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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131560
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】画像取得装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 3/12 20060101AFI20230914BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20230914BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230914BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G05D3/12 W
B05C11/00
B05C11/10
B05C5/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036396
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】常吉 豪
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
5H303
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA38
4F042AA02
4F042BA02
4F042BA03
4F042BA04
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA19
4F042CB03
4F042CB07
4F042DF05
4F042DH09
5H303AA06
5H303BB01
5H303BB06
5H303BB11
5H303CC01
5H303DD01
5H303FF09
5H303GG11
5H303HH07
5H303JJ08
5H303KK25
(57)【要約】
【課題】撮像装置の可動範囲内において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物の一部の画像を撮像装置によって撮像することができる画像取得装置を提供する。
【解決手段】対象物Mを撮像するカメラ2と、画像処理制御装置5と、カメラ2の位置を位置パルス列信号Sとして画像処理制御装置5に対して出力する位置計測装置3と、を有し、出力パルス数毎に対象物Mを撮像する画像取得装置1である。画像取得装置1は、位置計測装置3が画像処理制御装置5に対して出力した位置パルス列信号Sを補正する信号補正装置4を有する。信号補正装置4は、カメラ2が等ピッチで対象物Mを撮像するように位置計測装置3が出力した位置パルス列信号Sを補正し、補正した位置パルス列信号Sを画像処理制御装置5に対して出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮像する撮像装置と、前記撮像装置が撮像した画像を処理する画像処理制御装置と、前記撮像装置または前記対象物を搬送する移動体の位置を位置パルス列信号として前記画像処理制御装置に対して出力する位置計測装置と、を有し、
前記画像処理制御装置が所定のパルス数毎に前記撮像装置に前記対象物を撮像させる画像取得装置であって、
前記位置計測装置が前記画像処理制御装置に対して出力した位置パルス列信号を補正する信号補正装置を有し、
前記信号補正装置は、
前記撮像装置または前記移動体が原点位置から任意の位置に移動した際に前記位置計測装置が出力する位置パルス列信号のパルス数と前記原点位置から前記任意の位置までの距離との関係についての情報に基づいて、前記撮像装置が等ピッチで前記対象物を撮像するように前記位置計測装置が出力した位置パルス列信号を補正し、補正した前記位置パルス列信号を前記画像処理制御装置に対して出力する、
画像取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像取得装置において、
前記画像処理制御装置は、
前記撮像装置による撮像条件に応じた複数の前記所定のパルス数を設定可能に構成され、前記複数の所定のパルス数から選択した1つの前記所定のパルス数毎に前記対象物を前記撮像装置に撮像させる、
画像取得装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像取得装置において、
前記信号補正装置は、
前記関係についての情報に基づいて補正に必要な位置パルス数を算出し、補正に必要な位置パルスを前記位置パルス列信号に加算または減算して前記位置パルス列信号を補正する、
画像取得装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像取得装置において、
前記信号補正装置は、
前記撮像装置の撮像条件または前記移動体が移動される条件毎に前記関係についての情報を有し、前記撮像装置の撮像条件または前記移動体が移動される条件から選択した1つの前記関係についての情報に基づいて、前記位置パルス列信号を補正する、
画像取得装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像取得装置において、
前記信号補正装置は、
前記撮像装置または前記移動体が移動される環境温度毎に前記関係についての情報を有する、
画像取得装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像取得装置において、
前記信号補正装置は、
前記関係についての情報である補正式に基づいて前記位置パルス列信号を補正する、
画像取得装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像取得装置において、
前記信号補正装置は、
前記関係についての情報である補正テーブルに基づいて前記位置パルス列信号を補正する、
画像取得装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の画像取得装置において、
前記画像取得装置は、
前記移動体上のフィルムにインクジェット塗布装置によって着弾されたインクを前記所定のパルス数毎に前記撮像装置によって撮像し、前記インクの着弾位置、前記インクの面積及び前記インクの体積のうち少なくとも1つを前記撮像装置が撮像した画像から算出する、
画像取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、等ピッチで対象物の画像を撮像する画像取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置、インクジェット塗布装置等の製造装置は、基板、カラーフィルタ等を載置するステージと、前記基板等に部品を接着するボンディング装置、前記カラーフィルタ等にインクを塗布する塗布装置等の加工装置とを有している。前記製造装置は、搬送装置によってステージ上の基板等に対して加工装置を任意の位置に移動可能に構成されている。前記製造装置は、加工装置の位置を計測するリニアスケール等の位置計測装置の計測結果に基づいて加工装置を任意の位置に移動させる。このような位置計測装置は、例えば、環境温度に応じて前記製造装置全体が熱伸縮した場合、前記製造装置の熱伸縮の影響を受けて計測誤差が生じる。そこで、製造装置が熱伸縮しても目標位置に対する誤差を抑制することができる製造装置が知られている。例えば、特許文献1の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のインクジェット塗布装置は、基板を載置するステージと、前記ステージ上の基板に対してインクを塗布する塗布ユニットを備え、前記基板に対して前記塗布ユニットを移動させる。前記インクジェット塗布装置は、塗布ユニットの位置を計測する位置計測装置と、位置計測装置からの位置パルス列に基づいて塗布ユニットの制御を行う位置制御装置を備える。前記制御装置は、環境温度に対応した前記位置パルス補正テーブルに基づいて生成した補正位置パルス列信号によって前記塗布ユニットの位置制御を行う。これにより、前記インクジェット塗布装置は、位置計測装置が熱伸縮することによる影響を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-72661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、微細な加工を行う製造装置は、加工装置によって加工された基板の画像を取得し、前記基板等に対する加工装置の加工位置を調整する画像取得装置を有しているものがある。前記画像取得装置は、等ピッチで撮像した複数の画像に基づいて加工位置を測定する。この際、前記画像取得装置は、特許文献1に記載のインクジェット塗布装置の位置制御技術を適用することで、前記画像取得装置に対する熱伸縮による影響を抑制しつつ対象物の画像を撮像可能である。しかし、撮像位置の数が前記画像取得装置の記憶可能な数を超えている場合、前記画像取得装置は、予め取得している複数の撮像位置のパルス数に関する情報に基づいて画像の撮像及び画像の処理を実行するとともに、予め取得していた複数の撮像位置での撮像が終了する前に次の撮像位置のパルス数に関する情報を取得しなければならない。このため、前記画像取得装置では、等ピッチでの撮像、撮像した画像の処理及び撮像位置の取得を連続して実施するために撮像位置の間隔を広げ、撮像画像による加工位置の測定精度が低下してしまう場合があった。
【0006】
本発明は、撮像装置の可動範囲内において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物の一部の画像を撮像装置によって撮像することができる画像取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、等ピッチで対象物の画像を取得する画像取得装置において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物の一部の画像を撮像装置によって撮像することができる画像取得装置の構成について検討した。鋭意検討の結果、本発明者は、以下のような構成に想到した。
【0008】
本発明の一実施形態に係る画像取得装置は、対象物を撮像する撮像装置と、前記撮像装置が撮像した画像を処理する画像処理制御装置と、前記撮像装置または前記対象物を搬送する移動体の位置を位置パルス列信号として前記画像処理制御装置に対して出力する位置計測装置と、を有し、前記画像処理制御装置が所定のパルス数毎に前記撮像装置に前記対象物を撮像させる画像取得装置である。
【0009】
前記画像取得装置は、前記位置計測装置が前記画像処理制御装置に対して出力した位置パルス列信号を補正する信号補正装置を有する。前記信号補正装置は、前記撮像装置または前記移動体が原点位置から任意の位置に移動した際に前記位置計測装置が出力する位置パルス列信号のパルス数と前記原点位置から前記任意の位置までの距離との関係についての情報に基づいて、前記撮像装置が等ピッチで前記対象物を撮像するように前記位置計測装置が出力した位置パルス列信号を補正する。また、前記信号補正装置は、補正した前記位置パルス列信号を前記画像処理制御装置に対して出力する。
【0010】
上述の構成では、画像取得装置は、位置計測装置が出力する位置パルス列信号に含まれるパルス数と、例えば環境温度23℃で外力が加わっていない場合の伸縮状態において、熱収縮がない場合での原点位置から任意の位置までの距離と、位置計測装置における1パルス当りの撮像装置の移動距離とから算出される理論パルス数との誤差を信号補正装置によって補正する。よって、前記画像処理制御装置は、補正された位置パルス列信号に基づいて前記撮像装置に対して撮像信号を出力するので対象物を等ピッチで撮像可能である。よって画像取得装置は、前記対象物に対する前記撮像装置の位置に応じて撮像位置を定めるパルス数の間隔を書き換える必要がない。つまり、前記画像処理制御装置は、所定のパルス数毎に前記対象物を前記撮像装置に撮像させることで、等ピッチで前記対象物の画像を取得することができる。また、前記画像取得装置は、位置計測装置が位置パルス列信号を出力する毎に信号補正装置によって位置パルス列信号を補正する。つまり、前記画像取得装置は、前記対象物に対して撮像装置が移動している間、常に位置パルス列信号を補正している。これにより、撮像装置の可動範囲内において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物の一部の画像を撮像装置によって撮像することができる。
【0011】
他の観点によれば、本発明の画像取得装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記画像処理制御装置は、前記撮像装置による撮像条件に応じた複数の前記所定のパルス数を設定可能に構成され、前記複数の所定のパルス数から選択した1つの前記所定のパルス数毎に前記対象物を前記撮像装置に撮像させる。
【0012】
上述の構成では、画像取得装置は、位置計測装置が任意の位置において出力する位置パルス列信号を補正し、画像処理制御装置に対して出力する。よって、前記画像処理制御装置は、補正された位置パルス列信号に基づいて撮像しているので、撮像条件に応じて撮像装置が撮像する間隔を定める所定のパルス数を変更しても等ピッチで対象物を撮像することができる。これにより、撮像装置の可動範囲内において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物の一部の画像を撮像装置によって撮像することができる。
【0013】
他の観点によれば、本発明の画像取得装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記信号補正装置は、前記関係についての情報に基づいて補正に必要な位置パルス数を算出し、前記補正に必要な位置パルスを前記位置パルス列信号に加算または減算して前記位置パルス列信号を補正する。
【0014】
上述の構成では、信号補正装置は、位置計測装置が位置パルス列信号を出力する度に前記補正に必要な位置パルスを前記位置パルス列信号に加算または減算して補正する。よって、前記信号補正装置は、前記位置パルス列信号を補正するために必要な処理時間にばらつきがない。また、前記信号補正装置は、遅滞なく速やかに補正した前記位置パルス列信号を画像処理制御装置に対して出力することができる。これにより、撮像装置の可動範囲内において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物の一部の画像を撮像装置によって撮像することができる。
【0015】
他の観点によれば、本発明の画像取得装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記信号補正装置は、前記撮像装置の撮像条件または前記移動体が移動される条件毎に前記関係についての情報を有し、前記撮像装置の撮像条件または前記移動体が移動される条件から選択した1つの前記関係についての情報に基づいて、前記位置パルス列信号を補正する。
【0016】
上述の構成では、信号補正装置は、撮像装置または移動体が移動される環境温度、前記移動体に搭載される対象物の重量、前記撮像装置または前記移動体の移動パターン等が異なる条件毎に、前記位置計測装置が出力する位置パルス列信号のパルス数と原点位置から任意の位置までの距離との関係についての情報を有している。よって、前記信号補正装置によって前記撮像装置または前記移動体が移動される条件に適した補正を行う。これにより、撮像装置の可動範囲内において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物の一部の画像を撮像装置によって撮像することができる。
【0017】
他の観点によれば、本発明の画像取得装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記信号補正装置は、前記撮像装置または前記移動体が移動される環境温度毎に前記関係についての情報を有する。
【0018】
上述の構成では、信号補正装置は、撮像装置または移動体が移動される環境温度毎に、前記位置計測装置が出力する位置パルス列信号のパルス数と原点位置から任意の位置までの距離との関係についての情報を有している。よって、前記画像取得装置は、信号補正装置によって撮像装置または前記移動体が移動される環境温度に適した補正を行う。これにより、撮像装置の可動範囲内において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物の一部の画像を撮像装置によって撮像することができる。
【0019】
他の観点によれば、本発明の画像取得装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記信号補正装置は、前記関係を示す補正式に基づいて前記位置パルス列信号を補正する。
【0020】
上述の構成では、信号補正装置は、撮像装置または移動体が移動される条件毎に、位置計測装置が出力する位置パルス列信号のパルス数と原点位置から任意の位置までの距離との関係を示す補正式を有している。前記信号補正装置は、前記撮像装置または前記移動体が任意の位置を移動している場合において前記位置計測装置が出力する位置パルス列信号の位置パルス数を前記補正式によって補正する。よって、前記信号補正装置は、前記位置計測装置が出力する位置パルス列信号を前記補正式によって継ぎ目なく連続して補正することができる。これにより、撮像装置の可動範囲内において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物の一部の画像を撮像装置によって撮像することができる。
【0021】
他の観点によれば、本発明の画像取得装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記信号補正装置は、前記関係についての情報である補正テーブルに基づいて前記位置パルス列信号を補正する。
【0022】
上述の構成では、信号補正装置は、撮像装置または移動体が移動される条件毎に、位置計測装置が出力する位置パルス列信号のパルス数と原点位置から任意の位置までの距離との関係についての情報である補正テーブルを有している。前記信号補正装置は、前記移動体が前記任意の位置にいる場合において前記位置計測装置が出力する位置パルス列信号を前記補正テーブルによって補正する。よって、前記信号補正装置は、前記位置計測装置が出力する位置パルス列信号を前記補正テーブルに当てはめることによって前記位置パルス列信号を計算誤差なく補正することができる。これにより、位置制御装置が出力する1つの位置制御信号に基づいて、少なくとも1つの駆動装置による移動体の移動中の速度及び姿勢を安定させることができる。
【0023】
他の観点によれば、本発明の画像取得装置は、以下の構成を含むことが好ましい。画像取得装置は、移動体上のフィルムにインクジェット塗布装置によって着弾されたインクを前記所定のパルス数毎に前記撮像装置によって撮像し、前記インクの着弾位置、前記インクの面積及び前記インクの体積のうち少なくとも1つの前記撮像装置が撮像した画像から算出する。
【0024】
上述の構成では、画像取得装置は、インクジェット塗布装置がフィルム上に塗布した多数の微細なインクを所定のパルス数毎に撮像装置によって撮像する。前記画像処理制御装置は、信号補正装置によって補正された位置パルス列信号に基づいて所定のパルス数毎に撮像されたインクの画像を取得している。よって、前記画像処理制御装置は、取得した画像から前記インクの着弾位置、前記インクの面積及び前記インクの体積等を画像処理制御装置によって算出可能である。これにより、撮像装置の可動範囲内において、インクジェット塗布装置の熱伸縮に関わらずインクの塗布位置を調整することができる。
【0025】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0026】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0027】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な電気的接続または結合を含むことができる。
【0028】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0029】
[画像処理制御装置]
本明細書において、画像処理制御装置とは、取得した画像の処理を行うコンピュータである。画像処理制御装置は、取得した複数の画像の合成、対象画像の検出、検出した対象画像の位置、面積等を算出する。また、前記画像処理制御装置は、撮像装置に撮像信号を送信可能に構成されている。
【0030】
[位置計測装置]
本明細書において、位置計測装置とは、撮像装置の位置を計測するパルス列信号発生装置である。前記位置計測装置は、前記撮像装置の単位移動量に対して単位位置パルスを出力する。つまり、前記位置計測装置は、前記撮像装置の移動量に応じて位置パルス列信号を出力する。前記位置計測装置は、例えばリニアスケールによって構成される。
【0031】
[撮像装置]
本明細書において、撮像装置とは、対象物の画像を撮像する装置である。前記撮像装置は、画像処理制御装置の撮像指令によって画像を撮像する。前記撮像装置は、撮像した画像を前記画像処理制御装置に送信する。前記撮像装置は、デジタルカメラ、LiDAR(Light Detection And Ranging)等の対象物の位置情報を取得する装置であればよい。
【0032】
[位置パルス列信号]
本明細書において、位置パルス列信号とは、撮像装置が単位移動量だけ移動した際に位置計測装置が出力する信号である。位置パルス列信号は、矩形波が連続して生成されたパルス列から構成される。前記位置パルス列信号は、信号補正装置が生成した単一の矩形波である補正に必要な位置パルスを加算または減算可能に構成されている。
【発明の効果】
【0033】
本発明の一実施形態によれば、対象物を撮像する撮像装置と、前記撮像装置が撮像した画像を処理する画像処理制御装置と、前記撮像装置または前記対象物を搬送する移動体の位置を位置パルス列信号として前記画像処理制御装置に対して出力する位置計測装置と、を有し、前記画像処理制御装置が所定のパルス数毎に前記撮像装置に前記対象物を撮像させる画像取得装置において、撮像装置の可動範囲内において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物の一部の画像を撮像装置によって撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明の実施形態1における画像取得装置の全体構成を示す模式図である。
図2図2は、本発明の実施形態1における画像取得装置の制御構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態1における画像取得装置の位置計測装置が所定の環境温度において出力した位置パルス列信号から算出した伸縮による誤差と信号補正装置による補正値とを示すグラフである。
図4図4は、本発明の実施形態2における画像取得装置の制御構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明における画像取得装置による画像の合成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1から図3を用いて、本発明に係る画像取得装置の実施形態1である画像取得装置1について説明する。図1は、本発明の実施形態1における画像取得装置1の全体構成を示す模式図である。図2は、画像取得装置1の制御構成を示すブロック図である。図3は、画像取得装置1の位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sから算出した伸縮による誤差と信号補正装置4による補正値とを示すグラフである。本実施形態における環境温度とは、画像取得装置1を作動させる際の周囲の温度であって、画像取得装置1の周囲の温度がT1になっている状態における温度を環境温度T1とする。
【0036】
図1図2とに示すように、画像取得装置1は、対象物Mの一部の画像を等ピッチで取得する装置である。画像取得装置1は、撮像装置であるカメラ2と、位置計測装置3と、信号補正装置4(図2参照)と、画像処理制御装置5(図2参照)と、カメラ搬送装置6とを有する。
【0037】
撮像装置であるカメラ2は、対象物Mの一部を連続して撮像可能なデジタルカメラである。カメラ2は、カメラ搬送装置6のブロック7bに固定されている。カメラ2は、画像処理制御装置5と電気的に接続されている。カメラ2は、画像処理制御装置5からの撮像信号Siを取得すると、対象物Mの一部を撮像する。またカメラ2は、撮像した画像Iを画像処理制御装置5に対して出力する。
【0038】
位置計測装置3は、カメラ2の位置を計測する光学式のリニアスケールである。位置計測装置3は、スケール3aと、スケール3aの目盛を読み取る度に位置パルスを出力する検出器3bとから構成されている。検出器3bは、カメラ2が設けられているカメラ搬送装置6に含まれる案内装置7のベース7cに固定されている。スケール3aは、カメラ搬送装置6に含まれる案内装置7のレール7aの近傍に固定されている。これにより、位置計測装置3は、ブロック7bのスケール3aに対する位置を計測可能である。つまり、位置計測装置3は、スケール3aに対するカメラ2の位置を間接的に計測可能である。位置計測装置3の検出器3bは、信号補正装置4を介して画像処理制御装置5とカメラ搬送装置6の供給電力制御装置10に電気的に接続されている。よって、位置計測装置3は、カメラ2の位置として位置パルス列信号Sを画像処理制御装置5と供給電力制御装置10とに対して出力可能に構成されている。
【0039】
図2に示すように、信号補正装置4は、位置パルス列信号Sを補正する装置である。信号補正装置4は、位置計測装置3に電気的に接続されている。信号補正装置4は、位置計測装置3が画像処理制御装置5に対して出力した位置パルス列信号Sを取得可能に構成されている。また、信号補正装置4は、画像処理制御装置5に電気的に接続されている。信号補正装置4は、補正した位置パルス列信号Sである補正位置パルス列信号Scを画像処理制御装置5に対して出力可能に構成されている。つまり、位置計測装置3が画像処理制御装置5に対して出力した位置パルス列信号Sは、信号補正装置4を経由して補正位置パルス列信号Scとして画像処理制御装置5に対して出力される。
【0040】
信号補正装置4は、任意の環境温度において、位置パルス列信号Sを補正するための補正式Fを有している。補正式Fは、任意の環境温度において、カメラ2がカメラ2の移動範囲における基準となる原点位置P0から任意の位置に移動する際に、位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sのパルス数と、原点位置P0から任意の位置までの距離との関係についての情報である。
【0041】
補正式Fは、位置計測装置3のスケール3aが、例えば環境温度23℃で外力が加わっていない場合の伸縮状態(以下、単に「基準状態」と記す)において、原点位置P0から任意の位置までの距離と位置計測装置3における1パルス当りのカメラ2の移動距離とから算出される理論パルス数と、環境温度T1において前記任意の位置に移動されたカメラ2の位置を位置計測装置3が計測した実パルス数との関係を示す式である。信号補正装置4は、補正式Fを複数の環境温度毎に有している。信号補正装置4は、複数の補正式Fから環境温度T1に対応した補正式Fを選択する。信号補正装置4は、位置パルス列信号Sを補正式Fに基づいて補正可能である。
【0042】
画像処理制御装置5は、カメラ2の動作を制御するとともに、カメラ2が撮像した画像Iを処理する制御装置である。画像処理制御装置5は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続されている。または、画像処理制御装置5は、ワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。画像処理制御装置5は、カメラ2の動作を制御し、カメラ2が撮像した画像Iを処理するために種々のプログラムおよびデータが格納されている。画像処理制御装置5は、基準状態において、位置計測装置3のスケール3a(図1参照)がカメラ2に対して撮像信号Siを出力する出力パルス数を複数有している。画像処理制御装置5は、複数の出力パルス数のうち、撮像対象、撮像条件等に応じて選択された出力パルス数を設定可能に構成されている。更に、画像処理制御装置5は、出力パルス数毎に撮像信号Siを出力可能に構成されている。画像処理制御装置5は、カメラ2による撮像条件に応じた出力パルス数毎に撮像信号Siをカメラ2に対して出力する。また、画像処理制御装置5は、カメラ2から画像Iを取得する。画像処理制御装置5は、複数の対象物Mの画像Iを合成して対象物Mの中心位置、面積、体積等を算出可能に構成されている。
【0043】
画像処理制御装置5は、カメラ2に電気的に接続されている。画像処理制御装置5は、カメラ2に対して撮像信号Siを送信可能である。また、画像処理制御装置5は、撮像信号Siを出力する度にカメラ2が撮像した画像Iを取得し、対象物Mの全体画像を生成する。
【0044】
画像処理制御装置5は、信号補正装置4に電気的に接続されている。画像処理制御装置5は、信号補正装置4から補正位置パルス列信号Scを取得可能である。
【0045】
このように構成される画像取得装置1は、位置計測装置3が画像処理制御装置5に対して位置パルス列信号Sを出力する。この際、画像取得装置1は、信号補正装置4によって位置パルス列信号Sを補正する。信号補正装置4は、位置パルス列信号Sを補正した補正位置パルス列信号Scを画像処理制御装置5に対して出力する。画像処理制御装置5は、取得した補正位置パルス列信号Scに基づいて選択した出力パルス数毎に撮像信号Siを出力する。カメラ2は、撮像信号Siを取得すると対象物Mの一部を撮像する。更に、カメラ2は、撮像した画像Iを画像処理制御装置5に送信する。画像処理制御装置5は、取得した複数の画像Iから対象物Mの全体画像の合成、対象物Mの位置、面積、体積を算出する処理を行う。
【0046】
図1図2とに示すように、カメラ搬送装置6は、画像取得装置1が有するカメラ2を任意の位置に移動させる装置である。カメラ搬送装置6は、案内装置7と、電動モータ8と、動力変換機構9と、供給電力制御装置10(図2参照)と、位置制御装置11(図2参照)とを有する。
【0047】
図1に示すように、案内装置7は、カメラ2を直線状の任意の位置に案内する装置である。案内装置7は、図示しないインクジェット塗布装置等の製造装置に設けられている。案内装置7は、製造装置に固定されているレール7aと、レール7a上を移動可能なブロック7bとを有する。ブロック7bは、レール7aに沿って移動可能に構成されている。ブロック7bには、ベース7cを介してカメラ2が固定されている。つまり、案内装置7は、カメラ2をレール7aの延伸方向に移動可能に支持している。
【0048】
電動モータ8は、ブロック7bを移動させる駆動力を発生させるアクチュエータである。電動モータ8は、案内装置7におけるレール7aの近傍に位置している。電動モータ8は、ボールねじ軸等の動力変換機構9を介してベース7cに連結されている。電動モータ8は、動力変換機構9によって直進運動に変換してベース7cに伝達する。つまり、電動モータ8は、ベース7cをレール7aの延伸方向に移動可能に構成されている。
【0049】
図2に示すように、供給電力制御装置10は、電動モータ8に電力Vを供給する供給電力制御装置10(モータアンプ)である。供給電力制御装置10は、電動モータ8と電気的に接続されている。供給電力制御装置10は、任意の大きさの電力Vを電動モータ8に供給可能である。つまり、供給電力制御装置10は、電動モータ8を任意の回転位置に移動可能である。供給電力制御装置10は、位置計測装置3から位置パルス列信号Sを取得可能に構成されている。
【0050】
図1図2とに示すように、電動モータ8が移動させるブロック7b(図1参照)の位置は、位置計測装置3によって計測される。位置計測装置3は、供給電力制御装置10(図2参照)に対して位置パルス列信号Sを出力可能に構成されている。本実施形態において、位置計測装置3は、熱等による伸縮がない場合、1μm当り1パルス出力するものとする。
【0051】
図2に示すように、位置制御装置11は、電動モータ8を制御する制御装置である。位置制御装置11は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続されている。または、位置制御装置11は、ワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。位置制御装置11は、電動モータ8の動作を制御するために種々のプログラムおよびデータが格納されている。位置制御装置11は、位置計測装置3のスケール3aが基準状態において、電動モータ8の目標位置におけるパルス数に関する位置制御信号Stを生成可能である。位置制御装置11は、供給電力制御装置10に電気的に接続されている。位置制御装置11は、供給電力制御装置10に、位置制御信号Stを送信可能である。
【0052】
このように構成されるカメラ搬送装置6は、位置制御装置11から供給電力制御装置10に対して位置制御信号Stを送信する。位置制御信号Stを取得した供給電力制御装置10は、位置計測装置3から現在位置における位置パルス列信号Sを取得する。供給電力制御装置10は、位置制御信号Stと位置パルス列信号Sとの差分に基づいて電動モータ8に電力Vを供給する。カメラ搬送装置6は、目標位置に到達するまで(位置制御信号Stと位置パルス列信号Sとの差分がゼロになるまで)案内装置7のブロック7bに固定されているカメラ2を一定速度で移動させる。
【0053】
次に、図2図3とを用いて、画像取得装置1における画像取得制御について説明する。なお、本実施形態において、画像取得装置1は、環境温度T1において画像Iを取得するものとする。また、本実施形態において、画像処理制御装置5は、撮像信号Siをカメラ2に対して出力する出力パルス数が100パルスに設定されている。つまり、画像取得装置1は、100パルス毎に対象物Mをカメラ2によって撮像する。
【0054】
図2に示すように、画像取得装置1は、製造装置の上位の制御装置100から画像取得信号Ssを取得すると、カメラ2による対象物Mの撮像を開始する。同時に、カメラ搬送装置6の位置制御装置11は、上位の制御装置100から画像取得信号Ssを取得すると、位置制御信号Stを供給電力制御装置10に対して出力する。
【0055】
位置計測装置3は、画像処理制御装置5及び供給電力制御装置10に対して位置パルス列信号Sを出力する。供給電力制御装置10は、位置制御信号Stと位置パルス列信号Sとの差分に基づいて電動モータ8に電力Vを供給する。電動モータ8は、カメラ2が固定されているブロック7bを目標位置である第7撮像位置P7(図3参照)に向かって移動させる。
【0056】
画像処理制御装置5は、カメラ2の移動によって位置計測装置3から位置パルス列信号Sを100パルス分取得する度に撮像信号Siをカメラ2に対して出力する。
【0057】
図3に示すように、環境温度T1において、位置計測装置3は、スケール3aの熱伸縮の影響により、基準状態で原点位置P0から100パルス分のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力する位置において104パルス分(+4パルス分の誤差)のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力し、基準状態で原点位置P0から200パルス分のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力する位置において206パルス分(+6パルス分の誤差)のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力し、基準状態で原点位置P0から300パルス分のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力する位置において308パルス分(+8パルス分の誤差)のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力し、基準状態で原点位置P0から400パルス分のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力する位置において406パルス分(+6パルス分の誤差)のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力し、基準状態で原点位置P0から500パルス分のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力する位置において500パルス分のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力し、基準状態で原点位置P0から600パルス分のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力する位置において592パルス分(-8パルス分の誤差)のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力し、基準状態で原点位置P0から700パルス分のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力する位置において700パルス分のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力することが予め確認されている(破線参照)。
【0058】
上述のように伸縮する位置計測装置3に対して、信号補正装置4は、複数の補正式Fのうち環境温度T1における位置計測装置3の誤差を補正するための補正式Fを選択する(図2参照)。例えば、スケール3aが収縮した位置計測装置3が原点位置P0から100パルス分のパルスを含む位置パルス列信号Sを出力した際、カメラ2は、基準状態で原点位置P0から96パルス(96μm)の位置に移動している。
【0059】
信号補正装置4は、原点位置P0から100パルス分のパルスを含む位置パルス列信号Sを位置計測装置3から取得すると、補正式Fによって位置パルス列信号Sを96パルス分のパルスを含む補正位置パルス列信号Scに補正する。つまり、信号補正装置4は、位置パルス列信号Sから4パルス分のパルスを減算補正した補正位置パルス列信号Scを画像処理制御装置5に対して出力する(図3の実線参照)。このように、信号補正装置4は、位置計測装置3のスケール3aの収縮によってカメラ2が位置パルス列信号Sから算出される基準状態での位置よりも原点位置P0に近い位置に移動される場合、スケール3aの収縮分を移動させるために位置パルス列信号Sからパルスを減算した補正位置パルス列信号Scを生成する。
【0060】
また、スケール3aが収縮した位置計測装置3が原点位置P0から200パルスの位置に相当する位置パルス列信号Sを出力した際、つまり、原点位置P0から100パルスの位置から更に100パルス移動した位置に相当する位置パルス列信号Sを出力した際、カメラ2は、基準状態で原点位置P0から194パルス(194μm)の位置に移動している。
【0061】
信号補正装置4は、原点位置P0から200パルス分のパルスを含む位置パルス列信号Sを位置計測装置3から取得すると、補正式Fによって位置パルス列信号Sを194パルス分のパルスを含む補正位置パルス列信号Scに補正する。つまり、信号補正装置4は、位置パルス列信号Sから6パルス分のパルスを減算補正した補正位置パルス列信号Scを画像処理制御装置5に対して出力する(図3の実線参照)。
【0062】
また、スケール3aが延伸した位置計測装置3が原点位置P0から600パルスの位置に相当する位置パルス列信号Sを出力した際、カメラ2は、基準状態で原点位置P0から608パルス(608μm)の位置に移動している。
【0063】
信号補正装置4は、原点位置P0から600パルスの位置に相当する位置パルス列信号Sを位置計測装置3から取得すると、補正式Fによって位置パルス列信号Sを原点位置P0から608パルス分のパルスを含む補正位置パルス列信号Scに補正する。つまり、信号補正装置4は、位置パルス列信号Sから8パルス分のパルスを加算補正した補正位置パルス列信号Scを画像処理制御装置5に対して出力する(図3の実線参照)。このように、信号補正装置4は、位置計測装置3がスケール3aの延伸によってカメラ2が位置パルス列信号Sから算出される基準状態での位置よりも原点から離れた位置に移動される場合、スケール3aの延伸分を移動させないために位置パルス列信号Sからパルスを加算した補正位置パルス列信号Scを生成する。
【0064】
図2に示すように、信号補正装置4は、スケール3aが収縮した位置計測装置3において原点位置P0から100パルスの位置にカメラ2が移動している際に位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sを補正式Fに基づいて4パルス分減算補正した補正位置パルス列信号Scを画像処理制御装置5に対して出力する。図3に示すように、画像処理制御装置5は、補正位置パルス列信号Scを取得した後に、更にカメラ2が4パルス分(+4μm)移動されることにより合計100パルス分のパルスを取得すると、撮像信号Siをカメラ2に対して出力する。この際、カメラ2は、原点位置P0からカメラ搬送装置6のレール7aに沿って一方向に100μmの位置(環境温度T1において原点位置P0から104パルスの位置)に移動されている。よって、カメラ2は、原点位置P0から100μmの第1撮像位置P1において対象物Mを撮像する。
【0065】
図2に示すように、信号補正装置4は、スケール3aが収縮した位置計測装置3において原点位置P0から200パルスの位置にカメラ2が移動している際に位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sを補正式Fに基づいて6パルス分減算補正した補正位置パルス列信号Scを画像処理制御装置5に対して出力する。図3に示すように、画像処理制御装置5は、補正位置パルス列信号Scを取得した後に、更にカメラ2が6パルス分(+6μm)移動されることにより、第1撮像位置P1から更に合計100パルス分のパルスを取得すると、カメラ2に対して撮像信号Siを出力する。この際、カメラ2は、第1撮像位置P1からカメラ搬送装置6のレール7aに沿って一方向に100μmの位置(環境温度T1において第1撮像位置P1から102パルスの位置、原点位置P0から206パルスの位置)に移動されている。よって、カメラ2は、第1撮像位置P1から100μm移動された第2撮像位置P2において対象物Mを撮像する。
【0066】
図2に示すように、信号補正装置4は、スケール3aが延伸した位置計測装置3において原点位置P0から592パルスの位置にカメラ2が移動している際に位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sを補正式Fに基づいて8パルス分加算補正した補正位置パルス列信号Scを画像処理制御装置5に対して出力する。図3に示すように、画像処理制御装置5は、補正位置パルス列信号Scを取得すると、撮像信号Siをカメラ2に対して出力する。この際、カメラ2は、原点位置P0から500パルスの位置である第5撮像位置P5からカメラ搬送装置6のレール7aに沿って一方向に100μmの位置(環境温度T1において第5撮像位置P5から92パルスの位置、原点位置P0から592パルスの位置)に移動されている。よって、カメラ2は、第5撮像位置P5から100μm移動された第6撮像位置P6において対象物Mを撮像する。
【0067】
画像処理制御装置5は、信号補正装置4によって補正された補正位置パルス列信号Scに基づいて100パルス取得する度にカメラ2に対して撮像信号Siを出力する。この際、画像処理制御装置5に対して入力されるパルス数は、位置計測装置3が位置パルス列信号Sを出力している間、常に信号補正装置4によって理論パルス数になるように補正される。よって、カメラ2の出力パルス数当りの移動量は、位置計測装置3の熱による伸縮の影響が抑制される。つまり、画像取得装置1は、位置計測装置3のスケール3aの伸縮を打ち消した状態においてカメラ2を出力パルス数(本実施形態において100パルス)に応じた等ピッチ(本実施形態において100μm)で移動させる。
【0068】
このように構成される画像取得装置1は、画像処理制御装置5が補正された補正位置パルス列信号Scに基づいてカメラ2に対して撮像信号Siを出力するので対象物Mを等ピッチで撮像可能である。よって、画像取得装置1は、対象物Mに対するカメラ2の位置に応じて撮像位置を定める出力パルス数を書き換える必要がない。つまり、画像処理制御装置5は、信号補正装置4によって補正された補正位置パルス列信号Scを取得しているので、所定のパルス数毎に対象物Mをカメラ2に撮像させることで、等ピッチで対象物Mの画像Iを取得することができる。また、画像取得装置1は、位置計測装置3が位置パルス列信号Sを出力する度に信号補正装置4によって位置パルス列信号Sを補正する。つまり、画像取得装置1は、対象物Mに対してカメラ2が移動している間、常に位置パルス列信号Sを補正している。
【0069】
また、画像取得装置1は、位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sに含まれるパルス数と理論パルス数との誤差を信号補正装置4によって補正する。よって、画像処理制御装置5は、撮像条件に応じて出力パルス数を変更しても、等ピッチで対象物Mを撮像することができる。これにより、カメラ2の可動範囲内において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物Mの一部の画像Iをカメラによって撮像することができる。
【0070】
また、信号補正装置4は、位置計測装置3が位置パルス列信号Sを出力する度に補正に必要な位置パルスを位置パルス列信号Sに加算または減算して補正する。よって、信号補正装置4は、位置パルス列信号Sを補正するために必要な処理時間にばらつきがない。また、信号補正装置4は、遅滞なく速やかに補正した位置パルス列信号Sを画像処理制御装置5に対して出力することができる。
【0071】
また、信号補正装置4は、カメラ2が移動される環境温度毎に、カメラ2が原点位置P0から任意の位置に移動する場合において位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sのパルス数と基準状態での原点位置P0から任意の位置までの距離との関係についての情報を有している。本実施形態において、信号補正装置4は、カメラ2が原点位置P0から任意の位置に移動する場合において位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sのパルス数と熱収縮がない場合での原点位置P0から任意の位置までの距離との関係を示す補正式Fを有している。信号補正装置4は、カメラ2が任意の位置を移動している場合において位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sの位置パルス数を補正式Fによって補正する。よって、信号補正装置4は、位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sを補正式Fによって継ぎ目なく連続して補正することができる。これにより、カメラ2の可動範囲内において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物Mの一部の画像Iをカメラ2によって撮像することができる。
【0072】
次に、図4を用いて、本発明の実施形態2に係る画像取得装置1Aについて説明する。図4は、画像取得装置1Aの制御構成を示すブロック図である。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0073】
図4に示すように、信号補正装置4Aは、位置パルス列信号Sを補正する装置である。信号補正装置4Aは、位置パルス列信号Sを補正するための補正テーブルNを有している。補正テーブルNは、任意の環境温度においてカメラ2が移動範囲における基準となる原点位置P0から任意の位置に移動する際に、位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sのパルス数と、熱収縮がない場合での原点位置P0から任意の位置までの距離を任意の位置毎に示す情報である。
【0074】
補正テーブルNは、位置計測装置3のスケール3aが基準状態において、原点位置P0から任意の位置までの距離と位置計測装置3における1パルス当りの移動距離とから算出される理論パルス数と、環境温度T1において任意の位置に移動されたカメラ2の位置を位置計測装置3が計測した際の実パルス数との差分を任意の位置毎に示すテーブルである。信号補正装置4Aは、位置計測装置3が計測した任意の位置におけるパルス数に基づいて算出した補正テーブルNを複数の環境温度毎に有している。信号補正装置4Aは、複数の補正テーブルNから環境温度T1に対応した補正テーブルNを選択可能である。また、信号補正装置4Aは、取得した位置パルス列信号Sを補正テーブルNに基づいて補正可能である。
【0075】
このように構成される信号補正装置4Aは、カメラ2が任意の位置にいる場合において、位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sを補正テーブルNによって補正する。よって、信号補正装置4Aは、位置計測装置3が出力する位置パルス列信号Sを補正テーブルNに当てはめることによって計算誤差なく補正することができる。これにより、カメラ2の可動範囲内において、撮像位置の数に関わらず任意の等ピッチで対象物Mの一部の画像Iをカメラ2によって撮像することができる。
【0076】
(その他の実施形態)
上述の全ての実施形態において、画像取得装置1は、図示しないインクジェット塗布装置が塗布したインクIkの着弾状態を確認するための画像Iを取得してもよい。図5は、画像取得装置1Aによる画像I1からI7の合成を示す模式図である。図示しないインクジェット塗布装置は、フィルム上に塗布ユニットによって所定量のインクIkを所定の位置に塗布する。
【0077】
画像取得装置1は、フィルム上の所定の範囲に所定の間隔で着弾されたインクIkを出力パルス数である100パルス毎に第1撮像位置P1から第7撮像位置P7においてカメラ2によって撮像する。画像処理制御装置5は、カメラ2が第1撮像位置P1から第7撮像位置P7において撮像したインクIkの一部の画像I1から画像I7を合成してインクIkの着弾画像Icを生成する。画像処理制御装置5は、生成した着弾画像Icから、インクIkの着弾位置Ikp、インクIkの面積及びのインクIkの体積のうち少なくとも1つを算出する。
【0078】
なお、本実施形態において、位置計測装置3は、スケール3aに対するカメラ2の位置を間接的に計測可能である。しかしながら、位置計測装置3は、対象物Mを搬送する製造装置の移動体の位置を計測する構成でもよい。この場合、画像取得装置1は、製造装置の移動体によって移動される対象物Mを固定されたカメラ2によって撮像する。位置計測装置3の検出器3bは、移動体に固定される。また、位置計測装置3のスケール3aは、移動体のレールの近傍に固定されている。これにより、位置計測装置3は、対象物Mのスケール3aに対する位置を間接的に計測可能である。
【0079】
また、上述の全ての実施形態において、信号補正装置4は、環境温度毎に位置計測装置3の誤差を補正するための補正式Fまたは補正テーブルNを有している。しかしながら、信号補正装置は、撮像装置が移動される様々な条件毎に補正式または補正テーブルを有していてもよい。信号補正装置は、例えば、移動体の重量、移動体の移動パターン毎に補正式または補正テーブルを有していてもよい。信号補正装置は、撮像装置が移動される条件に適した補正式または補正テーブルによって補正を行うことができる。
【0080】
また、上述の全ての実施形態において、位置計測装置3は、光学式リニアスケールから構成されている。しかしながら、位置計測装置は、撮像装置または移動体の位置を計測できるものであれば、磁気式リニアスケール、光学式または磁気式のロータリエンコーダ等でもよい。
【0081】
また、上述の全ての実施形態において、画像取得装置1、1Aは、カメラ搬送装置6を含んでいる。しかしながら、画像取得装置は、カメラ搬送装置を含んでいなくてもよい。カメラ搬送装置は、製造装置に含まれていてもよい。カメラ等の撮像装置は、製造装置が有する加工装置によって移動されてもよい。
【0082】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1、1A 画像取得装置
2 カメラ
3 位置計測装置
3a スケール
3b 検出器
4、4A 信号補正装置
5 画像処理制御装置
6 カメラ搬送装置
7 案内装置
8 電動モータ
9 動力変換機構
10 供給電力制御装置
11 位置制御装置
I 画像
F 補正式
T1 環境温度
N 補正テーブル
M 対象物
St 位置制御信号
S 位置パルス列信号
Sc 補正位置パルス列信号
Ss 画像取得信号
図1
図2
図3
図4
図5