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特開2023-131422イメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131422
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】イメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230914BHJP
   G07D 7/121 20160101ALI20230914BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230914BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230914BHJP
【FI】
F21S2/00 435
G07D7/121
G03G21/00 370
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036176
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】菅 彰信
【テーマコード(参考)】
2H270
3E041
3K244
【Fターム(参考)】
2H270LB17
2H270LD02
2H270LD03
2H270ZC04
3E041AA01
3E041AA03
3E041AA04
3E041BA04
3E041BA11
3E041BB02
3E041BB03
3E041BB05
3E041BB06
3E041BB07
3E041BC06
3E041EA03
3E041EA07
3K244AA08
3K244BA16
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA06
3K244EA08
3K244EA13
3K244ED03
3K244ED13
(57)【要約】
【課題】主走査方向に加えて深度方向と副走査方向に対しても光を拡散させることができ、かつ導光体を容易に製造可能なイメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】光源と、主走査方向に延設された導光体と、を有するイメージセンサ用照明装置であって、前記導光体は、前記光源から入射された光を拡散する光拡散領域を有し、前記光拡散領域は、前記 導光体の一方の端部から他方の端部まで設けられ、前記主走査方向の軸に対して所定の角度をなす少なくとも1つの斜行方向に延設された稜線を有する凹凸パターンを含むイメージセンサ用照明装置である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、主走査方向に延設された導光体と、を有するイメージセンサ用照明装置であって、
前記導光体は、前記光源から入射された光を拡散する光拡散領域を有し、
前記光拡散領域は、前記導光体の一方の端部から他方の端部まで設けられ、前記主走査方向の軸に対して所定の角度をなす少なくとも1つの斜行方向に延設された稜線を有する凹凸パターンを含む
ことを特徴とするイメージセンサ用照明装置。
【請求項2】
前記稜線は、少なくとも、前記軸に対して第1の角度をなす第1の方向と、前記軸に対して第2の角度をなす第2の方向と、に延設される
ことを特徴とする請求項1記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項3】
前記第1の角度は、前記第2の角度と異なる大きさである
ことを特徴とする請求項2記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項4】
前記第1の角度は、70°以上、90°未満であり、
前記第2の角度は、50°以上、70°未満である
ことを特徴とする請求項3記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項5】
前記第1の角度は、前記第2の角度と同じ大きさである
ことを特徴とする請求項2記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項6】
前記稜線は、前記軸に対して所定の角度をなす1つの斜行方向のみに延設される
ことを特徴とする請求項1記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項7】
前記所定の角度は、60°を超えて、75°以下である
ことを特徴とする請求項6記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項8】
前記導光体の前記一方の端部及び前記他方の端部の少なくとも1つは、前記光源に隣り合い、
前記凹凸パターンの副走査方向における幅は、前記一方の端部及び前記他方の端部のうちの前記光源に隣り合う端部と、前記導光体の中央部とで異なる
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項9】
前記幅は、前記光源に隣り合う前記端部でより狭く、前記中央部でより広い
ことを特徴とする請求項8記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項10】
前記凹凸パターンは、前記稜線を挟んで隣り合う斜面がなす角の大きさが互いに異なる複数種の凸部を含む
ことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のイメージセンサ用照明装置を備えることを特徴とするイメージセンサ。
【請求項12】
請求項11記載のイメージセンサを備えることを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項13】
請求項12記載の紙葉類識別装置を備えることを特徴とする紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサ(光学ラインセンサ)に用いられる照明装置には、棒状の導光体を用いて点光源を線光源とするものがある。導光体の長手方向の端面には、点光源からの光が入射する入射面が設けられ、導光体の側面には、照射対象に向けて光を出射する帯状の出射面が設けられる。
【0003】
例えば、特許文献1、2には、導光体の光拡散部として、導光体の長手方向に対して直交する方向に稜線を持つ凹凸パターンを形成した照明装置が開示されている。また、特許文献1には、上記の凹凸パターンに加えて、導光体の少なくとも一方の端部に導光体の光拡散部として椀状等の等方的な形状の窪みや突起を形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-65226号公報
【特許文献2】特許第6246351号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、導光体の長手方向に対して直交する方向に稜線を持つ凹凸パターンでは、主走査方向にしか光が拡散せず、特に深度方向と副走査方向に対して光の拡散が充分ではなかった。
【0006】
また、導光体を加工して等方的な形状の窪みや突起を形成するのは手間がかかり、コストが増加してしまう。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、主走査方向に加えて深度方向と副走査方向に対しても光を拡散させることができ、かつ導光体を容易に製造可能なイメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、(1)本開示の第1の態様に係るイメージセンサ用照明装置は、光源と、主走査方向に延設された導光体と、を有するイメージセンサ用照明装置であって、前記導光体は、前記光源から入射された光を拡散する光拡散領域を有し、前記光拡散領域は、前記導光体の一方の端部から他方の端部まで設けられ、前記主走査方向の軸に対して所定の角度をなす少なくとも1つの斜行方向に延設された稜線を有する凹凸パターンを含む。
【0009】
(2)上記(1)に記載のイメージセンサ用照明装置において、前記稜線は、少なくとも、前記軸に対して第1の角度をなす第1の方向と、前記軸に対して第2の角度をなす第2の方向と、に延設されてもよい。
【0010】
(3)上記(2)に記載のイメージセンサ用照明装置において、前記第1の角度は、前記第2の角度と異なる大きさであってもよい。
【0011】
(4)上記(3)に記載のイメージセンサ用照明装置において、前記第1の角度は、70°以上、90°未満であってもよく、前記第2の角度は、50°以上、70°未満であってもよい。
【0012】
(5)上記(2)に記載のイメージセンサ用照明装置において、第1の角度は、前記第2の角度と同じ大きさであってもよい。
【0013】
(6)上記(1)に記載のイメージセンサ用照明装置において、前記稜線は、前記軸に対して所定の角度をなす1つの斜行方向のみに延設されてもよい。
【0014】
(7)上記(6)に記載のイメージセンサ用照明装置において、前記所定の角度は、60°を超えて、75°以下であってもよい。
【0015】
(8)上記(1)~(7)のいずれかに記載のイメージセンサ用照明装置において、前記導光体の前記一方の端部及び前記他方の端部の少なくとも1つは、前記光源に隣り合ってもよく、前記凹凸パターンの副走査方向における幅は、前記一方の端部及び前記他方の端部のうちの前記光源に隣り合う端部と、前記導光体の中央部とで異なってもよい。
【0016】
(9)上記(8)に記載のイメージセンサ用照明装置において、前記幅は、前記光源に隣り合う前記端部でより狭くてもよく、前記中央部でより広くてもよい。
【0017】
(10)上記(1)~(9)のいずれかに記載のイメージセンサ用照明装置において、前記凹凸パターンは、前記稜線を挟んで隣り合う斜面がなす角の大きさが互いに異なる複数種の凸部を含んでもよい。
【0018】
(11)また、本開示の第2の態様に係るイメージセンサは、上記(1)~(10)のいずれかに記載のイメージセンサ用照明装置を備える。
【0019】
(12)また、本開示の第3の態様に係る紙葉類識別装置は、上記(11)に記載のイメージセンサを備える。
【0020】
(13)また、本開示の第4の態様に係る紙葉類処理装置は、上記(12)に記載の紙葉類識別装置を備える。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、主走査方向に加えて深度方向と副走査方向に対しても光を拡散させることができ、かつ導光体を容易に製造可能なイメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1に係る照明装置の側面模式図である。
図2】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を入射面側から見た模式図である。
図3】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を出射面側から見た模式図である。
図4】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を対向面側から見た模式図である。
図5】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を側面側から見た模式図である。
図6】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体に設けられた凹凸パターンの一例を正面から見た模式図である。
図7図6に示す凹凸パターンのA-A線における断面模式図である。
図8図6に示す凹凸パターンのB-B線における断面模式図である。
図9】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体の一方の端面から入射した光線の進行方向の例を示す模式図である。
図10】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体の他方の端面から入射した光線の進行方向の例を示す模式図である。
図11】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体から出射される光線の進行方向の例を示す模式図である。
図12】実施形態1に係る照明装置を備えるイメージセンサにおいて導光体から出射される光線の進行方向の例を示す模式図である。
図13】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体に設けられた凹凸パターンの他の例を正面から見た模式図である。
図14】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体から出射される光の強度をシミュレーションするために用いたモデル(各部材の配置)を説明するための模式図である。
図15】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体から出射される光の強度をシミュレーションする際の導光体の凹凸パターンの一例を説明するための模式図である。
図16】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体から出射される光の強度をシミュレーションする際の導光体の凹凸パターンの他の例を説明するための模式図である。
図17】実施形態2に係るイメージセンサの斜視模式図である。
図18】実施形態2に係るイメージセンサの側面模式図である。
図19】実施形態3に係る紙葉類識別装置の構成を説明するブロック図である。
図20】実施形態4に係る紙葉類処理装置の外観を示した斜視模式図である。
【0023】
以下、図面を参照して、本開示に係るイメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置の実施形態を詳細に説明する。本開示に係るイメージセンサ用照明装置及びイメージセンサは様々な分野で利用できるものであるが、紙葉類を走査して、その光学画像情報を取得するイメージセンサ用照明装置及びイメージセンサに利用できるため、本実施形態では、それらに適用した例について説明を行う。
【0024】
なお、以下の説明において、同一又は同様の機能を有する構成には同一の符号を異なる実施形態及び図面間で共通して適宜用い、その構成についての繰り返しの説明は適宜省略する。また、構造を説明する図面には、互いに直交するXYZ座標系を適宜示しており、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向がそれぞれ、イメージセンサの副走査方向、主走査方向及び高さ方向(深度方向)に対応している。
【0025】
(実施形態1)
まず、実施形態1に係るイメージセンサ用照明装置について説明する。図1は、実施形態1に係る照明装置の側面模式図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係るイメージセンサ用照明装置1は、複数の光源20と、主走査方向Yに延設された導光体10と、を備える。
【0027】
導光体10は、各光源20からの光を導いて照射対象(照明対象)である紙葉類Pに向けて線状の光を照射するものであり、各光源20が発する光を線光源化する光学部材である。導光体10は、イメージセンサの主走査方向Yに延設された、細長い棒状の形状を有し、アクリル系樹脂等の透明樹脂からなる。
【0028】
各光源20は、主走査方向Yにおける導光体10の端面に隣接して設けられており、導光体10の端面から導光体10へ向けて光を入射するものである。光源20からの光が入射される各端面は入射面11として機能している。すなわち、導光体10の一方の端部15a及び他方の端部15bは、光源20に隣り合っている。
【0029】
各光源20は、例えば互いに異なる波長帯域の光を照射可能な複数のLED(Light Emitting Diode)等の発光素子(図示せず)によって構成され、互いに異なる波長帯域の光(例えば、紫外光、赤色光、緑色光、青色光及び赤外光)を照射できるようになっている。各発光素子は、正の電圧が印加されるリードフレーム及び負の電圧が印加されるリードフレーム(いずれも図示せず)に電気的に接続されている。
【0030】
なお、図1では、各入射面11に対して光源20が1つずつ配置されているが、各入射面11に対して複数の光源20が配置されてもよい。この場合、通常、各入射面11に対して、同数かつ同種類の光源20が配置される。ここで、同種類の光源とは、同一波長帯域の光を照射する光源を意味する。更に、2つの入射面11に対して互いに異なる種類の光源20が配置されてもよい。
【0031】
他方、図1では、各入射面11に対して光源20が配置されているが、いずれか一方の入射面11に対してのみ光源20が配置されていてもよい。すなわち、導光体10の一方の端部15a及び他方の端部15bのいずれかのみが光源20に隣り合っていてもよい。
【0032】
次に導光体10について詳細に説明する。図2は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を入射面側から見た模式図である。図3は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を出射面側から見た模式図である。図4は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を対向面側から見た模式図である。図5は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を側面側から見た模式図である。
【0033】
図2図5に示すように、導光体10は、主走査方向Yに延設された、断面が略円形である細長い棒状(略円柱)の形状を有している。導光体10の両端面にはそれぞれ、光源20からの光が入射する略平面状の入射面11が設けられており、略円柱の導光体10の側面には、出射面12と、出射面12の反対側に位置する対向面13とが形成されている。また、導光体10は、出射面12及び対向面13以外に、出射面12及び対向面13を連結する2つの側面14を有し、各側面14は2つの側面部から構成される。ただし、各側面14の側面部の数は、1つ以上であれば特に限定されない。各側面部は、平面状であってもよいし曲面状であってもよい。なお、本実施形態では、イメージセンサの主走査方向Y及び副走査方向Xに直交する方向を、高さ方向(深度方向)Zとしている。
【0034】
出射面12は、光源20から入射された光を紙葉類に向けて出射する面である。出射面12は、図2に示すように凸状であってもよいし、平面状であってもよい。凸状である場合、出射面12は、単一の曲面から構成されてもよいし(例えば、断面視において円弧状又は楕円弧状であってもよい)、複数の面から構成されてもよい。出射面12が複数の面から構成される場合、各面は、平面状でも曲面状であってもよい。図3に示すように、出射面12は、主走査方向Yに沿って延び、かつ、副走査方向Xに所定の幅を持って形成された帯状の面である。
【0035】
対向面13は、導光体10の内部を伝搬する光を出射面12に向けて反射する面である。対向面13は、図2に示すように平面状であってもよいし、凸状であってもよい。凸状である場合、対向面13は、単一の曲面から構成されてもよいし(例えば、断面視において円弧状又は楕円弧状であってもよい)、複数の面から構成されてもよい。対向面13が複数の面から構成される場合、各面は、平面状でも曲面状であってもよい。図4に示すように、対向面13は、主走査方向Yに沿って延び、かつ、副走査方向Xに所定の幅を持って形成された帯状の面である。
【0036】
また、図4に示すように、導光体10の対向面13には、各光源20から導光体10に入射された光を拡散する光拡散領域Aが設けられている。光拡散領域Aは、導光体10の一方の端部15aから他方の端部15bまで設けられている。光拡散領域Aは、対向面13と同様に、主走査方向Yに沿って延び、かつ、副走査方向Xに所定の幅を持つ帯状の領域であり、対向面13の略全面に設定されている。
【0037】
図4に示すように、光拡散領域Aは、凹凸パターン30を含んでいる。凹凸パターン30は、光拡散領域Aと同様に、導光体10の一方の端部15aから他方の端部15bまで設けられている。
【0038】
なお、光拡散領域A(凹凸パターン30)は、導光体10の各端面から所定の距離だけ離れていてもよいし(図4参照)、導光体10の各端面の際まで配置されていてもよい。
【0039】
図6は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体に設けられた凹凸パターンの一例を正面から見た模式図である。図7は、図6に示す凹凸パターンのA-A線における断面模式図である。図8は、図6に示す凹凸パターンのB-B線における断面模式図である。
【0040】
図6に示すように、凹凸パターン30は、主走査方向Yの軸Ayに対して所定の角度をなす少なくとも1つ(図6では2つ)の斜行方向に延設された稜線31を有している。また、図7及び図8に示すように、凹凸パターン30は、表面が凹凸形状からなる構造を有している。凹凸パターン30が上述のような稜線31を有するため、各光源20から導光体10に入射された光を、主走査方向Yに加えて深度方向Zと副走査方向Xにも拡散させることができる。この理由について図9図12を用いてより詳細に説明する。
【0041】
図9は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体の一方の端面から入射した光線の進行方向の例を示す模式図である。図10は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体の他方の端面から入射した光線の進行方向の例を示す模式図である。図11は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体から出射される光線の進行方向の例を示す模式図である。図12は、実施形態1に係る照明装置を備えるイメージセンサにおいて導光体から出射された光線の進行方向の例を示す模式図である。なお、図9及び図10には、導光体10の両端面から入射した代表的な4本の光線B1~B4の軌跡を示している。
【0042】
図9及び図10に示すように、凹凸パターン30の稜線31が主走査方向Yの軸Ayに対して少なくとも1方向(図9及び図10では2方向)に斜行しているため、導光体10に入射した光線B1~B4は、凹凸パターン30で反射すると、主走査方向Yに対して直交する方向(副走査方向X)の成分が加わる。この結果、図11に示すように、凹凸パターン30で反射した光が導光体10の幅方向(副走査方向X)に広がり、図12に示すように、イメージセンサ100の深度方向Zと副走査方向Xでの光の均一性が向上する(両矢印参照)。
【0043】
なお、図12に示すように、導光体10は、イメージセンサ100の高さ方向(深度方向)Zに対して斜め方向に光を照射するように傾斜して配置されてもよい。
【0044】
稜線31を有する凹凸パターン30は、例えば、導光体10の対向面13をバイトで切削加工することによって容易に形成することができる。また、金型を用いれば、凹凸パターン30を有する導光体10を一括成型することもできる。すなわち、凹凸パターン30を有する導光体10は容易に製造することが可能である。
【0045】
図6に示すように、稜線31は、少なくとも、主走査方向Yの軸Ayに対して第1の角度θ1をなす第1の方向と、軸Ayに対して第2の角度θ2をなす第2の方向と、に延設されてもよい。これにより、稜線31が軸Ayに対して1つの斜行方向のみに延設される場合に比べて(後述する図13等参照)、導光体10に入射した光は導光体10の幅方向(副走査方向X)により広がるため、深度方向Zと副走査方向Xにより均一に光を拡散させることができる。
【0046】
なお、図6では、稜線31は、第1の方向及び第2の方向のみに延設される場合を示しているが、稜線31は、軸Ayに対して3つ以上の斜行方向に延設されていてもよい。
【0047】
第1の角度θ1は、図6に示すように第2の角度θ2と異なる大きさであってもよいし、第2の角度θ2と同じ大きさ(実質的に同じ大きさである場合を含む)であってもよい。ただし、第1の角度θ1と第2の角度θ2とが互いに異なる大きさであると、第1の角度θ1と第2の角度θ2とが実質的に同じ大きさである場合に比べて、深度方向Zと副走査方向Xでの光の均一性がより向上する。
【0048】
より具体的には、後述するシミュレーションの結果から、第1の角度θ1は、70°以上、90°未満であり、第2の角度θ2は、50°以上、70°未満であってもよい。これにより、深度方向Zと副走査方向Xでの光の均一性、特に深度方向Zでの光の均一性をより向上することができる。同様の観点からは、第1の角度θ1は、75°以上、85°以下であり、第2の角度θ2は、55°以上、65°以下であってもよく、第1の角度θ1は、実質的に80°であり、第2の角度θ2は、実質的に60°であってもよい。
【0049】
図13は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体に設けられた凹凸パターンの他の例を正面から見た模式図である。なお、図13に示す凹凸パターンのB-B線における断面は、図8に示したものと同様である。
【0050】
図13に示すように、稜線31は、主走査方向Yの軸Ayに対して所定の角度θをなす1つの斜行方向のみに延設されてもよい。これにより、導光体10の対向面13をバイトで切削加工することによって稜線31を有する凹凸パターン30をより容易に形成することができる。すなわち、凹凸パターン30を有する導光体10をより容易に製造することが可能である。
【0051】
後述するシミュレーションの結果から、所定の角度θは、60°を超えて、75°以下であってもよい。これにより、深度方向Zと副走査方向Xでの光の均一性、特に深度方向Zでの光の均一性をより向上することができる。同様の観点からは、所定の角度θは、65.°以上、72°以下であってもよく、実質的に70°であってもよい。
【0052】
図4に示したように、凹凸パターン30の副走査方向における幅Wは、導光体10の一方の端部15a及び他方の端部15bのうちの光源20に隣り合う端部(図4では端部15a及び15b)と、導光体10の中央部16とで異なっていてもよい。これにより、主走査方向Yでの光の均一性を向上することができる。光源20に近いほど照明領域の光強度が強くなり、離れるほど光強度が弱くなる傾向があるためである。
【0053】
このような観点からは、凹凸パターン30の幅Wは、導光体10の一方の端部15a及び他方の端部15bのうちの光源20に隣り合う端部(図4では端部15a及び15b)でより狭く、導光体10の中央部16でより広くてもよい。すなわち、光源20から離れるほど凹凸パターン30の幅Wを大きくして、凹凸パターン30による主走査方向Yでの光の拡散量を大きくしてもよい。また、凹凸パターン30の幅Wは、光源20から離れるほど、連続的に広くなっていってもよいし(図4参照)、段階的に広くなっていってもよい。
【0054】
図7及び図8に示したように、凹凸パターン30は、複数の凸部33を有していてもよく、複数の凸部33は、稜線31を挟んで隣り合う斜面33aがなす角φの大きさが互いに異なる複数種(図7及び図8では3種類)の凸部を含んでいてもよい。これにより、紙葉類に対して様々な方向から光を照射することができるため、紙葉類の折れ曲がった箇所やしわになった部分にもより均一に光を照射することができる。
【0055】
より詳細には、複数種の凸部は、主走査方向Yに所定の順で所定の数ごと(例えば1つずつ)繰り返し配置されていてもよい。隣り合う斜面33aのなす角φは、例えば、85°以上、95°以下(例えば実質的に90°)であってもよいし、60°以上、75°以下(例えば実質的に67.5°)であってもよいし、70°以上、85°以下(例えば実質的に78.75°)であってもよい。これら3つの角度から少なくとも2つの角度を選択してもよい。また、複数種の凸部は、なす角φの大きさが大、小、中の順となるように主走査方向Yに繰り返し配置されていてもよい。
【0056】
ここで、凹凸パターン30の構造について更に詳述する。
【0057】
図7及び図8に示したように、凹凸パターン30は、複数の凸部33とともに複数の凹部34を有していてもよく、図6及び図13に示したように、複数の凸部33及び複数の凹部34は、主走査方向Yに交互に配置されもよい。ただし、凹凸パターン30は、導光体10の対向面13(基準面)から外側(出射面12と反対側)に全体が突出しており、各凹部34の底点が対向面13(基準面)上に位置している。
【0058】
各凸部33は、上述の凹凸パターン30の稜線31を有しており、各凹部34は、谷線32を有している。稜線31及び谷線32は、実質的に互いに平行であり、主走査方向Yに交互に配置されている。
【0059】
稜線31は、凸部33の頂点が線状に連続したものであり、直線状(図13参照)、又は、折れ線状(複数の真っ直ぐな線分から構成される線状、図6参照)に配置されている。同様に、谷線32は、凹部34の底点が線状に連続したものであり、直線状(図13参照)、又は、折れ線状(複数の真っ直ぐな線分から構成される線状、図6参照)に配置されている。
【0060】
図6に示すように、各稜線31及び各谷線32は、対向面13を正面視したときに、V字状に延設されていてもよい。また、V字状の稜線31が、その向きを変えずに主走査方向Yに複数配列されることによって、V字状の稜線31とV字状の谷線32とが主走査方向Yに交互に配置されてもよい。このように、各稜線31がV字状であることによって光がより均一に広がる。
【0061】
なお、V字状の稜線31の両端は、V字状の稜線31の屈曲点を通る副走査方向Xの軸Axに対して、同じ側に位置していてもよいし(図6参照)、V字状の稜線31の一端が軸Axに対して一方側に位置し、V字状の稜線31の他端が軸Axに対して他方側に位置していてもよい。
【0062】
各凸部33は、例えば、三角柱状(三角プリズム状)であり、図7及び図8に示したように、稜線31に直交する断面が凸部の頂点を挟む二辺(2つの斜面33a)の長さが等しい二等辺三角形であってもよい。
【0063】
なお、各凸部33の頂部や各凹部34の底部は図7及び図8に示したように角張っていてもよいし、丸み(R)がついていてもよい。また、各斜面33aは、平面ではなくて曲面であってもよく、例えば、各凸部33は、稜線31に直交する断面が半円形又は半楕円形であってもよい。
【0064】
ただし、各斜面33aが平面であると、導光体10の対向面13をバイトで切削加工することによって各凸部33をより容易に形成することができる。また、各凸部33の稜線31に直交する断面が二等辺三角形(各凸部33の頂部や各凹部34の底部に丸み(R)がついていてもよい)であると、導光体10の対向面13をバイトで切削加工することによって凹凸パターン30をより容易に形成することができる。
【0065】
各凸部33の高さH(すなわち各凹部34の深さ)は、例えば、0.01mm以上、0.2mm以下であってもよいし、0.5mm以上、1.5mm以下であってもよいし、実質的に0.1mmであってもよい。全ての凸部33の高さH(全ての凹部34の深さ)は、互いに実質的に同じであってもよい。
【0066】
凸部33(凹部34)の主走査方向Yにおけるピッチは、例えば、0.1mm以上、1.5mm以下であってもよいし、0.5mm以上、1mm以下であってもよい。
【0067】
図8に示したように、隣り合う凸部33間には、対向面13と平行な平坦な面が存在していなくてもよい。これにより、導光体10から出射される光に、当該平坦な面に対応して影が生じるのを効果的に抑制することができる。同様の観点からは、図7に示した場合、隣り合う凸部33間の凹部34の底部は平坦ではなく丸みがついていてもよい。すなわち、各凹部34の底部は+Z方向に膨らんだ形状であってもよい。
【0068】
なお、凹凸パターン30の凸部33及び凹部34は全体的に導光体10の中心側(出射面12側)にシフトしてもよく、凹凸パターン30全体が対向面13(基準面)よりも出射面12側に位置してもよい。
【0069】
また、図7及び図8に示した凹凸パターン30が対向面13(基準面)を中心に反転した形状であってもよい。この場合、反転前の凹部34の谷線32であった地点が反転後の凹凸パターンの稜線に相当することになる。
【0070】
ここで、稜線31の方向を変えて導光体10から出射される光の強度をシミュレーションした結果について説明する。
【0071】
図14は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体から出射される光の強度をシミュレーションするために用いたモデル(各部材の配置)を説明するための模式図である。図15は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体から出射される光の強度をシミュレーションする際の導光体の凹凸パターンの一例を説明するための模式図である。
【0072】
図14に示すように、このシミュレーションでは、カバーガラスAAの下方に、2本の導光体BBと、導光体BBから照射されて媒体で反射した光を集光する集光レンズCCと、集光レンズCCによって集光された光を受光する受光部DDと、を配置した。また、各導光体BBの両端面の中心にそれぞれ対向するように光源EEを配置した。図15に示すように、導光体BBの対向面には、V字状の稜線FAを有する凹凸パターンGAを設けた。稜線FAは、主走査方向Yの軸Ayに対して第1の角度θ1をなす第1の方向と、軸Ayに対して第2の角度θ2をなす第2の方向と、に延設させた。ここで、θ1は80°又は70°に設定し、θ2は50°、60°又は70°に設定した。
【0073】
このモデルを用いて、媒体が通過する位置に相当する検出面HHをカバーガラスAAの上方に設定し、当該検出面HHに対して光を照射し、当該検出面HHにおける光の強度をシミュレーションした。検出面HHの高さは、カバーガラスAAの上面の高さを0mmとして、2.6mm、1.3mm又は0mmとした。そして、主走査方向の各位置において、各高さにおける光の強度を高さが1.3mmの時の光の強度で割ることでクリアランス比を算出する。更に、主走査方向の全ての位置におけるクリアランス比を平均化することによってクリアランス比平均値を算出した。その結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
クリアランス比平均値は、媒体が通る高さ0mm~2.6mmの範囲において小さいことが好ましいため、表1から、最適な角度の組み合わせは第1の角度θ1=80°、第2の角度θ2=60°であることがわかる。
【0076】
次に、凹凸パターンを変更して行ったシミュレーションについて説明する。
【0077】
図16は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体から出射される光の強度をシミュレーションする際の導光体の凹凸パターンの他の例を説明するための模式図である。
【0078】
図16に示すように、凹凸パターンを変更したこと以外は同様にしてシミュレーションを行った。ここでは、導光体BBの対向面に、直線状の稜線FBを有する凹凸パターンGBを設けた。稜線FBは、主走査方向Yの軸Ayに対して所定の角度θをなす方向に延設させた。ここで、θは75°、70°又は60°に設定した。
【0079】
このモデルを用いて、上記の場合と同様に、カバーガラスAAの上面の高さを0mmとして、高さ2.6mm、1.3mm又は0mmのときの検出面HHでの光の強度をシミュレーションし、クリアランス比平均値を算出した。その結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
表2から、最適な角度は所定の角度θ=70°であることがわかる。
【0082】
以上、本実施形態によれば、主走査方向Yに加えて深度方向Zと副走査方向Xに対しても光を拡散させることができ、かつ導光体10を容易に製造可能なイメージセンサ用照明装置1を実現できる。
【0083】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係るイメージセンサについて説明する。図17は、実施形態2に係るイメージセンサの斜視模式図である。図18は、実施形態2に係るイメージセンサの側面模式図である。
【0084】
図17及び図18に示すように、本実施形態に係るイメージセンサ100は、搬送される紙幣BNの各種の光学特性を検出するものであり、互いに対向配置されたセンサユニット110及び120を備えている。センサユニット110及び120は、各々、後述する紙葉類処理装置の搬送路に対向するコンタクトイメージセンサから構成されており、Z方向において離間したセンサユニット110及び120の間には、紙幣BNがXY平面内をX方向に搬送される隙間が形成されており、この隙間は後述する紙葉類処理装置の搬送路の一部を構成する。センサユニット110及び120は、それぞれ、搬送路の上側(+Z方向)及び下側(-Z方向)に位置している。Y方向がセンサユニット110、120の主走査方向に対応し、X方向がセンサユニット110、120の副走査方向に対応している。
【0085】
図17及び図18に示すように、各センサユニット110、120は、2つの反射用の照明装置111b、集光レンズ(対物レンズ)112、受光部113、これらを覆うカバーガラス114、基板(図示せず)、及びこれらが収納される筐体(図すせず)を備えている。各照明装置111bは、実施形態1のイメージセンサ用照明装置1に相当するものであり、主走査方向に延在する導光体10と、導光体10の少なくとも一方の端面に対向し、複数波長の光をそれぞれ照射する複数種の光源20(発光素子)とを備えている。センサユニット110の照明装置111bと、センサユニット120の照明装置111bとは、それぞれ、紙幣BNのA面とB面とに、複数波長の光を順次照射する。各照明装置111bは、複数波長の光として、例えばピーク波長が互いに異なる光を照射する。具体的には、例えば、赤外光(ピーク波長が互いに異なる複数種の赤外光でもよい)、赤色光、緑色光、青色光、白色光、紫外光等を用いることができる。集光レンズ112は、例えば、主走査方向に複数のロッドレンズが配列されたロッドレンズアレイから構成され、反射用の照明装置111bから出射され、紙幣BNのA面又はB面で反射された光を集光する。受光部113は、例えば、主走査方向に複数の受光素子(受光画素)が配列されたリニアイメージセンサを備えており、各受光素子は、照明装置111bが照射する複数波長の光の波長帯域に感度をもつ。各受光素子には、例えば、少なくとも可視領域から波長1100nmの赤外領域まで感度をもつ、シリコン(Si)フォトダイオードを用いることができる。各受光素子は、基板上に実装されており、集光レンズ112によって集光された光を受光して、入射光量に応じた電気信号に変換して基板に出力する。各受光素子は、照明装置111bによる各波長の光の照射タイミングに合わせて当該波長の光を受光する。基板は、例えば、受光素子を駆動するための駆動回路と、受光素子からの信号を処理して出力するための信号処理回路とを含んでいる。基板は、受光部113(各受光素子)の出力信号を増幅処理した後、デジタルデータにA/D変換した上で出力する。
【0086】
照明装置111bは、紙幣BNに複数波長の光を照射し、受光部113は、同じセンサユニットの照明装置111bから照射されて紙幣BNで反射された複数波長の光を受光し、複数波長の光に係る反射画像データを波長毎に出力する。
【0087】
センサユニット120は、1つの透過用の照明装置111aを更に備えている。照明装置111aもまた、実施形態1のイメージセンサ用照明装置1に相当するものであり、主走査方向に延在する導光体10と、導光体10の少なくとも一方の端面に対向し、複数波長の光をそれぞれ照射する複数種の光源20(発光素子)とを備えている。照明装置111aは、センサユニット110の集光レンズ112の光軸上に配置されており、照明装置111aから出射された光の一部は、紙幣BNを透過し、センサユニット110の集光レンズ112に集光されて受光部113で検出される。照明装置111aは、紙幣BNのB面に、波長帯域が互いに異なる光を順次、又は同時に照射する。照明装置111aは、複数波長の光として、例えばピーク波長が互いに異なる光を照射する。具体的には、例えば、赤外光(ピーク波長が互いに異なる複数種の赤外光でもよい)、赤色光、緑色光、青色光、白色光、紫外光等を用いることができる。
【0088】
センサユニット110の受光部113は、照明装置111aから照射されて紙幣BNを透過した複数波長の光を受光し、複数波長の光に係る透過画像データを波長毎に出力する。
【0089】
なお、「複数波長の光」とは、波長帯域が互いに異なる光であり、互いにピーク波長が異なっていてもよい。複数波長の光は、例えば、可視光については色が互いに異なる光であってもよく、赤外光及び紫外光については、波長帯域の一部のみが互いに重なる光又は波長帯域が互いに重ならない光であってもよい。
【0090】
本実施形態に係るイメージセンサ100は、実施形態1のイメージセンサ用照明装置1に相当する照明装置111a、111bを備えることから、明るさの均一性が高い照明環境において画像データを取得することができる。
【0091】
(実施形態3)
次に、本実施形態に係る紙葉類識別装置の構成について説明する。本開示の対象となる紙葉類としては、紙幣、小切手、商品券、手形、帳票、有価証券、カード状媒体等の様々な紙葉類が適用可能であるが、以下においては、紙幣を対象とする装置を例として、本開示を説明する。図19は、実施形態3に係る紙葉類識別装置の構成を説明するブロック図である。
【0092】
図19に示すように、本実施形態に係る紙葉類識別装置200は、制御部210、検出部220及び記憶部230を備えている。
【0093】
制御部210は、記憶部230に記憶された各種の処理を実現するためのプログラムと、当該プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、当該CPUによって制御される各種ハードウェア(例えばFPGA(Field Programmable Gate Array))等によって構成されている。制御部210は、記憶部230に記憶されたプログラムに従って、紙葉類識別装置200の各部を制御する。また、制御部210は、記憶部230に記憶されたプログラムにより、識別部の機能を有している。
【0094】
検出部220は、搬送される紙幣の各種特性を検出するものであり、紙幣の搬送路に沿って、上述のイメージセンサ100に加え、磁気検出部221及び厚み検出部222を備えていてもよい。イメージセンサ100は、上述のように紙幣を撮像して画像信号(画像データ)を出力する。
【0095】
記憶部230は、半導体メモリやハードディスク等の不揮発性の記憶装置から構成されており、紙葉類識別装置200を制御するための各種プログラムと各種データとを記憶している。
【0096】
制御部210はまた、検出部220から取得した紙幣に係る各種信号を利用して識別処理を行う。制御部210は、紙幣の少なくとも金種及び真偽を識別する。制御部210は、紙幣の正損を判定する機能を有してもよい。その場合、制御部210は、紙幣の汚れ、折れ、破れ等を検出するとともに、紙幣の厚みから紙幣に貼り付けられたテープ等を検出することにより、紙幣を、市場で再利用できる正券及び市場流通に適さない損券のいずれとして処理するかを判定する機能を有する。
【0097】
このとき、制御部210は、金種、真偽、正損等を識別するためにイメージセンサ100が撮影した紙幣の画像(画像データ)を用いる。
【0098】
本実施形態に係る紙葉類識別装置200は、実施形態2のイメージセンサ100を備えることから、明るさのばらつきが小さい画像に基づいて紙幣の識別処理を行うことができる。すなわち、識別の精度を向上することが可能である。
【0099】
(実施形態4)
次に、本実施形態に係る紙葉類処理装置の構成について説明する。図20は、実施形態4に係る紙葉類処理装置の外観を示した斜視模式図である。本実施形態に係る紙葉類処理装置は、例えば、図20に示す構成を有するものであってもよい。図20に示す紙葉類処理装置300は、紙幣の識別処理を行う実施形態3に係る紙葉類識別装置(図20では図示せず)と、処理対象の複数の紙幣が積層状態で載置されるホッパ301と、リジェクト紙幣が排出される2つのリジェクト部302と、オペレータからの指示を入力するための操作部303と、筐体310内で金種、真偽及び正損が識別された紙幣を分類して集積するための4つの集積部306a~306dと、紙幣の識別計数結果や各集積部306a~306dの集積状況等の情報を表示するための表示部305とを備える。
【0100】
本実施形態に係る紙葉類処理装置300は、実施形態3の紙葉類識別装置を備えることから、当該紙葉類識別装置の識別結果に基づいて、紙幣をより正確に処理することができる。
【0101】
以上、図面を参照しながら実施形態を説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上のように、本開示は、イメージセンサ用照明装置において主走査方向に加えて深度方向と副走査方向に対しても光を拡散させ、かつ当該照明装置の導光体を容易に製造するのに有用な技術である。
【符号の説明】
【0103】
1:照明装置
10:導光体
11:入射面
12:出射面
13:対向面
14:側面
15a、15b:端部
16:中央部
20:光源
30:凹凸パターン
31:稜線
32:谷線
33:凸部
33a:斜面
34:凹部
100:イメージセンサ
110、120:センサユニット
111a、111b:照明装置
112:集光レンズ
113:受光部
114:カバーガラス
200:紙葉類識別装置
210:制御部
220:検出部
221:磁気検出部
222:厚み検出部
230:記憶部
300:紙葉類処理装置
301:ホッパ
302:リジェクト部
303:操作部
305:表示部
306a~306d:集積部
A:光拡散領域
θ1:第1の角度
θ2:第2の角度
θ:所定の角度
φ:角
W:凹凸パターンの副走査方向における幅
H:凸部の高さ
X:副走査方向
Y:主走査方向
Z:高さ方向(深度方向)
Ay:主走査方向Yの軸
Ax:副走査方向Xの軸
B1~B4:4本の光線
P:紙葉類(照射対象)
BN:紙幣
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20