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特開2023-131423イメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131423
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】イメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20230914BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20230914BHJP
   G07D 7/12 20160101ALI20230914BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20230914BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20230914BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230914BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20230914BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230914BHJP
【FI】
H04N1/028 H
H04N1/04 101
H04N1/12 Z
G07D7/12
G02B6/00 331
F21V8/00 310
F21V8/00 330
F21S2/00 438
F21V7/28 210
F21V7/28 220
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036177
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】菅 彰信
【テーマコード(参考)】
2H038
3E041
3K244
5C051
5C072
【Fターム(参考)】
2H038AA54
2H038BA01
3E041AA03
3E041AA05
3E041BA11
3E041BB02
3E041EA03
3K244AA08
3K244BA01
3K244BA08
3K244BA31
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA08
3K244EA13
3K244ED24
3K244ED28
3K244LA02
3K244LA07
5C051AA01
5C051BA04
5C051DB01
5C051DB04
5C051DB22
5C051DB29
5C051DC07
5C051EA01
5C072AA01
5C072BA19
5C072BA20
5C072CA07
5C072DA03
5C072DA16
5C072DA25
5C072EA07
5C072NA01
5C072NA04
5C072QA11
5C072RA01
5C072UA06
5C072UA18
(57)【要約】
【課題】光源からの紫外光の反射率を向上することができるイメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】光源と、主走査方向に延設された導光体と、前記光源から前記導光体に入射された光を拡散する光拡散領域と、を有するイメージセンサ用照明装置であって、前記光拡散領域は、金属粉を含有する第1の塗料で前記導光体上に形成された第1の塗膜を含むイメージセンサ用照明装置である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、主走査方向に延設された導光体と、前記光源から前記導光体に入射された光を拡散する光拡散領域と、を有するイメージセンサ用照明装置であって、
前記光拡散領域は、金属粉を含有する第1の塗料で前記導光体上に形成された第1の塗膜を含む
ことを特徴とするイメージセンサ用照明装置。
【請求項2】
前記第1の塗膜の反射率は、360nm以上、410nm以下の波長範囲において、60%以上である
ことを特徴とする請求項1記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項3】
前記光拡散領域は、白色顔料を含有する第2の塗料で前記導光体上に形成された第2の塗膜を含む
ことを特徴とする請求項1又は2記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項4】
前記第1の塗膜及び前記第2の塗膜は、前記主走査方向の軸に対して所定の角度をなす傾斜方向に延設される
ことを特徴とする請求項3記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項5】
前記金属粉は、アルミニウム、銀及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のイメージセンサ用照明装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のイメージセンサ用照明装置を備えることを特徴とするイメージセンサ。
【請求項7】
請求項6記載のイメージセンサを備えることを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項8】
請求項7記載の紙葉類識別装置を備えることを特徴とする紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサ(光学ラインセンサ)に用いられる照明装置には、棒状の導光体を用いて点光源を線光源とするものがある。導光体の長手方向の端面には、点光源からの光が入射する入射面が設けられ、導光体の側面には、照射対象に向けて光を出射する帯状の出射面が設けられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、導光体の平面部に白色の塗布材料を印刷により形成した光の反射層を設けたライン照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-244985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、白色顔料を含有する塗料を導光体に印刷すると、光源からの紫外光(例えば400nm付近の光)が当該印刷部分にて吸収されてしまい、紫外光の反射率が低くなってしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、光源からの紫外光の反射率を向上することができるイメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、(1)本開示の第1の態様に係るイメージセンサ用照明装置は、光源と、主走査方向に延設された導光体と、前記光源から前記導光体に入射された光を拡散する光拡散領域と、を有するイメージセンサ用照明装置であって、
前記光拡散領域は、金属粉を含有する第1の塗料で前記導光体上に形成された第1の塗膜を含む。
【0008】
(2)上記(1)に記載のイメージセンサ用照明装置において、前記第1の塗膜の反射率は、360nm以上、410nm以下の波長範囲において、60%以上であってもよい。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)に記載のイメージセンサ用照明装置において、前記光拡散領域は、白色顔料を含有する第2の塗料で前記導光体上に形成された第2の塗膜を含んでもよい。
【0010】
(4)上記(3)に記載のイメージセンサ用照明装置において、前記第1の塗膜及び前記第2の塗膜は、前記主走査方向の軸に対して所定の角度をなす傾斜方向に延設されてもよい。
【0011】
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載のイメージセンサ用照明装置において、前記金属粉は、アルミニウム、銀及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属を含んでもよい。
【0012】
(6)また、本開示の第2の態様に係るイメージセンサは、上記(1)~(5)のいずれかに記載のイメージセンサ用照明装置を備える。
【0013】
(7)また、本開示の第3の態様に係る紙葉類識別装置は、上記(6)に記載のイメージセンサを備える。
【0014】
(8)また、本開示の第4の態様に係る紙葉類処理装置は、上記(7)に記載の紙葉類識別装置を備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、光源からの紫外光の反射率を向上することができるイメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1に係る照明装置の側面模式図である。
図2】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を入射面側から見た模式図である。
図3】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を出射面側から見た模式図である。
図4】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を対向面側から見た模式図である。
図5】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を側面側から見た模式図である。
図6】実施形態1に係る照明装置に用いられる第1の塗膜の一例について、全光線反射率を測定した結果を示すグラフである。
図7】実施形態1に係る照明装置に用いられる第1の塗膜における光の散乱を説明するための断面模式図である。
図8】実施形態1に係る照明装置に用いられる第1の塗膜及び第2の塗膜を示す平面模式図である。
図9】実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体の他の例を対向面側から見た模式図である。
図10】実施形態2に係るイメージセンサの斜視模式図である。
図11】実施形態2に係るイメージセンサの側面模式図である。
図12】実施形態3に係る紙葉類識別装置の構成を説明するブロック図である。
図13】実施形態4に係る紙葉類処理装置の外観を示した斜視模式図である。
【0017】
以下、図面を参照して、本開示に係るイメージセンサ用照明装置、イメージセンサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置の実施形態を詳細に説明する。本開示に係るイメージセンサ用照明装置及びイメージセンサは様々な分野で利用できるものであるが、紙葉類を走査して、その光学画像情報を取得するイメージセンサ用照明装置及びイメージセンサに利用できるため、本実施形態では、それらに適用した例について説明を行う。
【0018】
なお、以下の説明において、同一又は同様の機能を有する構成には同一の符号を異なる実施形態及び図面間で共通して適宜用い、その構成についての繰り返しの説明は適宜省略する。また、構造を説明する図面には、互いに直交するXYZ座標系を適宜示しており、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向がそれぞれ、イメージセンサの副走査方向、主走査方向及び高さ方向(深度方向)に対応している。
【0019】
(実施形態1)
まず、実施形態1に係るイメージセンサ用照明装置について説明する。図1は、実施形態1に係る照明装置の側面模式図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係るイメージセンサ用照明装置1は、複数の光源20と、主走査方向Yに延設された導光体10と、を備える。
【0021】
導光体10は、各光源20からの光を導いて照射対象(照明対象)である紙葉類Pに向けて線状の光を照射するものであり、各光源20が発する光を線光源化する光学部材である。導光体10は、イメージセンサの主走査方向Yに延設された、細長い棒状の形状を有し、アクリル系樹脂等の透明樹脂からなる。
【0022】
各光源20は、主走査方向Yにおける導光体10の端面に隣接して設けられており、導光体10の端面から導光体10へ向けて光を入射するものである。光源20からの光が入射される各端面は入射面11として機能している。すなわち、導光体10の端部15a及び他方の端部15bは、光源20に隣り合っている。
【0023】
各光源20は、例えば互いに異なる波長帯域の光を照射可能な複数のLED(Light Emitting Diode)等の発光素子(図示せず)によって構成され、互いに異なる波長帯域の光(例えば、紫外光、赤色光、緑色光、青色光及び赤外光)を照射できるようになっている。イメージセンサ用照明装置1は、光源20として、紫外光を照射する光源(以下、UV光源という場合がある)を少なくとも1つ含んでいる。各発光素子は、正の電圧が印加されるリードフレーム及び負の電圧が印加されるリードフレーム(いずれも図示せず)に電気的に接続されている。
【0024】
なお、図1では、各入射面11に対して光源20が1つずつ配置されているが、各入射面11に対して複数の光源20が配置されてもよい。この場合、通常、各入射面11に対して、同数かつ同種類の光源20が配置される。ここで、同種類の光源とは、同一波長帯域の光を照射する光源を意味する。また、各入射面11に対して、少なくとも1つずつUV光源を配置してもよい。更に、2つの入射面11に対して互いに異なる種類の光源20が配置されてもよい。
【0025】
他方、図1では、各入射面11に対して光源20が配置されているが、いずれか一方の入射面11に対してのみ光源20が配置されていてもよい。すなわち、導光体10の端部15a及び他方の端部15bのいずれかのみが光源20に隣り合っていてもよい。
【0026】
次に導光体10について詳細に説明する。図2は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を入射面側から見た模式図である。図3は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を出射面側から見た模式図である。図4は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を対向面側から見た模式図である。図5は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体を側面側から見た模式図である。
【0027】
図2図5に示すように、導光体10は、主走査方向Yに延設された、断面が略円形である細長い棒状(略円柱)の形状を有している。導光体10の両端面にはそれぞれ、光源20からの光が入射する略平面状の入射面11が設けられており、略円柱の導光体10の側面には、出射面12と、出射面12の反対側に位置する対向面13とが形成されている。また、導光体10は、出射面12及び対向面13以外に、出射面12及び対向面13を連結する2つの側面14を有し、各側面14は2つの側面部から構成される。ただし、各側面14の側面部の数は、1つ以上であれば特に限定されない。各側面部は、平面状であってもよいし曲面状であってもよい。なお、本実施形態では、イメージセンサの主走査方向Y及び副走査方向Xに直交する方向を、高さ方向(深度方向)Zとしている。
【0028】
出射面12は、光源20から入射された光を紙葉類に向けて出射する面である。出射面12は、図2に示すように凸状であってもよいし、平面状であってもよい。凸状である場合、出射面12は、単一の曲面から構成されてもよいし(例えば、断面視において円弧状又は楕円弧状であってもよい)、複数の面から構成されてもよい。出射面12が複数の面から構成される場合、各面は、平面状でも曲面状であってもよい。図3に示すように、出射面12は、主走査方向Yに沿って延び、かつ、副走査方向Xに所定の幅を持って形成された帯状の面である。
【0029】
対向面13は、導光体10の内部を伝搬する光を出射面12に向けて反射する面である。対向面13は、図2に示すように平面状であってもよいし、凸状であってもよい。凸状である場合、対向面13は、単一の曲面から構成されてもよいし(例えば、断面視において円弧状又は楕円弧状であってもよい)、複数の面から構成されてもよい。対向面13が複数の面から構成される場合、各面は、平面状でも曲面状であってもよい。図4に示すように、対向面13は、主走査方向Yに沿って延び、かつ、副走査方向Xに所定の幅を持って形成された帯状の面である。
【0030】
また、図4に示すように、イメージセンサ用照明装置1は、各光源20から導光体10に入射された光を拡散する光拡散領域Aを更に備えている。光拡散領域Aは、導光体10の一方の端部15aから他方の端部15bまで、導光体10の対向面13上に設けられている。光拡散領域Aは、対向面13と同様に、主走査方向Yに沿って延び、かつ、副走査方向Xに所定の幅を持つ帯状の領域であり、対向面13の略全面に設定されている。
【0031】
なお、光拡散領域Aは、導光体10の各端面から所定の距離だけ離れていてもよいし(図4参照)、導光体10の各端面の際まで配置されていてもよい。
【0032】
そして、図4に示すように、光拡散領域Aは、第1の塗膜31を含んでいる。
【0033】
第1の塗膜31は、導光体10上、特に対向面13上に形成された塗膜であり、金属粉を含有する第1の塗料から形成されている。
【0034】
このように、第1の塗膜31は、金属粉を含有する第1の塗料で形成され、金属粉を含有することから、白色顔料を含有する塗料で形成された塗膜(以下、白色塗膜という場合がある)に比べて、紫外光の反射率がより高く、紫外光の吸収がより小さい。そのため、第1の塗膜31を含む光拡散領域Aにおいて、UV光源からの紫外光の反射率が向上する。すなわち、イメージセンサ用照明装置1のUV光源からの紫外光の反射率を向上することができる。
【0035】
第1の塗膜31の反射率は、少なくとも紫外光の波長範囲において白色塗膜の反射率より高ければ特に限定されないが、360nm以上、410nm以下の波長範囲において、60%以上であってもよい。
【0036】
また、第1の塗膜31の反射率は、360nm以上、410nm以下の波長範囲において、80%以下であってもよいし、70%以下であってもよい。
【0037】
更に、可視光の波長範囲における第1の塗膜31の反射率は、特に限定されないが、410nmを超えて、710nm以下の波長範囲において、50%以上、80%以下であってもよいし、55%以上、70%以下であってもよい。
【0038】
このように、第1の塗膜31は、360nm以上、710nm以下の波長範囲において、ほぼフラットな反射率を示してもよく、より具体的には、360nm以上、710nm以下の波長範囲において、第1の塗膜31の反射率の変動幅(最大値と最小値の差)が20%以下であってもよいし、10%以下であってもよいし、5%以下であってもよい。
【0039】
図6は、実施形態1に係る照明装置に用いられる第1の塗膜の一例について、全光線反射率を測定した結果を示すグラフである。
【0040】
図6に示すように、この第1の塗膜の反射率は、紫外光から可視光の波長範囲において、60%付近で一定であった。
【0041】
また、第1の塗膜31は、金属光沢のある銀色を呈しており、照射された光を主に正反射する。
【0042】
第1の塗膜31は、導光体10の対向面13上に、導光体10の一方の端部15aから他方の端部15bまで配置されている。ただし、第1の塗膜31は、導光体10の各端面から所定の距離だけ離れていてもよいし(図4参照)、導光体10の各端面の際まで配置されていてもよい。
【0043】
第1の塗膜31は、マトリクス(例えば樹脂マトリクス)中に少なくとも1種の金属粉が均一に分散した膜であり、例えば、第1の塗料を導光体10に印刷(例えばスクリーン印刷)することによって形成される。
【0044】
第1の塗料に含有される金属粉、すなわち第1の塗膜31に含まれる金属粉は、アルミニウム、銀及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属を含んでいてもよい。
【0045】
図7は、実施形態1に係る照明装置に用いられる第1の塗膜における光の散乱を説明しるための断面模式図である。
【0046】
第1の塗膜31に含有される金属粉の平均粒子径は、特に限定されないが、紫外光から可視光の波長領域(具体的には、300nm以上、700nm以下)よりも大きければよい、すなわち、700nmを超えればよい。これにより、図7に示すように、第1の塗膜31に侵入した光Lが金属粉31aの表面で乱反射されることによって幾何学的散乱が発生し、光拡散性を向上することができる。このような観点からは、金属粉の平均粒子径は、10μm以上であってもよい。
【0047】
図4に示したように、光拡散領域Aは、白色顔料を含有する第2の塗料で導光体10上に形成された第2の塗膜32、すなわち白色塗膜を含んでいてもよい。これにより、光拡散領域Aにおける光拡散性と反射率を向上することができる。第2の塗膜32は、白色を呈し、第1の塗膜31に比べて、可視光及び赤外光の波長範囲における反射率が高いためである。また、第2の塗膜32は、表面が粗面であり、照射された光を拡散反射するため、第1の塗膜31に比べて、光拡散性に優れているためである。
【0048】
具体的には、第2の塗膜32の反射率は、410nm以上、1000nm以下の波長範囲において、70%以上、90%以下であってもよいし、75%以上、85%以下であってもよい。
【0049】
このように、第2の塗膜32は、410nm以上、1000nm以下の波長範囲において、ほぼフラットな反射率を示してもよく、より具体的には410nm以上、1000nm以下の波長範囲において、第2の塗膜32の反射率の変動幅(最大値と最小値の差)が20%以下であってもよいし、10%以下であってもよいし、5%以下であってもよい。
【0050】
また、第2の塗膜32は、上述のように白色を呈していており、照射された光を拡散反射する。
【0051】
他方、第2の塗膜32の反射率は、300nm以上、350nm以下の波長範囲において、0%以上、20%以下であってもよいし、0%以上、10%以下であってもよい。
【0052】
第2の塗膜32は、導光体10の対向面13上に、導光体10の一方の端部15aから他方の端部15bまで配置されている。ただし、第2の塗膜32は、導光体10の各端面から所定の距離dだけ離れていてもよいし(図4参照)、導光体10の各端面の際まで配置されていてもよい。
【0053】
第2の塗膜32は、マトリクス(例えば樹脂マトリクス)中に少なくも1種の白色顔料が均一に分散した膜であり、例えば、第2の塗料を導光体10に印刷(例えばスクリーン印刷)することによって形成される。
【0054】
白色顔料には、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化マグネシウム(MgO)等を用いることができる。
【0055】
図8は、実施形態1に係る照明装置に用いられる第1の塗膜及び第2の塗膜を示す平面模式図である。
【0056】
図8に示すように、第1の塗膜31及び第2の塗膜32は、主走査方向Yの軸Ayに対して所定の角度θをなす傾斜方向に延設されていてもよい。これにより、主走査方向Yと副走査方向Xのいずれの方向にも第1の塗膜31及び第2の塗膜32の両方が存在することから、光の均一性を向上することができる。
【0057】
この場合、主走査方向Yの軸Ayに対する所定の角度θは、特に限定されず、例えば、20°以上、70°以下であってもよいし、30°以上、60°以下であってもよいし、40°以上、50°以下であってもよい。また、第1の塗膜31及び第2の塗膜32は、ストライプパターン状に主走査方向Yに交互に配置されてもよい。
【0058】
図9は、実施形態1に係る照明装置に用いられる導光体の他の例を対向面側から見た模式図である。
【0059】
図9に示すように、第1の塗膜31及び第2の塗膜32は、それぞれ、主走査方向Yに直線状に延設されていてもよい。この場合、第1の塗膜31及び第2の塗膜32は、副走査方向Xにおいて互いに隣接するように配置されてもよい。
【0060】
いずれの場合も、第1の塗膜31及び第2の塗膜32は、主走査方向Yに配列された複数の印刷領域33ごとに第1の塗膜31及び第2の塗膜32が設けられていてもよい。この印刷領域33は、例えば矩形の領域であり、また、導光体10の主走査方向Yにおける中央部16に近づくにつれて、段階的に(図4参照)又は連続的に(図8参照)、面積が大きくなっていってもよい。
【0061】
他方、光拡散領域Aには、第1の塗膜31以外の塗膜が実質的に形成されていなくてもよい。
【0062】
また、第1の塗膜31は、金属粉に加えて白色顔料を含有する塗料で形成されたものであってもよい。
【0063】
以上、本実施形態によれば、光源20からの紫外光の反射率を向上することができるイメージセンサ用照明装置1を実現できる。
【0064】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係るイメージセンサについて説明する。図10は、実施形態2に係るイメージセンサの斜視模式図である。図11は、実施形態2に係るイメージセンサの側面模式図である。
【0065】
図10及び図11に示すように、本実施形態に係るイメージセンサ100は、搬送される紙幣BNの各種の光学特性を検出するものであり、互いに対向配置されたセンサユニット110及び120を備えている。センサユニット110及び120は、各々、後述する紙葉類処理装置の搬送路に対向するコンタクトイメージセンサから構成されており、Z方向において離間したセンサユニット110及び120の間には、紙幣BNがXY平面内をX方向に搬送される隙間が形成されており、この隙間は後述する紙葉類処理装置の搬送路の一部を構成する。センサユニット110及び120は、それぞれ、搬送路の上側(+Z方向)及び下側(-Z方向)に位置している。Y方向がセンサユニット110、120の主走査方向に対応し、X方向がセンサユニット110、120の副走査方向に対応している。
【0066】
図10及び図11に示すように、各センサユニット110、120は、2つの反射用の照明装置111b、集光レンズ(対物レンズ)112、受光部113、これらを覆うカバーガラス114、基板(図示せず)、及びこれらが収納される筐体(図すせず)を備えている。各照明装置111bは、実施形態1のイメージセンサ用照明装置1に相当するものであり、主走査方向に延在する導光体10と、導光体10の少なくとも一方の端面に対向し、複数波長の光をそれぞれ照射する複数種の光源20(発光素子)とを備えている。センサユニット110の照明装置111bと、センサユニット120の照明装置111bとは、それぞれ、紙幣BNのA面とB面とに、複数波長の光を順次照射する。各照明装置111bは、複数波長の光として、例えばピーク波長が互いに異なる光を照射する。具体的には、例えば、赤外光(ピーク波長が互いに異なる複数種の赤外光でもよい)、赤色光、緑色光、青色光、白色光、紫外光等を用いることができる。集光レンズ112は、例えば、主走査方向に複数のロッドレンズが配列されたロッドレンズアレイから構成され、反射用の照明装置111bから出射され、紙幣BNのA面又はB面で反射された光を集光する。受光部113は、例えば、主走査方向に複数の受光素子(受光画素)が配列されたリニアイメージセンサを備えており、各受光素子は、照明装置111bが照射する複数波長の光の波長帯域に感度をもつ。各受光素子には、例えば、少なくとも可視領域から波長1100nmの赤外領域まで感度をもつ、シリコン(Si)フォトダイオードを用いることができる。各受光素子は、基板上に実装されており、集光レンズ112によって集光された光を受光して、入射光量に応じた電気信号に変換して基板に出力する。各受光素子は、照明装置111bによる各波長の光の照射タイミングに合わせて当該波長の光を受光する。基板は、例えば、受光素子を駆動するための駆動回路と、受光素子からの信号を処理して出力するための信号処理回路とを含んでいる。基板は、受光部113(各受光素子)の出力信号を増幅処理した後、デジタルデータにA/D変換した上で出力する。
【0067】
照明装置111bは、紙幣BNに複数波長の光を照射し、受光部113は、同じセンサユニットの照明装置111bから照射されて紙幣BNで反射された複数波長の光を受光し、複数波長の光に係る反射画像データを波長毎に出力する。
【0068】
センサユニット120は、1つの透過用の照明装置111aを更に備えている。照明装置111aもまた、実施形態1のイメージセンサ用照明装置1に相当するものであり、主走査方向に延在する導光体10と、導光体10の少なくとも一方の端面に対向し、複数波長の光をそれぞれ照射する複数種の光源20(発光素子)とを備えている。照明装置111aは、センサユニット110の集光レンズ112の光軸上に配置されており、照明装置111aから出射された光の一部は、紙幣BNを透過し、センサユニット110の集光レンズ112に集光されて受光部113で検出される。照明装置111aは、紙幣BNのB面に、波長帯域が互いに異なる光を順次、又は同時に照射する。照明装置111aは、複数波長の光として、例えばピーク波長が互いに異なる光を照射する。具体的には、例えば、赤外光(ピーク波長が互いに異なる複数種の赤外光でもよい)、赤色光、緑色光、青色光、白色光、紫外光等を用いることができる。
【0069】
センサユニット110の受光部113は、照明装置111aから照射されて紙幣BNを透過した複数波長の光を受光し、複数波長の光に係る透過画像データを波長毎に出力する。
【0070】
なお、「複数波長の光」とは、波長帯域が互いに異なる光であり、互いにピーク波長が異なっていてもよい。複数波長の光は、例えば、可視光については色が互いに異なる光であってもよく、赤外光及び紫外光については、波長帯域の一部のみが互いに重なる光又は波長帯域が互いに重ならない光であってもよい。
【0071】
また、図10及び図11に示すように、導光体10は、イメージセンサ100の高さ方向(深度方向)Zに対して斜め方向に光を照射するように傾斜して配置されてもよい。
【0072】
本実施形態に係るイメージセンサ100は、実施形態1のイメージセンサ用照明装置1に相当する照明装置111a、111bを備えることから、より強い紫外光を紙幣に照射して当該紙幣の画像データを取得することができるため、紫外光に基づく光、例えば蛍光や燐光に係る画像データをより精度よく取得することができる。
【0073】
(実施形態3)
次に、本実施形態に係る紙葉類識別装置の構成について説明する。本開示の対象となる紙葉類としては、紙幣、小切手、商品券、手形、帳票、有価証券、カード状媒体等の様々な紙葉類が適用可能であるが、以下においては、紙幣を対象とする装置を例として、本開示を説明する。図12は、実施形態3に係る紙葉類識別装置の構成を説明するブロック図である。
【0074】
図12に示すように、本実施形態に係る紙葉類識別装置200は、制御部210、検出部220及び記憶部230を備えている。
【0075】
制御部210は、記憶部230に記憶された各種の処理を実現するためのプログラムと、当該プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、当該CPUによって制御される各種ハードウェア(例えばFPGA(Field Programmable Gate Array))等によって構成されている。制御部210は、記憶部230に記憶されたプログラムに従って、紙葉類識別装置200の各部を制御する。また、制御部210は、記憶部230に記憶されたプログラムにより、識別部の機能を有している。
【0076】
検出部220は、搬送される紙幣の各種特性を検出するものであり、紙幣の搬送路に沿って、上述のイメージセンサ100に加え、磁気検出部221及び厚み検出部222を備えていてもよい。イメージセンサ100は、上述のように紙幣を撮像して画像信号(画像データ)を出力する。
【0077】
記憶部230は、半導体メモリやハードディスク等の不揮発性の記憶装置から構成されており、紙葉類識別装置200を制御するための各種プログラムと各種データとを記憶している。
【0078】
制御部210はまた、検出部220から取得した紙幣に係る各種信号を利用して識別処理を行う。制御部210は、紙幣の少なくとも金種及び真偽を識別する。制御部210は、紙幣の正損を判定する機能を有してもよい。その場合、制御部210は、紙幣の汚れ、折れ、破れ等を検出するとともに、紙幣の厚みから紙幣に貼り付けられたテープ等を検出することにより、紙幣を、市場で再利用できる正券及び市場流通に適さない損券のいずれとして処理するかを判定する機能を有する。
【0079】
このとき、制御部210は、金種、真偽、正損等を識別するためにイメージセンサ100が撮影した紙幣の画像(画像データ)を用いる。
【0080】
本実施形態に係る紙葉類識別装置200は、実施形態2のイメージセンサ100を備えることから、蛍光や燐光による画像に基づいて紙幣の識別処理をより高精度に行うことができる。
【0081】
(実施形態4)
次に、本実施形態に係る紙葉類処理装置の構成について説明する。図13は、実施形態4に係る紙葉類処理装置の外観を示した斜視模式図である。本実施形態に係る紙葉類処理装置は、例えば、図13に示す構成を有するものであってもよい。図13に示す紙葉類処理装置300は、紙幣の識別処理を行う実施形態3に係る紙葉類識別装置(図13では図示せず)と、処理対象の複数の紙幣が積層状態で載置されるホッパ301と、リジェクト紙幣が排出される2つのリジェクト部302と、オペレータからの指示を入力するための操作部303と、筐体310内で金種、真偽及び正損が識別された紙幣を分類して集積するための4つの集積部306a~306dと、紙幣の識別計数結果や各集積部306a~306dの集積状況等の情報を表示するための表示部305とを備える。
【0082】
本実施形態に係る紙葉類処理装置300は、実施形態3の紙葉類識別装置を備えることから、当該紙葉類識別装置の識別結果に基づいて、紙幣をより正確に処理することができる。
【0083】
以上、図面を参照しながら実施形態を説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本開示は、イメージセンサ用照明装置において光源からの紫外光の反射率を向上するのに有用な技術である。
【符号の説明】
【0085】
1:照明装置
10:導光体
11:入射面
12:出射面
13:対向面
14:側面
15a、15b:端部
16:中央部
20:光源
31:第1の塗膜
31a:金属粉
32:第2の塗膜
33:印刷領域
100:イメージセンサ
110、120:センサユニット
111a、111b:照明装置
112:集光レンズ
113:受光部
114:カバーガラス
200:紙葉類識別装置
210:制御部
220:検出部
221:磁気検出部
222:厚み検出部
230:記憶部
300:紙葉類処理装置
301:ホッパ
302:リジェクト部
303:操作部
305:表示部
306a~306d:集積部
A:光拡散領域
L:光
θ:所定の角度
X:副走査方向
Y:主走査方向
Z:高さ方向(深度方向)
Ay:主走査方向Yの軸
P:紙葉類(照射対象)
BN:紙幣
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13