(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131468
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】包装材シートのシールアンドカットユニット
(51)【国際特許分類】
B65B 51/22 20060101AFI20230914BHJP
B65B 51/10 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B65B51/22 100
B65B51/10 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036253
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】391024744
【氏名又は名称】不双産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保彦
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA12
3E094BA12
3E094CA22
3E094DA07
3E094DA08
3E094EA03
3E094FA13
(57)【要約】
【課題】受け部材がシール機能とカット機能が両方とも担っており、シール強度を高めるとその分だけカットの切れ味が鈍ってカット面が綺麗な断面にならない。
【解決手段】超音波ホーン13と受け棒15の角部(R面)17aとで構成される受入れ口47では、超音波ホーン13が僅かに倒れた姿勢で対向するので、シールが開始する位置から最接近してカットする位置までのカット前シール実施距離が確保されている。また、超音波ホーン13が受け棒15に対して相対的に移動する。従って、十分なシール強度と共に、綺麗なカット面が得られる。また、包装材シートSの溶解により生じたのりのカス(N)は超音波ホーン13に付いて移動できず、発生したその場に都度都度置いていかれる。従って、カス(N)は発生するが、それに伴うシール不良の発生を阻止できる。更に、受け棒15はシールアンドカットの際には剛性構造の一部にできるので、振動の発生を抑える。また、全体の構造が単純になり、メンテナンスが容易になる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波ホーンと受け棒を備え、前記超音波ホーンが前記受け棒の直線状に連続した対向可能面に対してシールアンドカット可能に対向しながら移動し、前記超音波ホーンと前記受け棒の対向面との間で扁平に重ね合わされた包装材シートを、移動方向先側から受入れてシールアンドカットを施した後に払出すことで前記包装材シートをシールすると共にカットする包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
前記超音波ホーンは移動方向後側に倒れた姿勢を維持しながら移動する際にシールアンドカットを実施することを特徴とするシールアンドカットユニット。
【請求項2】
請求項1に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
一対の圧接面部の間で扁平に重ね合わされた包装材シートを静止させ、且つ張った状態で保持する押え部を備え、
受け棒は、一方の圧接面部に対してシールアンドカットの際に移動不能に固定されていることを特徴とするシールアンドカットユニット。
【請求項3】
請求項2に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
受け棒は、その対向可能面が一方の圧接面部から他方の圧接面部に向かって出没自在に構成されていることを特徴とするシールアンドカットユニット。
【請求項4】
請求項3に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
受け棒は、一方の圧接面部に対してアダプタを介して着脱自在に装着されることを特徴とするシールアンドカットユニット。
【請求項5】
請求項4に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
受け棒は、断面多角形の角棒で構成され、複数の角部が対向可能面になっており、
アダプタに対する前記受け棒の装着角度を変更することを前記複数の対向可能面が使い分けられることを特徴とするシールアンドカットユニット。
【請求項6】
請求項1から6のいずれかに記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
横シールアンドカットユニットとして設けられることを特徴とするシールアンドカットユニット。
【請求項7】
請求項6に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
縦型製袋充填包装装置における横シールアンドカットユニットとして設けられることを特徴とするシールアンドカットユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材シートに対してシールアンドカットを施すユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティーバッグ等の抽出バッグは、包装材シートを製袋化する工程のなかで、茶葉等の内容物を充填し、開口を封止する製袋充填包装装置により製造されており、製袋充填包装装置が縦型の場合には、筒状になった包装材に対して横シールを施す際にカットも施して、後続の包装材シートから分離させている。
このシールアンドカットは、加圧下で超音波ホーンに超音波振動を起こさせて溶着・溶断させる超音波方式が現在のところ主流になっており、特許文献1に記載のように、筒状の包装材シートを扁平に重ね合わされた状態に保持し、これを挟んで超音波ホーンとロール状の受け部材を正対させながら、横断方向に走行させて包装材シートをシールアンドカットしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、更に、シール強度を高めつつ、同時にカット面を綺麗にしたいとの要求が高まっているが、超音波ホーンと受け部材が一対一対応して、受け部材がシール機能とカット機能が両方とも担っており、シール強度を高めるとその分だけカットの切れ味が鈍ってカット面が綺麗な断面にならない。
その一方で、受け部材が両機能を担っていることにより、ユニットの構造を単純化でき、メンテナンスや交換も容易になっている。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたものであり、シールアンドカットユニットにおいて、ユニットの構造の単純化のメリットをそのまま享受しつつ、シール強度を高めながら、同時にカット面を綺麗にしたいとの要求を満たせる、新規且つ有用な超音波方式のシールアンドカットユニットを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、超音波ホーンと受け棒を備え、前記超音波ホーンが前記受け棒の直線状に連続した対向可能面に対してシールアンドカット可能に対向しながら移動し、前記超音波ホーンと前記受け棒の対向面との間で扁平に重ね合わされた包装材シートを、移動方向先側から受入れてシールアンドカットを施した後に払出すことで前記包装材シートをシールすると共にカットする包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、前記超音波ホーンは移動方向後側に倒れた姿勢を維持しながら移動する際にシールアンドカットを実施することを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、一対の圧接面部の間で扁平に重ね合わされた包装材シートを静止させ、且つ張った状態で保持する押え部を備え、受け棒は、一方の圧接面部に対してシールアンドカットの際に移動不能に固定されていることを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、受け棒は、その対向可能面が一方の圧接面部から他方の圧接面部に向かって出没自在に構成されていることを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、受け棒は、一方の圧接面部に対してアダプタを介して着脱自在に装着されることを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、受け棒は、断面多角形の角棒で構成され、複数の角部が対向可能面になっており、アダプタに対する前記受け棒の装着角度を変更することを前記複数の対向可能面が使い分けられることを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1から6のいずれかに記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、横シールアンドカットユニットとして設けられることを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、縦型製袋充填包装装置における横シールアンドカットユニットとして設けられることを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシールアンドカットユニットでは、超音波ホーンと受け部材が一対一対応しているが、包装材シートのシール強度を高めつつ、同時にカット面を綺麗にしたいとの要求を満たせている。
また、受け棒を剛性構造の一部にできるので、振動の発生を抑える。また、全体の構造が単純になり、メンテナンスが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】横シールアンドカットユニットの斜視図である。
【
図3】
図2の受け棒装着側の圧接面部の斜視図である。
【
図4】
図3の受け棒が装着された状態のアダプタの斜視図である。
【
図6】
図4の受け棒とアダプタの分解斜視図である。
【
図8】
図2の超音波ホーンと受け棒の上方から見た配置関係図である。
【
図10】シールアンドカットの実施の際の、
図8の位置における包装材シートの状態図である。
【
図11】
図10で包装材シートに形成された横シール部と切込みの形成・進展のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態は、縦型製袋充填包装装置に関するものである。
縦型製袋充填包装装置では、特許文献1に記載のように、下方に向かって送られてくる連続した包装材シートの幅方向両縁が縦シールユニットによって縦シールされて筒状に成形され、更に横シールアンドカットユニットによってその筒状体に対して横シールされると共にその横シール部の中間でカットされることで袋体に成形され、後続の包装材シート側から分離される。横シール部が先行の袋体の天部と後続の袋体の底部を構成しており、横シールの合間に茶葉等の被充填物が充填される。
本発明の実施の形態に係る横シールアンドカットユニット1は、この縦型製袋充填包装装置に適用される。
包装材シートは、ポリエチレン繊維製不織布等の熱溶着可能なものの使用が想定されており、シールアンドカットは、加圧下で超音波振動により摩擦熱を生じさせることにより、溶着・溶断させる超音波方式が採用されている。
【0016】
図1に示すように、横シールアンドカットユニット1では、一対のユニット壁3A、3Bが対向しながら立った状態で、縦型製袋充填包装装置の装置本体に固定されている。このユニット壁3A、3Bの間には、一対のガイドシャフト5A、5Bが水平方向で平行に渡設されている。ガイドシャフト5A、5Bには一対の摺動ブロック7A、7Bがそれぞれ摺動自在に支持されている。摺動ブロック7A、7Bの上面には連結板9の板面が固定されており、摺動ブロック7A、7Bはこの連結板9を介して連結されている。従って、一対の摺動ブロック7A、7Bは、一対のユニット壁3、3間で一対のガイドシャフト5A、5Bにガイドされながら、同期して摺動するようになっている。
また、ユニット壁3Aには、シリンダ式直動機構11の本体11aが固定されており、そのロッドの先端側が連結板9に固定されている。ロッドの伸縮方向はガイドシャフト5A、5Bの軸方向と平行になっている。
【0017】
摺動ブロック7Aの下側に、超音波溶着溶断装置の超音波ホーン13が固定されている。
図2に示すように、超音波ホーン13は同軸円筒状で、その軸方向はガイドシャフト5Aの軸方向とほぼ直交した状態で配置されており、水平面内で一方向側に僅かに倒れている。また、その先端開口13aはガイドシャフト5B側を向いている。超音波ホーン13の倒れ姿勢を維持するために、超音波ホーン13は一対のガイド片でなるガイド14が備えられている。
超音波ホーン13の先端開口13aには受け棒15が対向している。この受け棒15は摺動ブロック7B側に設けられている。
【0018】
図6、
図7に示すように、受け棒15は、同径円柱の外周面が4方向から均等に平面状に切断されて、断面が正方形の角棒部17が中間部に大きく成形されている。この角棒部17の4つの角部17a、17a、……はそれぞれ丸みが付けられており、軸方向に直交する断面がR面、すなわち曲面になっている。
既存の横シールアンドカットユニットでは、特許文献1に記載のように受け部材は受けロールで構成されており、この外周面がR面になっている。そして、このR面が対向面となって超音波ホーンの先端開口と対向して、その間に挟み込まれた包装材シートに対してシールアンドカットを施すようになっている。
【0019】
角棒部17の角部17a、すなわちR面も受けロールのR面と同様に対向面になるが、受けロールのR面は円弧を描くように湾曲しながら連続しているのに対して、角棒17のR面は真っすぐ直線状に延びて連続している点が異なっている。また、本発明では、後述するように、超音波ホーン13が対向する角部17aは固定されておらず、シールアンドカットの際には連続方向に移動していくので、角部17a全体が対向可能面で、超音波ホーン13に対向した箇所がその箇所がその都度対向面になる。
【0020】
受け棒15の軸方向両端側は外方に向かって縮径されてテーパ状になっており、更に端部は外周側が切り取られて、断面が小円形の丸棒部19になっている。この丸棒部19は角棒部17に同軸状に連なっている。
超音波ホーン13の先端開口13aには受け棒15の角棒部17のいずれかの角部17aが対向するよう配置されている。受け棒15の軸方向はガイドシャフト5Bの軸方向と平行になっており、超音波ホーン13の倒れ配置により、超音波ホーン13との間の隙間は受け棒15の軸方向に対して一方側から他方側に向かって大きくなっている。
【0021】
図1で符号21は押え部を示し、この押え部21は一対の横長の圧接面部21A、21Bを備えている。
図2、
図3に示すように、この圧接面部21A、21Bは、板面を対向した状態で立っている。また、圧接面部21A、21Bにはそれぞれ横に長い長穴21a、21bが互いに対向した状態で形成されている。
ユニット壁3Aに連結された取付板4に、シリンダ式直動機構23の本体23aが固定されており、そのロッド23bの先端側が圧接面部21Aに固定されている。また、圧接面部21Aはリンク機構25を介して圧接面部21Bと連結されている。従って、ロッド23bの伸長により圧接面部21A、21Bは互いに接近し、再接近時には筒状になった包装材シートを扁平に重ね合わせた状態で圧接する。また、ロッド23bの後退により圧接面部21A、21Bは互いに離間して、圧接状態を解除する。押え部21は上下方向には動かないので、静止状態で包装材シートを保持する。
【0022】
超音波ホーン13の先端開口13aは、上記した圧接による押え状態でも解除状態でも、圧接面部21Aの長穴21aを通り抜けて突出して対向しているが、受け棒15の角部17aは上記した圧接による押えだけでは突出しておらず、突出機構の動作により、圧接面部21Bの長穴21bを通り抜けて突出して対向して、シールアンドカット可能な対向状態になる。
突出機構は以下のように構成されている。
【0023】
図4~
図6に示すように、受け棒15は、アダプタ27に着脱自在に装着されている。このアダプタ27は、一側が開口した横長の収容部29を備えており、その横方向両端部には、軸受部31、31が設けられている。収容部29には横断面は逆三角形状の凹角内面29aになっており、凹底に横方向に間隔をあけて3つの連通穴29b、29b、29bが形成されている。この収容部29に受け棒15の角棒部17およびその両外方のテーパ状部が収容され、軸受部31、31に丸棒部19、19が支持される。凹角内面29aに角棒部17が当接することで上記した対向状態で収容される。軸受部31、31はガイド33、33を通って進退可能になっており、収容部29の開口側に突出させ、外方に押し広げて、その間に受け棒15を差し込み、丸棒部19、19を軸受部31、31に挿通させた後に戻すことで上記の収容状態になる。
【0024】
符号35は連結部を示し、この連結部35が圧接面部21Bに固定されている。連結部35は門状になっており、その両端部35a、35aが圧接面部21Bの非圧接側の板面に対して外方から当てられ、圧接側の凹面にはネジ頭収容板35cが嵌め込まれ、両側から圧接面部21Bを挟んだ状態でネジ止めにより固定されている。連結部35の中間部35bは板状になっており、その板面は圧接面部21Bの板面と対向している。
【0025】
シリンダ式直動機構37の本体37aが中間部35bの外側に固定されている。そのロッド37bの先端側には角棒部17を受ける受け部38が固定されている。受け部38は中間部35bを通り抜けて収容部29の連通穴29bに入り込んでいる。
また、シリンダ式直動機構37の本体37aを挟んで一対のシャフト41、41が設けられている。このシャフト41の軸方向一端側は連結部35の中間部35bに貫通固定されたガイド筒42に遊嵌されて中間部35bを通り抜けており、その先端側には、受け部38が固定されている。この受け部38も収容部29の連通穴29bに入り込んでいる。
シャフト41、41はロッド37bと平行に配置されており、角棒部17は3つの受け部38、……で受けた状態になっている。
シャフト41の軸方向他端側は連結板39の板面に固定されている、連結板39の同じ側の板面にシャフト41、41が間隔をあけて固定されて枠状をなしており、この中にシリンダ式直動機構37の本体37aが位置している。本体37aの背面側端面にはストッパボルト44aが取付けられている。また、連結板39のシャフト41固定側の面にはストッパ44bが取付けられており、ストッパボルト44aと正対している。
【0026】
アダプタ27の収容部29に受け棒15を収容した状態で、収容部29を圧接面部21Bの長穴21bに嵌合させ、連結部35を圧接面部21Bの非圧接側の板面に対して固定すると、受け棒15側が圧接面部21Bに取付けられた状態になる。収容部29の端面は圧接板21Bの当接面とほぼ面一になっており、対向面となる角部17aも圧接面部21Bの当接面とほぼ面一になっている。
軸受部31の一端部は上記したように丸棒部19の挿通用にリング状になっているが、他端側にはばね43の一端側が連結されており、このばね43の他端側は取付板39の掛け部39aに適宜掛止できるようになっている。収容部29に受け棒15を収容した後に、ばね43を取付板39に連結すると、軸受部31が取付板39側に付勢され、受け棒15は収容部29内に安定的に収容される。また、シャフト41、41も取付板39を介して収容部29側に付勢されている。
【0027】
シリンダ駆動によりロッド37bが伸長すると、その受け部38が突出して角棒部17を押し出すと共に、収容部29を介して、他の二つの受け部38、38も角棒部17を押し出す方向に突出する。但し、シャフト41の移動により、連結板39側のストッパ44bが本体37a側のストッパボルト44aに当たってそれ以上の移動が規制される。従って、受け棒15を押し出す際には角棒部17は3つの受け部38、……で受けた状態になっている。
この動作により、収容部29の連通穴29bから、受け部38、38、……が協働して受け棒15を平行に押出す。最大限押出されたときでも、
図5の断面図に示すように、角部17aが収容部29の縁面から突出する高さは僅かではあるが、シールアンドカットには十分な程度に突出する。
【0028】
横シールアンドカットユニット1は上記のように構成されており、シリンダ駆動により、超音波ホーン13が角部17aと、
図8、
図9に示す対向状態を維持しながら往復走行する。往復走行の際には、シリンダ駆動により角部17aを突出させ、包装材シートSを突っ張らせた状態にする。
超音波ホーン13は長穴29aの横方向の範囲内で横方向に往復走行する。筒状になった包装材シートを扁平に重ね合わせた状態の幅寸法は、長穴29a、29bの横寸法よりも短く、横方向の両端側で超音波ホーン13と受け棒15が対向したときには、包装材シートSよりも外方に位置するので、包装材シートをその幅方向で横断し切ることが可能になっている。
【0029】
超音波ホーン13が往路走行の際には移動方向後側で僅かに倒れた姿勢を維持しながら受け棒15の角部17aと対向しており、
図8に示すように、上方から見て、超音波ホーン13の直線状の先端開口13aから角部17aに降ろした垂線(L)は一端側の垂線(L1)が最も長く、他端側の垂線(L2)が最も短くなっている。
動作との関係で言えば、太い矢印に示す往路走行の際に、垂線(L1)側が受入れ口45、垂線(L2)側が払出し口47になっている。
【0030】
受入れ口45と払出し口47は、それぞれ、包装材シートSを受入れ、払い出す部位であり、超音波ホーン13の先端開口13aと角部17aの間の隙間で構成されている。
シールは、超音波ホーン13の先端開口13aと対向する角部17aとの間の距離が有る程度以下になると開始し、カットは、超音波ホーン13の先端開口13aと対向する角部17aの間の距離が最も近くなるときに実施される。
受入れ口45はこのシール開始位置からカットする位置までに相当し、垂線(L1)から垂線(L2)まで及び、払出し口47は垂線(L2)及びその近傍に留まる。超音波ホーン13を倒したことにより、カット前に十分なシール実施距離が確保されている。
【0031】
縦型製袋充填包装装置の運転中に、横シールアンドカットユニット1は、以下のように動作する。
筒状の包装材シートSの下方への送りが停止されると、押え部21の一対の圧接面部21A、21Bが互いに接近して超音波ホーン13と受け棒15の角部17aの対向した部位の上側と下側で押え状態になり、対向する長穴21a、21bの間から露出する包装材シートSも重ね合わされて扁平で張った状態になっている。その後、長穴21Bにはアダプタ25の収容部27が嵌合されており、ここに収容された受け棒15が押し出されて、包装材シートSを突っ張らせる。
これで包装材シートSをシールアンドカット可能に保持したことになる。
【0032】
この状態で、往路走行により、包装材シートSから見ると、
図10に示すように、超音波ホーン13と受け棒15の間に向かって送り込まれていき、受入れ口45から受入れられ、超音波ホーン13の先端開口13aと角部17aとの間に挟み込まれた包装材シートSに対してシールアンドカットが施された後に払出し口47から払い出される。
図11は下送りされていく包装材シートSが横断方向にシールアンドカットされている状態をイメージしたものであるが、この図に示すように、横シール部Yの形成が先行し、その後にカットされて切込みKが形成されていくので、シール強度は確保されており、カットの際にはカットが最優先されて綺麗なカット面が得られる。
【0033】
超音波ホーン13の移動により受入れ口45、払出し口47を構成する対向面は順次遷移していき、後続の対向可能面が包装材シートSの挟み込み方向に向かって移動して対向面になっていく。
この移動動作により、受入れ口45側の対向面上に乗った異物への払出し方向側への飛出しが誘導される。
【0034】
包装材シートSの重ね合わせ側の内面が超音波振動により溶解すると、
図10に示すように、のりのカス(N)が生じるが、上記のしくみでシール強度を確保しているので、受入れ口45側にはのりのカス(N)が特に生じ易くなっている。
従来は、のりのカス(N)が超音波ホーンと受けロールの間に溜まって溜まって増長していく。この増長したのりのカス(N)は、従来は、走行中のどこかの段階で超音波ホーンと受けロールの間を通り抜けて進行方向逆側にいき、その場合に、包装材シートSのこれからシールすべき部分に張り付き易かったことから、その部分がシール不良となって、シール強度が落ちてしまう危険性があった。
しかしながら、本発明では、受け棒15が超音波ホーン13に対して相対的に上記の方向で移動しているため、異物であるのりのカス(N)は超音波ホーン13に付いて移動できず、発生したその場に都度都度置いていかれる。従って、のり(N)は増長せず、進行方向逆側にいくこともない。
従って、のりのカス(N)の生成は阻止できないが、それに伴うシール不良の発生を阻止できる。
【0035】
従って、本発明の横シールアンドカットユニット1で包装材シートSに対してシールアンドカットを施せば、適度なシール強度を安定して確保しつつ、同時に綺麗な断面のカット面が得られる。
この横シールアンドカットユニット1では、超音波ホーン13と受け棒15との特徴的な対向状態が、往路走行の際にのみ利用可能になっている。復路走行の際でも、超音波ホーン13と受け棒15との対向状態はそのまま維持しながら走行するが、往路走行を終えた時点で、押え部21による保持は解除されており、往路走行の際のようなシールアンドカットは施されない。
【0036】
往復走行の後の待機位置、すなわち長孔29aの一端側で超音波ホーン13と角部17aが対向しているときに、包装材シートSが下方に送られていくので、超音波ホーン13と角部17aシールアンドカット可能に対向しているが、その下送りは干渉しない。
【0037】
従来の受けロール方式では、受けロールも移動するので、その移動に伴って不可避的に発生する振動が縦型製袋充填包装装置の想定してなかった箇所に伝わるようなことがあった。しかしながら、受け棒15はシールアンドカットの際には剛性構造の一部にできるので、振動の発生を抑える。また、全体の構造が単純になり、メンテナンスが容易になる。
更に、受け棒15の角部17aは複数あり、摩耗が進めば、対向面となる角部17aを変更することで、受け棒15自体の交換頻度を低く抑えることができる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、本発明は、超音波方式のシールアンドカットユニットに関するものであり、上記の実施の形態では横シールアンドカットユニット1として縦型製袋充填包装装置に組み込まれていたが、製袋充填包装装置の一つのユニットとしての利用には限定されない。
また、超音波ホーン13の倒れ角度は一定ではなく、包装材シートSの材質等を考慮して最適に調整されるものであり、本発明のアイデアを基にすれば、その調整は当業者が適宜行うことができる。
更に、受け棒15の角棒部17は断面角形部であればよく、四角形には限定されない。
【符号の説明】
【0039】
1…横シールアンドカットユニット 3A、B…ユニット壁
4…取付板 5A、B…ガイドシャフト 7A、B…摺動ブロック
9…連結板 11…シリンダ式直動機構 11a…本体
13…超音波ホーン 13a…先端開口 14…ガイド
15…受け棒 17…角棒部 17a…角部
19…丸棒部 21…押え部 21A、B…圧接面部
21a、b…長穴 23…シリンダ式直動機構 23a…本体
23b…ロッド 25…リンク機構 27…アダプタ
29…収容部 29a…凹角内面 29b…連通穴
31…軸受け部 33…ガイド 35…連結部
35a…両端部 35b…中間部 35c…ねじ頭収容部
37…シリンダ式直動機構 37a…本体
37b…ロッド 38…受け部 39…取付板
39a…掛け部 41…シャフト 42…ガイド筒
43…ばね 44a…ストッパボルト 44b…ストッパ
45…受入れ口 47…払出し口
L1、L2…垂線 Y…横シール部 K…切込み N…のりのカス