(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131493
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20230914BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H01L25/08 D
H01L29/78 652Q
H01L25/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036291
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】大黒 達也
(57)【要約】
【課題】アバランシェ耐量を向上できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、導電性を有し、第2厚みを有する基板と、前記基板と対向する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を含み、前記基板に電気的に接続される第1電極が前記第1面に配置され、前記第2面に第2電極が配置された第1チップと、前記第2面と対向する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を含み、前記第3面に第3電極が配置され、前記第4面に第4電極が配置された第2チップと、前記第2電極と前記第3電極との間に配置され、前記第2電極および前記第3電極に電気的に接続された第1コネクタと、前記基板および前記第4電極に電気的に接続され、前記第2チップの上方に位置する第1部分を含み、前記第1部分の第1厚みと前記第2厚みの差が、前記第1厚みおよび前記第2厚みのうちの大きい方の20%以下である第2コネクタと、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有し、第2厚みを有する基板と、
前記基板と対向する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を含み、前記基板に電気的に接続される第1電極が前記第1面に配置され、前記第2面に第2電極が配置された第1チップと、
前記第2面と対向する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を含み、前記第3面に第3電極が配置され、前記第4面に第4電極が配置された第2チップと、
前記第2電極と前記第3電極との間に配置され、前記第2電極および前記第3電極に電気的に接続された第1コネクタと、
前記基板および前記第4電極に電気的に接続され、前記第2チップの上方に位置する第1部分を含み、前記第1部分の第1厚みと前記第2厚みの差が、前記第1厚みおよび前記第2厚みのうちの大きい方の20%以下である第2コネクタと、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1厚みは、前記第2厚みより小さい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1電極と前記基板との間に位置し、導電性を有する第1接合層と、
前記第2電極と前記第1コネクタとの間に位置し、導電性を有する第2接合層と、
前記第3電極と前記第1コネクタとの間に位置し、導電性を有する第3接合層と、
前記第4電極と前記第2コネクタとの間に位置し、導電性を有する第4接合層と、
前記第1接合層、前記第2接合層、前記第3接合層、および前記第4接合層の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有し、前記第1厚みが前記第2厚みより小さい場合は前記第1接合層と前記第1電極との間または前記第2接合層と前記第2電極との間に配置され、前記第1厚みが前記第2厚みより大きい場合は前記第3接合層と前記第3電極との間または前記第4接合層と前記第4電極との間に配置される金属層と、
をさらに備える、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
導電性を有する基板と、
前記基板と対向する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を含み、前記基板に電気的に接続される第1電極が前記第1面に配置され、前記第2面に第2電極が配置された第1チップと、
前記第2面と対向する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を含み、前記第3面に第3電極が配置され、前記第4面に第4電極が配置された第2チップと、
前記第2電極と前記第3電極との間に配置され、前記第2電極および前記第3電極に電気的に接続された第1コネクタと、
前記基板および前記第4電極に電気的に接続され、前記第2チップの上方に位置する第1部分を含む第2コネクタと、
前記第1電極と前記基板との間に位置し、導電性を有する第1接合層と、
前記第2電極と前記第1コネクタとの間に位置し、導電性を有する第2接合層と、
前記第3電極と前記第1コネクタとの間に位置し、導電性を有する第3接合層と、
前記第4電極と前記第2コネクタとの間に位置し、導電性を有する第4接合層と、
前記第1接合層、前記第2接合層、前記第3接合層、および前記第4接合層の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有し、前記第1接合層と前記第1電極との間、前記第2接合層と前記第2電極との間、前記第3接合層と前記第3電極との間、および、前記第4接合層と前記第4電極との間のうち、少なくとも1つに配置される金属層と、
を備える半導体装置。
【請求項5】
前記金属層は、前記第1部分の第1厚みが前記基板において上方から見て前記第1電極と重なる部分の第2厚みより小さい場合は、前記第1接合層と前記第1電極との間または前記第2接合層と前記第2電極との間に配置され、前記第1厚みが前記第2厚みより大きい場合は、前記第3接合層と前記第3電極との間または前記第4接合層と前記第4電極との間に配置される、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1厚みは前記第2厚みよりも小さく、
前記金属層は、前記第1接合層と前記第1電極との間、及び、前記第2接合層と前記第2電極との間の双方に配置される請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
導電性を有する基板と、
前記基板と対向する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を含み、前記基板に電気的に接続される第1電極が前記第1面に配置され、前記第2面に第2電極が配置された第1チップと、
前記第2面と対向する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を含み、前記第3面に第3電極が配置され、前記第4面に第4電極が配置され、上方から見た面積が前記第1チップの面積よりも大きい第2チップと、
前記第2電極と前記第3電極との間に配置され、前記第2電極および前記第3電極に電気的に接続された第1コネクタと、
前記基板および前記第4電極に電気的に接続され、前記第2チップの上方に位置する第1部分を含み、前記第1部分の第1厚みが前記基板において上方から見て前記第1電極と重なる部分の第2厚みより小さい第2コネクタと、
を備える半導体装置。
【請求項8】
前記第2コネクタは、前記基板から前記第1部分に向かって延びる第2部分をさらに含み、
前記第2部分の厚みは、前記第1部分の厚みよりも小さい、請求項1~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
上方から見て、前記第1チップの面積および前記第2チップの面積は、それぞれ10mm2以上25mm2以下である、請求項1~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オン抵抗を抑制しつつ、大きな電流を出力できるように、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等のパワー半導体のチップを並列に接続する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、アバランシェ耐量を向上できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、導電性を有し、第2厚みを有する基板と、前記基板と対向する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を含み、前記基板に電気的に接続される第1電極が前記第1面に配置され、前記第2面に第2電極が配置された第1チップと、前記第2面と対向する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を含み、前記第3面に第3電極が配置され、前記第4面に第4電極が配置された第2チップと、前記第2電極と前記第3電極との間に配置され、前記第2電極および前記第3電極に電気的に接続された第1コネクタと、前記基板および前記第4電極に電気的に接続され、前記第2チップの上方に位置する第1部分を含み、前記第1部分の第1厚みと前記第2厚みの差が、前記第1厚みおよび前記第2厚みのうちの大きい方の20%以下である第2コネクタと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る半導体装置の基板、第1リード、第2リード、および第1チップを示す上面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る半導体装置の基板、第1リード、第2リード、第1チップ、第1コネクタ、および第3コネクタを示す上面図である。
【
図6】第1の実施形態に係る半導体装置の回路図である。
【
図7】参考例および実施例に係る半導体装置の評価回路である。
【
図8】耐圧と電流比Tr1/Tr2との関係を示すグラフである。
【
図9】チップ面積とオン抵抗の低下率との関係を示すグラフである。
【
図10】第2の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図11】第3の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図12】横軸にチップがアバランシェ破壊する際にチップに流れる電流を取り、縦軸に各電流が測定されたチップの出現頻度を取ったヒストグラムである。
【
図13】第4の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、適宜簡略化されている。各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
また、以下では、説明をわかりやすくするために、XYZ直交座標系を用いる。また、Z方向のうち、矢印の方向を「上方向」とし、その逆方向を「下方向」とするが、これらの方向は相対的なものであり、重力方向とは無関係である。また、X軸が延びる方向のうち、矢印の方向を「+X方向」ともいい、その逆方向を「-X方向」ともいう。また、Y軸が延びる方向のうち、矢印の方向を「+Y方向」ともいい、その逆方向を「-Y方向」ともいう。
【0009】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図2は、本実施形態に係る半導体装置の基板、第1リード、第2リード、および第1チップを示す上面図である。
図3は、本実施形態に係る半導体装置の基板、第1リード、第2リード、第1チップ、第1コネクタ、および第3コネクタを示す上面図である。
図4は、
図1のA-A’線における断面図である。
図5は、
図1のB-B’線における断面図である。
【0010】
本実施形態に係る半導体装置100は、
図1および
図4を参照して概説すると、基板110と、第1リード120と、第2リード130と、第1チップ140と、第2チップ150と、第1コネクタ160と、第2コネクタ170と、第3コネクタ180と、樹脂部材190と、を備える。なお、
図1では、半導体装置100の内部構造をわかりやすくするために、樹脂部材190を2点鎖線で示している。以下、半導体装置100の各部について詳述する。
【0011】
基板110は、例えば金属材料からなる。基板110に用いられる金属材料としては、例えば銅等の放熱性が高い金属が挙げられる。基板110の形状は、例えば略平板状である。具体的には、
図4に示すように、基板110の下面110aおよび上面110bは、略平坦であり、X-Y平面に概ね平行である。ただし、基板の形状は上記に限定されない。
【0012】
第1リード120は、例えば金属材料からなる。第1リード120に用いられる金属材料としては、基板110に用いられる材料と同様のものが挙げられる。第1リード120は、
図1に示すように、基板110の+X側に位置し、基板110から離隔している。第1リード120の形状は、例えば略平板状である。ただし、第1リードの位置および形状は上記に限定されない。
【0013】
第2リード130は、例えば金属材料からなる。第2リード130に用いられる金属材料としては、基板110に用いられる材料と同様のものが挙げられる。第2リード130は、基板110の-X側に位置し、基板110および第1リード120から離隔している。第2リード130の形状は、例えば略平板状である。ただし、第2リードの位置および形状は上記に限定されない。
【0014】
第1チップ140は、
図2に示すように基板110上に配置されている。第1チップ140は、例えば、FP(Field Plate)電極を有するMOSFETである。ただし、第1チップは、FP電極が配置されていないMOSFETであってもよいし、他の種類の半導体素子であってもよい。第1チップ140の形状は、例えば略平板状である。具体的には、上面視における第1チップ140の形状は、略矩形である。第1チップ140の表面は、
図4に示すように、基板110と対向する下面140aと、下面140aの反対側に位置する上面140bと、を含む。
【0015】
図5に示すように、第1チップ140は半導体部分145を有する。半導体部分145はシリコン等の半導体材料からなり、局所的に不純物が導入されて導電形がn形又はp形とされている。第1チップ140の下面140aには、ドレイン電極141が配置されている。ドレイン電極141は、半田等の導電性の接合層141cにより、基板110に電気的に接続されている。ここで、「電極がある面に配置されている」とは、電極の表面の少なくとも一部がその面において露出していることを意味する。本実施形態では、接合層141cは基板110およびドレイン電極141の両方に接している。第1チップ140の上面140bには、ソース電極142およびゲート電極143が配置されている。
【0016】
上方、すなわち、+Z方向から見て、ソース電極142の形状は、
図2に示すように、四角形の一の角部を切り欠くとともに、他の角部を丸めたような形状である。ゲート電極143は、ソース電極142から離隔しており、ソース電極142の角部を切り欠いた領域に配置されている。上面視におけるゲート電極143の形状は、角部を丸めた略四角形である。ゲート電極143はソース電極142から離隔している。ただし、ソース電極及びゲート電極の位置および形状は、上記に限定されない。
【0017】
第2チップ150は、例えば第1チップ140と同じ半導体素子である。具体的には、第2チップ150は、FP電極を有するMOSFETである。また、本実施形態においては、第2チップ150のチップ面積及び形状は、第1チップ140のチップ面積及び形状と略同一である。なお、「チップ面積」とは、X-Y平面における面積をいう。
【0018】
第2チップ150は、
図4に示すように第1チップ140の上方に配置される。第2チップ150の表面は、第1チップ140の上面140bと対向する下面150aと、下面150aの反対側に位置する上面150bと、を含む。
【0019】
図5に示すように、第2チップ150は半導体部分155を有する。半導体部分155はシリコン等の半導体材料からなり、局所的に不純物が導入されて導電形がn形又はp形とされている。第2チップ150の下面150aには、ソース電極151およびゲート電極152が配置されている。第2チップ150の上面150bには、ドレイン電極153が配置されている。
【0020】
第2チップ150のソース電極151は、第1チップ140のソース電極142と対向している。第2チップ150のソース電極151の形状は、第1チップ140のソース電極142の形状と略同一である。第2チップ150のソース電極151の面積は、第1チップ140のソース電極142の面積と概ね同一である。
【0021】
第2チップ150のゲート電極152は、第1チップ140のゲート電極143と対向している。第2チップ150のゲート電極152の形状は、第1チップ140のゲート電極143の形状と略同一である。第2チップ150のゲート電極152の面積は、第1チップ140のゲート電極143の面積と概ね同一である。
【0022】
したがって、第1チップ140と第2チップ150は、第1チップ140と第2チップ150との隙間の中心を通りX-Y平面に略平行な平面Pを基準として略対称に配置されている。ただし、ソース電極およびゲート電極の位置および形状は、上記に限定されない。
【0023】
上方から見た第1チップ140の面積および第2チップ150の面積は、それぞれ10mm2以上25mm2以下であることが好ましい。ただし、各チップの面積は、上記に限定されない。
【0024】
第1コネクタ160は、第1チップ140のソース電極142、第2チップ150のソース電極151、および第1リード120に電気的に接続されている。第1コネクタ160は、例えば金属材料等からなる。第1コネクタ160に用いられる金属材料は、基板110に用いる材料と同様の材料を用いることができる。第1コネクタ160は、例えば、1枚の銅板が折曲加工されて形成されたものである。
【0025】
第1コネクタ160は、第1チップ140の上方に位置する第1部分161と、第1部分161から第1リード120に向かって延びる第2部分162と、第2部分162の下端に連なり、第1リード120の表面に沿って延びる第3部分163と、を有する。
【0026】
第1部分161の形状は、例えばX-Y平面に略平行な略平板状である。第1部分161は、2つのソース電極142、151の間に配置されるとともに、上方から見て第1チップ140および第2チップ150よりも+X方向に延出している。第1部分161は、半田等の導電性の接合層142cにより第1チップ140のソース電極142に接続されている。また、第1部分161は、半田等の導電性の接合層151cにより第2チップ150のソース電極151に接続されている。
【0027】
第2部分162は、本実施形態では第1部分161の+X方向における端部に連なり、下方向に延びている。第3部分163は、第2部分162の下端から+X方向に延びている。第3部分163は、半田等の導電性の接合層120cにより、第1リード120に接続されている。ただし、第1コネクタ160の形状は上記に限定されない。
【0028】
第3コネクタ180は、第1チップ140のゲート電極143、第2チップ150のゲート電極152、および第2リード130に電気的に接続されている。第3コネクタ180には、第1コネクタ160に用いる材料と同様の材料を用いることができる。第3コネクタ180は、例えば、1枚の銅板が折曲加工されて形成されたものである。
【0029】
第3コネクタ180は、第1チップ140の上方に位置する第1部分181と、第1部分181から第2リード130に向かって延びる第2部分182と、第2部分182の下端に連なり、第2リード130の表面に沿って延びる第3部分183と、を有する。
【0030】
第1部分181の形状は、例えばX-Y平面に略平行な略平板状である。第1部分181は、2つのゲート電極143、152の間に配置されるとともに、上方から見て第1チップ140および第2チップ150よりも-X方向に突出している。第1部分181は、半田等の導電性の接合層143cにより、第1チップ140のゲート電極143に接続されている。第1部分181は、半田等の導電性の接合層152cにより、第2チップ150のゲート電極152に接続されている。
【0031】
第2部分182は、本実施形態では第1部分181の-X方向における端部に連なり、下方向に延びている。第3部分183は、第2部分182の下端から-X方向に延びている。第3部分183は、半田等の導電性の接合層130cにより、第2リード130に接続されている。ただし、第3コネクタ180の形状は上記に限定されない。
【0032】
第2コネクタ170は、
図5に示すように、第2チップ150のドレイン電極153および基板110に電気的に接続されている。第2コネクタ170は、例えば基板110と同じ材料からなる。第2コネクタ170は、例えば、1枚の銅板が折曲加工されて形成されたものである。
【0033】
第2コネクタ170は、第2チップ150の上方に位置する第1部分171と、第1部分171から基板110に延びる第2部分172と、第2部分172の下端に連なり、基板110の表面に沿って延びる第3部分173と、を有する。
【0034】
第1部分171の形状は、例えばX-Y平面に略平行な略平板状である。第1部分171は、上方から見て第2チップ150のドレイン電極153を覆うとともに、上方から見て第1チップ140および第2チップ150よりも+Y方向に延出している。第1部分171は、半田等の導電性の接合層153cにより、第2チップ150のドレイン電極153に接続されている。
【0035】
第2部分172は、本実施形態では第1部分171の+Y方向における端部に連なり、下方向に延びている。第3部分173は、第2部分172の下端から+Y方向に延びている。第3部分173は、半田等の導電性の接合層110cにより、基板110に接続されている。第2部分172の厚みは、第1部分171の厚みと等しいか、第1部分171の厚みよりも小さいことが好ましい。第2部分172の厚みが第1部分171の厚みよりも小さいことにより、第2コネクタ170を折曲加工によって形成することが容易になる。ただし、第2コネクタ170の形状は上記に限定されない。
【0036】
第1部分171の第1厚みD1は、本実施形態では、基板110において上方から見てドレイン電極141と重なる部分の第2厚みD2よりも小さい。第1厚みD1と第2厚みD2との差は、第2厚みD2の20%以下であることが好ましい。ただし、第1厚みは第2厚みより大きくてもよい。この場合、第1厚みと第2厚みとの差は、第1厚みの20%以下であることが好ましい。また、第1厚みと第2厚みは、同じであってもよい。すなわち、第1厚みと第2厚みとの差は、第1厚みおよび第2厚みのうちの大きい方の厚みの20%以下であることが好ましい。すなわち、厚みD1、D2は、下記数式を満たすことが好ましい。
(D2-D1)/D2×100≦20 (D1≦D2)
(D1-D2)/D1×100≦20 (D1≧D2)
【0037】
樹脂部材190は、第1チップ140、第2チップ150、第1コネクタ160、第2コネクタ170、および第3コネクタ180を封止している。樹脂部材190は、
図1、
図4および
図5に示すように、基板110の+Y方向における端部および基板110の下面110aを露出している。基板110において樹脂部材190から露出する部分は、2つのドレイン電極141、153を外部に接続する接続端子として機能する。樹脂部材190は、第1リード120の+X方向における端部および第1リード120の下面を露出している。第1リード120において樹脂部材190から露出する部分は、2つのソース電極142、151を外部に接続する接続端子として機能する。樹脂部材190は、第2リード130の-X方向における端部および第2リード130の下面を露出している。第2リード130において樹脂部材190から露出する部分は、2つのゲート電極143、152を外部に接続する接続端子として機能する。樹脂部材190は、例えば熱硬化性樹脂等の樹脂材料からなる。
【0038】
第1チップ140および第2チップ150の耐圧は、例えば0Vより大きく100V以下であることが好ましい。ただし、第1チップ140および第2チップ150の耐圧は上記に限定されない。
【0039】
次に、本実施形態の効果について説明する。
図6は、本実施形態に係る半導体装置の回路図である。
図6では、半導体装置100において、2つのドレイン電極141、153の外部への接続端子を符号110dで示し、2つのソース電極142、151の外部への接続端子を符号120dで示し、2つのゲート電極143、152の外部への接続端子を符号130dで示している。
【0040】
図4および
図6に示すように、第1チップ140のゲート電極143と第2チップ150のゲート電極152は、第3コネクタ180および第2リード130を介して外部に接続される。したがって、外部への接続端子130dからゲート電極143までの電流経路と、外部への接続端子130dからゲート電極152までの電流経路の大部分が共通している。このため、接続端子130dからゲート電極143までの電流経路と、接続端子130dからゲート電極152までの電流経路との間で、電気抵抗の差は生じにくい。
【0041】
同様に、第1チップ140のソース電極142と第2チップ150のソース電極151は、第1コネクタ160および第1リード120を介して外部に接続される。したがって、ソース電極142から外部への接続端子120dまでの電流経路と、ソース電極151から外部への接続端子120dまでの電流経路の大部分が共通している。このため、接続端子120dからソース電極142のまでの電流経路と、接続端子120dからソース電極151までの電流経路との間で、電気抵抗の差は生じにくい。
【0042】
一方、
図5および
図6に示すように、第1チップ140のドレイン電極141は、基板110を介して外部に接続され、第2チップ150のドレイン電極153は、基板110および第2コネクタ170により、外部に接続される。そのため、外部への接続端子110dからドレイン電極141までの電流経路と、外部への接続端子110dからドレイン電極153までの電流経路は、大部分が相違する。以下では、基板110においてこれら2つの電流経路において共通する部分の電気抵抗を電気抵抗R1とし、基板110においてこれら2つの電流経路において第1チップ140のドレイン電極141に至る電流経路のみにおける電気抵抗を電気抵抗R2とし、第2コネクタ170の電気抵抗を電気抵抗R3とする。
【0043】
第2コネクタ170の第1厚みD1が基板110の第2厚みD2よりも小さくなるほど、電気抵抗R3が電気抵抗R2よりも大きくなる。電気抵抗R3が電気抵抗R2よりも大きくなるほど、第2チップ150のドレイン電極153よりも第1チップ140のドレイン電極141に電流が流れやすくなる。このような場合、半導体装置100のソース-ドレイン間電流を増加させていくと、電流がより多く流れる第1チップ140が、アバランシェ破壊し易くなる。逆に、基板110の第2厚みD2が第2コネクタ170の第1厚みD1よりも小さくなるほど、電気抵抗R2が電気抵抗R3よりも大きくなる。電気抵抗R2が電気抵抗R3よりも大きくなるほど、第1チップ140のドレイン電極141よりも第2チップ150のドレイン電極153に電流が流れやすくなる。このような場合、半導体装置100のソース-ドレイン間電流を増加させていくと、電流がより多く流れる第2チップ150が、アバランシェ破壊し易くなる。
【0044】
本実施形態では、第1厚みD1と第2厚みD2との差は、第1厚みD1および第2厚みD2のうちの大きい方の厚みの20%以下である。そのため、電気抵抗R2と電気抵抗R3との差を低減できる。その結果、第1チップ140または第2チップ150に偏って電流が流れ、アバランシェ破壊に至ることを抑制できる。以上により、半導体装置100全体のアバランシェ耐量を向上できる。
【0045】
また、本実施形態では、第2厚みD2は、第1厚みD1よりも小さい。そのため、第2コネクタ170の熱膨張量を低減できる。これにより、第2コネクタ170が熱膨張した際に、第2コネクタ170を覆う樹脂部材190が変形または破損等することを抑制できる。
【0046】
<第1の実施例>
次に、第1の実施形態の第1の実施例を説明する。
図7は、参考例および実施例に係る半導体装置の評価回路である。
図8は、耐圧と電流比Tr1/Tr2との関係を示すグラフである。
【0047】
参考例1~3に係る半導体装置および実施例1~3に係る半導体装置を作成した。参考例1~3に係る半導体装置および実施例1~3に係る半導体装置は、それぞれ、第1の実施形態と同様に、基板110、第1リード120、第2リード130、第1チップ140、第2チップ150、第1コネクタ160、第2コネクタ170、第3コネクタ180、および樹脂部材190を備え、第2コネクタ170の第1厚みD1以外の構成が共通している。参考例1~3に係る半導体装置においては、第2コネクタ170の第1厚みD1を150μmとし、実施例1~3に係る半導体装置においては、第2コネクタ170の第1厚みD1を250μmとした。なお、参考例1~3に係る半導体装置および実施例1~3に係る半導体装置においては、いずれも基板110の第2厚みD2を300μmとした。したがって、参考例1~3に係る半導体装置においては、第1厚みD1と第2厚みD2との差は、150μmであり、第2厚みD2の50%である。実施例1~3に係る半導体装置においては、第1厚みD1と第2厚みD2との差は、50μmであり、第2厚みD2の約17%であり、20%以下である。
【0048】
また、参考例1に係る半導体装置および実施例1に係る半導体装置の耐圧は40Vとし、参考例2に係る半導体装置および実施例2に係る半導体装置の耐圧は100Vとし、参考例3に係る半導体装置および実施例3に係る半導体装置の耐圧は150Vとした。
【0049】
そして、参考例1~3に係る半導体装置および実施例1~3に係る半導体装置をそれぞれ、
図7に示す評価回路に組み込み、第1チップ140に流れる電流Tr1および第2チップ150に流れる電流Tr2を測定した。具体的には、接続端子110dは、インダクタ910に電気的に接続した。インダクタ910は、さらに電源920に電気的に接続した。接続端子120dは、アース930に電気的に接続した。接続端子130dは、信号源940に電気的に接続した。
【0050】
参考例1~3に係る半導体装置および実施例1~3に係る半導体装置のそれぞれについて、電流Tr1と電流Tr2との比Tr1/Tr2を算出した。得られた電流比Tr1/Tr2との耐圧との関係を
図8に示す。なお、
図8では、横軸は耐圧を示し、縦軸は電流比Tr1/Tr2を示す。電流比Tr1/Tr2が1に近いほど、第1チップ140と第2チップ150に均等に電流が流れていることを意味する。
【0051】
図8に示すように、同じ耐圧であっても、参考例1~3に係る半導体装置よりも実施例1~3に係る半導体装置の方が、比Tr1/Tr2が1に近い。このため、半導体装置のソース-ドレイン間電流を増加させていったときに、いずれか一方のチップが先に破壊されることを抑制でき、半導体装置全体のアバランシェ耐量が向上する。したがって、第1厚みD1と第2厚みD2との差は、第2厚みD2の20%以下であることが好ましい。
【0052】
また、耐圧が100V以下の範囲では、耐圧が100Vより大きい範囲よりも、第1厚みD1と第2厚みD2との差を第2厚みD2の20%以下にすることで比Tr1/Tr2を1に近づける効果が高い。これは、耐圧が高いほど、半導体装置の総抵抗において各チップ140、150の内部抵抗が占める割合が高くなり、電気抵抗R2、R3の占める割合が低くなるためであると考えられる。したがって、半導体装置の耐圧は100V以下であることが好ましい。
【0053】
<第2の実施例>
次に、第1の実施形態の第2の実施例を説明する。
図9は、横軸に1つのチップのチップ面積をとり、縦軸に2つのチップを積層して並列に接続することによるオン抵抗の低下率をとって、チップを積層させる効果を示すグラフである。
図9の縦軸は、1つのチップのオン抵抗に対して2つの同じチップを積層して並列に接続したときの全体のオン抵抗の低下率を示している。チップの内部抵抗のみに基づいて単純に計算すれば、オン抵抗の低下率は-50%になるはずである。
【0054】
図9に示すように、チップ面積が小さいほどオン抵抗の低下率は顕著になった。これは、チップ面積が小さいほど、トランジスタ部の抵抗が大きくなり、総抵抗に対してトランジスタ部の抵抗が占める割合が増加するので、積層することによるトランジスタ部の抵抗低減が総抵抗低減率を大きくしているためと考えられる。したがって、上方から見た第1チップ140のチップ面積および第2チップ150のチップ面積は、それぞれ10mm
2以上25mm
2以下であることが好ましい。
【0055】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図10は、本実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
本実施形態に係る半導体装置200は、第1チップ240の向きおよび第2チップ250の向きが第1の実施形態に係る半導体装置100と相違する。
なお、以下の説明においては、主に第1の実施形態との相違点のみを説明する。以下に説明する事項以外は、第1の実施形態と同様に構成できる。後述する他の実施形態についても同様である。
【0056】
第1チップ240の下面240aには、ソース電極241およびゲート電極242が配置されている。ソース電極241は、導電性を有する第1基板210と対向しており、接合層241cを介して第1基板210に電気的に接続されている。ゲート電極242は、導電性を有する第2基板220と対向しており、接合層242cを介して第2基板220に電気的に接続されている。
【0057】
第1チップ240の上面240bには、ドレイン電極243が配置されている。ドレイン電極243は、第1コネクタ260と対向している。ドレイン電極243は、接合層243cを介して、第1コネクタ260に電気的に接続されている。第1コネクタ260は、第1の実施形態における第1コネクタ160と同様に、ドレイン用のリード(不図示)に接続されている。
【0058】
第2チップ250の下面250aには、ドレイン電極251が配置されている。ドレイン電極251は、第1コネクタ260と対向している。ドレイン電極251は、接合層251cを介して、第1コネクタ260に電気的に接続されている。
【0059】
第2チップ250の上面250bには、ソース電極252およびゲート電極253が配置されている。ソース電極252は、第2コネクタ270と対向している。ソース電極252は、接合層252cを介して、第2コネクタ270に電気的に接続されている。ゲート電極253は、第3コネクタ280と対向している。ゲート電極253は、接合層253cを介して、第3コネクタ280に電気的に接続されている。
【0060】
第2コネクタ270は、第2チップ250の上方に位置する第1部分271と、第1部分271から第1基板210に向かって延びる第2部分272と、第2部分272の下端に連なり、第1基板210の表面に沿う方向に延びる第3部分273と、を有する。第1部分271の第1厚みD21と第1基板210において上方から見てソース電極241と重なる部分の第2厚みD22との差は、第1厚みD21および第2厚みD22のうちの大きい方(
図10では、第2厚みD22)の20%以下である。
【0061】
同様に、第3コネクタ280は、第2チップ250の上方に位置する第1部分281と、第1部分281から第2基板220に向かって延びる第2部分282と、第2部分282の下端に連なり、第2基板220の表面に沿う方向に延びる第3部分283と、を有する。
【0062】
このような半導体装置200においても、第1厚みD21と第2厚みD22との差を、第1厚みD21および第2厚みD22のうちの大きい方の20%以下とすることにより、第1基板210から第1チップ240のソース電極241に至る電流経路の電気抵抗と、第1基板210から第2コネクタ270を介して第2チップ250のソース電極252に至る電流経路の電気抵抗との差を低減し、一方のチップに電流が集中することを抑制できる。この結果、半導体装置200のアバランシェ耐量を向上できる。
【0063】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態を説明する。
図11は、本実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図11に示すように、本実施形態に係る半導体装置300は、複数の金属層341e、342e、343eをさらに備える点で第1の実施形態に係る半導体装置100と相違する。
【0064】
本実施形態では、第2厚みD2は第1厚みD1よりも厚い。また、第1厚みD1と第2厚みD2との差は、第2厚みD2の20%以下である。そのため、第2チップ150よりも第1チップ140に、電流が流れやすい。ただし、第1厚みD1と第2厚みD2との差は、第2厚みD2の20%より大きくてもよい。すなわち、第1厚みD1と第2厚みD2との差は、第1厚みD1および第2厚みD2のうちの大きい方の20%よりも、大きくてもよい。
【0065】
金属層341eは、ドレイン電極141と接合層141cとの間に位置する。金属層341eは、接合層141cの上面とドレイン電極141の下面に接しており、これにより、接合層141cおよびドレイン電極141と電気的に接続されている。金属層342eは、ソース電極142と接合層142cとの間に位置する。金属層342eは、ソース電極142の上面と接合層142cの下面に接しており、これにより、ソース電極142および接合層142cと電気的に接続されている。金属層343eは、ゲート電極143と接合層143cとの間に位置する。金属層343eは、ゲート電極143の上面と接合層143cの下面に接しており、これにより、ゲート電極143および接合層143cと電気的に接続されている。金属層341e、342e、343eは、それぞれ、X-Y平面に沿って拡がっている。
【0066】
各金属層341e、342e、343eの熱伝導率は、接合層141c、142c、143cの熱伝導率よりも高い。各金属層341eは、例えば、金、銀、また銅のうちの1種以上を含む。各金属層341e、342e、343eの厚みは、特に限定されないが例えば10μm以上20μm以下である。一方、接合層141c、142c、143cは、例えば半田からなる。一般に半田は熱伝導率が低い。
【0067】
本実施形態に係る半導体装置300においては、第2厚みD2が第1厚みD1よりも厚いため、第2チップ150よりも第1チップ140に電流が流れやすい。そこで、第1チップ140の電極141、142、143上に、それぞれ金属層341e、342e、343eを配置している。これにより、第1チップ140内において電流が特に集中する部分で発生した熱を、X-Y平面に沿って拡散させることにより、第1チップ140内の温度を均一化することができる。これにより、第1チップ140における電流が集中した部分で熱破壊が生じることを抑制し、第1チップ140のアバランシェ破壊を抑制できる。この結果、半導体装置300のアバランシェ耐量を向上できる。
【0068】
また、本実施形態においては、各金属層が各接合層よりも第1チップ140側に配置されている。これにより、熱伝導率が低い接合層を介さずに、第1チップ140から各金属層に熱が直接伝わる。この結果、金属層によって熱を効果的に拡散させることができ、半導体装置300のアバランシェ耐量が確実に向上する。
【0069】
<試験例>
次に、第3の実施形態の試験例を説明する。
図12は、横軸にチップがアバランシェ破壊する際にチップに流れる電流を取り、縦軸に各電流が測定されたチップの出現頻度を取ったヒストグラムである。
第1チップ140および第2チップ150と同様の構成を有し、ドレイン電極、ソース電極、およびゲート電極のそれぞれの上に、銅からなる厚さ10μmの金属層を配置した10個のチップを準備した。また、第1チップ140および第2チップ150と同様の構成を有し、ドレイン電極、ソース電極、およびゲート電極上に金属層が配置されていない10個のチップを準備した。そして、それぞれのチップがアバランシェ破壊する際の電流Trを測定した。その結果を
図11に示す。
【0070】
図12に示すように、金属層が電極上に配置されたチップでは、チップが破壊する際の電流Trが高くなり易いことがわかった。すなわち、チップの電極上に金属層を配置することで、チップのアバランシェ耐量を向上できることがわかった。各チップについての電流Trの平均値をとると、金属層を設けた場合は金属層を設けない場合と比較して、アバランシェ耐量が約10%向上した。
【0071】
ただし、第1チップの全ての電極上に金属層を配置しなくてもよい。また、第2厚みは第1厚みよりも大きくてもよい。この場合、第1チップよりも第2チップに電流が流れやすい。そのため、このような場合、第2チップの電極上に金属層を配置すれば、第2チップにおいて生じた熱を効率的に均一化できる。すなわち、第1厚みが第2厚みより小さい場合は、第1チップのいずれかの電極上に配置され、第1厚みが第2厚みより大きい場合は第2チップのいずれかの電極上に金属層を配置すればよい。また、このような金属層は、第2の実施形態に係る半導体装置に配置してもよい。
【0072】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態を説明する。
図13は、本実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図13は、第1の実施形態における
図5に相当する。
【0073】
本実施形態に係る半導体装置400は、電流がより流れやすいチップのチップ面積が、電流がより流れにくいチップのチップ面積よりも小さい点で、第1の実施形態に係る半導体装置100と相違する。
【0074】
図13に示すように、半導体装置400においては、基板110の第2厚みD2が第2コネクタ170の第1部分171の第1厚みD1よりも大きい。このため、仮に第1チップ340と第2チップ350が同じ規格のチップであれば、第1チップ340に電流が集中しやすい。そこで、本実施形態においては、第1チップ340のチップ面積を第2チップ350のチップ面積よりも小さくしている。これにより、第1チップ340の内部抵抗が第2チップ350の内部抵抗よりも高くなり、第1チップ340に電流が集中することを抑制できる。これにより、半導体装置400全体のアバランシェ耐量が向上する。
【0075】
なお、前述の各実施形態においては、基板と第2コネクタを同じ材料により形成する例を示したが、これには限定されない。例えば、基板が第2コネクタよりも厚い場合は、基板を形成する材料の電気抵抗率を、第2コネクタを形成する材料の電気抵抗率より高くしてもよい。例えば、基板をアルミニウム(電気抵抗率は20℃において28.2nΩ・m)によって形成し、第2コネクタを銅(電気抵抗率は20℃において16.8nΩ・m)によって形成してもよい。
【0076】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。また、上述した各実施形態は、相互に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0077】
100、200、300、400:半導体装置
110 :基板
110a :下面
110b :上面
110c、120c、130c、141c、142c、143c、151c、152c、153c:接合層
110d、120d、130d:接続端子
120 :第1リード
130 :第2リード
140、240、340:第1チップ
140a、240a:下面
140b、240b:上面
141、243:ドレイン電極
142、241:ソース電極
143、242:ゲート電極
145、155:半導体部分
150、250、350:第2チップ
150a、250a:下面
150b、250b:上面
151、252:ソース電極
152、253:ゲート電極
153、251:ドレイン電極
160、260:第1コネクタ
161 :第1部分
162 :第2部分
163 :第3部分
170、270:第2コネクタ
171、271:第1部分
172、272:第2部分
173、273:第3部分
180、280:第3コネクタ
181、281:第1部分
182、282:第2部分
183、283:第3部分
190 :樹脂部材
210 :第1基板
220 :第2基板
341e、342e、343e:金属層
910 :インダクタ
920 :電源
930 :アース
940 :信号源
D1、D21:第1厚み
D2、D22:第2厚み
P :平面
R1、R2、R3:電気抵抗
Tr、Tr1、Tr2:電流