(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131481
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】埋戻し部の品質管理方法
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
E02D3/12 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036271
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗本 悠平
(72)【発明者】
【氏名】浅香 美治
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AA01
2D040AB05
2D040AC05
2D040CA01
2D040CA10
2D040CB03
2D040GA02
(57)【要約】
【課題】強度の不安定性を回避することができる埋戻し部の品質管理方法を提供する。
【解決手段】セメント系固化材と水とを含有するセメントミルクを用いて施工される埋戻し部の施工品質を管理するための方法であって、埋戻される孔から泥土水を地上に回収する一方で、この孔にセメントミルクを注入して、孔内をセメントミルクに置換するステップと、置換時の未固結状態の材料に含まれるセメント系固化材量または水に対するセメント系固化材の配合比率を推定し、推定したセメント系固化材量または配合比率が、設計基準強度に基づいて設定した所定の範囲内であるか否かを判定するステップを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント系固化材と水とを含有するセメントミルクを用いて施工される埋戻し部の施工品質を管理するための方法であって、
埋戻される孔から泥土水を地上に回収する一方で、この孔にセメントミルクを注入して、孔内をセメントミルクに置換するステップと、
置換時の未固結状態の材料に含まれるセメント系固化材量または水に対するセメント系固化材の配合比率を推定し、推定したセメント系固化材量または配合比率が、設計基準強度に基づいて設定した所定の範囲内であるか否かを判定するステップを有することを特徴とする埋戻し部の品質管理方法。
【請求項2】
置換するセメントミルクにセメント原料となる建設副産物を混合するステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の埋戻し部の品質管理方法。
【請求項3】
置換完了後の固結状態の埋戻し部のせん断波速度を測定し、測定したせん断波速度が、設計基準強度に基づいて設定した所定の範囲内であるか否かを判定するステップをさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の埋戻し部の品質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋戻し部の品質管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、再開発案件では、新設構造物に既存構造物の躯体や杭を再利用しない場合、新設構造物と干渉する既存構造物の一部を予め撤去し、その領域を埋戻すのが通常である。既存杭撤去・埋戻し工事の埋戻し材には、貧配合セメントミルクを用いることがある。貧配合セメントミルクは、セメントと水、ベントナイトで構成され、水セメント比が200~400%程度のセメントミルクである。貧配合セメントミルクを撤去孔に注入すると、撤去孔内は貧配合セメントミルクと削孔泥土水が分離した状態となる。そのため、貧配合セメントミルクの注入後は、埋戻し部を専用の攪拌装置で攪拌し、埋戻し部の深度方向の物性を均一にする試みもなされている。ただし、攪拌作業を伴う埋戻し工事においても、埋戻し部の強度が設計基準強度を満足しないことがある(例えば、非特許文献1を参照)。これは、攪拌の要否や攪拌方法が明確に規定されていないためである。また、埋戻し部の攪拌には、別途、専用の攪拌装置を必要とするため、工期が圧迫され、施工費も増加する。
【0003】
貧配合セメントミルクによる埋戻し工事は、従来、配合計画時の貧配合セメントミルクの注入量で施工管理する。埋戻し部の品質は、事業者の判断にも依るが、未固結状態で採取したモールド試験体、あるいは不攪乱状態で採取したコア試験体の強度で管理する。
【0004】
一方、ソイルセメントの強度を化学的な手法により判定する方法として、例えば、特許文献1、2に記載の方法(以下、CW-QUICという。)が知られている。また、せん断波速度を用いてソイルセメントの品質を管理する方法として、例えば、特許文献3に記載の方法(以下、Vs-QUICという。)が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「既存杭撤去後の掘削孔に埋戻された泥水固化体の性状」、[online]、[2022年2月22日検索]、インターネット<URL:https://www.smcon.co.jp/service/assets/uploads/RandD/report-2019/r-04.pdf>
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-119337号公報
【特許文献2】特開2020-094872号公報
【特許文献3】特許第4120809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
埋戻し部の強度不足の例として、攪拌作業を施した事例を
図4に示す。この図に示すように、原位置から採取したコア試験体の強度(平均値)は、設計基準強度175kPaに対して、55.7kPa(材齢28日)、68.4kPa(材齢56日)となっており、設計基準強度を満足していない。
【0008】
このように埋戻し部の原位置強度が設計基準強度を満足しない場合、新設杭施工時に孔曲がりや孔壁崩壊、杭芯ずれ等の不具合を生じる可能性が高く、新設杭の設計に用いる地盤物性値の見直し作業が発生することになる。このような事態を回避するためには、埋戻し部を再掘削し、再施工する必要があるが、工期圧迫および施工・材料費の増加に繋がる。また、築造完了後の埋戻し部の品質検査は、固化材齢を考慮(通常は材齢28日に圧縮試験を実施)するため、次工程に影響を及ぼすおそれがある。このため、埋戻し部の強度の不安定性を回避することができる品質管理方法が求められていた。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、強度の不安定性を回避することができる埋戻し部の品質管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る埋戻し部の品質管理方法は、セメント系固化材と水とを含有するセメントミルクを用いて施工される埋戻し部の施工品質を管理するための方法であって、埋戻される孔から泥土水を地上に回収する一方で、この孔にセメントミルクを注入して、孔内をセメントミルクに置換するステップと、置換時の未固結状態の材料に含まれるセメント系固化材量または水に対するセメント系固化材の配合比率を推定し、推定したセメント系固化材量または配合比率が、設計基準強度に基づいて設定した所定の範囲内であるか否かを判定するステップを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の埋戻し部の品質管理方法は、上述した発明において、置換するセメントミルクにセメント原料となる建設副産物を混合するステップをさらに有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他の埋戻し部の品質管理方法は、上述した発明において、置換完了後の固結状態の埋戻し部のせん断波速度を測定し、測定したせん断波速度が、設計基準強度に基づいて設定した所定の範囲内であるか否かを判定するステップをさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る埋戻し部の品質管理方法によれば、セメント系固化材と水とを含有するセメントミルクを用いて施工される埋戻し部の施工品質を管理するための方法であって、埋戻される孔から泥土水を地上に回収する一方で、この孔にセメントミルクを注入して、孔内をセメントミルクに置換するステップと、置換時の未固結状態の材料に含まれるセメント系固化材量または水に対するセメント系固化材の配合比率を推定し、推定したセメント系固化材量または配合比率が、設計基準強度に基づいて設定した所定の範囲内であるか否かを判定するステップを有するので、設計基準強度を満たすか否かを推定しながらセメントミルクで孔を置換することにより、施工後の埋戻し部の強度の不安定性を回避することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る他の埋戻し部の品質管理方法によれば、置換するセメントミルクにセメント原料となる建設副産物を混合するステップをさらに有するので、埋戻し材に使用するセメント量を削減することができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る他の埋戻し部の品質管理方法によれば、置換完了後の固結状態の埋戻し部のせん断波速度を測定し、測定したせん断波速度が、設計基準強度に基づいて設定した所定の範囲内であるか否かを判定するステップをさらに有するので、原位置で発現している強度を直接評価することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係る埋戻し部の品質管理方法の実施の形態を示すフローチャート図である。
【
図2】
図2(1)はセメント添加量と圧縮強度の関係を示す図、(2)はせん断波速度と圧縮強度の関係を示す図、(3)は埋戻し部の材料が強度を確保していると判定される場合のイメージ図である。
【
図3】
図3は、貧配合セメントミルクによる置換方法を示す側断面図である。
【
図4】
図4は、従来の貧配合セメントミルクの一軸圧縮強さの事例を示す図である(非特許文献1の図-7、図-8を引用)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る埋戻し部の品質管理方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
上述したように、貧配合セメントミルクを用いて、品質の安定した埋戻し部を築造するには、撤去孔に分離した状態で堆積した貧配合セメントミルクと削孔泥土水を充分に攪拌する工程、あるいは貧配合セメントミルクで完全に置換する工程と、強度発現に必要なセメント添加量を迅速に検査する工程が必要となる。そこで、本実施の形態では、貧配合セメントミルクと削孔泥土水を現地で完全に置換する工程と、置換途中の貧配合セメントミルクにセメント原料となる建設副産物を混合する工程と、置換時の貧配合セメントミルクのセメント量を上記のCW-QUICによって検査し、固化後の埋戻し部の表面強度を上記のVs-QUICによって検査する工程により、品質管理を行う。
以下に、本実施の形態の具体的な実施手順について説明する。
【0019】
(室内配合試験)
図1に示すように、埋戻し部の実施工に先立ち、以下のステップS1~S3による室内配合試験を行う。
【0020】
まず、ステップS1では、セメント系固化材の添加量を3~4水準程度設定し、貧配合セメントミルクを作製する。貧配合セメントミルクの供試体は、配合毎に30本程度作製することが望ましい。
【0021】
次のステップS2では、材齢を変化させた貧配合セメントミルクの供試体を用いて、せん断波速度Vsの測定と圧縮試験を実施する。例えば、材齢8時間、12時間、24時間、2日、3日、7日、14日、28日について実施するのが好ましいが、これ以外の材齢でもよい。Vs測定と圧縮試験の供試体数は、1つの材齢に対して2~3本とするのが好ましい。
【0022】
次のステップS3では、セメント添加量と材齢28日圧縮強度の関係、および、せん断波速度Vsと圧縮強度の関係を取得する。
図2(1)、(2)に、取得された関係の例を示す。続いて、これらの関係に基づいて、設計基準強度Fc(品質確認上の強度の目標値)に対応する固化材添加量(セメント系固化材量)Cspe、またはセメント水比(配合比率)C/WspeとVs値(以下、Vs,speという。)を決定する。固化材添加量Cspeは、設計基準強度Fcの発現に必要な添加量である。
【0023】
(貧配合セメントミルクの現場施工)
次に、以下のステップS4~S8で貧配合セメントミルクを現場施工する。
まず、ステップS4では、上記のステップS3で決定した固化材添加量に基づいて、貧配合セメントミルクを現場プラントで製造する。
【0024】
次のステップS5では、貧配合セメントミルクと削孔泥土水を置換する置換装置を現場の所定箇所に据付ける。この置換装置には、例えば、リバースサーキュレーション工法(場所打ち杭)で用いる装置を使用することができる。
【0025】
次のステップS6では、
図3に示すように、地表Gに設けられた撤去孔1の底2に、揚上性能を有するエアリフトパイプ3を設置し、このエアリフトパイプ3を通じて撤去孔1内の削孔泥土水を地上の図示しない残土タンクに回収する。それと同時に、現場プラントで製造した貧配合セメントミルクを地表Gから注入装置4を用いて撤去孔1内に注入する。注入初期は、削孔泥土水が回収され、時間経過とともに、貧配合セメントミルクが混合した削孔泥土水に変遷する。なお、削孔泥土水の回収には、汎用の揚上装置を用いればよく、エアリフトパイプに限定されない。また、揚上装置の機構に応じて、撤去孔底から貧配合セメントミルクを打設し、撤去孔内の浅部から削孔泥土水を回収してもよい。
【0026】
次のステップS7では、地上に回収した削孔泥土水と貧配合セメントミルクの混合材から試料を採取し、採取した試料に対してCW-QUICを実施するとともに、現場製造分の貧配合セメントミルクによる置換を完了する。CW-QUICにより測定された固化材添加量Cobs、またはセメント水比C/Wobsを記録する。
【0027】
次のステップS8では、地上に回収した削孔泥土水と貧配合セメントミルクの混合材に、セメント原料となる建設副産物を乾燥した粉末状態で投入し、これを注入装置4で撤去孔1内へ打設するとともに、エアリフトパイプ3で通撤去孔1内から回収することによって、撤去孔1内への循環打設を開始する。セメント原料には、例えば、生コンスラッジやコンクリート再生微粉末などを用いればよい。これにより、未固結状態の貧配合セメントミルクの含水比は低下するため、強度が発現しやすくなる。また、貧配合セメントミルクの含水比を低下させることで、粘性が増加するため、材料分離抵抗性も向上する。なお、本発明では、建設副産物の投入は必須ではない。また、混合材に投入する材料は建設副産物のようなセメント原料に限るものではなく、未固結状態の貧配合セメントミルクの含水比を低下させ、強度を発現しやすくする材料であれば他の種類の材料でもよい。
【0028】
(固化材量の推定)
次のステップS9では、循環中の貧配合セメントミルクから試料を地上で採取し、採取した試料に対してCW-QUICを実施することにより、この試料に含まれる固化材添加量Cobs(またはセメント水比C/Wobs)を推定する。すなわち、採取した試料を酸で中和した際の初期のpHの変化速度(時間変化特性)を利用して、固化材添加量Cobs(またはセメント水比C/Wobs)を推定する。酸は、例えばpH=2.0程度に調整した一定濃度の酸を用いることができ、例えば塩酸や有機酸などの酸を使用することができる。この方法によれば、試料の採取から30分程度での推定が可能である。また、高額な装置を必要としないため安価に実施することができる。したがって、迅速かつ安価に固化材添加量またはセメント水比を推定することができる。参考までに、
図2(3)に、採取した貧配合セメントミルク(埋戻し部)の試料が強度を確保していると判定される場合のイメージを示す。
【0029】
次のステップS10では、推定した固化材添加量CobsがCspe以上を満たすか否か、またはセメント水比C/WobsがC/Wspe以上を満たすか否かを判定する。判定の結果、満たす場合は(ステップS10でYes)、所定の施工品質を充足する(合格)と判定して、セメント原料となる建設副産物の投入と循環を完了し、次のステップS11に進む。満たさない場合は(ステップS10でNo)、所定の施工品質を充足しない(不合格)と判定し、ステップS8に戻る。
【0030】
(強度の推定)
次のステップS11では、原位置(撤去孔内)の貧配合セメントミルクが硬化した後に、貧配合セメントミルクの打設表面でせん断波速度Vsを測定してVs-QUICを実施する。なお、せん断波速度Vs値の測定にはボーリングコアを利用してもよい。この場合、ボーリングコアを採取し、採取したコアに対してVs-QUICを実施すればよい。
【0031】
次のステップS12では、測定されたせん断波速度Vs値が、上記のステップS3にて定めたVs,spe以上か否かを判定する。Vs,spe以上であれば、埋戻し部の強度が設計基準強度Fc以上となることが見込まれる。そこで、測定されたVs値がVs,spe以上である場合を合格と判定し、処理を終了する(ステップS12でYes)。一方、測定されたVs値がVs,spe未満であり(ステップS12でNo)、かつ測定時の材齢が28日に満たなければ(ステップS13でYes)、ステップS11に戻り、せん断波速度Vsを後日に再度測定する。他方、測定されたVs値がVs,spe未満であり(ステップS12でNo)、かつ測定時の材齢が28日以降であれば(ステップS13でNo)、打設済み強度不足箇所を掘削し(ステップS14)、製造方法と配合を見直した後に(ステップS15)、ステップS4に戻る。以上の手順により、品質検査を終了する。
【0032】
本実施の形態によれば、特別な専用装置を用いることなく、貧配合セメントミルクで撤去孔を完全に置換することで、強度の不安定性を回避することができる。また、未固結状態の貧配合セメントミルクにCW-QUICを適用することで、固化材が十分添加されているか否かなどの施工品質を短時間(例えば1時間)で判定することができる。
【0033】
循環時の貧配合セメントミルクに、セメント原料となる建設副産物を再利用するため、埋戻し材に使用するセメント量を削減することができる。加えて、セメント原料となる建設副産物を乾燥した粉末状態で投入することで、貧配合セメントミルクの含水比は低下するため、強度が発現しやすくなる。また、貧配合セメントミルクの含水比を低下させることで、粘性が増加するため、材料分離抵抗性も向上し、埋戻し部の品質が安定する。
【0034】
貧配合セメントミルクが固化した後に、原位置にてVs-QUICを実施することで、原位置で発現している強度を直接評価することができる。従来の未固結状態で採取したモールド供試体、あるいは不攪乱状態で採取したコア試験体の28日材齢時の圧縮試験と比較して、品質検査に要する時間を大幅に短縮でき、施工品質を早期に判断することができる。
【0035】
以上説明したように、本発明に係る埋戻し部の品質管理方法によれば、セメント系固化材と水とを含有するセメントミルクを用いて施工される埋戻し部の施工品質を管理するための方法であって、埋戻される孔から泥土水を地上に回収する一方で、この孔にセメントミルクを注入して、孔内をセメントミルクに置換するステップと、置換時の未固結状態の材料に含まれるセメント系固化材量または水に対するセメント系固化材の配合比率を推定し、推定したセメント系固化材量または配合比率が、設計基準強度に基づいて設定した所定の範囲内であるか否かを判定するステップを有するので、設計基準強度を満たすか否かを推定しながらセメントミルクで孔を置換することにより、施工後の埋戻し部の強度の不安定性を回避することができる。
【0036】
また、本発明に係る他の埋戻し部の品質管理方法によれば、置換するセメントミルクにセメント原料となる建設副産物を混合するステップをさらに有するので、埋戻し材に使用するセメント量を削減することができる。
【0037】
また、本発明に係る他の埋戻し部の品質管理方法によれば、置換完了後の固結状態の埋戻し部のせん断波速度を測定し、測定したせん断波速度が、設計基準強度に基づいて設定した所定の範囲内であるか否かを判定するステップをさらに有するので、原位置で発現している強度を直接評価することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明に係る埋戻し部の品質管理方法は、既存杭撤去・埋戻し工事などで施工される埋戻し部の施工管理に有用であり、特に、埋戻し部における強度の不安定性を回避するのに適している。
【符号の説明】
【0039】
1 撤去孔
2 底
3 エアリフトパイプ
4 注入装置
G 地表