(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131533
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】ローカル５Ｇ監視システムとその異常状態検出方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/04 20090101AFI20230914BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20230914BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20230914BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20230914BHJP
H04B 17/18 20150101ALI20230914BHJP
H04B 17/29 20150101ALI20230914BHJP
【ＦＩ】
H04W24/04
H04W24/10
H04W88/18
H04M11/00 301
H04B17/18
H04B17/29 300
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2022036357
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薄葉 光弘
(72)【発明者】
【氏名】古木 敦
(72)【発明者】
【氏名】深川 義裕
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聖志
【テーマコード（参考）】
5K067
5K201
【Ｆターム（参考）】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067FF18
5K067LL01
5K067LL05
5K067LL11
5K201AA01
5K201BA02
5K201BA03
5K201CC02
5K201CC07
5K201DC02
5K201EA08
5K201EB06
5K201EC06
5K201EC08
5K201EF07
5K201EF09
5K201FA02
(57)【要約】
【課題】ローカル５Ｇシステムの異常状態の発生を検知することができるローカル５Ｇ監視システムを提供すること。
【解決手段】ローカル５Ｇシステム１００の基地局１００ａからの電波を測定する測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅと、測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データを収集するサーバ装置３と、を備え、サーバ装置３は、ローカル５Ｇシステム１００の敷設完了時の測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データをリファレンス情報とし、ローカル５Ｇシステム１００の運用中の測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データがリファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常状態であると判定する。
【選択図】図１
【解決手段】ローカル５Ｇシステム１００の基地局１００ａからの電波を測定する測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅと、測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データを収集するサーバ装置３と、を備え、サーバ装置３は、ローカル５Ｇシステム１００の敷設完了時の測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データをリファレンス情報とし、ローカル５Ｇシステム１００の運用中の測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データがリファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常状態であると判定する。
【選択図】図１
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第５世代移動通信システムの技術を使って所定の地域内で無線通信システムを占有利用するローカル５Ｇシステム（１００）を監視するローカル５Ｇ監視システム（１）であって、
前記ローカル５Ｇシステムの基地局（１００ａ）からの電波を測定する測定器（２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅ）と、
前記測定器による測定データを収集するサーバ装置（３）と、を備え、
前記サーバ装置は、前記ローカル５Ｇシステムの敷設完了時の前記測定器による測定データをリファレンス情報とし、前記ローカル５Ｇシステムの運用中の前記測定器による測定データが前記リファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常状態であると判定するローカル５Ｇ監視システム。
前記ローカル５Ｇシステムの基地局（１００ａ）からの電波を測定する測定器（２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅ）と、
前記測定器による測定データを収集するサーバ装置（３）と、を備え、
前記サーバ装置は、前記ローカル５Ｇシステムの敷設完了時の前記測定器による測定データをリファレンス情報とし、前記ローカル５Ｇシステムの運用中の前記測定器による測定データが前記リファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常状態であると判定するローカル５Ｇ監視システム。
【請求項2】
前記測定器は、前記電波に加え、前記ローカル５Ｇシステムの無線ネットワークにおけるＩＰデータ通信の状態を測定して前記測定データとする請求項１に記載のローカル５Ｇ監視システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、異常状態が発生したことを検知すると、そのことをユーザに報知する請求項１または請求項２に記載のローカル５Ｇ監視システム。
【請求項4】
第５世代移動通信システムの技術を使って所定の地域内で無線通信システムを占有利用するローカル５Ｇシステム（１００）の基地局（１００ａ）からの電波を測定する測定器（２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅ）を備え、前記ローカル５Ｇシステムを監視するローカル５Ｇ監視システム（１）の異常状態検出方法であって、
前記ローカル５Ｇシステムの敷設完了時に前記測定器により取得した測定データをリファレンス情報とするステップと、
前記ローカル５Ｇシステムの運用中に前記測定器による測定データが前記リファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常状態であると判定するステップと、を備える異常状態検出方法。
前記ローカル５Ｇシステムの敷設完了時に前記測定器により取得した測定データをリファレンス情報とするステップと、
前記ローカル５Ｇシステムの運用中に前記測定器による測定データが前記リファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常状態であると判定するステップと、を備える異常状態検出方法。
【請求項5】
前記測定器は、前記電波に加え、前記ローカル５Ｇシステムの無線ネットワークにおけるＩＰデータ通信の状態を測定して前記測定データとする請求項４に記載の異常状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローカル５Ｇシステムの運用パフォーマンスを監視するローカル５Ｇ監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
第５世代移動通信システム（以下、「５Ｇ」ともいう）で利用されている各種技術を使い、通信事業者ではない団体（自治体や企業など）が設備を持ち、自身が保有する土地でのサービス提供や自営の通信設備として占有利用するローカル５Ｇシステムが提供されてきている。
【0003】
このようなローカル５Ｇシステムでは、ユーザの実フィールドに敷設し、その後の運用において、機器類の故障や停止、電波干渉などの要因で、伝送速度の低下や通信遅延などの異常状態が発生することがある。
【0004】
ローカル５Ｇシステムは、比較的安価な無線ＬＡＮ（Local Area Network）を用いたネットワーク構成とは異なり、大容量と低遅延を重視した高価なシステムであり、伝送速度の低下、通信遅延などの異常状態となる時間は、極めて短く抑える必要がある。
【0005】
特許文献１には、無線ＬＡＮの電波受信に影響を与える原因を、複数の通信端末を配置し、それぞれの通信端末の位置情報、電波情報、空間情報、周辺情報に基づいて推定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開２０２０－１４１３９５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ローカル５Ｇシステムの運用を監視して、異常状態が発生したときに報知するようなシステムが無い。
【0008】
このため、ユーザは、ローカル５Ｇシステムの伝送速度の低下や通信遅延が発生していても、これらを察知することが難しく、気が付かずに運用を継続してしまう結果、ユーザが使用するローカル５Ｇシステムを用いた医療、交通などの超低遅延、高信頼が求められるアプリケーションやサービスの不具合に繋がる問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、ローカル５Ｇシステムの異常状態の発生を検知することができるローカル５Ｇ監視システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のローカル５Ｇ監視システムは、第５世代移動通信システムの技術を使って所定の地域内で無線通信システムを占有利用するローカル５Ｇシステムを監視するローカル５Ｇ監視システムであって、前記ローカル５Ｇシステムの基地局からの電波を測定する測定器と、前記測定器による測定データを収集するサーバ装置と、を備え、前記サーバ装置は、前記ローカル５Ｇシステムの敷設完了時の前記測定器による測定データをリファレンス情報とし、前記ローカル５Ｇシステムの運用中の前記測定器による測定データが前記リファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常状態であると判定するものである。
【0011】
この構成により、ローカル５Ｇシステムの敷設完了時の測定器による測定データがリファレンス情報とされ、ローカル５Ｇシステムの運用中の測定器による測定データが前記リファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常状態であると判定される。このため、ローカル５Ｇシステムの敷設時の測定データを基準に、異常状態の発生を検知することができる。
【0012】
また、本発明のローカル５Ｇ監視システムにおいて、前記測定器は、前記電波に加え、前記ローカル５Ｇシステムの無線ネットワークにおけるＩＰ（Internet Protocol）データ通信の状態を測定して前記測定データとするものである。
【0013】
この構成により、ローカル５Ｇシステムの敷設時の測定データを基準に、ローカル５Ｇシステムの無線ネットワークのＩＰデータ通信の異常状態を検出することができる。
【0014】
また、本発明のローカル５Ｇ監視システムにおいて、前記サーバ装置は、異常状態が発生したことを検知すると、そのことをユーザに報知するものである。
【0015】
この構成により、異常状態が発生したことが検知されると、ユーザに報知される。このため、異常状態への対応を迅速に行なうことができる。
【0016】
また、本発明の異常状態検出方法は、第５世代移動通信システムの技術を使って所定の地域内で無線通信システムを占有利用するローカル５Ｇシステムの基地局からの電波を測定する測定器を備え、前記ローカル５Ｇシステムを監視するローカル５Ｇ監視システムの異常状態検出方法であって、前記ローカル５Ｇシステムの敷設完了時に前記測定器により取得した測定データをリファレンス情報とするステップと、前記ローカル５Ｇシステムの運用中に前記測定器による測定データが前記リファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常状態であると判定するステップと、を備えるものである。
【0017】
この構成により、ローカル５Ｇシステムの敷設完了時の測定器による測定データがリファレンス情報とされ、ローカル５Ｇシステムの運用中の測定器による測定データが前記リファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常状態であると判定される。このため、ローカル５Ｇシステムの敷設時の測定データを基準に、異常状態の発生を検知することができる。
【0018】
また、本発明の異常状態検出方法において、前記測定器は、前記電波に加え、前記ローカル５Ｇシステムの無線ネットワークにおけるＩＰデータ通信の状態を測定して前記測定データとするものである。
【0019】
この構成により、ローカル５Ｇシステムの敷設時の測定データを基準に、ローカル５Ｇシステムの無線ネットワークのＩＰデータ通信の異常状態を検出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、ローカル５Ｇシステムの異常状態の発生を検知することができるローカル５Ｇ監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るローカル５Ｇ監視システムについて詳細に説明する。
【0023】
図１において、本発明の一実施形態に係るローカル５Ｇ監視システム１は、ローカル５Ｇシステム１００のサービスエリア内に設置される。
【0024】
ローカル５Ｇ監視システム１は、ローカル５Ｇシステム１００の基地局１００ａからの電波の状態や、ローカル５Ｇシステム１００の無線ネットワークにおけるＩＰデータ通信の状態などを監視し、異常状態となっているか判定する。
【0025】
ローカル５Ｇ監視システム１は、複数の測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅと、サーバ装置３と、を含んで構成される。
【0026】
測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅは、ローカル５Ｇシステム１００の基地局１００ａからの電波を測定する。測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅは、ローカル５Ｇシステム１００の無線ネットワークのＩＰデータ通信の測定を行なう。測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅは、ＩＰデータ通信の測定としては、スループットや通信遅延などを測定する。測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅとしては、通常の測定装置に加え、５Ｇ通信をサポートする携帯端末を使用してもよい。
【0027】
サーバ装置３は、コンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないＣＰＵ（Central Processing Unit）と、ＲＯＭ（Read Only Memory）と、ＲＡＭ（Random Access Memory）と、ハードディスク装置などの不揮発性の記憶媒体と、各種入出力ポートと、表示装置と、ポインティングデバイスやキーボード装置などの入力装置とを有する。
【0028】
このコンピュータ装置のＲＯＭ及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を制御するためのプログラムが格納されている。すなわち、ＣＰＵがＲＡＭを作業領域としてＲＯＭ及びハードディスク装置に格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、本実施形態の制御を行なう。
【0029】
サーバ装置３と、測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅとは、ＬＡＮ１０により接続され、ＬＡＮ１０を介して相互にデータを送受信できるようになっている。サーバ装置３と、測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅとの間は、インターネットにより接続されていてもよい。
【0030】
サーバ装置３は、インターネットに接続されており、インターネットを介して電子メールを送受信したり、ＳＮＳ（Social Networking Service）にアクセスしたり、することができる。
【0031】
本実施形態において、サーバ装置３は、ローカル５Ｇシステム１００の敷設時の測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データをリファレンス情報とし、ローカル５Ｇシステム１００の運用中の測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データがリファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に報知を行なう。
【0032】
ローカル５Ｇシステム１００は、要求されるスループットや通信遅延などが設計され、設計されたスループットや通信遅延を満たすように、測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定を行ないながら基地局１００ａなどの敷設が行なわれ、設計通りのスループットや通信遅延を満たしたことが確認されて敷設が完了する。
【0033】
サーバ装置３は、例えば、入力装置への入力によりリファレンス情報の登録が選択されると、その時の測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データをリファレンス情報としてハードディスク装置に格納する。
【0034】
サーバ装置３は、例えば、図２に示すように、ローカル５Ｇシステム１００の敷設時の測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データをリファレンス情報としてリファレンス情報データベースに記憶しておく。リファレンス情報データベースは、例えば、サーバ装置３のハードディスク装置に格納される。
【0035】
測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データとしては、例えば、図２に示すように、電波の状態（図では「電波」と示す）、スループット、遅延などが測定される。
【0036】
電波の状態としては、例えば、ＲＳＲＰ（Reference Signal Received Power）、ＲＳＲＱ（Reference Signal Received Quality）などが測定される。
【0037】
スループットや遅延は、例えば、ローカル５Ｇシステム１００に設けられたサーバ装置や測定器と通信を行なって測定する。
【0038】
測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅは、例えば、ローカル５Ｇシステム１００に設けられたサーバ装置と、基地局１００ａを介した無線通信を行なって、スループットや遅延を測定する。
【0039】
測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅは、例えば、ＩＣＭＰ（Internet Control Message Protocol）の"echo request"パケットをサーバ装置に送信し、サーバ装置から"echo reply"が返って来るまでの時間（ラウンドトリップタイム：Round-Trip Time）によりローカル５Ｇシステム１００の無線ネットワークの遅延を測定する。
【0040】
サーバ装置３は、例えば、所定の時間間隔で測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データをリファレンス情報と比較し、測定データがリファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常状態であると判定する。
【0041】
サーバ装置３は、例えば、測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅの測定したＲＳＲＰの値の少なくとも１つがリファレンス情報から閾値を超えて小さくなった場合に異常状態であると判定する。
【0042】
サーバ装置３は、例えば、測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅの測定したスループットの少なくとも１つがリファレンス情報から閾値を超えて低下した場合に異常状態であると判定する。
【0043】
サーバ装置３は、例えば、測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅの測定したネットワークの遅延の少なくとも１つがリファレンス情報から閾値を超えて大きくなった場合に異常状態であると判定する。
【0044】
なお、少なくとも１つの測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅの測定データがリファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常と判定したが、所定の数の測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅの測定データがリファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常と判定してもよい。
【0045】
また、測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅの設置位置などに応じて閾値を変えたりしてもよい。
【0046】
サーバ装置３は、異常状態が発生したことを検知すると、そのことをユーザに報知する。
【0047】
サーバ装置３は、例えば、表示装置などによる警告表示や、ブザー等によるアラーム音、電子メールの送信、ＳＮＳへの投稿などによりユーザへの報知を行なう。
【0048】
このように、上述の実施形態では、サーバ装置３は、ローカル５Ｇシステム１００の敷設時の測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データをリファレンス情報とし、ローカル５Ｇシステム１００の運用中の測定器２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅによる測定データがリファレンス情報から閾値を超えて悪化した場合に異常状態であると判定する。
【0049】
これにより、ローカル５Ｇシステム１００の敷設時の測定データを基準に、異常状態の発生を検知することができる。
【0050】
また、サーバ装置３は、異常状態が発生したことを検知すると、そのことをユーザに報知する。
【0051】
これにより、異常状態が発生したことをユーザに知らせることができ、異常状態への対応を迅速に行なうことができる。
【0052】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0053】
１ ローカル５Ｇ監視システム
２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅ 測定器
３ サーバ装置
１００ ローカル５Ｇシステム
１００ａ 基地局
２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅ 測定器
３ サーバ装置
１００ ローカル５Ｇシステム
１００ａ 基地局
【図1】
【図2】