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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131386
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 1/00 20060101AFI20230914BHJP
   G08C 25/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H04L1/00 A
G08C25/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036111
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】西川 卓郎
【テーマコード(参考)】
2F073
5K014
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AB08
2F073BB04
2F073BC01
2F073CC03
2F073CD01
2F073DD07
2F073DE16
2F073EE01
2F073EE02
2F073FF04
2F073FG04
2F073GG01
2F073GG07
5K014AA01
5K014CA05
5K014EA04
5K014FA09
5K014GA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外部に設けられるセンサで取得される値が入力される入力インタフェース回路を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置10は、外部に設けられた信号生成部から与えられる入力信号を受信して、受信した入力信号から複数の受信信号を生成する複数の受信部12、13と、複数の受信信号を比較して、受信信号の間に生じたチャンネル間誤差が閾値以上になったことに応じてエラー通知を上位システムに出力するエラー判定部14と、閾値カウント値が格納される閾値カウントレジスタ17と、を有する。エラー判定部14は、閾値カウント値により指定される期間が経過するまでエラー通知の発出を待機する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に設けられた信号生成部から与えられる入力信号を受信する第1の受信部と、
前記入力信号を受信する第2の受信部と、
受信した前記入力信号から前記第1の受信部が生成した第1の受信信号と、受信した前記入力信号から前記第2の受信部が生成した第2の受信信号と、を比較して、前記第1の受信信号と前記第2の受信信号とのチャンネル間誤差が閾値以上になったことに応じてエラー通知を上位システムに出力するエラー判定部と、
前記チャンネル間誤差が前記閾値以上になってから前記エラー通知を前記エラー判定部が発するまでの時間の長さを設定する閾値カウント値が格納される閾値カウントレジスタと、を有し、
前記エラー判定部は、前記チャンネル間誤差が閾値以上にかってから前記閾値カウント値により指定される期間が経過するまで前記エラー通知の発出を待機する半導体装置。
【請求項2】
前記閾値カウント値を最大値として、前記チャンネル間誤差が前記閾値以上となった期間の処理サイクル数をカウントダウンする閾値カウンタを有し、
前記エラー判定部は、前記閾値カウンタのカウント値が最小値に達したことに応じて前記エラー通知を発する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記チャンネル間誤差が前記閾値以上になった後、前記チャンネル間誤差が前記閾値未満になってからの期間の長さを設定するノイズリカバリカウント値を格納するノイズリカバリカウントレジスタと、
前記ノイズリカバリカウント値を最大値として、前記チャンネル間誤差が前記閾値以上になった後、前記チャンネル間誤差が前記閾値未満となった期間の処理サイクル数をカウントダウンし、カウント値が最小値になったことに応じて前記閾値カウンタのカウント値を前記閾値カウント値にリセットするノイズリカバリカウンタと、を有する請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の受信部と前記第2の受信部は、データ送信サイクルを規定する同期クロックを信号生成部に送信するとともに、前記同期クロックに基づき前記入力信号を取り込む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記信号生成部は、
前記第1の受信部に対応し、第1の入力信号及び前記第1の入力信号の取り取り込みに利用する第1の同期クロックを出力する第1の信号生成部と、
前記第2の受信部に対応し、第2の入力信号及び前記第2の入力信号の取り取り込みに利用する第2の同期クロックを出力する第2の信号生成部と、を有し、
前記第1の同期クロックと前記第2の同期クロックは互いに非同期のクロックサイクルを有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記エラー判定部は、前記同期クロックのズレを検出して、前記同期クロックのズレに起因するエラーは疑似エラーとしてエラー不検出とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記信号生成部は、1組の前記入力信号と前記入力信号の取り込みに用いる同期クロックを出力し、
前記第1の受信部と前記第2の受信部は、位相が180°異なる前記同期クロックのエッジで前記入力信号を取り込む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記信号生成部は、前記第1の受信部及び前記第2の受信部に対して独立した前記入力信号をそれぞれ出力するとともに、前記入力信号に対応した1つの同期クロックを前記第1の受信部及び前記第2の受信部に出力する請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、例えば、外部に設けられるセンサで取得される値が入力される入力インタフェース回路を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々なセンサからの入力に基づきシステム制御を行うことが行われている。このようなセンサからの信号取り込み技術の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の半導体装置は、同一の検出対象を検出する複数の内部センサTS1、TS2と、複数の内部センサTS1,TS2からの検出信号のそれぞれを所定の周波数で切り替えて出力する切替回路SELと、切替回路SELの出力に基づく変換信号のうち、所定の外部センサの出力信号を補正するための第1の周波数成分を抽出する補正情報抽出回路552と、切替回路SELの出力に基づく変換信号のうち、複数の内部センサTS1、TS2の異常を検出するための第2の周波数成分を抽出する異常情報抽出回路553と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-83226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、アナログデジタル変換回路が内蔵されており、2つのチャネル間で生じるデータエラーをソフトウェアによる処理で行っている。しかしながら、近年、48Vの電源を搭載する車両では、カルバニック絶縁により48Vの電源系とは絶縁された12Vの電源系に設けたシステムで情報処理を行うことが行われている。このような場合、アナログデジタル変換器は外部に設けられることが多く、特許文献1に記載の半導体装置の機能安全確保の手法を適用出来ない問題があった。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置は、外部に設けられた信号生成部から与えられる入力信号を複数の受信部で受信して、受信した入力信号から複数の受信信号を生成する受信部と、複数の受信信号を比較して、受信信号の間に生じたチャンネル間誤差が閾値以上になったことに応じてエラー通知を上位システムに出力するエラー判定部と、閾値カウント値が格納される閾値カウントレジスタと、を有し、エラー判定部は、閾値カウント値により指定される期間が経過するまでエラー通知の発出を待機する。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、半導体装置は、ハードウェア処理のみにより機能安全を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる半導体装置を含む情報処理システムのブロック図である。
図2】実施の形態1にかかる半導体装置のブロック図である。
図3】実施の形態1にかかる半導体装置の動作を説明するタイミングチャートである。
図4】実施の形態2にかかる半導体装置のブロック図である。
図5】実施の形態2にかかる半導体装置において非同期の入力信号の間に周波数偏差がない場合の動作を説明するタイミングチャートである。
図6】実施の形態2にかかる半導体装置において非同期の入力信号の間に周波数偏差がある場合の動作を説明するタイミングチャートである。
図7】実施の形態3にかかる半導体装置のブロック図である。
図8】実施の形態3にかかる半導体装置の動作を説明するタイミングチャートである。
図9】実施の形態3にかかる半導体装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
実施の形態1
実施の形態1にかかる半導体装置10は、外部に設けられる外付け部品から送信されるデータストリームを受信して、当該データストリームを用いた情報処理を行う。そこで、図1に実施の形態1にかかる半導体装置10を含む情報処理システム1のブロック図を示す。
【0012】
図1に示すように、実施の形態1にかかる情報処理システム1では、トランスTを介してセンサから得た信号をフルブリッジコンバータFBCにより整流してデルタシグマ変調器に入力する。このとき、実施の形態1にかかる情報処理システム1では、2チャンネルのデルタシグマ変調器を用いる。実施の形態1にかかる情報処理システム1では、同一構成のデルタシグマ変調器DSM0とデルタシグマ変調器DSM1とを用いる。
【0013】
デルタシグマ変調器DSM0、DSM1は、フルブリッジコンバータFBCからの信号を受信する入力部(図1のINPUT)と、絶縁部(図1のISOLATION)と、半導体装置10の入力信号を出力する出力部(図1のOUTPUT)と、を有する。そして、実施の形態1にかかる情報処理システム1では、絶縁部より入力部側の領域は48Vの電源系で動作させ、絶縁部から出力部側の領域は12Vの電源系で動作させる。また、絶縁部は、ガルバニック絶縁が行える構成を有する。そして、デルタシグマ変調器は、入力部に与えられたアナログ信号の大きさに応じてパルス密度、或いは、パルス幅が変化するデータストリームを半導体装置10の入力信号として出力する。なお、デルタシグマ変調器は、信号生成部の一例であり、信号生成部としては、アナログ信号の大きさに応じた値のデジタル値を出力するアナログデジタル変換回路等を用いることもできる。
【0014】
実施の形態1にかかる情報処理システム1では、半導体装置10が同一の値に設定される入力信号を複数のチャンネルで受信し、半導体装置10が同一の信号が与えられる複数のチャンネルの間の誤差を検出することで半導体装置10の入力部分で生じた故障を検出する。図1に示す例では、この複数のチャンネルは、半導体装置10がデルタシグマ変調器DSM0、DSM1に対応する半導体装置10の入力インタフェースである。そこで、以下では半導体装置10の構成について詳細に説明する。
【0015】
図2に実施の形態1にかかる半導体装置10のブロック図を示す。図2に示すように、実施の形態1にかかる半導体装置10は、第1の受信部12、第2の受信部13、エラー判定部14、閾値カウントレジスタ17、ノイズリカバリカウントレジスタ18を有する。
【0016】
実施の形態1にかかる情報処理システム1では、半導体装置10からデルタシグマ変調器DSM0、DSM1に同期クロックDSMCLKを伝達し、同期クロックDSMCLKのクロックサイクルに同期させてデルタシグマ変調器DSM0、DSM1から半導体装置10に入力信号DSMDATを送信する。ここで、入力信号DSMDATは、デルタシグマ変調器が生成するデータストリームである。また、デルタシグマ変調器DSM0は、第1の受信部12に対応して設けられる第1の信号生成部であり、第1の受信部12により取り込まれる第1の入力信号を出力する。デルタシグマ変調器DSM1は、第2の受信部13に対応して設けられる第2の信号生成部であり、第2の受信部13により取り込まれる第2の入力信号を出力する。
【0017】
第1の受信部12は、デルタシグマ変調器DSM0から与えられる入力信号を受信する。また、第1の受信部12は、内部に設けられたクロック制御部(不図示)が生成した同期クロックDSMCLKをデルタシグマ変調器DSM0に対して出力するとともに、同期クロックDSMCLKに同期したタイミングで入力信号を取り込む。第2の受信部13は、デルタシグマ変調器DSM1から与えられる入力信号を受信する。また、第2の受信部13は、内部に設けられたクロック制御部(不図示)が生成した同期クロックDSMCLKをデルタシグマ変調器DSM1に対して出力するとともに、同期クロックDSMCLKに同期したタイミングで入力信号を取り込む。
【0018】
図2に示す例では、第1の受信部12は、DSMインタフェース12a、デジタルフィルタ12bを有する。DSMインタフェース12aは、内部に設けられたクロック制御部が生成した同期クロックDSMCLKをデルタシグマ変調器DSM0に対して出力するとともに、入力信号DSMDATを同期クロックDSMCLKに同期したタイミングで取り込む。また、入力信号DSMDATはシリアルデータであるため、DSMインタフェース12aは、取り込んだ入力信号DSMDATをデコードして、所定の周期でパラレルデータにより1つの値を示す受信値を生成する。デジタルフィルタ12bは、受信値に対してFIRフィルタ等のデジタルフィルタ処理を施して第1の受信信号を生成する。
【0019】
また、図2に示す例では、第2の受信部13は、DSMインタフェース13a、デジタルフィルタ13bを有する。DSMインタフェース13aは、内部に設けられたクロック制御部が生成した同期クロックDSMCLKをデルタシグマ変調器DSM1に対して出力するとともに、入力信号DSMDATを同期クロックDSMCLKに同期したタイミングで取り込む。また、入力信号DSMDATはシリアルデータであるため、DSMインタフェース13aは、取り込んだ入力信号DSMDATをデコードして、所定の周期でパラレルデータにより1つの値を示す受信値を生成する。デジタルフィルタ13bは、受信値に対してFIRフィルタ等のデジタルフィルタ処理を施して第2の受信信号を生成する。
【0020】
エラー判定部14は、第1の受信部12が生成した第1の受信信号と、第2の受信部13が生成した第2の受信信号と、を比較して、第1の受信信号と第2の受信信号とのチャンネル間誤差が閾値以上になったことに応じてエラー通知を上位システムに出力する。閾値カウントレジスタ17は、チャンネル間誤差が閾値以上になってからエラー通知をエラー判定部が発するまでの時間の長さを設定する閾値カウント値が格納される。そして、エラー判定部14は、チャンネル間誤差が閾値以上になってから閾値カウント値により指定される期間が経過するまで前記エラー通知の発出を待機する。
【0021】
ノイズリカバリカウントレジスタ18は、チャンネル間誤差が閾値以上になった後、チャンネル間誤差が閾値未満になってからの期間の長さを設定するノイズリカバリカウント値を格納する。そして、エラー判定部14は、チャンネル間誤差が閾値以上になった後、チャンネル間誤差が閾値未満になってからノイズリカバリカウント値で指定される期間が経過するまでは閾値カウント値に基づくエラー通知の発出待機を停止する。
【0022】
ここで、エラー判定部14は、比較値生成回路15、ノイズカウンタ16、割り込み制御部19を有する。比較値生成回路15は、第1の受信信号で示される値と第2の受信信号で示される値とを比較して、2つの信号の間に生じる誤差であるチャンネル間誤差が閾値以上か否かを判定する。そして、比較値生成回路15は、チャンネル間誤差が閾値以上であると判定されたことに応じて、ノイズカウンタ16をイネーブル状態に切り替える。
【0023】
ノイズカウンタ16は、チャンネル間誤差が閾値以上となっている処理サイクルの数をカウントする。ここで、ノイズカウンタ16は、閾値カウンタ16aとノイズリカバリカウンタ16bとを有する。閾値カウンタ16aは、閾値カウントレジスタ17に格納されている閾値カウント値を最大値として、チャンネル間誤差が閾値以上となった期間の処理サイクル数をカウントダウンする。また、閾値カウンタ16aは、カウント値が最小値となったことにより割り込み制御部19にエラー通知を上位システムに通知することを指示する。なお、割り込み制御部19は、上位システムへの割り込み処理としてエラー通知を出力する。
【0024】
また、ノイズリカバリカウンタ16bは、ノイズリカバリカウントレジスタ18に格納されたノイズリカバリカウント値を最大値として、チャンネル間誤差が閾値以上になった後、チャンネル間誤差が閾値未満なった期間の処理サイクル数をカウントダウンする。そして、ノイズリカバリカウンタ16bは、カウント値が最小値になったことに応じて閾値カウンタ16aのカウント値を閾値カウント値にリセットする。
【0025】
続いて、タイミングチャートを参照して半導体装置10の動作を説明する。図3に実施の形態1にかかる半導体装置の動作を説明するタイミングチャートを示す。図3に示す例は、第1の受信信号と第2の受信信号として同一の値の信号が生成されている状態で、タイミングT11とタイミングT21で第2の受信信号に対してのみノイズが発生した例である。また、図3に示す例では、閾値カウント値を3、ノイズリカバリカウント値を3、それぞれのカウント値の最小値を0とした。
【0026】
このような場合、半導体装置10では、タイミングT11のノイズ発生に起因してエラー判定部14の閾値カウンタ16aがカウント値をカウントダウンする。また、ノイズリカバリカウンタ16bは、タイミングT11においてカウント値としてノイズリカバリカウント値を設定する。そして、タイミングT11から3サイクル目となるタイミングT12でチャンネル間誤差が閾値未満となったことに応じて閾値カウンタ16aはカウントダウンを停止するとともに、ノイズリカバリカウンタ16bがカウントダウンを開始する。そして、タイミングT12から3サイクル目となるタイミングT13でノイズリカバリカウンタ16bのカウント値が最小値(例えば、0)となったことに応じて、閾値カウンタ16aのカウント値が閾値カウント値にリセットされる。
【0027】
また、タイミングT21で発生したノイズに関しては、タイミングT11で発生したノイズよりも大きい。半導体装置10では、タイミングT21のノイズ発生に起因してエラー判定部14の閾値カウンタ16aがカウント値をカウントダウンする。また、ノイズリカバリカウンタ16bは、タイミングT21においてカウント値としてノイズリカバリカウント値を設定する。そして、タイミングT21から3サイクル目となるタイミングT22においてもチャネル間誤差が閾値以上であるため、閾値カウンタ16aのカウント値が最小値(例えば、0)となることで、閾値カウンタ16aは割り込み制御部19を介してエラー通知を発する。そして、タイミングT22の次のサイクルとなるタイミングT23でチャンネル間誤差が閾値未満となったことに応じて閾値カウンタ16aはカウントダウンを停止するとともに、ノイズリカバリカウンタ16bがカウントダウンを開始する。そして、タイミングT23から3サイクル目となるタイミングT24でノイズリカバリカウンタ16bのカウント値が最小値(例えば、0)となったことに応じて、閾値カウンタ16aのカウント値が閾値カウント値にリセットされる。
【0028】
上記説明より、実施の形態1にかかる半導体装置10では、複数のチャンネルで理想的には同一値となる入力信号を受信し、複数のチャンネル間の誤差に基づきエラー通知を発する処理を行うハードウェアを有する。これにより、実施の形態1にかかる半導体装置10では、入力端子の固着、半導体装置10の外側にある信号経路の断線等の故障の検出をソフトウェア処理を用いることなく行うことができる。つまり、実施の形態1にかかる半導体装置10は、機能安全の確保をハードウェア処理のみによって行うことが可能である。また、実施の形態1にかかる半導体装置10を用いることで、異なる電源系の間の絶縁をデルタシグマ変調器DSM等のハードウェアにより実現する構成に対応することができる。
【0029】
また、実施の形態1にかかる半導体装置10では、エラー検出をハードウェア処理により実現することで、ソフトウェア処理負荷を軽減することができる。また、実施の形態1にかかる半導体装置10では、閾値カウントレジスタ17及びノイズリカバリカウントレジスタ18を設けることでエラー判定範囲及びチャネル間誤差の閾値超過回数を柔軟に変更することが可能である。
【0030】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる半導体装置10の別の形態となる半導体装置20について説明する。なお、実施の形態2の説明において実施の形態1と同じ構成要素については実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0031】
図4に実施の形態2にかかる半導体装置20のブロック図を示す。図4に示すように、実施の形態2にかかる半導体装置20に対応する第1の信号生成回路(例えば、デルタシグマ変調器DSM0)及び第2の信号生成部(例えば、デルタシグマ変調器DSM1)は、同期クロックDSMCLKを自ら出力する。また、デルタシグマ変調器DSM0とデルタシグマ変調器DSM1は、互いに非同期で動作するものとする。
【0032】
また、半導体装置20では、デルタシグマ変調器DSMが出力する同期クロックに基づき入力信号DSMDATを取り込む第1の受信部22及び第2の受信部23を有する。第1の受信部22は、デルタシグマ変調器DSM0から与えられる同期クロックDSMCLKに基づき受信値を生成するDSMインタフェース22aを有する。また、第2の受信部23は、デルタシグマ変調器DSM1から与えられる同期クロックDSMCLKに基づき受信値を生成するDSMインタフェース23aを有する。
【0033】
実施の形態2にかかる半導体装置20では、2つの同期クロックDSMCLKの間に周波数偏差がない場合、第1の受信部32及び第2の受信部33におけるデータ取り込みタイミングと回数の相対関係が時間とともにズレることはないため、実施の形態1にかかる半導体装置10と同じ動作が可能である。そこで、図5に実施の形態2にかかる半導体装置20において非同期の入力信号の間に周波数偏差がない場合の動作を説明するタイミングチャートを示す。
【0034】
図5に示すように、非同期の入力信号の間に周波数偏差がない場合、同じ取り込み回数の値をチャンネル間で比較することで、いずれか一方の入力が消失した、或いは、誤差がそれ以前に比べて大きくなった等の変化をエラー判定部14で検出することでエラーを通知することができる。
【0035】
一方、非同期の入力信号の間にチャネル間誤差が生じた場合は、実施の形態1とは異なる動作が必要となる。そこで、図6に実施の形態2にかかる半導体装置20において非同期の入力信号の間に周波数偏差がある場合の動作を説明するタイミングチャートを示す。図6では、チャンネルCH1の周波数がチャンネルCH0よりも若干早くなった場合の例を示した。このような周波数偏差がチャンネル間で生じた場合、ある時点で同一の取り込み順序の値の比較が困難になり、エラー検出が誤って行われてしまう可能せいがある。そこで、実施の形態2にかかるエラー判定部14では、同期クロックのズレを検出して、前記同期クロックのズレに起因するエラーは疑似エラーとしてエラー不検出とする機能を有する。
【0036】
これにより、実施の形態2にかかる半導体装置20では、互いに非同期動作するデルタシグマ変調器DSMを信号生成回路として採用した場合であっても、周波数偏差に起因するエラーを疑似エラーと処理し、エラーの誤検出及び誤検出に起因するソフトウェア処理の発生を回避することができる。
【0037】
実施の形態3
実施の形態3では、実施の形態1にかかる半導体装置10の別の形態となる半導体装置30について説明する。なお、実施の形態3の説明において実施の形態1と同じ構成要素については実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0038】
図7に実施の形態3にかかる半導体装置30のブロック図を示す。図7に示すように、実施の形態3では、半導体装置30に対応して設けられるデルタシグマ変調器は、デルタシグマ変調器DSM0だけである。また、実施の形態3にかかる半導体装置30に対応するデルタシグマ変調器DSMは、同期クロックDSMCLKをチャンネルCH0側のDSMインタフェース32aから受け取る。また、デルタシグマ変調器DSM0は、1つの出力信号を分岐した経路を経由して半導体装置30に送信し、DSMインタフェース32a、33aに対して同じ入力信号を与える。一方、半導体装置30のDSMインタフェース33aは、同期クロックをDSMインタフェース32aから受け取る。
【0039】
そして、半導体装置30では、第1の受信部32及び第2の受信部33がともにDSMインタフェース32aが出力する同期クロックに基づき入力信号DSMDATを取り込む。第1の受信部32は、自機が生成した同期クロックDSMCLKに基づき受信値を生成するDSMインタフェース32aを有する。また、第2の受信部33は、DSMインタフェース32aから与えられる同期クロックDSMCLKに基づき受信値を生成するDSMインタフェース33aを有する。そして、DSMインタフェース32a及びDSMインタフェース33aは、互いに180°位相が異なる同期クロックDSMCLKのクロックエッジを用いて入力信号を取り込む。
【0040】
そこで、図8に実施の形態3にかかる半導体装置の動作を説明するタイミングチャートを示す。図8に示す例では、DSMインタフェース32aは同期クロックDSMCLKの立ち下がりエッジでデータを取り込み、DSMインタフェース33aは同期クロックDSMCLKの立ち上がりエッジでデータを取り込む。
【0041】
このようなデータ取り込みを行うことで、同期クロックDSMCLKの高速化に対してタイミングマージンを得ることが可能になる。一方2つのチャンネルで互いに異なるタイミングでデータを取り込むことで、タイミングをずらしながら常に2つのチャンネルが同じデータを取得することになるため、2つのデータに差分が発生しない。これにより、実施の形態3にかかる半導体装置30では、チャネル間のアナログデジタル変換に関するマージンを考慮することなくエラー判定部14における比較することが可能になる。
【0042】
実施の形態4
実施の形態4では、実施の形態2にかかる半導体装置20に対して1つのデルタシグマ変調器を設けたものである。そして、このデルタシグマ変調器DSMは、半導体装置20の2つのチャンネルに対して1つの同期クロックDSMCLKを出力しつつ、2チャンネルの入力信号DSMCLKを出力する。
【0043】
このような構成とすることで、同一の同期クロックが2つのチャンネルに供給されるため、チャンネル間の周波数偏差の発生を防ぐことができる。これにより、実施の形態4にかかる半導体装置20では、周波数偏差に起因する疑似エラー防止機能を省略することが可能になる。
【0044】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1 情報処理システム
10、20、30 半導体装置
12、22、32 第1の受信部
12a、13a、22a、23a、32a、33a DSMインタフェース
12b、13b デジタルフィルタ
13、23、33 第2の受信部
14 エラー判定部
15 比較値生成回路
16 ノイズカウンタ
16a 閾値カウンタ
16b ノイズリカバリカウンタ
17 閾値カウントレジスタ
18 ノイズリカバリカウントレジスタ
19 割り込み制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9