(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131475
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20230914BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20230914BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20230914BHJP
H01L 21/337 20060101ALI20230914BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20230914BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230914BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H01L29/80 E
H01L29/80 H
H01L21/28 301B
H01L29/44 P
H01L29/80 C
H01L29/44 Y
H01L27/088 J
H01L27/088 D
H01L29/78 301B
H01L29/78 301V
H01L29/78 301X
H01L27/04 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036260
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】杉山 亨
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 啓
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁
(72)【発明者】
【氏名】小野村 正明
(72)【発明者】
【氏名】磯部 康裕
(72)【発明者】
【氏名】洪 洪
(72)【発明者】
【氏名】関口 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】大野 哲也
【テーマコード(参考)】
4M104
5F038
5F048
5F102
5F140
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104CC01
4M104CC05
4M104EE03
4M104EE16
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4M104GG11
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4M104HH20
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(57)【要約】
【課題】電流センス機能を持つ窒化物半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1窒化物半導体層と、第1窒化物半導体層上に設けられた第2窒化物半導体層と、複数のドレインフィンガー部を有するドレイン電極と、複数のソースフィンガー部と、ソースフィンガー部と電気的に接続されたケルビンソース部とを有するソース電極と、ドレインフィンガー部とケルビンソース部との間に位置するセンス電極と、ドレインフィンガー部とソースフィンガー部との間、及びドレインフィンガー部とセンス電極との間に位置するゲート電極とを備える。センス電極とケルビンソース部とは、第2方向におけるセンス電極とケルビンソース部との間隔によるセンス抵抗を介して電気的に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1窒化物半導体層と、
前記第1窒化物半導体層上に設けられ、前記第1窒化物半導体層よりもバンドギャップが広い第2窒化物半導体層と、
第1方向に延びる複数のドレインフィンガー部を有するドレイン電極と、
前記第1方向に延びる複数のソースフィンガー部と、前記第1方向に延び、前記ソースフィンガー部と電気的に接続されたケルビンソース部と、を有するソース電極と、
前記第1方向に交差する第2方向において隣り合う前記ドレインフィンガー部と前記ケルビンソース部との間に位置し、前記第1方向に延びるセンス電極と、
前記第2方向において隣り合う前記ドレインフィンガー部と前記ソースフィンガー部との間、及び前記第2方向において隣り合う前記ドレインフィンガー部と前記センス電極との間に位置し、前記第1方向に延びるゲート電極と、
を備え、
前記センス電極と前記ケルビンソース部とは、前記第2方向における前記センス電極と前記ケルビンソース部との間隔によるセンス抵抗を介して電気的に接続される半導体装置。
【請求項2】
前記ケルビンソース部と前記センス電極との前記第2方向における間隔は、前記ドレインフィンガー部と前記ソースフィンガー部との前記第2方向における間隔よりも狭い請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記センス抵抗における前記2次元電子ガスの分布領域の前記第1方向の幅は、前記ドレインフィンガー部と前記ソースフィンガー部との間における2次元電子ガスの分布領域の前記第1方向の幅よりも大きい請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2窒化物半導体層上に設けられた絶縁膜をさらに備え、
前記ドレインフィンガー部、前記ソースフィンガー部、前記ケルビンソース部、及び前記センス電極は、前記第2窒化物半導体層に接し、
前記ゲート電極は、前記絶縁膜上に位置する請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ゲート電極と接続されるゲート端子と、
前記センス電極と接続されるセンス端子と、
前記第1方向において前記ゲート端子と前記センス端子との間に位置し、ゲートドライバーの第1グランド端子と前記ソース電極とに接続される第1ケルビンソース端子と、
前記第1方向において前記第1ケルビンソース端子と前記センス端子との間に位置し、前記ゲートドライバーの第2グランド端子と前記ソース電極とに接続される第2ケルビンソース端子と、
をさらに備える請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
複数の前記ケルビンソース部と複数の前記センス電極とを有する請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1窒化物半導体層はGaN層であり、前記第2窒化物半導体層はAlGaN層である請求項1~6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記センス抵抗は、前記第1窒化物半導体層における前記第2窒化物半導体層との界面近傍に分布する2次元電子ガスを含む請求項1~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記センス抵抗の抵抗値は、前記ドレインフィンガー部と、前記ソースフィンガー部と、前記ドレインフィンガー部と前記ソースフィンガー部との間に位置する前記ゲート電極とを含む1個のメイン素子の抵抗値よりも低い請求項1~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現状、過電流保護などの機能を備えたGaNパワーデバイスは、シリコンMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)で電流をモニターするカスコードタイプに限られている。単体ノーマリオフGaNデバイスの電流をモニターするには、GaNデバイスで電流センス素子を作製することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、電流センス機能を持つ半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、半導体装置は、第1窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層上に設けられ、前記第1窒化物半導体層よりもバンドギャップが広い第2窒化物半導体層と、第1方向に延びる複数のドレインフィンガー部を有するドレイン電極と、前記第1方向に延びる複数のソースフィンガー部と、前記第1方向に延び、前記ソースフィンガー部と電気的に接続されたケルビンソース部と、を有するソース電極と、前記第1方向に交差する第2方向において隣り合う前記ドレインフィンガー部と前記ケルビンソース部との間に位置し、前記第1方向に延びるセンス電極と、前記第2方向において隣り合う前記ドレインフィンガー部と前記ソースフィンガー部との間、及び前記第2方向において隣り合う前記ドレインフィンガー部と前記センス電極との間に位置し、前記第1方向に延びるゲート電極と、を備え、前記センス電極と前記ケルビンソース部とは、前記第2方向における前記センス電極と前記ケルビンソース部との間隔によるセンス抵抗を介して電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態の半導体装置の平面レイアウトの一例を示す模式図である。
【
図2】実施形態の半導体装置の第1チップの模式的な断面斜視図である。
【
図4】実施形態の第1チップの他の例を示す模式的な断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ構成には同じ符号を付している。
【0008】
図1に示すように、実施形態の半導体装置1は、第1チップ10Aと第2チップ20とを有する。例えば、第1チップ10Aと第2チップ20は、1つのパッケージに搭載された状態で配線基板上に実装される。または、第1チップ10Aと第2チップ20は別々のパッケージに搭載され、配線基板上に実装されてもよい。
【0009】
第1チップ10Aは、例えば、ゲートに入力信号がない場合にオフとなるノーマリオフ型の窒化物半導体HEMT(High Electron Mobility Transistor)である。第1チップ10Aは、例えば、
図2に示すように、第2窒化物半導体層12の一部が除去された部分にMOS構造を有する。ゲート電極50と第2窒化物半導体層12との間、及びゲート電極50と第1窒化物半導体層11との間に、絶縁膜13が設けられている。または、第1チップ10Aは、ゲート電極の下方にp型窒化物半導体層を含む構造であってもよい。
【0010】
図2に示すように、第1チップ10Aは、第1窒化物半導体層11と第2窒化物半導体層12とを有する。第1窒化物半導体層11は基板100上に設けられ、第2窒化物半導体層12は第1窒化物半導体層11上に設けられている。第1窒化物半導体層11と第2窒化物半導体層12とはヘテロ接合している。基板100上にバッファ層を介して第1窒化物半導体層11を設けてもよい。
【0011】
第2窒化物半導体層12のバンドギャップは、第1窒化物半導体層11のバンドギャップよりも広い。例えば、第1窒化物半導体層11はGaN層であり、第2窒化物半導体層12はAlGaN層である。第1窒化物半導体層11における第2窒化物半導体層12との界面近傍に2次元電子ガス15が分布する。第2窒化物半導体層12上には、絶縁膜13が設けられている。絶縁膜13として、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を用いることができる。
【0012】
第1チップ10Aは、ドレイン電極30と、ソース電極40と、複数のゲート電極50と、センス電極60とを有する。ドレイン電極30、ソース電極40、ゲート電極50、及びセンス電極60は、第2窒化物半導体層12上に設けられている。
【0013】
図1及び
図2において、互いに直交する2方向を第1方向Y及び第2方向Xとする。
図2において、第1方向Y及び第2方向Xに直交し、第1窒化物半導体層11から第2窒化物半導体層12に向かう方向を第3方向Zとする。
【0014】
図1に示すように、ドレイン電極30は、第2方向Xに延びるドレイン給電部31と、ドレイン給電部31から第1方向Yに延びる複数のドレインフィンガー部32とを有する。
図2に示すように、ドレインフィンガー部32は、第2窒化物半導体層12に接している。
【0015】
図1に示すように、ソース電極40は、第2方向Xに延びるソース給電部41と、ソース給電部41から第1方向Yに延びる複数のソースフィンガー部42と、ソース給電部41から第1方向Yに延びるケルビンソース部43とを有する。ソースフィンガー部42とケルビンソース部43とは、ソース給電部41を通じて、互いに電気的に接続されている。
図2に示すように、ソースフィンガー部42及びケルビンソース部43は、第2窒化物半導体層12に接している。
【0016】
センス電極60は、第2方向Xにおいて隣り合うドレインフィンガー部32とケルビンソース部43との間に位置し、第1方向Yに延びる。センス電極60は、第2窒化物半導体層12に接している。
【0017】
ゲート電極50は、第2方向Xにおいて隣り合うドレインフィンガー部32とソースフィンガー部42との間、及び第2方向Xにおいて隣り合うドレインフィンガー部32とセンス電極60との間に位置し、第1方向Yに延びる。ゲート電極50は、絶縁膜13上に位置し、第2窒化物半導体層12に接していない。但し、ゲート電極50の下にp型窒化物半導体層を含む構造の場合、ゲート電極50は、このp型窒化物半導体層と接している。
【0018】
第1チップ10Aは、複数のメイン素子91と、少なくとも1つのセンス素子92とを有する。基板100、第1窒化物半導体層11、第2窒化物半導体層12、絶縁膜13、及び2次元電子ガス15は、メイン素子91とセンス素子92に共通に設けられている。
【0019】
メイン素子91は、第2方向Xにおいて隣り合うドレインフィンガー部32とソースフィンガー部42とを含む。さらに、メイン素子91は、第2方向Xにおいて隣り合うドレインフィンガー部32とソースフィンガー部42との間に位置するゲート電極50を含む。
【0020】
センス素子92は、センス電極60と、第2方向Xにおいてセンス電極60に隣り合うドレインフィンガー部32と、このドレインフィンガー部32とセンス電極60との間に位置するゲート電極50と、ケルビンソース部43とを含む。センス電極60は、第2方向Xにおいてケルビンソース部43とゲート電極50との間に位置する。センス素子92は、さらに第2方向Xにおけるセンス電極60とケルビンソース部43との間隔によるセンス抵抗Rを含む。センス抵抗Rは、ケルビンソース部43とセンス電極60との間の領域の下に分布する2次元電子ガス15を含む。センス電極60とケルビンソース部43とは、この2次元電子ガス15を含むセンス抵抗Rを介して電気的に接続される。
【0021】
図1において、2次元電子ガス15の分布領域81を網掛けの領域として示す。2次元電子ガス15の分布領域81は、素子分離領域82に囲まれている。
【0022】
第2チップ20は、第1チップ10Aの動作を制御するゲートドライバーである。第2チップ20は、第1端子21と、第2端子24と、第1グランド端子22と、第2グランド端子23とを有する。第1端子21と第2端子24とは、第1方向Yにおいて離れて位置する。第1グランド端子22は、第1方向Yにおいて、第1端子21と第2グランド端子23との間に位置する。第2グランド端子23は、第1方向Yにおいて、第1グランド端子22と第2端子24の間に位置する。
【0023】
第1チップ10Aは、ゲート端子52と、センス端子62と、第1ケルビンソース端子45と、第2ケルビンソース端子47とを有する。
【0024】
ゲート端子52は、第1チップ10A内のゲート配線51を介して、ゲート電極50と電気的に接続されている。また、ゲート端子52は、配線71を介して、第2チップ20の第1端子21と電気的に接続される。
【0025】
センス端子62は、第1チップ10A内の配線61を介して、センス電極60と電気的に接続されている。また、センス端子62は、配線74を介して、第2チップ20の第2端子24と電気的に接続される。
【0026】
第1ケルビンソース端子45は、第1方向Yにおいてゲート端子52とセンス端子62との間に位置する。第1ケルビンソース端子45は、第1チップ10A内の配線44を介して、ソース給電部41と電気的に接続されている。また、第1ケルビンソース端子45は、配線72を介して、第2チップ20の第1グランド端子22と電気的に接続される。
【0027】
第2ケルビンソース端子47は、第1方向Yにおいて第1ケルビンソース端子45とセンス端子62との間に位置する。第2ケルビンソース端子47は、第1チップ10A内の配線46を介して、ケルビンソース部43と電気的に接続されている。ケルビンソース部43は、第1ケルビンソース端子45とソース給電部41とを接続する配線44に接続されている。第2ケルビンソース端子47は、配線73を介して、第2チップ20の第2グランド端子23と電気的に接続される。
【0028】
第1チップ10Aのゲート端子52には、第2チップ20の第1端子21からゲート制御信号が与えられる。第1チップ10Aの第1ケルビンソース端子45には、第2チップ20の第1グランド端子22を介してグランド電位が与えられる。第1チップ10Aの第2ケルビンソース端子47には、第2チップ20の第2グランド端子23を介してグランド電位が与えられる。ソース電極40とゲート電極50との間の電圧は、例えば、0Vから十数Vの範囲でスイッチングされる。ゲート電極50の電位を制御することで、メイン素子91のドレインフィンガー部32とソースフィンガー部42との間を流れる電流(メイン電流)をオンオフすることができる。
【0029】
また、センス素子92のセンス電極60とケルビンソース部43との間の電圧から、センス抵抗Rを流れる電流(センス電流)をモニターすることができる。このセンス電流から、メイン素子91の過電流などの検出が可能となる。
【0030】
本実施形態のセンス素子92は、マルチフィンガー構造の電極を形成するプロセスにおいて、一部のフィンガーをセンス電極60とすることで容易に形成でき、低コストである。また、センス電極60をケルビンソース部43のすぐ横に形成でき、センス素子92の面積の増大をまねかず、寄生成分(抵抗、インダクタンス等)を小さくできる。
【0031】
また、メイン素子91のオン抵抗と同じ温度特性を持つ2次元電子ガス15でセンス抵抗Rを形成しているので、特に高温時の電流センス精度を高くできる。
【0032】
センス抵抗Rは、ρ×Lr/Wrで表される。ρは、2次元電子ガス15のシート抵抗である。Lrは、ケルビンソース部43とセンス電極60との第2方向Xにおける間隔である。Wrは、ケルビンソース部43とセンス電極60との間の領域の下に分布する2次元電子ガス15の分布領域の第1方向Yの幅である。LrとWrにより、センス抵抗Rの抵抗値を調整することができる。
【0033】
センス抵抗Rを含むセンス素子92の抵抗値は、1個のメイン素子91の抵抗値よりも低い。第1チップ10Aにおいて均一に電流が流れやすくするために、センス抵抗Rの抵抗値は、発生電圧がモニター可能な範囲で、メイン素子91の抵抗値に比べて十分に低くする必要がある。例えば、センス抵抗Rの抵抗値は、メイン素子91の抵抗値の1/10以下が好ましい。
【0034】
センス抵抗Rの抵抗値を低くするために、ケルビンソース部43とセンス電極60との第2方向Xにおける間隔Lrは、メイン素子91のドレインフィンガー部32とソースフィンガー部42との第2方向Xにおける間隔よりも狭いことが好ましい。
【0035】
また、センス抵抗Rの抵抗値を低くするために、ケルビンソース部43とセンス電極60との間の領域の下に分布する2次元電子ガス15の分布領域の第1方向Yの幅Wrは、メイン素子91のドレインフィンガー部32とソースフィンガー部42との間における2次元電子ガス15の分布領域の第1方向Yの幅よりも大きいことが好ましい。
【0036】
図1に示すように、第1方向Yにおいて、ゲート端子52とセンス端子62との間に、ゲート端子52とゲート制御ループL1を形成する第1ケルビンソース端子45を配置し、第1ケルビンソース端子45とセンス端子62との間に、センス端子62とセンス電流モニターループL2を形成する第2ケルビンソース端子47を配置している。これにより、微小なセンス電圧をゲート制御信号からシールドすることができ、センス電流のモニター制御を上げることができる。
【0037】
例えば、1つのセンス素子92が、複数のメイン素子91が配置された領域の周辺領域(チップの周辺領域)に配置される。また、
図4及び
図5に示す第1チップ10Bにおいては、複数のセンス素子92が配置される。すなわち、第1チップ10Bは、複数のケルビンソース部43と複数のセンス電極60を含む。センス素子92は、複数のメイン素子91が配置された領域の周辺領域に配置されるとともに、メイン素子91とメイン素子91との間の領域にも配置されている。これにより、第1チップ10Bにおける周辺領域と、周辺領域の内側の領域との電流分布をモニターすることが可能となる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1…半導体装置、10A,10B…第1チップ、11…第1窒化物半導体層、12…第2窒化物半導体層、13…絶縁膜、15…2次元電子ガス、20…第2チップ、21…第1端子、22…第1グランド端子、23…第2グランド端子、24…第2端子、30…ドレイン電極、31…ドレイン給電部、32…ドレインフィンガー部、40…ソース電極、41…ソース給電部、42…ソースフィンガー部、43…ケルビンソース部、45…第1ケルビンソース端子、47…第2ケルビンソース端子、50…ゲート電極、52…ゲート端子、60…センス電極、62…センス端子、81…2次元電子ガスの分布領域、82…素子分離領域、91…メイン素子、92…センス素子、100…基板、R…センス抵抗