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特開2023-131414電力管理装置、給電システム、及び電力管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131414
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】電力管理装置、給電システム、及び電力管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20230914BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H02J1/00 306L
H02J7/00 302C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036162
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】光永 琢真
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】直井 克夫
(72)【発明者】
【氏名】一 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】宇都 久和
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165CA02
5G165CA04
5G165DA01
5G165EA03
5G165EA04
5G165EA06
5G165GA04
5G165HA02
5G165HA03
5G165HA09
5G165HA17
5G165JA02
5G165JA07
5G165JA09
5G165KA02
5G165KA05
5G165LA01
5G165LA03
5G165MA10
5G503AA00
5G503AA04
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA10
5G503CA11
5G503CB11
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA07
5G503DA17
5G503EA05
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】通信ネットワークを用いることなく、送受電を行うこと。
【解決手段】電力管理装置は、他の給電システムと外部直流バスを介して接続された給電システム内の内部直流バスに供給される内部バス電圧と外部バス電圧とを双方向に変換可能なコンバータを制御することによって給電システムの動作モードを切り替える制御部を備え、制御部は、給電システムの蓄電量が蓄電閾値Bth1を下回る場合、コンバータにおける外部バス電圧の目標値を第1目標値に設定することによって、給電システムを受電モードに設定し、給電システムの蓄電量が蓄電閾値Bth1よりも大きい蓄電閾値Bth2を上回り、かつ、外部バス電圧の計測値が送電電圧閾値Vthを上回る場合、目標値を第1目標値よりも大きい第2目標値に設定することによって、給電システムを送電モードに設定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の給電システムと外部直流バスを介して接続された給電システムに蓄積されている蓄電量を取得する第1取得部と、
前記外部直流バスに供給されている外部バス電圧の計測値を取得する第2取得部と、
前記外部直流バスと前記給電システム内にて直流電力を供給する内部直流バスとの間に設けられたコンバータであって、前記外部バス電圧と前記内部直流バスに供給される内部バス電圧とを双方向に変換可能なコンバータを制御することによって前記給電システムの動作モードを切り替える制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記蓄電量が第1蓄電閾値を下回る場合、前記コンバータにおける前記外部バス電圧の目標値を第1目標値に設定することによって、前記給電システムを受電モードに設定し、
前記蓄電量が前記第1蓄電閾値よりも大きい第2蓄電閾値を上回り、かつ、前記計測値が送電電圧閾値を上回る場合、前記目標値を前記第1目標値よりも大きい第2目標値に設定することによって、前記給電システムを送電モードに設定する、
電力管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記給電システムが前記受電モードに設定されている場合に、前記第2蓄電閾値よりも小さく、前記第1蓄電閾値よりも大きい第3蓄電閾値を、前記蓄電量が上回ったことに応じて、前記受電モードを解除する、請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記給電システムが前記送電モードに設定されている場合に、前記第2蓄電閾値よりも小さく、前記第1蓄電閾値よりも大きい第4蓄電閾値を、前記蓄電量が下回ったことに応じて、前記送電モードを解除する、請求項1又は請求項2に記載の電力管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記給電システムが前記送電モードに設定されている場合に、前記コンバータを介して前記外部直流バスに電力の供給が行われていないことを検出したことに応じて、前記送電モードを解除する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電力管理装置。
【請求項5】
外部直流バスを介して他の給電システムとの間で相互に電力の供給を行う給電システムであって、
直流電力を供給するための内部直流バスと、
電源装置と前記内部直流バスとの間に設けられ、前記電源装置にて生成した電圧を前記内部直流バスに供給される内部バス電圧に変換する第1コンバータと、
前記内部直流バスに接続され、前記内部バス電圧を負荷機器に供給される負荷電圧に変換する第2コンバータと、
蓄電池と、
前記蓄電池と前記内部直流バスとの間に設けられ、前記内部バス電圧と前記蓄電池の電池電圧とを双方向に変換可能な第3コンバータと、
前記内部直流バスと前記外部直流バスとの間に設けられ、前記内部バス電圧と前記外部直流バスに供給される外部バス電圧とを双方向に変換可能な第4コンバータと、
前記第3コンバータを制御することによって前記蓄電池を充放電するとともに、前記第4コンバータを制御することによって前記給電システムの動作モードを切り替える電力管理装置と、
を備え、
前記電力管理装置は、
前記蓄電池に蓄積されている蓄電量が第1蓄電閾値を下回る場合、前記第4コンバータにおける前記外部バス電圧の目標値を第1目標値に設定することによって、前記給電システムを受電モードに設定し、
前記蓄電量が前記第1蓄電閾値よりも大きい第2蓄電閾値を上回り、かつ、前記外部バス電圧の計測値が送電電圧閾値を上回る場合、前記目標値を前記第1目標値よりも大きい第2目標値に設定することによって、前記給電システムを送電モードに設定する、
給電システム。
【請求項6】
他の給電システムと外部直流バスを介して接続された給電システムに蓄積されている蓄電量を取得するステップと、
前記外部直流バスに供給されている外部バス電圧の計測値を取得するステップと、
前記蓄電量が第1蓄電閾値を下回る場合に、前記外部直流バスと前記給電システム内にて直流電力を供給する内部直流バスとの間に設けられたコンバータであって、前記外部バス電圧と前記内部直流バスに供給される内部バス電圧とを双方向に変換可能なコンバータにおける前記外部バス電圧の目標値を、第1目標値に設定することによって、前記給電システムを受電モードに設定するステップと、
前記蓄電量が前記第1蓄電閾値よりも大きい第2蓄電閾値を上回り、かつ、前記計測値が送電電圧閾値を上回る場合に、前記目標値を前記第1目標値よりも大きい第2目標値に設定することによって、前記給電システムを送電モードに設定するステップと、を備える電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力管理装置、給電システム、及び電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
送受電ユニット(給電システム)と他の送受電ユニットとの間において相互に送受電を行う電力融通システムが知られている。例えば、特許文献1には、通信ネットワークを介して、一つ以上の送受電ユニット(給電システム)と、仮想送電網構築装置とが接続された電力融通システムが記載されている。送受電ユニットは、通信ネットワークを介して、仮想送電網構築装置に対し、需要地系統への参加を表明する。仮想送電網構築装置は、需要地系統への参加を表明した送受電ユニットの送受電制御部(電力管理装置)に対して、必要な指示(送電経路及び送電タイミング)を与えることで、送受電ユニット間の電力融通を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-177686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の給電システムでは、一つの需要地系統のすべての送受電ユニットが、通信ネットワークを介して同一の仮想送電網構築システムに接続できなければならない。しかしながら、自然災害等で電力系統が停止した場合に、通信ネットワークが断絶される可能性がある。そのような場合には、送受電ユニットと仮想送電網構築システムとの接続が断絶されるので、送受電を行えないおそれがある。
【0005】
本開示は、通信ネットワークを用いることなく、送受電を行うことのできる電力管理装置、給電システム、及び電力管理方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る電力管理装置は、他の給電システムと外部直流バスを介して接続された給電システムに蓄積されている蓄電量を取得する第1取得部と、外部直流バスに供給されている外部バス電圧の計測値を取得する第2取得部と、外部直流バスと給電システム内にて直流電力を供給する内部直流バスとの間に設けられたコンバータであって、外部バス電圧と内部直流バスに供給される内部バス電圧とを双方向に変換可能なコンバータを制御することによって給電システムの動作モードを切り替える制御部と、を備える。制御部は、蓄電量が第1蓄電閾値を下回る場合、コンバータにおける外部バス電圧の目標値を第1目標値に設定することによって、給電システムを受電モードに設定し、蓄電量が第1蓄電閾値よりも大きい第2蓄電閾値を上回り、かつ、計測値が送電電圧閾値を上回る場合、目標値を第1目標値よりも大きい第2目標値に設定することによって、給電システムを送電モードに設定する。
【0007】
この電力管理装置では、給電システムに蓄積されている蓄電量に基づいて、給電システムの動作モードが切り替えられる。給電システムに蓄積されている蓄電量が第1蓄電閾値を下回っている場合には、給電システムのコンバータにおける外部バス電圧の目標値が第1目標値に設定されて、給電システムは受電モードに設定される。このとき、他の給電システムにおいても同様の制御が行われており、他の給電システムが送電モードに設定されたとすると、他の給電システムのコンバータにおける外部バス電圧の目標値は、第2目標値に設定される。第2目標値は第1目標値よりも大きいので、外部直流バスには電位差が生じ、送電モードに設定された他の給電システムから受電モードに設定された給電システムに向かって電力が供給される。同様に、他の給電システムが受電モードに設定されているとすると、他の給電システムのコンバータにおける外部バス電圧の目標値が第1目標値に設定される。したがって、外部バス電圧の計測値は送電電圧閾値を上回るので、給電システムに蓄積されている蓄電量が第2蓄電閾値を上回っている場合には、給電システムのコンバータにおける外部バス電圧の目標値が第2目標値に設定されて、給電システムは送電モードに設定される。この場合も、外部直流バスには電位差が生じ、送電モードに設定された給電システムから受電モードに設定された他の給電システムに向かって電力が供給される。この構成によれば、給電システムが通信ネットワークを介して受電要求等を送信する必要はない。したがって、通信ネットワークを用いることなく、送受電を行うことができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、制御部は、給電システムが受電モードに設定されている場合に、第2蓄電閾値よりも小さく、第1蓄電閾値よりも大きい第3蓄電閾値を、蓄電量が上回ったことに応じて、受電モードを解除してもよい。この構成によれば、給電システムが過剰に電力の供給を受ける前に受電モードを解除することができる。したがって、給電システムが必要以上に電力の供給を受けない程度に、他の給電システムから受電することが可能となる。
【0009】
いくつかの実施形態において、制御部は、給電システムが送電モードに設定されている場合に、第2蓄電閾値よりも小さく、第1蓄電閾値よりも大きい第4蓄電閾値を、蓄電量が下回ったことに応じて、送電モードを解除してもよい。この構成によれば、給電システムの蓄電量が不足する前に送電モードを解除することができる。したがって、給電システムの蓄電量が不足しない程度に他の給電システムに送電することが可能となる。
【0010】
いくつかの実施形態において、制御部は、給電システムが送電モードに設定されている場合に、コンバータを介して外部直流バスに電力の供給が行われていないことを検出したことに応じて、送電モードを解除してもよい。コンバータを介して外部直流バスに電力が供給されていない場合には、他の給電システムは受電モードを解除したと考えられる。この場合、給電システムは他の給電システムに送電する必要が無い。上記構成によれば、他の給電システムが受電モードを解除した場合に、給電システムの送電モードを解除することができる。
【0011】
本開示の別の側面に係る給電システムは、外部直流バスを介して他の給電システムとの間で相互に電力の供給を行うシステムである。この給電システムは、直流電力を供給するための内部直流バスと、電源装置と内部直流バスとの間に設けられ、電源装置にて生成した電圧を内部直流バスに供給される内部バス電圧に変換する第1コンバータと、内部直流バスに接続され、内部バス電圧を負荷機器に供給される負荷電圧に変換する第2コンバータと、蓄電池と、蓄電池と内部直流バスとの間に設けられ、内部バス電圧と蓄電池の電池電圧とを双方向に変換可能な第3コンバータと、内部直流バスと外部直流バスとの間に設けられ、内部バス電圧と外部直流バスに供給される外部バス電圧とを双方向に変換可能な第4コンバータと、第3コンバータを制御することによって蓄電池を充放電するとともに、第4コンバータを制御することによって給電システムの動作モードを切り替える電力管理装置と、を備える。電力管理装置は、蓄電池に蓄積されている蓄電量が第1蓄電閾値を下回る場合、第4コンバータにおける外部バス電圧の目標値を第1目標値に設定することによって、給電システムを受電モードに設定し、蓄電量が第1蓄電閾値よりも大きい第2蓄電閾値を上回り、かつ、外部バス電圧の計測値が送電電圧閾値を上回る場合、目標値を第1目標値よりも大きい第2目標値に設定することによって、給電システムを送電モードに設定する。
【0012】
この給電システムでは、蓄電池に蓄積されている蓄電量に基づいて、給電システムの動作モードが切り替えられる。蓄電池に蓄積されている蓄電量が第1蓄電閾値を下回っている場合には、給電システムの第4コンバータにおける外部バス電圧の目標値が第1目標値に設定されて、給電システムは受電モードに設定される。このとき、他の給電システムにおいても同様の制御が行われており、他の給電システムが送電モードに設定されたとすると、他の給電システムの第4コンバータにおける外部バス電圧の目標値は、第2目標値に設定される。第2目標値は第1目標値よりも大きいので、外部直流バスには電位差が生じ、送電モードに設定された他の給電システムから受電モードに設定された給電システムに向かって電力が供給される。同様に、他の給電システムが受電モードに設定されているとすると、他の給電システムの第4コンバータにおける外部バス電圧の目標値が第1目標値に設定される。したがって、外部バス電圧の計測値は送電電圧閾値を上回るので、蓄電池に蓄積されている蓄電量が第2蓄電閾値を上回っている場合には、給電システムの第4コンバータにおける外部バス電圧の目標値が第2目標値に設定されて、給電システムは送電モードに設定される。この場合も、外部直流バスには電位差が生じ、送電モードに設定された給電システムから受電モードに設定された他の給電システムに向かって電力が供給される。この構成によれば、給電システムが通信ネットワークを介して受電要求等を送信する必要はない。したがって、通信ネットワークを用いることなく、送受電を行うことができる。
【0013】
本開示のさらに別の側面に係る電力管理方法は、他の給電システムと外部直流バスを介して接続された給電システムに蓄積されている蓄電量を取得するステップと、外部直流バスに供給されている外部バス電圧の計測値を取得するステップと、蓄電量が第1蓄電閾値を下回る場合に、外部直流バスと給電システム内にて直流電力を供給する内部直流バスとの間に設けられたコンバータであって、外部バス電圧と内部直流バスに供給される内部バス電圧とを双方向に変換可能なコンバータにおける外部バス電圧の目標値を、第1目標値に設定することによって、給電システムを受電モードに設定するステップと、蓄電量が第1蓄電閾値よりも大きい第2蓄電閾値を上回り、かつ、計測値が送電電圧閾値を上回る場合、目標値を第1目標値よりも大きい第2目標値に設定することによって、給電システムを送電モードに設定するステップと、を備える。
【0014】
この電力管理方法では、給電システムに蓄積されている蓄電量に基づいて、給電システムの動作モードが切り替えられる。給電システムに蓄積されている蓄電量が第1蓄電閾値を下回っている場合には、給電システムのコンバータにおける外部バス電圧の目標値が第1目標値に設定されて、給電システムは受電モードに設定される。このとき、他の給電システムにおいても同様の制御が行われており、他の給電システムが送電モードに設定されたとすると、他の給電システムのコンバータにおける外部バス電圧の目標値は、第2目標値に設定される。第2目標値は第1目標値よりも大きいので、外部直流バスには電位差が生じ、送電モードに設定された他の給電システムから受電モードに設定された給電システムに向かって電力が供給される。同様に、他の給電システムが受電モードに設定されているとすると、他の給電システムのコンバータにおける外部バス電圧の目標値が第1目標値に設定される。したがって、外部バス電圧の計測値は送電電圧閾値を上回るので、給電システムに蓄積されている蓄電量が第2蓄電閾値を上回っている場合には、給電システムのコンバータにおける外部バス電圧の目標値が第2目標値に設定されて、給電システムは送電モードに設定される。この場合も、外部直流バスには電位差が生じ、送電モードに設定された給電システムから受電モードに設定された他の給電システムに向かって電力が供給される。この構成によれば、給電システムが通信ネットワークを介して受電要求等を送信する必要はない。したがって、通信ネットワークを用いることなく、送受電を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示の各側面及び各実施形態によれば、通信ネットワークを用いることなく、送受電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係る給電システムを含む電力融通システムを概略的に示す構成図である。
図2図2は、図1に示される給電システムを概略的に示す構成図である。
図3図3は、図2に示される電力管理装置のハードウェア構成図である。
図4図4は、図2に示される電力管理装置の機能ブロック図である。
図5図5は、図2に示される電力管理装置が行う電力管理方法の一連の処理を示すフローチャートである。
図6図6は、図5に示される受電処理を詳細に示すフローチャートである。
図7図7は、図5に示される送電処理を詳細に示すフローチャートである。
図8図8は、図1に示される給電システム間での送受電を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。
【0018】
図1は、一実施形態に係る給電システムを含む電力融通システムを概略的に示す構成図である。図1に示される電力融通システム1は、複数の給電システム間において相互に直流電力の供給を行うためのシステムである。以降、直流電力を供給することを「送電」と称し、直流電力の供給を受けることを「受電」と称し、それらを総括して「送受電」と称することがある。電力融通システム1は、複数の給電システムと、外部直流バス3と、を備える。本実施形態では、電力融通システム1が2つの給電システム(給電システム21及び給電システム22(他の給電システム))を含む構成を例示する。給電システム21と給電システム22とは、外部直流バス3を介して互いに接続されている。この場合、給電システム21及び給電システム22の一方が他方に電力を供給する。例えば、給電システム21内部の蓄電量(蓄電量については後述する)が余剰であり、給電システム22内部の蓄電量が不足している場合は、給電システム21が給電システム22に外部直流バス3を介して電力を供給する。
【0019】
外部直流バス3は、給電システム21と給電システム22との間において直流電力を供給するための母線として機能するバスである。外部直流バス3には外部バス電圧Vbus1が供給される。外部バス電圧Vbus1は、高圧の直流電圧である。外部バス電圧Vbus1は、例えば、DC(Direct Current)350V以上DC410V以下の電圧である。外部バス電圧Vbus1の電圧値は、給電システム21又は給電システム22によって設定される。
【0020】
図2は、図1に示される給電システムを概略的に示す構成図である。給電システム22も同様の構成を有するので、ここでは、給電システム21のみを説明する。図2に示されるように、給電システム21は、負荷機器Lに負荷電力WL(負荷電圧VL)を供給するシステムである。本実施形態では、給電システム21は、直流給電システムである。負荷機器Lは、直流電圧で動作する直流負荷機器であってもよく、交流電圧で動作する交流負荷機器であってもよい。直流負荷機器の例としては、LED(Light Emission Diode)照明器、DCファン、テレビ、及びパーソナルコンピュータが挙げられる。交流負荷機器の例としては、洗濯機、冷蔵庫、及びエアーコンディショナが挙げられる。給電システム21は、外部直流バス3を介して給電システム22との間で相互に電力の供給を行う。
【0021】
給電システム21は、内部直流バス4と、電源装置5と、補助電源装置6と、コンバータ7(第2コンバータ)と、蓄電装置8と、双方向DC/DCコンバータ9(第4コンバータ)と、電力管理装置10と、を備える。
【0022】
内部直流バス4は、給電システム21内部にて直流電力を供給する直流給電を行うための母線として機能するバスである。内部直流バス4は、電源装置5、補助電源装置6、コンバータ7、及び蓄電装置8の設置場所に亘って敷設されている。内部直流バス4には内部バス電圧Vbus2が供給される。内部バス電圧Vbus2は、高圧の直流電圧である。内部バス電圧Vbus2は、コンバータ7の入力電圧の範囲に含まれるように設定される。内部バス電圧Vbus2は、例えば、DC240V以上DC300V以下の電圧である。内部バス電圧Vbus2の値は、固定されていてもよく、可変であってもよい。なお、外部バス電圧Vbus1の値及び内部バス電圧Vbus2の値は上述の例に限られない。外部バス電圧Vbus1の値と内部バス電圧Vbus2の値とは同じ値でもよいし、内部バス電圧Vbus2の値が外部バス電圧Vbus1の値よりも大きくてもよい。
【0023】
電源装置5は、内部直流バス4に電力を供給する装置である。本実施形態では、給電システム21は、1つの電源装置5を備えている。電源装置5の数は、1つに限られず、必要に応じて適宜変更され得る。電源装置5は、再生可能エネルギー発電装置51と、パワーコンディショナー52(第1コンバータ)と、を含む。
【0024】
再生可能エネルギー発電装置51は、発電電力Wreを生成する装置である。再生可能エネルギー発電装置51の例としては、太陽光発電装置、風力発電装置、水力発電装置、及び地熱発電装置が挙げられる。再生可能エネルギー発電装置51は、パワーコンディショナー52を介して、内部直流バス4に接続されている。再生可能エネルギー発電装置51は、所定の電圧値の発電電圧Vreを生成し、発電電圧Vreに応じた発電電力Wreを出力する。発電電圧Vreは、直流電圧でもよく、交流電圧でもよい。
【0025】
パワーコンディショナー52は、内部直流バス4に接続されており、発電電圧Vreを内部バス電圧Vbus2に変換する装置である。パワーコンディショナー52は、再生可能エネルギー発電装置51と内部直流バス4との間に設けられている。発電電圧Vreが直流電圧である場合、パワーコンディショナー52は、DC/DCコンバータを含む。発電電圧Vreが交流電圧である場合、パワーコンディショナー52は、AC(Alternating Current)/DCコンバータを含む。パワーコンディショナー52は、例えば、内部バス電圧Vbus2に基づいて内部で生成した直流電圧で動作する。パワーコンディショナー52は、電力管理装置10からの指令に基づき、再生可能エネルギー発電装置51の発電動作を制御することで、発電電力Wreを制御する。
【0026】
パワーコンディショナー52は、電力管理装置10から起動指令を受信した場合、発電電圧Vreを内部バス電圧Vbus2に変換し、内部バス電圧Vbus2を内部直流バス4に供給することで、内部直流バス4に発電電力Wreを供給する。パワーコンディショナー52は、電力管理装置10から停止指令を受信した場合、発電電力Wreの供給を停止する。
【0027】
パワーコンディショナー52は、再生可能エネルギー発電装置51から内部直流バス4に供給されている発電電力Wreを計測する電力計測機能を有している。パワーコンディショナー52は、例えば、周期的に発電電力Wreを計測する。パワーコンディショナー52は、発電電力Wreの計測値を電力管理装置10に送信する。
【0028】
補助電源装置6は、内部直流バス4に電力を供給する装置である。補助電源装置6は、商用電源61と、AC/DCコンバータ62と、を含む。商用電源61は、所定の電圧値の系統電圧Vsを含む系統電力Wsを供給する。系統電圧Vsは交流電圧である。商用電源61は、AC/DCコンバータ62を介して内部直流バス4に接続されている。
【0029】
AC/DCコンバータ62は、内部直流バス4に接続されており、系統電圧Vsを内部バス電圧Vbus2に変換する装置である。AC/DCコンバータ62は、商用電源61と内部直流バス4との間に設けられている。AC/DCコンバータ62は、例えば、系統電圧Vsに基づいて内部で生成した直流電圧で動作する。AC/DCコンバータ62は、電力管理装置10から起動指令を受信した場合、系統電圧Vsを内部バス電圧Vbus2に変換し、内部バス電圧Vbus2を内部直流バス4に供給することで、内部直流バス4に系統電力Wsを供給する。AC/DCコンバータ62は、電力管理装置10から停止指令を受信した場合、系統電力Wsの供給を停止する。AC/DCコンバータ62は、商用電源61から内部直流バス4に供給されている系統電力Wsを計測する電力計測機能を有している。AC/DCコンバータ62は、例えば、周期的に系統電力Wsを計測する。AC/DCコンバータ62は、系統電力Wsの計測値を電力管理装置10に送信する。
【0030】
補助電源装置6は、安定的に電力を供給することが可能であるので、給電システム21全体の電力が不足している場合に電力を供給するよう制御される。なお、給電システム21を維持するために、系統電力Wsは、負荷電力WLの総和と給電システム21における待機電力との合計以上である。待機電力は、電力管理装置10の消費電力、及び補機類(不図示のリレー、ファン、及び小容量電源等)の消費電力を含む。
【0031】
コンバータ7は、内部直流バス4に接続されており、内部バス電圧Vbus2を負荷電圧VLに変換する装置である。負荷電圧VLは、負荷機器Lに供給される電圧である。負荷機器Lは、コンバータ7を介して内部直流バス4に接続されている。コンバータ7は、例えば、内部バス電圧Vbus2に基づいて内部で生成した直流電圧で動作する。本実施形態では、給電システム21は、4つのコンバータ7を備えている。コンバータ7の数は、4つに限られず、負荷機器Lの数に応じて変更され得る。
【0032】
コンバータ7は、電力管理装置10から起動指令を受信した場合、内部バス電圧Vbus2を負荷電圧VLに変換し、負荷電圧VL(負荷電力WL)を負荷機器Lに供給する。負荷機器Lが直流負荷機器である場合、負荷電圧VLは直流電圧であり、コンバータ7はDC/DCコンバータである。コンバータ7は、例えば、DC270Vの内部バス電圧Vbus2をDC24Vの負荷電圧VLに変換する。負荷機器Lが交流負荷機器である場合、負荷電圧VLは交流電圧であり、コンバータ7はDC/ACコンバータである。コンバータ7は、電力管理装置10から停止指令を受信した場合、負荷電圧VL(負荷電力WL)の供給を停止する。
【0033】
コンバータ7は、内部直流バス4から負荷機器Lに供給される負荷電流を上限電流値で制限する電流制限機能を有している。上限電流値は、電力管理装置10によって設定される。コンバータ7は、負荷電圧VL及び負荷電流に基づき、内部直流バス4から負荷機器Lに供給されている負荷電力WLを計測する電力計測機能を有している。コンバータ7は、例えば、周期的に負荷電力WLを計測する。コンバータ7は、負荷電力WLの計測値を電力管理装置10に送信する。
【0034】
蓄電装置8は、給電システム21で生じた余剰電力を蓄積し、給電システム21で生じた不足電力を供給するための装置である。供給電力の総和から負荷電力WLの総和を引くことによって得られる差分電力が0より大きい場合には、差分電力の大きさ(電力値)に等しい余剰電力が生じる。供給電力は、内部直流バス4に供給される電力である。本実施形態では、供給電力は、発電電力Wre、及び系統電力Wsである。各蓄電装置8には、例えば、蓄電装置8の数で余剰電力を均等に分割することによって得られる電力Wcが内部直流バス4から供給される。差分電力が0より小さい場合には、差分電力の大きさに等しい不足電力が生じる。各蓄電装置8からは、例えば、蓄電装置8の数で不足電力を均等に分割することによって得られる電力Wcが内部直流バス4に放出される。
【0035】
蓄電装置8の数は、3つに限られず、必要に応じて適宜変更され得る。各蓄電装置8は、蓄電池81と、BMU(Battery Management Unit:電池管理装置)82と、双方向DC/DCコンバータ83(第3コンバータ)と、を含む。
【0036】
蓄電池81は、充放電可能な装置である。蓄電池81は、双方向DC/DCコンバータ83を介して内部直流バス4に接続されている。蓄電池81の例としては、リチウムイオン電池、NAS(ナトリウム硫黄)電池、レドックスフロー電池、鉛蓄電池、及びニッケル水素電池が挙げられる。本実施形態では、複数の蓄電装置8に含まれる蓄電池81は、互いに同種で、かつ同じ蓄電容量を有している。蓄電容量は、蓄電可能な最大の蓄電量である。複数の蓄電装置8に含まれる蓄電池81は、互いに異なる種類の蓄電池でもよく、互いに異なる蓄電容量を有してもよい。蓄電池81は、例えば、複数の電池セルを含む。
【0037】
BMU82は、蓄電池81を管理する装置である。BMU82は、蓄電池81の電池電圧Vbatを計測する機能と、蓄電池81の充放電電流の電流値を計測してSOC(State of charge:残容量)を演算する機能と、を有する。BMU82は、蓄電池81を構成する複数の電池セルのセル電圧を計測する機能をさらに有してもよい。BMU82は、蓄電池81の電池情報を電力管理装置10に送信する。電池情報は、電池電圧Vbatの計測値、充放電電流の電流値、蓄電池81の温度、蓄電池81の蓄電容量、及びSOCを含む。BMU82は、周期的に電池情報を電力管理装置10に送信する。
【0038】
双方向DC/DCコンバータ83は、内部直流バス4に接続されており、内部バス電圧Vbus2と電池電圧Vbatとを双方向に変換可能な装置である。双方向DC/DCコンバータ83は、蓄電池81と内部直流バス4との間に設けられている。電池電圧Vbatは、蓄電池81の電圧である。双方向DC/DCコンバータ83としては、公知の双方向DC/DCコンバータが用いられ得る。双方向DC/DCコンバータ83は、例えば、内部バス電圧Vbus2に基づいて内部で生成した直流電圧で動作する。
【0039】
双方向DC/DCコンバータ83は、電力管理装置10によって制御される。具体的には、双方向DC/DCコンバータ83は、電力管理装置10から充電指令を受信した場合、内部バス電圧Vbus2を電池電圧Vbatに変換するとともに、充電電流を内部直流バス4から蓄電池81に流す。これにより、蓄電池81が充電される。双方向DC/DCコンバータ83は、電力管理装置10から放電指令を受信した場合、電池電圧Vbatを内部バス電圧Vbus2に変換するとともに、放電電流を蓄電池81から内部直流バス4に流す。これにより、蓄電池81が放電される。双方向DC/DCコンバータ83は、定電流方式で蓄電池81を充電又は放電してもよく、定電圧方式で蓄電池81を充電又は放電してもよい。
【0040】
双方向DC/DCコンバータ83は、電力管理装置10から停止指令を受信した場合、動作を停止させて消費電力を低減させるスリープ状態に移行する。双方向DC/DCコンバータ83は、スリープ状態において充電指令又は放電指令を受信した場合には、スリープ状態から脱して、充電処理又は放電処理を実行する。双方向DC/DCコンバータ83は、蓄電池81に供給する充電電流及び蓄電池81から放出される放電電流の各電流値を最大電流値以下に制限する電流制限機能を有している。双方向DC/DCコンバータ83は、電力管理装置10から最大電流値の設定指令を受信すると、充電電流及び放電電流の最大電流値を、設定指令によって指定された最大電流値に設定する。
【0041】
双方向DC/DCコンバータ83は、電力管理装置10から内部バス電圧Vbus2の目標値の設定指令を受信すると、内部バス電圧Vbus2の目標値を、設定指令によって指定された目標値に設定する。目標値は、内部バス電圧Vbus2の電圧値を一定にするための電圧値である。双方向DC/DCコンバータ83は、電力Wcが変更された場合でも、内部バス電圧Vbus2の電圧値を目標値に維持しようとする機能を有している。
【0042】
双方向DC/DCコンバータ83は、電力Wcを計測する電力計測機能を有している。双方向DC/DCコンバータ83は、例えば、周期的に電力Wcを計測する。双方向DC/DCコンバータ83は、電力Wcの計測値を電力管理装置10に送信する。
【0043】
双方向DC/DCコンバータ9は、外部直流バス3と内部直流バス4との間に設けられており、外部バス電圧Vbus1と内部バス電圧Vbus2とを双方向に変換可能な装置である。双方向DC/DCコンバータ9としては、公知の双方向DC/DCコンバータが用いられ得る。双方向DC/DCコンバータ9は、例えば、内部バス電圧Vbus2に基づいて内部で生成した直流電圧で動作する。
【0044】
双方向DC/DCコンバータ9は、電力管理装置10によって制御される。双方向DC/DCコンバータ9は、電力管理装置10から外部バス電圧Vbus1の目標値の設定指令を受信すると、外部バス電圧Vbus1の目標値を、設定指令によって指定された目標値に設定する。目標値は、外部バス電圧Vbus1の電圧値を一定にするための電圧値である。
【0045】
双方向DC/DCコンバータ9は、電力管理装置10から停止指令を受信した場合、動作を停止させて消費電力を低減させるスリープ状態に移行する。双方向DC/DCコンバータ9は、スリープ状態において外部バス電圧Vbus1の設定値の設定指令を受信した場合には、スリープ状態から脱して、送受電処理を実行する。
【0046】
双方向DC/DCコンバータ9は、双方向DC/DCコンバータ9と外部直流バス3との間で入出力される電流又は双方向DC/DCコンバータ9と内部直流バス4との間で入出力される電流を計測する電流計測機能を有している。双方向DC/DCコンバータ9は、例えば、周期的に上記電流を計測する。双方向DC/DCコンバータ9は、上記電流の計測値を電力管理装置10に送信する。
【0047】
電力管理装置10は、給電システム21全体を管理する装置(コントローラ)である。電力管理装置10は、EMS(Energy Management System)とも称される。電力管理装置10は、電源装置5、補助電源装置6、コンバータ7、蓄電装置8、及び双方向DC/DCコンバータ9と通信線を介して互いに通信可能に接続されている。通信線は、有線及び無線のいずれで構成されてもよい。電力管理装置10は、RS-232C、RS-485、CAN(Controller Area Network)、イーサネット(登録商標)、及びWi-Fi(登録商標)等の規格に準拠した通信を行ってもよい。
【0048】
電力管理装置10は、内部バス電圧Vbus2を計測する電圧計測処理を行う。電力管理装置10は、内部バス電圧Vbus2を直接的に計測してもよい。双方向DC/DCコンバータ83が内部バス電圧Vbus2を計測して計測値を電力管理装置10に送信することによって、電力管理装置10が内部バス電圧Vbus2を間接的に計測してもよい。
【0049】
電力管理装置10は、パワーコンディショナー52、AC/DCコンバータ62、コンバータ7、双方向DC/DCコンバータ83、及び双方向DC/DCコンバータ9のそれぞれに、起動指令、及び停止指令を送信する。例えば、電力管理装置10は、コンバータ7に起動指令を送信することで、コンバータ7に負荷電圧VLを供給させる。電力管理装置10は、コンバータ7に停止指令を送信することで、コンバータ7に負荷電圧VLの供給を停止させる。他のコンバータについても同様である。
【0050】
電力管理装置10は、双方向DC/DCコンバータ83を制御することによって蓄電池81を充放電する充放電処理を行う。電力管理装置10は、差分電力に応じて充放電処理を行う。電力管理装置10は、供給電力の総和が負荷電力WLの総和よりも大きい場合(差分電力が0よりも大きい場合)、双方向DC/DCコンバータ83に充電指令を送信し、その差分電力である余剰電力を蓄電池81に蓄積させる。各蓄電池81には、例えば、蓄電池81の台数で余剰電力を均等に分割することによって得られる電力が蓄積される。電力管理装置10は、供給電力の総和が負荷電力WLの総和よりも小さい場合(差分電力が0よりも小さい場合)、双方向DC/DCコンバータ83に放電指令を送信し、不足電力を蓄電池81から放出させる。例えば、蓄電池81の台数で不足電力を均等に分割することによって得られる電力が各蓄電池81から放出される。
【0051】
電力管理装置10は、双方向DC/DCコンバータ9を制御することによって給電システム21の動作モードを切り替える。詳細は後述する。
【0052】
図3は、図2に示される電力管理装置のハードウェア構成図である。図3に示されるように、電力管理装置10は、物理的には、プロセッサ101、メモリ102、及び通信インターフェース103等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成され得る。電力管理装置10は、1台のコンピュータによって構成されてもよく、クラウドコンピューティングのように複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
【0053】
プロセッサ101の例としては、CPU(Central Processing Unit)が挙げられる。メモリ102は、主記憶装置と補助記憶装置とを含み得る。主記憶装置は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等で構成される。補助記憶装置の例としては、半導体メモリ、及びハードディスク装置が挙げられる。通信インターフェース103は、他の装置とデータの送受信を行う装置である。通信インターフェース103は、例えば、RS-232C、RS-485、及びCANといった通信規格に準拠した通信モジュール、ネットワークインタフェースカード(NIC)又は無線通信モジュールで構成される。
【0054】
プロセッサ101が、メモリ102に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、プロセッサ101の制御のもとで各ハードウェアが動作し、メモリ102におけるデータの読み出し及び書き込みが行われる。これにより、電力管理装置10の図4に示される各機能部が実現される。なお、給電システム22の電力管理装置10も同様のハードウェア構成を有する。
【0055】
図4は、図2に示される電力管理装置の機能ブロック図である。ここでは、給電システム21の電力管理装置10の機能構成を説明するが、給電システム22の電力管理装置10も同様の機能構成を有する。図4に示されるように、電力管理装置10は、機能的には、取得部11(第1取得部)と、取得部12(第2取得部)と、制御部13と、を備える。
【0056】
取得部11は、給電システム21に蓄積されている蓄電量を取得する機能部である。取得部11は、各BMU82から電池情報を受信し、各電池情報に含まれるSOC及び蓄電容量に基づいて、給電システム21全体のSOCを算出する。例えば、取得部11は、各蓄電池81のSOCと蓄電容量とから各蓄電池81の蓄電量を算出し、すべての蓄電池81の蓄電容量の総和によって除算することによって、給電システム21全体のSOCを算出する。そして、取得部11は、給電システム21全体のSOCを、給電システム21の蓄電量として取得する。取得部11は、すべての蓄電池81の蓄電量のうちの最小の蓄電量(SOC)を、給電システム21の蓄電量として取得してもよい。
【0057】
取得部12は、外部直流バス3に供給されている外部バス電圧Vbus1の計測値を取得する機能部である。双方向DC/DCコンバータ9が外部バス電圧Vbus1を計測して計測値を電力管理装置10に送信することによって、取得部12が外部バス電圧Vbus1の計測値を取得してもよい。外部直流バス3上に外部バス電圧Vbus1を計測するための電圧センサが設けられており、電圧センサが外部バス電圧Vbus1の計測値を電力管理装置10に送信することによって、取得部12が外部バス電圧Vbus1の計測値を取得してもよい。
【0058】
制御部13は、双方向DC/DCコンバータ9を制御することによって給電システム21の動作モードを切り替える機能部である。給電システム21の動作モードは、受電モード、送電モード、及び通常モードを含む。受電モードは、給電システム21が他の給電システム(本実施形態では、給電システム22)から直流電力の供給を受けるためのモードである。送電モードは、給電システム21が他の給電システム(本実施形態では、給電システム22)に直流電力を供給するためのモードである。通常モードは、給電システム21が他の給電システム(本実施形態では、給電システム22)との間で送受電を行わないモードである。制御部13は、蓄電閾値Bth1(第1蓄電閾値)、蓄電閾値Bth2(第2蓄電閾値)、蓄電閾値Bth3(第3蓄電閾値)、及び蓄電閾値Bth4(第4蓄電閾値)を用いて双方向DC/DCコンバータ9の制御を行う。
【0059】
蓄電閾値Bth1は、給電システム21の蓄電量が不足しており、他の給電システム(本実施形態では、給電システム22)から受電する必要があることを判定するための閾値である。蓄電閾値Bth1は、例えば、SOCによって表される。蓄電閾値Bth1は、例えば、20%に設定される。蓄電閾値Bth2は、給電システム21の蓄電量が余剰であり、他の給電システム(本実施形態では、給電システム22)に送電することが可能であることを判定するための閾値である。蓄電閾値Bth2は、蓄電閾値Bth1よりも大きい。蓄電閾値Bth2は、例えば、SOCによって表される。蓄電閾値Bth2は、例えば、70%に設定される。
【0060】
蓄電閾値Bth3は、給電システム21の蓄電量が十分蓄積されたことを判定するための閾値である。蓄電閾値Bth3は、蓄電閾値Bth1よりも大きく、蓄電閾値Bth2よりも小さい値である。蓄電閾値Bth3は、例えば、SOCによって表される。蓄電閾値Bth3は、例えば、50%に設定される。蓄電閾値Bth4は、給電システム21の蓄電量が減少し、他の給電システム(本実施形態では、給電システム22)にこれ以上送電できないことを判定するための閾値である。蓄電閾値Bth4は、蓄電閾値Bth1よりも大きく、蓄電閾値Bth2よりも小さい値である。蓄電閾値Bth4は、蓄電閾値Bth3と同じ値でもよいし、異なる値でもよい。蓄電閾値Bth4は、例えば、SOCによって表される。蓄電閾値Bth4は、例えば、50%に設定される。
【0061】
次に、図5図8を参照して、電力管理装置10が行う電力管理方法の一連の処理を説明する。図5は、図2に示される電力管理装置が行う電力管理方法の一連の処理を示すフローチャートである。図6は、図5に示される受電処理を詳細に示すフローチャートである。図7は、図5に示される送電処理を詳細に示すフローチャートである。図8は、図1に示される給電システム間での送受電を説明するための図である。図5の一連の処理は、電力管理装置10に電源が投入されてから一定時間経過後に開始され、電力管理装置10が動作している間、繰り返し行われる。
【0062】
まず、取得部11が、給電システム21の蓄電量を取得する(ステップS11)。ステップS11では、取得部11は、例えば、各BMU82から電池情報を受信し、各電池情報に含まれるSOC及び蓄電容量に基づいて、給電システム21全体のSOCを算出する。そして、取得部11は、給電システム21全体のSOCを給電システム21の蓄電量として取得する。取得部11は、すべての蓄電池71の蓄電量のうちの最小の蓄電量を給電システム21の蓄電量として取得してもよい。そして、取得部11は、給電システム21の蓄電量を制御部13に出力する。
【0063】
続いて、取得部12は、外部バス電圧Vbus1の計測値を取得する(ステップS12)。ステップS12では、取得部12は、例えば、外部直流バス3上に設けられた電圧センサ又は双方向DC/DCコンバータ9から外部バス電圧Vbus1の計測値を取得する。そして、取得部12は、外部バス電圧Vbus1の計測値を制御部13に出力する。
【0064】
続いて、制御部13は、取得部11から給電システム21の蓄電量を受け取ると、給電システム21の蓄電量と蓄電閾値Bth1とを比較することによって、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth1よりも小さいか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13において、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth1より小さい(蓄電閾値Bth1を下回る)と判定された場合(ステップS13;YES)、給電システム21の蓄電量が不足しており、給電システム22から受電する必要がある。したがって、制御部13は、受電処理を行う(ステップS14)。
【0065】
ステップS14の受電処理では、図6に示されるように、まず、制御部13が、給電システム21(の動作モード)を受電モードに設定する(ステップS21)。ステップS21では、制御部13は、双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値を目標値Vt1(第1目標値)に設定することによって、給電システム21を受電モードに設定する。目標値Vt1は、例えば、DC300Vに設定される。
【0066】
続いて、取得部11は、ステップS11と同様にして、給電システム21の蓄電量を取得し(ステップS22)、給電システム21の蓄電量を制御部13に出力する。そして、制御部13は、取得部11から給電システム21の蓄電量を受け取ると、給電システム21の蓄電量と蓄電閾値Bth3とを比較することによって、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth3よりも大きいか否かを判定する(ステップS23)。ステップS23において、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth3以下であると判定された場合(ステップS23;NO)、給電システム21の蓄電量が十分に蓄積されていないので、受電モードが維持される。そして、給電システム22から受電することにより給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth3よりも大きくなるまで、ステップS22,S23が繰り返される。
【0067】
一方、ステップS23において、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth3よりも大きい(蓄電閾値Bth3を上回る)と判定された場合(ステップS23;YES)、制御部13は、給電システム21の受電モードを解除する(ステップS24)。制御部13は、例えば、双方向DC/DCコンバータ9を停止させることによって、給電システム21の受電モードを解除して、給電システム21を通常モードに設定する。このとき、双方向DC/DCコンバータ9は、外部バス電圧Vbus1を内部バス電圧Vbus2に変換することを停止するとともに、外部直流バス3から内部直流バス4に電流を流すことを停止する。
【0068】
以上により、ステップS14の受電処理が終了し、図5に示される一連の処理が終了する。
【0069】
一方、ステップS13において、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth1以上であると判定された場合(ステップS13;NO)、制御部13は、給電システム21の蓄電量と蓄電閾値Bth2とを比較することによって、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth2よりも大きいか否かを判定する(ステップS15)。ステップS15において、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth2以下であると判定された場合(ステップS15;NO)、給電システム21の蓄電量は不足していないものの、余剰でもない。この場合、給電システム21は、給電システム22との間で送受電を行わない通常モードを維持し、図5に示される一連の処理が終了する。
【0070】
一方、ステップS15において、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth2よりも大きい(蓄電閾値Bth2を上回る)と判定された場合(ステップS15;YES)、給電システム21の蓄電量が余剰であるので、給電システム21は、給電システム22に送電可能な状態である。この場合、制御部13は、外部バス電圧Vbus1の計測値が、送電電圧閾値Vthよりも大きいか否かを判定する(ステップS16)。送電電圧閾値Vthは、他の給電システム(本実施形態では、給電システム22)が受電モードであることを判定するための閾値である。つまり、ステップS16は、送電元である給電システム21が、受電を必要としている給電システムが存在するか否かを(この場合は、給電システム22が受電モードに設定されているか否か)を判定するステップである。
【0071】
いずれの給電システムも受電モードに設定されていない場合、外部直流バス3には電圧が供給されていないので、外部バス電圧Vbus1は0Vである。一方、上述のように、給電システム22が受電モードに設定されている場合には、給電システム22の双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値が目標値Vt1に設定されている。つまり、送電電圧閾値Vthは、他の給電システム(本実施形態では、給電システム22)によって外部バス電圧Vbus1の目標値が目標値Vt1に設定されていることを判定するための閾値ともいえる。なお、外部直流バス3の抵抗成分によって電圧降下が生じ得るので、給電システム21の双方向DC/DCコンバータ9又は電圧センサによって計測される計測値は、目標値Vt1よりも小さくなる可能性がある。したがって、送電電圧閾値Vthは、外部直流バス3の抵抗成分による電圧降下よりも大きい電圧値を、目標値Vt1から減算することによって得られる値に設定されている。送電電圧閾値Vthは、例えば、DC240Vに設定されている。
【0072】
ステップS16において、外部バス電圧Vbus1の計測値が、送電電圧閾値Vth以下であると判定された場合(ステップS16;NO)、受電を必要としている給電システムが存在しないので、給電システム21は送電を行わない。したがって、給電システム21は、通常モードを維持し、図5に示される一連の処理が終了する。
【0073】
一方、ステップS16において、外部バス電圧Vbus1の計測値が、送電電圧閾値Vthよりも大きい(送電電圧閾値Vthを上回る)場合(ステップS16;YES)、制御部13は、送電処理を行う(ステップS17)。
【0074】
ステップS17の送電処理では、図7に示されるように、まず、制御部13が、給電システム21(の動作モード)を送電モードに設定する(ステップS31)。ステップS31では、制御部13は、双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値を目標値Vt2(第2目標値)に設定することによって、給電システム21を送電モードに設定する。目標値Vt2は、目標値Vt1よりも大きい値である。例えば、目標値Vt2はDC380Vに設定される。
【0075】
続いて、取得部11は、ステップS11と同様にして、給電システム21の蓄電量を取得し(ステップS32)、給電システム21の蓄電量を制御部13に出力する。そして、制御部13は、取得部11から給電システム21の蓄電量を受け取ると、給電システム21の蓄電量と蓄電閾値Bth4とを比較することによって、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth4よりも小さいか否かを判定する(ステップS33)。
【0076】
ステップS33において、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth4以上であると判定された場合(ステップS33;NO)、給電システム21には、給電システム22に送電するための蓄電量が十分残っている。この場合、制御部13は、双方向DC/DCコンバータ9を介して外部直流バス3に電力の供給が行われているか否かを判定する(ステップS34)。給電システム22が受電モードを解除した場合、給電システム21から外部直流バス3に電力が供給されない。つまり、ステップS34は、給電システム22が受電モードを解除したか否かを判定するステップである。
【0077】
ステップS34では、例えば、制御部13は、双方向DC/DCコンバータ9から外部直流バス3に出力される電流の電流値又は内部直流バス4から双方向DC/DCコンバータ9に入力される電流の電流値と電流閾値Ithとを比較することによって、外部直流バス3に電力の供給が行われているか否かを判定する。制御部13は、電流値が電流閾値Ithよりも小さい場合に、外部直流バス3に電力の供給が行われていないと判定し、電流値が電流閾値Ith以上である場合に、外部直流バス3に電力の供給が行われていると判定する。なお、上述のように、双方向DC/DCコンバータ9が、上記電流値を計測して電力管理装置10に送信することによって、制御部13は、上記電流値を取得する。制御部13は、双方向DC/DCコンバータ9から外部直流バス3に出力される電力の計測値又は内部直流バス4から双方向DC/DCコンバータ9に入力される電力の計測値と閾値とを比較することによって、外部直流バス3に電力の供給が行われているか否かを判定してもよい。
【0078】
ステップS34において、外部直流バス3に電力の供給が行われていると判定された場合(ステップS34;YES)、給電システム22が受電モードを維持しているので、給電システム21は送電モードを維持する。そして、給電システム22に送電することにより給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth4よりも小さくなるか、給電システム22が受電モードを解除することにより外部直流バス3への電力の供給が停止するまで、ステップS32~S34が繰り返される。
【0079】
ステップS33において、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth4よりも小さい(蓄電閾値Bth4を下回る)と判定された場合(ステップS33;YES)、又は、ステップS34において、給電システム21から外部直流バス3に電力が供給されていないと判定された場合(ステップS34;NO)、制御部13は、給電システム21の送電モードを解除する(ステップS35)。制御部13は、例えば、双方向DC/DCコンバータ9を停止させることによって、給電システム21の送電モードを解除して、給電システム21を通常モードに設定する。これにより、双方向DC/DCコンバータ9は、内部バス電圧Vbus2を外部バス電圧Vbus1に変換することを停止するとともに、内部直流バス4から外部直流バス3に電流を流すことを停止する。
【0080】
以上により、ステップS17の送電処理が終了し、図5に示される一連の処理が終了する。
【0081】
なお、ステップS12は、ステップS11よりも先に行われてもよく、ステップS11と並行して行われてもよい。ステップS12は、定常的に行われていてもよい。ステップS15,S16は、ステップS13よりも先に行われてもよく、ステップS13と並行して行われてもよい。ステップS16は、ステップS15よりも先に行われてもよく、ステップS15と並行して行われてもよい。ステップS34は、ステップS33よりも先に行われてもよく、ステップS33と並行して行われてもよい。
【0082】
なお、各判定において、ある値と閾値とを比較する際に、当該値が閾値と等しい場合には、いずれの判定結果が適用されてもよい。例えば、ステップS13では、制御部13は、蓄電量が蓄電閾値Bth1よりも小さいか否かを判定しているが、蓄電量が蓄電閾値Bth1以下であるか否かを判定してもよい。他の判定についても同様である。
【0083】
ここで、図8を参照して、給電システム21と給電システム22との間の送受電の一例を説明する。図8では、給電システム21から給電システム22に送電される場合を図示している。ここで、給電システム21の双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値は目標値Vt2に設定されており、給電システム22の双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値は目標値Vt1に設定されている。これにより、外部直流バス3の一端(給電システム21と外部直流バス3との接続箇所)には目標値Vt2が供給されており、外部直流バス3の他端(給電システム22と外部直流バス3との接続箇所)には目標値Vt1が供給されている状態となる。目標値Vt2は、目標値Vt1よりも大きい値であるので、外部直流バス3上には、電位差(目標値Vt2-目標値Vt1)が生じる。その結果、給電システム21から給電システム22に向かって、外部直流バス3上を、外部バス電流Ibus1が流れる。それにより、給電システム22には、外部バス電流Ibus1に目標値Vt1を乗算した外部電力が供給される。外部バス電流Ibus1は、例えば、双方向DC/DCコンバータ9の出力部、又は双方向DC/DCコンバータ9と外部直流バス3との接続箇所(給電システム21と外部直流バス3との接続箇所)に設けられた電流センサ(ホール素子方式電流センサ、フラックスゲート方式電流センサ、又は磁気抵抗方式電流センサ等)によって検出される。
【0084】
以上説明した電力管理装置10、給電システム21、及び電力管理方法では、給電システム21に蓄積されている蓄電量に基づいて、給電システム21の動作モードが切り替えられる。例えば、給電システム21に蓄積されている蓄電量が蓄電閾値Bth1を下回っている場合には、給電システム21の双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値が目標値Vt1に設定されて、給電システム21は受電モードに設定される。このとき、給電システム22が送電モードに設定されたとすると、給電システム22の双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値は、目標値Vt2に設定される。目標値Vt2は目標値Vt1よりも大きいので、外部直流バス3には電位差が生じ、送電モードに設定された給電システム22から受電モードに設定された給電システム21に向かって電力が供給される。
【0085】
同様に、給電システム22が受電モードに設定されているとすると、給電システム22の双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値が目標値Vt1に設定される。したがって、外部バス電圧Vbus1の計測値は送電電圧閾値Vthを上回るので、給電システム21に蓄積されている蓄電量が蓄電閾値Bth2を上回っている場合には、給電システム21の双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値が目標値Vt2に設定されて、給電システム21は送電モードに設定される。この場合も、外部直流バス3には電位差が生じ、送電モードに設定された給電システム21から受電モードに設定された給電システム22に向かって電力が供給される。この構成によれば、給電システム21が通信ネットワークを介して受電要求等を送信する必要はない。したがって、通信ネットワークを用いることなく、送受電を行うことができる。
【0086】
上述のように、制御部13は、給電システム21が受電モードに設定されている場合に、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth3を上回ったことに応じて、給電システム21の受電モードを解除する。この構成によれば、給電システム21が過剰に電力の供給を受ける前に受電モードを解除することができる。したがって、給電システム21が必要以上に電力の供給を受けない程度に、給電システム22から受電することが可能となる。
【0087】
上述のように、制御部13は、給電システム21が送電モードに設定されている場合に、給電システム21の蓄電量が蓄電閾値Bth4を下回ったことに応じて、給電システム21の送電モードを解除する。この構成によれば、給電システム21の蓄電量が不足する前に送電モードを解除することができる。したがって、給電システム21の蓄電量が不足しない程度に給電システム22に送電することが可能となる。
【0088】
上述のように、制御部13は、給電システム21が送電モードに設定されている場合に、双方向DC/DCコンバータ9を介して外部直流バス3に電力の供給が行われていないことを検出したことに応じて、給電システム21の送電モードを解除する。双方向DC/DCコンバータ9を介して外部直流バス3に電力が供給されていない場合には、給電システム22は受電モードを解除したと考えられる。この場合、給電システム21は給電システム22に送電する必要が無い。上記構成によれば、給電システム22が受電モードを解除した場合に、給電システム21の送電モードを解除することができる。
【0089】
なお、本開示に係る電力管理装置、給電システム、及び電力管理方法は上記実施形態に限定されない。
【0090】
パワーコンディショナー52、AC/DCコンバータ62、コンバータ7、双方向DC/DCコンバータ83、及び双方向DC/DCコンバータ9の少なくともいずれかは、電力計測機能を有していなくてもよい。この場合、電力管理装置10は、電圧センサによって計測された電圧の計測値と、電流センサによって計測された電流の計測値と、から各電力の計測値を取得してもよい。
【0091】
電源装置5は、再生可能エネルギー発電装置51に代えて、別の発電装置を備えてもよい。
【0092】
補助電源装置6は、商用電源61に代えて発電装置を備えてもよい。発電装置の例としては、ディーゼル発電機が挙げられる。この場合、補助電源装置6の数は、1つに限られず、必要に応じて適宜変更され得る。補助電源装置6が商用電源61を備えていない場合、給電システム21,22は、独立型の直流電源システムとも称される。補助電源装置6は、給電システム21,22の起動時においてのみ用いられてもよい。例えば、給電システム21において電力の不足が生じた際には、給電システム21は、まずは給電システム22から電力の供給を受け、給電システム22から電力の供給を受けられない場合に、補助電源装置6から電力の供給を受けてもよい。
【0093】
上記実施形態では、パワーコンディショナー52、AC/DCコンバータ62、コンバータ7、双方向DC/DCコンバータ83、及び双方向DC/DCコンバータ9のそれぞれは、装置内部で生成した直流電圧で動作している。この構成に代えて、給電システム21,22のそれぞれが電源ユニットを備え、電源ユニットが、内部直流バス4の内部バス電圧Vbus2から一定の電圧値を有する直流電圧を生成し、各装置に直流電圧(電力)を供給してもよい。
【0094】
給電システム21は、再生可能エネルギー発電装置51を含まなくてもよい。この場合、給電システム21の外部に設けられた再生可能エネルギー発電装置51が、給電システム21に含まれるパワーコンディショナー52を介して、内部直流バス4に接続されてもよい。
【0095】
給電システム21は、商用電源61を含まなくてもよい。この場合、給電システム21の外部に設けられた商用電源61が、給電システム21に含まれるAC/DCコンバータ62を介して、内部直流バス4に接続されてもよい。
【0096】
制御部13は、外部バス電圧Vbus1の計測値を用いて、外部直流バス3に電力の供給が行われているか否かを判定してもよい。給電システム22が受電モードを解除すると、給電システム22の双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値がゼロに設定される。しかしながら、給電システム21が送電モードに設定されているので、双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値が目標値Vt2に設定されている。したがって、単に外部バス電圧Vbus1を計測しても、給電システム22が受電モードを解除したか否かを判定することができない。
【0097】
この問題に対し、例えば、外部直流バス3に外部バス電圧Vbus1を計測するための電圧センサが設けられ、電圧センサと双方向DC/DCコンバータ9との間に、外部直流バス3を遮断可能なリレーが設けられていてもよい。この構成では、電圧センサは、リレーがオフ状態(遮断状態)である場合には、給電システム21の双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値の影響を受けることなく、外部バス電圧Vbus1を計測することができる。
【0098】
上記実施形態では、電力融通システム1は、2つの給電システムを含むが、3つ以上の給電システムを含んでもよい。この構成では、1又は複数の給電システムが送電モードに設定され、1又は複数の給電システムが受電モードに設定され得る。この場合も、送電モードに設定された給電システムと受電モードに設定された給電システムとの間において同時に送受電が行われる。例えば、2つの給電システムが受電モードに設定された場合、これらの2つの給電システムによって、外部直流バス3上に目標値Vt1が設定される。このとき、別の2つの給電システムの蓄電量が蓄電閾値Bth2よりも大きいとすると、これらの2つの給電システムが送電モードに設定され、受電モードに設定された2つの給電システムに向かって送電が行われる。
【0099】
いくつかの給電システムの間で送受電が行われている場合に、別の給電システムの蓄電量が蓄電閾値Bth1よりも小さくなったとすると、その給電システムの双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値が目標値Vt1に設定される。これにより、当該給電システムが受電モードに設定され、送電モードに設定されている給電システムから電力の供給を受けることができる。同様に、いくつかの給電システムの間で送受電が行われている場合には、外部バス電圧Vbus1の計測値は、送電電圧閾値Vthよりも大きい。この状態で、別の給電システムの蓄電量が蓄電閾値Bth2よりも大きくなったとすると、その給電システムの双方向DC/DCコンバータ9における外部バス電圧Vbus1の目標値が目標値Vt2に設定される。これにより、当該給電システムが送電モードに設定され、受電モードに設定されている給電システムに電力を供給することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…電力融通システム、3…外部直流バス、4…内部直流バス、7…コンバータ(第2コンバータ)、9…双方向DC/DCコンバータ(第4コンバータ)、10…電力管理装置、11…取得部(第1取得部)、12…取得部(第2取得部)、13…制御部、21…給電システム、22…給電システム(他の給電システム)、52…パワーコンディショナー(第1コンバータ)、62…AC/DCコンバータ(第1コンバータ)、81…蓄電池、82…BMU、83…双方向DC/DCコンバータ(第3コンバータ)、Bth1…蓄電閾値(第1蓄電閾値)、Bth2…蓄電閾値(第2蓄電閾値)、Bth3…蓄電閾値(第3蓄電閾値)、Bth4…蓄電閾値(第4蓄電閾値)、L…負荷機器、Vbat…電池電圧、Vbus1…外部バス電圧、Vbus2…内部バス電圧、VL…負荷電圧、Vt1…目標値(第1目標値)、Vt2…目標値(第2目標値)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8