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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131344
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/36 20060101AFI20230914BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
D06F37/36
H02K5/173 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036047
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】大藪 起也
【テーマコード(参考)】
3B165
5H605
【Fターム(参考)】
3B165AA01
3B165AA11
3B165AE01
3B165AE02
3B165BA84
3B165BA86
3B165CA01
3B165CA11
3B165CB01
3B165CB31
3B165CB55
3B165CB64
3B165DW03
3B165DW05
3B165GA02
3B165GA12
3B165GA13
3B165GA26
5H605AA01
5H605BB05
5H605CC04
(57)【要約】
【課題】組立性が容易であり、小型のモータでも十分な洗濯工程を行なうことが可能な洗濯機を提供することである。
【解決手段】実施形態の洗濯機は、水槽と、回転シャフトと、第一軸受けと、第二軸受けと、軸受けケースと、を持つ。前記水槽は、開口を有する。前記回転シャフトは、前記水槽の軸方向に延在する。前記第一軸受けは、前記軸方向において前記水槽の前記開口と反対の底部側に備えられ、前記回転シャフトに接触して軸支する。前記第二軸受けは、前記第一軸受けよりも前記反開口側に備えられ、前記回転シャフトに接触して軸支する。前記軸受けケースは、前記第一軸受けを保持する第一ケースと、前記第二軸受けを保持する第二ケースと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する水槽と、
前記水槽の軸方向に延在する回転シャフトと、
前記軸方向において前記水槽の前記開口と反対の底部側に備えられ、前記回転シャフトに接触して軸支する第一軸受けと、
前記第一軸受けよりも前記底部側に備えられ、前記回転シャフトに接触して軸支する第二軸受けと、
前記第一軸受けを保持する第一ケースと、前記第二軸受けを保持する第二ケースと、を有する軸受けケースと、
を備える洗濯機。
【請求項2】
前記第一ケースと前記第二ケースとの間には、前記回転シャフトを回転させるモータが備えられている
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記モータはアキシャルギャップ型のモータである、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記回転シャフトに連結する減速機を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記第一ケースは、前記水槽にインサート成形される
請求項1から4のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記第一ケースと前記第二ケースとは、異なる種類の部材で形成される
請求項1から5のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記軸受けケースは、前記軸方向に貫通した放熱用の窓部を備えている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記第二ケースは、前記軸方向の前記開口側に向かって延びる複数の脚部を有し、前記複数の脚部の間に放熱用の開口部を備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、軸受け保持のための軸受けケースを備えた洗濯機が知られている。また、近年では、減速機構を用いてモータを小型化にした洗濯機の開発が進められており、組立が容易であることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-105267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、組立性が容易であり、小型のモータでも十分な洗濯工程を行なうことが可能な洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯機は、水槽と、回転シャフトと、第一軸受けと、第二軸受けと、軸受けケースと、を持つ。前記水槽は、開口を有する。前記回転シャフトは、前記水槽の軸方向に延在する。前記第一軸受けは、前記軸方向において前記水槽の前記開口と反対の底部側に備えられ、前記回転シャフトに接触して軸支する。前記第二軸受けは、前記第一軸受けよりも前記反開口側に備えられ、前記回転シャフトに接触して軸支する。前記軸受けケースは、前記第一軸受けを保持する第一ケースと、前記第二軸受けを保持する第二ケースと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る軸受けケースを有する洗濯機の断面図。
図2図1の軸受けケースを有する洗濯機を上側から見た平面図。
図3】同洗濯機のモータを内部空間に備える軸受けケースの断面模式図。
図4】第2の実施形態に係る軸受けケースを有する洗濯機を上側から見た平面図。
図5】同洗濯機のモータを内部空間に備える軸受けケースの断面模式図。
図6】上述の実施形態に採用可能な他の軸受けケースの第二ケースを後ろ側から見た図。
図7】同軸受けケースの第二ケースの側面図。
図8】上述の実施形態に採用可能な他の軸受けケースの第二ケースを後ろ側から見た図。
図9】同軸受けケースの第二ケースの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の洗濯機を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の軸受けケース50を有する洗濯機1の断面図である。図2は、図1の軸受けケース50を有する洗濯機1を上側から見た平面図である。
以下の説明において、洗濯機1の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機1の下側とし、設置面とは反対側つまり鉛直上側を洗濯機1の上側とする。また、洗濯機1の正面に立つユーザから洗濯機1を見た方向を基準に、左右を定義している。また、洗濯機1から見て洗濯機1の正面に立つユーザに近い側を「前(前方)」、遠い側を「後ろ(後方)」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。図中において、+X方向が右方向、-X方向が左方向、+Y方向が後方向、-Y方向が前方向、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向である。
【0009】
洗濯機1は、筐体2、扉2a、水受槽(水槽)3、ドラム4、軸受けケース50、モータ10、注水管5、及び排水管6を有する。本実施形態の洗濯機1は、ドラム式の洗濯機である。
【0010】
以下の説明において、中心軸線Jの軸方向を単に「軸方向」と呼ぶ。軸方向の両側のうち一方側を「軸方向一方側D1」と呼び、他方側を「軸方向他方側D2」と呼ぶ場合がある。また、中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ場合がある。さらに、中心軸線Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ場合がある。
【0011】
筐体2は、例えば鋼板によって全体として矩形箱状に構成されている。筐体2は、水受槽3、ドラム4、軸受けケース50、注水管5、及び排水管6を収容する。筐体2は、洗濯機1の外観を形成する。筐体2の前方に配置される側壁板には、出入口2bが設けられる。出入口2bには、扉2aが装着される。扉2aは出入口2bを覆う。
【0012】
扉2aは、閉鎖状態及び開放状態のいずれかへユーザが前方から操作可能である。扉2aの閉鎖状態では、出入口2bが閉鎖される。また、扉2aの開放状態では、出入口2bが開放される。
【0013】
水受槽(水槽)3は、筐体2の内面にサスペンションなどを介して固定される。水受槽3は、中心軸線Jを中心として配置される円筒状である。水受槽3は、前方から後方に向けて下降する傾斜状態に配置される。
【0014】
水受槽3は、中心軸線Jを中心とする円筒部3dと、円筒部3dの軸方向他方側D2の開口を覆う底部3eと、を有する。すなわち、水受槽3は、軸方向一方側D1に開口する有底の筒状である。水受槽3の内部空間には、ドラム4が収容される。また、水受槽3の底部3eの軸方向他方側D2を向く面には、軸受けケース50の第一ケース51が固定される。水受槽3の軸方向一方側D1の開口は、扉2aによって開閉可能に閉塞される。
【0015】
ドラム4は、中心軸線Jを中心とするドラム円筒部4dと、ドラム円筒部4dの軸方向他方側D2の開口を覆うドラム底部4eと、を有する。すなわち、ドラム4は、軸方向一方側D1に開口する有底の筒状である。ドラム底部4eの軸受けケース50に備えられたモータ10のロータ20から延び出る回転シャフト40が固定される。すなわち、ドラム4は、ロータ20に連結される。これにより、ドラム4は、中心軸線J周りに回転する。
【0016】
ドラム4の軸方向一方側D1の開口は、出入口2bに対向する。扉2aの開放状態において、ドラム4の内部は、出入口2bを介して前方に開放される。洗濯物は、出入口2bからドラム4の内部に投入される。
【0017】
ドラム円筒部4dには、複数の貫通孔4bが形成される。ドラム4の内部空間は、複数の貫通孔4bを通してドラム4の外部空間と繋がる。水受槽3の内部に導入された水は、貫通孔4bを通してドラム4の内部に浸入する。
【0018】
ドラム円筒部4dの内側面には、複数のバッフル4aが固定される。複数のバッフル4aのそれぞれは、ドラム4が回転することに応じて、中心軸線Jを中心に周方向へ移動する。ドラム4内の洗濯物は、複数のバッフル4aのそれぞれに引っ掛かりながら周方向へ移動した後に重力で落下することにより、撹拌される。
【0019】
注水管5は、水受槽3の上側に配置される。注水管5は、給水弁などを介して水道の蛇口に接続される。注水管5は、水受槽3の内部に水を注入する。排水管6は、水受槽3の最底部に配置される。排水管6には、排水弁が設けられる。排水管6は、水受槽3内に貯留された水を排水する。
【0020】
図3は、洗濯機1のモータ10を内部空間S1に備える軸受けケース50の断面模式図である。
軸受けケース50は、図2に示すように、中心軸線Jを中心とする筒状である。軸受けケース50は、ベアリング(軸受け)53と、第一ケース51と、第二ケース52と、を備える。
【0021】
ここで、軸受けケース50は、軸方向において水受槽3の軸方向他方側D2に設けられている。以降の説明において、軸受けケース50における軸方向一方側D1は、水受槽3の開口側ともいう。また、軸受けケース50における軸方向他方側D2は、水受槽3の底部側ともいう。なお、本実施形態において、中心軸線Jは、軸方向一方側D1から軸方向他方側D2に向けて傾いて配置される。
【0022】
ベアリング(軸受け)53は、水受槽3の軸方向他方側D2に備えられる。ベアリング53は、第一ベアリング(第一軸受け)53pと第二ベアリング(第二軸受け)53qとを備える。第一ベアリング53pと第二ベアリング53qとは、略同じ大きさ及び形状の軸受けである。第二ベアリング53qは、第一ベアリング53pよりも軸方向他方側D2に備えられる。第一ベアリング53p及び第二ベアリング53qは、回転シャフト40に接触して軸支する。
【0023】
第一ケース51は、軸受けケース50の軸方向一方側D1に備えられる。第一ケース51は、中心軸線Jを中心とし、軸方向と直交する平面に沿う略円盤板状である。第一ケース51の中央には、軸方向に貫通する貫通孔51hが備えられる。貫通孔51hには、回転シャフト40が挿通する。貫通孔51hは、周方向に内縁部51fを備える。軸方向における内縁部51fの厚みは、第一ケース51の他の部分の厚みよりも大きい。内縁部51fの軸方向他方側D2には、第一ベアリング53pが備えられる。この構成により、第一ケース51は、第一ベアリング53pを保持する。第一ケース51は、例えば熱伝導性に優れたアルミダイキャストを材料としている。第一ケース51の軸方向他方側D2を向く面には、モータ10のステータ30が固定される。なお、第一ケース51の材料は、ステンレス鋼板(SUS)や樹脂材料等であってもよい。
【0024】
第二ケース52は、軸受けケース50の軸方向他方側D2に備えられる。第二ケース52は、軸方向他方側D2に備えられた底部521と、底部521から軸方向一方側D1に向かって延びる側壁部522とを備える。第二ケース52は、底部521に軸方向に貫通する貫通孔52hを備える。貫通孔52hには、回転シャフト40が挿通する。ただし、貫通孔52hは必須の構成ではなく、軸方向他方側D2に底部を有する開口部であってもよい。貫通孔52hは、周方向に内縁部52fを備える。軸方向における内縁部52fの厚みは、第二ケース52の他の部分の厚みよりも大きい。内縁部52fの軸方向一方側D1には、第二ベアリング53qが備えられる。この構成により、第二ケース52は、第二ベアリング53qを保持する。第二ケース52は、底部521と、側壁部522とによって空間部52kを有している。そのため、第二ケース52は、中心軸線Jを中心に軸方向一方側D1に空間を設けた略カップ状に形成される。また、空間部52kは、回転シャフト40が挿通され、後述するモータ10を収容した状態で、わずかな隙間ができる程度の大きさに形成される。空間部52kは、第一ケース51に対して軸方向他方側D2から第二ケース52を取り付けることにより軸方向一方側D1を覆われる。中心軸線Jを中心とする第二ケース52の径方向には、支柱部523が備えられる。支柱部523は、基端部523aを側壁部522の軸方向一方側D1に備える外縁部52aに連結する。支柱部523は、基端部523aから軸方向他方側D2に湾曲して延在する。第二ケース52は、例えば絶縁性の樹脂材料からなる。第二ケース52の材料は、ステンレス鋼板(SUS)やアルミダイキャスト等であってもよい。
【0025】
第一ケース51の径方向の最外端に備える外縁部51aと第二ケース52の外縁部52aとが接着されると、第一ケース51と第二ケース52とが一体化する。この構成により、軸受けケース50が形成される。軸受けケース50は、第一ケース51によって空間部52kの軸方向一方側D1が覆われることで、内部空間S1を形成する。また、第一ケース51は、第一ベアリング53pを保持する。第二ケース52は、第二ベアリング53qを保持する。この構成により、軸受けケース50は、ベアリング53を保持する。第一ケース51は、水受槽3にインサート成形によって成形されており、軸受けケース50の一部は、水受槽3の底部3eに埋め込まれる。
【0026】
本実施形態によれば、軸受けケース50が水受槽3の底部3eに埋め込まれ、インサート成形によって成形されているため、軸受けケース50の備える内部空間S1に容易にモータ10を取り付けることができる。
【0027】
また、本実施形態によれば、軸受けケース50が水受槽3の底部3eに埋め込まれ、インサート成形によって成形されているため、洗濯機1全体の強度を向上することができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、第一ケース51は、アルミダイキャストを材料とし、第二ケース52は、樹脂を材料としている。すなわち、軸受けケース50が、第一ケース51及び第二ケース52によって形成されており、別々の材料を用いることができる。そのため、上述の構成のように、ステータ30に近い第一ケース51には、熱伝導性に優れる材料を用いつつ、ステータ30から遠い第二ケース52には、安価な樹脂等の材料を用いることができる。
【0029】
また、本実施形態によれば、第二ケース52の空間部52kは、モータ10を収容した状態で、わずかな隙間ができる程度の大きさに形成される。そのため、軸受けケース50の内部空間S1に余分な空間を形成せずにモータ10を収容でき、洗濯機1全体の大きさを大きくする必要なく組み立てることができる。
【0030】
以下、モータ10の構成について説明する。
モータ10は、図3に示すように、アキシャルギャップ型のモータである。一般的に、洗濯機のドラムを回転させるモータとしては、コイルとマグネットとが径方向に対向させるラジアルギャップ型のモータが採用される。ラジアルギャップ型のモータでは、薄型化を目的としてコイル及びマグネットの軸方向の寸法を小型化すると、コイルとマグネットの対向面積も小さくなり、回転速度及び回転トルクを十分に得難くなるという問題がある。これに対し、アキシャルギャップ型のモータでは、コイルとマグネットとの対向面積を大きく確保し易く、モータを薄型化した場合であってもモータの回転速度及びトルクを高め易い。本実施形態によれば、洗濯機1のドラム4を回転させるモータ10としてアキシャルギャップ型のモータを採用することによって、モータ10の回転速度及びトルクを十分に確保しつつモータ10の薄型化を図ることができる。水受槽3の軸方向他方側D2に配置されるモータ10を薄型化することで、水受槽3の軸方向他方側D2のスペースを小さくすることができ、洗濯機1の前後方向に小型化できる。
【0031】
モータ10は、軸受けケース50の内部空間S1に備えられる。モータ10は、ステータ30と、中心軸線Jの軸方向に隙間を介してステータ30に対向して回転するロータ20と、ロータ20に連結して回転させる回転シャフト40と、を備える。
【0032】
以下、ステータ30の構成について説明する。
ステータ30は、ロータ20の軸方向一方側D1に位置する。また、上述したようにステータ30は、第一ケース51に固定される。ドラム4のドラム底部4e、水受槽3の底部3e、軸受けケース50の第一ケース51、ステータ30、ロータ20及び第二ケース52は、軸方向一方側D1から軸方向他方側D2に向かってこの順で並ぶ。
【0033】
ステータ30は、図3に示すように、ステータコア31と、複数のコイル35と、を有する。ステータ30は、中心軸線Jを中心とする円環状である。
【0034】
ステータコア31は、コアバック部32と、複数のコア部33と、を有する。コアバック部32は、中心軸線Jを中心とする円環状である。
【0035】
複数のコア部33は、コアバック部32に形成されている。複数のコア部33は、中心軸線Jの周方向に沿って等間隔に並ぶ。コア部33は、軸方向から見て等脚台形形状である。軸方向から見て、コア部33の互いに平行な二辺は、中心軸線Jの径方向と直交して延びる。また、コア部33を軸方向から見て互いに平行な二辺のうち、短辺が中心軸線J側に配置され、長辺が中心軸線Jから離れた側に配置される。
【0036】
コイル35は、図示略のインシュレータを介してコア部33に巻き回される。図示略のインシュレータは、例えばボビン状である。コイル35は、複数のコア部33にそれぞれ装着される。複数のコイル35は、周方向にそって並ぶ。コイル35の端部は、ステータ30から引き出されて電源装置に接続される。これにより、コイル35には、電流が流される。それぞれのコイル35は、中心軸線Jと平行な軸線周りに巻き回される。したがって、コイル35は、電流が流されることで軸方向に磁極を形成する。すなわち、コイル35は、軸方向に対向するロータ20側に磁極を形成する。
【0037】
本実施形態によれば、ステータ30のステータコア31は、軸受けケース50の第一ケース51に接触する。熱伝導性に優れる材料を用いた第一ケース51は、水受槽3の底部3eの一部に埋め込まれる。このため、ステータ30から生じた熱は、第一ケース51を介して水受槽3に伝えることができる。水受槽3は、金属材料から構成され熱容量が大きい上、内側に水を貯留することで水によって冷却される。本実施形態によれば、ステータ30は、第一ケース51を介して水受槽3に接触させることで、ステータ30の熱を水受槽3に移動してステータ30冷却し、ステータ30を安定的に動作させることができる。
【0038】
本実施形態によれば、ステータ30は、第一ケース51の軸方向他方側D2を向く面に固定される。このため、ステータ30は、第一ケース51を介して水受槽3と軸方向において一体的に構成することができ、モータ10と水受槽3とを全体として小型化できる。
【0039】
コイル35は、図示略のインシュレータを介してコア部33の周囲に巻き回される構成であってもよい。図示略のインシュレータは、電気絶縁性の樹脂材料からなる、例えばボビン状である。コイル35は、電気絶縁性の樹脂材料で被覆される構成であってもよい。
【0040】
以下、ロータ20の構成について説明する。
ロータ20は、ステータ30の軸方向他方側D2に位置する。すなわち、ロータ20は、コイル35の軸方向他方側D2に配置される。ロータ20は、回転シャフト40に固定される。また、上述したようにステータ30は、第一ケース51に固定される。ドラム4のドラム底部4e、水受槽3の底部3e、軸受けケース50の第一ケース51、ステータ30、ロータ20及び第二ケース52は、軸方向一方側D1から軸方向他方側D2に向かってこの順で並ぶ。
【0041】
回転シャフト40は、軸方向の中心軸線Jを中心として延在する。回転シャフト40は、ロータ20に固定されて、ロータ20とともに中心軸線J周りに回転する。回転シャフト40は、貫通孔51h、貫通孔52h及び水受槽3の底部3eの中央に設けられる貫通孔3hを通過する。なお、貫通孔3hと回転シャフト40との間には、図示略のシール構造が設けられる。回転シャフト40は、ベアリング5pを介して、ステータ30に回転可能に支持される。また、回転シャフト40は、軸方向一方側D1の端部において、ドラム4のドラム底部4eに固定される。すなわち、ロータ20は、回転シャフト40を介してドラム4のドラム底部4eに固定される。ロータ20のトルクは、回転シャフト40を介してドラム4に伝達される。
【0042】
ロータ20は、バックヨーク21と、複数のマグネット24と、を有する。ロータ20は、中心軸線Jを中心とする円環状である。バックヨーク21は、マグネット24の軸方向他方側D2に位置する。ロータ20は、バックヨーク21において回転シャフト40に固定される。
【0043】
複数のマグネット24は、中心軸線Jを中心とする周方向に沿って並ぶ。マグネット24は、軸方向を磁極方向とする。周方向に並ぶ複数のマグネット24は、N極とS極とを交互に反転して配置される。マグネット24は、バックヨーク21によって保持される。
【0044】
本実施形態において、マグネット24は、フェライト磁石である。しかしながら、マグネット24は、他の種類の磁石(例えば、ネオジム磁石のような希土類磁石)であってもよい。
【0045】
マグネット24は、異方性磁石であっても等方性磁石であってもよい。マグネット24が、異方性磁石である場合、マグネット24の磁化容易軸を軸方向とすることで、マグネット24の軸方向の磁力を全体的に高めることができる。一方で、マグネット24として等方性磁石を用いる場合には、異方性磁石と比較してロータ20を安価に製造できる。
【0046】
次に、第1の実施形態の組み立て方法について説明する。
まず、図1に示すように洗濯機1に備えられた水受槽3の底部3eの一部に軸受けケース50の第一ケース51が埋め込まれる。ここで、洗濯機1には、あらかじめ回転シャフト40が水受槽3の底部3eの中央に設けられる。回転シャフト40は、貫通孔3hを通過して取り付けられている。第一ケース51は、中心軸線Jを中心として、貫通孔51hに回転シャフト40を挿通する。第一ケース51は、水受槽3と一体化している。
【0047】
次に、モータ10のステータ30を第一ケース51の軸方向他方側D2を向く面に固定させる。さらに、モータ10のロータ20をステータ30の軸方向他方側D2に配置させて、バックヨーク21において回転シャフト40に固定する。
【0048】
その後、第一ケース51の外縁部51aと軸受けケース50の第二ケース52の外縁部52aとを接着させて、第一ケース51と第二ケース52とを一体化する。この構成により、軸受けケース50が形成される。軸受けケース50は、第一ケース51によって空間部52kの軸方向一方側D1が覆われることで、内部空間S1を形成する。
【0049】
第一ケース51は、第一ベアリング53pを保持する。第二ケース52は、第二ベアリング53qを保持する。軸受けケース50は、ベアリング53を保持する。第一ケース51は、水受槽3にインサート成形によって成形されており、軸受けケース50の一部は、水受槽3の底部3eに埋め込まれる。
【0050】
本実施形態によれば、軸受けケース50が、内部空間S1にモータ10を収容できるため、容易に組み立てることができる。また、モータ10の備えるステータ30と水受槽3とを単一の部品として扱うことが可能となり、組み立て工程を簡素化できる。
【0051】
本実施形態によれば、モータ10が軸受けケース50の内部空間S1に備えられるため、洗濯機1を小型化することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、モータ10はアキシャルギャップ型のモータである。そのため、水受槽3の軸方向他方側D2に配置されるモータ10を薄型化することで、水受槽3の軸方向他方側D2のスペースを小さくすることができ、洗濯機1の前後方向に小型化できる。また、インサート形成された軸受けケース50に対してモータ10を容易に組み立てることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
以下、軸受けケース50の第2の実施形態について図4及び図5を参照して説明する。
これらの図において、図1から図3に示す第1の実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
図4は、第2の実施形態に係る軸受けケース50Bを有する洗濯機1Bを上側から見た平面図である。洗濯機1Bは、筐体2、扉2a、水受槽(水槽)3、ドラム4、軸受けケース50B、減速機60、モータ10B、注水管5、及び排水管6を有する。洗濯機1は、ドラム式の洗濯機である。
【0055】
図5は、洗濯機1Bのモータ10Bを内部空間S2に備える軸受けケース50Bの断面模式図である。
軸受けケース50Bは、図5に示すように、中心軸線Jを中心とする筒状である。軸受けケース50は、内周面においてベアリング(軸受け)53を保持する。軸受けケース50は、ベアリング53と、第一ケース51Bと、第二ケース52Bと、を備える。
【0056】
第一ケース51Bは、軸受けケース50Bの軸方向一方側D1に備えられる。第一ケース51Bは、中心軸線Jを中心とし、軸方向と直交する平面に沿う略円盤板状である。第一ケース51Bの中央には、軸方向に貫通する貫通孔51Bhが備えられる。貫通孔51Bhには、回転シャフト40が挿通する。貫通孔51Bhは、周方向に内縁部51Bfを備える。内縁部51Bfは、第一ベアリング53pに連結する。この構成により、第一ケース51Bは、第一ベアリング53pを保持する。第一ケース51Bは、例えば熱伝導性に優れたアルミダイキャストを材料としている。なお、第一ケース51Bの材料は、ステンレス鋼板(SUS)や樹脂材料等であってもよい。
【0057】
第二ケース52Bは、軸受けケース50Bの軸方向他方側D2に備えられる。第二ケース52Bは、軸方向他方側D2に備えられた底部521Bと、底部521Bから軸方向一方側D1に向かって延びる側壁部522Bとを備える。第二ケース52Bは、底部521Bに軸方向に貫通する貫通孔52Bhを備える。貫通孔52Bhには、回転シャフト40が挿通する。ただし、貫通孔52Bhは必須の構成ではなく、軸方向他方側D2に底部を有する開口部であってもよい。貫通孔52Bhは、周方向に内縁部52Bfを備える。内縁部52Bfは、第二ベアリング53qに連結する。この構成により、第二ケース52Bは、第二ベアリング53qを保持する。第二ケース52Bは、底部521Bと、側壁部522Bとによって空間部52Bkを有している。そのため、第二ケース52Bは、中心軸線Jを中心に軸方向一方側D1に空間を設けた略カップ状に形成される。空間部52Bkは、第一ケース51Bに対して軸方向他方側D2から第二ケース52Bを取り付けることにより軸方向一方側D1を覆われる。中心軸線Jを中心とする第二ケース52Bの径方向には、支柱部523Bが備えられる。支柱部523Bは、基端部522Baを側壁部522Bに連結する。支柱部523Bは、軸方向と直交する平面に沿って延在する。第二ケース52は、例えば絶縁性の樹脂材料からなる。第二ケース52の材料は、ステンレス鋼板(SUS)やアルミダイキャスト等であってもよい。
【0058】
第一ケース51Bの径方向の最外端に備える外縁部51Baと第二ケース52Bの側壁部522Bの軸方向一方側D1に備える外縁部52Baとが接着されると、第一ケース51Bと第二ケース52Bとが一体化する。この構成により、軸受けケース50Bが形成される。軸受けケース50Bは、第一ケース51Bによって空間部52Bkの軸方向一方側D1が覆われることで、内部空間S2を形成する。また、第一ケース51Bは、第一ベアリング53pを保持する。第二ケース52Bは、第二ベアリング53qを保持する。この構成により、軸受けケース50Bは、ベアリング53を保持する。第一ケース51Bは、水受槽3にインサート成形によって成形されており、軸受けケース50Bの一部は、水受槽3の底部3eに埋め込まれる。
【0059】
減速機60は、図5に示すように、回転シャフト40の周囲に配置されている。減速機60は、回転シャフト40に連結する。減速機60は、ドラム4とモータ10との間に介在する。減速機60は、軸受けケース50Bに収容されている。減速機60は、例えば入力軸と出力軸が同心である遊星歯車機構を用いた減速機である。
【0060】
モータ10Bは、軸受けケース50Bの内部空間S2に備えられる。モータ10Bは、減速機60よりも軸方向他方側D2に配置される。モータ10Bは、ステータ30Bと、中心軸線Jの軸方向に隙間を介してステータ30Bに対向して回転するロータ20Bと、ロータ20Bに連結される回転シャフト40と、を備える。
【0061】
以下、ロータ20Bの構成について説明する。
ロータ20Bは、ステータ30Bの軸方向一方側D1に位置する。すなわち、ロータ20Bは、後述するコイル35の軸方向一方側D1に配置される。ロータ20Bは、回転シャフト40に固定される。ドラム4のドラム底部4e、水受槽3の底部3e、軸受けケース50Bの第一ケース51B、ロータ20B、ステータ30B、及び第二ケース52Bは、軸方向一方側D1から軸方向他方側D2に向かってこの順で並ぶ。
【0062】
ロータ20Bは、バックヨーク21Bと、複数のマグネット24と、を有する。ロータ20は、中心軸線Jを中心とする円環状である。バックヨーク21Bは、マグネット24の軸方向一方側D1に位置する。ロータ20Bは、バックヨーク21Bにおいて回転シャフト40に固定される。
【0063】
以下、ステータ30Bの構成について説明する。
ステータ30Bは、ロータ20Bの軸方向他方側D2に位置する。
【0064】
ステータ30Bは、第1の実施形態と同様に、ステータコア31と、複数のコイル35と、を有する。ステータ30Bは、中心軸線Jを中心とする円環状である。
【0065】
本実施形態によれば、軸受けケース50Bが、内部空間S2に減速機60及びモータ10Bを収容できるため、容易に組み立てることができる。また、モータ10Bの備えるステータ30Bと水受槽3とを単一の部品として扱うことが可能となり、組み立て工程を簡素化できる。
【0066】
また、本実施形態によれば、減速機60及びモータ10Bが軸受けケース50Bの内部空間S2に備えられるため、洗濯機1を小型化することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、洗濯機1Bが減速機60を備えているため、モータ10Bを低トルクにしても高速回転の出力を備えることができる。そのため、低トルクの小さなモータを選定でき、洗濯機1Bを小型化にすることができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0069】
(変形例)
上述の実施形態の軸受けケースの第二ケース52Cは、図6及び図7に示すように、径方向に備える側壁部522Cが、複数の脚部52cで形成されていてもよい。複数の脚部52cは、底部521から軸方向一方側D1に向かって延在し、第一ケース51に連結する。複数の脚部52cの間には、開口部52dが形成される。なお、脚部の数は特に限定されない。この場合は、複数の脚部の間に放熱用の開口部が形成されているため、モータが発生させる熱を放熱することができる。
【0070】
また、上述の実施形態の軸受けケースの第二ケース52Dは、図8及び図9に示すように、底部521Cが複数の窓部52eを備えていてもよい。窓部52eは、軸方向に貫通している。この場合も上述の構成と同様に、モータが発生させる熱を放熱することができる。
【0071】
また、上述の実施形態の軸受けケースは、減速機やモータを収容可能な内部空間を備えていればよい。軸受けケースの第一ケース及び第二ケースの大きさや形状は、特に限定されない。例えば、上述の実施形態では、第二ケースがカップ状であるが、第一ケースがカップ状でもよい。
【0072】
また、上述の実施形態の洗濯機のモータは、さらに制御部を備えてもよい。制御部はコイルに流れる電流を制御して、モータの回転動作を制御する。制御部は、例えば、CPU等のプロセッサやメモリや記憶媒体を有するコンピュータを備えており、ソフトウェアを実行可能である。制御部の機能は、ソフトウェアによって実現される。
【0073】
上述の実施形態では、本発明の構成を採用する洗濯機として、ドラム式の洗濯機を例示した。しかしながら、本発明の構成は縦型の洗濯機に採用されていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1、1B…洗濯機、2…筐体、3…水受槽(水槽)、4…ドラム、5…注水管、6…排水管、10、10B…モータ、20、20B…ロータ、30、30B…ステータ、40…シャフト、50、50B…軸受けケース、51,51B…第一ケース、52,52B、52C、52D…第二ケース、52c…脚部、52d…開口部、52d…窓部、53…ベアリング、53p…第一ベアリング(第一軸受け)、53q…第二ベアリング(第二軸受け)、60…減速機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9