(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131307
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】除菌脱臭機、制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
A61L 9/00 20060101AFI20230914BHJP
A61L 9/18 20060101ALI20230914BHJP
F24F 8/90 20210101ALI20230914BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20230914BHJP
B01J 38/00 20060101ALI20230914BHJP
F24F 8/167 20210101ALI20230914BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/18
F24F8/90
B01J35/02 J
B01J38/00 Z
F24F8/167
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035978
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】阪本 正文
(72)【発明者】
【氏名】渥美 竜文
(72)【発明者】
【氏名】田口 典明
【テーマコード(参考)】
4C180
4G169
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180BB03
4C180BB06
4C180CC03
4C180CC12
4C180DD03
4C180EA14X
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH19
4C180JJ02
4C180JJ05
4C180KK01
4C180KK05
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA10
4G169BA48A
4G169CA10
4G169CA11
4G169CA17
4G169DA06
4G169EA10
4G169EA11
4G169GA20
4G169HA15
4G169HB01
4G169HB06
4G169HE07
4G169HF01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有機物の分解効率を回復することにより効率よく除菌脱臭できる除菌脱臭機を提供する。
【解決手段】吸気口24および排気口26を有する筐体20と光触媒フィルタを有するフィルタユニット12と光触媒フィルタに光を照射する光源14とユニット収容部を通る空気流を発生させる送風ファン16と光触媒フィルタと送風ファンの間に汚れセンサ36を備え、制御部は汚れセンサの検出値に基づいて光触媒フィルタに過度の有機物が付着していることが判断された場合に最大光量で光源を、最低風速で送風ファンを駆動して光触媒フィルタのリフレッシュを行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ファンと、光触媒を担持する光触媒フィルタと、前記光触媒フィルタを照射する光源と、前記光触媒フィルタの前記送風ファンによる送風方向下流側に配置され、空気中に含まれる有機物を検出する第1センサを備える除菌脱臭機であって、
前記光源を前記除菌脱臭機が動作中に発光させる光量の中で最も多い光量である最大光量で発光させ、前記送風ファンを前記除菌脱臭機が動作中に送風する風速の中で最も遅い風速である最低風速で駆動し、前記光触媒フィルタのリフレッシュを行うことが可能な制御部を備える、除菌脱臭機。
【請求項2】
前記制御部は、2つの異なる光量で前記光源を発光させた場合に前記第1センサで検出された検出値の差から前記光触媒フィルタに付着した有機物の量を確認する第1確認処理を実行し、前記第1確認処理の結果に元基づいて前記光触媒フィルタのリフレッシュを行う必要があるかどうかを判断する、請求項1記載の除菌脱臭機。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1確認処理において、前記光源を第1光量で第1所定時間駆動させた場合の前記第1センサの第1検出値と、前記光源を前記第1光量よりも大きい第2光量で前記第1所定時間駆動させた場合の前記第1センサの第2検出値の差分を検出し、前記差分が第1判定値よりも小さい場合に、前記光源を前記第2光量よりも大きい前記最大光量で発光させて、前記送風ファンを最低風速で駆動し、前記光触媒フィルタのリフレッシュを行う、請求項1または2記載の除菌脱臭機。
【請求項4】
前記第1確認処理は、前記光源を消灯した状態における前記第1センサの検出値が第1所定値以上である場合に実行される、請求項2または3記載の除菌脱臭機。
【請求項5】
前記第1差分は2以上の第2所定回数算出され、
前記制御部は、前記第1差分が前記第1判定値よりも小さい回数が第3所定回数検出された場合に、前記光触媒フィルタのリフレッシュを行う、請求項2から4までのいずれかに記載の除菌脱臭機。
【請求項6】
前記光触媒フィルタの前記送風ファンによる送風方向上流側に前記空気中に含まれる有機物を検出する第2センサをさらに備え、
前記制御部は、前記第2センサの検出値に基づく所定の光量で前記光源を発光させている状態における前記第2センサの検出値と前記第1センサの検出値の第2差分から前記光触媒フィルタの汚れを確認する第2確認処理を実行する、請求項1記載の除菌脱臭機。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2差分が第2判定値よりも小さい場合に、前記光源を前記最大光量で発光させて、前記送風ファンを最低風速で駆動し、前記光触媒フィルタのリフレッシュを行う、請求項6記載の除菌脱臭機。
【請求項8】
前記第2確認処理は、前記光源を消灯した状態における前記第1センサまたは前記第2センサの検出値が第1所定値以上である場合に実行される、請求項6または7記載の除菌脱臭機。
【請求項9】
前記第2差分は2以上の第4所定回数算出され、
前記制御部は、前記第2差分が前記第2判定値よりも小さい回数が第3所定回数検出された場合に、前記光触媒フィルタのリフレッシュを行う、請求項6から8までのいずれかに記載の除菌脱臭機。
【請求項10】
前記制御部は、除菌脱臭の動作を終了したときに、前記光触媒フィルタのリフレッシュを行う、請求項1記載の除菌脱臭機。
【請求項11】
前記制御部は、前記除菌脱臭の動作時間に応じて、前記光触媒フィルタのリフレッシュを行う時間を決定する、請求項10記載の除菌脱臭機。
【請求項12】
送風ファンと、光触媒を担持する光触媒フィルタと、前記光触媒フィルタを照射する光源と、前記光触媒フィルタの前記送風ファンによる送風方向下流側に配置され、空気中に含まれる有機物を検出するセンサを備える除菌脱臭機の制御プログラムであって、
前記除菌脱臭機のプロセッサに、
所定の条件を満たす場合に、前記光源を前記除菌脱臭機が動作中に発光させる光量の中で最も多い光量である最大光量で発光させ、前記送風ファンを前記除菌脱臭機が動作中に送風する風速の中で最も遅い風速である最低風速で駆動し、前記光触媒フィルタのリフレッシュを行うステップを実行させる、制御プログラム。
【請求項13】
送風ファンと、光触媒を担持する光触媒フィルタと、前記光触媒フィルタを照射する光源と、前記光触媒フィルタの前記送風ファンによる送風方向下流側に配置され、空気中に含まれる有機物を検出するセンサを備える除菌脱臭機の制御方法であって、
所定の条件を満たす場合に、前記光源を前記除菌脱臭機が動作中に発光させる光量の中で最も多い光量である最大光量で発光させ、前記送風ファンを前記除菌脱臭機が動作中に送風する風速の中で最も遅い風速である最低風速で駆動し、前記光触媒フィルタのリフレッシュを行わせる、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は除菌脱臭機、制御プログラムおよび制御方法に関し、特にたとえば、光触媒を担持する光触媒フィルタを用いて除菌および脱臭を行う、除菌脱臭機、制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の除菌脱臭機(光触媒装置)の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の除菌脱臭機は、筐体と、光触媒フィルタ(光触媒シート)を含み、筐体内に配置されるフィルタユニット(光触媒ユニット)と、光触媒フィルタに光を提供するための光源(ライト)と、光触媒フィルタの表面に空気を流すための送風ファンとを備える。また、フィルタユニットは、筐体に対して着脱可能に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、平板状の光触媒フィルタを用いるので、十分な有機物の分解性能(つまり除菌脱臭性能)を発揮するためには、光触媒フィルタを大きくしなければならず、装置が大型化してしまうという問題があった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、除菌脱臭機を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、効率よく除菌脱臭でき、装置を小型化できる、除菌脱臭機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、送風ファンと、光触媒を担持する光触媒フィルタと、光触媒フィルタを照射する光源と、光触媒フィルタの送風ファンによる送風方向下流側に配置され、空気中に含まれる有機物を検出する第1センサを備える除菌脱臭機であって、光源を除菌脱臭機が動作中に発光させる光量の中で最も多い光量である最大光量で発光させ、送風ファンを除菌脱臭機が動作中に送風する風速の中で最も遅い風速である最低風速で駆動し、光触媒フィルタのリフレッシュを行うことが可能な制御部を備える、除菌脱臭機である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に従属し、制御部は、2つの異なる光量で光源を発光させた場合に第1センサで検出された検出値の差から光触媒フィルタに付着した有機物の量を確認する第1確認処理を実行し、第1確認処理の結果に元基づいて光触媒フィルタのリフレッシュを行う必要があるかどうかを判断する。
【0009】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、制御部は、第1確認処理において、光源を第1光量で第1所定時間駆動させた場合の第1センサの第1検出値と、光源を第1光量よりも大きい第2光量で第1所定時間駆動させた場合の第1センサの第2検出値の差分を検出し、差分が第1判定値よりも小さい場合に、光源を第2光量よりも大きい最大光量で発光させて、送風ファンを最低風速で駆動し、光触媒フィルタのリフレッシュを行う。
【0010】
第4の発明は、第2または第3の発明に従属し、第1確認処理は、光源を消灯した状態における第1センサの検出値が第1所定値以上である場合に実行される。
【0011】
第5の発明は、第2から第4の発明までのいずれかに従属し、第1差分は2以上の第2所定回数算出され、制御部は、第1差分が第1判定値よりも小さい回数が第3所定回数検出された場合に、光触媒フィルタのリフレッシュを行う。
【0012】
第6の発明は、第1の発明に従属し、光触媒フィルタの送風ファンによる送風方向上流側に空気中に含まれる有機物を検出する第2センサをさらに備え、制御部は、第2センサの検出値に基づく所定の光量で光源を発光させている状態における第2センサの検出値と第1センサの検出値の第2差分から光触媒フィルタの汚れを確認する第2確認処理を実行する。
【0013】
第7の発明は、第6の発明に従属し、制御部は、第2差分が第2判定値よりも小さい場合に、光源を最大光量で発光させて、送風ファンを最低風速で駆動し、光触媒フィルタのリフレッシュを行う。
【0014】
第8の発明は、第6または第7の発明に従属し、第2確認処理は、光源を消灯した状態における第1センサまたは第2センサの検出値が第1所定値以上である場合に実行される。
【0015】
第9の発明は、第6から第8の発明までのいずれかに従属し、第2差分は2以上の第4所定回数算出され、制御部は、第2差分が第2判定値よりも小さい回数が第3所定回数検出された場合に、光触媒フィルタのリフレッシュを行う。
【0016】
第10の発明は、第1の発明に従属し、制御部は、除菌脱臭の動作を終了したときに、光触媒フィルタのリフレッシュを行う。
【0017】
第11の発明は、第10の発明に従属し、制御部は、除菌脱臭の動作時間に応じて、光触媒フィルタのリフレッシュを行う時間を決定する。
【0018】
第12の発明は、送風ファンと、光触媒を担持する光触媒フィルタと、光触媒フィルタを照射する光源と、光触媒フィルタの送風ファンによる送風方向下流側に配置され、空気中に含まれる有機物を検出するセンサを備える除菌脱臭機の制御プログラムであって、除菌脱臭機のプロセッサに、所定の条件を満たす場合に、光源を除菌脱臭機が動作中に発光させる光量の中で最も多い光量である最大光量で発光させ、送風ファンを除菌脱臭機が動作中に送風する風速の中で最も遅い風速である最低風速で駆動し、光触媒フィルタのリフレッシュを行うステップを実行させる、制御プログラムである。
【0019】
第13の発明は、送風ファンと、光触媒を担持する光触媒フィルタと、光触媒フィルタを照射する光源と、光触媒フィルタの送風ファンによる送風方向下流側に配置され、空気中に含まれる有機物を検出するセンサを備える除菌脱臭機の制御方法であって、所定の条件を満たす場合に、光源を除菌脱臭機が動作中に発光させる光量の中で最も多い光量である最大光量で発光させ、送風ファンを除菌脱臭機が動作中に送風する風速の中で最も遅い風速である最低風速で駆動し、光触媒フィルタのリフレッシュを行わせる、制御方法である。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、光触媒フィルタのリフレッシュを行うことで、光触媒フィルタに付着した有機物を分解し、有機物の分解効率を回復することができる。したがって、効率よく除菌脱臭できる。また、光触媒フィルタのリフレッシュを適切なタイミングで実施することができる。
【0021】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1はこの発明の第1実施例である除菌脱臭機を示す斜視図である。
【
図2】
図2は除菌脱臭機の内部構造を示す縦断面図である。
【
図3】
図3は除菌脱臭機の内部構造を示す横断面図である。
【
図4】
図4はフィルタユニットを示す斜視図である。
【
図5】
図5は除菌脱臭機の筐体にフィルタユニットを装着するときの様子を示す図である。
【
図6】
図6は除菌脱臭機の構造を模式的に示した図である。
【
図7】
図7は除菌脱臭機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は有機物の付着量の異なる光触媒フィルタを用いた場合の空気中の有機物濃度の時間変化を示すグラフである。
【
図9】
図9は汚れ度の判断基準を示すテーブルである。
【
図12】
図12は
図7に示したCPUのフィルタ汚れ確認処理を示すフロー図である。
【
図14】
図14は第2実施例の除菌脱臭機の構造を模式的に示した図である。
【
図15】
図15は第2実施例の除菌脱臭機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図16】
図16は第2実施例の除菌脱臭機のCPUのフィルタ汚れ確認処理を示すフロー図である。
【
図17】
図17は第3実施例の除菌脱臭機のCPUのリフレッシュ制御処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施例]
図1および
図2を参照して、この発明の第1実施例である除菌脱臭機10は、光触媒を担持する光触媒フィルタ40を用いて除菌および脱臭を行う装置である。詳細は後述するように、除菌脱臭機10は、外部から取り入れた空気を光触媒フィルタ40の主面(表面)に沿って流すと共に光触媒フィルタ40に光を照射することで、光触媒フィルタ40に付着した有機物(有機化合物)を分解して除菌および脱臭を行う。以下、除菌脱臭機10の構成について具体的に説明する。
【0024】
図1から
図3に示すように、除菌脱臭機10は、光触媒フィルタ40および保持フレーム42を含むフィルタユニット12、光源14、送風ファン16、活性炭フィルタ18および制御部100(
図7参照)等を備え、これらは所定の配置態様で筐体20に内蔵される。制御部100は、CPU102およびメモリ(106、108)等を含み、電源ボタン22a等を含む操作部22に対する入力操作に基づいて、除菌脱臭機10の各部位(光源14および送風ファン16など)の動作を制御する。
【0025】
たとえば、除菌脱臭機10は、除菌脱臭を行う場合、3つの動作モード(第1実施例では、静音モード、通常モード、強モード)で動作可能であり、制御部100はユーザの入力操作に応じて動作モード(説明の便宜上、以下、「除菌脱臭の動作モード」ということがある)を切り替える。ただし、除菌脱臭の動作モードは、電源オン時に、静音モードが選択され、ユーザの操作に応じて、通常モードまたは強モードを選択することができ、さらに、通常モードまたは強モードでは、ユーザの操作に応じて、静音モードを選択することができる。または、自動で除菌脱臭の動作モードが設定されてもよい。
【0026】
一例として、除菌脱臭の動作モードが静音(弱)モードである場合には、光源14は60%のデューティ比で駆動され、送風ファン16は25%のデューティ比で駆動される。また、除菌脱臭の動作モードが通常(中)モードである場合には、光源14は60%のデューティ比で駆動され、送風ファン16は75%のデューティ比で駆動される。さらに、除菌脱臭の動作モードが強モードである場合には、光源14は80%のデューティ比で駆動され、送風ファン16は100%のデューティ比で駆動される。
【0027】
ただし、光源14は、0%のデューティ比では消灯され、100%のデューティ比では最大光量で発光する。また、送風ファン16は、25%以下(0%を含む)のデューティ比では最低風速となるように駆動され、100%のデューティ比では最大風速となるように駆動される。なお、本明細書中では、除菌脱臭機10が動作中に発光させる光量の中で最も多い光量のことを、便宜上最大光量と表現する場合がある。また、除菌脱臭機10が動作中に送風する風速の中で最も遅い風速のことを、便宜上最低風速と表現する場合がある。
【0028】
また、筐体20は、直方体状に形成される。筐体20の底部には、吸気口24が設けられ、筐体20の頂部には、排気口26が設けられる。また、筐体20の中央部には、ユニット収容部28が設けられる。このユニット収容部28には、フィルタユニット12が縦向きに収容(装着)される。フィルタユニット12の具体的構成については後述する。
【0029】
光源14は、基板30と基板30の表面に分散配置された複数のLED(発光ダイオード)32とを含み、光触媒フィルタ40の主面と対向するように設けられる。この実施例では、光源14は、光触媒フィルタ40の一方主面と対向するように設けられる第1光源14aと、光触媒フィルタ40の他方主面と対向するように設けられる第2光源14bとを含む。すなわち、光源14は、フィルタユニット12の厚み方向の両側に設けられて、光触媒フィルタ40の両主面のそれぞれに対して光を照射することが可能である。第1光源14aおよび第2光源14bのそれぞれには、たとえば12個のLED32が設けられる。
【0030】
送風ファン16は、筐体20の上部、すなわち排気口26とユニット収容部28(つまりフィルタユニット12)との間に設けられて、吸気口24からユニット収容部28を通って排気口26に向かう上向きの空気の流れ(空気流)を発生させる。すなわち、送風ファン16の駆動によって吸気口24から筐体20内に取り入れられた空気は、ユニット収容部28を上向きに流れた後、排気口26から筐体20外に排出される。送風ファン16としては、プロペラファン等の軸流ファンおよび遠心ファン等の公知のファンを用いるとよい。
【0031】
また、筐体20の下部、すなわち吸気口24とユニット収容部28との間には、活性炭フィルタ収容部34が設けられる。この活性炭フィルタ収容部34には、活性炭フィルタ18が吸気口24を覆うように横向きに収容される。すなわち、吸気口24から筐体20内に取り入れられる空気は、活性炭フィルタ18を厚み方向に通過した(すなわち活性炭フィルタ18の内部を通った)後、ユニット収容部28に流入する。活性炭フィルタ18は、合成樹脂製の不織布などの多孔質基材に活性炭が担持されたフィルタであって、活性炭によって空気中に含まれるアンモニアおよび硫化水素などの臭気成分を吸着して除去する。
【0032】
続いて、フィルタユニット12の構成について説明する。
図4に示すように、フィルタユニット12は、光触媒フィルタ40とこれを保持する矩形枠状の保持フレーム42とを含む。これら光触媒フィルタ40と保持フレーム42とは一体成型される。
【0033】
光触媒フィルタ40は、合成樹脂製の不織布などの多孔質基材に光触媒(光触媒粒子)が担持されたフィルタであり、柔軟性を有している。光触媒フィルタ40に含まれる光触媒は、紫外線などの光が照射されることで励起して活性酸素種を生成し、この活性酸素種によって空気中に含まれる雑菌を除去(除菌)したり、臭気成分を分解(脱臭)したりする。光触媒としては、酸化チタンおよび酸化タングステン等の公知の光触媒を用いるとよく、これらの中でも酸化チタンが好適に用いられる。
【0034】
そして、光触媒フィルタ40は、第1方向に延びる山部40aと谷部40bとが第1方向と直交する第2方向に交互に並ぶ波状(プリーツ状または蛇腹状とも言う。)に形成される。この実施例では、光触媒フィルタ40は、山部40aおよび谷部40bの突端部(頂部および底部)に折り目40cが形成された三角波状に形成され、複数の折り目40cが第1方向に延びるように形成されている。このように、光触媒フィルタ40を波状に(折り畳むように)形成することで、光触媒フィルタ40の大型化を抑制しつつ、光触媒フィルタ40と空気との接触面積を大きくすることができる。
【0035】
保持フレーム42は、光触媒フィルタ40の4辺を保持する第1フレーム44および第2フレーム46を含む。保持フレーム42は、ABS樹脂またはABS樹脂とポリカーボネートとを混合したPC/ABSアロイ等の合成樹脂によって形成される。
【0036】
第1フレーム44は、光触媒フィルタ40の波状の形状を保持するための部位であって、光触媒フィルタ40の第1方向における両端部を被覆するように設けられる。この第1フレーム44は、第1方向に空気流を通過させる開口部44a(第1開口部)を有しており、送風ファン16による空気の流れを阻害しないように構成されている。具体的には、第1フレーム44は、光触媒フィルタ40の第1方向における端部に沿って延びる波状に形成されており(つまり第2方向に波状に延びるように形成されており)、波(山谷)を形成する傾斜片の間に、断面三角形状の開口部44aが形成される。
【0037】
第2フレーム46は、光触媒フィルタ40の第2方向における両端部に設けられる。第2フレーム46は、第1方向に延びる矩形長板状に形成され、第1フレーム44の端部同士を連結する。この第2フレーム46は、第1方向に延びる通気路を形成し、第2方向(つまり光触媒フィルタ40の幅外)への空気流の拡散を規制する。
【0038】
また、保持フレーム42は、光触媒フィルタ40の第1方向における中央部を挟み込むように設けられる第3フレーム48をさらに含む。第3フレーム48は、第1フレーム44と同様に、光触媒フィルタ40の波状の形状を保持するための部位であって、第1方向に空気流を通過させる開口部48aを有している。この実施例では、第3フレーム48は、光触媒フィルタ40の主面に沿って第2方向に波状に延びるように形成される。
【0039】
このようなフィルタユニット12は、
図5に示すように、筐体20の一方側面に設けられる開閉カバー50を開くことで、ユニット収容部28に対して着脱することが可能である。
【0040】
そして、この実施例では、
図2および
図5からよく分かるように、フィルタユニット12(光触媒フィルタ40)は、送風ファン16による空気流が第1方向(つまり光触媒フィルタ40の折り目40cが延びる方向)に沿って流れるようにユニット収容部28に収容される。すなわち、フィルタユニット12は、第1方向が上下方向となるようにユニット収容部28に縦向きに収容され、送風ファン16による空気流は、光触媒フィルタ40の両主面に沿って流れる。
【0041】
また、ユニット収容部28には、フィルタユニット12の着脱を案内するユニットガイド52が設けられ、フィルタユニット12は、ユニットガイド52によって装着位置まで案内される。このユニットガイド52は、第1フレーム44の開口部44aと連通して第1方向(送風方向に相当する)に空気流を通過させる開口部52a(第2開口部)を有しており、送風ファン16による空気の流れを阻害しないように構成されている。具体的には、ユニット収容部28の上端部および下端部のそれぞれに、フィルタユニット12の厚み方向(第1方向および第2方向に直交する第3方向)に所定間隔をあけて設けられ、かつフィルタユニット12の着脱方向(第2方向)に延びる一対のユニットガイド52が設けられる。ユニットガイド52のそれぞれは、断面L字状に形成され、フィルタユニット12が備える第1フレーム44をスライド可能に支持する。一対のユニットガイド52の間には開口部52aが形成されており、ユニット収容部28にフィルタユニット12を装着した状態において、開口部52aが開口部44aと連通する。
【0042】
上述のような除菌脱臭機10では、電源ボタン22aがオンにされると、制御部100は、送風ファン16を駆動させると共に、光源14(LED32)を点灯させて光触媒フィルタ40の両主面のそれぞれに対して光を照射させる。送風ファン16の駆動に伴って吸気口24から筐体20内に取り入れられた空気は、先ず、活性炭フィルタ18によって臭気成分が吸着除去される。次に、活性炭フィルタ18を通過した空気は、光触媒フィルタ40の両主面に沿ってユニット収容部28を上向きに流れる。光触媒フィルタ40と空気とが接触することで、光触媒フィルタ40に付着した有機物が光触媒作用によって分解され、除菌および脱臭が行われる。そして、光触媒フィルタ40によって除菌脱臭された清浄な空気は、排気口26から筐体20外に排出される。
【0043】
この際、光触媒フィルタ40が波状に形成されていることで、光触媒フィルタ40と空気との接触面積が大きくなるので、効率よく除菌脱臭することができる。また、光触媒フィルタ40の厚み方向に空気を通過させるのではなく、光触媒フィルタ40の主面に沿って空気を流すので、圧力損失を低減できる。特に、光触媒フィルタ40の山部40aおよび谷部40bが延びる方向である第1方向に沿って空気を流すことで、圧力損失をより適切に低減できる。さらに、光触媒フィルタ40の両主面に沿って空気を流すと共に、第1光源14aおよび第2光源14bを用いて光触媒フィルタ40の両主面に光を照射するので、より効率よく除菌脱臭することができる。さらにまた、第1フレーム44が開口部44aを有すると共にユニットガイド52が開口部52aを有するので、第1フレーム44およびユニットガイド52が空気の流れを阻害することなく、光触媒フィルタ40の両主面に沿って適切に空気を流すことができる。
【0044】
図6は
図1~
図5に示した除菌脱臭機10の構造を模式的に示した図である。
図6に示すように、除菌脱臭機10は、汚れセンサ36をさらに含み、一例として、汚れセンサ36は、フィルタユニット12と送風ファン16の間に配置される。ただし、汚れセンサ36は、フィルタユニット12と吸気口24の間に配置されてもよい。汚れセンサ36は、有機物センサ(匂いセンサまたはVOCセンサ)であり、空気の汚れの度合を検出する。
【0045】
図7は第1実施例の除菌脱臭機10の電気的な構成を示すブロック図である。
図7に示すように、除菌脱臭機10は、上述した制御部100を備えている。制御部100は、CPU102を含み、CPU102は、バス104を介して、RAM106、ROM108、LED駆動回路110、送風ファン駆動回路112および入力インターフェース(以下、「入力I/F」という)114に接続される。
【0046】
また、LED駆動回路110は光源14に接続され、送風ファン駆動回路112は送風ファン16に接続され、入力I/F114は操作部22および汚れセンサ36に接続される。
【0047】
CPU102は、制御部100の全体的な制御を司るプロセッサである。RAM106およびROM108は制御部100の主記憶装置である。RAM106は、CPU102の作業領域およびバッファ領域として使用される。ROM108は、制御部100の補助記憶装置であり、制御プログラム(ファームウェア)が記憶される。ただし、ROM108は、EEPROMまたはフラッシュメモリのような不揮発性メモリにすることもできる。
【0048】
図示は省略するが、主記憶装置とは別に、HDD、SSDまたはフラッシュメモリなどの不揮発性メモリが補助記憶装置として設けられる。
【0049】
LED駆動回路110は、CPU102の指示の下、光源14(複数のLED32)を駆動するための回路である。送風ファン駆動回路112は、CPU102の指示の下、送風ファン16を駆動するための回路である。
【0050】
入力I/F114は、操作部22から入力された操作信号をCPU102に出力したり、汚れセンサ36から入力された検出値(つまり、電圧値)をCPU102に出力したりする。
【0051】
上述したように、除菌脱臭機10は、静音モード、通常モードおよび強モードのいずれかの除菌脱臭の動作モードで動作され、外部から取り入れた空気を光触媒フィルタ40の主面(表面)に沿って流すと共に光触媒フィルタ40に光を照射することで、光触媒フィルタ40に付着した有機物(有機化合物)を分解して除菌および脱臭を行う。
【0052】
図8は空気中の有機物濃度の時間変化を示すグラフであり、(1)の曲線は光触媒フィルタ40に過度の有機物が付着している(過度に汚れている)場合の空気中の有機物濃度の時間変化を示し、(2)の曲線は光触媒フィルタ40に少量の有機物が付着している、または、有機物が付着していない(汚れが少ない、または、汚れていない)場合の空気中の有機物濃度の時間変化を示す。
【0053】
図8に示すように、光触媒フィルタ40に過度に有機物が付着すると、光触媒フィルタ40に付着した有機物が少ない場合に比べて、時間が有る程度経過しても、空気中の有機物濃度が下がり難くい。つまり、光触媒フィルタ40に過度の有機物が付着した状態では、光触媒による分解効率または分解速度が低下する。
【0054】
したがって、この第1実施例では、光触媒フィルタ40に有機物が付着した度合(すなわち、汚れ度)が過度であることが判断された場合に、光触媒フィルタ40に付着した有機物を分解するリフレッシュの動作モード(以下、「リフレッシュモード」)で除菌脱臭機10を動作させて、光触媒フィルタ40の汚れを低減するようにしてある。リフレッシュモードでは、光源14は100%のデューティ比で駆動され、送風ファン16は25%以下のデューティ比(この第1実施例では、25%)で駆動される。ただし、リフレッシュモードでは、風速を0に設定すなわち送風ファン16を停止させてもよい。つまり、送風ファン16については、デューティ比が0%に設定されてもよい。換言すると、除菌脱臭機10が動作中に送風する風速の中で最も遅い風速であればよい。また、光源14に印加するデューティ比は、100%でなくても、除菌脱臭機10が動作中に発光させる光量の中で最も多い光量であれば、例えば90%であってもよい。
【0055】
図9は汚れ度の判断基準を示すテーブルの一例である。
図9に示すように、汚れの判断基準のテーブルでは、汚れ度に対して汚れ値が記載される。一例として、汚れ度は0~2の3段階で判断される。数字が大きい程、より汚いことを示す。上述したように、汚れセンサ36は半導体式のVOCセンサであって、空気中のガスの濃度が高くなるほど抵抗値が変化し、空気がきれいな時を基準として、そこからのセンサの抵抗値変化によって空気の汚れを算出する。つまり、空気がきれいな状態(VOCが検出されない状態)を1とし、検出される濃度が高いほど0に近づくように0以上1以下の範囲(電圧値)で空気の汚れに応じて内部処理された値が出力される。この出力値を汚れ値と呼ぶ。汚れ値が0.65以上1以下である場合に、汚れ度は0である。汚れ値が0.35以上0.65未満である場合に、汚れ度は1である。汚れ値が0以上0.35未満である場合に、汚れ度は2である。第1実施例では、汚れ度が2である場合に、光触媒フィルタ40に過度に有機物が付着している(すなわち、汚れている)ことが判断され、リフレッシュモードで除菌脱臭機10が第2所定時間(第1実施例では、10分)動作される。
【0056】
なお、
図8に示したグラフでは、(1)の曲線は汚れ度が2である場合の曲線であり、(2)の曲線は汚れ度が0である場合の曲線である。
【0057】
第1実施例では、光触媒フィルタ40の汚れを確認し、光触媒フィルタ40が過度に汚れている場合にリフレッシュモードで除菌脱臭機10を動作させる処理(後述する、フィルタ汚れ確認処理)が実行される。ただし、除菌脱臭機10の電源がオンされたとき、または、除菌脱臭機10の動作中では定期的(第1実施例では、30分毎)に、フィルタ汚れ確認処理を実行するかどうかを判断するための処理(後述する、確認実行判断処理)が実行される。つまり、光触媒フィルタ40に付着した有機物が多いか少ないかは、送風ファン16によって吸気される空気中の有機物の能動が或る程度高くないと判断できないため、フィルタ汚れ確認処理を実行するかどうかを判断するための確認実行判断処理が事前に実行される。
【0058】
フィルタ汚れ確認処理では、所定の風速となる条件で送風ファン16が駆動される。第1実施例では、50%のデューティ比で送風ファン16が駆動される。送風ファン16が駆動された状態で、第1光量で光源14が駆動される。第1実施例では、60%のデューティ比で複数のLED32の各々が駆動される。ただし、第1光量は0でもよい。すなわち、光源14を消灯してもよい。第1光量で光源14が駆動されている状態で、1秒毎に汚れセンサ36の検出値が取得され、第1所定回数分(第1実施例では、10回分)の平均値が第1汚れ値として記憶される。つまり、第1所定時間において、1秒毎に10回検出された検出値の平均値が第1汚れ値として記憶される。ただし、1秒および10回は一例であり、限定される必要はない。後述する第2汚れ値についても同じである。
【0059】
次に、第1光量よりも大きい第2光量で光源14が駆動される。第1実施例では、80%のデューティ比で複数のLED32の各々が駆動される。第2光量で光源14が駆動されている状態で、1秒毎に汚れセンサ36の検出値が取得され、第1所定回数分の平均値が第2汚れ値として記憶される。つまり、第1所定時間において、1秒毎に10回検出された検出値の平均値が第2汚れ値として記憶される。
【0060】
第1汚れ値および第2汚れ値を算出するための処理が第2所定回数(第1実施例では、5回)行ったかどうかが判断される。第2所定回数を複数回に設定するのは、検出精度を高くするためである。ただし、第2所定回数は1回でもよい。第1汚れ値および第2汚れ値が第2所定回数算出されると、各回の第1汚れ値と第2汚れ値の差分(第1差分)が算出され、第1判定値(第1実施例では、汚れ値が0.3)よりも小さい第1差分が第3所定回数(第1実施例では、3回)以上検出されたかどうかが判断される。
【0061】
図8に示したように、光触媒フィルタ40に過度の有機物が付着した状態では、光触媒による分解効率または分解速度が低下するため、第1光量で光源14が駆動された場合と第2光量で光源14が駆動された場合とで空気中の有機物濃度に変化がほとんど無い。
【0062】
ここで、第1判定値は、汚れ度が同じである汚れ値の範囲内で決定される。
図9に示したように、汚れ度が0および2である場合の汚れ値の範囲は0.35であり、汚れ度が1である場合の汚れ値の範囲は0.3であるため、第1実施例では、第1判定値を汚れ値の範囲0.3に相当する電圧値に設定してある。
【0063】
また、第3所定回数は、第2所定回数の半数よりも大きく、第2所定回数以下で決定される。第3所定回数が第2所定回数の半数よりも大きければ、空気中の有機物濃度に変化がほとんど無いことの確度が高いと言えるからである。ただし、第2所定回数が1の場合には、第3所定回数も1である。
【0064】
第1判定値よりも小さい第1差分が第3所定回数以上検出された場合に、リフレッシュモードで送風ファン16および光源14が第2所定時間駆動される。
【0065】
つまり、第1実施例では、1つの汚れセンサ36を用いて、異なる光量で光触媒フィルタ40を照射した場合の有機物濃度の変化に基づいて光触媒フィルタ40が過度に汚れているかどうかを判断し、光触媒フィルタ40が過度に汚れている場合には、リフレッシュモードで除菌脱臭機10が動作され、光触媒フィルタ40がリフレッシュされる。つまり、光触媒フィルタ40に付着した有機物の分解が促進され、分解効率または分解速度が回復される。
【0066】
図10は動作制御についての情報を示すテーブル(以下、「動作制御テーブル」という)の一例である。
図10に示すように、動作制御についての情報では、動作モード毎に、照度および風速が設定されている。一例として、動作モードは、静音モード、通常モード、強モードおよびリフレッシュモードの4種類である。各モードについては上述したとおりであるため、重複した説明は省略する。一例として、動作制御テーブルはROM108に記憶され、動作モードが決定されると、ROM108に記憶された動作制御テーブルが参照され、光源14および送風ファン16の駆動が動作モードに応じて制御される。
【0067】
ただし、照度は、光源14を駆動する場合のデューティ比を示し、風速は、送風ファン16を駆動する場合のデューティ比を示す。
【0068】
図11は
図7に示したRAM106のメモリマップの一例を示す図である。
図11に示すように、RAM106は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。プログラム記憶領域302は、除菌脱臭機10のCPU102によって実行される第1実施例の制御プログラムを記憶する。
【0069】
制御プログラムは、操作検出プログラム302a、ファン制御プログラム302b、光源制御プログラム302c、汚れ確認プログラム302d、確認実行判断プログラム302eなどを含む。
【0070】
操作検出プログラム302aは、操作部22から入力される操作信号を検出し、対応する操作データ304aをデータ記憶領域304に記憶するためのプログラムである。ファン制御プログラム302bは、動作モードに応じて、送風ファン16の駆動を制御するためのプログラムである。光源制御プログラム302cは、動作モードに応じて、光源14に含まれる複数のLED32の点灯を制御するためのプログラムである。
【0071】
汚れ確認プログラム302dは、光触媒フィルタ40の汚れ度を確認し、必要に応じて、動作モードをリフレッシュモードに移行するためのプログラムである。確認実行判断プログラム302eは、汚れ確認プログラム302dを実行するかどうかを判断するためのプログラムである。
【0072】
図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、除菌脱臭機10の制御に必要な他のプログラムも記憶される。
【0073】
データ記憶領域304には、操作データ304a、動作モードデータ304b、第1汚れ値データ304c、第2汚れ値データ304dおよび確認値データ304eが記憶される。
【0074】
操作データ304aは、操作検出プログラム302aに従って検出された操作信号に対応するデータである。動作モードデータ304bは、現在設定されている動作モードを識別するためのデータであり、具体的には、静音モード、通常モード、強モードまたはリフレッシュモードの識別情報である。
【0075】
第1汚れ値データ304cは、汚れ確認プログラム302dの実行中に、所定の風速となる条件で送風ファン16を駆動するとともに第1光量で光触媒フィルタ40を照射した場合に汚れセンサ36の検出値に基づいて算出される第1汚れ値のデータである。
【0076】
第2汚れ値データ304dは、汚れ確認プログラム302dの実行中に、所定の風速となる条件で送風ファン16を駆動するとともに第1光量よりも大きい第2光量で光触媒フィルタ40を照射した場合に汚れセンサ36の検出値に基づいて算出される第2汚れ値のデータである。
【0077】
確認値データ304eは、確認実行判断プログラム302eの実行中に、フィルタ汚れ確認処理を実行するかどうかを判断するための確認値についてのデータである。
【0078】
図示は省略するが、データ記憶領域304には、除菌脱臭機10の制御に必要な他のデータ、フラグおよびタイマ(図示せず)も記憶される。
【0079】
図12は
図7に示したCPU102のフィルタ汚れ確認処理のフロー図である。
図13は
図7に示したCPU102の確認実行判断処理のフロー図である。
図13に示す確認実行判断処理で汚れ確認処理を実行することが判断された場合に、
図12に示すフィルタ汚れ確認処理が開始される。
【0080】
図12に示すように、CPU102は、フィルタ汚れ確認処理を開始すると、ステップS1で、所定の風速となる条件で送風ファン16を駆動する。ここでは、CPU102は、送風ファン駆動回路112を制御して、50%のデューティ比で送風ファン16を駆動する。
【0081】
次のステップS3では、第1光量で光源14を駆動する。ここでは、CPU102は、LED駆動回路110を制御して、60%のデューティ比で複数のLED32の各々を駆動する。
【0082】
続いて、ステップS5では、1秒毎に汚れセンサ36の検出値を取得し、第1所定回数分(たとえば、10回分)の平均値を第1汚れ値として記憶する。第1所定回数を複数回に設定するのは、検出精度を高くするためである。つまり、CPU102は、第1汚れ値データ304cをデータ記憶領域304に記憶する。
【0083】
次に、ステップS7では、第1光量よりも大きい第2光量で光源14を駆動する。ここでは、CPU102は、LED駆動回路110を制御して、80%のデューティ比で複数のLED32の各々を駆動する。
【0084】
続いて、ステップS9では、1秒毎に汚れセンサ36の検出値を取得し、第1所定回数分の平均値を第2汚れ値として記憶する。つまり、CPU102は、第2汚れ値データ304dをデータ記憶領域304に記憶する。
【0085】
ステップS11では、ステップS3-ステップS9の処理を第2所定回数(たとえば、5回)行ったかどうかを判断する。ステップS11で“NO”であれば、つまり、ステップS3-ステップS9の処理を第2所定回数行っていない場合には、ステップS3に戻る。
【0086】
一方、ステップS11で“YES”であれば、つまり、ステップS3-ステップS9の処理を第2所定回数行った場合には、ステップS13で、第1判定値よりも小さい第1差分が第3所定回数(たとえば、3回)以上検出されたかどうかを判断する。
【0087】
ステップS13で“NO”であれば、つまり、第1判定値よりも小さい第1差分が第3所定回数以上検出されていなければ、フィルタ汚れ確認処理を終了する。一方、ステップS13で“YES”であれば、つまり、第1判定値よりも小さい第1差分が第3所定回数以上検出されれば、ステップS15で、リフレッシュモードで光源14および送風ファン16を第2所定時間(たとえば、10分)駆動して、フィルタ汚れ確認処理を終了する。
【0088】
上述したように、フィルタ汚れ確認処理をするかどうか判断するために事前に行う確認実行判断処理は、除菌脱臭機10の電源がオンされたとき、または、除菌脱臭機10の動作中では定期的(たとえば、30分毎)に、実行される。
【0089】
図13に示すように、実行判断処理においてCPU102は、確認実行判断処理を開始すると、ステップS31で、光源14の駆動を停止し、ステップS33で、所定の風速となる条件でファンを駆動する。ここでは、CPU102は、送風ファン駆動回路112を制御して、50%のデューティ比で送風ファン16を駆動する。
【0090】
続くステップS35では、検出値を取得し、次のステップS37では、検出値に応じた汚れ度を確認値として記憶する。つまり、CPU102は、確認値データ304eをデータ記憶領域304に記憶する。
【0091】
そして、ステップS39で、確認値が第1所定値よりも大きいかどうかを判断する。ステップS39で“NO”であれば、つまり、確認値が第1所定以下であれば、確認実行判断処理を終了する。一方、ステップS39で“YES”であれば、つまり、確認値が第1所定値よりも大きければ、
図12に示したフィルタ汚れ確認処理を開始する。
【0092】
以上のように、この第1実施例によれば、光触媒フィルタに過度の有機物が付着している場合には、光触媒フィルタをリフレッシュするので、光触媒フィルタに付着した有機物を分解し、光触媒フィルタの分解効率を回復することができる。したがって、効率よく除菌脱臭することができる。また、光触媒フィルタのリフレッシュを適切なタイミングで実施することができる。
【0093】
また、この第1実施例によれば、異なる光量で光触媒フィルタを照射した場合の各々の汚れセンサの検出値を比較するので、光触媒フィルタに有機物が付着している度合すなわち汚れ度を容易に知ることができる。
【0094】
[第2実施例]
第2実施例の除菌脱臭機10は、汚れセンサを吸気口24とフィルタユニット12の間にさらに設け、2つの汚れセンサの検出値に基づいてリフレッシュモードを設定するかどうかを判断するようにした以外は第1実施例と同じであるため、重複した説明は省略する。
【0095】
図14は第2実施例の除菌脱臭機10の構造を模式的に示した図である。第2実施例では、2つの汚れセンサが設けられるため、
図14に示すように、フィルタユニット12と送風ファン16の間の汚れセンサ36を第1汚れセンサ36と呼び、吸気口24とフィルタユニット12の間に追加的に設けた汚れセンサ38を第2汚れセンサ38と呼ぶことにする。
【0096】
図15は第2実施例の除菌脱臭機10の電気的な構成を示すブロック図である。第2実施例では、第2汚れセンサ38もまた、入力I/F114に接続される。
【0097】
図16は第2実施例のフィルタ汚れ確認処理を示すフロー図である。以下、第2実施例のフィルタ汚れ確認処理について説明するが、第1実施例のフィルタ汚れ確認処理と同様の内容については簡単に説明することにする。
【0098】
図16に示すように、CPU102はフィルタ汚れ確認処理を開始すると、ステップS61で、所定の風速となる条件で送風ファン16を駆動し、ステップS63で、第2汚れセンサ38の検出値が第2所定値より大きいかどうかを判断する。たとえば、第2所定値は、汚れ値が0.35に対応する第2汚れセンサ38の検出値(すなわち、電圧値)に設定される。
【0099】
ステップS63で“NO”であれば、つまり、第2汚れセンサ38の検出値が第2所定値未満であれば、フィルタ汚れ確認処理を終了する。一方、ステップS63で“YES”であれば、つまり、第2汚れセンサ38の検出値が第2所定値より大きければ、ステップS65で、所定の条件で、ここでは静音モード(
図10参照)で、光源14および送風ファン16を第3所定時間(たとえば、10秒)駆動する。
【0100】
続くステップS67では、第3所定時間における第2汚れセンサ38の検出値と第1汚れセンサ36の検出値の差分(説明の便宜上、「第2差分」と呼ぶ)を算出して記憶する。つまり、光触媒フィルタ40で除菌脱臭される前後の空気中の有機物濃度の変化が算出される。
【0101】
ステップS69では、ステップS65およびS67の処理を第4所定回数(たとえば、5回)行ったかどうかを判断する。ただし、第4所定回数は1回でもよい。
【0102】
ステップS69で“NO”であれば、つまり、ステップS65およびS67の処理を第4所定回数行っていなければ、ステップS65に戻る。一方、ステップS69で“YES”であれば、つまり、ステップS65およびS67の処理を第4所定回数行っていれば、ステップS71で、第2判定値(たとえば、0.3)よりも小さい第2差分が第5所定回数(たとえば、3回)検出されたかどうかどうかを判断する。つまり、CPU102は、光触媒フィルタ40が過度に汚れているかどうかを判断する。なお、第2実施例では、第2判定値は、第1実施例の第1判定値と同じである。
【0103】
ステップS71で“NO”であれば、つまり、第2判定値よりも小さい第2差分が第5所定回数検出されなければ、フィルタ汚れ確認処理を終了する。一方、ステップS71で“YES”であれば、つまり、第2判定値よりも小さい第2差分が第5所定回数検出されれば、ステップS73で、リフレッシュモードで光源14および送風ファン16を第4所定時間(たとえば、10分)駆動して、フィルタ汚れ確認処理を終了する。
【0104】
なお、
図13に示した確認実行判断処理は、第2実施例についても同じであるため、説明は省略する。ただし、確認実行判断処理は、第1汚れセンサ36の検出値に代えて第2汚れセンサ38の検出値を用いて実行されてもよい。
【0105】
第2実施例においても、第1実施例と同様に、光触媒フィルタに過度の有機物が付着している場合には、光触媒フィルタをリフレッシュするので、光触媒フィルタに付着した有機物の分解を促進し、光触媒フィルタの分解効率を回復することができる。したがって、効率よく除菌脱臭することができる。また、光触媒フィルタのリフレッシュを適切なタイミングで実施することができる。
【0106】
また、この第2実施例によれば、光触媒フィルタの送風ファンによる送風方向上流側と送風方向下流側の各々に汚れセンサを設け、所定の光量で光触媒フィルタを照射した場合の各々の汚れセンサの検出値を比較するので、光触媒フィルタに有機物が付着している度合すなわち汚れ度を容易に知ることができる。
【0107】
[第3実施例]
第3実施例の除菌脱臭機10は光触媒フィルタ40が汚れているか否かに関係無く、除菌脱臭機10の動作終了時に、光触媒フィルタ40をリフレッシュするようにした以外は第1実施例と同じであるため、重複した説明は省略する。
【0108】
第3実施例の除菌脱臭機10では、光触媒フィルタ40が汚れているか否かは関係ないため、汚れセンサ36は不要である。
【0109】
第3実施例では、除菌脱臭機10は、静音モード、通常モードまたは強モードでの動作時間に応じて、リフレッシュモードで動作する第5所定時間が決定される。一例として、静音モード、通常モードまたは強モードでの動作時間が3時間未満である場合には、リフレッシュモードでの動作時間(すなわち、第5所定時間)は10分に決定される。また、静音モード、通常モードまたは強モードでの動作時間が3時間以上6時間未満である場合には、リフレッシュモードでの動作時間は20分に設定される。さらに、静音モード、通常モードまたは強モードでの動作時間が6時間以上である場合には、リフレッシュモードでの動作時間は30分に設定される。
【0110】
図17は第3実施例のリフレッシュ制御処理を示すフロー図である。このリフレッシュ制御処理は、除菌脱臭機10が除菌脱臭の動作モードで動作を開始したときに開始される。
図17に示すように、CPU102はリフレッシュ制御処理を開始すると、ステップS91で、除菌脱臭の動作モードでの動作時間の計測を開始する。続くステップS93では、除菌脱臭の動作モードでの動作終了かどうかを判断する。ステップS93で“NO”であれば、つまり、動作終了でなければ、ステップS93に戻る。一方、ステップS93で“YES”であれば、つまり、動作終了であれば、ステップS95で、動作時間を記憶する。
【0111】
次のステップS97では、記憶した動作時間に応じてリフレッシュモードの第5所定時間を決定する。そして、ステップS99で、リフレッシュモードで光源14および送風ファン16を第5所定時間駆動して、リフレッシュ制御処理を終了する。
【0112】
この第3実施例によれば、除菌脱臭の動作モードでの動作終了時に光触媒フィルタをリフレッシュするので、光触媒フィルタに付着した有機物を分解し、光触媒フィルタの分解効率を回復することができる。したがって、第1実施例と同様に、効率よく除菌脱臭することができる。また、光触媒フィルタのリフレッシュを適切なタイミングで実施することができる。
【0113】
なお、上述の各実施例では、フィルタユニットの両側に光源を配置するようにしたが、光源は、フィルタユニットの片側のみに配置してもよい。また、光源を配置しない側には、反射板を設けるようにしてもよい。
【0114】
また、上述の各実施例では、送風ファンによって上向きに流れる空気流を発生させているが、送風ファンによって発生させる空気流の流れ方向は、適宜変更可能である。たとえば、送風ファンによって横向きに流れる空気流を発生させ、この空気流が第1方向に沿って流れるようにフィルタユニットを横向きに配置することもできる。すなわち、フィルタユニットの配置方向は、縦向き横向きのどちらでも構わない。また、光触媒フィルタはろ過するタイプのものでもよい。
【0115】
なお、上で挙げた具体的な数値および部品形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0116】
10 …除菌脱臭機
12 …フィルタユニット
14 …光源
16 …送風ファン
20 …筐体
24 …吸気口
26 …排気口
28 …ユニット収容部
36、38 …汚れセンサ
40 …光触媒フィルタ
40c …折り目
42 …保持フレーム
44 …第1フレーム
46 …第2フレーム
48 …第3フレーム
52 …ユニットガイド
100 …制御部
102 …CPU