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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131362
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】無線給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20230914BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20230914BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20230914BHJP
   H02J 50/80 20160101ALN20230914BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/20
H02J50/40
H02J50/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036074
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 翼
(72)【発明者】
【氏名】婦木 慎一郎
(57)【要約】
【課題】送電装置と受電装置との間に遮蔽物が進入する場合であっても、送電装置から受電装置への給電についての効率低下を抑えることのできる無線給電システムを提供する。
【解決手段】検知部24A,24B,24Cによって複数の受電装置10のうちのいずれかと送電装置20との間に遮蔽物Mが存在することを検知している場合には、送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を次のように設定する。遮蔽物Mの存在が検知されている受電装置10Bに対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を、検知部24A,24B,24Cのいずれによっても遮蔽物Mを検知していない場合よりも少なくする。遮蔽物Mの存在が検知されていない受電装置10A,10Cに対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を、検知部24A,24B,24Cのいずれによっても遮蔽物Mを検知していない場合よりも多くする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線給電によって電力を送る送電装置と、
前記送電装置から送られる電力を受ける複数の受電装置と、
前記送電装置と前記複数の受電装置との間を遮る遮蔽物の存在を検知する検知部と、
前記検知部によって前記複数の受電装置のうちのいずれかと前記送電装置との間に前記遮蔽物が存在することを検知している場合には、前記検知部によって前記送電装置と前記複数の受電装置との間を遮る前記遮蔽物の存在を検知していない場合よりも、前記送電装置との間に前記遮蔽物が存在することを検知している前記受電装置に対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を少なくするとともに、前記送電装置との間に前記遮蔽物が存在することを検知していない前記受電装置に対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を多くする電力量設定部と、
を有する無線給電システム。
【請求項2】
前記電力量設定部は、前記遮蔽物が存在することを検知している前記受電装置に対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を少なくした分の電力を、前記遮蔽物が存在することを検知していない前記受電装置に対して前記送電装置が発する電力に振り分けることで、当該送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を多くするものである
請求項1に記載の無線給電システム。
【請求項3】
前記電力量設定部は、前記送電装置との間に前記遮蔽物が存在することを検知している前記受電装置に対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を「0」にする
請求項1または2に記載の無線給電システム。
【請求項4】
前記送電装置の作動期間は、一定時間にわたって前記送電装置が電力を発する送電実行期間と、一定時間にわたって前記送電装置が電力を発しない送電休止期間と、が交互に並ぶ期間であり、
前記電力量設定部は、
前記遮蔽物が存在することを検知している前記受電装置に対して前記送電装置が電力を発する第1期間の前記送電実行期間に占める割合を低くすることで、当該受電装置に対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を少なくするものであり、且つ、
前記遮蔽物が存在することを検知していない前記受電装置に対して前記送電装置が電力を発する第2期間の前記送電実行期間に占める割合を高くすることで、当該受電装置に対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を多くするものである
請求項1~3のいずれか一項に記載の無線給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電装置から受電装置への無線給電を行う無線給電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器への給電を非接触で行う、いわゆる無線給電が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の無線給電システムは、送電装置と受電装置とを有する。この無線給電システムでは、送電装置から電力(詳しくは、送電用の電波)が送られるとともに、この電力が受電装置によって受電される。
【0003】
特許文献1に記載の無線給電システムは、送電装置と受電装置とが互いに見通せない位置に設けられた場合に、送電装置から受電装置への無線給電が可能になっている。この場合、無線給電システムは、送電装置から電力を送る方向を変更(調整)することで、受電装置への給電機能を維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6125471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、無線給電システムでは、送電装置と受電装置との間に遮蔽物が進入すると、送電装置から送られる電力(電波)が遮蔽物によって遮られてしまうため、給電の効率が低くなる。そして、場合によっては、送電装置から受電装置への給電ができなくなる。
【0006】
この場合、特許文献1に記載の無線給電システムのように、送電装置から電力を送る方向を変更することで、受電装置への給電機能を維持することは可能になる。ただし、この場合には、受電装置に対する電波の入射角度が同受電装置による受電において不利な角度になってしまうため、受電装置における受電の効率は自ずと低くなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための無線給電システムは、無線給電によって電力を送る送電装置と、前記送電装置から送られる電力を受ける複数の受電装置と、前記送電装置と前記複数の受電装置との間を遮る遮蔽物の存在を検知する検知部と、前記検知部によって前記複数の受電装置のうちのいずれかと前記送電装置との間に前記遮蔽物が存在することを検知している場合には、前記検知部によって前記送電装置と前記複数の受電装置との間を遮る前記遮蔽物の存在を検知していない場合よりも、前記送電装置との間に前記遮蔽物が存在することを検知している前記受電装置に対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を少なくするとともに、前記送電装置との間に前記遮蔽物が存在することを検知していない前記受電装置に対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を多くする電力量設定部と、を有する。
【0008】
上記構成において、複数の受電装置のうちのいずれかと送電装置との間を遮る遮蔽物が検知される場合には、送電装置との間が遮蔽物で遮られる受電装置(以下、受電装置A)に対しては、送電装置からの高効率での給電が見込めない。そのため、受電装置Aに対して送電装置からの送電を行っても給電効率の低下を招く可能性が高いとして、受電装置Aに対して送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を少なくする。一方、複数の受電装置のうちのいずれかと送電装置との間を遮る遮蔽物が検知される場合であっても、この遮蔽物によって送電装置との間が遮られない受電装置(以下、受電装置B)に対しては、送電装置からの高効率での給電が見込める。そのため、受電装置Bに対して送電装置からの送電を行った場合には給電効率の低下を招く可能性が低いとして、受電装置Bに対して送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を多くする。
【0009】
上記構成によれば、高効率での給電が見込めない受電装置Aに対して送電装置が発する電力の量を少なくするとともに、少なくした分の電力を、高効率での給電が見込める受電装置Bへの送電のために利用することができる。このように、送電装置から送られる電力を複数の受電装置に適当に分配することで、受電装置によって効率よく受電することができる。したがって上記構成によれば、送電装置と受電装置との間に遮蔽物が進入する場合であっても、送電装置から受電装置への給電についての効率低下を抑えることができる。
【0010】
上記無線給電システムにおいて、前記電力量設定部は、前記遮蔽物が存在することを検知している前記受電装置に対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を少なくした分の電力を、前記遮蔽物が存在することを検知していない前記受電装置に対して前記送電装置が発する電力に振り分けることで、当該送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を多くするものであることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、高効率での給電が見込めない受電装置Aに対して送電装置が発する電力の量を少なくした分の電力を、高効率での給電が見込める受電装置Bへの送電に振り分けて利用することができる。そのため、受電装置Aに対して送電装置が発する電力の量を少なくするとはいえ、送電装置の発する電力の総量を一定に保つことができる。これにより、送電装置の送電能力のほぼ全てを利用して、受電装置に対して電力を送ることができる。
【0012】
上記無線給電システムにおいて、前記電力量設定部は、前記送電装置との間に前記遮蔽物が存在することを検知している前記受電装置に対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を「0」にすることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、複数の受電装置のうちの高効率での給電が見込める受電装置Bに対してのみ、送電装置から電力が送られるようになる。そのため、送電装置から複数の受電装置への給電についての効率低下を好適に抑えることができる。
【0014】
上記無線給電システムにおいて、前記送電装置の作動期間は、一定時間にわたって前記送電装置が電力を発する送電実行期間と、一定時間にわたって前記送電装置が電力を発しない送電休止期間と、が交互に並ぶ期間であり、前記電力量設定部は、前記遮蔽物が存在することを検知している前記受電装置に対して前記送電装置が電力を発する第1期間の前記送電実行期間に占める割合を低くすることで、当該受電装置に対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を少なくするものであり、且つ、前記遮蔽物が存在することを検知していない前記受電装置に対して前記送電装置が電力を発する第2期間の前記送電実行期間に占める割合を高くすることで、当該受電装置に対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を多くするものであることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、受電装置Aに対して送電を実行する第1期間の上記送電実行期間に占める割合を低くすることで、言い換えれば、第1期間の時間長を短くすることで、受電装置Aに対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を少なくすることができる。また、受電装置Bに対して送電を実行する第2期間の上記送電実行期間に占める割合を高くすることで、言い換えれば、第2期間の時間長を長くすることで、受電装置Bに対して前記送電装置が発する単位時間当たりの電力の量を多くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、送電装置と受電装置との間に遮蔽物が進入する場合であれ、送電装置から受電装置への給電についての効率低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】無線給電システムにおける送電装置と複数の受電装置との位置関係を示す略図である。
図2】無線給電システムの概略構成を示すブロック図である。
図3】無線給電システムにおける送電装置の作動期間の一例を示す略図である。
図4】設定制御の実行手順を示すフローチャートである。
図5】無線給電システムにおける送電装置の作動期間の他の例を示す略図である。
図6】検知部のいずれか1つによって遮蔽物が検知されている状況における送電装置と複数の受電装置との位置関係を示す略図である。
図7】無線給電システムにおける送電装置の作動期間のその他の例を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、無線給電システムの一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の無線給電システムは、3つの受電装置10を有している。3つの受電装置10は工場に設置された棚に取り付けられている。各受電装置10は間隔を置いて配置されている。本実施形態の無線給電システムは、送電装置20を有している。送電装置20は、工場における上記棚に対向する壁Wに取り付けられている。
【0019】
本実施形態の無線給電システムは、電波(マイクロ波)式の無線給電により、共用の送電装置20から複数の受電装置10への給電を行うものである。無線給電システムは、受電装置10の作動のための電力を同受電装置10に供給する。
【0020】
以下、本実施形態の無線給電システムの各構成部品について説明する。
<送電装置20>
図2に示すように、送電装置20は、データ通信部21、送電部22、制御部23、および検知部24A,24B,24Cを備えている。
【0021】
データ通信部21は、通信アンテナ211を有している。データ通信部21は、通信アンテナ211の作動制御を通じて、受電装置10との間での各種のデータ通信を実行する。
【0022】
送電部22は、送電アンテナ221を有している。送電部22は、電源25から供給される電力を電力伝送信号に変換するとともに、この電力伝送信号を送電アンテナ221の作動制御を通じて受電装置10に送信する。
【0023】
制御部23としては、例えばマイクロコントロールユニットが用いられる。制御部23は、プロセッサと記憶部26とを備えている。記憶部26は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部26には、3つの受電装置10(10A,10B,10C)の位置が予め記憶されている。制御部23は、データ通信部21の作動制御や送電部22の作動制御など、送電装置20の作動制御にかかる各種制御を実行する。
【0024】
図1および図2に示すように、検知部24A,24B,24Cは送電装置20の筐体に取り付けられている。検知部24A,24B,24Cは、赤外線センサによって構成される。検知部24A,24B,24Cは、送電装置20と3つの受電装置10との間を遮る遮蔽物Mの存在を検知するためのものである。検知部24Aは、3つの受電装置10のうちの1つ(受電装置10A)と送電装置20との間を遮る遮蔽物Mの存在を検知する。検知部24Bは、受電装置10Bと送電装置20との間を遮る遮蔽物Mの存在を検知する。検知部24Cは、受電装置10Cと送電装置20との間を遮る遮蔽物Mの存在を検知する。各検知部24A,24B,24Cの検出信号は制御部23に取り込まれている。
【0025】
<受電装置10>
受電装置10について説明する。なお、3つの受電装置10(10A,10B,10C)は同一の構造をなしている。そのため図2においては、各受電装置10における同一構成の部分には同一の符号を付して示すとともに、同部分についての以下での重複する説明は割愛する。
【0026】
各受電装置10は、データ通信部11、受電部12、蓄電池13、および制御部14を有している。
データ通信部11は、通信アンテナ111を有している。データ通信部11は、通信アンテナ111の作動制御を通じて、送電装置20との間での各種のデータ通信を実行する。
【0027】
受電部12は、受電アンテナ121を有している。受電部12は、受電アンテナ121の作動を制御することで、送電装置20から送信される電力伝送信号を受信する。受電部12は、整流回路や変圧回路を有している。受電部12は、整流回路や変圧回路を利用して、上記電力伝送信号を直流電力に変換する。本実施形態では、受電部12により変換された直流電力が蓄電池13に供給されることで、同蓄電池13が充電される。
【0028】
蓄電池13は、電力を蓄える二次電池である。本実施形態では、蓄電池13が、受電装置10の電源として利用される。
制御部14としては、例えばマイクロコントロールユニットが用いられる。制御部14は、プロセッサと記憶部15とを備えている。記憶部15は、ROMおよびRAMを含む。記憶部15には、送電装置20との間でのデータ通信によって受信したデータが記憶されている。制御部14は、データ通信部11の作動制御や、受電部12の作動制御など、受電装置10の作動制御にかかる各種制御を実行する。
【0029】
本実施形態の無線給電システムは、基本的には、送電装置20から複数の受電装置10への無線給電を以下のような考えのもとに実行する。
図3に示すように、送電装置20の作動期間は、一定時間にわたって送電装置20が電力(詳しくは、電力伝送信号)を発する送電実行期間TGと、一定時間(例えば、数ミリ秒)にわたって送電装置20が電力を発しない送電休止期間TSとを有している。送電実行期間TGと送電休止期間TSとは交互に並ぶように定められる。本実施形態では、送電実行期間TGにおいて継続的に送電装置20からの送電を実行するとともに、その後の送電休止期間TSにおいて送電装置20からの送電を停止するといった動作を繰り返すようになっている。
【0030】
本実施形態では、基本的には、前記送電実行期間TGが、時間長の等しい3つの期間T1,T2,T3に区分される。そして、期間T1は、受電装置10Aに向けて送電装置20から電力伝送信号を送信する期間に割り当てられる。期間T2は、受電装置10Bに向けて送電装置20から電力伝送信号を送信する期間に割り当てられる。期間T3は、受電装置10Cに向けて送電装置20から電力伝送信号を送信する期間に割り当てられる。そのため、この場合には、送電装置20の送電能力の総量を「100%」とすると、3つの受電装置10A,10B,10Cに対してそれぞれ、上記総量を均等割りした「略33%」分の給電能力を利用する態様で無線給電が実行される。これにより、3つの受電装置10A,10B,10Cに対して、満遍なく無線給電が実行される。
【0031】
本実施形態の無線給電システムでは、期間T1~T3の時間長を各別に変更可能になっている。期間T1~T3のいずれかの時間長を短縮することで、短縮した期間(例えば期間T2)の前記送電実行期間TGに占める割合が低くなる。これにより、受電装置10(例えば、期間T2に対応する受電装置10B)に対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を少なくすることができる。一方、期間T1~T3のいずれかの時間長を延長することで、延長した期間(例えば期間T1)の前記送電実行期間TGに占める割合が高くなる。これにより、受電装置10(例えば、期間T1に対応する受電装置10A)に対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を多くすることができる。
【0032】
本実施形態では、各期間T1~T3の時間長を、各検知部24A,24B,24Cによる遮蔽物Mの検知態様に応じて設定するようにしている。
<設定制御>
以下、各期間T1~T3の時間長を設定する制御(設定制御)について、図4図7を参照して説明する。
【0033】
図4は、上記設定制御にかかる処理の実行手順を示している。なお同図4のフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の処理として、送電装置20の制御部23により実行される。本実施形態では、制御部23が電力量設定部に相当する。
【0034】
図4に示すように、この処理では、検知部24A,24B,24Cのいずれによっても遮蔽物Mが検知されていない場合には(S11:YES)、全ての受電装置10に対して送電装置20から電力伝送信号が送信される(S12)。この場合には、3つの期間T1,T2,T3として、送電実行期間TGを等分する期間、すなわち時間長の等しい期間が設定される(図3参照)。この場合には、3つの受電装置10A,10B,10Cに対して満遍なく無線給電が実行される。
【0035】
<検知部のいずれか1つによって遮蔽物が検知されている場合>
一方、検知部24A,24B,24Cのいずれか1つによって遮蔽物Mが検知されている場合には(図4のS11:NO、且つ、S13:YES)、3つの受電装置10のうちの2つに対して電力伝送信号が送信される(S14)。詳しくは、遮蔽物Mが検知されていない2つの受電装置10に対して、送電装置20から電力伝送信号が送信される。
【0036】
図5に示すように、この場合には、送電実行期間TGが時間長の等しい2つの期間に区分される。そして、2つの期間の一方は、遮蔽物Mが検知されていない2つの受電装置の一方に対して送電装置20から電力伝送信号を送信する期間に割り当てられる。2つの期間の他方は、遮蔽物Mが検知されていない2つの受電装置の他方に対して送電装置20から電力伝送信号を送信する期間に割り当てられる。
【0037】
図6に、検知部24A,24B,24Cのいずれか1つによって遮蔽物Mが検知されている状況の一例を示す。図6に示す例では、受電装置10Bと送電装置20との間を遮る遮蔽物Mが存在している。そして、この遮蔽物Mは、受電装置10Bに対応する検知部24Bによって検知されている。受電装置10Aと送電装置20との間や、受電装置10Cと送電装置20との間には遮蔽物Mが存在していない。そのため、受電装置10Aに対応する検知部24Aや受電装置10Cに対応する検知部24Cは遮蔽物Mの存在を検知してない。
【0038】
以下、図6に示す例をもとに、検知部24A,24B,24Cのいずれか1つによって遮蔽物Mが検知されている場合における設定制御の実行態様について具体的に説明する。
図5および図6に示すように、送電実行期間TGを等分した2つの期間の一方は、遮蔽物Mが検知されていない2つの受電装置10A,10Cの一方(具体的には、受電装置10A)に対して送電装置20から電力伝送信号を送信する期間T1に割り当てられる。また送電実行期間TGを等分した2つの期間の他方は、遮蔽物Mが検知されていない2つの受電装置10A,10Cの他方(具体的には、受電装置10C)に対して送電装置20から電力伝送信号を送信する期間T3に割り当てられる。この場合には、検知部24Bによって遮蔽物Mが検知されている受電装置10Bには、送電装置20からの電力伝送信号の送信はなされない。具体的には、期間T2の時間長が「0」に設定される。なお図6に示す例では、期間T2が、遮蔽物が存在することを検知している受電装置に対して送電装置が電力を発する第1期間に相当する。また図6に示す例では、期間T1,T3が、遮蔽物が存在することを検知していない前記受電装置に対して送電装置が電力を発する第2期間に相当する。
【0039】
ここで、検知部24A,24B,24Cのいずれか1つ(検知部24B)によって遮蔽物Mが検知されている場合には、送電装置20との間に遮蔽物Mが存在することを検知している受電装置10Bに対しては、送電装置20からの高効率での給電が見込めない。本実施形態では、そうした受電装置10Bに対して送電装置20から電力伝送信号を送信しても給電効率の低下を招く可能性が高いとして、受電装置10Bに対する電力伝送信号の送信が停止される。具体的には、期間T2の時間長が「0」にされる。これにより、受電装置10Bに対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を「0」にすることができる。
【0040】
一方、検知部24A,24B,24Cのいずれか1つ(検知部24B)によって遮蔽物Mが検知される場合であっても、送電装置20との間に遮蔽物Mが存在することを検知していない受電装置10A,10Cに対しては、高効率での給電が見込める。本実施形態では、それら受電装置10A,10Cに対して送電装置20から電力伝送信号を送信した場合には給電効率の低下を招く可能性が低いとして、2つの受電装置10A,10Cに対して送電装置20から電力伝送信号を送信する期間が延長される。具体的には、送電実行期間TGを二等分した2つの期間の一方に受電装置10Aに対応する期間T1が割り当てられるとともに、2つの期間の他方に受電装置10Cに対応する期間T3が割り当てられる。これにより、検知部24A,24B,24Cのいずれによっても遮蔽物Mが検知されていない場合(図3参照)と比較して、受電装置10A,10Cに対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を多くすることができる。
【0041】
本実施形態によれば、検知部24A,24B,24Cのいずれか1つ(検知部24B)によって遮蔽物Mが検知されている場合には、この検知部24Bに対応する受電装置10Bに対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量が少なくなる。そして、電力の量を少なくした分(すなわち、期間T2の時間長を「0」にした分)の電力が、遮蔽物Mが存在しない受電装置10A,10Cに対して送電装置20が発する電力(具体的には、期間T1,T3の時間長)に振り分けられる。
【0042】
このようにして、高効率での給電が見込めない受電装置10Bに対して送電装置20が発する電力の量を少なくするとともに、少なくした分の電力を、高効率での給電が見込める受電装置10A,10Cへの送電のために利用することができる。このように、送電装置20から送られる電力を高効率での給電が見込める2つの受電装置10A,10Cに分配することで、それら受電装置10A,10Cによって効率よく受電することができる。したがって、受電装置10のいずれか1つと送電装置20との間に遮蔽物Mが進入する場合であっても、送電装置20からの給電についての効率低下を抑えることができる。
【0043】
<検知部のいずれか2つによって遮蔽物が検知されている場合>
他方、検知部24A,24B,24Cのいずれか2つによって遮蔽物Mが検知されている場合には(図4のS11:NO、且つ、S13:NO、且つ、S15:YES)、3つの受電装置10のうちの1つに対して電力伝送信号が送信される(S16)。詳しくは、検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知していないもの(例えば検知部24A)に対応する受電装置10(例えば受電装置10A)に対してのみ、送電装置20から電力伝送信号が送信される。
【0044】
図7に一例を示すように、この場合には、送電実行期間TGは区分されない。そして、送電実行期間TGの全体が、検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知していないもの(例えば検知部24A)に対応する受電装置10に対して送電装置20から電力伝送信号を送信する期間(例えば期間T1)に割り当てられる。この場合、検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知しているもの(例えば検知部24B,24C)に対応する2つの受電装置10(例えば受電装置10B,10C)には、送電装置20からの電力伝送信号の送信はなされない。
【0045】
以下、検知部24B,24Cによって遮蔽物Mが検知されている例をもとに、検知部24A,24B,24Cのいずれか2つによって遮蔽物Mが検知されている場合における設定制御の実行態様について具体的に説明する。
【0046】
検知部24A,24B,24Cのいずれか2つ(検知部24B,24C)によって遮蔽物Mが検知されている場合には、送電装置20との間に遮蔽物Mが存在することを検知している受電装置10B,10Cに対しては、高効率での給電が見込めない。本実施形態では、これら受電装置10B,10Cに対して送電装置20から電力伝送信号を送信しても給電効率の低下を招く可能性が高いとして、受電装置10B,10Cに対する電力伝送信号の送信が停止される。具体的には、期間T2,T3の時間長が「0」にされる。これにより、受電装置10B,10Cに対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を「0」にすることができる。
【0047】
一方、検知部24A,24B,24Cのいずれか2つ(検知部24B,24C)によって遮蔽物Mが検知される場合であっても、送電装置20との間に遮蔽物Mが存在することを検知していない受電装置10Aに対しては、高効率での給電が見込める。本実施形態では、そうした受電装置10Aに対して送電装置20から電力伝送信号を送信した場合には給電効率の低下を招く可能性が低いとして、受電装置10Aに対して送電装置20から電力伝送信号を送信する期間が延長される。具体的には、送電実行期間TGの全体に受電装置10Aに対応する期間T1が割り当てられる。これにより、検知部24A,24B,24Cのいずれによっても遮蔽物Mが検知されていない場合(図3参照)と比較して、受電装置10Aに対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を多くすることができる。
【0048】
なお本例では、期間T2,T3が、遮蔽物が存在することを検知している受電装置に対して送電装置が電力を発する第1期間に相当する。また本例では、期間T1が、遮蔽物が存在することを検知していない受電装置に対して送電装置が電力を発する第2期間に相当する。
【0049】
本実施形態では、検知部24A,24B,24Cのいずれか2つ(検知部24B,24C)によって遮蔽物Mが検知されている場合には、それらに対応する2つの受電装置10B,10Cに対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量が少なくなる。そして、電力の量を少なくした分(すなわち、期間T2,T3の時間長を「0」にした分)の電力が、遮蔽物Mを検知していない検知部24Aに対応する受電装置10Aに対して送電装置20が発する電力(具体的には、期間T1の時間長)に振り分けられる。
【0050】
このようにして、高効率での給電が見込めない受電装置10B,10Cに対して送電装置20が発する電力の量を少なくするとともに、少なくした分の電力を、高効率での給電が見込める受電装置10Aへの送電のために利用することができる。このように、送電装置20から送られる電力を受電装置10Aに対してのみ供給することで、同電力を受電装置10Aによって効率よく受電することができる。したがって、受電装置10A,10B,10Cのいずれか2つと送電装置20との間に遮蔽物Mが進入する場合であっても、送電装置20からの給電についての効率低下を抑えることができる。
【0051】
<全ての検知部によって遮蔽物が検知されている場合>
なお、全ての検知部24A,24B,24Cによって遮蔽物Mが検知される場合には(図4のS11:NO、且つ、S13:NO、且つ、S15:NO)、送電装置20からの電力伝送信号の送信が停止される(ステップS17)。この場合には、全ての受電装置10に対する送電装置20からの送電が停止される。
【0052】
<作用効果>
本実施形態の無線給電システムによれば、以下に記載する作用効果が得られる。
(1)検知部24A,24B,24Cによって3つの受電装置10のうちのいずれかと送電装置20との間に遮蔽物Mが存在することを検知している場合には、各受電装置10に対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を次のように定める。検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知していないものに対応する受電装置10に対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を、検知部24A,24B,24Cのいずれによっても遮蔽物Mが検知されていない場合よりも少なくする。検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知しているものに対応する受電装置10に対して同送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を、検知部24A,24B,24Cのいずれによっても遮蔽物Mが検知されていない場合よりも多くする。本実施形態によれば、受電装置10のうちのいずれかと送電装置20との間に遮蔽物Mが進入する場合であっても、送電装置20からの給電についての効率低下を抑えることができる。
【0053】
(2)検知部24A,24B,24Cのいずれかによって遮蔽物Mが検知されている場合には、検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知しているものに対応する受電装置10に対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を少なくする。そして、電力の量を少なくした分の電力が、検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知していないものに対応する受電装置10に対して送電装置20が発する電力に振り分けられる。本実施形態によれば、高効率での給電が見込めない受電装置10に対して送電装置20が発する電力の量を少なくした分の電力を、高効率での給電が見込める受電装置10への送電に振り分けて利用することができる。これにより、高効率での給電が見込めない受電装置10に対して送電装置20が発する電力の量を少なくするとはいえ、送電装置20の発する電力の総量を一定に保つことができる。したがって、送電装置20の送電能力のほぼ全てを利用して、受電装置10への電力伝送信号の送信を実行することができる。
【0054】
(3)検知部24A,24B,24Cのいずれかによって遮蔽物Mが検知されている場合に、検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知しているものに対応する受電装置10に対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を「0」にする。本実施形態によれば、3つの受電装置10のうちの、高効率での給電が見込める受電装置10に対してのみ、送電装置20から電力が送られるようになる。そのため、送電装置20から受電装置10への給電についての効率低下を好適に抑えることができる。
【0055】
(4)送電装置20の作動期間は、一定時間にわたって送電装置20が電力を発する送電実行期間TGと、一定時間にわたって送電装置20が電力を発しない送電休止期間TSとが交互に並ぶ期間である。
【0056】
そして、検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知しているものに対応する受電装置10に対して送電装置20が電力を発する第1期間(図6に示す例における期間T2)の時間長が短縮される。これにより、第1期間の前記送電実行期間TGに占める割合を低くすることができる。その結果、検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知しているものに対応する受電装置10(図6に示す例における受電装置10B)に対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を少なくすることができる。
【0057】
また、検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知していないものに対応する受電装置10に対して送電装置20が電力を発する第2期間(図6に示す例における期間T1,T3)の時間長が延長される。これにより、第2期間の前記送電実行期間TGに占める割合を高くすることができる。そのため、検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知していないものに対応する受電装置10(図6に示す例における受電装置10A.10C)に対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を多くすることができる。
【0058】
<変更例>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0059】
・検知部24A,24B,24Cとしては、赤外線センサの他、超音波センサや、画像センサ、レーダーセンサなどを採用することができる。また、送電装置20から送信される電力伝送信号の信号強度と受電装置10によって受信される電力伝送信号の信号強度との関係をもとに、送電装置20と受電装置10との間を遮る遮蔽物Mの存在を検知することができる。送電装置20と受電装置10との間に遮蔽物Mが進入すると、受電装置10が受信する電力伝送信号の信号強度が低くなる。上記構成では、そうした信号強度の低下を捉えることで、送電装置20と受電装置10との間を遮る遮蔽物Mの存在を検知することができる。なお同構成においては、送電装置20の制御部23と受電装置10の制御部14とが、検知部に相当する。
【0060】
・送電装置20と3つの受電装置10との間を遮る遮蔽物Mの移動方向や移動速度を検出するようにしてもよい。遮蔽物Mの移動方向や移動速度の検出は、検知部24A,24B,24Cを利用して実行してもよいし、画像センサやレーダーセンサなどを利用して実行してもよい。こうした構成によれば、送電装置20と受電装置10との間に遮蔽物Mが進入している場合に、遮蔽物Mの移動方向や移動速度に基づいて、今後における遮蔽物Mの移動位置を推定することができる。そして、この推定した遮蔽物Mの移動位置をもとに、同遮蔽物Mが存在しない送電経路を選択した上で、受電装置10に対する送電装置20からの電力伝送信号の送信を実行することができる。
【0061】
・送電装置20から受電装置10への送電を停止させる際に、その停止前に、「この後に送電を停止する」旨の情報を含むデータを、データ通信を通じて、送電装置20から受電装置10に送信するようにしてもよい。上記構成によれば、「この後に送電を停止する」旨の情報をもとに、受電装置10への給電が停止される前に、同受電装置10の記憶データを退避させておいたり、受電装置10と送電装置20との間でのデータ通信を停止させておいたりすることができる。これにより、受電装置10に記憶されているデータを保護したり、受電装置10の誤動作を防止したりすることが可能になる。
【0062】
・上記実施形態にかかる無線給電システムは、送電装置20が固定されるタイプの無線給電システムに限らず、送電装置20が移動するタイプの無線給電システムにも適用することができる。
【0063】
送電装置20が移動するタイプの無線給電システムとしては、例えば以下のようなシステムが挙げられる。無線給電システムは、ピッキング作業を行う工場に設けられる。工場の商品棚には、多数の受電装置(例えば電子ペーパータグ)が取り付けられている。商品棚に対向する位置には、送電装置と、同送電装置を移動させる移動装置とが設けられている。この無線給電システムでは、移動装置の作動制御を通じて、送電装置が商品棚に沿って移動するようになっている。移動装置には、送電装置の移動位置を検出する位置センサが設けられている。この無線給電システムでは、位置センサによって検出される送電装置の移動位置が所定位置になると、同送電位置からの電力伝送信号の送信が実行される。所定位置としては、送電装置から電力伝送信号を送信した場合に同電力伝送信号が受電装置によって受信されるようになる位置が予め定められている。所定位置としては、複数の位置が定められている。
【0064】
・上記実施形態にかかる無線給電システムは、次のような無線給電システムにも適用することができる。無線給電システムは送電装置と複数の受電装置とを有する。送電装置は、各受電装置との間で位置情報を含む信号(例えばビーコン信号)を送受信することで、各受電装置の位置を特定する。送電装置は、特定した受電装置の位置に向けて送電装置から電力伝送信号を送信する。
【0065】
・検知部24A,24B,24Cのいずれかによって遮蔽物Mが検知されている場合に、検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知しているものに対応する受電装置10に対して、送電装置20から若干量の電力を発するようにしてもよい。
【0066】
図6に示す例において、受電装置10Bに対して送電装置20が発する電力の量を少なくした分の電力を、受電装置10Aに対して送電装置20が発する電力と受電装置10Cに対して送電装置20が発する電力とに、異なる量で振り分けるようにしてもよい。同構成によれば、検知部24A,24B,24Cのうちの遮蔽物Mを検知していないものに対応する2つの受電装置10(図6に示す例では、受電装置10A,10C)に対して送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を高い自由度で設定することができる。
【0067】
上記構成においては、例えば、受電装置10Bに対して送電装置20が発する電力の量を少なくした分の電力を、2つの受電装置10A,10Cが受ける電力の量が等しくなるように振り分けることができる。
【0068】
その他、受電装置10Bに対して送電装置20が発する電力の量を少なくした分の電力を、2つの受電装置10A,10Cのうちで、より高い効率での給電を見込める受電装置10のみに振り分けることも可能である。同構成によっても、遮蔽物を検知していない2つの検知部に対応する2つの受電装置に対して送電装置が発する単位時間当たりの電力の量(詳しくは、その総量)を、3つの検知部のいずれによっても遮蔽物が検知されていない場合よりも多くすることができる。
【0069】
・上記実施形態にかかる無線給電システムは、送電装置20の作動期間に送電休止期間TSが設定されない無線給電システムにも適用することができる。
・送電装置20が発する単位時間当たりの電力の量を増減させる方法は、期間T1~T3の時間長を短縮したり延長したりする方法に限らず、任意の方法を採用することができる。
【0070】
例えば、図6に示す例において、受電装置10Bに対応する期間T2を削除するとともに、受電装置10A,10Cに対応する期間T1,T3の時間長を維持したまま期間T1,T3の間を詰めるようにしてもよい。この場合には、期間T1と期間T3とが連続する態様で交互に並ぶように(期間T1→期間T3→期間T1→期間T3・・・)、送電装置20の作動期間が設定される。その他、送電装置20が発する電波(詳しくは、電力伝送信号)の振幅を増減させる方法を採用すること等も可能である。
【0071】
・上記実施形態にかかる無線給電システムは、受電装置を2つのみ有する無線給電システムや4つ以上の受電装置を有する無線給電システムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
10…受電装置
11…データ通信部
111…通信アンテナ
12…受電部
121…受電アンテナ
13…蓄電池
14…制御部
15…記憶部
20…送電装置
21…データ通信部
211…通信アンテナ
22…送電部
221…送電アンテナ
23…制御部
24A,24B,24C…検知部
25…電源
26…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7