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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131365
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】充電装置および充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230914BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20230914BHJP
   B60L 53/53 20190101ALI20230914BHJP
   B60L 53/51 20190101ALI20230914BHJP
   B60L 53/57 20190101ALI20230914BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20230914BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230914BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J7/35 A
B60L53/53
B60L53/51
B60L53/57
G06Q50/06
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036077
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】河崎 佳
(72)【発明者】
【氏名】深井 優太
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
5L049
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA06
5G503AA07
5G503BB01
5G503DA07
5G503DA17
5G503DA18
5G503FA03
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H030AA09
5H030AS08
5H030FF43
5H030FF44
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125BC23
5H125BC24
5H125CC04
5H125CD10
5H125DD02
5H125EE27
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】電気自動車の充電にかかる利便性を向上させる。
【解決手段】充電スタンド10は、電気自動車20の内蔵バッテリ21の充電を行う。充電スタンド10は、電力を蓄える装置バッテリ11と、同装置バッテリ11に内蔵バッテリ21を接続するための接続コネクタ12とを有する。充電スタンド10は、送電制御部32を有する。送電制御部32は、電気自動車20から装置バッテリ11への送電を目的に接続コネクタ12を介して内蔵バッテリ21と装置バッテリ11とが接続されたときには、内蔵バッテリ21の蓄電電力の余剰分を装置バッテリ11に送る。送電制御部32は、装置バッテリ11による電気自動車20の充電を目的に接続コネクタ12を介して内蔵バッテリ21と装置バッテリ11とが接続されたときには、装置バッテリ11の蓄電電力を内蔵バッテリ21に送る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の内蔵バッテリの充電を行う充電装置において、
電力を蓄える装置バッテリと、
前記装置バッテリに前記内蔵バッテリを接続するための接続コネクタと、
前記電気自動車から前記装置バッテリへの送電を目的に前記接続コネクタを介して前記内蔵バッテリと前記装置バッテリとが接続されたときには前記内蔵バッテリの蓄電電力の余剰分を前記装置バッテリに送る一方、前記装置バッテリによる前記電気自動車の充電を目的に前記接続コネクタを介して前記内蔵バッテリと前記装置バッテリとが接続されたときには前記装置バッテリの蓄電電力を前記内蔵バッテリに送る送電制御部と、
を有する充電装置。
【請求項2】
前記装置バッテリの蓄電残量を検出する検出部と、
通信ネットワークを介して、前記検出部によって検出した前記蓄電残量に関するデータを外部機器に発信するデータ発信部と、を有する請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記送電制御部によって前記装置バッテリおよび前記内蔵バッテリの一方から他方に前記蓄電電力が送られた場合に、前記装置バッテリと前記内蔵バッテリとの間における電力の授受量に対応した決済を行う決済部を有する
請求項1または2に記載の充電装置。
【請求項4】
再生エネルギーをもとに発電する発電部を有する
請求項1~3のいずれか一項に記載の充電装置。
【請求項5】
前記装置バッテリは、電気自動車の内蔵バッテリが転用されてなる
請求項1~4のいずれか一項に記載の充電装置。
【請求項6】
電力を蓄える装置バッテリと、前記装置バッテリに電気自動車の内蔵バッテリを接続するための接続コネクタと、前記電気自動車からの送電を目的に前記接続コネクタを介して前記内蔵バッテリと前記装置バッテリとが接続されたときには前記内蔵バッテリの蓄電電力の余剰分を前記装置バッテリに送る一方で前記電気自動車の充電を目的に前記接続コネクタを介して前記内蔵バッテリと前記装置バッテリとが接続されたときには前記装置バッテリの蓄電電力を前記内蔵バッテリに送る送電制御部と、を有する充電スタンドに適用され、
前記充電スタンドの状態に関するデータを管理する管理サーバを備え、
前記管理サーバは、
通信ネットワークを介して、前記装置バッテリの蓄電残量に関するデータを前記充電スタンドから受信するデータ取得部と、
前記通信ネットワークを介して、前記蓄電残量に関するデータを外部機器に発信するデータ発信部と、を有する充電システム。
【請求項7】
前記管理サーバは、前記送電制御部によって前記装置バッテリおよび前記内蔵バッテリの一方から他方に前記蓄電電力が送られた場合に、前記装置バッテリと前記内蔵バッテリとの間における電力の授受量に対応した決済を行う決済部を有する
請求項6に記載の充電システム。
【請求項8】
再生エネルギーをもとに発電するとともに該発電する電力を前記充電スタンドに供給する発電部を有する
請求項6または7に記載の充電システム。
【請求項9】
前記装置バッテリは、中古の電気自動車の内蔵バッテリが転用されてなる
請求項6~8のいずれか一項に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の内蔵バッテリを充電する充電装置および充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車が普及している(特許文献1参照)。電気自動車のユーザーは、自宅に充電器を設置する。そして、この充電器を利用して電動自動車(詳しくは、内蔵バッテリ)を充電する。また近年、電気自動車を充電するための充電スタンドが様々な場所に設置されている。電気自動車のユーザーは、外出先において、そうした充電スタンドを利用して内蔵バッテリの充電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-10420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電スタンドは高圧電力を扱う設備であるため、その設置について様々な制約がある。そのため、充電スタンドの設置は進んでいない。これが充電スタンドの不足を招く一因になっている。また現状では、電気自動車の内蔵バッテリを満充電にするためには長い時間(数十分~数時間)を要する。そのため、電気自動車一台あたりの充電スタンドの占有時間が長い。これも充電スタンドの不足を招く一因になっている。そして、充電スタンドが不足している現状では、ユーザーが電気自動車を充電したいときに充電することができない状況になるなど、ユーザーの利便性が低くなっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための充電装置は、電気自動車の内蔵バッテリの充電を行う充電装置において、電力を蓄える装置バッテリと、前記装置バッテリに前記内蔵バッテリを接続するための接続コネクタと、前記電気自動車から前記装置バッテリへの送電を目的に前記接続コネクタを介して前記内蔵バッテリと前記装置バッテリとが接続されたときには前記内蔵バッテリの蓄電電力の余剰分を前記装置バッテリに送る一方、前記装置バッテリによる前記電気自動車の充電を目的に前記接続コネクタを介して前記内蔵バッテリと前記装置バッテリとが接続されたときには前記装置バッテリの蓄電電力を前記内蔵バッテリに送る送電制御部と、を有する。
【0006】
上記構成では、充電装置の装置バッテリは、充電装置への送電を目的に訪れたユーザーの電気自動車の蓄電電力の余剰分を利用して充電される。そして、この装置バッテリを利用して、充電装置による充電を目的に訪れたユーザーの電気自動車の内蔵バッテリは充電される。
【0007】
上記構成によれば、充電装置の装置バッテリを、高圧電力を扱う固定電源(例えば商用電源)を利用することなく、ユーザーの電気自動車(詳しくは、その内蔵バッテリ)の蓄電電力を利用して充電することができる。これにより、充電装置の設置にかかる制約が少なくなるため、充電装置を容易に設置することができる。しかも、充電装置を固定電源に接続する必要がなくなるため、充電装置を容易に移動させることができる。これにより、充電装置を高い自由度で配置することができるため、電気自動車の充電にかかる利便性を向上させることができる。
【0008】
上記充電装置において、前記装置バッテリの蓄電残量を検出する検出部と、通信ネットワークを介して、前記検出部によって検出した前記蓄電残量に関するデータを外部機器に発信するデータ発信部と、を有することが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、充電装置から外部機器に発信される情報をもとに、ユーザーは、充電装置が保有する装置バッテリの状態を容易に把握することができる。そのため、装置バッテリの蓄電残量が少なくなっていることを予め把握したうえで、電気自動車から充電装置への送電を実行するべく、充電装置を訪れることができる。また、装置バッテリが十分に充電されていることを予め把握したうえで、電気自動車の充電のために充電装置を訪れることもできる。このように、装置バッテリの状態を予め把握することができるため、充電装置の利用にかかる利便性を向上させることができる。
【0010】
上記充電装置において、前記送電制御部によって前記装置バッテリおよび前記内蔵バッテリの一方から他方に前記蓄電電力が送られた場合に、前記装置バッテリと前記内蔵バッテリとの間における電力の授受量に対応した決済を行う決済部を有することが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、充電装置を利用することで、同充電装置(詳しくは、その管理者)と電気自動車(詳しくは、そのユーザー)との間での電力の売買を、電力の授受量に対応した決済を含めたかたちで行うことができる。
【0012】
上記充電装置において、再生エネルギーをもとに発電する発電部を有することが好ましい。
上記構成によれば、発電部を充電装置の補助電源として利用することができるため、電力不足によって充電装置の動作が不安定になることを抑えることができる。
【0013】
上記充電装置において、前記装置バッテリは、電気自動車の内蔵バッテリが転用されてなることが好ましい。
上記構成によれば、電気自動車での使用実績がある内蔵バッテリを利用して充電装置を構築することができるため、高い信頼性を得ることができる。
【0014】
前記課題を解決するための充電システムは、電力を蓄える装置バッテリと、前記装置バッテリに電気自動車の内蔵バッテリを接続するための接続コネクタと、前記電気自動車からの送電を目的に前記接続コネクタを介して前記内蔵バッテリと前記装置バッテリとが接続されたときには前記内蔵バッテリの蓄電電力の余剰分を前記装置バッテリに送る一方で前記電気自動車の充電を目的に前記接続コネクタを介して前記内蔵バッテリと前記装置バッテリとが接続されたときには前記装置バッテリの蓄電電力を前記内蔵バッテリに送る送電制御部と、を有する充電スタンドに適用され、前記充電スタンドの状態に関するデータを管理する管理サーバを備え、前記管理サーバは、通信ネットワークを介して、前記装置バッテリの蓄電残量に関するデータを前記充電スタンドから受信するデータ取得部と、前記通信ネットワークを介して、前記蓄電残量に関するデータを外部機器に発信するデータ発信部と、を有する。
【0015】
上記充電スタンドの装置バッテリは、送電を目的に充電スタンドを訪れたユーザーの電気自動車の蓄電電力の余剰分を利用して充電される。そして、この装置バッテリを利用して、充電を目的に充電スタンドを訪れたユーザーの電気自動車の内蔵バッテリが充電される。そのため、上記充電スタンドの装置バッテリは、高圧電力を扱う固定電源(例えば商用電源)を利用することなく、充電スタンドを訪れたユーザーの電気自動車(詳しくは、その内蔵バッテリ)の蓄電電力を利用して充電することができる。これにより、充電スタンドの設置にかかる制約が少なくなるため、充電スタンドを容易に設置することができる。しかも、充電スタンドを固定電源に接続する必要がなくなるため、充電スタンドを移動させることが可能になる。したがって、充電スタンドを高い自由度で配置することができるため、電気自動車の充電にかかる利便性を向上させることができる。
【0016】
上記構成によれば、こうした充電スタンド(詳しくは、装置バッテリ)の状態を、管理サーバから発信される情報をもとに、ユーザーが容易に把握することができる。そのため、装置バッテリの蓄電残量が少なくなっていることを予め把握したうえで、電気自動車から充電スタンドへの送電を実行するべく、充電スタンドを訪問することが可能になる。また、装置バッテリが十分に充電されていることを予め把握したうえで、電気自動車の充電のために充電スタンドを訪問することができる。このように、装置バッテリの状態を予め把握することができるため、充電スタンドの利用にかかる利便性を向上させることができる。
【0017】
上記充電システムにおいて、前記管理サーバは、前記送電制御部によって前記装置バッテリおよび前記内蔵バッテリの一方から他方に前記蓄電電力が送られた場合に、前記装置バッテリと前記内蔵バッテリとの間における電力の授受量に対応した決済を行う決済部を有することが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、充電スタンドを利用することで、充電スタンド(詳しくは、その管理者)と電気自動車(詳しくは、そのユーザー)との間での電力の売買を、電力の授受量に対応した決済を含めたかたちで行うことができる。
【0019】
上記充電システムにおいて、再生エネルギーをもとに発電するとともに該発電する電力を前記充電スタンドに供給する発電部を有することが好ましい。
上記構成によれば、発電部を充電スタンドの補助電源として利用することができるため、電力不足によって管理サーバの動作が不安定になることを抑えることができる。
【0020】
上記充電システムにおいて、前記装置バッテリは、中古の電気自動車の内蔵バッテリが転用されてなることが好ましい。
上記構成によれば、電気自動車での使用実績がある内蔵バッテリが利用されるため、高い信頼性を得ることができる。また、廃棄される内蔵バッテリを再利用することができるため、環境に配慮することもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電気自動車の充電にかかる利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】充電スタンドの斜視図である。
図2】充電システムの概略構成を示す略図である。
図3】ユーザーが自宅で電気自動車を充電する状況を示す略図である。
図4】売電を目的にユーザーが充電スタンドを訪れた状況を示す略図である。
図5】買電を目的にユーザーが充電スタンドを訪れた状況を示す略図である。
図6】充電スタンドの状態をユーザーが把握する様子を説明するための説明図である。
図7】充電スタンドの移動態様の一例を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、充電装置および充電システムの一実施形態について説明する。
<充電スタンド10>
図1および図2に示すように、充電スタンド10は、装置バッテリ11、接続コネクタ12、操作部13、送電回路部14、発電部15、通信部16、および制御部17を有している。充電スタンド10は、電気自動車20の内蔵バッテリ21の充電を行うためのものである。本実施形態では、充電スタンド10が充電装置に相当する。
【0024】
装置バッテリ11は、二次電池である。装置バッテリ11は、電気自動車の内蔵バッテリが転用されている。装置バッテリ11としては、電気自動車の内蔵バッテリの中古品が利用される。装置バッテリ11は、充電スタンド10の筐体19の内部に収容されている。
【0025】
充電スタンド10には、接続ケーブル18が設けられている。接続ケーブル18の先端には接続コネクタ12が設けられている。接続コネクタ12としては、充電規格(例えば、CHAdeMO[登録商標]規格)に準拠するものが採用されている。この接続コネクタ12を電気自動車20の接続コネクタ22に接続することで、充電スタンド10の装置バッテリ11と電気自動車20の内蔵バッテリ21とが接続される。
【0026】
操作部13は、タッチパネル式のモニタによって構成されている。この操作部13は、充電スタンド10の作動モードを選択するべく、ユーザーによって操作される。充電スタンド10の作動モードとしては、「売電モード」と「買電モード」とが設定されている。売電モードでは、電気自動車20の内蔵バッテリ21の蓄電電力によって充電スタンド10の装置バッテリ11が充電される。買電モードでは、充電スタンド10の装置バッテリ11の蓄電電力によって電気自動車20の内蔵バッテリ21が充電される。操作部13は、売電モードを選択する売電スイッチや、買電モードを選択する買電スイッチを有している。
【0027】
送電回路部14は、入力電圧を充電に適した電圧に変換して出力する変圧回路や、送電する方向を切り替える切替回路を有している。この送電回路部14の作動制御を通じて、電気自動車20と充電スタンド10との間における送電方向が設定される。また、送電回路部14の作動制御を通じて、電気自動車20および充電スタンド10の一方から入力される電力が、送電に適した電圧の電力に変換されるとともに、電気自動車20および充電スタンド10の他方に出力される。
【0028】
発電部15は、ソーラーパネルを有している。このソーラーパネルは、充電スタンド10の筐体19に取り付けられている。発電部15は、再生エネルギー(太陽光)をもとに発電するものである。発電部15による発電電力は装置バッテリ11に供給される。これにより、装置バッテリ11は充電される。
【0029】
通信部16は、携帯電話網やインターネット網などの通信ネットワーク23を介して、外部機器(具体的には、後述する管理サーバ40)との間でのデータ通信を実行するものである。
【0030】
制御部17としては、例えばマイクロコントロールユニットが用いられる。制御部17は、プロセッサと記憶部30とを備えている。記憶部30は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。充電スタンド10は、位置情報を取得するためのGPS(グローバル・ポジショニング・システム)モジュール31を有している。GPSモジュール31は制御部17に接続されている。制御部17には操作部13が接続されている。制御部17には上記操作部13の出力信号が取り込まれている。制御部17は、送電回路部14の作動制御、通信部16の作動制御など、充電スタンド10の作動制御にかかる各種制御を実行する。
【0031】
制御部17は、その機能部として、送電制御部32と検出部33とを有している。
<送電制御部32>
送電制御部32は、売電を目的に電気自動車20が充電スタンド10に接続された場合に、電気自動車20の内蔵バッテリ21から充電スタンド10の装置バッテリ11に対して電力を送る態様で、充電スタンド10を作動させる。具体的には、充電スタンド10の接続コネクタ12が電気自動車20の接続コネクタ22に接続された状態で操作部13の売電スイッチが操作されると、送電制御部32は、売電を目的に電気自動車20が充電スタンド10に接続されたと判定する。そして、この判定をもとに、送電制御部32は充電スタンド10の作動モードを売電モードに設定する。これにより、電気自動車20の内蔵バッテリ21から充電スタンド10の装置バッテリ11に対して電力が送られるようになる。この場合には、充電スタンド10の装置バッテリ11が充電される。
【0032】
一方、送電制御部32は、買電を目的に電気自動車20が充電スタンド10に接続された場合に、充電スタンド10の装置バッテリ11から電気自動車20の内蔵バッテリ21に対して電力を送る態様で充電スタンド10を作動させる。具体的には、充電スタンド10の接続コネクタ12が電気自動車20の接続コネクタ22に接続された状態で操作部13の買電スイッチが操作されると、送電制御部32は、買電を目的に電気自動車20が充電スタンド10に接続されたと判定する。そして、この判定をもとに、送電制御部32は充電スタンド10の作動モードを買電モードに設定する。これにより、充電スタンド10の装置バッテリ11から電気自動車20の内蔵バッテリ21に対して電力が送られるようになる。この場合には、電気自動車20の内蔵バッテリ21が充電される。
【0033】
<検出部33>
検出部33は、装置バッテリ11の蓄電残量、いわゆるSOC(State Of Charge)を検出する。検出部33は、充電スタンド10と電気自動車20との間での電力の授受量(売電量または買電量)や、装置バッテリ11の電圧などをもとに、蓄電残量SOCを算出(検出)している。検出部33によって検出された蓄電残量SOCは、制御部17の記憶部30に記憶される。なお本実施形態では、蓄電残量SOCが、装置バッテリ11の蓄電情報に関するデータに相当する。
【0034】
<管理サーバ40>
本実施形態のシステムは、管理サーバ40を備えている。管理サーバ40は、ウェブサーバの機能とアプリケーションサーバの機能とを有している。管理サーバ40は、通信ネットワーク23を介して、充電スタンド10に接続されている。管理サーバ40は、充電スタンド10(詳しくは、制御部17)との間でのデータ通信が可能になっている。管理サーバ40は、通信ネットワーク23を介して、外部機器24(具体的には、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどのユーザー端末)に接続可能になっている。管理サーバ40は、外部機器24との間でのデータ通信が可能になっている。
【0035】
管理サーバ40は、記憶部41と処理部43とを有している。
記憶部41には、充電スタンド10の位置情報に関するデータや、装置バッテリ11の蓄電残量SOCに関するデータ、充電スタンド10の利用状況に関するデータが格納された第1データベース44が記憶されている。記憶部41には、決済情報に関するデータが格納された第2データベース45が記憶されている。記憶部41において第1データベース44を記憶する部分や第2データベース45を記憶する部分としては、例えばデータベースサーバが用いられる。
【0036】
また記憶部41には、外部機器24に対する情報発信に用いるアプリケーションや各種ソフトウェアが記憶されている。記憶部41において、アプリケーションや各種ソフトウェアを記憶する部分としては、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージが用いられる。
【0037】
処理部43としては、例えば中央演算処理装置(いわゆるCPU)などが用いられる。この処理部43は、上記記憶部41に記憶されているアプリケーションや各種ソフトウェアをもとに、外部機器24に対する情報発信に関する各種処理を実行する。
【0038】
管理サーバ40は、機能部として、データ取得部46、データ発信部47、決済部48を有する。
<データ取得部46>
充電スタンド10の通信部16は、予め定められた所定周期で、充電スタンド10の位置情報に関するデータ、装置バッテリ11の蓄電残量SOCに関するデータ、充電スタンド10の利用状況に関するデータを管理サーバ40に送信する。また、充電スタンド10の通信部16は、電気自動車20との間での電力の授受を行ったタイミングで、このとき授受した電力の量(授受電力量)に関するデータをユーザー情報に関するデータとともに管理サーバ40に送信する。データ取得部46は、管理サーバ40から送信される各種データを受信するとともに記憶部41に記憶する。
【0039】
<データ発信部47>
データ発信部47は、ユーザーの操作によって外部機器24が管理サーバ40に接続されたときに、充電スタンド10の状態に関する各種データを第1データベース44から取得する。各種データは、充電スタンド10の位置情報に関するデータ、装置バッテリ11の蓄電残量SOCに関するデータ、充電スタンド10の利用状況に関するデータを含む。データ発信部47は、それら取得したデータが示す情報を含む「情報ページ」を外部機器24に表示させるべく、同情報ページに関するデータを通信ネットワーク23を介して外部機器24に送信する。
【0040】
<決済部48>
管理サーバ40は、授受電力量に関するデータとユーザー情報に関するデータとを受信するとともに、記憶部41に記憶している。決済部48は、授受電力量(売電量または買電量)に関するデータとユーザー情報に関するデータとをもとに決済を実行する。なお決済に利用する通貨は、法定通貨、暗号通貨、地域通貨などを採用することができる。決済部48は、利用する通貨に見合う手順で決済を行う。決済情報に関するデータは、管理サーバ40から充電スタンド10に送信される。充電スタンド10は、この決済情報に関するデータを受信するとともに、同データに含まれる決済情報を操作部13に表示する。
【0041】
<作用>
以下、本実施形態の充電システムによる作用について説明する。
図3は、ユーザーが自宅25で充電する状況を示している。
【0042】
図3に示すように、ユーザーの自宅25には充電器26が設置されている。充電器26は固定電源27から電力が供給されるタイプのものである。ユーザーは、この充電器26を利用して、電気自動車20の内蔵バッテリ21を充電する。通常、自宅25の充電器26を利用する場合には、夜間の安価な電力が利用される。
【0043】
図4は、ユーザーの電気自動車20の蓄電電力の余剰分を売ることを目的に、ユーザーが充電スタンド10を訪れた状況を示している。なお、蓄電電力の余剰分は、ユーザーによる次回の内蔵バッテリ21の充電までに使用されない見込みの電力のことである。
【0044】
図4に示すように、ユーザーは充電スタンド10に到着すると、充電スタンド10の接続コネクタ12を電気自動車20に接続する。そして、その状態で、操作部13の売電スイッチを操作する。これにより、電気自動車20の内蔵バッテリ21の蓄電電力(詳しくは、その余剰分)が充電スタンド10の装置バッテリ11に送られる。その結果、電気自動車20の内蔵バッテリ21によって充電スタンド10の装置バッテリ11が充電される。このようにして、ユーザーによる売電が行われる。電気自動車20の内蔵バッテリ21から充電スタンド10の装置バッテリ11への送電が完了すると、授受電力量(詳しくは、売電量)に関するデータが管理サーバ40に送信される。管理サーバ40は、売電量に関するデータを受信するとともに、同データをもとに決済を行う。この場合には、充電スタンド10の管理者からユーザーへの売電量に応じた支払いが行われる。
【0045】
このように本実施形態の充電システムでは、充電スタンド10の装置バッテリ11は、送電(売電)を目的に充電スタンド10を訪れたユーザーの電気自動車20の蓄電電力(その余剰分)を利用して充電される。
【0046】
図5は、電気自動車20の充電(買電)を目的に、ユーザーが充電スタンド10を訪れた状況を示している。
図5に示すように、ユーザーは充電スタンド10に到着すると、充電スタンド10の接続コネクタ12を電気自動車20に接続する。そして、その状態で、操作部13の買電スイッチを操作する。これにより、充電スタンド10の装置バッテリ11の蓄電電力が電気自動車20の内蔵バッテリ21に送られる。その結果、充電スタンド10の装置バッテリ11によって電気自動車20の内蔵バッテリ21が充電される。このようにして、ユーザーによる買電が行われる。充電スタンド10の装置バッテリ11から電気自動車20の内蔵バッテリ21への送電が完了すると、授受電力量(詳しくは、買電量)に関するデータが管理サーバ40に送信される。管理サーバ40は、買電量に関するデータを受信するとともに、同データをもとに決済を行う。この場合には、ユーザーから充電スタンド10の管理者への買電量に応じた支払いが行われる。
【0047】
このように本実施形態の充電システムでは、ユーザーの電気自動車20を利用して充電された充電スタンド10の装置バッテリ11を利用して、充電(買電)を目的に充電スタンド10を訪れたユーザーの電気自動車20の内蔵バッテリ21が充電される。
【0048】
本実施形態の充電システムでは、管理サーバ40から外部機器24に対して、充電スタンド10の位置や、装置バッテリ11の蓄電状態(例えば、売電の可否、買電の可否)、充電スタンド10の利用状況などが発信される。そのため、ユーザーは、ユーザー端末などの外部機器24の操作を通じて、充電スタンド10の状態(位置、蓄電状態、利用状況など)を容易に確認することができる。
【0049】
例えば、図6に示すように、地点P1に居るユーザーは、以下の(条件イ)~(条件ハ)が全て満たされることを把握したうえで、電気自動車20から充電スタンド10への送電(売電)を実行するべく、充電スタンド10を訪問することができる。
【0050】
(条件イ)近くに充電スタンド10があること。
(条件ロ)充電スタンド10が売電可能な状態であること。
(条件ハ)充電スタンド10が空いていること。
【0051】
また、地点P2に居るユーザーは、外部機器24の操作を通じて、充電スタンド10において買電することができない状態であることを予め把握することで、充電スタンド10の訪問を見合わせることができる。その他、ユーザーは、充電スタンド10での買電が可能な状態であることを予め把握したうえで、買電を行うべく充電スタンド10を訪問することができる。また、ユーザーは、充電スタンド10での売電が不能な状態であることを予め把握したうえで、充電スタンド10の訪問を見合わせることができる。本実施形態によれば、このようにして充電スタンド10の状態を予め把握することができるため、同充電スタンド10の利用にかかる利便性を向上させることができる。
【0052】
<作用効果>
本実施形態によれば、以下に記載する作用効果が得られる。
(1)充電スタンド10の装置バッテリ11は、充電スタンド10への送電を目的に訪れたユーザーの電気自動車20の内蔵バッテリ21の蓄電電力を利用して充電される。そして、この装置バッテリ11を利用して、充電スタンド10による充電を目的に訪れたユーザーの電気自動車20の内蔵バッテリ21が充電される。
【0053】
本実施形態によれば、充電スタンド10の装置バッテリ11を、高圧電力を扱う固定電源(例えば商用電源)を利用することなく、ユーザーの電気自動車20の内蔵バッテリ21の蓄電電力を利用して充電することができる。これにより、充電スタンド10の設置にかかる制約が少なくなるため、充電スタンド10を容易に設置することができる。しかも、充電スタンド10を固定電源に接続する必要がなくなるため、充電スタンド10を容易に移動させることができる。これにより、充電スタンド10を高い自由度で配置することができるため、電気自動車20の充電にかかる利便性を向上させることができる。例えば、イベント会場やコインパーキング等の任意の場所に充電スタンド10を一時的に設置することが可能になる。
【0054】
(2)充電スタンド10が設置された充電スポットが所定範囲内に複数設定されている場合には、各充電スポットにおける充電スタンド10の設置台数と各充電スタンド10の利用状況との関係をもとに、充電スタンド10の一部を移動させることができる。これにより、複数の充電スポットにおいて充電スタンド10を効率良く運用することができる。
【0055】
図7は、そうした充電スタンド10の移動態様の一例を示している。図7に示す例では、所定範囲内に3箇所の充電スポットS1,S2,S3が設定されている。充電スポットS1には2台の充電スタンド10が設置されている。充電スポットS1では、充電スタンド10の1台あたりの利用頻度が比較的低くなっている。充電スポットS2には1台の充電スタンド10が設置されている。充電スポットS2では、充電スタンド10の1台あたりの利用頻度が高くなっている。本例では、図中に矢印Mで示すように、充電スポットS1に設置された2台の充電スタンド10のうちの一方が、充電スポットS2に移動される。これにより、2箇所の充電スポットS1,S2がトータルで効率良く運用されるようになる。
【0056】
(3)管理サーバ40は、送電制御部32によって装置バッテリ11および内蔵バッテリ21の一方から他方に蓄電電力が送られた場合に、装置バッテリ11と内蔵バッテリ21との間における電力の授受量に対応した決済を行う決済部48を有する。そのため、充電スタンド10を利用することで、充電スタンド10の管理者と電気自動車20のユーザーとの間での電力の売買を、電力の授受量に対応した決済を含めたかたちで行うことができる。
【0057】
(4)充電スタンド10は、太陽光をもとに発電する発電部15を有する。本実施形態によれば、発電部15を充電スタンド10の補助電源として利用することができるため、電力不足によって充電スタンド10の動作が不安定になることを抑えることができる。
【0058】
(5)装置バッテリ11は、電気自動車の内蔵バッテリが転用されている。これにより、電気自動車での使用実績がある内蔵バッテリを利用して充電システムを構築することができるため、高い信頼性を得ることができる。
【0059】
(6)装置バッテリ11として、電気自動車の内蔵バッテリの中古品を利用している。これにより、廃棄される内蔵バッテリを再利用することができるため、環境に配慮することができる。
【0060】
<変更例>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0061】
・充電スタンド10および管理サーバ40を別体に構成することの他、充電スタンド10および管理サーバ40を一体に構成するようにしてもよい。
・複数台の充電スタンド10を管理する管理サーバ40を設置することの他、個々の充電スタンド10に専用の管理サーバ40を一体に設けるようにしてもよい。個々の充電スタンド10が独立して機能するようになるため、充電スタンド10の設置の自由度をより高くすることができる。同構成においては、充電スタンド10が、サーバ機能を有する充電装置に相当する。
【0062】
・充電スタンド10に、装置バッテリ11とは別に、小型の補助バッテリを設けるようにしてもよい。この場合には、発電部15による発電電力によって補助バッテリを充電するようにすればよい。同構成においては、補助バッテリを、充電スタンド10における装置バッテリ11以外の部分に給電する電源として利用することができる。
【0063】
・再生エネルギーをもとに発電する発電部としては、ソーラーパネルの他、小型の風力発電機などを採用することができる。発電部としては、容易に移動させることができるものを採用すればよい。これにより、補助電源として機能する発電部が充電スタンド10に接続されているとはいえ、同充電スタンド10を容易に移動させることができる。
【0064】
・発電部15を省略することができる。
・決済部48を省略することができる。
・装置バッテリ11として、電気自動車の内蔵バッテリの未使用品を転用するようにしてもよい。その他、装置バッテリ11としては、電気自動車の内蔵バッテリ以外の二次電池を採用することができる。
【符号の説明】
【0065】
10…充電スタンド
11…装置バッテリ
12…接続コネクタ
13…操作部
14…送電回路部
15…発電部
16…通信部
17…制御部
20…電気自動車
21…内蔵バッテリ
22…接続コネクタ
23…通信ネットワーク
24…外部機器
30…記憶部
32…送電制御部
33…検出部
40…管理サーバ
43…処理部
46…データ取得部
47…データ発信部
48…決済部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7