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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131506
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】釣竿用錘及び釣竿
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/00 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
A01K87/00 640Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036313
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄己
(72)【発明者】
【氏名】神納 芳行
(72)【発明者】
【氏名】松本 聖比古
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AA05
2B019AA06
2B019AA14
2B019AF05
(57)【要約】
【課題】釣竿の調子ないし重心位置を簡単且つ迅速に変更することができる釣竿用錘を提供すること。
【解決手段】この錘19は、穂先節11又は第2番節12に装着される。錘19は、線径が0.4mm程度のステンレス鋼からなる。この線材がコイルバネ状に巻回される。線材の断面形状は円である。錘19の内径は、穂先節11の外径に対応しており、錘19は、弾性変形により生じる緊迫力により穂先節11等に固定される。前記線材の有効巻数は120程度であり、錘19の質量は1g程度である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿本体の外周面に巻回される線材を備え、
前記線材は、弾性を有し、少なくとも一部が前記釣竿本体の軸方向に重畳する、釣竿用錘。
【請求項2】
前記線材は、前記軸方向に沿って複数箇所で重畳する、請求項1に記載の釣竿用錘。
【請求項3】
前記線材の巻間隔は、前記線材の線材外寸よりも大きい、請求項1又は2に記載の釣竿用錘。
【請求項4】
前記釣竿本体の外径の変化に応じて前記軸方向に沿って錘内寸が漸次変化する、請求項1から3のいずれか1項に記載の釣竿用錘。
【請求項5】
前記線材は、線材外寸が0.2mm以上1.0mm以下である金属材料から構成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の釣竿用錘。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の釣竿用錘を備えた釣竿。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、釣竿に装着され、釣竿の調子ないし重心を調整するバランサ(釣竿用錘)、並びにこれを備えた釣竿に関するものである。
【背景技術】
【0002】
釣竿の仕様を決定する要素として「調子」と称されるものがある。調子とは、第一義的には、ブランクに引張力や曲げモーメントが作用した場合の釣竿全体の撓み曲線を意味し、その変曲点が現れる位置によって調子が分類される。たとえば「先調子」の釣竿は、前記変曲点が釣竿の先側に現れ、竿全体に張りがあって一般的に扱い易く、釣人は、仕掛けやルアーのキャスト、ライン操作が容易に行える。他方、「胴調子」の釣竿は、曲げモーメントを受けた場合に釣竿全体が大きく曲がり、ヒットしたターゲットの引張力をソフトに受け止めることができる。このような「調子」が設計されることにより、ターゲットに応じて、あるいは使用する仕掛けの仕様等に応じて様々な釣趣が実現される。
【0003】
この「調子」は、一旦設計されると、その釣竿に固有のものとなる。ところが、たとえばへら釣りにおいては、細くて軽い仕掛けが使用されるため、ターゲットの取り込みを考慮した場合には釣竿に胴調子が求められる一方で、比較的重量のある練りエサが使用されるため、仕掛けの投入時には、穂先に一定の剛性が求められる。このような要請に応えるために、釣竿に装着するバランス調整部材(錘)が提案されている(たとえば特許文献1、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2901858号公報
【特許文献2】特開2000-245306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたバランス調整部材24、28は、釣竿の所定位置に固定されることにより、釣竿の重心と調子を変更する。ところが、このバランス調整部材は、釣竿に対する位置を変更することができないため、釣人は、釣竿の重心を所望する位置に調整することができない。この不都合を解消するため、同文献には、取付位置を調整することができるバランス調整部材も開示されている。しかし、この調整機構は、リング状のバランス調整部材をネジにより竿に締結するものであるから、その作業は容易ではない。しかも、確実に締結するためには竿の外径が一定以上でなければならず、たとえばへら竿等に適用することはできない。
【0006】
特許文献2に開示された錘58は、いわゆる分銅形状である。そのため、竿の外径の大小にかかわらず着脱が容易で、位置調整も簡単である。しかし、竿の撓み方によっては、釣竿から錘58が外れてしまうおそれがある。
【0007】
本発明はかかる背景のもとになされたものであって、その目的は、釣竿への着脱及び位置変更が容易で、釣竿の調子ないし重心位置を簡単且つ迅速に調整することができる釣竿用錘及びこれを備えた釣竿を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係る釣竿用錘は、釣竿本体の外周面に巻回される線材を備える。この線材は、弾性を有し、少なくとも一部が前記釣竿本体の軸方向に重畳する。
【0009】
この構成によれば、釣竿用錘は、弾性を有する線材を備える。そのため、釣竿用錘は、釣竿本体の外周面に巻き回わされた状態で所定の緊迫力にて取り付けられ、しかも、釣竿本体の軸方向に沿って移動可能である。
【0010】
(2) 前記線材は、前記軸方向に沿って複数箇所で重畳しているのが好ましい。
【0011】
この構成では、前記線材が釣竿本体に幾重にも巻き回される状態となる。したがって、釣竿用錘が釣竿本体に対して確実に位置決めされる。しかも、重畳回数が変更されるだけで、釣竿用錘の質量が簡単に調整されるという利点がある。
【0012】
(3) 前記線材の巻間隔は、前記線材の線材外寸よりも大きく設定されているのが好ましい。
【0013】
この構成では、巻回される線材間に隙間が形成される。したがって、釣竿用錘を釣竿本体に着脱する作業が容易になる。ここで、前記「線材外寸」とは、前記線材の断面の幅寸法、すなわち前記釣竿本体の軸方向に沿う寸法を意味する。
【0014】
(4) 前記釣竿本体の外径の変化に応じて前記軸方向に沿って錘内寸が漸次変化するのが好ましい。
【0015】
一般に、釣竿本体の外形はテーパ形状を成し、釣竿本体の外径は軸方向に沿って漸次変化している。この発明では、錘内寸が前記釣竿本体の外径の変化に対応しているので、釣竿用錘は、より安定して釣竿本体に装着される。ここで、前記「錘内寸」とは、前記線材が巻回されることにより形成される釣竿用錘の内側稜線により規定される仮想円の外径である。
【0016】
(5) 前記線材は、線材外寸が0.2mm以上1.0mm以下である金属材料から構成されるのが好ましい。
【0017】
この場合、釣竿用錘の質量を2.000g(グラム)以下に精度良く調整することができる。また、前記線材を巻回する作業が簡単になる。加えて、線材の断面が円形の場合は、釣竿用錘の構造がシンプルになるため、釣竿本体への着脱作業も容易になる。
【0018】
(6) 前記釣竿用錘を備えた釣竿が構成され得る。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、釣竿用錘が釣竿本体に容易に着脱され、その位置が変更されるので、釣人は、釣竿の調子ないし重心位置を簡単且つ迅速に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る釣竿10の外観斜視図である。
図2図2は、図1の要部拡大斜視図である。
図3図3は、図2における一部断面斜視図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る錘19の斜視図である。
図5図5は、本実施形態の第1の変形例に係る釣竿30の要部拡大斜視図である。
図6図6は、本実施形態の第2の変形例に係る釣竿40の一部断面拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施の形態は、本発明に係る釣竿及び釣竿用錘の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
【0022】
<釣竿及び釣竿用錘の構造>
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る釣竿10の外観斜視図である。
【0024】
釣竿10は、いわゆる延べ竿であって、典型的にはへら釣りに使用される。釣竿10は、釣竿本体17と、グリップ18と、錘19(特許請求の範囲に記載された「釣竿用錘」に相当)とを有する。釣竿本体17は、6本のブランクからなる。各ブランクは、先端側から順に第1番節11、第2番節12、第3番節13、第4番節14、第5番節15及び第6番節16と称される。第1番節11及び第6番節16は、それぞれ、特に穂先節及び元節と称されることもある。なお、釣竿10を構成するブランクの数は、特に限定されるものではない。
【0025】
グリップ18は、元節16に設けられている。釣人はグリップ18を把持することにより釣竿10を操作する。へら竿として使用される場合の釣竿10の主な操作は、仕掛けの投入と、ヒットした魚の取り込みであり、特にへら釣りの場合、釣人にとって、エサが付けられた仕掛けを穂先節11及び第2番節12の弾力を利用して所望のポイントにソフトに投入できることが重要である。そのため、従来、穂先節11の剛性ないし外力が作用した場合の撓みについて研究がなされ、釣竿の調子がさまざまに改良されている。
【0026】
本実施形態では、第2番節12の長さ、元径、先径は、それぞれ、700mm、5.9mm、4.2mmに設定され、穂先節11の長さ、元径、先径は、それぞれ、530mm、3.27mm、1.05mmに設定されている。このように、各節13~16の外形形状は、一般に所定のテーパを呈する。各節11~12の長さ、元径、先径は、釣竿の仕様により変更される。
【0027】
各節11~16は、既知の要領で成形される。典型的には、いわゆるカーボン繊維により強化された樹脂シート(プリプレグ)が所定形状に裁断され、これがマンドレルの周囲に巻回される。このプリプレグは、所定の温度にて熱処理された後にマンドレルが引き抜かれることによって、円筒状の各節11~17が焼成される。これら各節11~16が並継式に組み立てたれることにより釣竿10が構成されている。もっとも、各節11~16が振出式その他の継ぎ形式で組み立てられていてもよい。
【0028】
本実施形態の特徴とするところは、穂先節11に前記錘19が着脱自在に装着されている点である。
【0029】
図2は、図1の要部拡大斜視図であり、穂先節11に錘19が装着された状態を模式的に示している。図3は、模式的に示された錘19の一部断面斜視図である。
【0030】
これらの図において参照符号20は、釣竿本体17の軸方向を示し、矢印21が先端側、矢印22が元端側である。
【0031】
錘19は、弾性を有する線材からなる。この線材の断面形状は、本実施形態では円形である。線材の材質は、本実施形態ではステンレス鋼(密度7.93g/cm3)である。もっとも、錘19を構成する線材の断面形状は円形に限定されず、材質はステンレス鋼以外の金属や樹脂等も採用される。前記線材の材質が変更されることにより、当然に前記線材の密度も変更される。
【0032】
本実施形態では、錘19は、前記線材がコイル状に巻回されることにより形成されている。このコイル状に形成された錘19が穂先節11に嵌め合わされ、所定位置に固定される。錘19の着脱については後に詳述されるが、錘19は弾性的に拡径し、その緊迫力によって穂先節11に固定される。
【0033】
図4は、自然状態の錘19の斜視図である。
【0034】
本実施形態では、自然状態の錘19の諸元は次のとおりである。ここで、「自然状態」とは、錘19に外力が作用しない状態をいう。
【0035】
線径23(特許請求の範囲に記載された「線材外寸」に相当)=0.4mm(但し、0.2mm~1.0mmに設定され得る。)。なお、錘19を構成する線材の断面形状が円形以外の場合には、線径23とは、前記線材の断面の幅寸法(すなわち前記軸方向20に沿う寸法)を意味する。
【0036】
内径24(特許請求の範囲に記載された「錘内寸」に相当)=1.0mm~35.0mm。内径24は、錘19が固定される釣竿10の所定位置における釣竿本体17の外径より0.5mm程度小さく設定されるのが好ましい。なお、錘19を構成する線材の断面形状が円形以外の場合には、内径24とは、巻回された線材の内壁に接する稜線(仮想円)の直径を意味する。
【0037】
有効巻数25=120(但し、1~240に設定され得る。)。このように前記線材が巻回されることにより、前記線材自身が軸方向20に沿って少なくとも一箇所以上で重畳する。すなわち、巻回された線材が軸方向20に沿って整列する。
【0038】
ピッチ26(特許請求の範囲に記載された「巻間隔」に相当)=1.0mm。但し、ピッチ26は、前記線径23以上の寸法に設定されていればよい。
【0039】
巻方向については特に限定されるものではなく、左右いずれの方向も採用され得る。
【0040】
以上の諸元によれば、錘19は、コイルバネの様相を呈し、線径23、内径24、有効巻数25に応じて、その質量は、0.003g~1.000g程度に調整され得る。もっとも、錘19を構成する線材の材質が変更され、有効巻数が調整されることにより、錘19の質量は、2.000g程度まで調整可能である。なお、錘19の端部処理は、コイルバネの設計と同様に座巻が設けられてもよいし、クローズエンドあるいはオープンエンドに形成されてもよい。
【0041】
本実施形態では、錘19の内径24は、軸方向20に沿って一定である。ただし、この内径24は、穂先節11の外径の変化(すなわち、前記テーパ)に対応して軸方向20に沿って漸次変化するように設計されてもよい。錘19の内径24が穂先節11に形成されたテーパに応じて変化する場合の作用効果については、後述される。
【0042】
<釣竿及び釣竿用錘の使用要領>
【0043】
釣人は、錘19を釣竿本体17の穂先節11に取り付けることができる。具体的には、錘19を穂先節11の先端から軸方向20に沿って元端側22にスライドさせつつ嵌め合わせる。穂先節11の外形は前記テーパを呈するので、錘19が穂先節11に嵌め合わされると、両者が相対的に径方向に押圧される。錘19を構成する線材は弾性を備えているから、錘19は径方向に弾性的に変形して前記内径24が拡大する。
【0044】
これにより、図2が示すように、錘19は、穂先節11の外周面に巻き回わされた状態で、前記弾性変形に起因する緊迫力によって穂先節11に取り付けられる。なお、同図では、錘19が元端側22に押し込まれた結果、軸方向20に圧縮され、前記線材間の隙間27が小さくなっているが、錘19が先端側21に戻されることにより、前記隙間27は拡がる。すなわち、釣人は、錘19を穂先節11に対してスライドさせることにより、所望の位置に錘19を固定することができる。
【0045】
本実施形態では、前記線材が巻回されることによって錘19がコイルバネ状に形成されているから、前記線材が軸方向20に沿って重畳し、整列している。このため、釣人は、錘19を穂先節11の先端から嵌め込むのではなく、重畳した線材間に釣竿本体17を挿入して錘19を回転させるだけで、釣竿本体17の所望の位置から錘19を取り付けることができる。したがって、錘19は、穂先節11以外の第2番節12や第3番節13等にも錘19を取り付けることができる。すなわち、釣竿10に釣糸ガイドが設けられている場合では、釣人が錘19を穂先節11の先端から嵌め込むと、前記釣糸ガイドが邪魔になって所望の位置まで錘19をスライダさせることができなくなるおそれがあるが、そのような場合であっても、本実施形態に係る錘19は、釣糸ガイドを避けて簡単に釣竿本体17に装着される。
【0046】
穂先節11に錘19が設けられることにより、外力が作用したときの穂先節11及び第2番節12の撓み方、ひいては釣竿10の調子が変更される。しかも、釣人は、穂先節11に対する錘19の位置を容易に変更することができるし、錘19の着脱も容易である。したがって、釣人は、釣竿10の調子ないし重心位置を簡単且つ迅速に変更することができ、たとえばへら釣りにおいて、仕掛けの投入を容易且つ正確に行うことができる。
【0047】
錘19は、穂先節11以外の第2番節12やそれ以外の釣竿本体17にも装着され得るので、釣人は、錘19の位置を変更することにより、実釣において所望する釣竿10の調子を簡単に実現することができる。さらに、錘19は、前記線材が巻回されることにより形成されているから、釣竿本体17の変形に追従して錘19も容易に変形する。これにより、釣人は、ヒットした魚の取込作業において違和感を覚えることがない。
【0048】
ところで、成形された釣竿本体17には一般に「セロ目」が形成される。このセロ目とは、成形テープ(前記マンドレルに巻回されたプリプレグを締め付けるテープ)によって生じる成形線である。錘19を構成する線材が巻回されているから、釣人は、この巻回方向を釣竿本体17に形成されたセロ目に対応させることができる。たとえば、前記線材の巻回方向をセロ目と合わすことにより、錘19を回転させつつより簡単に釣竿本体17に取り付けることができるし、セロ目に逆らうように前記巻回方向を設定することにより、釣竿本体17に対して錘19がより強固に保持され得る。したがって、釣竿10がたとえば投げ竿等の激しいキャスティングを前提として構成される場合に、釣竿本体17の操作中に錘19が外れてしまうことが防止される。
【0049】
錘19を構成する線材の有効巻数は1以上であれば、特に限定されない。本実施形態では、前記線材は、図2が示すように、軸方向20に沿って複数箇所で重畳しているので、前記線材が穂先節11の周りに幾重にも巻き回された状態となる。したがって、錘19が穂先節11に対して確実に位置決めされる。
【0050】
本実施形態では、図4が示すように、錘19を構成する線材のピッチ26(巻間隔)は、線径23よりも大きく設定されており、巻回される線材間に隙間27が形成される。したがって、錘19を釣竿本体17に着脱する作業が一層容易になるという利点がある。
【0051】
本実施形態において、錘19の内径24は、穂先節11の外径の変化に応じて、軸方向20に沿って漸次変化していてもよい。その場合、錘19は、より安定して穂先節11に装着される。穂先節11以外の節12~16に装着される場合も同様である。
【0052】
本実施形態では、錘19は、その線径が0.2mm以上1.0mm以下である金属材料から構成されるので、錘19の質量を2.000g以下に精度良く調整することができる。しかも、前記線材を巻回する作業が簡単になる。
【0053】
<実施形態の変形例>
【0054】
図5は、本実施形態の第1の変形例に係る釣竿30の要部拡大斜視図である。
【0055】
本変形例に係る釣竿30が前記釣竿10と異なるところは、錘31の形状である。すなわち、釣竿10に装着された錘19(図2参照)は、前記線材が幾重にもコイル状に巻回されることにより形成されていたのに対し、この錘31は、前記線材が1回のみ巻き回されたリング状に形成されている。なお、その他の構成については前記実施形態と同様である。
【0056】
図6は、本実施形態の第2の変形例に係る釣竿40の一部断面拡大斜視図である。
【0057】
本変形例に係る釣竿40が前記釣竿10と異なるところは、錘41を構成する線材の断面形状である。すなわち、前記錘19は断面が円形の線材からなるのに対し、この錘41を構成する線材の断面形状は矩形である。この場合、錘41を構成する線材の線径23は、この線材の断面の軸方向20に沿う寸法である。
【0058】
この変形例に係る錘41では、第1番節11との接触部分が平面となる。したがって、錘41は、前記錘19と第1番節11との接触面積よりも広い面積で第1番節11と接触するから、より安定して第1番節11に装着される。しかも、錘41を構成する線材の断面積が矩形であるから、円形に比べて設計上断面積を大きくし易い。そのため、所定質量の錘の設計において、錘の小型化が可能となる。
【符号の説明】
【0059】
10・・・釣竿
11・・・第1番節
12・・・第2番節
17・・・釣竿本体
19・・・錘
20・・・軸方向
23・・・線径
24・・・内径
25・・・有効巻数
26・・・ピッチ
27・・・隙間


図1
図2
図3
図4
図5
図6