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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131415
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230914BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20230914BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20230914BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20230914BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20230914BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20230914BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L27/06 311Z
H01L27/04 H
H01L27/088 C
H01L27/088 B
H01L29/78 657F
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/78 652N
H01L29/78 652M
H01L29/78 653A
H01L29/78 652S
H01L29/78 657G
H01L29/78 652Q
H01L25/08 Y
H01L23/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036163
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 誠滋
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 勇介
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
5F038AV06
5F038AZ08
5F038BH07
5F038BH16
5F038CA02
5F038CA06
5F038CA07
5F038CA08
5F048AA01
5F048AA05
5F048AB10
5F048AC01
5F048AC06
5F048BA02
5F048BB02
5F048BB19
5F048BC03
5F048BC07
5F048BC12
5F048BD07
5F048BF02
5F048CC09
5F048CC11
(57)【要約】
【課題】トレンチ内にゲート電極およびフィールドプレート電極を含むダブルゲート構造を有するメインMOSFETおよびセンスMOSFETを備えた半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】トレンチD2内にゲート電極およびフィールドプレート電極を含むメインMOSFET1MMと、トレンチD4内にゲート電極およびフィールドプレート電極を含む電流検出用のセンスMOSFET1SMとを、それぞれ別のターミネーションリングTR1、TR2により囲む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電界効果トランジスタと電流検出用の第2電界効果トランジスタとを備えた第1半導体チップを有する半導体装置であって、
第1主面および前記第1主面の反対側の第2主面を備え、平面視で互いに離間する第1領域および第2領域を備えた半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1主面にそれぞれ形成され、前記半導体基板の途中深さに達する第1トレンチ、第2トレンチ、第3トレンチおよび第4トレンチと、
前記半導体基板の前記第1主面に沿う第1方向に延在し、前記半導体基板の前記第1主面に沿い前記第1方向に対して交差する第2方向に複数並ぶ前記第2トレンチ同士の間において、前記半導体基板の前記第1主面を含む前記半導体基板内に形成された第1導電型の第1ソース領域と、
前記半導体基板内において前記第1ソース領域と前記第2トレンチとに接して形成された、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第1半導体領域と、
前記半導体基板の前記第1主面に沿う第3方向に延在し、前記半導体基板の前記第1主面に沿い前記第3方向に対して交差する第4方向に複数並ぶ前記第4トレンチ同士の間において、前記半導体基板の前記第1主面を含む前記半導体基板内に形成された前記第1導電型の第2ソース領域と、
前記半導体基板内において前記第2ソース領域と前記第4トレンチとに接して形成された、前記第2導電型の第2半導体領域と、
前記半導体基板の前記第2主面を含む前記半導体基板内に形成された前記第1導電型のドレイン領域と、
前記第2トレンチ内に第1絶縁膜を介して形成され、互いに絶縁された第1ゲート電極および第1電極と、
前記第4トレンチ内に第2絶縁膜を介して形成され、互いに絶縁された第2ゲート電極および第2電極と、
前記第1トレンチおよび前記第3トレンチのそれぞれの内側に形成された第3絶縁膜と、
前記半導体基板上に層間絶縁膜を介して形成された、第1配線、第2配線および第3配線と、
を有し、
前記第1領域に形成された、前記第2トレンチ内の前記第1ゲート電極、前記第1ソース領域、前記第1半導体領域および前記ドレイン領域は、前記第1電界効果トランジスタを構成し、
前記第2領域に形成された、前記第4トレンチ内の前記第2ゲート電極、前記第2ソース領域、前記第2半導体領域および前記ドレイン領域は、前記第2電界効果トランジスタを構成し、
前記第1配線は、前記第1ソース領域および前記第1電極に電気的に接続され、
前記第2配線は、前記第2ソース領域および前記第2電極に電気的に接続され、
前記第3配線は、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極に電気的に接続され、
前記第1トレンチは、平面視において前記第1領域の周囲を囲み、
前記第2トレンチは、平面視において前記第2領域の周囲を囲んでいる、半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1方向における前記第1ソース領域と前記第2トレンチとの距離と、前記第3方向における前記第2ソース領域と前記第4トレンチとの距離とは、一定である、半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2領域を複数有し、それらの複数の前記第2領域のそれぞれに前記第2電界効果トランジスタを有する、半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、
複数の前記第2電界効果トランジスタのそれぞれで検知した電流を平均化して検出する、半導体装置。
【請求項5】
請求項3記載の半導体装置において、
平面形状が矩形である前記第1半導体チップの4隅のそれぞれに複数の前記第2電界効果トランジスタが配置されている、半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置において、
平面視において、前記第1半導体チップの中央に前記第2電界効果トランジスタが配置されている、半導体装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、埋め込み基板パッケージ内に組み込まれている、半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップと、前記第1半導体チップとは異なる第2半導体チップを前記埋め込み基板パッケージ内に含む、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、メインのMOSFETと、電流検出用の小規模なMOSFETとを備えた半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高い耐圧が求められるパワーMOSFETでは、内部状態の監視または制御などを目的として、素子に流れる電流値を高精度にモニタリングできることが要求される場合がある。半導体チップに搭載されたメインMOSFETの電流値を測定するための構造として、半導体チップに電流検出用の小規模なセンスMOSFETを搭載することが知られている。
【0003】
また、特許文献1(特開2011-199109号公報)には、パワーMOSFETの構成として、トレンチ内にゲート電極とフィールドプレート電極とが埋め込まれたダブルゲート構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-199109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
センスMOSFETは、メインMOSFETと別々のソースパッドを備え、それらのソースパッドには通常は互いに同電位が印加される。しかし、瞬間的ではあるが、それぞれのソースパッドに電位が印加されるタイミングがずれる場合があり得るため、メインMOSFETのソースとセンスMOSFETのソースとの間の耐圧を確保する必要がある。
【0006】
また、耐圧確保を目的として、ダブルゲート構造を有するメインMOSFETとセンスMOSFETとの間にトレンチを設けると、配線の複雑化および素子の無効領域の発生などにより、チップサイズが増大する場合が考えられる。このため、素子間の耐圧を確保し、かつ、チップサイズが増大を防ぐ工夫が必要である。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
一実施の形態である半導体装置は、トレンチ内にゲート電極およびフィールドプレート電極を含むメインMOSFETと、トレンチ内にゲート電極およびフィールドプレート電極を含む電流検出用のセンスMOSFETとを、それぞれ別のターミネーションリングにより囲むものである。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図2図1のA-A線、図B-B線およびC-C線における断面図である。
図3図1のD-D線、図E-E線およびF-F線における断面図である。
図4】実施の形態1である半導体装置を示す回路図である。
図5】実施の形態1である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図6図5の領域1Cを拡大して示す平面レイアウトである。
図7図5の領域1Dを拡大して示す平面レイアウトである。
図8】実施の形態2である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図9】実施の形態3である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図10】実施の形態4である半導体装置を示す模式的な断面図である。
図11】実施の形態4である半導体装置を示す斜視図である。
図12】実施の形態4である半導体装置の下面を示すである。
図13】比較例である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図14図13のG-G線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その言及した数に限定されるものではなく、言及した数以上でも以下でもよい。
【0013】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0014】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0015】
本願でいう幅とは、半導体基板の上面に沿う方向(水平方向、横方向)における物体(パターン)の長さを指す。また、本願でいう厚さとは、半導体基板の上面に対して垂直な方向(厚さ方向、高さ方向、上下方向、縦方向)における物体の長さを指す。また、以下の説明で用いる各平面図(平面レイアウト)では、図を分かり易くするため、コンタクトプラグにハッチングを付している。
【0016】
ここでは、本願の半導体装置としてパワーMOSFETを例に説明する。パワーMOSFETは、数ワット以上の電力を扱える半導体デバイスである。本願の半導体装置は、パワーMOSFETのうちの、トレンチゲートパワーMOSFETを有する。トレンチゲートパワーMOSFETは、半導体基板の上面(第1主面)に形成されたトレンチ(比較的長くて細い溝)内にポリシリコンなどからなるゲート電極を有し、半導体基板の厚さ方向にチャネルが形成されるものである。この場合、通常、半導体基板の上面側がソースとなり、下面側(裏面側、第2主面側)がドレインとなる。
【0017】
また、本願の半導体装置は、トレンチゲートパワーMOSFETのうちの、トレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETを有する。トレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETは、トレンチ内のゲート電極(真性ゲート電極)の下方に、フィールドプレート電極を有するものである。フィールドプレート電極は、ゲート電極のドレイン側端部近傍に集中する急峻な電位勾配を分散させる働きを有する電極であり、ソース電極に電気的に接続されている。
【0018】
<改善の余地の詳細>
以下では、この改善の余地の詳細について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
電流検出用のセンスMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor、MOS型電界効果トランジスタ)は、パワーMOSFETを主に構成するメインMOSFETと並列に配置され、メインMOSFETとドレインおよびゲートを共有したMOSFETである。メインMOSFETとセンスMOSFETとに流れる電流比(センス比)を利用して、IC(Integrated Circuit)と組み合わせることで、電流検知による発熱モニタを行える。
【0020】
メインMOSFETとセンスMOSFETとのそれぞれのソースパッドには、同電位が印加されることが考えられる。この場合、メインMOSFETのソースパッドに接続されるピンとセンスMOSFETのソースパッドに接続されるピンとがそれぞれ独立している場合、瞬間的ではあるが、それぞれのソースパッドに電位が印加されるタイミングがずれる可能性がある。このため、メインMOSFETのソースとセンスMOSFETのソースとの間には、例えば5V程度の耐圧が確保されていなければならない。
【0021】
メインMOSFETとセンスMOSFETとの電気的分離方法としては、n拡散領域を形成する際の注入により分離する方法、および、p型のボディ層(p型ウェル)を、半導体基板の上面に形成されたトレンチにより分離する方法が考えられる。
【0022】
ここで、トレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETでは、トレンチ内のゲート電極の下方に、フィールドプレート電極が形成される。トレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETは、トレンチ内にソース電位が印加されたフィールドプレート電極を有していることにより、MOSFETの寄生容量を抑え、MOSFETのスイッチング速度を高めることができる。
【0023】
ただし、トレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETにおいて、メインMOSFETとセンスMOSFETとをn拡散領域を形成する際の注入打ち分けのみにより分離しようとすると、閾値電圧Vthが低下し、パンチスルーが起きる。つまり、耐圧の確保という第1の改善の余地がある。そこで、トレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETにおいてメインMOSFETとセンスMOSFETとを分離する方法としては、図13および図14に示す比較例のように、トレンチD5を形成してそれらのMOSFET同士を分離することが考えられる。
【0024】
図13に、比較例の半導体装置(半導体チップ)であるトレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETを有する半導体チップCHPAの平面レイアウトを示す。図13に示す半導体装置は、半導体チップの平面視における面積の大部分を占めるメインMOSFET6MMと、電流検出用に用いられるセンスMOSFETとを備えている。センスMOSFETは、図13において二点鎖線で囲んだ領域1Zに形成されている。センスMOSFETはメインMOSFET6MMに比べて小規模であり、半導体チップの平面視における面積の占有率は、メインMOSFET6MMの面積占有率に比べて小さい。図13では、半導体基板の上面上に形成された配線の下の構造を透過して示しており、半導体基板上の層間絶縁膜およびパッシベーション膜などの絶縁膜の図示を省略している。
【0025】
図14は、図13のG-G線における断面図である。図14に示すように、比較例の半導体装置は、基板SBと、基板SB上に形成された半導体層であるドリフト層DFとを有する半導体基板を備えている。半導体基板の上面に形成されたトレンチD1内には、絶縁膜IF1を介して導電膜CLが埋め込まれている。また、半導体基板の上面に形成されたトレンチD2内には、絶縁膜IF1を介してゲート電極GEおよびゲート電極GEの下のフィールドプレート電極FPが埋め込まれている。隣り合うトレンチD2同士の間の半導体基板の上面には、ソース領域SRが形成されている。ソース領域SRおよびソース領域SRの下のp型のボディ層にソース電位を印加するため、半導体基板上にはコンタクトプラグSC2が形成されている。コンタクトプラグSC2の直下の半導体基板の上面には、ボディコンタクト領域であるp拡散領域BCが形成されている。
【0026】
図13に示すように、トレンチD2は半導体基板の上面に沿うY方向に延在し、半導体基板の上面に沿うX方向に複数並んでいる。トレンチD2は内部にゲート電極GEとフィールドプレート電極FPとを含むダブルゲート構造を有しているが、破線で囲まれた領域1XのトレンチD2内にはゲート電極GEは形成されていない。領域1Xでは、フィールドプレート電極FPにソースパッドを構成する配線M1S1からソース電位を印加するためのコンタクトプラグ(導電性接続部)SC1がフィールドプレート電極FP上に形成されている。また、ゲートパッドGPに接続されたゲート配線GWの直下には、ゲート電極GEにゲート電位を印加するためのコンタクトプラグGCが形成されている。
【0027】
センスMOSFETとメインMOSFET6MMとは、面積は異なるが、互いに同様の構造を有している。ここで、本比較例では、X方向に延在するトレンチD5により、センスMOSFETおよびメインMOSFET6MMのそれぞれのソース領域SRおよびボディ層PBを電気的に分離している。このため、図13の中央部に示すようにゲート配線GWをX方向に延在させ、その下にコンタクトプラグGCを設ける必要がある。また、図13のセンスMOSFET形成領域において破線で囲む領域では、配線M1S1とソース領域SRおよびボディ層PBとを接続するためのコンタクトプラグSC4を形成する必要がある。つまり、ゲート電位およびソース電位にそれぞれ固定するためのコンタクトプラグおよび配線を配置する領域が必要となるため、チップ面積が増大するという第2の改善の余地がある。
【0028】
また、上記ゲート配線GWの配置などにより、図13に一点鎖線で示す領域1Yにはp拡散領域BCを形成することができない。これは、p拡散領域BCが、半導体基板上の層間絶縁膜IL(図14参照)にコンタクトプラグSC1を形成するための開口部を形成した後、コンタクトプラグSC1の形成前に当該開口部の底面の半導体基板にイオン注入を行うことで形成されるためである。このように、領域1Yにはp拡散領域BCが形成できずMOSFETが形成できないため、領域1Yは実質的に無効領域となる。このこともチップ面積増大の要因となる。加えて、領域1Yにp拡散領域BCが形成されないことにより、閾値電圧Vthが低下し、パンチスルーが起き易くなる。
【0029】
上記のように、メインMOSFETの他にセンスMOSFETを備えたトレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETには、解消すべき第1の改善の余地と第2の改善の余地とが存在する。
【0030】
そこで、下記の実施の形態では、上述した第1の改善の余地と第2の改善の余地とを同時に解決する工夫を施している。以下では、この工夫を施した実施の形態における技術的思想について説明する。
【0031】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造>
以下に、図1図7を用いて、本実施の形態の半導体装置について説明する。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態の半導体装置は、半導体基板を備えた半導体チップCHP1であり、半導体チップCHP1は、メインMOSFET1MMと、センスMOSFET1SMとを有している。図2には、左から順に、図1のメインMOSFET1MMのA-A線における断面、図B-B線における断面、および、C-C線における断面を並べて示している。図3には、左から順に、図1のセンスMOSFET1SMのD-D線における断面、図E-E線における断面、および、F-F線における断面を並べて示している。半導体基板は、上面(第1主面)と、当該上面の反対側の下面(第2主面)とを有している。図1では、半導体基板の上面上に形成された配線の下の構造を透過して示しており、半導体基板上の層間絶縁膜およびパッシベーション膜などの絶縁膜の図示を省略している。
【0033】
図2に示すように、本実施の形態の半導体装置を構成する半導体基板は、例えば単結晶Si(シリコン)などからなる基板SBと、基板SB上にエピタキシャル成長法などにより形成された半導体層であるドリフト層DFとを有している。基板SBは、n型のドレイン領域DRを構成している。図示していないが、基板SBの下面は、例えばAu(金)などを含むドレイン電極により覆われており、ドレイン領域DRはドレイン電極に接続されている。
【0034】
ドリフト層DFは、n型の半導体層である。メインMOSFET1MMが形成されているアクティブ領域において、半導体基板の上面に沿うY方向に延在するトレンチD2が、半導体基板の上面に沿うX方向に複数並んで形成されている。Y方向およびX方向は、平面視において互いに直交する方向である。また、Y方向およびX方向のそれぞれに対し直交するZ方向は、半導体基板の上面に対して垂直な高さ方向(厚さ方向、垂直方向、縦方向)である。
【0035】
また、図1に示すように、半導体基板の上面には、メインMOSFET1MMが形成されているアクティブ領域の周囲を平面視で囲むトレンチD1が形成されている。図2に示すように、トレンチD1内には、絶縁膜IF1を介して導電膜CLが埋め込まれており、このトレンチD1、絶縁膜IF1および導電膜CLは、ターミネーションリングTR1を構成している。メインMOSFET1MMが形成されているアクティブ領域の周囲は、平面視において環状のターミネーションリングTR1により囲まれている(図1参照)。また、半導体チップCHP1の周縁部の半導体基板の上面には、ターミネーションリングTR1と同様の構造のシールリングSRGが形成されている。シールリングSRGは、平面視において、メインMOSFET1MM、センスMOSFET1SM、ターミネーションリングTR1およびTR2を囲んでいる。
【0036】
トレンチD2内には、絶縁膜IF1を介して、ゲート配線GWと、ゲート配線GWの下のフィールドプレート電極FPとが埋め込まれている。このように、トレンチ内に2つの電極が形成されている構造を、ここではダブルゲート構造(ダブルゲート型)と呼ぶ。上記アクティブ領域において、半導体基板の上面(ドリフト層DFの上面)には、p型の半導体層であるボディ層PBが、トレンチD2の側面に接して形成されている。ボディ層PBの深さは、例えばゲート電極GEの深さよりも浅い。
【0037】
また、上記アクティブ領域において、半導体基板の上面(ドリフト層DFの上面)には、n型の半導体領域(n拡散層)であるソース領域SRが、トレンチD2の側面に接して形成されている。ソース領域SRの深さは、ボディ層PBおよびゲート電極GEのいずれの深さよりも浅い。ソース領域SRの下面はボディ層PBに接しており、ボディ層PBの下面はドリフト層DFに接している。
【0038】
ソース領域SR、ドレイン領域DR、ボディ層PBおよびゲート電極GEは、縦型のMOSFETであるメインMOSFET1MMを構成している。メインMOSFET1MMがオン状態のときには、ゲート電極DEが設けられたトレンチD2に隣接するボディ層PBにチャネル(反転層)が形成され、電流はドレイン領域DRからドリフト層DFおよびボディ層PB内の当該チャネルを通ってソース領域SRへ流れる。
【0039】
半導体基板、ゲート電極GE、絶縁膜IF1および導電膜CLのそれぞれの上には、層間絶縁膜ILを介して、配線M1S1および配線M1Gが形成されている。層間絶縁膜ILは、例えば主に酸化シリコンからなる。配線M1S1と配線M1Gとは、例えばAl(アルミニウム)からなり、互いに離間して並んでいる。層間絶縁膜ILには複数の開口部(貫通孔)が形成されている。それらの開口部内には、配線M1S1と一体となっているコンタクトプラグ(導電性接続部)SC1、SC2およびSC3、または、配線M1Gと一体となっているコンタクトプラグGCが形成されている。すなわち、上記アクティブ領域において、互いに隣り合うトレンチD2同士の間の半導体基板上には、層間絶縁膜ILを貫通するコンタクトプラグSC2が、Y方向に延在している。また、ターミネーションリングTR1を構成する導電膜CLの直上には、配線M1S1と一体となっているコンタクトプラグ(導電性接続部)GCが形成されている。
【0040】
図示していないが、配線M1S1および配線M1Gのそれぞれの上面の一部は、パッシベーション膜により覆われている。図1では、当該パッシベーション膜の矩形の開口部であって、配線M1S1の上面の一部により構成されるソースパッドSPを示している。また、配線M1Gの上面の一部により構成されるゲートパッドGPは、パッシベーション膜から露出している。Y方向におけるトレンチD2の端部の直上には、配線M1Gにより構成されるゲート配線GWがゲートパッドGP側から連続的に延在しており、図2に示すゲート電極GEはコンタクトプラグGCを介してゲート配線GW(配線M1G)に電気的に接続されている。また、ターミネーションリングTR1を構成する導電膜CLは、コンタクトプラグSC1を介して配線M1S1に電気的に接続されている。
【0041】
コンタクトプラグSC2の直下の半導体基板の上面(ボディ層PBの上面)には、ボディコンタクト領域であるp拡散領域BCが形成されている。p拡散領域BCの深さは、ボディ層PBの深さよりも浅い。p拡散領域BCは、ボディ層PBに接している。コンタクトプラグSC2は、ソース領域SRおよびp拡散領域BCに接している。これによりソース領域SRおよびp拡散領域BCは、コンタクトプラグSC2を介して配線M1S1に電気的に接続されている。ボディ層PBは、p拡散領域BCおよびコンタクトプラグSC2を介して配線M1S1に電気的に接続されている。
【0042】
上記のように、トレンチD2は内部にゲート電極GEとフィールドプレート電極FPとを含むダブルゲート構造を有しているが、図1で破線で囲まれた領域1Aにはゲート電極GEは形成されておらず、電極としてはフィールドプレート電極FPのみが形成されている。領域1Aでは、フィールドプレート電極FPに配線M1S1からソース電位を印加するためのコンタクトプラグSC1がフィールドプレート電極FP上に形成されている。
【0043】
上記より、ソース領域SR、ボディ層PB、フィールドプレート電極FP、導電膜CLのそれぞれにはソース電位が印加され、ゲート電極GEにはゲート電位が印加される。本実施の形態の各MOSFETはトレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETであり、トレンチ内にソース電位が印加されたフィールドプレート電極を有していることにより、MOSFETの寄生容量を抑え、MOSFETのスイッチング速度を高めることができる。
【0044】
次に、センスMOSFET1SMについて説明する。ただし、センスMOSFET1SMとメインMOSFET1MMとは、面積は異なるが、互いに同様の構造を有しているため、センスMOSFET1SMの構造の詳細な説明は省略する。図1では、センスMOSFET1SMのレイアウトを、メインMOSFET1MMのレイアウトを縮小して示しているが、実際にはセンスMOSFET1SMを構成するトレンチ、コンタクトプラグのそれぞれの幅、トレンチ同士の間隔などの寸法は、メインMOSFET1MMと同様である。
【0045】
図1および図3に示すように、センスMOSFET1SMのアクティブ領域には、メインMOSFET1MMのトレンチD2、D1と同様に、半導体基板の上面に複数のトレンチD4と1つの環状のトレンチD3とが形成されている。すなわち、トレンチD4内にはゲート電極GEとフィールドプレート電極FPが形成されており、トレンチD3内には導電膜CLが形成されている。トレンチD3、トレンチD3内の絶縁膜IF1および導電膜CLは、ターミネーションリングTR2を構成している。また、当該アクティブ領域に形成されたソース領域SR、ドレイン領域DR、ボディ層PBおよびゲート電極GEは、縦型のMOSFETであるセンスMOSFET1SMを構成している。
【0046】
ソース領域SRと、ボディ層PB内に形成されたp拡散領域BCとは、コンタクトプラグSC2を介して、層間絶縁膜IL上の配線M1S2に電気的に接続されている。トレンチD3内の導電膜CLは、コンタクトプラグSC3を介して配線M1S2に電気的に接続されている。ゲート電極GEは、コンタクトプラグGCを介して配線M1Gに電気的に接続されている。
【0047】
トレンチD4はダブルゲート構造を有する溝であるが、図1に破線で示す領域1BのトレンチD4内では、領域1AのトレンチD2と同様に、フィールドプレート電極FPが形成されているがゲート電極GEは形成されていない。領域1Bには層間絶縁膜ILを貫通するコンタクトプラグSC1が形成されており、トレンチD4内のフィールドプレート電極FPは、コンタクトプラグSC1を介して配線M1S2に電気的に接続されている。
【0048】
図1では、上記パッシベーション膜の矩形の開口部であって、配線M1S2の上面の一部により構成されるソースパッドSSPを示している。センスMOSFET1SMのアクティブ領域に形成されたソース領域SR、p拡散領域BC、ボディ層PB、導電膜CLおよび当該アクティブ領域を平面視で囲む導電膜CLには、コンタクトプラグSC1、SC2またはSC3を介してソース電位が印加される。トレンチD2とトレンチD4とは、同じY方向に延在している。センスMOSFET1SMを構成するゲート電極GEには、Y方向におけるトレンチD4の端部のゲート電極GEに接続されたコンタクトプラグGCを介してゲート電位が印加される。
【0049】
上記のように、本実施の形態の説明で用いる符号には違いがあるが、メインMOSFET1MMとセンスMOSFET1SMとは互いに同様の構造を有している。メインMOSFET1MMのゲート電極GEとセンスMOSFET1SMのゲート電極GEとのそれぞれには、同一のゲートパッドGPを介してゲート電位が印加される。これに対し、メインMOSFET1MMのソース領域SRなどにソース電位を印加するソースパッドSPと、センスMOSFET1SMのソース領域SRなどにソース電位を印加するソースパッドSSPとは互いに異なる。ソースパッドSPを構成する配線M1S1と、ソースパッドSSPを構成する配線M1S2とは、互いに離間しており絶縁されている。図4の回路図に示すように、メインMOSFET1MMとセンスMOSFET1SMのそれぞれのドレイン電極同士は互いに接続されており、ゲート電極同士は互いに接続されている。
【0050】
本実施の形態の半導体装置の主な特徴の一つは、互いにダブルゲート構造を有する縦型MOSFETであるメインMOSFET1MMと電流検出用のセンスMOSFET1SMとのそれぞれを、ターミネーションリングTR1、TR2により囲んだ平面レイアウトを採用している点にある。このようにメイン素子とセンス素子とをトレンチD1、D3によりそれぞれ囲むことにより、メインMOSFET1MMのソース領域SRとセンスMOSFET1SMのソース領域SRとを電気的に分離し、耐圧を確保している。
【0051】
ここで、図5図6および図7を用いて、本実施の形態の半導体装置の平面レイアウトの一例について説明する。図5は、上述した半導体チップCHP1の平面レイアウトの一例を示している。図5に示すように、半導体チップCHP1の上面側には、半導体チップCHP1の上面の面積の大部分を占めるソースパッドSP(配線M1S1)が形成されている。その他に、半導体チップCHP1の上面側には、ソースパッドSPよりも小さい、ゲートパッドGPおよびソースパッドSSPが形成されている。ゲートパッドGPからは、ゲート配線GWが平面視でソースパッドSPを囲むように環状に形成されている。メインMOSFET1MMはソースパッドSPの直下に形成されているのに対し、センスMOSFET1SMは、ソースパッドSSPと隣り合う領域に形成されている。当該領域には、ゲート配線GWの一部が延在しており、センスMOSFET1SMにゲート電位を供給する。
【0052】
図6には、図5で破線で囲んだ領域1C、つまりメインMOSFET1MMの端部の拡大図を示している。図7には、図5で破線で囲んだ領域1D、つまりセンスMOSFET1SMの端部の拡大図を示している。
【0053】
図6および図7に示すように、メインMOSFET1MMのソース領域SR、および、センスMOSFET1SMのソース領域SRは、いずれも平面視においてゲート配線GWおよびターミネーションリングTR1、TR2から離間して形成されている。ここで、メインMOSFET1MMを構成する複数のソース領域SRとターミネーションリングTR1とのY方向(トレンチD2の延在方向)における距離L1は、どの場所においても一定である。同様に、センスMOSFET1SMを構成する複数のソース領域SRとターミネーションリングTR2とのY方向(トレンチD4の延在方向)における距離L2は、どの場所においても一定である。また、距離L1と距離L2とは、互いに同一である。
【0054】
なお、図2および図3では、トレンチD1、D3と隣り合うトレンチD2、D4に隣接する半導体基板の一部の上面にソース領域SRが形成された構造を示している。これに対し、図6および図7に示すように、トレンチD1、D3と隣り合うトレンチD2、D4に隣接する半導体基板の上面にソース領域SRを形成していなくてもよい。
【0055】
<本実施の形態の効果>
改善の余地に関し説明したように、トレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETにおいて、メインMOSFETとセンスMOSFETとをn拡散領域を形成する際の注入打ち分けのみにより分離しようとすると、閾値電圧Vthが低下し、パンチスルーが起きる。これに対し、本実施の形態では、メインMOSFET1MMとセンスMOSFET1SMとをそれぞれ別のターミネーションリングTR1、TR2により囲んでいる。よって、上記のような閾値電圧Vthの低下およびパンチスルーの発生を防げる。したがって、メインMOSFETと電流検出用のセンスMOSFETとを機能させながら、相互の素子間の耐圧を確保できる。
【0056】
また、図13に示す比較例と異なり、配線M1S1、M1S2(ソース配線)および配線M1G(ゲート配線GW)のレイアウトが単純な引き回しとなり、配線を簡素化できる。また、比較例ではアクティブ領域のコンタクトプラグに近い領域1Yに実質的な無効領域が生じていたが、本実施の形態ではアクティブ領域がコンタクトプラグの形成領域に干渉することがないため、セルの無効領域は発生しない。これにより、チップサイズの縮小、セル有効面積の最大化が期待できる。
【0057】
また、図5図7を用いて説明したように、本実施の形態では、SRを囲むターミネーションリングTR1またはTR2との距離が、メインMOSFET1MMおよびセンスMOSFET1SMのいずれにおいても一定である。この所定の方向とは、ゲート電極GE、トレンチD2、D4、または、ソース領域SRの延在方向である。
【0058】
このように、メインMOSFET1MMとセンスMOSFET1SMとのそれぞれの外周においては、ターミネーションリングTR1、TR2からソース領域SR(n拡散層)までの距離を全て等しく設定している。この距離に不均一な箇所があると、その部分でアバランシェ電流が流れる経路が偏り、発熱して破壊耐量が低下する問題が起きる。本実施の形態では、半導体チップCHP1内の全ての領域においてソース領域とターミネーションリングとの距離が同じであることにより、破壊耐量が低下を防ぎ、耐圧を確保できる。
【0059】
以上により、本実施の形態によれば、上述した第1の改善の余地および第2の改善の余地を解消できる。すなわち、耐圧を確保し、半導体チップのサイズの増大を防げるため、半導体装置の性能を向上できる。
【0060】
(実施の形態2)
図8を用いて、複数のセンスMOSFETを備えた本実施の形態の半導体装置について説明する。図8は、本実施の形態の半導体装置を示す平面レイアウトである。
【0061】
図8に示すように、本実施の形態の半導体装置は、半導体チップCHP2により構成されている。本実施の形態の半導体装置は、平面形状が矩形である半導体チップCHP2の4隅のそれぞれにセンスMOSFET2SMを備え、それらのセンスMOSFET2SMのそれぞれで検知した電流を平均化して検出するものである。
【0062】
すなわち、半導体チップCHP2は、平面視において中央部に配置され、他の素子より大きな面積を占めるメインMOSFET2MMを有している。メインMOSFET2MMの構造は、図1および図2などを用いて説明したメインMOSFET1MMと同様である。Y方向において、メインMOSFET2MMと、矩形の半導体チップCHP2の1辺との間には、X方向に並んで3以上の複数の素子が配置されている。同様に、Y方向において、メインMOSFET2MMと、矩形の半導体チップCHP2の上記1辺とは反対側の1辺との間には、X方向に並んで3以上の複数の素子が配置されている。X方向に並ぶ3以上の複数の素子のうち、両端の素子はセンスMOSFET2SMであり、他の素子(両端以外の素子)はメインMOSFET3MMである。
【0063】
すなわち、平面視において矩形の半導体チップCHP2の4隅のそれぞれに、センスMOSFET2SMが形成されている。センスMOSFET2SMおよびメインMOSFET3MMは、メインMOSFET2MMと比べ面積は小さいが、メインMOSFET2MMと同様の構造を有している。図8ではメインMOSFET3MMとセンスMOSFET2SMとを互いに同様の大きさで示しているが、メインMOSFET3MMは、センスMOSFET2SMより大きくてもよい。メインMOSFET3MM、2MMのそれぞれのゲート電極は互いに接続され、それぞれのドレイン電極は互いに接続されている。メインMOSFET3MMは、メインMOSFET2MMと同じ目的で使用される。つまり、メインMOSFET2MM、3MMは、組立時に互いに接続して1つの大きなメインMOSFETとして機能する。
【0064】
ここでは、平面視において、メインMOSFET2MMのアクティブ領域はターミネーションリングTR1により囲まれ、メインMOSFET3MMのアクティブ領域は他のターミネーションリングTR1により囲まれている。また、平面視において、センスMOSFET2SMのアクティブ領域はターミネーションリングTR2により囲まれている。
【0065】
半導体チップは、電流が流れた際には特に中央部が発熱し易く、チップの端部では温度変化にばらつきがある。このため、半導体チップの発熱を電流検出用のセンスMOSFETにより検知する場合、センスMOSFETを半導体チップの中央に配置することが好ましいが、実際にはパッケージングの制約などにより、そのような配置を実現することは困難である場合がある。
【0066】
そこで、本実施の形態の半導体装置では、半導体チップCHP2の4隅のそれぞれにセンスMOSFET2SMを形成している。これにより、電流を半導体チップCHP2の4箇所で検知することができる。そして、それら4箇所のセンスMOSFET2SMにより検知した電流を平均化して検出(算出)することで、精度の高い電流検出が可能となる。
【0067】
(実施の形態3)
図9を用いて、チップの中央にセンスMOSFETを備えた本実施の形態の半導体装置について説明する。図9は、本実施の形態の半導体装置を示す平面レイアウトである。
【0068】
図9に示すように、本実施の形態の半導体装置は、半導体チップCHP3により構成されている。本実施の形態の半導体装置は、Y方向において並ぶ2つのメインMOSFET4MMを有しており、それらのメインMOSFET4MM同士の間に、X方向に並んで3以上の複数の素子が配置されている。X方向に並ぶ3以上の複数の素子のうち、両端の素子はメインMOSFET5MMであり、それらの両端のメインMOSFET5MM同士の間の素子は、センスMOSFET3SMである。ここでは、センスMOSFET3SMは、平面視において矩形の半導体チップCHP3の中央に配置されている。
【0069】
メインMOSFET4MMの構造は、図8を用いて説明したメインMOSFET2MMと同様である。メインMOSFET5MMの構造は、図8を用いて説明したメインMOSFET3MMと同様である。センスMOSFET3SMの構造は、図8を用いて説明したセンスMOSFET2SMと同様である。メインMOSFET4MM、5MMは、組立時に互いに接続して1つの大きなメインMOSFETとして機能する。
【0070】
前記実施の形態2で説明したように、半導体チップの発熱を電流検出用のセンスMOSFETにより検知する場合、センスMOSFETを半導体チップの中央に配置することが好ましい。そこで、本実施の形態の半導体装置では、平面視において、半導体チップCHP3の中央にセンスMOSFET3SMを形成している。これにより、センスMOSFETを半導体チップの端部に配置する場合に比べ、精度の高い電流検出が可能となる。
【0071】
(実施の形態4)
図10図12を用いて、前記実施の形態1~3の半導体チップを、簡素な配線により接続可能なパッケージについて説明する。図10は、本実施の形態の半導体装置であるパッケージを示す模式的な断面図である。図11は、複数の半導体チップを含む本実施の形態の半導体装置であるパッケージの一部を透過して示す斜視図である。図12は、図11に示すパッケージの下面を示すレイアウトである。
【0072】
前記実施の形態1~3のうち、特に、前記実施の形態2、3の半導体チップは表面のパッド数が多いため、周知のボンディングワイヤまたはクリップなどによりパッケージングを行おうとすると配線が複雑になり、パッケージのサイズの増大および組立工程の複雑化が問題となる。そこで、以下では埋め込み基板を用いてパッケージングを行うことについて説明する。
【0073】
図10に示すように、本実施の形態のパッケージは、例えば、前記実施の形態3で説明した半導体チップCHP3を備えている。半導体チップCHP3は、隣り合う配置された基板F1と共に、上下のそれぞれから基板F2により挟まれている。半導体チップCHP3の下の基板F2の下面には、導電層CWを介して複数の基板F3が貼り付けられている。同様に、半導体チップCHP3の上の基板F2の上面には、他の導電層CWを介して複数の基板F3が貼り付けられている。基板F1~F3のそれぞれは、主に絶縁体からなり、表面に配線がプリントされたプリント基板(例えばFR4基板)である。導電層CWは、例えばCu(銅)からなる。
【0074】
基板F2には、上下方向に複数の貫通孔が形成され、それらの貫通孔内には、例えばCuからなるビアV1が埋め込まれている。導電層CWと半導体チップCHP3の表面のソース電極、ゲート電極またはドレイン電極は、ビアV1を介して導電層CWに電気的に接続されている。なお、これらのソース電極、ゲート電極およびドレイン電極が、互いに絶縁された別々の導電層CWに電気的に接続されていることは言うまでもない。
【0075】
半導体チップCHP3の下の導電層CWと半導体チップCHP3の上の導電層CWとは、基板F1および基板F1の上下の基板F2からなる積層基板を貫通するビアV2により、互いに電気的に接続されている。なお、ビアV2はソース電極、ゲート電極およびドレイン電極のそれぞれに接続された配線を引き出すものであって、ソース電極またはゲート電極とドレイン電極とを電気的に接続するものではない。ビアV2は、例えばCuからなる。このように、本実施の形態のパッケージは、半導体チップCHP3を、積層された基板F1~F3の内部に埋め込んだもの、つまり埋め込み基板構造を有するパッケージである。
【0076】
次に、本実施の形態のパッケージの他の一例として、複数の半導体チップを含むパッケージの構造を、図11および図12を用いて説明する。図11および図12に示すパッケージは、図10を用いて説明した構造と同じく埋め込み基板構造を有するパッケージである。図11では、半導体チップ以外の基板(埋め込み基板)を透過して半導体チップと配線とを示している。
【0077】
図11に示すパッケージは、内部に半導体チップCHP3と、その下に位置する半導体チップCHPとを含んでいる。半導体チップCHPは、例えばセンスMOSFETを有さず、メインMOSFETのみを備えたチップとして説明するが、前記実施の形態1~3で説明したようにセンスMOSFETを有していてもよい。半導体チップCHP3と半導体チップCHPとは、互いにドレイン電極が対向するように配置されている。半導体チップCHP3と半導体チップCHPとの間には中間導体ICNが配置されており、半導体チップCHP3のドレイン電極と半導体チップCHPのドレイン電極とは、それぞれビアを介して中間導体ICNに電気的に接続されている。
【0078】
図11および図12に示すように、パッケージの下面には、導体からなるゲートパッドGPa、ソースパッドSPa、ドレインパッドDPaおよびソースパッドSSPaが露出している。半導体チップCHP3、CHPのそれぞれのドレイン電極は、ビアおよび中間導体ICNを介してドレインパッドDPaに電気的に接続されている。半導体チップCHPのゲートパッドは、ビアを介してゲートパッドGPaに電気的に接続されている。半導体チップCHPのソースパッドは、ビアを介してソースパッドSPaに電気的に接続されている。
【0079】
パッケージ内において、半導体チップCHP3上には、導体板であるソース配線SW、ゲート配線GW1およびセンスソース配線SSWが配置されている。半導体チップCHP3のゲートパッドGPは、ビアおよびゲート配線GW1を介してゲートパッドGPaに電気的に接続されている。半導体チップCHP3のソースパッドSPは、ビアおよびソース配線SWを介してソースパッドSPaに電気的に接続されている。半導体チップCHP3のソースパッドSSPは、ビアおよびセンスソース配線SSWを介してソースパッドSSPaに電気的に接続されている。
【0080】
このように、前記実施の形態1~3で説明した半導体チップは、埋め込み基板構造によりパッケージ内に組み込むことができる。特に、前記実施の形態2、3の半導体チップは上面のメインMOSFETおよびセンスMOSFETのパッド数が多いが、埋め込み基板パッケージであれば簡素な配線により組み立てが可能である。
【0081】
本実施の形態では、半導体チップのパッド(電極)へ接続する配線は、ワイヤまたはクリップではなくビアにより行う。埋め込み基板パッケージを採用することで、図10に示すように1つの半導体チップを内蔵する場合は、パッケージの厚を0.4mm程度と薄化できる。半導体チップが1つの場合のみでなく、図11および図12に示すように半導体チップが複数である場合も、パッケージの薄さを維持しながら、高い配線の引き回し自由度を実現できる。また、ビアの本数を増やすことにより、パッケージ抵抗の低減も可能である。また、半導体チップをパッケージ内部で縦方向に並列接続をすることにより、実装面積を大きくすることなく、製品のオン抵抗を低減できる。
【0082】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0083】
1MM~6MM メインMOSFET
1SM~3SM センスMOSFET
BC P拡散領域
CHP、CHP1、CHP2、CHP3、CHPA 半導体チップ
D1~D5 トレンチ
DE ゲート電極
DF ドリフト層
DR ドレイン領域
FP フィールドプレート電極
GE ゲート電極
GP ゲートパッド
GW ゲート配線
PB ボディ層
SB 基板
SP ソースパッド
SR ソース領域
SSP ソースパッド
TR1、TR2 ターミネーションリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14