IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 内山工業株式会社の特許一覧

特開2023-131504光透過性繊維フィルター並びにそれから形成されてなる衛生マスク及びパーテーション
<>
  • 特開-光透過性繊維フィルター並びにそれから形成されてなる衛生マスク及びパーテーション 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131504
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】光透過性繊維フィルター並びにそれから形成されてなる衛生マスク及びパーテーション
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20230914BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20230914BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20230914BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20230914BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B01D39/16 A
B32B5/26
B32B5/02 Z
A62B18/02 C
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036309
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002206
【氏名又は名称】弁理士法人せとうち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中屋 晃成
(72)【発明者】
【氏名】片山 竜雄
(72)【発明者】
【氏名】川端 貴美
(72)【発明者】
【氏名】土井 善文
(72)【発明者】
【氏名】北田 亮太
【テーマコード(参考)】
2E185
4D019
4F100
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA20
2E185CB11
4D019AA01
4D019AA02
4D019BA13
4D019BB04
4D019BC20
4D019BD01
4D019DA03
4F100AK41A
4F100AK41C
4F100AK46B
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA06
4F100DG04B
4F100DG06B
4F100DG12A
4F100DG12C
4F100GB56
4F100JN01
(57)【要約】
【課題】全光線透過率に対する拡散光透過率の割合を示すヘーズ値が一定以下であり、視認性に優れた光透過性繊維フィルターを提供する。
【解決手段】第1基材層、ろ過層及び第2基材層がこの順番で積層された光透過性繊維フィルターであって、前記フィルターのヘーズ値が80%以下であるフィルター。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材層、ろ過層及び第2基材層がこの順番で積層された光透過性繊維フィルターであって、前記フィルターのヘーズ値が80%以下であることを特徴とする、フィルター。
【請求項2】
前記第1基材層及び前記第2基材層のマンセル明度が1~9である、請求項1に記載のフィルター。
【請求項3】
前記第1基材層及び前記第2基材層が、平均繊維径0.1~500μmの繊維からなる、請求項1又は2に記載のフィルター。
【請求項4】
前記ろ過層が、平均繊維径5nm~5000nmの繊維からなり、目付量が0.001~5g/mである、請求項1~3のいずれかに記載のフィルター。
【請求項5】
圧力損失が6mmHO/cm以下であり、0.3μm粒子補集率が30%以上である、請求項1~4のいずれかに記載のフィルター。
【請求項6】
ヘーズ値が50%以下である、請求項1~5のいずれかに記載のフィルター。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のフィルターから形成されてなる衛生マスク。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載のフィルターを有するパーテーション。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視認性に優れた光透過性繊維フィルター並びにそれから形成されてなる衛生マスク及びパーテーションに関する。
【背景技術】
【0002】
衛生マスク等を構成する繊維フィルターには、粉塵、微粒子等から着用者を保護する性能とともに、呼吸を確保するための通気性等の性能が要求されるが、着用者の表情が確認しにくい面があった。これを解決するために透明性を高めた衛生マスクが提案されている。例えば、特許文献1には、顔面被覆部分が、基材層とナノファイバ層とが積層された積層シートから構成された衛生マスクであって、前記基材層は、前記ナノファイバ層の片面又は両面に積層され、規則的に形成された貫通孔を有しており、前記積層シートの平行光線透過率(JIS K7105)が10%以上であり、前記ナノファイバ層は、繊維径350nm以下のナノファイバを含み、坪量が0.50g/m以下である、衛生マスクが記載されている。これによれば、光透過性が高く着用者の表情の視認性に優れるとともに、細菌や花粉に対するバリア性にも優れているとされている。
【0003】
また、特許文献2には、規則的に形成された複数の貫通孔を有する第1基材層と、規則的に形成された複数の貫通孔を有する第2基材層と、両基材層の間に配置されたナノファイバの濾過層とを備えた積層シートを含んで構成された光透過性微粒子濾過材であって、前記積層シートは、その全光線透過率が55%以上であり、第1基材層に形成された前記貫通孔と、第2基材層に形成された前記貫通孔との相互干渉に起因して生じるモアレ周期Wの値が5000μm以下である、光透過性微粒子濾過材が記載されており、当該濾過材を衛生マスクに適用した例が示されている。これによれば、高い透明性を有するとともに、モアレ現象の発生が効果的に防止され、微粒子の濾過性能に優れた濾過材を提供できるとされている。
【0004】
しかしながら、これら特許文献1及び2には、光透過性を高める観点から平行光線透過率や全光線透過率を一定以上とすることについて記載されているが、拡散光透過率やヘーズ値についての記載はなく、全光線透過率に対する拡散光透過率の割合を示すヘーズ値を一定以下とする技術的思想も何らなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-69787号公報
【特許文献2】特開2017-39076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、全光線透過率に対する拡散光透過率の割合を示すヘーズ値が一定以下であり、視認性に優れた光透過性繊維フィルターを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、第1基材層、ろ過層及び第2基材層がこの順番で積層された光透過性繊維フィルターであって、前記フィルターのヘーズ値が80%以下であることを特徴とする、フィルターを提供することによって解決される。
【0008】
このとき、前記第1基材層及び前記第2基材層のマンセル明度が1~9であることが好適であり、前記第1基材層及び前記第2基材層が、平均繊維径0.1~500μmの繊維からなることが好適である。前記ろ過層が、平均繊維径5nm~5000nmの繊維からなり、目付量が0.001~5g/mであることが好適であり、圧力損失が6mmHO/cm以下であり、0.3μm粒子補集率が30%以上であることが好適である。ヘーズ値が50%以下であることが好適であり、前記フィルターから形成されてなる衛生マスクが好適な実施態様である。また、前記フィルターを有するパーテーションも好適な実施態様である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、全光線透過率に対する拡散光透過率の割合を示すヘーズ値が一定以下であり、視認性に優れた光透過性繊維フィルターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1基材層、ろ過層及び第2基材層が積層された実施態様の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の光透過性繊維フィルターは、第1基材層、ろ過層及び第2基材層がこの順番で積層された光透過性繊維フィルターであって、前記フィルターのヘーズ値が80%以下であることを特徴とする。ヘーズ値が一定以下の光透過性繊維フィルターであることで、視認性に優れる利点を有する。平行光線透過率、拡散光透過率、全光線透過率及びヘーズ値は、ヘーズメーターを用いてJIS K7136に準じて測定することができる。なお、ヘーズ値は、全光線透過率に対する拡散光透過率の割合を示すものであり、全光線透過率は以下の式(I)を満たし、ヘーズ値は以下の式(II)を満たすものである。
全光線透過率(%)=平行光線透過率+拡散光透過率 (I)
ヘーズ値(%)=[拡散光透過率/全光線透過率]×100 (II)
【0012】
本発明で用いられる第1基材層と第2基材層としては、優れた視認性を確保する観点から、複数の貫通孔を有するシート状のものであれば特に限定されず、織編物からなるメッシュシートや不織布が好適に採用される。織物としては平織、綾織、朱子織等が挙げられ、編物としてはラッセル編、トリコット編等が挙げられる。中でも、平織からなるメッシュシートがより好適に採用される。織編物を構成する繊維の交点が溶融等により固定されていてもよい。
【0013】
本発明で用いられる第1基材層と第2基材層の構成材料としては、ろ過層とともに積層されて得られる光透過性繊維フィルターのヘーズ値が一定以下を示すものであれば特に限定されない。当該構成材料としては、メッシュシート等が形成可能な金属であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。中でも、熱可塑性樹脂であることが好ましく、かかる熱可塑性樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、乳酸-カプロラクトン共重合体、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート等の生分解性樹脂;などが挙げられる。これら熱可塑性樹脂は他の単量体と共重合されたものであってもよいし、2種以上をブレンドしたものであってもよい。
【0014】
本発明で用いられる第1基材層と第2基材層が、平均繊維径0.1~500μmの繊維からなることが好適な実施態様である。平均繊維径が0.1μm未満の場合、破損するおそれがあり、平均繊維径は1μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが更に好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。一方、平均繊維径が500μmを超える場合、透明性が損なわれるおそれがあり、平均繊維径は300μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。
【0015】
本発明で用いられる第1基材層と第2基材層の厚みとしては、1μm以上であることが好ましい。厚みが1μm未満の場合、強度不足でハンドリングが悪くなるおそれがあり、厚みは20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更に好ましい。当該厚みは、通常、5000μm以下である。
【0016】
本発明で用いられる第1基材層と第2基材層の開口率としては、40~90%であることが好ましい。開口率が40%未満の場合、透明性が損なわれるおそれがあり、開口率は55%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。一方、開口率が90%を超える場合、ろ過層を基材層が支えられないおそれがあり、開口率は90%以下であることがより好ましく、80%以下であることが更に好ましい。
【0017】
本発明で用いられる第1基材層と第2基材層のマンセル明度が1~9であることが好ましい。マンセル明度は、JIS Z8721に準じ、マンセル色票を用いて目視にて照合することに求めることができる。光透過性繊維フィルターのヘーズ値をより低くすることにより視認性を向上させる観点から、第1基材層と第2基材層のマンセル明度は8以下であることがより好ましく、6以下であることが更に好ましく、5以下であることが特に好ましく、4以下であることが最も好ましい。
【0018】
本発明で用いられるろ過層としては、微粒子を捕捉できる層であれば特に限定されないが、0.3μm粒子捕集率と圧力損失に優れる観点から、ナノファイバを含むろ過層であることが好適な実施態様である。ナノファイバとしては、平均繊維径5nm~5000nmの繊維からなるものであり、熱可塑性樹脂を含む紡糸原液をナノファイバ形状に紡糸してナノファイバを含むろ過層が形成される。熱可塑性樹脂としては、第1基材層と第2基材層の説明のところで例示されたものを好適に採用することができる。
【0019】
本発明で用いられるろ過層としては、平均繊維径5nm~5000nmの繊維からなり、目付量が0.001~5g/mであることが好ましい。平均繊維径が5nm未満の場合、ろ過層の強度が不足するおそれがあり、平均繊維径は10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることが更に好ましく、50nm以上であることが特に好ましい。一方、平均繊維径が5000nmを超える場合、透明性が損なわれるおそれがあり、平均繊維径は4000nm以下であることがより好ましく、3000nm以下であることが更に好ましく、1000nm以下であることが特に好ましく、500nm以下であることが最も好ましい。
【0020】
本発明で用いられるろ過層の目付量が0.001g/m未満の場合、粒子捕集効率が不十分となるおそれがあり、目付量は0.005g/m以上であることがより好ましく、0.01g/m以上であることが更に好ましい。一方、目付量が5g/mを超える場合、透明性が損なわれるおそれがあり、目付量は1g/m以下であることがより好ましく、0.5g/m以下であることが更に好ましい。
【0021】
本発明で用いられる第2基材層は、上記説明した第1基材層における好適な構成を同様に採用することができる。第2基材層としては、第1基材層とまったく同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0022】
本発明の光透過性繊維フィルターは、第1基材層、ろ過層及び第2基材層がこの順番で積層されたものであるが、製造方法としては特に限定されない。例えば、第1基材層の表面にろ過層を形成してから第2基材層を積層してもよいし、第2基材層の表面にろ過層を形成してから第1基材層を積層してもよい。本発明の光透過性繊維フィルターは、ヘーズ値が80%以下であるため、視認性に優れる利点を有する。ヘーズ値としては、60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、40%以下であることが更に好ましく、30%以下であることが特に好ましく、20%以下であることが最も好ましい。ヘーズ値は、通常、2%以上である。
【0023】
本発明の光透過性繊維フィルターにおいて、全光線透過率は50~99%であることが好ましい。全光線透過率が50%未満の場合、視認性が悪くなるおそれがあり、全光線透過率は、52%以上であることがより好ましく、55%以上であることが更に好ましく、60%以上であることが特に好ましい。
【0024】
本発明の光透過性繊維フィルターにおいて、平行線透過率は30~98%であることが好ましい。平行線透過率が30%未満の場合、視認性が悪くなるおそれがあり、平行線透過率は、35%以上であることがより好ましく、40%以上であることが更に好ましく、45%以上であることが特に好ましい。平行線透過率は、通常、98%以下である。
【0025】
本発明の光透過性繊維フィルターにおいて、拡散光透過率は1~20%であることが好ましい。拡散光透過率が20%を超える場合、視認性が悪くなるおそれがあり、拡散光透過率は、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましい。
【0026】
本発明の光透過性繊維フィルターにおいて、圧力損失が6mmHO/cm以下であることが好ましい。圧力損失が6mmHO/cmを超える場合、衛生マスク等に使用した際に息苦しく感じるおそれがあり、圧力損失は5mmHO/cm以下であることがより好ましく、4mmHO/cm以下であることが更に好ましく、3mmHO/cm以下であることが特に好ましい。圧力損失は、通常、0.1mmHO/cm以上である。
【0027】
本発明の光透過性繊維フィルターにおいて、0.3μm粒子補集率が30%以上であることが好ましい。0.3μm粒子補集率は、当該フィルターを通過する前後の0.3μm以上の粒子の捕集率を示すものである。0.3μm粒子補集率が30%未満の場合、粒子を捕集できないおそれがあり、0.3μm粒子補集率は、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、60%以上であることが特に好ましく、70%以上であることが最も好ましい。0.3μm粒子補集率は、通常、100%以下である。
【0028】
本発明の光透過性繊維フィルターは、ヘーズ値が一定以下であるため、視認性に優れる衛生マスク、パーテーション等に使用することができる。特に、好適には圧力損失が一定以下であり、0.3μm粒子補集率が一定以上であるため、良好な通気性を確保しつつ微粒子の捕集率に優れ、視認性に優れる衛生マスク等に使用することができ、視認性に優れるため着用者の人相、表情等を確認することが可能である。また、本発明の光透過性繊維フィルターを有するパーテーションも好適な実施態様である。パーテーションの形状、大きさとしては特に限定されず、卓上型のパーテーションであっても、床に直接設置するパーテーションであっても、天井から吊り下げるパーテーションでもよく、適宜調整して使用することができる。本発明の光透過性繊維フィルターを有するパーテーションは、アクリル板からなるパーテーションと比較して重量が軽く、巻取りができることから、輸送や設置等がし易い利点を有する。また、当該フィルターを交換すれば、パーテーションの衛生状態を常に維持することが可能であり、飛沫抑制パーテーションとして特に好適である。
【実施例0029】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【0030】
(1)圧力損失
JIS T9001に準じ、各実施例及び比較例で得られたそれぞれの光透過性繊維フィルターを試料ホルダーに取り付け、直径25mmの測定部に流量8L/minで空気を透過させた際の圧力損失(mmHO/cm)を株式会社クローネ製「KS2900」の差圧計で測定した。
【0031】
(2)粒子捕集率
リオン株式会社製「KC-01E」の微粒子計測器を用いて、0.3μm粒子捕集率(%)を測定した。具体的には、各実施例及び比較例で得られたそれぞれの光透過性繊維フィルターを微粒子計測器に取り付け、直径12.4mmの測定部に流量0.5L/minで空気を通過させ、当該フィルターを通過する前後の0.3μm以上の粒子を半導体レーザ(波長780nm)で測定し、0.3μm粒子捕集率(%)を求めた。
【0032】
(3)光学特性
スガ試験機株式会社製「HZ-V3」のヘーズメーターを用いて、各実施例及び比較例で得られたそれぞれの光透過性繊維フィルターの一方の面からD65光源の光を照射し、当該フィルターを透過した光を測定することにより、平行光線透過率、拡散光透過率、全光線透過率、ヘーズ値をそれぞれ算出した。全光線透過率は以下の式(I)を満たし、ヘーズ値は以下の式(II)を満たすものである。
全光線透過率(%)=平行光線透過率+拡散光透過率 (I)
ヘーズ値(%)=[拡散光透過率/全光線透過率]×100 (II)
【0033】
(4)マンセル明度
JIS Z8721に準じ、マンセル明度を算出した。具体的には、各実施例及び比較例で使用したそれぞれの第1基材層と第2基材層を一般財団法人日本色彩研究所製のマンセル色票を用いて目視にて照合することによりマンセル明度を求めた。
【0034】
実施例1
第1基材層と第2基材層として、サンコロナ小田株式会社製「NN007エアファブリック」のポリエステル樹脂からなるメッシュシートを用いた。当該メッシュシートは、平均繊維径が25μmの繊維からなり、開口率が69%、厚みが50μm、マンセル明度が3である。第1基材層をメック株式会社製「エレクトロスピニング装置」のドラムコレクタに巻き付けてドラムの回転速度を100rpmに調整し、当該第1基材層の表面にメック株式会社製「エレクトロスピニング装置」を用いたエレクトロスピニング法(印加電圧:38kV、シリンジゲージ:27G、噴出口とコレクタ間距離:150mm)により、ナイロン樹脂を含む紡糸原液を用いてナノファイバ形状に紡糸することで、ナイロン樹脂からなるろ過層を形成した。当該ろ過層は、平均繊維径100nmの繊維からなり、目付量が0.05g/mであった。ろ過層の平均繊維径は、株式会社日立ハイテクフィールディング製「FLEX SEM1000」の電子顕微鏡で観察し、得られる画像から10箇所を任意に選んで測定した値の平均値を算出して求めた。次いで、当該ろ過層の上に第2基材層を積層することにより光透過性繊維フィルターを作製した。得られた光透過性繊維フィルターについて、上記(1)~(4)の評価を行った。得られた結果を表1にまとめて示す。
【0035】
実施例2
実施例1において、ろ過層の目付量が0.1g/mとなるように第1基材層の表面にろ過層を形成した以外は同様にして光透過性繊維フィルターを作製した。得られた光透過性繊維フィルターについて、上記(1)~(4)の評価を行った。得られた結果を表1にまとめて示す。
【0036】
実施例3
実施例1において、マンセル明度が3のポリエステル樹脂からなるメッシュシートの代わりにマンセル明度が8のポリエステル樹脂からなるメッシュシート(平均繊維径25μm、開口率69%、厚み50μm)を第1基材層と第2基材層として用いた以外は同様にして光透過性繊維フィルターを作製した。得られた光透過性繊維フィルターについて、上記(1)~(4)の評価を行った。得られた結果を表1にまとめて示す。
【0037】
比較例1
実施例1において、第1基材層と第2基材層として東レ株式会社製「AA2DP20」のポリプロピレン樹脂からなるスパンボンド不織布(目付量20g/m、マンセル明度10)を用い、ろ過層として日本バイリーン株式会社製「メルトブローフィルター VE-2523C-S」のポリプロピレン樹脂からなるメルトブローン不織布(厚み0.3±0.1mm、目付量25±5g/m、マンセル明度10)を用いた以外は同様にして光透過性繊維フィルターを作製した。得られた光透過性繊維フィルターについて、上記(1)~(4)の評価を行った。得られた結果を表1にまとめて示す。
【0038】
比較例2
実施例1において、ろ過層を形成せずに第1基材層の上に第2基材層を積層した以外は同様にして光透過性繊維フィルターを作製した。得られた光透過性繊維フィルターについて、上記(1)~(4)の評価を行った。得られた結果を表1にまとめて示す。
【0039】
比較例3
実施例3において、ろ過層を形成せずに第1基材層の上に第2基材層を積層した以外は同様にして光透過性繊維フィルターを作製した。得られた光透過性繊維フィルターについて、上記(1)~(4)の評価を行った。得られた結果を表1にまとめて示す。
【0040】
【表1】
【符号の説明】
【0041】
1 第1基材層
2 ろ過層
3 第2基材層
図1