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特開2023-131345車載装置、車両管理システムおよび車両管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131345
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】車載装置、車両管理システムおよび車両管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230914BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230914BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08G1/09 F
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036049
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】糠野 友彦
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 達哉
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF25
5H181FF32
5H181MA44
5H181MC19
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】貸し出された車両が正しい位置に返却されたか否かを精度良く判定することができる車載装置、車両管理システムおよび車両管理方法を提供する。
【解決手段】実施形態の一態様に係る車載装置においては、制御部を有する。制御部を有する。制御部は、貸し出される車両の返却予定位置の周辺が撮像された返却位置画像と、車両が返却されたときに車両の周辺が撮像された返却時画像とを取得し、取得した返却位置画像と返却時画像とを比較し、比較結果に基づいて車両が返却された位置が返却予定位置であるか否かを判定する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を有する車載装置であって、
前記制御部は、
貸し出される車両の返却予定位置の周辺が撮像された返却位置画像と、前記車両が返却されたときに前記車両の周辺が撮像された返却時画像とを取得し、
取得した前記返却位置画像と前記返却時画像とを比較し、比較結果に基づいて前記車両が返却された位置が前記返却予定位置であるか否かを判定する、
車載装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記車両が貸し出される貸出位置と前記返却予定位置とが同じである場合、前記車両が前記貸出位置から出発する前に前記車両の周辺が撮像された画像を前記返却位置画像として取得する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記車両が過去に前記返却予定位置に返却されたときに撮像された画像を前記返却位置画像として取得する、
請求項1または2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記車両とは異なる他車両が過去に前記返却予定位置に返却されたときに撮像された画像を前記返却位置画像として取得する、
請求項1~3のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項5】
前記制御部は、
複数の前記返却位置画像が取得された場合、前記返却時画像との比較に用いられる前記返却位置画像を、複数の前記返却位置画像に対してそれぞれ設定された優先度に基づいて選択する、
請求項1~4のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記返却予定位置を有する返却予定駐車場の入口が撮像された返却駐車場画像と、前記車両を返却するために前記車両が進入する駐車場の入口が撮像された進入時画像とを取得し、
取得した前記返却駐車場画像と前記進入時画像とを比較し、比較結果に基づいて前記車両が進入する駐車場が前記返却予定駐車場であるか否かを判定する、
請求項1~5のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記車両の返却予定時刻を含む返却予定時間帯を示す情報を取得し、
現在時刻が前記返却予定時間帯である場合に、前記車両が進入する駐車場が前記返却予定駐車場であるか否かの判定を実行する、
請求項6に記載の車載装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記車両の返却予定時刻を含む返却予定時間帯を示す情報を取得し、
現在時刻が前記返却予定時間帯である場合に、前記車両が返却された位置が前記返却予定位置であるか否かの判定を実行する、
請求項1~7のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項9】
車載装置と、サーバ装置とを含み、
前記サーバ装置は、
貸し出される車両の返却予定位置の周辺が撮像された返却位置画像を前記車載装置へ送信し、
前記車載装置は、
前記サーバ装置から送信された前記返却位置画像と、前記車両が返却されたときに前記車両の周辺が撮像された返却時画像とを取得し、
取得した前記返却位置画像と前記返却時画像とを比較し、比較結果に基づいて前記車両が返却された位置が前記返却予定位置であるか否かを判定する、
車両管理システム。
【請求項10】
貸し出される車両の返却予定位置の周辺が撮像された返却位置画像と、前記車両が返却されたときに前記車両の周辺が撮像された返却時画像とを取得し、
取得した前記返却位置画像と前記返却時画像とを比較し、比較結果に基づいて前記車両が返却された位置が前記返却予定位置であるか否かを判定する、
車両管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、車両管理システムおよび車両管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一台の車両を色々なユーザに貸し出すカーシェアリングサービスなどの車両貸出サービスに関する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来技術にあっては、車両の貸出・返却場所にカメラが設置され、車両の貸出時および返却時に、かかるカメラで車両の外観を撮像し、撮像された画像を比較することで、車両における傷や凹み等の異常の有無を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-219828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、貸し出された車両が正しい位置に返却されたか否かを精度良く判定するという点で、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、貸し出された車両が正しい位置に返却されたか否かを精度良く判定することができる車載装置、車両管理システムおよび車両管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車載装置において、制御部を有する。前記制御部は、貸し出される車両の返却予定位置の周辺が撮像された返却位置画像と、前記車両が返却されたときに前記車両の周辺が撮像された返却時画像とを取得し、取得した前記返却位置画像と前記返却時画像とを比較し、比較結果に基づいて前記車両が返却された位置が前記返却予定位置であるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、貸し出された車両が正しい位置に返却されたか否かを精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、実施形態に係る車両管理方法の概要を示す図である。
図1B図1Bは、実施形態に係る車両管理方法の概要を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る車載装置を含む車両管理システムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、車載装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、カーシェア情報の一例を示す図である。
図5図5は、返却駐車場画像を説明する図である。
図6図6は、優先度情報の一例を示す図である。
図7図7は、車載装置の出力部を示す図である。
図8図8は、サーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図9図9は、車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車載装置、車両管理システムおよび車両管理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<車両管理方法の概要>
まず、実施形態に係る車両管理方法の概要について、図1Aおよび図1Bを用いて説明する。図1A,1Bは、実施形態に係る車両管理方法の概要を示す図である。
【0011】
図1Aに示すように、実施形態に係る車両管理方法は、例えば車両Cに搭載された車載装置10などによって実行される。車両Cは、図示しないユーザに対して貸し出される車両であり、詳しくはシェアリングカーである。
【0012】
車載装置10は、例えばカメラセンサ(以下「カメラ」)などを含む各種センサ、記憶デバイス、マイクロコンピュータなどを有する装置である。上記したカメラは、例えば車両Cの前方や後方などの周辺を撮像する。なお、撮像された画像データは、静止画データであるが、これに限られず、動画データなどであってもよい。
【0013】
車載装置10としては、例えばドライブレコーダを用いることができる。なお、車載装置10の詳細な構成については図3を参照して後述する。
【0014】
ところで、従来技術にあっては、貸し出された車両が返却予定位置に正しく返却されたか否かを、GPS(Global Positioning System)センサなどで得られる車両の位置情報を用いて判定していた。すなわち、車両の位置情報が返却予定位置にある場合、車両が返却予定位置に正しく返却されたと判定するようにしていた。しかしながら、このように位置情報のみで判定するように構成すると、例えば地下駐車場などで位置情報をロストする場合や、マルチパス環境下で位置情報の誤差が大きくなり易い場合に、車両が返却予定位置に正しく返却されたか否かを精度良く判定することができないおそれがある。
【0015】
また、他の従来技術においては、車両の貸出・返却場所に設置されたカメラを用いて、貸出時および返却時に撮像された車両の外観画像を比較することで、車両が返却予定位置に正しく返却されたか否かを判定していた。しかしながら、このように車両の外観画像を用いるように構成すると、例えば貸出された車両と同じ外観の別車両(同じ車種、同じ色の車両など)が貸出・返却場所に停車した場合に、貸し出された車両が正しく返却されたと誤判定してしまうおそれがある。
【0016】
そこで、本実施形態に係る車載装置10にあっては、貸し出された車両Cが正しい位置に返却されたか否かを精度良く判定することができるような構成とした。
【0017】
なお、図1Aの例では、車両Cが返却される駐車場において、駐車位置(駐車枠)Pが複数あるものとする。また、複数の駐車位置Pのうち、車両Cが返却されるべき正しい位置(すなわち返却予定位置)を符号P1で示し、返却予定位置P1以外の他の駐車位置を符号P2で示している。また、ここでは、車両Cが貸し出される貸出位置と返却予定位置P1とが同じである場合を例に挙げて説明する。
【0018】
図1Aに示すように、貸出位置に駐車された車両Cをユーザに貸し出す貸出処理(ユーザ認証など)が完了すると、車載装置10は、車両Cの返却予定位置P1の周辺が撮像された返却位置画像A1(図1B参照)を取得する(ステップS1)。ここでは、貸出位置と返却予定位置P1とが同じであるため、車載装置10は、車両Cが貸出位置から出発する前に車両Cの周辺が撮像された画像を返却位置画像A1として取得する。そして、車載装置10は、取得した返却位置画像A1を、後述する返却位置判定処理の正解値(正解画像)として記憶する。
【0019】
ここで、返却位置画像A1について、図1Bを参照して説明する。図1Bに示すように、返却位置画像A1には、車両Cが返却予定位置P1に駐車されたことを示す特徴物(指標物)の画像、言い換えると、返却予定位置P1に駐車された車両Cから見える、車両C周辺の特徴物の画像が含まれる。特徴物の例としては、ポールB1、看板B2、建物B3、建物B3の窓B4などである。ポールB1および看板B2は、駐車枠付近に設置され、設置された駐車枠が返却予定位置P1であることを示すものである。建物B3や窓B4は、車両Cが返却予定位置P1に駐車されたときに車両Cから見えるものである。
【0020】
このポールB1や看板B2などの特徴物は、返却予定位置P1(貸出位置)に駐車したときに車両Cから撮像される画像に特有に含まれるものである。別言すれば、特徴物は、他の駐車位置P2(すなわち誤った駐車位置)に駐車した車両Cから撮像される画像には含まれない、あるいは、含まれても画像における位置が、返却予定位置P1に駐車した車両Cから撮像される画像における位置に対して変わるものである。なお、図1Bに示すポールB1や看板B2の設置位置、建物B3や窓B4の位置は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0021】
図1Aの説明を続けると、車両Cは貸出位置から出発し(矢印D1参照)、その後返却予定時刻になると、車両Cが戻ってきて駐車位置Pに駐車されて返却される(矢印D2参照)。
【0022】
この車両Cが駐車位置Pに駐車されて返却されるとき、車載装置10は、車両Cの周辺を撮像し、返却時画像A2(図1B参照)を取得する(ステップS2)。このように、返却時画像A2は、車両Cが返却されたときに車両Cの周辺が撮像された画像である。
【0023】
次いで、車載装置10は、正解値である返却位置画像A1と、返却時画像A2とを比較する(ステップS3)。例えば、車載装置10は、返却位置画像A1と返却時画像A2とを解析し、ポールB1、看板B2、建物B3および窓B4などの特徴物についてパターンマッチングを行う。
【0024】
そして、車載装置10は、比較結果に基づいて、車両Cが返却された位置(駐車位置P)が返却予定位置P1であるか否かを判定する(ステップS4)。詳しくは、車載装置10は、返却位置画像A1と返却時画像A2とが一致または略一致する比較結果である場合、車両Cが返却された位置が返却予定位置P1であると判定する、すなわち、貸し出された車両Cが正しい位置に返却されたと判定する。
【0025】
他方、車載装置10は、返却位置画像A1と返却時画像A2とが一致しない比較結果である場合(不一致となる比較結果である場合)、車両Cが返却された位置が返却予定位置P1ではないと判定する、すなわち、貸し出された車両Cが正しい位置に返却されておらず、誤った駐車位置(例えば駐車位置P2)に返却されていると判定する。かかる場合、車載装置10は、車両Cが正しい返却予定位置P1に返却されていないことをユーザに対して通知する(ステップS5)。
【0026】
なお、この通知は、車両Cが正しい返却予定位置P1に返却されていないことを示すメッセージの表示や音声出力などによって行われるが、これに限定されるものではない。また、車載装置10は、車両Cが正しい返却予定位置P1に返却されたことをユーザに対して通知してもよい。
【0027】
このように、本実施形態に係る車載装置10にあっては、返却位置画像A1と返却時画像A2とを取得して比較し、比較結果に基づいて車両Cが返却された位置が返却予定位置P1であるか否かを判定する返却位置判定処理を実行するようにした。
【0028】
これにより、本実施形態にあっては、貸し出された車両Cが正しい位置(返却予定位置P1)に返却されたか否かを精度良く判定することができる。すなわち、本実施形態にあっては、例えば車両Cの位置情報をロストする場合や、位置情報の誤差が大きくなり易い場合であっても、上記した返却位置画像A1と返却時画像A2とを用いることで、車両Cが正しい位置に返却されたか否かを精度良く判定することができる。
【0029】
また、本実施形態にあっては、車両の外観画像ではなく、車両Cから見える画像である返却位置画像A1や返却時画像A2を用いることで、例えば貸出された車両と同じ外観の別車両に対して正しく返却されたと誤判定してしまうことを回避することも可能となる。
【0030】
<車両管理システムの全体構成>
図2は、実施形態に係る車載装置10を含む車両管理システム1の構成例を示すブロック図である。なお、図2等のブロック図では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0031】
換言すれば、図2等のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0032】
また、図2以降の説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0033】
図2に示すように、実施形態に係る車両管理システム1は、車両の貸し出しなどを管理するシステムであり、上記した車載装置10と、端末装置40と、サーバ装置100とを含む。車載装置10と、端末装置40と、サーバ装置100とは、インターネット網などの通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。なお、図2では、図示の簡略化のため、車載装置10および端末装置40をそれぞれ1つ示したが、複数であってもよい。
【0034】
端末装置40は、車両を利用する(借りる)ユーザによって使用される装置である。例えば、端末装置40には、カーシェアリングに関するアプリケーションがインストールされ、かかるアプリケーションによって車両の貸し出し予約など各種の処理が行われる。なお、貸し出し予約においては、ユーザIDなどのユーザ情報、ユーザが貸し出しを所望する車両の種類や貸出位置、貸出予定時刻、返却位置、返却予定時刻などの各種情報が入力され、端末装置40は、各種情報をサーバ装置100へ送信する。なお、端末装置40は、各種情報を車載装置10へ送信してもよい。
【0035】
サーバ装置100は、車両の貸し出しなどを管理する処理を実行する。例えば、サーバ装置100は、インターネットや携帯電話回線網等のネットワークを介したクラウドサービスを提供するクラウドサーバとして実現されてもよいし、複数のサーバを用いて分散処理を行う構成であってもよい。なお、サーバ装置100の詳細な構成については図8を参照して後述する。
【0036】
<車載装置の構成>
車載装置10の構成について図3を参照して説明する。図3は、車載装置10の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、車載装置10は、通信部11と、GPSセンサ12と、カメラ13と、出力部14と、制御部20と、記憶部30とを備える。
【0037】
通信部11は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、サーバ装置100や端末装置40などとの間で情報の送受信を行う。
【0038】
GPSセンサ12は、車両の位置を検出し、検出した車両の位置を示す位置情報を制御部20へ出力する。カメラ13は、車両の周辺を撮像する。例えば、カメラ13は、車両の前方や後方などの周辺(周囲)を撮像し、撮像された画像を制御部20へ出力する。
【0039】
出力部14は、例えば車両が正しい返却予定位置P1(図1A参照)に返却されていない場合の通知など、各種の情報を出力する。例えば、出力部14は、ディスプレイなどの表示部やスピーカなどの音声出力部を含み、通知などの各種の情報を車両のユーザへ出力する。
【0040】
記憶部30は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部30には、カーシェア情報31、進入時画像32、返却時画像33、優先度情報34および各種プログラムなどが記憶される。
【0041】
カーシェア情報31は、車両を貸し出すカーシェアに関する情報である。ここで、図4を用いてカーシェア情報31について説明する。図4は、カーシェア情報31の一例を示す図である。
【0042】
図4に示すように、カーシェア情報31には、「カーシェア情報ID」、「車両ID」、「ユーザID」、「貸出予定時刻」、「貸出位置」、「貸出位置画像」、「返却予定時刻」、「返却予定時間帯」、「返却予定位置」、「返却位置画像」および「返却駐車場画像」等の項目が含まれ、各項目のデータは互いに関連付けられている。
【0043】
「カーシェア情報ID」は、カーシェア情報を識別する識別情報である。「車両ID」は、貸し出される車両を識別する識別情報である。「ユーザID」は、車両を利用する(借りる)ユーザを識別する識別情報である。
【0044】
「貸出予定時刻」は、車両の貸し出し予定の時刻を示す情報である。従って、「貸出予定時刻」は、ユーザが貸出位置に到着し、車両が貸出位置から出発する予定の時刻を示す情報であるともいえる。また、図4に示す例では、便宜上、「貸出予定時刻」を「H1」といったように抽象的な記載とするが、「H1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0045】
「貸出位置」は、車両が貸し出される位置(貸出位置)を示す位置情報である。「貸出位置画像」は、車両の貸出位置の周辺が撮像された画像である。なお、上記したように、貸出位置と返却予定位置P1とが同じである場合、車両が貸出位置から出発する前に車両の周辺が撮像された画像が貸出位置画像であり、また、後述する「返却位置画像」となる。
【0046】
「返却予定時刻」は、貸し出された車両の返却予定の時刻を示す情報である。従って、「返却予定時刻」は、車両がユーザによって返却予定位置に戻されて返却される予定の時刻を示す情報であるともいえる。
【0047】
「返却予定時間帯」は、返却予定時刻を含む返却予定時間帯を示す情報である。例えば、返却予定時間帯は、返却予定時刻より所定時間前の時刻から返却予定時刻までの時間帯である。なお、所定時間は、任意の値に設定可能である。一例として、返却予定時刻が18時である場合、返却予定時間帯は17時~18時などに設定される。
【0048】
「返却予定位置」は、車両が返却される位置(返却予定位置P1)を示す位置情報である。「返却位置画像」は、車両の返却予定位置P1の周辺が撮像された画像である。なお、貸出位置と返却予定位置P1とが同じである場合、返却位置画像は、上記した貸出位置画像となるが、これに限定されるものではない。
【0049】
すなわち、例えば貸出位置と返却予定位置P1とが異なる場合、あるいは、車両が貸出位置から出発する前に貸出位置画像が何らかの理由で撮像されなかった場合、返却位置画像は、車両が過去に返却予定位置P1に返却されたときに撮像された画像、すなわち、自車のカメラ13によって撮像された過去の画像(以下、「自車の過去画像」と記載する場合がある)であってもよい。
【0050】
また、例えば貸出位置と返却予定位置P1とが異なる場合、あるいは、車両が貸出位置から出発する前に貸出位置画像が何らかの理由で撮像されなかった場合、返却位置画像は、車両とは異なる他車両が過去に返却予定位置P1に返却されたときに撮像された画像、すなわち、他車のカメラ13によって撮像された過去の画像(以下、「他車の過去画像」と記載する場合がある)であってもよい。
【0051】
このように「返却位置画像」には、複数の返却位置画像が含まれる場合がある。なお、返却位置画像が複数ある場合、複数の返却位置画像の中から優先度情報34に基づいて、返却位置判定処理に用いられる画像が選択されるが、これについては後述する。
【0052】
「返却駐車場画像」は、返却予定位置P1を有する返却予定駐車場の入口が撮像された返却駐車場画像である。かかる返却駐車場画像は、車両が進入する駐車場が返却予定駐車場であるか否かを判定する駐車場判定処理(後述)の正解値(正解画像)として用いられる。
【0053】
ここで、返却駐車場画像Q1について、図5を参照して説明する。図5は、返却駐車場画像Q1を説明する図である。図5に示すように、返却駐車場画像Q1には、車両が進入する駐車場が返却予定駐車場であることを示す特徴物(指標物)の画像、言い換えると、返却予定駐車場に進入する車両から見える、返却予定駐車場の入口の特徴物の画像が含まれる。特徴物の例としては、返却予定駐車場の入口付近に設置された看板B6、入口付近に設置された街灯や道路標識などの道路設備B7、入口付近の道路標示B8などである。
【0054】
この看板B6や道路設備B7などの特徴物は、返却予定駐車場に進入する車両から撮像される画像に特有に含まれるものである。別言すれば、特徴物は、返却予定駐車場とは異なる他の駐車場(すなわち誤った駐車場)に進入する車両から撮像される画像には含まれないものである。なお、図5に示す看板B6や道路設備B7などの位置は、あくまでも例示であって限定されるものではない。また、返却駐車場画像Q1には、返却予定駐車場の入口付近の建物などその他の特徴物が含まれてもよい。
【0055】
図4の説明を続けると、図4に示すカーシェア情報31の例において、カーシェア情報ID「E1」で識別されるカーシェア情報は、車両ID「F1」で識別される車両が、ユーザID「G1」で識別されるユーザに対して貸し出されることを示している。また、カーシェア情報ID「E1」で識別されるカーシェア情報は、貸出予定時刻が「H1」、貸出位置が「I1」、貸出位置画像が「J1」、返却予定時刻が「K1」、返却予定時間帯が「L1」、返却予定位置が「M1」、返却位置画像が「N1」、返却駐車場画像が「Q1」であることを示している。
【0056】
図3の説明に戻ると、進入時画像32は、車両を返却するために車両が進入する駐車場の入口が撮像された画像である。詳しくは、進入時画像32は、車両が実際に駐車場に進入するときに、カメラ13によって駐車場の入口が撮像された画像である。かかる進入時画像32は、後述する駐車場判定処理に用いられる。
【0057】
返却時画像33は、車両が返却されたときに車両の周辺が撮像された画像である。詳しくは、返却時画像33は、車両が実際に駐車位置に返却されたときに、カメラ13によって車両の周辺(例えば前方や後方などの周辺)が撮像された画像である。かかる返却時画像33は、後述する返却位置判定処理に用いられる。
【0058】
優先度情報34は、返却位置画像が複数ある場合に、返却位置判定処理において、複数の返却位置画像の中から優先的に選択されて用いられる画像に関する情報である。ここでは、複数の返却位置画像に対してそれぞれ優先度が予め設定される。そして、複数の返却位置画像のうち、優先度の高い返却位置画像が返却位置判定処理に用いられる。
【0059】
ここで、図6を用いて優先度情報34について説明する。図6は、優先度情報34の一例を示す図である。図6に示すように、優先度情報34には、「画像の種類」および「優先度」等の項目が含まれ、各項目のデータは互いに関連付けられている。
【0060】
「画像の種類」は、返却位置画像の種類を示す情報である。「画像の種類」には、例えば「出発前の画像」、「自車の過去画像」、「他車の過去画像」などを示す情報が含まれる。
【0061】
「出発前の画像」は、上記した貸出位置と返却予定位置P1とが同じで、車両が貸出位置から出発する前に車両の周辺が撮像された画像を示す。「自車の過去画像」は、車両が過去に返却予定位置P1に返却されたときに撮像された画像を示す。「他車の過去画像」は、他車両が過去に返却予定位置P1に返却されたときに撮像された画像を示す。
【0062】
「優先度」は、複数の返却位置画像に中から、返却位置判定処理において優先的に選択される度合いを示す情報である。
【0063】
図6に示す優先度情報34の例において、画像の種類「出発前の画像」の優先度が「高」、画像の種類「自車の過去画像」の優先度が「中」、画像の種類「他車の過去画像」の優先度が「低」であることを示している。
【0064】
詳しくは「出発前の画像」は、貸し出された車両の車載装置10が備えるカメラ13によって撮像された画像であって、出発前に撮像された新しい画像であるため、正解値(正解画像)としての精度が比較的高く、よって優先度が「高」に設定される。また、「自車の過去画像」は、貸し出された車両の車載装置10が備えるカメラ13によって撮像された過去の画像であるため、正解値としての精度は「出発前の画像」に次いで高く、よって優先度が「中」に設定される。また、「他車の過去画像」は、他車の車載装置10が備えるカメラ13によって撮像された過去の画像であるため、正解値としての精度は「自車の過去画像」に次いで高く、よって優先度が「低」に設定される。なお、図6に示した各画像に対して設定された優先度は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0065】
従って、例えば返却位置画像として、「出発前の画像」、「自車の過去画像」および「他車の過去画像」がある場合、互いの優先度の比較が行われ、優先度の最も高い「出発前の画像」が返却位置判定処理において選択される。別の例では、返却位置画像として、「自車の過去画像」および「他車の過去画像」がある場合、互いの優先度の比較が行われ、優先度の高い「自車の過去画像」が返却位置判定処理において選択される。
【0066】
図3の説明に戻ると、制御部20は、取得部21と、駐車場判定部22と、返却位置判定部23と、通知部24とを備え、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0067】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20の取得部21、駐車場判定部22、返却位置判定部23および通知部24として機能する。また、制御部20の取得部21、駐車場判定部22、返却位置判定部23および通知部24の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0068】
制御部20の取得部21は、各種の画像を取得する。例えば、取得部21は、返却位置画像を取得する。詳しくは、取得部21は、記憶部30のカーシェア情報31にアクセスし、貸出位置の位置情報と返却予定位置P1の位置情報とが同じである場合、すなわち、貸出位置と返却予定位置P1とが同じである場合、車両が貸出位置から出発する前に車両の周辺をカメラ13で撮像し、撮像した画像を貸出位置画像および返却位置画像として取得する。そして、取得部21は、取得した貸出位置画像および返却位置画像を記憶部30にカーシェア情報31として記憶する。また、取得部21は、貸出位置画像(返却位置画像)を通信部11を介してサーバ装置100に送信する。
【0069】
このように、本実施形態にあっては、貸出位置から出発する前に撮像された貸出位置画像を返却位置画像として取得することで、返却位置判定処理において正解値(正解画像)となる返却位置画像を確実に取得することができる。
【0070】
また、取得部21は、貸出位置と返却予定位置P1とが異なる場合、あるいは、車両が貸出位置から出発する前に貸出位置画像が何らかの理由で撮像されなかった場合、車両が過去に返却予定位置P1に返却されたときに撮像された画像(自車の過去画像)を返却位置画像として取得する。例えば、取得部21は、サーバ装置100に対して自車の過去画像の送信要求を行い、サーバ装置100から送信される自車の過去画像を返却位置画像として取得する。そして、取得部21は、取得した返却位置画像を記憶部30にカーシェア情報31として記憶する。
【0071】
このように、本実施形態にあっては、自車の過去画像を返却位置画像として取得することで、貸出位置と返却予定位置P1とが異なる場合や貸出位置画像が撮像されなかった場合であっても、正解値(正解画像)である返却位置画像を確実に取得することができる。
【0072】
また、取得部21は、貸出位置と返却予定位置P1とが異なる場合、あるいは、車両が貸出位置から出発する前に貸出位置画像が何らかの理由で撮像されなかった場合、他車両が過去に返却予定位置P1に返却されたときに撮像された画像(他車の過去画像)を返却位置画像として取得する。例えば、取得部21は、サーバ装置100に対して他車の過去画像の送信要求を行い、サーバ装置100から送信される他車の過去画像を返却位置画像として取得する。そして、取得部21は、取得した返却位置画像を記憶部30にカーシェア情報31として記憶する。
【0073】
このように、他車の過去画像を返却位置画像として取得することで、貸出位置と返却予定位置P1とが異なる場合や貸出位置画像が撮像されなかった場合であっても、正解値(正解画像)である返却位置画像を確実に取得することができる。
【0074】
また、取得部21は、返却時画像を取得する。詳しくは、取得部21は、車両が返却されたときに車両の周辺をカメラ13で撮像し、撮像した画像を返却時画像として取得する。そして、取得部21は、取得した返却時画像を記憶部30に返却時画像33として記憶する。
【0075】
また、取得部21は、返却予定位置を有する返却予定駐車場の入口が撮像された返却駐車場画像を取得する。例えば、取得部21は、サーバ装置100に対して返却駐車場画像の送信要求を行い、サーバ装置100から送信される返却駐車場画像(正解値)を取得する。そして、取得部21は、取得した返却駐車場画像を記憶部30にカーシェア情報31として記憶する。
【0076】
また、取得部21は、進入時画像を取得する。詳しくは、取得部21は、GPSセンサ12から車両の位置を示す位置情報を取得する。取得部21は、取得した車両の位置が返却予定駐車場を含む所定範囲になった場合、車両を返却するために車両が返却予定駐車場に近づいたと判定し、車両が進入する駐車場の入口をカメラ13で撮像する。そして、取得部21は、撮像した画像を進入時画像として取得し、記憶部30に記憶する。なお、上記した所定範囲は、例えば返却予定駐車場の入口から数十メートルの範囲に設定されるが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、任意の値に設定可能である。
【0077】
また、取得部21は、車両の貸出予定時刻、返却予定時刻、返却予定時間帯などの車両のカーシェアリングに関する情報を取得する。例えば、取得部21は、サーバ装置100から送信される車両のカーシェアリングに関する情報を取得し、取得した情報を記憶部30にカーシェア情報31として記憶する。
【0078】
駐車場判定部22は、車両を返却するために車両が進入する駐車場が返却予定駐車場であるか否かを判定する駐車場判定処理を実行する。すなわち、駐車場判定部22は、車両が正しい返却予定駐車場に進入しているか否かを判定する。
【0079】
具体的には、駐車場判定部22は、記憶部30にアクセスし、正解値である返却駐車場画像と、進入時画像とを比較する。例えば、駐車場判定部22は、返却駐車場画像と進入時画像とを解析し、看板B6、道路設備B7および道路標示B8(図5参照)などの特徴物についてパターンマッチングを行う。
【0080】
そして、駐車場判定部22は、比較結果に基づいて、車両が進入する駐車場が返却予定駐車場であるか否かを判定する。詳しくは、駐車場判定部22は、返却駐車場画像と進入時画像とが一致または略一致する比較結果である場合、車両が進入する駐車場が返却予定駐車場であると判定する、すなわち、車両が正しい返却予定駐車場に進入していると判定する。
【0081】
なお、駐車場判定部22は、車両が正しい返却予定駐車場に進入していると判定された場合、駐車場判定処理に用いられた進入時画像は、正解値(正解画像)になり得ることから、当該進入時画像をサーバ装置100に送信してもよい。
【0082】
他方、駐車場判定部22は、返却駐車場画像と進入時画像とが一致しない比較結果である場合(不一致となる比較結果である場合)、車両が進入する駐車場が返却予定駐車場ではないと判定する、すなわち、車両が正しい返却予定駐車場に進入しておらず、誤った駐車場に進入していると判定する。駐車場判定部22は、上記した駐車場判定処理における判定結果を通知部24に出力する。
【0083】
このように、本実施形態にあっては、上記した返却駐車場画像と進入時画像とを取得して比較することで、車両が進入する駐車場が返却予定駐車場であるか否かを精度良く判定することができる。
【0084】
また、駐車場判定部22は、上記した駐車場判定処理を、返却予定時間帯のときに行うようにしてもよい。すなわち、駐車場判定部22は、現在時刻が返却予定時間帯である場合に、車両が進入する駐車場が返却予定駐車場であるか否かの判定を実行する。
【0085】
これにより、本実施形態にあっては、不要な駐車場判定処理の実行を回避することができる。すなわち、例えば貸し出された車両は、返却予定時間帯以外のときに目的地の駐車場(正確には返却予定駐車場以外の駐車場)に進入するなど、返却以外で駐車場に進入する場合がある。本実施形態にあっては、駐車場判定処理が返却予定時間帯のときに行われるようにしたので、このような目的地の駐車場への進入については、駐車場判定処理が実行されない、すなわち、不要な駐車場判定処理の実行を回避することができる。
【0086】
返却位置判定部23は、車両が返却された位置が返却予定位置P1であるか否かを判定する返却位置判定処理を実行する。すなわち、返却位置判定部23は、車両が正しい位置に返却されたか否かを判定する。
【0087】
具体的には、返却位置判定部23は、記憶部30にアクセスし、正解値である返却位置画像と、返却時画像とを比較する。ここでは、上記したように、返却位置画像と返却時画像とが解析されて、各画像含まれる特徴物についパターンマッチングが行われる。
【0088】
そして、返却位置判定部23は、比較結果に基づいて車両が返却された位置が返却予定位置P1であるか否かを判定する。詳しくは、返却位置判定部23は、返却位置画像と返却時画像とが一致または略一致する比較結果である場合、車両が返却された位置が返却予定位置P1であると判定する、すなわち、貸し出された車両が正しい位置に返却されたと判定する。
【0089】
なお、返却位置判定部23は、車両が正しい位置に返却されたと判定された場合、返却位置判定処理に用いられた返却時画像は、正解値(正解画像)になり得ることから、当該返却時画像をサーバ装置100に送信してもよい。
【0090】
一方、返却位置判定部23は、返却位置画像と返却時画像とが不一致となる比較結果である場合、車両が返却された位置が返却予定位置P1ではないと判定する、すなわち、貸し出された車両が正しい位置に返却されておらず、誤った駐車位置に返却されていると判定する。返却位置判定部23は、上記した返却位置判定処理における判定結果を通知部24に出力する。
【0091】
このように、本実施形態にあっては、上記した返却位置画像と返却時画像とを取得して比較することで、貸し出された車両が正しい位置(返却予定位置P1)に返却されたか否かを精度良く判定することができる。
【0092】
また、返却位置判定部23は、返却位置画像が複数ある場合、優先度情報34(図6参照)に基づいて返却位置判定処理に用いられる返却位置画像を選択する。
【0093】
具体的には、返却位置画像には、上記した「出発前の画像」、「自車の過去画像」、「他車の過去画像」など複数ある。返却位置判定部23は、例えば返却位置画像として、「出発前の画像」、「自車の過去画像」および「他車の過去画像」がある場合、優先度情報34に基づき、優先度の最も高い「出発前の画像」を返却位置判定処理に用いる画像として選択する。
【0094】
「出発前の画像」は、他の画像に比べて正解値としての精度が高いことから、返却位置判定部23は、車両が正しい位置(返却予定位置P1)に返却されたか否かをより精度良く判定することができる。
【0095】
別の例では、返却位置判定部23は、例えば返却位置画像として、「自車の過去画像」および「他車の過去画像」がある場合、優先度情報34に基づき、優先度の最も高い「自車の過去画像」を返却位置判定処理に用いる画像として選択する。「自車の過去画像」は、「他車の過去画像」に比べて正解値としての精度が高いことから、返却位置判定部23は、車両が正しい位置(返却予定位置P1)に返却されたか否かをより精度良く判定することができる。
【0096】
また、返却位置判定部23は、上記した返却位置判定処理を、返却予定時間帯のときに行うようにしてもよい。すなわち、返却位置判定部23は、現在時刻が返却予定時間帯である場合に、車両が返却された位置が返却予定位置であるか否かの判定を実行する。
【0097】
これにより、本実施形態にあっては、不要な返却位置判定処理の実行を回避することができる。すなわち、例えば貸し出された車両は、返却予定時間帯以外のときに目的地(正確には返却予定位置以外の場所)に駐車するなど、返却以外で駐車する場合がある。本実施形態にあっては、返却位置判定処理が返却予定時間帯のときに行われるようにしたので、このような目的地での駐車については、返却位置判定処理が実行されない、すなわち、不要な返却位置判定処理の実行を回避することができる。
【0098】
通知部24は、ユーザに対して各種の通知を行う。例えば、通知部24は、返却位置判定部23や駐車場判定部22における判定結果に応じて通知を行う。具体的には、通知部24は、返却位置判定部23によって車両が返却された位置が返却予定位置P1ではないと判定された場合、車両が正しい返却予定位置P1に返却されていないことをユーザに対して通知する。
【0099】
ここで、車両が正しい返却予定位置P1に返却されていないことの通知について図7を参照しつつ説明する。図7は、車両が正しい返却予定位置P1に返却されていないことの通知が行われた車載装置10の出力部(ディスプレイ)14を示す図である。
【0100】
図7に示すように、通知部24は、車両が正しい返却予定位置P1に返却されていないことを示す情報を、出力部(ディスプレイ)14の表示欄200に表示させて通知する。表示欄200には、例えば「返却する位置が違います。返却位置を確認してください。」など、車両が返却予定位置P1に返却されていないことを示すメッセージが表示される。
【0101】
これにより、本実施形態にあっては、車両が返却予定位置P1に返却されていないことをユーザに対して認識させることができるとともに、車両を正しい返却予定位置P1に返却するように促すことが可能になる。なお、上記では、メッセージが出力部(ディスプレイ)14に表示されるようにしたが、これに限られず、例えばメッセージが出力部14であるスピーカから出力されるなど、その他の手法で通知されてもよい。
【0102】
図3の説明を続けると、通知部24は、駐車場判定部22によって車両が進入する駐車場が返却予定駐車場ではないと判定された場合、車両が正しい返却予定駐車場に進入していないことをユーザに対して通知する。
【0103】
これにより、本実施形態にあっては、車両が返却予定駐車場に進入していないことをユーザに対して認識させることができるとともに、車両を正しい返却予定駐車場に進入させるように促すことが可能になる。
【0104】
なお、上記では、通知部24は、車両が返却予定位置P1に返却されていない場合や、車両が進入する駐車場が返却予定駐車場ではない場合に通知処理を行うようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば通知部24は、車両が返却予定位置P1に返却されたと判定された場合に、車両が正しい返却予定位置P1に返却されたことを通知してもよい。同様に、通知部24は、車両が進入する駐車場が返却予定駐車場であると判定された場合に、車両が正しい返却予定駐車場に進入したことを通知してもよい。
【0105】
また、通知部24は、現在時刻が返却予定時間帯であるにもかかわらず、車両が返却予定駐車場付近にいない場合、言い換えると、車両の位置を示す位置情報が返却予定駐車場から比較的離れた場所である場合、ユーザに対して返却予定駐車場へ向かうように通知してもよい。
【0106】
<サーバ装置の構成>
次いで、サーバ装置100の構成について図8を参照して説明する。図8は、サーバ装置100の構成例を示すブロック図である。図8に示すように、サーバ装置100は、通信部101と、制御部110と、記憶部120とを備える。
【0107】
通信部101は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、車載装置10や端末装置40などとの間で情報の送受信を行う。
【0108】
また、記憶部120は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部120は、カーシェア情報121、登録画像情報122および各種プログラムなどが記憶される。
【0109】
カーシェア情報121は、上記した車載装置10の記憶部30に記憶されたカーシェア情報31(図4参照)と同じであるため、ここでの説明を省略する。このように、車載装置10とサーバ装置100とにおいて、カーシェア情報31,121が共有されるが、これに限定されるものではない。
【0110】
登録画像情報122は、サーバ装置100に登録された画像に関する情報である。登録画像には、例えば複数の車両(シェアリングカー)からそれぞれ送信された返却位置画像、返却駐車場画像などが含まれる。登録された返却位置画像および返却駐車場画像には、当該返却位置画像および返却駐車場画像に対応する返却予定位置、ユーザID、車両ID、撮像日時などの対応情報が紐づけられる。
【0111】
なお、登録画像情報122に登録される返却位置画像は、過去に正しい返却予定位置に返却された車両のカメラ13によって撮像された画像であるが、これに限られず、例えばカーシェア管理者によって予め撮像された画像などであってもよい。同様に、登録画像情報122に登録される返却駐車場画像は、過去に正しい返却予定駐車場に進入した車両のカメラ13によって撮像された画像であるが、これに限られず、例えばカーシェア管理者によって予め撮像された画像などであってもよい。
【0112】
制御部110は、受付部111と、管理部112とを備え、例えば、CPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部110の受付部111および管理部112として機能する。また、制御部110の受付部111および管理部112の少なくともいずれか一部または全部をASICやFPGA等のハードウェアで構成することもできる。
【0113】
受付部111は、端末装置40から車両の貸し出しに関する情報を受け付ける。例えば、受付部111は、ユーザの端末装置40から貸し出し予約を受け付ける。貸し出し予約には、ユーザIDなどのユーザ情報、ユーザが貸し出しを所望する車両の種類(車両ID)や貸出位置、貸出予定時刻、返却位置、返却予定時刻などの各種情報を含み、受付部111は、かかる各種情報を記憶部120のカーシェア情報121に登録する。
【0114】
管理部112は、記憶部120に登録されたカーシェア情報121を読み込み、通信部101を介して車載装置10へ送信する。これにより、車載装置10は、カーシェアリングに関する情報を取得することができる。
【0115】
また、管理部112は、車載装置10から貸出位置画像(貸出位置と返却予定位置P1とが同じである場合は返却位置画像でもある)が送信される場合、送信された画像を記憶部120のカーシェア情報121に登録する。
【0116】
また、管理部112は、車載装置10から返却時画像が送信される場合、かかる返却時画像は、上記したように返却位置判定処理の正解値(正解画像)になり得ることから、登録画像情報122に返却位置画像として登録する。
【0117】
また、管理部112は、車載装置10から進入時画像が送信される場合、かかる進入時画像は、上記したように駐車場判定処理の正解値(正解画像)になり得ることから、登録画像情報122に返却駐車場画像として登録する。
【0118】
また、管理部112は、車載装置10から自車の過去画像の送信要求を受け付けると、記憶部120に登録された登録画像情報122から、送信要求に対応する自車の過去画像を読み出し、通信部101を介して車載装置10へ送信する。これにより、車載装置10は、自車の過去画像を取得して返却位置画像とすることができる。
【0119】
また、管理部112は、車載装置10から他車の過去画像の送信要求を受け付けると、記憶部120に登録された登録画像情報122から、送信要求に対応する他車の過去画像を読み出し、通信部101を介して車載装置10へ送信する。これにより、車載装置10は、他車の過去画像を取得して返却位置画像とすることができる。
【0120】
また、管理部112は、車載装置10から返却駐車場画像の送信要求を受け付けると、記憶部120に登録された登録画像情報122から、送信要求に対応する返却駐車場画像を読み出し、通信部101を介して車載装置10へ送信する。これにより、車載装置10は、返却駐車場画像を取得することができる。
【0121】
このように、本実施形態に係る車両管理システム1において、サーバ装置100は、返却位置画像や返却駐車場画像などを送信する。そして、車載装置10は、サーバ装置100から送信された返却位置画像や返却駐車場画像などに基づいて、返却位置判定処理や駐車場判定処理を行う。これにより、本実施形態に係る車載装置10は、返却位置画像や返却駐車場画像などを確実に取得することができ、結果として返却位置判定処理や駐車場判定処理などを精度良く行うことができる。
【0122】
<車載装置の制御処理>
次に、車載装置10における具体的な処理手順の一例について図9を用いて説明する。図9は、車載装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0123】
図9に示すように、車載装置10の制御部20は、返却位置画像および返却駐車場画像を取得する(ステップS10)。例えば、制御部20は、車両においてイグニッションがオンされると、返却位置判定処理の正解値である返却位置画像と、駐車場判定処理の正解値である返却駐車場画像を取得する。
【0124】
ステップS10では、例えば貸出位置と返却予定位置P1とが同じである場合、制御部20は、貸出位置から出発する前に車両の周辺を撮像して得た貸出位置画像を返却位置画像として取得する。また、貸出位置と返却予定位置P1とが異なる場合などには、制御部20は、サーバ装置100から自車の過去画像や他車の過去画像を返却位置画像として取得してもよい。また、制御部20は、サーバ装置100から返却駐車場画像を取得する。
【0125】
次いで、制御部20は、現在時刻が返却予定時間帯であるか否かを判定する(ステップS11)。制御部20は、現在時刻が返却予定時間帯ではないと判定された場合(ステップS11,No)、ステップS11の処理を繰り返す。
【0126】
一方、制御部20は、現在時刻が返却予定時間帯であると判定された場合(ステップS11,Yes)、車両の位置情報および返却予定位置の位置情報とに基づき、車両が返却予定位置を有する返却予定駐車場付近にいるか否かを判定する(ステップS12)。
【0127】
制御部20は、車両が返却予定駐車場付近にいないと判定された場合(ステップS12,No)、別言すれば車両の位置が返却予定駐車場から比較的離れた場所である場合、ユーザに対して返却予定駐車場付近へ向かうように通知する処理を実行し(ステップS13)、ステップS12の処理へ戻る。
【0128】
制御部20は、車両が返却予定駐車場付近であると判定された場合(ステップS12,Yes)、車両が実際に進入する駐車場の入口が撮像された進入時画像を取得する(ステップS14)。
【0129】
次いで、制御部20は、返却駐車場画像と進入時画像とを比較し、比較結果に基づいて車両が進入する駐車場が返却予定駐車場であるか否かを判定する(ステップS15)。制御部20は、車両が進入する駐車場が返却予定駐車場ではないと判定された場合(ステップS15,No)、車両が正しい返却予定駐車場に進入していないことを通知する処理を実行し(ステップS16)、ステップS14の処理へ戻る。
【0130】
一方、制御部20は、車両が進入する駐車場が返却予定駐車場であると判定された場合(ステップS15,Yes)、車両が実際に返却されたときに車両の周辺が撮像された返却時画像を取得する(ステップS17)。
【0131】
次いで、制御部20は、返却位置画像と返却時画像とを比較し、比較結果に基づいて、車両が返却された位置が返却予定位置P1であるか否かを判定する(ステップS18)。制御部20は、車両が返却された位置が返却予定位置P1ではないと判定された場合(ステップS18,No)、車両が正しい返却予定位置P1に返却されていないことを通知する処理を実行し(ステップS19)、ステップS17の処理へ戻る。
【0132】
一方、制御部20は、車両が返却された位置が返却予定位置P1であると判定された場合(ステップS18,Yes)、車両が正しい返却予定位置P1に返却されていることから、そのまま処理を終了する。
【0133】
上述してきたように、実施形態に係る車載装置10は、制御部20を有する。制御部20は、貸し出される車両の返却予定位置P1の周辺が撮像された返却位置画像と、車両が返却されたときに車両の周辺が撮像された返却時画像とを取得し、取得した返却位置画像と返却時画像とを比較し、比較結果に基づいて車両が返却された位置が返却予定位置P1であるか否かを判定する。これにより、貸し出された車両が正しい位置に返却されたか否かを精度良く判定することができる。
【0134】
なお、上記では、実施形態がカーシェアリングサービスに適用される例を示したが、これに限定されるものではなく、車両を貸し出すようなものであれば、例えばレンタカーサービスなどその他の種類のサービスに適用されてもよい。
【0135】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0136】
1 車両管理システム
10 車載装置
20 制御部
100 サーバ装置
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9