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特開2023-131282充電システム、充電システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131282
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】充電システム、充電システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20230914BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230914BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 P
H02M3/28 W
H02M3/28 V
H02M3/28 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035932
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河口 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】古川 公久
(72)【発明者】
【氏名】上妻 央
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 尊衛
(72)【発明者】
【氏名】馬淵 雄一
【テーマコード(参考)】
5G503
5H730
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5H730AA15
5H730AS01
5H730AS17
5H730BB27
5H730BB82
5H730BB84
5H730BB85
5H730BB86
5H730CC01
5H730DD03
5H730DD16
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE08
5H730EE13
5H730EE72
5H730EE73
5H730EE76
(57)【要約】
【課題】
複数の負荷や蓄電池に同時充電が可能なマルチポート型充電システムにおいて、サイズ及びコストの増加を抑えつつ、多様な充電仕様に対応可能な充電システムを提供する。
【解決手段】
高周波トランスにより絶縁された1次側回路と2次側回路とで構成された変圧ユニットを複数備え、前記複数の変圧ユニットの1次側回路の入力端子が直列接続された充電システムであって、前記複数の変圧ユニットの内、少なくとも1つの変圧ユニットは複数の2次側回路を有し、前記複数の2次側回路の出力端子は、複数の異なる負荷に接続されることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波トランスにより絶縁された1次側回路と2次側回路とで構成された変圧ユニットを複数備え、前記複数の変圧ユニットの1次側回路の入力端子が直列接続された充電システムであって、
前記複数の変圧ユニットの内、少なくとも1つの変圧ユニットは複数の2次側回路を有し、
前記複数の2次側回路の出力端子は、複数の異なる負荷に接続されることを特徴とする充電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の充電システムであって、
前記1次側回路の入力端子に交流電力が入力され、
前記複数の2次側回路の出力端子から直流電力が出力されることを特徴とする充電システム。
【請求項3】
請求項2に記載の充電システムであって、
前記複数の2次側回路を有する変圧ユニットの1次側回路は、1つのAC/DC変換回路と複数のDC/AC変換回路との組み合わせで構成されることを特徴とする充電システム。
【請求項4】
請求項2に記載の充電システムであって、
前記複数の2次側回路を有する変圧ユニットの1次側回路は、1つのAC/DC変換回路と1つのDC/AC変換回路との組み合わせで構成されることを特徴とする充電システム。
【請求項5】
請求項1に記載の充電システムであって、
前記複数の2次側回路の各々は、整流回路およびチョッパ回路で構成されることを特徴とする充電システム。
【請求項6】
請求項1に記載の充電システムであって、
前記1次側回路の入力端子に直流電力が入力され、
前記複数の2次側回路の出力端子から直流電力が出力されることを特徴とする充電システム。
【請求項7】
請求項6に記載の充電システムであって、
前記複数の2次側回路を有する変圧ユニットの1次側回路は、2つのフルブリッジ回路で構成されることを特徴とする充電システム。
【請求項8】
請求項6に記載の充電システムであって、
前記複数の2次側回路を有する変圧ユニットの1次側回路は、1つのフルブリッジ回路で構成されることを特徴とする充電システム。
【請求項9】
請求項1に記載の充電システムであって、
前記複数の2次側回路の各々は、フルブリッジ回路で構成されることを特徴とする充電システム。
【請求項10】
請求項1に記載の充電システムであって、
前記負荷は、電気自動車または搬送用ロボットのバッテリであることを特徴とする充電システム。
【請求項11】
複数の変圧ユニットを備え、複数の負荷に同時充電が可能なマルチポート型の充電システムの制御方法であって、
(a)前記複数の負荷の各充電容量と、前記複数の変圧ユニットの各定格電力と、前記複数の変圧ユニットの合計ユニット数より、前記複数の負荷の各々に割り当てるメインポートの数および前記メインポートから分岐されたサブポートの数を求めるステップと、
(b)前記複数の負荷の各々へ供給する出力電力指令を求めるステップと、
を有することを特徴とする充電システムの制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の充電システムの制御方法であって、
(c)前記(b)ステップの後、前記出力電力指令に基づいて、前記複数の変圧ユニットの各々から前記複数の負荷の各々へ充電するステップと、
(d)前記複数の負荷の各々の現時点の充電電力を検出するステップと、
(e)前記(d)ステップで検出した現時点の充電電力と、前記(c)ステップにおける充電開始時の充電電力との差分を求めるステップと、
(f)前記(e)ステップで求めた差分と所定の閾値とを比較判定するステップと、
を有し、
前記(f)ステップにおいて、前記差分が前記所定の閾値よりも大きいと判定された場合、前記複数の負荷の各々へ供給する出力電力指令を更新することを特徴とする充電システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システムの構成とその制御に係り、特に、異なる充電仕様の複数の負荷や蓄電池に同時充電が可能なマルチポート充電器に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(Electric Vehicle:EV)の普及に伴い、さまざまな形態の充電器の需要が増加すると予想されている。とりわけ、半導体変圧器(Solid State Transformer:SST)を内蔵したコンバータ盤と複数台の利用者端末(EVポート)を組み合わせたマルチポート充電器は、小型で複数台のEVに同時充電が可能であるため、ビル内の駐車場やコンビニエンスストア、ショッピングモール、住宅街など、さまざまな場所での普及が期待されている。
【0003】
一方、物流分野においても、例えば配送車のEV化が検討されているが、配送EVへの充電は荷積み時や運転手の休憩時間に集中する。このように充電器を特定車両用途に制限した場合、充電設備の利用率向上が課題となる。例えば、一般車や商用トラック、バスなど、用途が異なるEVで充電器を共用することにより設備利用率の向上が期待できるが、バッテリ仕様(電圧,容量)や利用状況(普通充電,急速充電)の違いにより大きく異なる充電仕様(電圧,電力)への対応が課題となる。
【0004】
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には、複数のセルユニットで高周波トランスのコアを共用することにより蓄電装置間で充電電力が大きく異なる場合でも一次側の電圧バランスを維持することが可能な電源装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、コンバータの負担を軽減可能であり、且つ、バッテリ電圧仕様の変化に対する汎用性を向上させるマルチポート電力変換システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-182257号公報
【特許文献2】特開2021-27768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したマルチポート充電器は、一般に、コンバータ盤内に複数台設置された半導体変圧器(SST:以下、「変圧ユニット」とも呼ぶ)の1次側の入力端子が直列接続された構成となっており、直列接続された1次側回路の電圧バランスを確保するために、変圧ユニット間の電力アンバランス条件に制約があるため、充電仕様が大きく異なる負荷を同時に充電することが難しい。1ユニット当たりの分担電圧・電力を低減し、ユニット数を増加させることで、同時に充電可能な充電仕様を拡大することもできるが、システム規模の増大に伴い、マルチポート充電器のサイズ及びコストの増加に繋がる。
【0008】
上記特許文献1では、特殊なトランスが必要であり、トランスが大型となる。
【0009】
また、上記特許文献2では、変圧ユニット間の電力バランスは考慮されておらず、充電仕様が大きく異なる負荷を同時に充電することは困難である。
【0010】
そこで、本発明の目的は、複数の負荷や蓄電池に同時充電が可能なマルチポート型充電システムにおいて、サイズ及びコストの増加を抑えつつ、多様な充電仕様に対応可能な充電システム及び充電システムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、高周波トランスにより絶縁された1次側回路と2次側回路とで構成された変圧ユニットを複数備え、前記複数の変圧ユニットの1次側回路の入力端子が直列接続された充電システムであって、前記複数の変圧ユニットの内、少なくとも1つの変圧ユニットは複数の2次側回路を有し、前記複数の2次側回路の出力端子は、複数の異なる負荷に接続されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、複数の変圧ユニットを備え、複数の負荷に同時充電が可能なマルチポート型の充電システムの制御方法であって、(a)前記複数の負荷の各充電容量と、前記複数の変圧ユニットの各定格電力と、前記複数の変圧ユニットの合計ユニット数より、前記複数の負荷の各々に割り当てるメインポートの数および前記メインポートから分岐されたサブポートの数を求めるステップと、(b)前記複数の負荷の各々へ供給する出力電力指令を求めるステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の負荷や蓄電池に同時充電が可能なマルチポート型充電システムにおいて、サイズ及びコストの増加を抑えつつ、多様な充電仕様に対応可能な充電システム及び充電システムの制御方法を実現することができる。
【0014】
これにより、一般車や商用トラック、バスなど、用途が異なるEVに同時充電が可能となり、充電設備の利用率向上が図れる。
【0015】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1に係る充電システムの概略構成を示す回路図である。
図2】本発明の実施例2に係る充電システムの概略構成を示す回路図である。
図3】本発明の実施例3に係る充電システムの概略構成を示す回路図である。
図4図3の充電システムの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図5】本発明の実施例4に係る充電システムの概略構成を示す回路図である。
図6図5の充電システムの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図7】本発明の実施例5に係る充電システムの制御方法(ポート分配モード)を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施例5に係る充電システムの制御方法(充電モード)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
【実施例0018】
図1を参照して、本発明の実施例1に係る充電システムについて説明する。図1は、本実施例の充電システム1の概略構成を示す回路図である。
【0019】
本実施例の充電システム1は、図1に示すように、主要な構成として、変圧ユニット2と、変圧ユニット3とを備えている。
【0020】
充電システム1には、入力側の端子として、入力端子4~7が設けられ、出力側の端子として、出力端子8~13が設けられている。
【0021】
入力端子4~7は、図示しない電力供給源に接続されており、電力供給源から交流電力が入力端子4~7を介して入力される。入力端子5と入力端子6は直列に接続されている。
【0022】
出力端子8~13には、図示しない負荷、或いは、EVや搬送用ロボットなどの蓄電池(バッテリ)が接続されており、充電システム1で交流電力から直流電力に変換された電力が出力端子8~13を介して負荷や蓄電池(バッテリ)へ出力される。
【0023】
なお、EVや搬送用ロボットなどの蓄電池(バッテリ)も、広義には負荷と捉えることができるため、以下では「負荷」に統一して説明する。
【0024】
変圧ユニット2の1次側回路は、スイッチング素子H1~H4で構成されるAC/DC変換回路と、スイッチング素子Qa1~Qa4及びスイッチング素子Qb1~Qb4で構成される複数の(ここでは2つの)DC/AC変換回路との組み合わせで構成されている。AC/DC変換回路とDC/AC変換回路との接続部には、平滑コンデンサとしてコンデンサC11が配置されている。
【0025】
変圧ユニット2の2次側回路は、ダイオードD21~D24とインダクタンスL21とコンデンサC21とで構成される整流回路14と、インダクタンスLb1とスイッチング素子Sb1とダイオードDb1とコンデンサC22とで構成されるチョッパ回路15と、ダイオードD31~D34とインダクタンスL31とコンデンサC31とで構成される整流回路14と、インダクタンスLb2とスイッチング素子Sb2とダイオードDb2とコンデンサC32とで構成されるチョッパ回路15との組み合わせで構成されている。
【0026】
変圧ユニット2の2次側回路の整流回路14とチョッパ回路15との組み合わせにより、AC/DC変換回路が構成される。
【0027】
変圧ユニット2の1次側回路の複数の(2つの)DC/AC変換回路と、2次側回路の複数の(2つの)整流回路14との間には、それぞれインダクタンスLraと高周波トランスTra、インダクタンスLrbと高周波トランスTrbが配置されており、1次側回路と2次側回路は高周波トランスTra,Trbによって絶縁されると共に、高周波結合により1次側回路から2次側回路へ交流電力が伝達される。
【0028】
変圧ユニット3の1次側回路は、スイッチング素子H1~H4で構成されるAC/DC変換回路と、スイッチング素子Qa1~Qa4で構成されるDC/AC変換回路との組み合わせで構成されている。AC/DC変換回路とDC/AC変換回路との接続部には、平滑コンデンサとしてコンデンサC11が配置されている。
【0029】
変圧ユニット3の2次側回路は、ダイオードD21~D24とインダクタンスL21とコンデンサC21とで構成される整流回路14と、インダクタンスLb1とスイッチング素子Sb1とダイオードDb1とコンデンサC22とで構成されるチョッパ回路15との組み合わせで構成されている。
【0030】
変圧ユニット3の1次側回路のDC/AC変換回路と、2次側回路の整流回路14との間には、インダクタンスLraと高周波トランスTraが配置されており、1次側回路と2次側回路は高周波トランスTraによって絶縁されると共に、高周波結合により1次側回路から2次側回路へ交流電力が伝達される。
【0031】
以上説明したように、本実施例の充電システム1は、高周波トランスTra,Trbにより絶縁された1次側回路と2次側回路とで構成された変圧ユニットを複数備えており、複数の変圧ユニット2,3の1次側回路の入力端子5,6が直列接続されている。そして、複数の変圧ユニット2,3の内、少なくとも1つの変圧ユニット2は複数の2次側回路を有しており、複数の2次側回路の出力端子8,9及び10,11は、それぞれ異なる負荷(図示せず)に接続される。
【0032】
これにより、例えば、変圧ユニット2,3の定格電力が共に10kWである場合、変圧ユニット2の出力端子8,9には要求電力5kWのEVを割り当てて接続する一方、変圧ユニット2の出力端子10,11及び変圧ユニット3の出力端子12,13には要求電力15kWまでのEVを割り当てて接続することができる。
【0033】
つまり、ユニット2の定格電力10kWから出力端子8,9の出力電力5kWを差し引いた残り5kWを出力端子10,11から出力し、変圧ユニット3の出力端子12,13の出力電力10kWと合せて最大15kWの出力電力を供給することができる。
【0034】
なお、図1では、充電システム1内に2つの変圧ユニット2,3を配置する例を示したが、充電システム1に内蔵する変圧ユニットの数を増やすことで、より大容量のEVにも対応可能となる。
【0035】
図示しないが、例えば、充電システム1内に変圧ユニット3と同じ構成の変圧ユニットをさらに2つ追加して4ユニット構成とした場合、変圧ユニット2の出力端子8,9に要求電力5kWのEVを割り当てて接続する一方、変圧ユニット2の出力端子10,11及び変圧ユニット3の出力端子12,13、さらに追加した2つの変圧ユニットの出力端子を割り当てて接続することで、最大で要求電力35kWまでのEVを割り当てて接続することができる。
【0036】
また、変圧ユニット2の出力端子8,9に要求電力5kWのEVを割り当てて接続し、変圧ユニット2の出力端子10,11及び変圧ユニット3の出力端子12,13に要求電力15kWのEVを割り当てて接続し、追加した2つの変圧ユニットの出力端子に要求電力20kWのEVを割り当てて接続することも可能である。
【0037】
本実施例の充電システム1により、サイズ及びコストの増加を抑えつつ、多様な充電仕様に対応可能な充電システムを実現することができる。
【実施例0038】
図2を参照して、本発明の実施例2に係る充電システムについて説明する。図2は、本実施例の充電システム1の概略構成を示す回路図であり、実施例1(図1)の変形例に相当する。
【0039】
実施例1(図1)の充電システム1では、変圧ユニット2の1次側回路が、スイッチング素子H1~H4で構成されるAC/DC変換回路と、スイッチング素子Qa1~Qa4及びスイッチング素子Qb1~Qb4で構成される複数の(2つの)DC/AC変換回路との組み合わせで構成されている。
【0040】
これに対し、本実施例の充電システム1では、図2に示すように、変圧ユニット2の1次側回路が、スイッチング素子H1~H4で構成されるAC/DC変換回路と、スイッチング素子Qa1~Qa4で構成される1つのDC/AC変換回路との組み合わせで構成されている。すなわち、変圧ユニット2の1次側回路には、スイッチング素子Qb1~Qb4で構成されるDC/AC変換回路は設けておらず、2次側回路の2つの整流回路14は1つの高周波トランスTraを共用して、1次側回路と高周波結合されている。その他の構成は、実施例1(図1)と同様である。
【0041】
本実施例(図2)のような構成とすることで、変圧ユニット2の1次側回路の素子数を減らすことができる。
【実施例0042】
図3及び図4を参照して、本発明の実施例3に係る充電システムについて説明する。図3は、本実施例の充電システム1の概略構成を示す回路図である。図4は、図3の充電システム1の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0043】
実施例1及び実施例2では、電力供給源から供給された交流電力を直流電力に変換して負荷へ出力するAC/DC変換型の充電システムの例について説明したが、本実施例では、電力供給源から供給された直流電力を電力変換(電圧変換,周波数変換)して負荷へ出力するDC/DC変換型の充電システムの例について説明する。
【0044】
本実施例の充電システム1は、実施例1(図1)と同様に、主要な構成として、変圧ユニット2と、変圧ユニット3とを備えている。
【0045】
充電システム1には、入力側の端子として、入力端子4~7が設けられ、出力側の端子として、出力端子8~13が設けられている。
【0046】
入力端子4~7は、図示しない電力供給源に接続されており、電力供給源から直流電力が入力端子4~7を介して入力される。入力端子5と入力端子6は直列に接続されている。
【0047】
出力端子8~13には、図示しない負荷が接続されており、充電システム1で電力変換(電圧変換,周波数変換)された直流電力が出力端子8~13を介して負荷へ出力される。
【0048】
変圧ユニット2の1次側回路は、スイッチング素子Qa1~Qa4及びスイッチング素子Qb1~Qb4で構成される複数の(ここでは2つの)DC/AC変換回路で構成されている。DC/AC変換回路の入力側には、平滑コンデンサとしてコンデンサC11が配置されている。
【0049】
変圧ユニット2の2次側回路は、スイッチング素子Q21~Q24及びスイッチング素子Q31~Q34で構成される複数の(ここでは2つの)AC/DC変換回路で構成されている。AC/DC変換回路の出力側には、平滑コンデンサとしてコンデンサC21,C31が配置されている。
【0050】
変圧ユニット2の1次側回路の複数の(2つの)DC/AC変換回路と、2次側回路の複数の(2つの)AC/DC変換回路との間には、それぞれインダクタンスLraと高周波トランスTra、インダクタンスLrbと高周波トランスTrbが配置されており、1次側回路と2次側回路は高周波トランスTra,Trbによって絶縁されると共に、高周波結合により1次側回路から2次側回路へ交流電力が伝達される。
【0051】
変圧ユニット3の1次側回路は、スイッチング素子Qa1~Qa4で構成されるDC/AC変換回路で構成されている。DC/AC変換回路の入力側には、平滑コンデンサとしてコンデンサC11が配置されている。
【0052】
変圧ユニット3の2次側回路は、スイッチング素子Q21~Q24で構成されるAC/DC変換回路で構成されている。AC/DC変換回路の出力側には、平滑コンデンサとしてコンデンサC21が配置されている。
【0053】
変圧ユニット3の1次側回路のDC/AC変換回路と、2次側回路のAC/DC変換回路との間には、インダクタンスLraと高周波トランスTraが配置されており、1次側回路と2次側回路は高周波トランスTraによって絶縁されると共に、高周波結合により1次側回路から2次側回路へ交流電力が伝達される。
【0054】
以上説明したように、本実施例の充電システム1は、高周波トランスTra,Trbにより絶縁された1次側回路と2次側回路とで構成された変圧ユニットを複数備えており、複数の変圧ユニット2,3の1次側回路の入力端子5,6が直列接続されている。そして、複数の変圧ユニット2,3の内、少なくとも1つの変圧ユニット2は複数の2次側回路を有しており、複数の2次側回路の出力端子8,9及び10,11は、それぞれ異なる負荷(図示せず)に接続される。
【0055】
これにより、実施例1及び実施例2と同様に、例えば、変圧ユニット2,3の定格電力が共に10kWである場合、変圧ユニット2の出力端子8,9には要求電力5kWのEVを割り当てて接続する一方、変圧ユニット2の出力端子10,11及び変圧ユニット3の出力端子12,13には要求電力15kWまでのEVを割り当てて接続することができる。
【0056】
つまり、ユニット2の定格電力10kWから出力端子8,9の出力電力5kWを差し引いた残り5kWを出力端子10,11から出力し、変圧ユニット3の出力端子12,13の出力電力10kWと合せて最大15kWの出力電力を供給することができる。
【0057】
図4に、図3の充電システム1における各スイッチング素子のON/OFF動作の一例を示す。
【0058】
本実施例の充電システム1は、図4に示すように、変圧ユニット2の2次側回路の複数の(2つの)AC/DC変換回路を構成するスイッチング素子Q21~Q24及びスイッチング素子Q31~Q34のON/OFF動作のタイミング(位相Φ1,Φ2)を変えることで、変圧ユニット2から出力される電力を制御することができる。
【0059】
なお、上記では、符号4~7を入力端子、符号8~13を出力端子として説明したが、図3に示すように、変圧ユニット2,3はいずれも1次側と2次側の双方にフルブリッジ回路を有するDAB(Dual Active Bridge)構成であるため、符号8~13を入力端子、符号4~7を出力端子として双方向に使用することが可能である。
【実施例0060】
図5及び図6を参照して、本発明の実施例4に係る充電システムについて説明する。図5は、本実施例の充電システム1の概略構成を示す回路図であり、実施例3(図3)の変形例に相当する。図6は、図5の充電システムの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0061】
実施例3(図3)の充電システム1では、変圧ユニット2の1次側回路が、スイッチング素子Qa1~Qa4及びスイッチング素子Qb1~Qb4で構成される複数の(2つの)DC/AC変換回路で構成されている。
【0062】
これに対し、本実施例の充電システム1では、図5に示すように、変圧ユニット2の1次側回路が、スイッチング素子Qa1~Qa4で構成される1つのDC/AC変換回路で構成されている。すなわち、変圧ユニット2の1次側回路には、スイッチング素子Qb1~Qb4で構成されるDC/AC変換回路は設けておらず、2次側回路の2つのAC/DC変換回路は1次側回路の1つのDC/AC変換回路を共用して、それぞれ高周波トランスTra,Trbにより1次側回路の1つのDC/AC変換回路と高周波結合されている。その他の構成は、実施例3(図3)と同様である。
【0063】
本実施例(図5)のような構成とすることで、変圧ユニット2の1次側回路の素子数を減らすことができる。
【0064】
本実施例においても、図6に示すように、変圧ユニット2の2次側回路の複数の(2つの)AC/DC変換回路を構成するスイッチング素子Q21~Q24及びスイッチング素子Q31~Q34のON/OFF動作のタイミング(位相Φ1,Φ2)を変えることで、変圧ユニット2から出力される電力を制御することができる。
【実施例0065】
図7及び図8を参照して、本発明の実施例5に係る充電システムの制御方法について説明する。図7は、本実施例の充電システムの制御方法におけるポート分配モードを示すフローチャートである。図8は、本実施例の充電システムの制御方法における充電モードを示すフローチャートである。
【0066】
本実施例では、実施例1から実施例4で説明した充電システム1のポート(出力端子)の分配方法とそれに続く充電方法について説明する。
【0067】
図7に示すように、ステップS71において、ポート分配モードが開始すると、ステップS72において、負荷の充電電力Pc_xを小さい順もしくは大きい順にソートする。
【0068】
次に、ステップS73において、各負荷の充電電力Pc_xと変換器(変圧ユニット)の定格電力Pconv,合計ユニット数Nuより、各負荷に割り当てるメインポート(例えば図1の出力端子8,9及び12,13)の数Npm_x及びメインポートから分岐されたサブポート(例えば図1の出力端子10,11)の数Nps_xを求める。
【0069】
ここで、Np_x=Pc_x/Pconv×Nuとする。但し、x:負荷の数(自然数)である。
【0070】
Np_x<1の場合は、以下の手順で割り当てるサブポートの数を決定する。
【0071】
以下の式(1)より、サブポートの割当数を求める。
【0072】
【数1】
【0073】
Nps_x(小数点以下は四捨五入)、Ks=Pu_sub/Pu_main
Pu_sub:サブポートの定格電力、Pu_main:メインポートの定格電力
Np_x≧1の場合は、小数点以下を切り捨てた値をメインポートの割当数Npm_xとする。
【0074】
割当計算終了後にサブポートが余っている場合は、充電電力が最も大きい負荷から順にサブポートを割り当てる。
【0075】
なお、充電電力が等しい負荷が存在する場合は、希望する充電完了時刻が早い負荷、もしくは、充電電力量が大きい負荷を充電電力が大きい負荷と判断する。
【0076】
続いて、ステップS74において、各負荷へ供給する出力電力指令Pout_xを求める。
【0077】
具体的には、以下の方法で出力電力指令Pout_xを求める。
【0078】
(i)メインポートの出力電力の暫定値Pu01を式(2)より求める。
【0079】
【数2】
【0080】
(ii)Pu01とサブポートに割り当てられた出力電力が最も小さい負荷Pc_minより、残りのサブポートから出力する電力の暫定値をPu02を式(3)より求める。
【0081】
【数3】
【0082】
ここで、Nps_sumはサブボートの合計数である。
【0083】
このとき、Pu02>Pu_subとなる場合は、Pu02=Pu_subとし、式(4)を用いてPu01を更新する。
【0084】
【数4】
【0085】
(iii)各負荷へ供給する電力の暫定値Pout0_xを式(5)より求める。
【0086】
【数5】
【0087】
(iv)各負荷へ供給する電力の暫定値Pout0_xと要求される充電電力Pc_xを比較し、全ての負荷に対して、Pout0_x≦Pc_xであればそのまま出力電力指令Pout_zとして出力する。
【0088】
(v)(iv)でPout0_x>Pc_xとなる負荷条件が存在する場合は、調整量ΔPoutを演算し、各ポートの暫定値Pu01,Pu02から調整量ΔPoutを減算した調整後暫定値Pu11,Pu12を求める。
【0089】
【数6】
【0090】
【数7】
【0091】
【数8】
【0092】
(vi)各ポートの調整後暫定値Pu11,Pu12より、各負荷へ供給する電力指令Pout_xを式(9)を用いて演算する。
【0093】
【数9】
【0094】
ステップS75において、ポート分配モードを終了し、図8の充電モードへ移行する。
【0095】
図8に示すように、ステップS81において、充電モードが開始すると、ステップS82において、現時点の充電電力Pc_x(t)を検出する。
【0096】
次に、ステップS83において、検出した値Pc_x(t)と、充電モード開始時の値Pc_x_intとの差分ΔPc_xを式(10)より求める。
【0097】
【数10】
【0098】
続いて、ステップS84において、ステップS83において求めた差分ΔPc_xを所定の閾値Pref1と比較判定する。
【0099】
差分ΔPc_xが所定の閾値Pref1より大きいと判定した場合(Yes)は、ステップS89へ移行し、充電モードを終了する。充電システム1の需要に応じて、再び図7のポート分配モードへ移行する。
【0100】
一方、差分ΔPc_xが所定の閾値Pref1以下であると判定した場合(No)は、ステップS85へ移行し、差分ΔPc_xを閾値Pref1とは異なる別の閾値Pref2と比較判定する。
【0101】
差分ΔPc_xが閾値Pref2より大きいと判定した場合(Yes)は、ステップS86へ移行する。一方、差分ΔPc_xが閾値Pref2以下であると判定した場合(No)は、ステップS82に戻り、ステップS82以降の処理を繰り返す。
【0102】
次に、ステップS86において、各ポートの割当電力を更新する。
【0103】
具体的には、以下の方法でPu1_new,Pu2_newを求める。
【0104】
(i)各ポートの調整電力ΔPuを式(11)より求める。
【0105】
【数11】
【0106】
(ii)調整電力Δpuと現在の各ポートの割当電力Pu1,Pu2より、式(12)及び式(13)を用いて更新後の割当電力Pu1_new,Pu2_newを演算する。
【0107】
【数12】
【0108】
【数13】
【0109】
続いて、ステップS87において、式(14)を用いて、各負荷へ供給する出力電力指令Pout_xを更新する。
【0110】
【数14】
【0111】
次に、ステップS88において、負荷の充電電力Pc_xと出力電力指令Pout_xの差分の絶対値(|Pc_xーPout_x|)を閾値Pref1,Pref2とは異なる別の閾値Pref3と比較判定する。
【0112】
負荷の充電電力Pc_xと出力電力指令Pout_xの差分の絶対値(|Pc_xーPout_x|)が閾値Pref3より大きいと判定した場合(Yes)は、ステップS89へ移行し、充電モードを終了する。充電システム1の需要に応じて、再び図7のポート分配モードへ移行する。
【0113】
一方、負荷の充電電力Pc_xと出力電力指令Pout_xの差分の絶対値(|Pc_xーPout_x|)が閾値Pref3以下であると判定した場合(No)は、ステップS82に戻り、ステップS82以降の処理を繰り返す。
【0114】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0115】
1…充電システム
2,3…変圧ユニット
4,5,6,7…入力端子
8,9,10,11,12,13…出力端子
14…整流回路
15…チョッパ回路
H1~H4,Qa1~Qa4,Qb1~Qb4,Q21~Q24,Q31~Q34…スイッチング素子
C11,C21,C22,C31,C32…コンデンサ
Lra,Lrb,L21,L31,Lb1,Lb2…インダクタンス
Tra,Trb…高周波トランス
D21~D24,D31~D34,Db1,Db2…ダイオード
Sb1,Sb2…スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8