGM配信サービスにおいては、BGMを表す音響信号と、当該BGMの出力指示とを含む情報が、音響サービスサーバ10から中継機器30-2を中継して音響設備20-2に送信される。
【0121】
なお、BGM用の楽曲の音響信号を、中継機器30-1の記憶装置32または音響機器ECの記憶装置(図示なし)に記憶してもよい。例えば音響信号を中継機器30-1の記憶装置32に記憶する場合、音響サービスサーバ10は、関係者端末40-1からの指定(楽曲識別情報の指定または分類情報の指定)に基づいて選択した楽曲の音響信号を中継機器30-2に送信する(S404)。中継機器30-2は、記憶装置32に音響信号を記憶する。中継機器30-2は、例えば音響サービスサーバ10から楽曲の出力指示を受信すると、音響信号と出力指示とを音響設備20-2に出力する(S405)。音響設備20-2は、音響信号を再生し、案内音声を放音装置EAから出力する(S406)。
【0122】
また、例えば関係者C1からBGMを出力する日時の指定を受け付けるようにしてもよい。この場合、音響サービスサーバ10は、関係者C1から指定された日時に、上記音響信号と出力指示とを中継機器30-2に送信する(S404)。中継機器30-2は、音響信号および出力指示を音響設備20-2に出力する(S405)。音響設備20-2は、音響信号を再生し、案内音声を放音装置EAから出力する(S406)。
【0123】
このように、BGM配信サービスを利用することによって、施設にBGM用の楽曲の音響信号が記憶されていなくても、施設内にBGMを出力することができる。また、例えば[B2]のおまかせモードを選択することによって、関係者C2が具体的に楽曲を指定しなくても、分類情報に沿った楽曲が自動的に選択され、BGMとして出力される。施設内のBGMは、季節やイベントにより変更される頻度が高く、その都度関係者C2がBGMを選択するのは負荷が大きい場合がある。また、CD(Compact Disc)等の音響信号を記憶した記録媒体を用いてBGMを流す場合、記憶媒体の管理が煩雑である。BGM配信サービスを利用することによって、関係者C2の業務負荷を軽減し、施設の運営を効率化することができる。
【0124】
以上説明したように、実施形態に係る情報処理システム1は、音響設備20-1,20-2と音響サービスサーバ10との間の中継機器30-1,30-2により両者間における情報の授受が中継される。したがって、音響設備20-1,20-2自体には音響サービスサーバ10と通信する機能が搭載されていない場合でも、中継機器30-1,30-2を導入することで、音響サービスサーバ10を利用した多様なサービスを施設内に提供できる。
【0125】
また、実施形態に係る情報処理システム1において、関係者C1,C2は、関係者端末40-1,40-2を用いて複数の音響サービスを一元的に管理することができる。また、関係者C1,C2は、施設から離れた場所から音響サービスに関する設定や指示を行うことができる。これにより、施設の音響管理に関する関係者C1,C2の業務負荷を軽減することができ、施設の運営を効率化することができる。
【0126】
また、実施形態に係る情報処理システム1において、音響サービスサーバ10は、A駅S1およびBホールS2の各々について、有効サービスに必要な情報の授受を行う。したがって、音響サービスサーバ10は、複数の施設に対して統括的に音響サービスを提供することができ、施設における利便性を向上させることができる。
【0127】
B:変形例
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された複数の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
【0128】
[1]前述の各形態においては、音響サービスとして、遠隔アナウンスサービス、リモート接客サービス、通訳音声配信サービスおよびBGM配信サービスを例にして説明した。これに限らず、施設の音響設備20-1,20-2を用いるものであれば、音響サービスはどのようなサービスであってもよい。例えば、施設でスポーツ等の試合が行われている場合に、チームや選手に対する応援音声を出力するリモート応援サービスが提供されてもよい。また、例えば、施設内の放音装置EAから音響通信により認証情報を送信した上で、認証情報を受信したユーザ端末50-1,50-2に施設内でのみ視聴できるコンテンツへのアクセスを許可するコンテンツ配信サービスが提供されてもよい。
【0129】
[2]前述した遠隔アナウンスサービスにおいて、案内音声に関連する関連情報が提供されてもよい。例えば音響サービスサーバ10は、案内音声の音響信号に、案内音声の音響成分と、当該案内音声の識別情報の音響成分とを含める。案内音声の識別情報の音響成分は、音響通信で上記識別情報を送信するための成分である。識別情報を受信したユーザ端末50-1,50-2は、例えば音響サービスサーバ10に識別情報を送信する。音響サービスサーバ10は、識別情報に対応する関連情報をユーザ端末50-1,50-2に送信する。
【0130】
より具体的には、例えば音響サービスサーバ10は、A駅S1における案内音声に、識別情報の音響成分を含める。識別情報を受信したユーザ端末50-1は、音響サービスサーバ10に識別情報を送信する。音響サービスサーバ10は、案内音声の関連情報として、例えばA駅S1の構内地図や周辺情報等をユーザ端末50-1に送信する。
【0131】
なお、識別情報として、例えば関連情報が記載されたウェブページのURL(Uniform Resource Locator)が送信されてもよい。この場合、ユーザ端末50-1,50-2は、ウェブブラウザで上記URLにアクセスし、関連情報が記載されたウェブページを表示させる。
【0132】
このように、遠隔アナウンスサービスにおいて、音響サービスサーバ10が、案内音声の音響信号に、案内音声の音響成分と、当該案内音声の識別情報の音響成分とを含める。音響サービスサーバ10は、音響設備20-1による音響出力により識別情報を受信したユーザ端末50-1からの情報要求に応じて、識別情報に対応する関連情報をユーザ端末50-1に提供してもよい。
【0133】
[3]上述したリモート接客サービスでは、認証情報を受信したユーザ端末50-1と関係者端末40-1との間での通話を可能とした。これに限らず、例えば認証情報を受信したユーザ端末50-1と、A駅S1に関連する問い合わせに対応するAI(Artificial Intelligence)チャットボットとを接続してもよい。この場合、例えば図19Aに示す認証情報データベースDNの接続先情報D33に、AIチャットボットを提供する端末のIPアドレスを記憶する。
【0134】
また、例えばリモート接客サービスを用いてユーザU1と関係者C1との間で交わされた会話の内容を解析して、AIチャットボットの学習データとして利用してもよい。これにより、AIチャットボットが実際にあった問い合わせに基づいて学習することができ、AIチャットボットの応答精度を向上させることができる。
【0135】
[4]前述の各形態においては、初期設定時以外は、関係者端末40-1は中継機器30-1とは直接接続されていなかった。一方で、例えば災害時など、通信網Nが使用できない場合などには、関係者端末40-1と中継機器30-1とを直接接続して、音響設備20-1から音を出力するようにしてもよい。直接接続とは、初期設定時と同様に、例えばUSB等の有線通信、またはBluetooth,Wi-Fi(Bluetooth,Wi-Fiはそれぞれ登録商標)等の近距離無線通信を用いた接続である。例えば、遠隔アナウンスサービスに、関係者端末40-1と中継機器30-1とを直接接続する直接接続モードを設けてもよい。直接接続モードでは、関係者端末40-1の収音装置43で収音した案内音声の音響信号を中継機器30-1に出力する。中継機器30-1は、音響設備20-1に案内音声の音響信号を出力する。音響設備20-1は、案内音声の音響信号を再生し、放音装置EAから案内音声を出力する。
【0136】
[5]施設において複数の音響サービスにより出力される音が重なる場合がある。例えば、BGM配信サービスのBGMと、遠隔アナウンスサービスの案内音声とが放音装置EAから同時に出力される場合がある。この場合、複数の音響サービスに優先順位を付けておき、優先順位が高い音響サービスにより出力される音を優先的に出力してもよい。例えば、関係者C2が、BホールS2における遠隔アナウンスサービスの優先順位を、BGM配信サービスよりも高く設定したものとする。この場合、BGMの出力中に案内音声の出力が指示されると、BGMの出力が停止されるとともに、案内音声が出力される。または、BGMの音量が小さくされるとともに、案内音声がBGMよりも大きい音量で出力されてもよい。
【0137】
[6]音響サービスサーバ10の機能(サービス管理部110およびサービス提供部112)は、前述の通り、制御装置11を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置42に記憶されたプログラムとの協働により実現される。また、中継機器30-1,30-2の機能(データ中継部310)は、前述の通り、制御装置11を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置42に記憶されたプログラムとの協働により実現される。また、関係者端末40-1,40-2の機能(サービス設定部410およびサービス利用部412)は、前述の通り、制御装置41を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置42に記憶されたプログラムとの協働により実現される。ユーザ端末50-1,50-2の機能(サービス利用部512)は、前述の通り、制御装置51を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置52に記憶されたプログラムとの協働により実現される。
【0138】
以上のプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、配信装置が通信網Nを介してプログラムを配信する構成では、当該配信装置においてプログラムを記憶する記録媒体が、前述の非一過性の記録媒体に相当する。
【0139】
C:付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0140】
本開示のひとつの態様(態様1)に係る情報処理方法は、施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な音響システムと、前記音響システムを利用する複数のサービスのうち当該施設に提供可能な有効サービスを指定する設定データを参照可能な制御システムと、の間において、中継機器が、前記有効サービスの利用に必要な情報の授受を中継する。以上の構成によれば、音響システムと制御システムとの間の中継機器により両者間における情報の授受が中継される。したがって、音響システム自体には制御システムと通信する機能が搭載されていない場合でも、当該音響システムを利用した多様なサービスを施設内に提供できる。
【0141】
態様1の具体例(態様2)において、前記複数のサービスは、前記施設の関係者が操作する関係者端末から案内音声の出力要求を受け付けた場合に、前記音響システムから当該案内音声を出力する第1サービスを含み、前記第1サービスにおいては、前記案内音声を表す音響信号と、当該案内音声の出力指示とを含む前記情報が、前記制御システムから前記中継機器を中継して前記音響システムに送信される。以上の構成によれば、運営者端末からの出力要求に応じて案内音声を音響システムから出力するサービスを提供できる。
【0142】
態様2の具体例(態様3)において、前記音響信号は、前記案内音声の音響成分と、当該案内音声の識別情報の音響成分とを含み、前記第1サービスにおいては、前記音響システムによる音響出力により前記識別情報を受信した端末装置からの情報要求に応じて、前記制御システムが、前記識別情報に対応する第1関連情報を当該端末装置に提供する。以上の構成によれば、音響システムを利用した音響通信により識別情報を受信した端末装置に、当該識別情報に対応する関連情報を制御システムから提供するサービスを提供できる。
【0143】
態様1から態様3のいずれか1つの具体例(態様4)において、前記複数のサービスは、前記音響入力により取得された入力音響信号に基づいて生成された第2関連情報を、前記施設に位置するユーザ端末に送信する第2サービスを含み、前記第2サービスにおいては、前記音響システムから前記中継機器を中継して前記制御システムに前記入力音響信号が送信され、前記制御システムにより前記入力音響信号に基づく前記第2関連情報が取得され、前記制御システムから前記中継機器を中継して前記ユーザ端末に前記第2関連情報が送信される。以上の構成によれば、入力音響信号に基づいて生成された関連情報を、施設に位置するユーザ端末に送信する。したがって、施設内の音に基づく関連情報をユーザに提供することができ、利便性を向上させることができる。
【0144】
態様1から態様4のいずれか1つの具体例(態様5)において、前記複数のサービスは、前記音響システムから背景音を出力する第3サービスを含み、前記第3サービスにおいては、前記背景音を表す音響信号と、当該背景音の出力指示とを含む前記情報が、前記制御システムから前記中継機器を中継して前記音響システムに送信される。以上の構成によれば、背景音を音響システムから出力するサービスを提供できる。
【0145】
本開示のひとつの態様(態様6)に係る情報処理方法は、第1施設および第2施設を含む複数の施設の各々について、音響システムを利用する複数のサービスのうち当該施設に提供可能な有効サービスを指定する設定データを参照可能な制御システムが、前記第1施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な第1音響システムとの間において、前記第1施設における前記有効サービスの利用に必要な情報を、第1中継機器を介して授受し、前記第2施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な第2音響システムとの間において、前記第2施設における前記有効サービスの利用に必要な情報を、第2中継機器を介して授受する。以上の構成によれば、制御システムは複数の施設の各々について、有効サービスに必要な情報の授受を行う。したがって、制御システムは、複数の施設に対して統括的にサービスを提供することができ、施設における利便性を向上させることができる。
【0146】
本開示のひとつの態様(態様7)に係る情報処理システムは、施設に設置されて音響出力および音響入力の少なくとも一方が可能な音響システムと、前記音響システムを利用する複数のサービスのうち当該施設に提供可能な有効サービスを指定する設定データを参照可能な制御システムと、前記音響システムと前記制御システムとの間において、前記有効サービスの利用に必要な情報の授受を中継する中継機器とを備える。
【符号の説明】
【0147】
1…情報処理システム、10…音響サービスサーバ、20-1,20-2…音響設備、30-1,30-2…中継機器、40-1,40-2…関係者端末、50-1,50-2…ユーザ端末、11,31,41,51…制御装置、12,32,42,52…記憶装置、110…サービス管理部、112…サービス提供部、112A…遠隔アナウンス部、112B…リモート接客部、112C…通訳音声配信部、112D…BGM配信部、310…データ中継部、410…サービス設定部、412…サービス利用部、412A…遠隔アナウンス部、412B…リモート接客部、412C…通訳音声配信部、412D…BGM配信部、512…サービス利用部、512B…リモート接客部、512C…通訳音声配信部、C1,C2…関係者、EA…放音装置、EB…収音装置、EC…音響機器、K1…第1関係者拠点、K2…第2関係者拠点、N…通信網、S1…A駅、S2…Bホール、U1,U2…ユーザ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
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図19A
図19B