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特開2023-131500スクリューネジおよびスクリューネジの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131500
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】スクリューネジおよびスクリューネジの使用方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 25/00 20060101AFI20230914BHJP
   F16B 25/02 20060101ALI20230914BHJP
   F16B 25/04 20060101ALI20230914BHJP
   F16B 25/08 20060101ALI20230914BHJP
   F16B 25/10 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
F16B25/00 B
F16B25/02
F16B25/04 B
F16B25/08
F16B25/10 A
F16B25/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036305
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】315007581
【氏名又は名称】BXカネシン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 進
(57)【要約】
【課題】軸部先端を突刺すためスクリューネジの頭部を叩いた場合でも、頭部に設けた駆動部の変形を極力防止することができるスクリューネジ、およびそのスクリューネジを使用して施工効率が向上し、かつ、打ち込みの際にぶれがなく、垂直に打ち込むことができ、安定した施工が可能となるスクリューネジの使用方法を提供する。
【解決手段】工具先端が嵌る凹形状の駆動部11a1が設けられた頭部11と、その頭部11における駆動部11a1の反対側に首下部12と軸部13とを備え、軸部13先端に突刺し部13aを設け、その突刺し部13aの後方に所定長さの主ネジ部13bを設ける一方、主ネジ部13bと間隔を空けて首下部12側に副ネジ部13cを設け、頭部11における駆動部11a1周囲には、所定間隔を空けて複数の突起部11a2を設けている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具先端が嵌る凹形状の駆動部が設けられた頭部と、その頭部における前記駆動部の反対側に軸部とを備え、
前記軸部には、外周面にネジ部が設けられると共に、先端には突刺し部が設けられ、
前記頭部における前記駆動部の周囲に突起部が設けられていることを特徴とするスクリューネジ。
【請求項2】
請求項1記載のスクリューネジにおいて、
前記突起部は、所定間隔を空けて複数設けられていることを特徴とするスクリューネジ。
【請求項3】
請求項2に記載のスクリューネジにおいて、
前記頭部における前記軸部側の面には、前記軸部を中心として前記頭部の円周方向に延びる切削刃が所定間隔を空けて複数設けられており、
前記複数の突起部は、それぞれ、前記軸部側の面とは反対側である前記駆動部側の面に前記複数の切削刃とその一部または全部が重なるように設けられていることを特徴とするスクリューネジ。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一の請求項に記載のスクリューネジの前記頭部を事前に叩いて前記軸部先端の前記突刺し部を接合対象物に突刺して前記スクリューネジを仮止めし、その後、前記スクリューネジの前記駆動部に工具先端を嵌合して回転させ前記スクリューネジを仮止めされた前記接合対象物および他の接合対象物に打ち込むことを特徴とするスクリューネジの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具先端が嵌る凹形状の駆動部が設けられた頭部と、その頭部における駆動部の反対側にネジ部が設けられた軸部とを備えたスクリューネジおよびスクリューネジの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリューネジとして、例えば、柱材と板材等の木材同士を接合する木ねじがある(例えば、特許文献1参照。)。このスクリューネジは、基端側に頭部が形成された軸部と、軸部の先端側に形成され、連結時に柱材等に締結される主ねじ部と、軸部における頭部の首下に形成され、連結時に板材に締結される首下ねじ部とを備えている。
【0003】
このようなスクリューネジは、木材同士を接合する際、スクリューネジの頭部をハンマー等で叩いたり等して軸部先端(特許文献1では、ドリル刃先端部と称している。)を木材に突刺し、その後、工具先端が嵌る頭部の駆動部に工具を差し込んでスクリューネジを回転させて木材同士を接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5337732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献1に開示されたスクリューネジでは、通常、スクリューネジ頭部をハンマー等で叩いて軸部先端のドリル刃先端部を木材に突刺すため、ハンマー等で叩いた際にスクリューネジ頭部の駆動部が変形して、駆動部にビット等を差し込むことができない場合があり、工具でスクリューネジを回転させることが困難になるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、軸部先端を突刺すためスクリューネジの頭部を叩いた場合でも、駆動部を変形し難くすることができるスクリューネジ、およびそのスクリューネジを使用して施工効率が向上し、かつ、打ち込みの際にぶれがなく、垂直に打ち込むことができ、安定した施工が可能となるスクリューネジの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るスクリューネジは、工具先端が嵌る凹形状の駆動部が設けられた頭部と、その頭部における前記駆動部の反対側に軸部とを備え、前記軸部には、外周面にネジ部が設けられると共に、先端には突刺し部が設けられ、前記頭部における前記駆動部の周囲に突起部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係るスクリューネジでは、前記突起部は、所定間隔を空けて複数設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るスクリューネジでは、前記頭部における前記軸部側の面には、前記軸部を中心として前記頭部の円周方向に延びる切削刃が所定間隔を空けて複数設けられており、前記複数の突起部は、それぞれ、前記軸部側の面とは反対側である前記駆動部側の面に前記複数の切削刃とその一部または全部が重なるように設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るスクリューネジの使用方法は、上述のいずれかに記載のスクリューネジの前記頭部を事前に叩いて前記軸部先端の前記突刺し部を接合対象物に突刺して前記スクリューネジを仮止めし、その後、前記スクリューネジの前記駆動部に工具先端を嵌合して回転させ前記スクリューネジを仮止めされた前記接合対象物および他の接合対象物に打ち込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るスクリューネジでは、頭部における駆動部の周囲に突起部が設けられているため、軸部先端を突刺すためスクリューネジの頭部を叩いた場合でも、突起部を叩くことになり、駆動部を変形し難くすることができる。
また、本発明に係るスクリューネジの使用方法では、スクリューネジの頭部を事前にハンマー等で叩いて木材等にスクリューネジを仮止めした後、スクリューネジの駆動部に工具先端を嵌合して回転させてスクリューネジを仮止めされた接合対象物および他の接合対象物に打ち込むことにより施工効率を向上させることができる。また、スクリューネジを事前に仮止めした後に打ち込むことにより、打ち込みの際にスクリューネジのぶれがなくなるので、スクリューネジを垂直に打ち込むことが可能となり、安定した施工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施形態のスクリューネジの斜視図である。
図2】(a),(b)それぞれ、本発明に係る実施形態のスクリューネジの正面図、右側面図である。
図3】(a),(b)それぞれ、本発明に係る実施形態のスクリューネジの背面図、左側面図である。
図4】(a)~(c)それぞれ、本発明に係る実施形態のスクリューネジの平面図、底面図、図4(a)におけるA-A線断面図である。
図5】(a),(b)それぞれ図2(b)におけるB部分の要部拡大平面図、図4(c)におけるC部分の要部拡大断面図である。
図6】本発明に係る実施形態のスクリューネジの拡大平面図である。
図7】本発明に係る実施形態のスクリューネジの拡大底面図である。
図8】本発明に係る実施形態のスクリューネジの上面側の突起部と裏面側の頭部用切削刃および首下用切削刃との位置関係を示す説明図である。
図9】(a)~(c)それぞれ本発明に係る実施形態のスクリューネジの位置決め、仮止め作業時の状態、工具で半分だけ進入させた状態、施工後の状態を示す説明図である。
図10】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のスクリューネジの使用例を示す説明図である。
図11】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のスクリューネジの他の使用例を示す説明図である。
図12】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のスクリューネジの他の使用例を示す説明図である。
図13】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のスクリューネジの他の使用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態のスクリューネジ1およびスクリューネジ1の使用方法を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、下記に説明する実施形態はその寸法等も含めあくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0011】
本発明に係る実施の形態のスクリューネジ1は、図1図4に示すように頭部11と、首下部12と、軸部13とを備えて構成される。
【0012】
(頭部11)
頭部11は、図1図8等に示すように所定の厚さを有して平面視、ほぼ円形に構成されており、首下部12および軸部13とは反対側の上面11aと、首下部12および軸部13側の裏面11bとを有しており、上面11aには、図5(b)や図6等に示すように正方形のビット等の工具(図示せず。)先端が嵌る平面視、正方形で凹形状の駆動部11a1が設けられていると共に、その駆動部11a1の周囲に、駆動部11a1を中心として45度の間隔で円弧上に所定間隔を空けて8個の突起部11a2を設けている。
【0013】
8個の突起部11a2は、それぞれ、頭部11の上面11aから突出して設けられており、平面視、駆動部11a1の中心から遠ざかる程、幅が細くなり、かつ、高さも低くなる形状で放射状に設けられている。
【0014】
各突起部11a2は、凹形状の駆動部11a1に近くなる程、幅が広く、かつ、高さも高いため、ハンマー等で頭部11を叩いた際、8個の突起部11a2が叩かれて各突起部11a2が潰れた場合でも、凹形状の駆動部11a1の変形を確実に防止することができる。
【0015】
一方、頭部11の裏面11b側には、図7等に示すように頭部11の中心に対し45度の等間隔で8個の頭部用切削刃11b1が設けられており、8個の頭部用切削刃11b1の内、1つおきの4個の頭部用切削刃11b1は、後述するように首下部12の側面12aに設けた90度間隔の4個の首下用切削刃12a1に連続するように構成されている。
【0016】
8個の頭部用切削刃11b1は、図7等に示すように頭部11の裏面11bに当接する木材を効率良く切削するため、頭部11の中心に対し半径方向ではなく、その半径方向に対し例えば40度程度の角度をなすように設けている。頭部用切削刃11b1によりバリの発生が抑制でき、木材と頭部11の裏面11bが接触する際の木材の割れ防止を図ることが出来ると共に、木材面と頭部11の上面11aとをフラットにすることができる。また頭部用切削刃11b1により効率良く切削できる効果があるため、削りづらい硬い木材でも木材の割れ防止や木材面と頭部11の上面11aをフラットする際に対応し易くなった。
【0017】
また、ハンマー等で頭部11を叩いた際、ハンマー等が当たる突起部11a2には大きな外力が作用し、突起部11a2だけでなく突起部11a2周辺の頭部11も変形し易いため、図8に示すように8個の頭部用切削刃11b1それぞれが頭部11の上面11a側の8個の突起部11a2それぞれと一部が重なるように設けている。
【0018】
そのため、8個の頭部用切削刃11b1と、8個の突起部11a2とがそれぞれ重なった部分はそれぞれの厚さによって頭部11の厚さよりも肉厚となるので、肉厚になった分だけ強度が向上する。
【0019】
また、8個の頭部用切削刃11b1と8個の突起部11a2をそれぞれをバランスよく配置したため、安定した形状を製造することができる。
【0020】
尚、頭部11の円周の径を大きくし、肉厚を厚くした方がハンマー等で叩き易く、かつ頭部11の強度を保つことができるが、小径にしたり厚さを薄くしても勿論良い。また頭部11の肉厚を厚くすることで、工具のビットを差し込む駆動部11a1の深さを深くすることができ、ビットの嵌合性や、インパクトドライバー等の工具で施工する際に発生する頭部11への負担を減らすことができる。
【0021】
(首下部12)
首下部12は、図1図5等に示すように頭部11と軸部13との間に設けられた部分で、軸部13の後端部から頭部11の裏面11b側に向かって外径が徐々に大きくなる円錐台の形状に形成されている。
【0022】
首下部12の傾斜した側面12aには、図5図7図8等に示すように頭部11の裏面11bの8個の頭部用切削刃11b1の内、1つおきの90度間隔の4個の頭部用切削刃11b1に連続するように、4個の首下用切削刃12a1を設けることにより、削りカスの排出効率を向上させている。
【0023】
(軸部13)
軸部13は、図1図3等に示すように先端に突刺し部13aが設けられ、突刺し部13aに連続または近接してネジ山のピッチがP1の主ネジ部13bを設けると共に、主ネジ部13bとは間隔を空けて頭部11側にネジ山のピッチがP2の副ネジ部13cを設けている。
【0024】
ここで、軸部13は軸径(外径)が細い方が施工スピードが向上するが、あまりに軸部13を細くすると、ハンマー等で頭部11を叩いた際に軸部13が座屈し易くなるため、例えば5mm程度あった方が良い。
【0025】
本実施形態のスクリューネジ1は、後述するように例えば2または3以上の複数の木材の接合に使用するもので、主ネジ部13bのピッチP1および副ネジ部13cのピッチP2との関係をP1>P2とすることにより、スクリューネジ1の1回転当たりの進入量(進入長さ)が主ネジ部13bの方が副ネジ部13cよりも大きくして、接合すべき木材同士を引寄せて接合する。
【0026】
<実施形態のスクリューネジ1の使用方法>
次に、以上のように構成された実施形態のスクリューネジ1の使用方法について、図面を参照して説明する。
【0027】
まずは、図9(a)に示すように接合すべき木材が第1木材2と第2木材3の場合、第1木材2に対し実施形態のスクリューネジ1の軸部13先端の突刺し部13aを当て、スクリューネジ1の頭部11の上面11a側をハンマー4等で叩いて突刺し部13aを第1木材2に突刺して位置を決める仮止めを行う。
【0028】
その際、この仮止めは、高所ではなく、地上で仮止め作業を行うことで安全かつ施工精度を保つことができる。尚、スクリューネジ1は、軸部13先端まで螺旋のネジではなく、図1図4に示すようにネジがなく刃のような形状にすることで木材に刺さるため仮止めがし易く、またインパクトドライバーを回転させて施工するとネジでは螺旋状の穴ができるが、刃の形状にすることで大きく木材を削ることができるため、回転と同時に先穴をあけたような状態となり、施工時の木材からの圧迫が緩和され、木材の割れが起こり難くなる。また、それに加えて摩擦も低減され、施工スピードの向上にもつなげることも可能になる。
【0029】
また、実施形態のスクリューネジ1では、頭部11の上面11aに工具先端が嵌る凹形状の駆動部11a1の周囲に8個の突起部11a2を設けているため、ハンマー4で頭部11の上面11aを強く叩いた場合、ハンマー4は駆動部11a1周囲の頭部11の上面11aに当たる前に、駆動部11a1周囲の突起部11a2に必ず当たる。
【0030】
そのため、ハンマー4が当たった突起部11a2は変形する可能性はあるものの、頭部11の上面11aが変形する可能性は突起部11a2を設けない場合と比較して極めて少なくなるので、凹形状の駆動部11a1の変形を防止することができる。
【0031】
特に、ハンマー等で頭部11を叩いた際、各突起部11a2が潰れた場合でも、各突起部11a2は駆動部11a1に近くなる程、高さが高く、かつ、幅が広くなる形状にしているため、駆動部11a1の変形をさらに確実に防止することができる。
【0032】
また、各突起部11a2は放射状に設けているため、ハンマー等が当たる場所が全体でなく一部分に当たった場合でも、まずは各突起部11a2に当たって駆動部11a1の変形を防止することができる。さらに、斜めに当たった場合でも、各突起部11a2の高さが円周方向になるに従って低くなっているので、駆動部11a1に当たり難く、この点からも駆動部11a1の変形を防止できる。
【0033】
さらに、このスクリューネジ1を製造する際に頭部11は圧造で成型するが、例えば頭部11の裏面11b側に頭部用切削刃11b1のみ設ける場合、圧造時に凸部である頭部用切削刃11b1を成型するため周囲の肉をもらおうとするため、真円ではなく多角形のような形状になってしまうが、上面11a側の各突起部11a2と、裏面11b側の8個の頭部用切削刃11b1を表裏両面に放射状に設けることで頭部11をより真円に近づけることが可能になる。
【0034】
また、8個の各突起部11a2は、図8等に示すように頭部11の裏面11b側の8個の頭部用切削刃11b1それぞれと一部が重なるように設けられており、その重なった部分では肉厚となっているため、各突起部11a2が潰れた場合でも、肉厚になった分だけ強度が向上して、駆動部11a1の変形を防止することができると共に、頭部11を成形する際にも、金型へかかる衝撃も緩和できるため負担を減らすことができ、金型の寿命を延ばすことができる。
【0035】
以上のようにしてハンマー4によって実施形態のスクリューネジ1の突刺し部13aを第1木材2に突刺して仮刺しした後、頭部11の駆動部11a1にインパクトレンチ等の電動工具の回転軸部に装着したビット等の工具(図示せず。)先端を嵌合して回転させ、図9(b)に示すように軸部13先端の主ネジ部13bを第1木材2に進入させる。
【0036】
インパクトレンチ等の電動工具の回転軸部をさらに回転させると、図9(c)に示すように軸部13先端の主ネジ部13bは第2木材3まで進入すると共に、軸部12後端の副ネジ部13cは第1木材2に進入して第1木材2と第2木材3とを接合することができる。
【0037】
ここで、実施形態のスクリューネジ1では、主ネジ部13bのネジピッチP1は副ネジ部13cのネジピッチP2よりも大きく、第2木材3における主ネジ部13bの進入量が第1木材2における副ネジ部13cの進入量よりも大きくなるので、第1木材2と第2木材3とを引寄せて強固に接合することができる。
【0038】
<実施形態のスクリューネジ1の使用例>
次に、以上のように構成された実施形態のスクリューネジ1の使用例である納まりパターンを、図面を参照して説明する。
【0039】
図10(a)は、垂木2aと梁3aとの接合に実施形態のスクリューネジ1を使用した例、図10(b)は垂木2aの上面に面材2bを設けた場合の垂木2aと梁3aとの接合に実施形態のスクリューネジ1を使用した例を示している。
【0040】
図10(a)の場合、実施形態のスクリューネジ1の突刺し部13a側の主ネジ部13bは梁3aで止まり、頭部11側の副ネジ部13cは垂木2aで止まりそれぞれのピッチP1,P2の違いによって垂木2aと梁3aとを引寄せて接合する。尚、図10(b)の場合は、垂木2aの上に面材2bがあるため、頭部11側の副ネジ部13cは垂木2aおよび面材2bで止まる。
【0041】
図11(a)は、梁3aに対して断熱パネル2cを斜めに接合する際に実施形態のスクリューネジ1を使用した例、図11(b)は、土台3bの上に柱3cを介して梁3aを設けた構造体に断熱パネル2cを接合する際に実施形態のスクリューネジ1を使用した例を示している。
【0042】
図11(a)の場合、実施形態のスクリューネジ1の突刺し部13a側の主ネジ部13bは梁3aで止まり、頭部11側の副ネジ部13cは断熱パネル2cで止まってそれぞれのピッチP1,P2の違いによって断熱パネル2cと梁3aとを引寄せて接合する。図11(b)の場合、上側のスクリューネジ1では主ネジ部13bは梁3aで止まって副ネジ部13cは断熱パネル2cで止まる一方、下側のスクリューネジ1では主ネジ部13bは土台3bで止まって副ネジ部13cは断熱パネル2cで止まって、それぞれ断熱パネル2cと梁3aおよび土台3bとの間で引寄せ効果を発揮することになる。
【0043】
また図示は省略するが、断熱パネル2cを例えばCLT(直交集成板)、LVL(単板積層材)や集成材などの木質材料を用いても勿論良い。その他、図11(b)では、断熱パネル2cを垂直に施工しているが、断熱パネル2cや前述した木質材料を水平に施工し、床材として用いても良い。
【0044】
図12(a)は、土台3bと柱3cの接合部に設けた筋交い2dに対して実施形態のスクリューネジ1を柱3cに向けて水平方向に進入させて筋交い2dと柱3cとを接合した例、図12(b)は、土台3bと柱3cの接合部に設けた筋交い2dに対して実施形態のスクリューネジ1を土台3bに向けて鉛直方向に進入させて筋交い2dと土台3bとを接合した例を示している。
【0045】
図12(a)の場合、実施形態のスクリューネジ1の主ネジ部13bは柱3cで止まり、副ネジ部13cは筋交い2dで止まってそれぞれのピッチP1,P2の違いによって柱3cと筋交い2dとを引寄せて接合する。また図12(b)の場合、実施形態のスクリューネジ1の主ネジ部13bは土台3bで止まり、副ネジ部13cは筋交い2dで止まってそれぞれのピッチP1,P2の違いによって土台3bと筋交い2dとを引寄せて接合することができる。
【0046】
また図示は省略するが、実施形態のスクリューネジ1を柱3cに向けて水平方向に進入させて筋交い2dと柱3cとを接合した上で、更にスクリューネジ1を土台3bに向けて鉛直方向に進入させて筋交い2dと土台3bとを接合しても良い。その他、実施形態のスクリューネジ1を角度をつけ斜め打ちし、筋交い2dと柱3cや梁3a(または土台3b等)に接合しても良く、接合方法としては、筋交い2dと柱3cや梁3aなどの構造材が実施形態のスクリューネジ1で接合されれば良い。
【0047】
図13(a)は、梁3a(または土台3b等)に面材2bとを接合する際に実施形態のスクリューネジ1を使用した例、図13(b)は、梁3a(または土台3b等)に面材2bの端面を突き当て、かつ、面材2bの下面を受材3dで下方から受けるようにして接合する際に実施形態のスクリューネジ1を面材2bから受材3dに向かって鉛直方向に進入させ、かつ、受材3dから梁3a(または土台3b等)に向けて実施形態のスクリューネジ1を水平方向に進入させて接合した例を示している。
【0048】
図13(a)の場合、実施形態のスクリューネジ1の主ネジ部13bは梁3a(または土台3b等)で止まり、副ネジ部13cは面材2bで止まってそれぞれのピッチP1,P2の違いによって梁3a(または土台3b等)と面材2bとを引寄せて接合することができる。また図13(b)の場合は、鉛直方向のスクリューネジ1の主ネジ部13bは受材3dで止まり、副ネジ部13cは面材2bで止まってそれぞれのピッチP1,P2の違いによって面材2bと受材3dとを引寄せて接合する一方、水平方向のスクリューネジ1の主ネジ部13bは梁3a(または土台3b等)で止まり、副ネジ部13cは受材3dで止まってそれぞれのピッチP1,P2の違いによって受材3dと梁3a(または土台3b等)とを引寄せて接合することができる。
【0049】
<本発明に係る実施の形態のスクリューネジ1のまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施の形態のスクリューネジ1では、頭部11における駆動部11a1の周囲に突起部11a2を設けたため、軸部13先端を突刺すためスクリューネジの頭部11を叩いた場合でも、突起部11a2を叩くことになり、凹形状の駆動部11a1の変形を極力防止することができる。
【0050】
また、本発明に係る実施の形態のスクリューネジ1では、突起部11a2は、駆動部11a1を中心として45度の間隔で円弧上に所定間隔を空けて8個設けている。
【0051】
そのため、実施形態のスクリューネジ1をメッキ被覆する際、頭部11の上面11a側では、凹形状の駆動部11a1から突起部11a2間の隙間を通る方向に、あるいはその逆方向にメッキ剤が流れるため、スクリューネジ1の外表面を確実にメッキ処理することが可能となり、スクリューネジ1の外観や防錆性能を向上させることができると共に、凹形状の駆動部11a1にメッキ剤が溜まることが無くなるため、スクリューネジ1の品質も向上させることができる。
【0052】
また、本発明に係る実施の形態のスクリューネジ1では、頭部11における軸部13を設けた裏面11b側には、軸部13を中心として頭部11の円周方向に延びる8個の頭部用切削刃11b1を所定間隔を空けて設けており、上面11a側に設けた複数の突起部11a2は、それぞれ、8個の頭部用切削刃11b1とはその一部または全部が重なるように設けている。
【0053】
そのため、突起部11a2はその反対側の頭部用切削刃11b1によって肉厚となって強度が向上しているため、この点でもハンマー等でスクリューネジ1の頭部11の突起部11a2を叩いた際に駆動部11a1の変形を極力防止することができる。
【0054】
また複数の突起部11a2により頭部11の厚みが増したことで、スクリューネジ1の頭部11を製造する際に金型へかかる衝撃も緩和され、負担を減らすことができるため、金型の寿命も延すことができる。
【0055】
また、本発明に係る実施の形態のスクリューネジ1の使用方法では、地上でスクリューネジ1をハンマー等で叩いて木材等の接合対象物(例えば、図9の場合であれば、第1木材2である。)にスクリューネジ1を仮止めした後、スクリューネジ1を仮止めした接合対象物を高所に移動してスクリューネジ1の駆動部11a1に工具先端を嵌合してインパクトレンチ等の電動工具にて回転させ、スクリューネジ1が仮止めされた接合対象物および他の接合対象物(例えば、図9の場合であれば、第2木材3である。)に連続してスクリューネジ1を打ち込むことにより、施工効率を向上させることができる。また、地上において本発明に係る実施形態のスクリューネジ1を打ち込むことにより、打ち込みの際にスクリューネジ1のぶれがなくなるので、スクリューネジ1を垂直に打ち込むことが可能となり、安定した施工が出来、安全な高所作業が可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1 スクリューネジ
11 頭部
11a 上面
11a1 駆動部
11a2 突起部
11b 裏面
11b1 頭部用切削刃
12 首下部
12a 側面
12a1 首下用切削刃
13 軸部
13a 突刺し部
13b 主ネジ部
13c 副ネジ部
2 第1木材(接合対象物)
2a 垂木
2b 面材
2c 断熱パネル
2d 筋交い
3 第2木材(他の接合対象物)
3a 梁
3b 土台
3c 柱
3d 受材
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