(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131464
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法および管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01M 3/26 20060101AFI20230914BHJP
F04B 51/00 20060101ALI20230914BHJP
F04B 49/10 20060101ALI20230914BHJP
G01M 13/003 20190101ALI20230914BHJP
【FI】
G01M3/26 Z
F04B51/00
F04B49/10 311
G01M13/003
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036244
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕大
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【テーマコード(参考)】
2G024
2G067
3H145
【Fターム(参考)】
2G024AD01
2G024CA16
2G024FA06
2G024FA11
2G067AA01
2G067CC02
2G067DD02
2G067DD03
3H145AA16
3H145AA23
3H145AA42
3H145BA33
3H145CA01
3H145CA30
3H145DA15
3H145DA47
3H145EA13
3H145EA38
3H145EA50
3H145FA16
3H145FA24
3H145FA28
(57)【要約】
【課題】点検の効率化を支援すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、管理装置は、第1取得部と、計算部とを含む。第1取得部は、1次側流路と2次側流路との間に中間室を有し、前記中間室から前記1次側流路への流入を阻止する第1逆止弁と、前記2次側流路から前記中間室への流入を阻止する第2逆止弁と、前記中間室から液体を排出する逃し弁とを有する逆流防止器における、前記1次側流路、前記中間室および前記2次側流路のそれぞれにかかる圧力のうちの少なくとも2つの圧力値を取得する。計算部は、前記少なくとも2つの圧力値から、前記第1逆止弁にかかる第1差圧、前記逃し弁にかかる第2差圧、および前記第2逆止弁にかかる第3差圧の少なくとも1つを算出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側流路と2次側流路との間に中間室を有し、前記中間室から前記1次側流路への流入を阻止する第1逆止弁と、前記2次側流路から前記中間室への流入を阻止する第2逆止弁と、前記中間室から液体を排出する逃し弁とを有する逆流防止器における、前記1次側流路、前記中間室および前記2次側流路のそれぞれにかかる圧力のうちの少なくとも2つの圧力値を取得する第1取得部と、
前記少なくとも2つの圧力値から、前記第1逆止弁にかかる第1差圧、前記逃し弁にかかる第2差圧、および前記第2逆止弁にかかる第3差圧の少なくとも1つを算出する計算部と、
を具備する管理装置。
【請求項2】
ポンプ装置の運転情報を取得する第2取得部と、
前記第1差圧、前記第2差圧および前記第3差圧のうちの算出された差圧と、前記運転情報とに基づき、前記算出された差圧に対応する弁の異常を判定する判定部と、をさらに具備する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記第1取得部は、前記逃し弁からの漏水に関する漏水情報をさらに取得し、
前記計算部は、前記第2差圧を算出し、
前記管理装置は、
前記第2差圧および前記漏水情報に基づき、前記逃し弁に異常があるか否かを判定する判定部をさらに具備する、請求項1または請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第2差圧が閾値以下であり、かつ前記漏水情報が漏水があることを示す場合、前記逃し弁に異常があると判定する、請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
前記第1取得部で取得した圧力値と前記計算部で算出された差圧との少なくとも一方を外部に送信する通信部をさらに具備する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
前記第1差圧、前記第2差圧および前記第3差圧は、ポンプ装置の運転直後または停止直後に算出される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項7】
前記第1差圧、前記第2差圧および前記第3差圧は、ポンプ装置の運転中または停止中に算出される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項8】
前記第1差圧、前記第2差圧および前記第3差圧が変化するように、ポンプ装置の流水および停水を制御する制御部をさらに具備する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項9】
前記逆流防止器において故障が発生した箇所および日時を正解データとし、前記故障が発生した日時よりも前の各圧力値、各差圧、ポンプ装置の運転情報および対応する日時情報を入力データとして、ネットワークモデルを学習させることにより生成された学習済みモデルを用いて、
前記第1取得部で取得した圧力値および運転情報と、前記計算部で算出された差圧と、対応する日時情報とを前記学習済みモデルに入力することで、故障が発生する可能性がある箇所および当該故障が発生すると予測される予測時期の少なくとも一方を推定するモデル実行部をさらに具備する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項10】
1次側流路と2次側流路との間に中間室を有し、前記中間室から前記1次側流路への流入を阻止する第1逆止弁と、前記2次側流路から前記中間室への流入を阻止する第2逆止弁と、前記中間室から液体を排出する逃し弁とを有する逆流防止器における、前記1次側流路、前記中間室および前記2次側流路のそれぞれにかかる圧力のうちの少なくとも2つの圧力値を取得し、
前記少なくとも2つの圧力値から、前記第1逆止弁にかかる第1差圧、前記逃し弁にかかる第2差圧、および前記第2逆止弁にかかる第3差圧の少なくとも1つを算出する、
管理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
1次側流路と2次側流路との間に中間室を有し、前記中間室から前記1次側流路への流入を阻止する第1逆止弁と、前記2次側流路から前記中間室への流入を阻止する第2逆止弁と、前記中間室から液体を排出する逃し弁とを有する逆流防止器における、前記1次側流路、前記中間室および前記2次側流路のそれぞれにかかる圧力のうちの少なくとも2つの圧力値を取得する取得手段と、
前記少なくとも2つの圧力値から、前記第1逆止弁にかかる第1差圧、前記逃し弁にかかる第2差圧、および前記第2逆止弁にかかる第3差圧の少なくとも1つを算出する計算手段として機能させるための管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置の点検の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
直結給水システムでは、給水装置から配水管への逆流を防止するため、水道本管につながる配水管と給水装置との間に、減圧式などの逆流防止器が接続される。直結給水システムのガイドラインでは、当該逆流防止器について年1回の定期点検が要請されており、点検作業員が、逆流防止器が正常に稼働しているかどうかを点検している。
しかし、逆流防止器の点検作業には専用の差圧計が必要であり、かつ点検作業の工程が複雑である。さらには点検作業員の人手不足という問題があるため、逆流防止器の点検作業に係る負担は大きい。
点検のタイミング以外で逆流防止装置の異常を知らせる手法として、1次側流路と2次側流路との圧力を測定し、所定の条件から2次側の逆止弁が異常である旨の警報を発する監視装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の監視装置は給水装置の故障を確認するだけであり、定期点検時には点検作業員が現場に赴いて確認する必要があるため、点検作業自体を軽減することができない。
本発明は、点検の効率化を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、管理装置は、第1取得部と、計算部とを含む。第1取得部は、1次側流路と2次側流路との間に中間室を有し、前記中間室から前記1次側流路への流入を阻止する第1逆止弁と、前記2次側流路から前記中間室への流入を阻止する第2逆止弁と、前記中間室から液体を排出する逃し弁とを有する逆流防止器における、前記1次側流路、前記中間室および前記2次側流路のそれぞれにかかる圧力のうちの少なくとも2つの圧力値を取得する。計算部は、前記少なくとも2つの圧力値から、前記第1逆止弁にかかる第1差圧、前記逃し弁にかかる第2差圧、および前記第2逆止弁にかかる第3差圧の少なくとも1つを算出する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、点検の効率化を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る管理システムの一例を示す図。
【
図2】第1の実施形態に係るポンプ装置を示すブロック図。
【
図3】本実施形態に係る逆流防止器の構成例を示す図。
【
図4】第1の実施形態に係る管理装置の第1動作例を示すシーケンス図。
【
図5】第1の実施形態に係る管理装置の第2動作例を示すシーケンス図。
【
図6】第1の実施形態に係る管理装置の判定処理の具体例を示すフローチャート。
【
図7】管理サーバに格納されるポンプ情報の一例を示すテーブル。
【
図8】第2の実施形態に係るポンプ装置を示すブロック図。
【
図9】第2の実施形態に係る管理装置の判定処理の具体例を示すフローチャート。
【
図10】第3の実施形態に係る管理装置の構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る管理装置、管理方法および管理プログラムについて説明する。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0009】
図1は、本実施形態に係る管理システムを例示するブロック図である。
図1に示すように、管理システムは、管理サーバ1、複数のポンプ装置3-n(nはインデックス)、複数の逆流防止器5-nおよび複数の端末7-nを含む。
図1では、nが2である場合の構成を示しているが、これに限定する必要はなく、nは1以上であれば幾つでもよい。以下、特に区別しないときは単にポンプ装置3、逆流防止器5および端末7と記載することとする。管理システムでは、ポンプ装置3の稼動状態、逆流防止器5に関して測定された圧力値などを管理サーバ1を用いて管理するコンピュータシステムである。
【0010】
図1に示すように、管理サーバ1とポンプ装置3と端末7とは、ネットワークNWを介して、4G、5Gといった携帯通信網や、Wimaxなどの比較的遠距離の無線通信回線を介して接続される。また、ポンプ装置3と端末7とは、上述した無線通信回線に加え、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Filed Communication)、赤外線通信といった比較的近距離の無線通信手段により接続されることを想定する。なお、ポンプ装置3と端末7とは、USB(Universal Serial Bus)やケーブルによるLAN(Local Area Network)接続といった有線通信回線を介して接続されてもよい。
【0011】
管理サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、表示機器、入力機器及び通信機器を有するコンピュータである。管理サーバ1は、複数のポンプ装置3に関する各種データを管理するためのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の大容量記憶装置を有する。当該大容量記憶装置をデータベースと呼ぶことにする。例えば、管理サーバ1は、ポンプ装置3に関する各種データをデータベースに記憶したり、ポンプ装置3の稼働状況を管理する。なお、管理サーバ1は、オンプレミスサーバに限らず、クラウドサーバであってもよい。
【0012】
ポンプ装置3は、例えば、建物に給水する機械装置(給水装置)である。ポンプ装置3は、例えば、水道本管に直結され、水道本管を流れる水を直接増圧し、建物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる直結増圧型給水装置であるとする。なお、本実施形態に係るポンプ装置3の型は直結増圧型のみに限定されず、直結直圧型でもよい。
【0013】
逆流防止器5は、ポンプ装置3(2次側流路)から水道本管(1次側流路)への逆流を防止するためにポンプ装置3に接続される。本実施形態で想定する逆流防止器5は、1次側流路と2次側流路との間に中間室を有する減圧式逆流防止器である。逆流防止器5は、中間室から1次側流路への流入を阻止する第1逆止弁と、2次側流路から中間室への流入を阻止する第2逆止弁と、中間室から液体を排出する逃し弁とを有する。逆流防止器5は、第1逆止弁および第2逆止弁が正常に作動しない状態にあって、かつ、1次側に負圧又は2次側から逆圧が加わった場合、逃し弁が開いて中間室の水を排水し、空気層を形成することにより逆流を防止する構造を有する。逆流防止器5は、1次側流路、中間室および2次側流路における各圧力を測定する圧力センサ51と、中間室からの漏水を検知する漏水センサ52とを含む。
【0014】
端末7は、点検作業員等のユーザが持ち運び可能な通信端末であり、例えば、ノートPC、モバイル端末(スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット)が挙げられる。なお、端末7は、ポンプ装置3の管理専用に構成された通信デバイスであってもよい。端末7から、ポンプ装置3を制御可能としてもよく、例えば、ポンプ装置3を制御するためのアプリケーション(以下、制御アプリケーションともいう)が搭載されてもよいし、Webブラウザからポンプ装置3を制御可能としてもよい。
【0015】
次に、第1の実施形態に係るポンプ装置3について
図2のブロック図を参照して説明する。
ポンプ装置3は、制御盤30とポンプ部60とを含む。ポンプ装置3は、他に、図示しない吸込配管と吐出配管とを含んでもよい。ポンプ装置3は、ポンプ部60により、吸込配管を介して一次側にある水を取り込み、吐出配管を介して二次側へ給水する。吸込配管は、例えば、水道本管から分岐された水道分管およびポンプ部60を接続する。吐出配管は、ポンプ部60とその二次側の給水先とを接続する。ポンプ装置3は、複数台のポンプ部60を含んでいてもよい。この場合に、ポンプ装置3は、複数台のポンプ部60を交互に駆動する交互運転、複数台のポンプ部60を同時に駆動する並列運転などを行うことができる。ポンプ部60には、配管を介して一次側に逆流防止器5が接続される。
【0016】
図2に示すように、制御盤30は、互いにバスを介して接続された近距離通信器31と、遠距離通信器32と、入力機器33と、インバータ34と、インタフェース35と、表示機器36と、記憶装置37と、プロセッサ38とを含む。
【0017】
近距離通信器31は、Bluetooth、Wi-FiまたはNFC等の無線通信の規格に準拠した無線通信モジュール311を搭載し、近距離無線通信を行なう。近距離通信器31は、USB等の有線通信の規格を用いた近距離通信を行なってもよい。近距離通信器31は、端末7との間で、近距離通信回線を介して、ポンプ装置3の運転モードの設定および各種データの送受信などを行なう。
【0018】
遠距離通信器32は、携帯通信網、WimaxおよびWi-Fi等の無線通信の規格を用いた遠距離通信を行なう。遠距離通信器32は、管理サーバ1との間で、遠距離通信回線を介して各種データの送受信を行なう。
【0019】
入力機器33は、ユーザの指示を電気信号に変換する。入力機器33としては、例えば、操作パネルやタッチパネル、キーボード、マウス、各種スイッチ等が用いられればよい。なお、入力機器33としては、音声入力装置が用いられてもよい。入力機器33からの電気信号はバスを介してプロセッサ38に供給される。
【0020】
インバータ34は、ポンプ部60を作動する動力を発生する。具体的には、インバータ34は、ポンプ部60(のモータ)に所定周波数の交流電力を供給する。また、インバータ34は、プロセッサ38からインバータ制御信号を受け取る。インバータ34は、インバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータ34は、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じて運転を停止または開始する。また、インバータ34は、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じてモータの回転数を制御する。
【0021】
具体的には、インバータ34は、図示しないコンバータ回路、平滑コンデンサ及びインバータ回路を含む。コンバータ回路は、交流電源から交流電力を取り込み整流することで直流電力に変換する。平滑コンデンサは、コンバータ回路によって出力される直流電力の電圧を平滑化し、略一定電圧の直流電力を得る。そして、インバータ回路は、平滑コンデンサによって得られた直流電力を制御盤30からのインバータ制御信号(回転数制御信号に相当)に応じた所定周波数の交流電力へと変換してモータに供給する。
【0022】
インタフェース35は、例えば、ポート等の入出力インタフェースである。インタフェース35は、例えば、制御盤30と逆流防止器5とを接続し、各種データを送受信する。
【0023】
表示機器36は、各種データを表示する。表示機器36としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ等の任意のディスプレイが用いられればよい。なお、表示機器36として、プロジェクタが用いられてもよい。
【0024】
記憶装置37は、各種データを記憶するROMやRAM、HDD、SSD、集積回路記憶装置等のメモリ装置である。記憶装置37は、物理的に一つのメモリ装置により実現されてもよいし、ポンプ装置3内に物理的に分離された複数のメモリ装置により実現されてもよい。以下、記憶装置37を単にメモリと呼ぶことにする。
【0025】
プロセッサ38は、CPUやマイクロプロセッサ等の演算装置である。プロセッサ38は、ASICやFPGA等の専用の回路により構成されてもよい。プロセッサ38は、記憶装置37に保存された各種プログラムを実行することで、管理装置としての機能、例えば、センサ値取得部381と、通信部382と、計算部383と、判定部384と、運転制御部385との各機能を実現する。なお、センサ値取得部381と、計算部383と、判定部384と、運転制御部385とは、ポンプ装置3に含まれなくともよく、例えば、センサ値取得部381と、計算部383と、判定部384と、運転制御部385とが管理サーバ1に含まれ、管理サーバ1において各処理が実行されればよい。
このように、管理装置は、ポンプ装置3に含まれてもよいし、管理サーバ1に含まれてもよいし、または、ポンプ装置3と管理サーバ1に各部が分散して配置され、全体として管理装置の機能を実現してもよい。
【0026】
センサ値取得部381は、逆流防止器5に配置される圧力センサ51から1次側流路、中間室および2次側流路のそれぞれにかかる圧力のうちの少なくとも2つの圧力値を取得する。センサ値取得部381は、圧力センサ51から有線を介して圧力値を取得してもよいし、圧力センサ51から無線を介して圧力値を取得してもよい。
【0027】
通信部382は、接続が確立した端末7との間、または遠距離通信器32を介して管理サーバ1との間で運転データおよび圧力値、差圧などの圧力データの送受信を行う。
無線接続の確立については、例えば、Bluetoothであれば、一般的なペアリング接続により無線接続が確立されればよく、Wi-Fiであれば、Wi-Fiのアクセスポイントに予め設定されたSSIDおよびパスワードを入力することで、無線接続が確立されればよい。なお、一度、ポンプ装置3と端末7との無線接続が確立していれば、端末7の無線機能をオンにしてポンプ装置3と接近することで、自動的に無線接続が確立されるものとする。
【0028】
計算部383は、センサ値取得部381が取得した圧力値から、第1逆止弁にかかる第1差圧、逃し弁にかかる第2差圧、および第2逆止弁にかかる第3差圧の少なくとも1つを計算する。
【0029】
判定部384は、計算部383から第1逆止弁、第2逆止弁および逃し弁の各差圧の情報を受け取り、漏水センサ52からの漏水の有無に関する漏水情報とを受け取る。判定部384は、各差圧および漏水情報に基づいて、逆流防止器5の故障の有無を判定する。
【0030】
運転制御部385は、第1差圧、第2差圧および第3差圧が変化するように、ポンプ装置3の流水および停水を制御する。
【0031】
なお、制御盤30を構成する基板の枚数は任意に設計可能であり、各基板が近距離通信器31、遠距離通信器32、入力機器33、インバータ34、インタフェース35、表示機器36、記憶装置37及びプロセッサ38のうちの何れの機器を物理的に装備するのかも任意に設計可能である。また、センサ値取得部381と、通信部382と、計算部383と、判定部384と、運転制御部385とは、一のプロセッサ38が担うものとしたが、物理的に分離した複数のプロセッサが分担してもよい。
【0032】
次に、本実施形態に係る逆流防止器5の構成例について
図3を参照して説明する。
図3に示す逆流防止器5は、圧力センサ51と、第1逆止弁53と、第2逆止弁54と、逃し弁55と、漏水センサ52とを含む。
【0033】
圧力センサ51は、具体的には、第1圧力センサ51-1と、第2圧力センサ51-2と、第3圧力センサ51-3とを含む。
第1圧力センサ51-1は、1次側に配置され、1次側流路の圧力を計測する。言い換えれば、1次側から第1逆止弁53にかかる圧力を計測する。第1逆止弁53にかかる圧力を計測可能な位置であれば、第1圧力センサ51-1は、どのような位置に配置されてもよい。
【0034】
第2圧力センサ51-2は、2次側に配置され、2次側流路の圧力を計測する。言い換えれば、2次側から第2逆止弁54にかかる圧力を計測する。第1圧力センサ51-1と同様に、第2逆止弁54にかかる圧力を計測可能な位置であれば、第2圧力センサ51-2は、どのような位置に配置されてもよい。
【0035】
第3圧力センサ51-3は、中間室IRに配置され、中間室IRの圧力を計測する。第3圧力センサ51-3についても、逃し弁55にかかる圧力を測定可能な位置であれば、どのような位置に配置されてもよい。なお、逃し弁55にかかる圧力は、1次側の圧力値から中間室IRの圧力値を減算することにより算出すればよい。
【0036】
第1逆止弁53は、流水時に開き、停水時に閉じるように作動する。第1逆止弁53は、2次側および中間室から逆流した液体が1次側へ流入させないように作動する。
第2逆止弁54は、第1逆止弁53と同様に、流水時に開き、停水時に閉じるように作動する。第2逆止弁54は、2次側から逆流した液体が中間室および1次側へ流入しないように作動する。
逃し弁55は、1次側が負圧の状態、または停水時に1次側または2次側から水が流入した場合に開き、中間室に存在する液体を排水する。
【0037】
漏水センサ52は、逃し弁55の下方、すなわち逆流防止器5の下部側に配置され、逃し弁55からの漏水(排水)を検知する。漏水センサ52は、電極を用いた抵抗検知方式を想定する。抵抗検知方式では、検知帯である2本の電極に液体が接触した場合、液体を介して電極間に電流が流れるため、液体の漏水を検知できる。なお、一般的に用いられる漏水センサであればどのようなセンサを用いてもよい。また、逃し弁55からの漏水を検知できれば、中間室内に配置されてもよい。
【0038】
次に、第1の実施形態に係る管理装置の第1動作例について
図4のシーケンス図を参照して説明する。
図4は、管理装置がポンプ装置3に含まれる場合の、管理サーバ1とのやりとりを示すシーケンス図である。なお、逆流防止器5の各圧力センサ51では、所定のサンプリング間隔で圧力値を測定していることを想定するが、これに限らず、管理サーバ1または端末7を介した管理システムのユーザからの測定指示により、各圧力センサ51がそれぞれ圧力値を測定するようにしてもよい。
【0039】
また、漏水センサ52により漏水の発生を検知したことをトリガとして、各圧力センサ51が圧力値を測定してもよい。例えば、漏水センサ52から、漏水情報として漏水が発生したことを示す信号がポンプ装置3に通信され、当該信号を受信したポンプ装置3の制御盤30から、各圧力センサ51に対して圧力を測定させる指示信号を送信し、当該指示信号を受けて、各圧力センサ51が圧力値を測定してもよい。
【0040】
ステップS401では、ポンプ装置3のセンサ値取得部381が、逆流防止器5の各圧力センサ51で取得した、1次側の圧力値、2次側の圧力値および中間室の圧力値を取得する。
ステップS402では、ポンプ装置3の計算部383が、第1逆止弁の差圧、第2逆止弁の差圧、および逃し弁の作動時の差圧を計算する。具体的には、第1逆止弁の差圧は、1次側の圧力値から中間室の圧力値を減算することにより算出する。第2逆止弁の差圧は、中間室の圧力値から2次側の圧力値を減算することにより算出する。逃し弁の作動時の差圧は、第1逆止弁の差圧から算出される。
なお、第1逆止弁の差圧、第2逆止弁の差圧、および逃し弁の差圧の各差圧は、ポンプ装置3の運転直後または停止直後に算出されてもよいし、ポンプ装置3の運転中または停止中に算出されてもよい。
【0041】
ステップS403では、ポンプ装置3の判定部384が、第1逆止弁、第2逆止弁および逃し弁の各差圧と、漏水が発生した場合は通知された漏水情報とから、逆流防止器5が正常に稼働しているか否かを判定する。判定処理の詳細については
図6以降に後述する。
ステップS404では、ポンプ装置3の通信部382が、漏水情報と、第1逆止弁の差圧と、第2逆止弁の差圧と、逃し弁の差圧と、逆流防止器5が正常に稼働しているか否かの判定結果と、圧力値を取得した日付に関する日付情報とを外部に、ここでは管理サーバ1に送信する。なお、通信部382は、センサ値取得部381で取得した圧力値と、計算部383で算出された差圧との少なくとも一方を外部、ここでは管理サーバ1に送信するようにしてもよい。
【0042】
ステップS405では、管理サーバ1が、漏水情報と、第1逆止弁の差圧と、第2逆止弁の差圧と、逃し弁の差圧と、逆流防止器5が正常に稼働しているか否かの判定結果と、日付情報とをポンプ装置3から受信し、格納する。これにより、逆流防止器5が漏水した場合に、正常な漏水であるか否かの情報を蓄積できる。
なお、ステップS404において、ポンプ装置3は、逆流防止器5が正常に稼働しているか否かの判定結果と、日付情報とのみを管理サーバ1に送信することでもよく、これら2種類の情報によっても定期点検を代替できるが、判定結果となった根拠として差圧の情報も併せて送信することが望ましい。また、ポンプ装置3は、管理サーバ1に対して1次側の圧力値、2次側の圧力値および中間室の圧力値をさらに送信してもよい。また、日付情報は、ポンプ装置3から送信されることに限らず、ポンプ装置3から各種情報を受信したときに管理サーバ1において取得した日付情報を当該各種情報に対応付けて格納してもよい。
【0043】
次に、第1の実施形態に係る管理装置の第2動作例について
図5のシーケンス図を参照して説明する。
図4では、管理装置がポンプ装置3に含まれる場合を示したが、
図5では、管理装置の機能がポンプ装置3と管理サーバ1とに分散して配置される場合の管理システムの動作例を示す。
【0044】
ステップS501では、ポンプ装置3のセンサ値取得部381が、逆流防止器5の各圧力センサ51で取得した、1次側の圧力値、2次側の圧力値および中間室の圧力値を取得する。
ステップS502では、ポンプ装置3の通信部382が、1次側の圧力値、2次側の圧力値および中間室の圧力値と、圧力値を取得した日付に関する日付情報とを管理サーバ1に送信する。
【0045】
ステップS503では、管理サーバ1の計算部383が、受信した1次側の圧力値、2次側の圧力値および中間室の圧力値および日付情報に基づいて、第1逆止弁の差圧、第2逆止弁の差圧、および逃し弁の差圧を計算する。
ステップS504では、管理サーバ1の判定部384が、第1逆止弁、第2逆止弁および逃し弁の各差圧と、漏水が発生している場合は通知された漏水情報とから、逆流防止器5が正常に稼働しているか否かを判定する。
ステップS505では、管理サーバ1が、漏水情報と、第1逆止弁の差圧と、第2逆止弁の差圧と、逃し弁の差圧と、ステップS504での判定結果と、日付情報とを格納する。
なお、漏水情報は、漏水が発生した場合に通知されることを想定しているため、漏水が発生していなければ、管理サーバ1などには通知されない。ただし、漏水が発生していないことを示す情報を漏水情報として含めてもよく、その場合は、漏水の有無について管理サーバ1などに通知されればよい。
【0046】
次に、第1の実施形態に係る管理装置の判定処理、例えば
図4に示すステップS403または
図5に示すステップS504に係る判定処理の具体例について
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
ステップS601では、判定部384が、漏水情報に基づき、漏水が発生しているか否かを判定する。漏水が発生していればステップS602に進み、漏水が発生していなければステップS605に進む。
ステップS602では、判定部384が、逃し弁の差圧が閾値以下であるか否かを判定する。逃し弁の差圧が閾値以下であればステップS603に進み、逃し弁の差圧が閾値よりも大きければステップS604に進む。
【0048】
ステップS603では、1次側と中間室との差圧が近づいてくれば漏水が発生することが逃し弁の正常な動作であるところ、逃し弁の差圧が閾値以下、例えば14kpa以下となった状態でやっと逃し弁が開放され、中間室内の水が漏水し始めたと考えられ、判定部384が、逃し弁が故障しており、逆流防止器5が異常であると判定する。
ステップS604では、すなわち1次側と中間室との差圧が近づいた状態で漏水している状態であり、判定部384が、逃し弁が正常に稼働していると判定する。
【0049】
ステップS605では、判定部384が、逃し弁の差圧が閾値以下であるか否かを判定する。逃し弁の差圧が閾値以下であればステップS606に進み、逃し弁の差圧が閾値よりも大きければステップS607に進む。
ステップS606では、逃し弁の差圧が閾値以下にもかかわらず漏水しておらず、逃し弁が故障していると考えられるため、判定部384が、逆流防止器5に異常があると判定する。
ステップS607では、閾値よりも大きい差圧では漏水していないため、判定部384が、逆流防止器5は正常に稼働していると判定する。
【0050】
なお、ステップS601とステップS602およびステップS605との順序は問わず、2つの条件の組み合わせによって逆流防止器5が正常であるか異常があるかを判定すればよい。すなわち、先にステップS602に示す処理である、逃し弁の差圧が閾値以下であるか否かを判定した後に、ステップS601の処理である漏水が発生したか否かを判定してもよい。
【0051】
また、
図4および
図5の圧力値の測定タイミングを、漏水が発生したことをトリガとしてもよい。すなわち、漏水センサ52により漏水が発生したことを検知した後に、圧力値が取得されてもよい。これにより、漏水時における差圧のみが管理サーバ1に蓄積されるので、データ容量を低減できる。
【0052】
次に、
図7に管理サーバ1に格納されるポンプ情報の一例を示す。
図7は、管理装置に格納されるポンプ情報の一例であり、ポンプ装置を一意に識別するためのID、圧力値および差圧などの情報を取得した日付、漏水の状態、逆流防止器の状態、逆流防止器の各差圧および圧力値がそれぞれ対応付けられる。このように、ポンプ装置3ごとの情報を管理サーバ1で一元管理することで、効率的な運用が実現できる。もちろん、
図7に示す情報のほか、直前のメンテンナンス日時、作業者IDといったポンプ装置に関する情報であれば、どのような情報を管理してもよい。
【0053】
以上に示した第1の実施形態によれば、逆流防止器にセンサを配置し、当該センサから各圧力値を取得する。取得した圧力値から逆流防止器の各弁にかかる差圧を算出し、各差圧と、漏水情報から逆流防止器が正常に稼働しているか否かを判定する。当該判定の結果をポンプ装置から管理サーバに送信し、管理サーバにおいて各種情報を管理する。
これにより、管理サーバでは、逆流防止器が漏水した場合に、正常な漏水であるか否かの情報に遠隔で取得できるため、点検作業員による現地での定期点検を代替できる。よって、点検作業員による点検作業の負担を軽減できる。さらには、所定間隔で差圧を計測することで、逆流防止装置を常時監視でき、異常が発生した場合でも早期発見が可能となる。
【0054】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、各圧力値および各差圧に加え、運転情報も考慮することで、逆流防止器5が正常に稼働しているか否かに加えて、どの弁に異常があるかなど、より詳細な情報を検知できる。
第2の実施形態に係る管理装置を含むポンプ装置3のブロック図について
図8を参照して説明する。
【0055】
第2の実施形態に係るポンプ装置3は、第1の実施形態に係るポンプ装置3の構成に加え、運転情報取得部801をさらに含む。
運転情報取得部801は、制御盤30によって判定されたポンプ装置3の運転状態に関する運転情報を取得する。運転情報は、例えば、正常運転、一時停止、電力供給停止、試験中、故障といった情報を含む。
【0056】
次に、第2の実施形態に係る管理装置による判定処理の詳細について
図9のフローチャートを参照して説明する。
ステップS901では、運転情報取得部801が、運転情報を取得する。判定部384が運転情報に基づいて、ポンプ装置3が停水中または一時側負圧時であるか、運転中であるかを判定する。例えば、運転情報が「一時停止」、「電力供給停止」などであれば、ポンプ装置3が停水中であると判定すればよい。ポンプ装置3が停水中であれば、ステップS902に進み、ポンプ装置3が運転中であればステップS907に進む。
【0057】
ステップS902では、判定部384が、中間室の圧力が上昇しているか否かを判定する。例えば、ポンプ装置据え付け時、始動時などに測定した、逆流防止器5が正常に稼働しているときの中間室の圧力値を基準値として、中間室の圧力が当該基準値を超えた場合に、中間室の圧力が上昇したと判定する。また、中間室の圧力を取得しない場合でも、1次側の圧力値が同様に測定した基準値よりも下がっている場合、中間室側の圧力が上昇していると判定してもよい。中間室の圧力が上昇していればステップS903に進み、中間室の圧力が上昇していなければステップS906に進む。
【0058】
ステップS903では、判定部384が、漏水があるか否かを判定する。漏水があればステップS904に進み、漏水が無ければステップS905に進む。
ステップS904では、判定部384が、停水中にもかかわらず中間室の圧力が上昇しているため、第1逆止弁または第2逆止弁の少なくとも一方が故障していると判定できる。さらに、漏水があることから、逃し弁は正常であると判定できる。
ステップS905では、判定部384が、中間室の圧力が上昇しているにも関わらず逃し弁からの漏水が無いことから、第2逆止弁が故障していると判定する。または、中間室の圧力が上昇しているにも関わらず漏水していないため、逃し弁が故障しているとも判定できる。
ステップS906では、判定部384が、逆流防止器5は正常であると判定する。
【0059】
ステップS907では、判定部384が、運転中に漏水があるか否かを判定する。漏水があればステップS908に進む。一方、漏水がなければステップS906に進み、逆流防止器5は正常であると判定される。
ステップS908では、判定部384が、運転中に漏水があるため、逃し弁の故障または第1逆止弁の故障であると判定する。第1逆止弁の故障とも想定できる理由は、第1逆止弁が故障により機能が失われ、1次側からの圧力が中間室に直接伝わった場合、1次側と中間室との圧力が釣り合う。よって、逃し弁が正常であれば、漏水が発生するため、第1逆止弁の故障も想定されるためである。以上で第2の実施形態に係る管理装置の推定処理を終了する。
【0060】
以上に示した第2の実施形態によれば、各圧力値、各差圧および漏水情報に加え、運転情報に基づいて逆流防止器の異常を判定する。これにより、第1の実施形態と同様に、点検作業員による現地での定期点検の代替、点検作業の負担の軽減、および異常の早期発見を実現するとともに、逆流防止器のどこに異常があるのか、例えば運転中の漏水、停水中の漏水、差圧などから、逆流防止器の第1逆止弁、第2逆止弁および逃し弁の異常を検知できる。よって、管理サーバにより詳細な情報を集約して一元管理できる。
【0061】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、機械学習を用いて、各圧力値、各差圧などのポンプ情報から、逆流防止器5の異常(故障など)が発生する可能性を算出する。
第3の実施形態に係る管理装置の構成例について
図10を参照して説明する。
管理サーバ1は、格納部1001と、学習部1002と、モデル実行部1003とを含む。なお、管理装置の他の構成、すなわち計算部383、判定部384などは、ポンプ装置3に含まれてもよいし、管理サーバ1に含まれてもよい。
格納部1001は、ポンプ装置3から送信される、各圧力値、各差圧、漏水情報および運転情報などのポンプ情報を受信して格納する。
学習部1002は、格納部1001に格納される各圧力値、各差圧、漏水情報および運転情報を学習データとして用いて、ニューラルネットワークに代表される機械学習モデルを学習し、学習済みモデルを生成する。
モデル実行部1003は、学習済みモデルに対して、新たに取得した各圧力値、各差圧、漏水情報および運転情報を入力することで、逆流防止器5の故障が発生する可能性を推定する。具体的には、例えば、故障が発生する可能性のある箇所および故障が発生すると予測される時期(以下、予測時期ともいう)を推定してもよい。
【0062】
例えば、機械学習モデルの学習段階では、学習部1002が、故障が発生した箇所および日時を正解データとし、当該故障が発生した日時よりも前の各圧力値と、各差圧と、漏水情報と、運転情報と、これらの情報を取得した際の日時とを入力データとした学習データにより、機械学習モデルを学習し、学習済みモデルを生成する。
【0063】
その後、学習済みモデルの利用時は、モデル実行部1003が、ポンプ装置3から新たに取得した各圧力値と、各差圧と、漏水情報と、運転情報と、日時とを学習済みモデルに入力することで、故障が発生する可能性がある箇所と予測時期とを推定結果として出力する。具体的には、「故障が発生する可能性のある箇所:第1逆止弁、発生予測時期:6月後」といった推定結果を出力できる。もちろん、推定結果の出力例はこれに限らず、逆流防止器5のイラストを図示して該当箇所をハイライトさせるなど、視覚的に認識しやすい表示でもよいし、音声により通知されてもよい。すなわち、故障が発生する可能性がある箇所および予測時期が作業者または管理サーバ1の管理者に通知できれば、どのような通知態様であってもよい。
【0064】
学習データとしては、正解データとなる故障が発生した箇所および日時を基準として時系列を遡り、センサ情報を取得し始めた時点までの過去データを全て入力データとしてもよいし、当該日時より1週間前に取得された各圧力値、各差圧および運転情報、当該日時よりも1月前に取得された各圧力値、各差圧および運転情報、といったように、所定期間ずつ遡ったセンサ情報および運転情報を入力データとして用いてもよい。また、当該日時よりも1週間前に取得された各圧力値および各差圧の平均、分散といった統計値を、所定期間毎に算出した値を入力データとしてもよい。
【0065】
また、管理装置において各圧力値および各差圧を取得する毎に、以前に取得した各圧力値および各差圧の分散または偏差を算出し、閾値以上の分散または偏差となった日時における各圧力値および各差圧を入力データとしてもよい。これにより、正常な稼動状態と異なる値を取得した故障の予兆と考えられるような状況のデータをメインに学習することもできる。
【0066】
なお、機械学習モデルとしては、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワークなど、予測値を出力するタスクに用いられるようなネットワーク構成であれば、どのようなネットワークモデルを用いてもよい。また、ポンプ装置3で取得できる情報をできるだけ多く用いて機械学習モデルを学習させることが望ましいが、上述の例に限らず、差圧および漏水情報を学習データとして機械学習モデルを学習させてもよい。
【0067】
以上に示した第3の実施形態によれば、圧力値、差圧、漏水情報、運転情報などといったポンプ情報を用いて機械学習モデルを学習させることで学習済みモデルを生成する。当該学習済みモデルに新たに取得したポンプ情報を入力することで、故障が発生する可能性がある箇所と予測時期とを推定できる。これにより、メンテナンスの効率を向上させることができる。
【0068】
なお、上述の実施形態では、自然発生的な漏水状況を考慮して、各弁が正常に稼働しているか否かを判定することを想定するが、これに限らず、故意的に漏水が発生しうる状況を設定してもよい。
例えば、運転制御部385が、インバータ34に対して、運転停止を示すインバータ制御信号または運転開始を示すインバータ制御信号を所定間隔で交互に送信することで、第1差圧、第2差圧および第3差圧が変化するように、停水と流水とを繰り返すようにポンプ部60を制御する。このような制御により、運転開始直後などに漏水が発生しうる状況が設定できるため、所望のタイミングで漏水を確認でき、逆流防止器の点検を実施することができる。
【0069】
上記各実施形態の処理の少なくとも一部は、例えば汎用のコンピュータに搭載されたプロセッサを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD、Blu-ray(登録商標)Disc等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0071】
1・・・管理サーバ、3・・・ポンプ装置、5・・・逆流防止器、7・・・端末、30・・・制御盤、31・・・近距離通信器、32・・・遠距離通信器、33・・・入力機器、34・・・インバータ、35・・・インタフェース、36・・・表示機器、37・・・記憶装置、38・・・プロセッサ、51・・・圧力センサ、52・・・漏水センサ、53・・・第1逆止弁、54・・・第2逆止弁、55・・・逃し弁、381・・・センサ値取得部、382・・・通信部、383・・・計算部、384・・・判定部、385・・・運転制御部、801・・・運転情報取得部。